Catégories:“ファンタジー(翻訳)”

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ペギー・スーシリーズの3作目。今回は、会ったこともない「ケイティーおばあちゃん」の家で夏休みを過ごすことになったペギー・スーの冒険物語。
この作品、これまでもファンタジーではあったんですが、3冊目になって、ずいぶん子供向けになっちゃったなあというのが正直なところ。今までにも魔法は登場してたんですが、それらはあくまでも非日常だったんですよね。今回、登場するケイティーおばあちゃんの村は、そのまんま魔女の村のような場所。雷が並外れて多いため、避雷針代わりのリンゴの木がいくつか植えてあって、そのリンゴの木に雷が落ちるたびに、その雷が実に蓄積されていたり(このリンゴの実は食べられないどころか、傷つけると爆発するのです)、村人たちは常に白い猫を撫でていて、それでストレスを吸い取ってもらっていたり。(ストレスを吸い取った猫は白からピンクへ、そして赤に変化、赤になったら溜め込んだストレスを発散させるために放すことになります ...白い猫をひたすら撫でてる村人たちは、まるで麻薬中毒患者みたい)
雲の上の場面や地底に降りていく場面は、それぞれ面白かったんですけど、もっと日常的な環境を中心の舞台に据えてこそ、という気もします。
お化けとの決着もついて、話は一段落。でもペギー・スーの冒険は、まだまだ続きそうです。(角川文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ペギー・スーi  魔法の瞳をもつ少女」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーii  蜃気楼の国へ飛ぶ」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーiii 幸福を運ぶ魔法の蝶」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーiv 魔法にかけられた動物園」「ペギー・スーv 黒い城の恐ろしい謎」セルジュ・ブリュソロ

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娘のエリザベスに急に呼び出され、ニューヨークからサンフランシスコへとやって来たマーサは、エリザベスが予約した高級ホテルに泊まりながらも、娘となかなか連絡がつかずに困惑していました。そして話し相手もいないマーサに、ホテルのバーテンダーが紹介したのは、メイランド・ロングという初老の紳士。ロング氏はこのジェイムズ・ヘラルド・ホテルに住んでおり、古いバラッドに詳しく、自分の耳でいにしえの吟遊詩人から直接聞いてきたような話し振りをする不思議な男性。2人は早速意気投合して、住所も職場も分からないエリザベスの行方を一緒に探すことになるのですが...。

ハヤカワ文庫FTなので、一応ジャンルとしてはファンタジーなんでしょうけど... 確かに「龍」という存在があるから、ジャンル分けをすればファンタジーになるんでしょうけど、話の展開としては、むしろサスペンスもしくはミステリ。現代のサンフランシスコを舞台にした、コンピューター犯罪小説でもあります。そしてほんのりとラブ・ロマンス。すごく可愛くて素敵な話でした!
時々普通の人間とはちょーっと違う雰囲気も醸し出してるロング氏も素敵だし、このロング氏とマーサの会話も、とっても小粋でお洒落。そのままヨーロッパ映画にしてしまいたくなるぐらい。若い2人が頑張るという話もいいけど、こんな風に、いい具合に肩から力が抜けた大人の年代の話も楽しいです~。大人のためのファンタジーといった感じですね。ゆっくりお茶でも楽しみながら読みたい1冊。本国では続編もあるようなんですが、訳されないのでしょうか。こちらもぜひ読んでみたいです。(ハヤカワタジー文庫FT)


+既読のR.A.マカヴォイ作品の感想+
「黒龍とお茶を」R.A.マカヴォイ
「ダミアーノ」「サーラ」「ラファエル」R.A.マカヴォイ

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ローマの軍団によるブリテン島侵略によって、ドルイド僧は殺害され、巫女たちは陵辱されるという歴史から1世紀余りが経った頃。大ドルイド僧の孫娘・エイランは、森の中の落とし穴の中に落ちた青年・ガイウスを助けて家に連れ帰ります。エイランの一家の手厚い看護で、健康を取り戻すガイウス。しかしガイウスは、助け出された時はブリトン人の服装をしており、実際に半分ブリトン人の血が入っているものの、実はローマ人だったのです。恋に落ちたエイランとガイウスは結婚を望むのですが、真相を知った双方の父親に反対されて...。

モーガン・ル・フェイの視点から描いたアーサー王伝説、「アヴァロンの霧」全4巻がものすごーーく良かったマリオン・ジマー・ブラッドリーの作品、「聖なる森の家」3冊。「白き手の巫女」「龍と鷲の絆」「希望と栄光の王国」です。「アヴァロンの霧」の時代からさらに300年ほど遡ったブリテン島が舞台の物語。
「アヴァロンの霧」でもドルイド教関係がとても面白かったんですけど、こちらもやはりそうでした! 特に、巫女たちの儀式の場面が良かった。神秘的かつ幻想的。自然と調和した巫女たちの日々の生活も素敵です。でもローマ人側は... この時代はイエス・キリストを断罪したはずのローマ人にキリスト教が広まっていく時代でもあって、そういう面では興味深いんですけど... 3冊目「希望と栄光の王国」の久美沙織さんの解説にもある通り、この作品、男性陣が今ひとつパッとしないんですよね。特にエイランと恋に落ちるガイウスってば、なんて詰まらない男なんだー。ラストがやけに呆気なく感じられてしまったのも、きっとこのガイウスのせいでしょう。

この作品の冒頭で、「エイランをとおして、"龍"族つまりブリトン人と"鷲"族つまりローマ人の血は、賢き者すなわちドルイド教徒の血と混じりあったのだ。いざというときにはいつも、ブリテンを救う者がその血筋からあらわれるだろう」という予見がある通り、後にこの血筋から現れるのがアーサー王。こんな風に時代の流れが繋がっていくのって大好きです。この物語の時点では、巫女たちは「聖なる森の家」ヴェルネメトンに住んでるんですけど、その後アヴァロンに移っていくんですよね。その辺りの話もあれば読みたいんですけど、ブラッドリーは既に亡くなられてるので残念。他の作家さんが何か書いてないかしら。
あとブラッドリーの作品だと、トロイア戦争を描いたというファイアーブランドシリーズも読んでみたいです。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のマリオン・ジマー・ブラッドリー作品の感想+
「白き手の巫女」「龍と鷲の絆」「希望と栄光の王国」マリオン・ジマー・ブラッドリー
「太陽神の乙女」「アプロディーテーの贈物」「ポセイドーンの審判」マリオン・ジマー・ブラッドリー
Livreに「アヴァロンの霧」の感想があります)

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随分前にBaroque Midnight の森山樹さんにオススメして頂いたファファード&グレイ・マウザーシリーズ。全5巻。ファファードという名の蛮族の大男と、グレイ・マウザーと呼ばれる都会派の小男の2人が活躍する異世界冒険ファンタジーです。
読み始めてまず驚いたのが、その構成。全5巻となると、まず長大なファンタジーを思い浮かべると思うし、たとえ5巻全部が繋がった長編ではないとしても、せいぜい1冊ごとに1つの話が完結してると考えるのが普通だと思うんですよね。それが、このシリーズは連作短編集なんです。1巻は、ファファードが生まれ育った北の地を出てくる話、グレイ・マウザーが師匠だった魔術師を失って旅立つ話、そしてその2人が出会う話で3つの中編が入ってるんですが、2巻なんて10もの短編が入ってるんですもん。もうびっくり。ファンタジーも色々読んだけど、こういうのって初めてかも。でも5巻は「シリーズ初の長編」というのが売り物になってるんですけど、ライバーという人はどうやら短編モードの作家さんだったらしく、それまでの連作短編とそれほど変わらないような...。(というのは私の独断ですが)

読んだ印象としては、すごく男性的なファンタジーということでしょうか。2人の冒険者たちが美女を目の前にしては鼻の下を伸ばし(笑)、せっかく稼いだお金も何だかんだと巻き上げられたり、失ってしまったり... 毎回苦労してる割に見入りが少ないんですよね。...と書いてると、なんだか古典的なハードボイルドを思い出しちゃいました。男らしい私立探偵に美人秘書、もしくは美人の依頼人。(笑)
1巻では魔法の使い方がすごく面白かったし、吟遊詩人としても勉強していたというファファードと魔法使いの弟子だったグレイ・マウザーという設定がちょっと珍しくて、これがどんな風に発展するのか期待してたんですが、結局そういう方面ではあまり発展がなくて残念。1巻の、白一色の北国から、グレイ・マウザーの灰色になり、最後2人が出会うランクマーの都の、毒々しい色合いを含んだ黒、という色合いの変化も面白かったんですけどね。全部読み終わってみると、1巻が一番面白かったかもしれないなあ。でも2人が冒険することになる海の中とか雪山とか地底王国とかの描写も、それぞれ色鮮やかで良かったです。そして、基本的にこの話は異世界ネーウォンが舞台なんですが、時空の扉を超えて地球に来ちゃう時もあったりして(それも古代フェニキアですと!)、きっと作者さんはものすごく楽しんで書いてるんだろうなあってそんな作品でした。(創元推理文庫)

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ジャック・フィニイは「ふりだしに戻る」が読みたいと思いつつ未読で、これが初挑戦の作家さん。「ゲイルズバーグの春を愛す」は、柊舎のむつぞーさんに教えて頂いた作品です。
先に「夢の10セント銀貨」を読み始めたんですが... これがなんとも...。ニューヨークに住む冴えない主人公が、魔法のコインでパラレルワールドのニューヨークに移動すると、そこでの自分は大成功していた、という話なんですけど、主人公が単なる自分勝手で子供っぽい男にしか感じられなくて、どうも受け付けませんでした。(というか、ただの迷惑な変人じゃん!←暴言)
となると「ゲイルズバーグ」の方は? と戦々恐々で読み始めたんですけど、こちらは良かったです~。ちょっぴり不思議なテイストのノスタルジックな短編集。どれも良かったんですけど、中でも特に良かったのは、表題作と「愛の手紙」。表題作を読んでる時はゲイルズバーグの街を歩きたくてたまらなくなったし、「愛の手紙」はものすごくロマンティック。それに、なんて切ない!
「独房ファンタジア」や「大胆不敵な気球乗り」は、情景が浮かんでくる愉快な作品だったし、他の作品もそれぞれにいい感じ。そしてこの中に「コイン・コレクション」という短編もあるのですが、これは「夢の10セント銀貨」の元になっているような話。でもこちらの方が断然良かった! もしかしてフィニイは短編の方が本領発揮なのでしょうか。こちらだけ読んでいれば、すんなりファンになってただろうな、なんて思うほどの素敵な短編集でした。基本的に短編集が苦手な私が「好き~」と思ったぐらいなので、短編好きな方には堪らないのではないかと思われます。(って、どういう規準だ・笑)(ハヤカワ文庫FT)

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ユーラリア国の王様がお城の屋上で王女さまと一緒に朝食を取っていると、突然風が巻き起こって何者かが王様と太陽の間を通り抜けます。それは魔法の<七里靴>を履いた、隣国の王様の朝の運動の姿。何度も行ったり来たりされて、すっかり頭にきた王様が射手に隣国の王様を射させると、その矢は見事髯を打ち抜いて、隣国の王様はカンカンに。とうとう2国は戦争になってしまいます。そして王様が戦争で留守の間、王女様が国を治めることになるのですが、そこにはバルベイン伯爵夫人の陰謀が...

「くまのプーさん」で有名なA.A.ミルンのファンタジー。どうやら、プーさんよりも先に書かれた作品のようですね。第一次大戦中にミルンが、妻のダフネのいる既婚夫人の隊のために書いた劇が元になっているのだそうです。本を手に取る前は、ミルン唯一の長編ミステリ作品「赤い館の秘密」みたいに大人向けの作品かと思ったんですけど、あらすじ通り、子供向けと言った方がぴったりのファンタジーでした。これだったらハヤカワ文庫FTからじゃなくて、児童書のレーベルから出せばいいのに、なんて思ってしまうんですけど...
とにかく可愛らし~い作品です。みんなすごく抜けてるし、悪役も悪役になりきれてなくて、愛嬌たっぷり。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のA.A.ミルン作品の感想+
「ユーラリア国騒動記」A.A.ミルン
Livreに「赤い館の秘密」の感想があります)

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ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の未来編。...と聞いて一体どんな話なんだろうと思ったら...!
これが物凄い勢いで洒落(駄洒落?)、言葉遊びが繰り出されていってびっくり。これを訳すのは、さぞかし大変だったでしょうね... 英語での言葉遊びを、ここまで見事に日本語に置き換えられた風間賢二さんには、もうほんと頭が下がっちゃいます。ほんとすごい。でもあんまりすごいので、さぞかし大変な作業だっただろうなあということばかり気になってしまって、本文を堪能するところまではいきませんでした...(^^;。
未来の舞台は1998年のマンチェスター。1860年にいるアリスが、逃げ出したオウムを追って大きな柱時計の中に入ると、1998年にタイムスリップしちゃうというお話。なぜマンチェスターかと言えば、作者のジェフ・ヌーン氏がマンチェスターの方だかららしいです。(笑)
未来に飛ばされてしまったアリスが、しきりに2時から始まる大おばさんの授業に遅れるのを気にしてるのが可笑しいし(時計の中に入ったのは、2時10分前だったので)、言葉遊びの中では、ジミヘンやマイルスのパロディにニヤリ。(ハヤカワ文庫FT)

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