Catégories:“ファンタジー(翻訳)”

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ペギー・スーシリーズの4作目「魔法にかけられた動物園」と5作目「黒い城の恐ろしい謎」。またしても本を頂いてしまいました。ありがとうございます~。

3巻で「見えざる者」との戦いも決着し、ペギー・スーの冒険もこれで終わりかと思いきや、本国フランスでセルジュ・ブリュソロの元に熱心なファンレターが山のように届き、結局ペギー・スーの冒険もまだまだ続けられることになったのだそう。(このブリュソロは、フランスのスティーブン・キングと呼ばれているという人気作家さんなのだそうです) 最初の目的も果たしてしまったし、これからどんな展開になるのかちょっと心配だったんですけど、むしろ最初の3冊よりも面白かった!
というのも、元々畳み掛けるような展開で一気に読めるシリーズなんですが、時々驚くほどブラックな部分があったりするんですよね。ブラックというよりも、むしろ残酷。なので、本国でそれほど人気というのがちょっぴり不思議だったんですが... でも今回読んだ4巻5巻は、そういう部分が少し薄まっていて、私としてはありがたかったり。
それに、考えてみると1巻の頃とは魔法の扱いもかなり変わってるんですよね。最初はこの世の中でただ1人ペギー・スーだけが妙な能力を持ってる感じだったんですが、3巻でケイティーおばあちゃんが登場してからは、魔法が当然のように存在するようになったし。そうなると、今までちょっと無理してたような部分がなくなって、物語にすごく入りやすくなったような気がします。完全に普通の日常生活の中にちょこっと不思議なことが出てくるような物語も好きですけど、このシリーズは、ちょっとパラレルワールド的に常に不思議なことが存在してる方が似合う! 4巻の冒頭でも、ペギー・スーが泊まっていたホテルでは、宛名を書いて待つだけで、完璧に同じ筆跡で続きの文章が浮かび出てくるという「観光客を面白がらせるためだけの素朴な魔法」が使われてるのが、なんか可愛いんです。
4巻も5巻も地球外生物なんかが登場して、スケールの大きな作品となってます。どちらも一気に読めるんですが、特に4巻の設定がすごくよく出来てて、最後の最後まで面白かったです。5巻の方は、最後の決着がちょっと「あれ?」だったんですけど、それまでは面白かったし。本が客に襲い掛かろうとする呪われた本屋の場面が特に面白かったです。ハリー・ポッターの2作目に出た猛獣の本(?)みたいなのばかりが置いてある店なので、アイディアを頂いちゃったのかな? とも思いましたが。(笑)(角川文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ペギー・スーi  魔法の瞳をもつ少女」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーii  蜃気楼の国へ飛ぶ」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーiii 幸福を運ぶ魔法の蝶」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーiv 魔法にかけられた動物園」「ペギー・スーv 黒い城の恐ろしい謎」セルジュ・ブリュソロ

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ハンサムでも秀才でもないハロルド・シェイの造形から(馬面で、目が中央に寄りすぎてるらしいです)、アンチ・ヒロイック・ファンタジーという言葉が生まれたという、ハロルド・シェイのシリーズ全4巻。主人公のハロルド・シェイが、北欧神話、エドマンド・スペンサーの「妖精の女王」、コールリッジの「クブラ・カーン」、アリオストの「狂えるオルランド」、フィンランドの叙事詩「カレワラ」、そして最後にアイルランド神話の世界に飛び込む冒険物語です。

実はこれまで、なかなか話に入れなくて4~5回ほど挫折してたんですが、ようやく読めました。一旦話に入ってしまえば、結構面白かったです。まず面白いのは、日常の生活からファンタジーの世界への行き方。主人公のハロルド・シェイは心理学者なので、移動が魔法ではないんです。使うのは「Pが非Qと同値であれば、Qは非Pを含意するが...」という、「論理方程式」。6枚の紙に書かれた公式全神経を集中するだけで、神話の世界へと旅立ってしまうんだからびっくり。でももちろん、事はそれほど簡単ではありません。最初はクフーリンやマブ女王の時代のアイルランドに行くはずだったのに、気がつけばそこは北欧神話の世界。しかも、行った先の世界の法則に従わなくちゃいけないんですよね。20世紀の物理学や化学の法則みたいにまだ発見されてないものは、存在しないのも同じ。持参したマッチや銃は使い物にならなくなってますし、英語の本も理解できなくなってるのに気付くハロルド・シェイ。頭の中で自分の名前のスペルを思い浮かべても、浮かんでくるのはルーン文字だけ。(笑)

ただ、北欧神話やアイルランド神話は好きだし、「妖精の女王」も最近読み返したし(感想)、叙事詩ではなく、簡易な物語に書き直されていたとはいえ「カレワラ」も読んだし(感想)、「クブラ・カーン」は大学の時に一目惚れした作品なんですが(これは、コールリッジがインスピレーションを得て作品を書き始めた時に突然の来客があり、仕事を中断してるうちにその詩思は消え失せてしまった、ということで有名な作品。その来客が本当に怨めしい!)、「狂えるオルランド」だけは未読のままだったんですよね。それが惜しかったです。イタロ・カルヴィーノの「宿命の城」(感想)を読んだ時から、読みたいと思ってたんですが... 「妖精の女王」にも大きく登場してたのに...。でも名古屋大学出版局発行の本は12,600円なんて値段がついてるので到底買えないし、市内の図書館にも置いてないし、抄訳が載ってる本も3冊ほど教えて頂いたのに、どれも市内の図書館になく... いえ、いずれは絶対に読みますが!

4冊の中で一番面白かったのは1冊目。雰囲気に馴染むのに時間はかかったけど、ラグナロク直前の北欧神話の世界に一度馴染んでしまえば、あとはユーモアたっぷりで楽しかったです。もう少し長くしして、じっくり読ませて欲しかったぐらい。でも2~4冊目は、ラブロマンスなんかもあるんですけど... ハロルド・シェイが冒険慣れした分、ちょっと物足りなかったかも。代わりに加わった狂言回しの人物には苛々させられたし。それにどの世界も、結局似たような感じですしね。そういう意味ではちょっとマンネリ気味でした。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のディ・キャンプ&プラット作品の感想+
「妖精の王国」ディ・キャンプ&プラット
「神々の角笛」「妖精郷の騎士」「鋼鉄城の勇士」「英雄たちの帰還」ディ・キャンプ&プラット

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空猫の図書室の空猫さんが、前回のたらいまわし「五感で感じる文学」の時に挙げてらした本。(記事
本の裏表紙の紹介を見ると

15世紀のカイロ。奇怪な悪夢病が蔓延し、さまざまな陰謀が渦巻くこの都市に
到着したイギリス人の若者バリアン。
巡礼団の一員としてこの地を訪れた彼は、もうひとつの重大な任務を担っていたが...。
謎のイギリス人ヴェイン、眠りの館を支配する<猫の父>、娼婦ズレイカ、
そしてカイロ一の語り部ヨル。千一夜物語の世界を舞台に、
夢と現実が錯綜するミステリアスな迷宮小説。

と、あります。まさにその通り。普段なら、なんとか自分であらすじを書くんですけど、私にはこれ以上の紹介はできませんー。
題名の「アラビアン・ナイトメア」とは、奇妙な悪夢に悩まされ、その無限の苦痛に消耗させられ、しかし目覚めた時にはその夢のことを何も覚えていないという奇病。何も覚えていないため、自分がその病にかかっていることすら分からないのです。しかしその病は知らないうちに確実に伝染し、拡がっていきます。

「五感の文学」で挙げられていたのも納得の作品。読んでいる自分まで、ねっとりするようなカイロの熱気に包まれたような気がしてくるような作品でした。それも昼ではなくて夜のカイロ。昼の熱がそこかしこに残っていて、そこから昼間の残滓がもわーっと立ち上がってくるような、そんな雰囲気。
怪しくいかがわしい登場人物たちが入れ替わり立ち代り登場し、本筋の物語にいくつもの物語が挿入された、まさに「迷宮小説」。複雑な入れ子構造になっていて、読んでいるうちにどこからどこまでが現実で、どこからが夢なのかが分からなくなってしまいます。これはまさに悪夢の世界かも...。途中でよく分からなくなって一旦最初に戻って読み返していたんですけど、終盤また混乱してしまいました。明日がこの本の返却期限なので、それまでになんとかもう一度終盤を読み返してみなくっちゃ。(本当はあと2~3回、じっくり読みたい!) 全体的に散漫な印象もあるんですけど、それもまた千夜一夜物語の世界といった感じなのかもしれないですね。作者のロバート・アーウィンは、中世アラブ史の研究家でもあるのだそうです。道理でねえ。デイヴィッド・ロバーツの挿絵も雰囲気たっぷりです。 (国書刊行会)

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フェルダー・セプウィンがクレイ・オルモルの助けを借りて作り上げたのは、人の心の望みを映し出す鏡。しかし覗いた人々の望みは映るのに、クレイが覗いてもそこには何も映らなかったのです。そして数年後、再びクレイが鏡を覗くと、そこには1人の少女の姿が。

3月に読んだ「妖魔の騎士」の続編。(感想) 初期のハヤカワ文庫FTには対象年齢が低めの作品が多くて時々うんざりするんですけど、それだけに「妖魔の騎士」みたいな作品に出会えた時は嬉しくなっちゃいます。そしてこの続編、期待しすぎてがっかりするのが怖くて、なかなか手に取れなかったんですけど、ようやく読めました♪
結論からいえば、小さな不満は色々とあったものの、面白かったです! やっぱりこの世界も登場人物たちも好き~。「妖魔の騎士」とどちらが好きかと聞かれれば、やっぱり「妖魔の騎士」なんですけどね。前回同様、織物の魔法使い・デリヴェヴや炎の妖魔・ギルドラム、風の妖魔・エルルレットといった面々が再登場してくれて、嬉しい限り。

そして今回は、氷の世界の城に住むアライザという少女の物語です。氷の魔界にある広大な城に1人ぼっちで住み、日々魔法の修行に励む少女。一緒にいるのは氷の妖魔だけ。ただ1人の血縁の祖父は1年に1度訪ねてくるんですが、それは修行の進み具合をチェックするためだけ。そんな風に、外の世界との接触が全くないアライザを訪ねて来たのが、主人公のクレイなんですが...
クレイがちょっと鬱陶しいと聞いてたんですけど、うーん、確かに。アライザは終始、今は修行のことで頭がいっぱいだし、それの妨げになるような知識は要らないからこのままにしておいてくれって言うんですけど、クレイは無理やりアライザを外の世界に連れ出すんです。まあ、それはそれでいいんですけど... それはアライザが好きになってしまったからとかではなくて、憐れみの感情からなんですよね。そりゃアライザのこの状態は不健康だし、外のことを何も知らないというのも問題があるでしょうけど、アンタは一体何様よ? むしろ鏡に映ったアライザに一目惚れしてしまったから、という方が、展開として無理がなかったんじゃ...? しかもこのクレイ、周囲の個性に完全に負けてます。考えてみれば、前作でもデリヴェヴやレジーク、ギルドラムといった面々が物語を引っ張っていっていて、クレイはただの進行役だったような...。
しかも考えてみればアライザの状態って、かつてのデリヴェヴと一緒。デリヴェヴだって閉鎖的だったけど、自然と外界に目が開かれていくことになったのだし、こういうことって自分から気づくことが大切なんじゃ...? 結局クレイはアライザのお祖父さんと似たようなことをやってるとも言えるわけで... 悪気がなければいいってものじゃないわよーっ。

まあ、そういった部分にはちょっと首をかしげてしまったんですけど(結構多いな)、でも全体的には面白かったです。魔界の描写や、氷の魔界にあるお城の情景も素敵だったし、妖魔たちも魅力たっぷり。ギルドラム、やっぱりいいわあ。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のフィリス・アイゼンシュタイン作品の感想+
「妖魔の騎士」上下 フィリス・アイゼンシュタイン
「氷の城の乙女」上下 フィリス・アイゼンシュタイン

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暗黒の女王・ドリーニは、双子の妹である光の女王・ロリーニの2つの世界を奪い、今またその魔の手を、現在ロリーニがいる<アトラントン地球>に伸ばそうとしていました。そしてその頃、何かに駆り立てられて天の住まいから旅立ったクマ、山の麓の家で旅支度を始めた小人のブロコ、ブロコに出会って自分も出発の時だと感じたカワウソが出会い、一緒にカリクス・ステイの川を越えて<時に先だつ世界>へ。

光の輪4部作。
とても「指輪物語」を連想させる物語。ロリーニ率いる<光の輪>側が持っていて、暗黒の女王・ドリーニとが狙っている<神聖なる箱>は、まるであの指輪のようだし、登場する魔法使いはガンダルフ、小人とカワウソとクマはホビットたちみたい。でも、基本的には悪くなかったんですけど... どうも全体的に説明不足なんですよね。ここは世界がいくつもあって重層的に並んでるみたいなんですけど、それぞれどういう存在なのかも分からないし、全体像も見えてこない。訳者あとがきによると<光の輪>には魔法使いが7人いて長となってるらしいんですけど、それも今ひとつ掴めなかったし、<神聖なる箱>が持っているらしい<5つの秘密>についても同様。
それに、過去・現在・未来のことが全て書かれている<黄金の書>というのが存在するんです。別にそういう書があっても構わないんですけど、そういう本が登場したら、大抵、どうとでも受け取れるような文章で書かれていて、全てが終わった後に「そういうことだったのか」になるのが普通だと思うんですよ。全てを知ってる人がいても、軽々しく口にしたりしないし。でもこの作品では、「サイベルさまがお戻りになることはわかっております。そう定められておりますから、ご心配には及びません。...(中略)...ご帰還のことは<書物>に記されています。」なんて台詞があったりするのです。もう未来は全て決まっていて、変わる余地はないということなのかしら? そんな風に未来が決まってると知ってたら、やる気を殺がれる人も結構いると思うんですけど、なんでみんな「自分の役割を果たさなくちゃ」って前向きでいられるのかしら。私だったら絶対気が緩んじゃって怠けちゃうだろうなあ。なんてところに、ひっかかっちゃいました。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のニール・ハンコック作品の感想+
「二人の魔法使い」「光の女王ロリーニ」「終わりなき道標」「聖域の死闘」ニール・ハンコック
「竜の冬」ニール・ハンコック

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中世。初めての巡礼の旅のに出たジャスパー卿は、騎士としての勇気を試す機会にあまり恵まれないまま、その旅を終えようとしていましたが、沼地のポングリイの住民たちに、ドラゴン退治を依頼されます。この村では、数年前から何人もの村人がラベンダー・ドラゴンによって連れ去られて困っているというのです。連れ去られるのは、もっぱら未亡人や寡夫、そしてみなし児。話を聞いたジャスパー卿は、早速翌朝、ラベンダー・ドラゴンとの闘いに出向くことに。

「赤毛のレドメイン家」や「闇からの手」などのミステリ作品で有名なフィルポッツのファンタジー作品。でも日本ではミステリのイメージが強いんですけど、本国イギリスでは小説や詩・戯曲など250冊以上を書いていて英国文壇の最長老という存在だったんだそうです。
この物語に登場するドラゴンは、見た目にも美しく、行く先々にラベンダーの芳香が漂い、溢れんばかりの知識と教養の持ち主という、ちょっと珍しいタイプのドラゴン。そんなラベンダー・ドラゴンが村人たちを攫っていたのは、実は食べるためではなくて、ユートピアとも言えるような村を作るためだったんですよね。でも、前半、ジャスパー卿の視点で物語が進んでいる間は、中世の騎士の冒険物語で面白かったのに、ラベンダー・ドラゴンが中心となった途端、話が理屈っぽく教訓くさくなっちゃいました...。もしかしたら、当時の英国に対する政治的な批判だったのかしら。ラベンダー・ドラゴンの作った国は共産主義的な印象が強いです。しかもカリスマ的リーダーがいないと存続できないっていうところも、何ともはや。(ハヤカワ文庫FT)

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もう少し時代がかった雰囲気にすれば、グリムやペローのような童話集の中にあってもおかしくないかも、といった感じの童話集。やっぱり初期のハヤカワFT文庫には、子供向けの作品が結構ありますねえ。ちょっぴりリチャード・ヒューズの「クモの宮殿」のようでもあるんですけど(感想)、「クモの宮殿」のような強烈なナンセンスがあるわけでもなく、少し物足りない...。
でも、表題作の「あべこべの日」は面白かったです。ある日目が覚めると、その日は「あべこべの日」。飼い猫のミーツィが、スプーンとフォークとナイフにまざって引き出しの中で寝てるかと思えば、ミーツィの寝床ではミーツィの代わりに猫の寝巻きを着た銀のスプーンが寝ているし、予定通り外出しようとすると、お父さんは馬の代わりに馬車に繋がれて、白馬がお父さんの代わりに御者台に乗り、一緒に行く伯母さんが馬車の後尾灯として取り付けられちゃう... なんでそんな「あべこべ」が起きるのかは全く説明されないし、不思議なまんま終わっちゃうんですけどね。ある日突然来る「あべこべの日」かあ。大変そうだけど面白そう。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のハンス・ファラダ作品の感想+
「あべこべの日」ハンス・ファラダ
「田園幻想譚」ハンス・ファラダ

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