Catégories:“ファンタジー(翻訳)”

Catégories: /

  [amazon] [amazon]
「指輪物語」の世界にまつわるJ.R.R.トールキンの遺稿を、息子のクリストファー・トールキンが編纂したもの。
決して完全なものではないですし、むしろ断片的で矛盾を感じる部分も沢山。あの完全主義のトールキンのこと、生きている間だったらまず発表しないような段階ですし、実際クリストファーも、父親が生きていたら「本書に載せた物語のうち比較的仕上がっているものでも、さらに十分な手を加えた後でなければ、人目にさらすなど思いもよらなかっただろう」と書いています。でもそういう矛盾点すら、その神話的世界の真実味を増しているように思えるんですねえ。というのは、ファンの欲目でしょうか。(笑)
上巻は「シルマリル」の時代の物語が多くて、実際「シルマリルの物語」で読んだものと重なる部分も多かったんですが、下巻になると「指輪物語」に直結するエピソードが多くなります。そもそもガンダルフがなぜビルボに目をつけたか、という「ホビットの冒険」の裏話のような話があったり、裂け谷でのエルロンドの会議でガンダルフが語った指輪の歴史をもっと詳しくしたものがあったり。さらにガンダルフやサルーマンといった「イスタリ」(魔法使い)についてや、遠くを見ることができる石「パランティーア」についての文章も。

小説として読むには断片的すぎると思いますが、これを読むと「指輪物語」世界がさらに広がり、深くなります。刊行された当初は、あまり読む気がしなかったんですけど、やっぱり読んで良かった。あ、先に「シルマリルの物語」は読んでおいた方がいいと思いますし、「シルマリル」を楽しめた人限定でオススメなんですけどね。ということで、トールキンはコンプリート。指輪物語関連は、あと1冊関連本を読もうと思ってますが、それで一区切りかな。やっぱり楽しいです、この世界は♪(河出書房新社)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

+既読の指輪物語関連作品の感想+
「トールキン神話の世界」赤井敏夫
「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」W.G.ハモンド/C.スカル
「トールキン指輪物語事典」デヴィッド・デイ
「図説 トールキンの指輪物語世界 神話からファンタジーへ」デイヴィッド・デイ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / /

 [amazon] [amazon]
ということで、昨日に引き続きのメアリ・ド・モーガン。3冊続けざまに読んだらさすがに飽きるかなと思ったんですが、全然飽きなくて逆にびっくり。昔ながらの神話や伝承、童話の中に紛れ込んでいてもおかしくないような物語だったり、「あ、これファージョンみたい」とか「イワンのばかにありそうな話だ~」なんて思いながら読んでたんですけど、でもやっぱりメアリ・ド・モーガンの世界でした。昔ながらの童話には、お約束というか暗黙の了解的部分があると思うんが、彼女の作品はそれをちょっと外してるんですよね。その違いが、一見ちょっとしたズレのようなんだけど、実は大きいような気がします。インパクトからいけば、昨日の「フィオリモンド姫の首かざり」の方が強かったし、私は好きだったんですが、こちらの2冊も良かったです。
今度の2冊の中で一番印象に残ったのは、「針さしの物語」の中に収められている「おもちゃのお姫さま」。礼儀正しいあまりに感情を表すことはおろか、必要最低限の言葉しか口にすることのできない国が舞台の物語。その国で生まれたウルスラ姫は、思ったことを何も言えない生活に息が詰まりそうになっているんですが、亡き母の名付け親だった妖精に救われるんです。妖精は「どうぞ」「いいえ」「はい」「たしかに」の4つの言葉しか話せない人形を身代わりに置いて、本物の姫は別のところに連れて行っちゃう。で、姫はようやく息がつけるんですが... 最後に、王国の人々が本物の姫か偽物姫かを選ぶ場面があるんですよね。いやー、すごいです。こんなことでいいのか!と思ってしまうんですけど... でも双方幸せなら、結局それでいいのかなあ。(笑)(岩波少年文庫)


+既読のメアリ・ド・モーガン作品の感想+
「フィオリモンド姫の首かざり」ド・モーガン
「風の妖精たち」「針さしの物語」ド・モーガン

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / / / /

 [amazon]
イギリスのヴィクトリア朝の作家、メアリ・ド・モーガンの童話集。職業作家ではなかったようなのですが、ウィリアム・モリスや画家のバーン=ジョーンズ、詩人のロゼッティといったラファエル前派の芸術家たちと家族ぐるみでつきあい、仲間内では話上手のレディとして人気があった人なのだそう。という私は、岩波少年文庫は大好きだったのに、この作家さんは全然知りませんでした... 迂闊。

一見昔ながらの童話集に見えるんですけど、いざ読んでみると、その内容はなかなかしたたか。意外と辛口でびっくり。特に表題作の「フィオリモンド姫の首かざり」がすごいです。これは、見かけはとても美しいながらも、実は邪悪なフィオリモンド姫が主人公。王様に「そろそろ結婚を」と言われた姫が、魔女の助けを借りて婚約者たちを1人ずつ宝石の珠にしてしまい、それを首かざりにしてしまうという物語。この本の表紙の絵は、フィオリモンド姫が婚約者たちの変身した宝石の連なる首かざりを、鏡でうっとり見入ってるところです。腰元のヨランダだけは姫の性悪さを知ってるんですが、他の人たちは皆、姫のあまりの美しさに心根も綺麗だと思い込んでいるんですよね。そういう話を読むと、大抵、邪悪な姫よりも健気な腰元に気持ちがいくんですが、この作品は違いました。この良心のかけらもないような姫の存在感がすごい。その邪悪っぷりが堪らなく魅力的。...って、そんなことでいいのかしら。(笑)
妻が黄金の竪琴に変えられてしまったのを知らずに、その竪琴を持って妻を探して諸国を歩き回る楽師の物語「さすらいのアラスモン」や、妖精に呪われて心を盗まれた姫の絵姿に一目惚れして、心を取り戻す旅に出る王子の物語「ジョアン姫のハート」なんかも、当たり前のように頑張ってハッピーエンドになる童話とは一味違ーう。それ以外の作品も、滑稽だったり哲学的だったり、なかなか幅も広いんですね。メアリ・ド・モーガン、気に入っちゃった。図書館にあと2冊あったし、それも借りてこようっと。(岩波少年文庫)


+既読のメアリ・ド・モーガン作品の感想+
「フィオリモンド姫の首かざり」ド・モーガン
「風の妖精たち」「針さしの物語」ド・モーガン

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
両親を事故で亡くして、アガサおばさんに引き取られているヘンリー。アガサおばさんの家は下宿屋で、屋根裏部屋にいたパン屋で働くマーガトロイドさんが、部屋の天井に頭をひどくぶつけて怒って出ていったところです。ケチケチなアガサおばさんの出す食事はほんのちょっぴりなので、マーガトロイドさんのパンを当てにしていたみんなはがっかり。そして、厳しいおばさんのお眼鏡に適って次に屋根裏部屋に住むことになったのは、ハービー・エンジェル。500キロワットの幸せそうな笑顔が印象的な若者でした。
 
冷たくカチカチのアガサおばさんと、おばさんそっくりの居心地の悪い家が、「エンジェルさん」の登場によって徐々に変わっていくという物語。井辻朱美さんの「魔法のほうき」(感想)で大きく取り上げられていて、あんまり面白そうだったので、図書館で借りてきてしまいましたー。
「つながり道具一式」を持ち歩くエンジェルさんはとても胡散臭い人物。勝手に飾り棚や食器棚をくんくんとかぎ回って、「つながり」「回路」「エネルギー畑」なんて連発してます。それなのに、普段は若い人は沢山食べるし騒がしいからと下宿に入れようとしないアガサおばさんが、エンジェルさんの笑顔にはトロトロなんですよね。この笑顔、魅力的なのは分かるんですけど、読んでるこちらまでトロけてしまうほどではなかったかなあ。エンジェルさんの最初の目論見(?)が上手くいったあたりなんて、「えっ、もう?」と思ってしまったし。もう少しじっくり書いて欲しかった。それに、アガサおばさんが今の冷たくて厳しい人になってしまった理由というのも、普通に読んでいればすぐ分かっちゃう。
でも魂のスイッチを切ってしまった不幸な家を幸せにするために、過去の人間と現在の人間をつないで未来へと結びつけていくという基本的な部分が良かったです。そして、人がそれぞれに香りを発散しているという部分もとても素敵。タチアオイの花やピアノやフルートといった小物も効いていて、可愛らしい話になってました。そして最後は幸せな暖かさ~。エンジェルさんまた別の物語も読みたくなっちゃいました。ということは、やっぱり500キロワットの笑顔には効果があったのかも?(徳間書店)


+既読のダイアナ・ヘンドリー作品の感想+
「屋根裏部屋のエンジェルさん」
「魔法使いの卵」ダイアナ・ヘンドリー

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / / /

[amazon]
生まれた時から声が大きかったジェルソミーノは、産声は工場のサイレンと間違えられ、小学校に行くようになってからも、教室で答える声で黒板や窓ガラスを壊してしまう始末。そして、声で梨の木から実を落として村中が大騒動になってしまった時、ジェルソミーノは村を出ることを決意します。ジェルソミーノが国境を越えてやって来たのは、パン屋のことを「文房具屋」、文房具屋のことを「パン屋」と呼び、猫はわんわんと吠え、犬はにゃおんと鳴く「うそつき国」でした。

書かれた年代としては、「チポリーノの冒険」(感想)より後の作品なのだそうで、こちらには政治色はそれほど感じられないですね。もちろん風刺はたっぷりあるんですけど、まるで楽しいほら話みたい。というか、まるでケストナーの作品を読んでいるような感じ。
物を壊してしまうほどの声というのは、それほど目新しく感じないのですが、ジェルソミーノが「うそつき国」で猫のゾッピーノや画家のバナニートと仲良くなって繰り広げる冒険は、文句なしに楽しい♪ 悪役・ジャコモーネの末路もなかなか良かったです。
でもワクワクするよう展開の中で、立ちんぼベンベヌートのエピソードだけは切ないんですよね...。イタリア語で「ベンベヌート」といえば、英語の「Welcome」と同じ意味じゃありませんでしたっけ? 人の命を延ばすごとに自分の命を失ってしまう彼に、この名前を持ってきてる意味を考えてしまいます。もしかしたら、綴りが全然違うかもしれないのですが...。(筑摩書房)


+既読のジャンニ・ロダーリ作品の感想+
「猫とともに去りぬ」ロダーリ
「チポリーノの冒険」ジャンニ・ロダーリ
「うそつき国のジェルソミーノ」ジャンニ・ロダーリ
「パパの電話を待ちながら」ジャンニ・ロダーリ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / /

  [amazon] [amazon]
えへへー、指輪物語を再読してしまいました。
先日「ホビットの冒険」を読んだ後、他の本読みつつ、ちまちまと読み進めてたんです。ええと、前回読んだのが2002年なので、4年ぶりということになりますね。(サイトに記録があると、こういう時にほんと便利) 小学生の時に初めて読んで以来、これで何度目の再読になるのかは分からないぐらい読んでるんですが、この本は何度読んでも、いつも幸せな気分になります。もうほんと大好き。好きすぎて、感想を書きたくないぐらい。とは言っても、結局普通に読むだけで、マニアにはなれないんですが。(笑)
あ、箱のセットは「全9巻」になってますけど、10冊目の追補編も必読です。ここまで読んで「指輪物語」は完結。てか、私が最初に買った旧版の文庫は全6冊で、追補編まで全部入ってたので、どうしても抜かしたくないんですよね。...新版は全10冊、旧版は全6冊。差がありすぎるようにも思えますが、訳がどうこういう以前に、字の大きさや紙の厚みが全然違うので。それはもう笑ってしまうほど。
近いうちに、ロード・オブ・ザ・リングのDVDをまた見ようっと。そして「終わらざりし物語」を読もうっと。でも「終わらざりし物語」はハードカバーだから、持ち歩きできないのがツラいなあ。(評論社)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

+既読の指輪物語関連作品の感想+
「トールキン神話の世界」赤井敏夫
「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」W.G.ハモンド/C.スカル
「トールキン指輪物語事典」デヴィッド・デイ
「図説 トールキンの指輪物語世界 神話からファンタジーへ」デイヴィッド・デイ

| | commentaire(6) | trackback(1)
Catégories: /

  [amazon] [amazon]
非常に力の強い魔術師である父・アブホーセンの意向で、5歳の時に古王国を離れ、「壁」の向こうにある私立学校・ワイヴァリー学院の寄宿学校に入ったサブリエルももう18歳。卒業後の進路を話し合うため、毎月恒例の新月の夜に父親が影を送ってくるのを待っていました。しかしその夜、アブホーセンはなかなか現れず、その代わりに現れたのは、父の使いの真っ黒な生き物。父のいつも持っていた剣と7つの小さな銀のハンドベルを受け取ったサブリエルは、アブホーセンに何があったのか調べるために、早速古王国へと向かうことに。

最近の読書はファンタジー系が多いんですが、今時のファンタジー作品を読むのは、とても久しぶり。というか、実はあまりよく知らないんですよね、最近のファンタジー作品って。この作品も気になってはいたものの、最近よくある「怒涛のように展開してページをめくる手を止められない」タイプの作品かも、とちょっと警戒してたし(今そういう気分ではないので)、それ以前に、読むとしても3部作が全部文庫で出揃ってからにしようと思ってたはずなんですが...(笑) 書店で見かけた時に、つい買っちゃいました。でも正解。面白かった。

ということで、古王国記シリーズの第1作です。でもこの作品、設定がややこしいんですよね。
まず普通の世界の中に、古王国という魔力が非常に強く、現代的な機械が機能しない一帯があって、普通の世界からは「壁」で隔離されています。ここには「チャーター魔術」と「フリー・マジック」といった2つの魔法があるんですけど、これ以外にもあるのかな...? とにかくサブリエルの父は強力なチャーター魔術師で、剣とハンドベルによって、蘇った死霊を冥界に眠らせるのが仕事。
サブリエル自身分かってないことが多いし、説明が懇切丁寧というわけでもないし、古王国の存在自体がそもそも謎~。でも一旦読み始めたら、すっかり引き込まれてしまいました。マークを思い描いたり、定められた手順で指を動かすことによってかけるチャーター魔術も面白いし、結界を作って冥界と行き来する場面も素敵。そして何といっても、それぞれに大きさも音色も役割も違う7つの銀のハンドベルの存在がいい! ベルは単体で使うこともできますし、力のある魔術師なら組み合わせることも可能。でも簡単に使えるものばかりではなく、使い方を一歩間違えると魔術師も滅ぼしてしまう危険性をはらんでるんですよね。危険といえば、口は悪いながらも、普段は忠実にアブホーセンに仕えている白猫のモゲットも、実は危険な存在。やっぱり闇が濃いほど、光が際立ちますね。でも、全体的に重苦しい雰囲気が漂って、ダークファンタジーというのはこういう作品のことを言うのかなあ、なんて思いながら読んでたんですけど、実はそれほど暗いわけでもなかったようです。少なくとも読後感は、全然悪くも暗くもないです。
いくつか難もあると思うのだけど、それでもこの世界観はなかなか魅力的。この世界、そして7つの門を持つ冥界についてももっと知りたくなります。続編の「ライラエル」「アブホーセン」も楽しみ。早く文庫にならないかな。(主婦の友社)


+シリーズ既刊の感想+
「サブリエル 冥界の扉 古王国記I」上下 ガース・ニクス
「ライラエル 氷の迷宮 古王国II」上下 ガース・ニクス
「アブホーセン 聖賢の絆 古王国記III」上下 ガース・ニクス

| | commentaire(8) | trackback(2)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.