Catégories:“ファンタジー(翻訳)”

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ハヤカワ文庫FTのファンタジイ傑作集1と2。
「五つの壷」には、M.R.ジェイムズの「五つの壷」、ジョージマクドナルドの「お目当てちがい」「城」の3作、「ビバ!ドラゴン」には、L・フランク・ボームの「王さまの首の不思議な冒険」「ムラサキ・ドラゴン退治」、E.ネズビットの「最後のドラゴン」、G.K.チェスタートン「竜とカクレンボ」、ロバート・ブロック「ドラゴンの執念」、L.P.ハートリイ「コンラッドと竜」の6作が収められています。

この中で一番気に入ったのは「五つの壷」。怪奇小説で名高いというM.R.ジェイムズなんですが、作品を読むのはこれが初めて。おじさんから姪への手紙という形なので、おとぎ話のようでもあるんですけど、とっても幻想的なファンタジーです。森の中で見つけた金属の箱の中には5つの小さな壷が入っていて、その中の液を指示通りに目や耳につけると、森の生き物の声が聞こえたり、不思議な存在を見ることができるようになるんです。この壷を見つけるまでや見つけてからのあれやこれやが楽しくて、でも壷を狙う妖精の一味の存在がちょっと不気味で、昼と夜がくっきりと分かれているような印象の作品。
あと、オズの魔法使いのシリーズで有名なL・フランク・ボームの2作は、オズの国にも通じそうな可愛らしいおとぎの国の物語。王様が竜に首を食いちぎられちゃうんですけど、代わりに砂糖菓子で作った頭や練り粉で作った頭をつけたりして、オズのシリーズにも、お姫さまが毎日日替わりで頭を付け替えるエピソードがあったなあと懐かしかったです。「最後のドラゴン」は、「砂の妖精」「宝さがしの子どもたち」のE.ネズビッドの作品で、これもネズビットらしいユーモアセンス。それと驚いたのがG.K.チェスタートン! ブラウン神父シリーズで有名なミステリ作家さんも、ファンタジー作品を書いてたんですねえ。結構ドタバタなコメディでした。(ハヤカワ文庫FT)

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たったひとりでライラックの森に住んでいたユニコーンは、ある日自分がこの世で最後に残ったユニコーンだと知って驚きます。1つの土地にひとりぼっちで住むのが特性のユニコーンたちにとって、自分以外のユニコーンに会うことは稀。しかし不死ということもあり、自分の仲間が他にもいることを信じて疑っていなかったのです。ユニコーンは、自分以外のユニコーンがどうなってしまったのか知るために、森の外の世界へ。

なんて綺麗な物語なんでしょう。リリカルという言葉はこういう作品のためにあるんですね、きっと。他のユニコーンを探す旅という冒険物語と言ってもいいような内容なのに、読んでる間も読み終わった後も、その印象はあくまでも「静謐」。どこがどうとは言えないけど、なんだかすごく不思議なんです。確かにファンタジー作品なんですけど、他のファンタジー作品と同じジャンルに入れちゃっていいのかしら、という感じ。他の作品とはまた全然違う時間が流れているような気がしてきちゃいます。というよりも、神話を読んでるような感覚に近いかな。この透明感のある繊細な世界観も素晴らしい~。
それぞれに何かに囚われていて、自分が本当は何者なのか探し求めてる登場人物たちの中で唯一絶対的な存在で、異質だったと思えるのが主人公となるユニコーンなんですよね。でも物語が終わって自分の森に帰ろうとするこのユニコーンもまた、既に純粋な意味でのユニコーンではなくなっていて...。今回は表面的な流ればかり追ってしまったけど、奥を探れば色々と深い意味がありそうな物語です。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のピーター・S・ビーグル作品の感想+
「最後のユニコーン」ピーター・S・ビーグル
「心地よく秘密めいたところ」ピーター・S・ビーグル

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色んなところに何度も書いてるので「もういい」と言われそうですが(^^;、私が小学校の頃大好きだった作家のベスト3は、「ナルニア」シリーズのC.S.ルイスと「指輪物語」のJ.R.R.トールキン、そしてエーリッヒ・ケストナー。でもケストナーは全部の作品を読みたいと思ったし、実際に全集を愛読していたのに、C.S.ルイスとトールキンに関しては「ナルニア」と「指輪物語」だけで、他の作品に手を伸ばそうと思ったことがなかったんですよね。あんなに好きで何度も何度も繰り返し読んでたのになぜなのかしらー、なんて今頃になって思ったりします。指輪物語の前段階の物語「ホビットの冒険」を読んだのも高校になってからぐらいだったし、それもそれほど積極的ではなかったような。
ということで、この短編集も初読みです。「農夫ジャイルズの冒険」「星をのんだかじや」「ニグルの木の葉」「トム・ボンバディルの冒険」が収録されています。「農夫ジャイルズの冒険」は、まるでヨーロッパに伝わる民話の1つのような物語。ユーモラスで風刺もたっぷり。「星をのんだかじや」はとても幻想的で美しい物語。「ニグルの木の葉」はキリスト教的な寓話。そして「トム・ボンバディルの冒険」は詩集。

ええと、それぞれに楽しかったんですが... やっぱり「指輪物語」とはスケールが違いますね。ってあんな長編と比べちゃダメですね。でも小粒な感じは否めませんが、やっぱり読んで良かったです。トム・ボンバディルと川の娘・ゴールドベリの馴れ初めの話も読めたし! 映画ではすっぱりと切り落とされてたんですが、実はトム・ボンバディルはお気に入りなので~。(これで訳者が瀬田貞二さんだったら言うことなかったのに) あとは、「星をのんだかじや」も好み。読んでいるとエルフたちの住むロスロリエンが蘇ってくるようだったし、ちょっぴり切ないラストでは最後の船出を思い出しました。そしてこの本、ナルニアシリーズの挿絵でも有名なポーリン・ダイアナ・ベインズの挿絵も素敵なんです。この人の絵の場合、カラーよりも白黒の方が雰囲気があって好き♪

やっぱりトールキンとルイスの作品は、今からでも一通り読んでみようっと。...もしかしたら、「指輪物語」も「ナルニア」も、自分の中でそれぞれが完璧な形として確立されてしまっていたから、あえて他の作品を読もうとは思わなかったのかもしれないなあ。なんて自己分析してみても... 今更?(笑) (評論社)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

+既読の指輪物語関連作品の感想+
「トールキン神話の世界」赤井敏夫
「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」W.G.ハモンド/C.スカル
「トールキン指輪物語事典」デヴィッド・デイ
「図説 トールキンの指輪物語世界 神話からファンタジーへ」デイヴィッド・デイ

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石堂藍さんの「ファンタジー・ブックガイド」に紹介されていて興味を持った異世界ファンタジー。「水の都の王女」と「神の住む森」がそれぞれ上下巻になっていて、題名は違うんですけど、完全な続編。逆に言えば、4冊読まないと完結しない作品。

異世界ファンタジーって、いかに魅力的な世界を構築するかがポイントだと思うし、もう既に色んな世界が描かれてきていると思うんですけど、その中でもこの作品の世界観は独特。しかもその奥行きの広さにはびっくりしました。例えば、この世界では北方の山岳地帯ではあらゆるものに神が宿っているのに、南の方では大河の神という唯一の神しか存在しないんですよね。宗教として一神教を信じていたり多神教を信じていたりというんじゃなくて、実際に北には様々な神が存在していて、南には大河の神1人だけなんです。しかもその大河の神の力が強大で、北方の神々を日々飲み込み食べ尽くしていってしまうという...。でもだからといって、大河の神が悪だと簡単に決めつけられられるわけではないんですよね。この辺りがすごく深いんです。
そしてそんな神々同士の争いに巻き込まれてしまったのが、北から来た青年・ペルカルと、南の水の王国の王女・ヘジ。主に彼ら2人の視点から物語は進んでいきます。このヘジや彼女の周囲の人間もすごく魅力的。でもねえ、もう一方のペルカルが... 悪気はないけど、すぐに仲間を危険に陥れちゃうし、良かれと思ってしたことでも裏目に出てしまうような青年なので、なかなか感情移入ができなくて、その辺りは少し辛かった。でもやっぱりこの世界観は凄いです。ファンタジー・ブックガイドに選ばれるのも納得なのでした。(ハヤカワ文庫FT)

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またしても久々になってしまった岩波少年文庫シリーズ。昨日に引き続きのジョージ・マクドナルドです。ここに収められているのは「かるいお姫さま」と「昼の少年、夜の少女」の2編。
「かるいお姫さま」は、招待されなかったことを怨んだ意地悪な魔女が王女に呪いをかけるという、昔話の王道の物語。でも呪いはこっそりとかけられるので、最初は誰の仕業とは分からないし、良い妖精がその呪いを打ち消すような祝福を与えることもできないんですよね。呪いを解く方法も分からないし。そして、ここでかけられる「重さをなくしてしまう」という呪いが面白いんです。ちょっと手を離すと、王女はふわふわとその辺りを漂っちゃう。マクドナルドの時代には宇宙飛行士なんていなかったはずなのに、まるで無重力空間みたい~。魔女には重力の操り方が分ってたんですって。しかも重さをなくしてしまうのは身体だけじゃなくて、頭の中身もなんですよ! これが可笑しいんですよねえ。で、普段は笑い転げてばかりいて、全然真面目になれないお姫さまなんですが、水の中にいる時だけは普段よりも落ち着いてお姫さまらしくなるというのが、なんか好きです。
そして「昼の少年と夜の少女」は、魔女によって、昼しか知らずに育てられた少年と、夜しか知らずに育てられた少女の物語。どうやら宮廷の貴婦人に信用されてたらしい魔女の存在も謎だし、昼だけ、夜だけ、と手がこんだことをする割に、その目的が謎なんですよねえ。でも、16年間ランプが1つしかない部屋に閉じ込められていた少女が、初めて見た外の世界に感動する描写がとても良かったです。大きな藍色の空に浮かぶ月の輝き、夏の夜風、漂う花々の香り、足に優しいしっとりと濡れた草むら。美しいです~。(岩波少年文庫)


+既読のジョージ・マクドナルド作品の感想+
「お姫さまとゴブリンの物語」「カーディとお姫さまの物語」マクドナルド
「北風のうしろの国」ジョージ・マクドナルド
「かるいお姫さま」マクドナルド
「ファンタステス」ジョージ・マクドナルド
「金の鍵」「黄金の鍵」ジョージ・マクドナルド
「きえてしまった王女」「かげの国」ジョージ・マクドナルド

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ジョージ・マクドナルドは、C.S.ルイスやJ.R.R.トールキンに大きな影響を与えたという作家。数多くのファンタジーを書いてるんですが、この「北風のうしろの国」は、マクドナルド作品にしては珍しく、当時の現実が大きく取り入れられた作品です。物語は大きく3つの部分に分かれていて、1部は貧しい家に生まれたダイヤモンド少年と、美しい女性の姿をした北風の交流。2部は、産業革命直後のロンドンの現実的な場面。ここではダイヤモンド少年のお父さんが失業したり、なかなかシビアな状況で、ダイヤモンド少年の視線を通して、ロンドンを行きかう人々の様々な階級、特にスラムに住む下層階級の人々の貧しい暮らしなどが見えてきます。でも北風は一体どこに...? と思ったら3部で再登場。

物語の中では、序盤のダイヤモンド少年と北風が夜空を飛んでゆく場面が綺麗なんですが、でもマクドナルドが一番書きたかったのは、ロンドンでの現実的な話なのかな? 貧しくても健気な少年少女といえば、「小公女」のセーラやら何やら色々といますが、私はモーリス・ドリュオンの「みどりのゆび」のチトー少年を思い出しながら読んでました。物質的な恵まれ方には相当差がある2人なんですけどね...。北風とは何なのか、北風のうしろの国とは何なのかは、読んでみてのお楽しみ。
この作品は子供の頃に一度読んでるので再読なんですけど、その時は何か違うタイプの話を期待してたので、ちょっとがっかりしたんですよね。そのせいかすっかり内容を忘れちゃってて、ほとんど初読感覚でした。(^^ゞ(ハヤカワ文庫FT)


+既読のジョージ・マクドナルド作品の感想+
「お姫さまとゴブリンの物語」「カーディとお姫さまの物語」マクドナルド
「北風のうしろの国」ジョージ・マクドナルド
「かるいお姫さま」マクドナルド
「ファンタステス」ジョージ・マクドナルド
「金の鍵」「黄金の鍵」ジョージ・マクドナルド
「きえてしまった王女」「かげの国」ジョージ・マクドナルド

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「影との戦い」「こわれた腕環」「さいはての島へ」「帰還」「アースシーの風」「ゲド戦記外伝」の6冊。以前4巻まで読んでいて、その「帰還」に「ゲド戦記最後の書」という副題がついてるんですよね。まさかその後5巻と外伝が出るとは! 先日6巻セットを貸してもらったので、いい機会だし最初から全部読み直してみました。

主人公はゲドという魔法使い。1巻の「影との戦い」で登場するゲドはまだ少年です。強い魔法の力を持っているのを見出され、魔法使いたちの学院で正式に魔法について学ぶことになるんですが、自分の力を慢心して、若気の至りでとんでもない事態を引き起こしてしまう... という物語が、この「影との戦い」。そして1巻進むごとに何年も経過していて、最終的に「アースシーの風」の頃のゲドは、なんと70歳ぐらいのおじいさん。(笑)

このゲド戦記、最初は全3巻の作品だったんですよね。最初の3冊は、色々なメッセージを内包してはいるものの、純粋に異世界ファンタジー。でも3巻から16年経って刊行されたという4巻は、どうもフェミニズム論が前面に出すぎていて、初読の時はあまり好きになれなかったんです。ゲドも初老の域に達してるし、3巻の時に力を使い果たしてしまって既に大魔法使いでもなくなってしまってるし、ファンタジーというジャンルを離れてしまったような気がして。4巻であれだったら、5巻では一体どうなるんだろうと思ってあまり期待してなかったんですが... いやー、良かったです。この5巻があって初めて、物語全体が綺麗に閉じたという気がします。それまで当たり前のように受け止めていたこの世界の前提があっさり覆されて、初めて正しい姿がくっきりと見えてきたという感じ。
ゲドが「影との戦い」での失敗のせいですっかり内省的になっちゃうんで、全体的にあまり明るい雰囲気ではないんですが(笑)、でもやっぱりいいです、ゲド戦記。世界の奥行きも抜群。やっぱり今回最初から読んで良かった! 名作ですね。


そして次のジブリは、この「ゲド戦記」なのだそうです。びっくり~。一体どんな感じになるんでしょうね。っていうか、一体どんな風にまとめるつもりなんでしょうね? と思ってたら、ココの記事にありました。3巻を中心にまとめるんですって。ゲド、なんだか脇役になっちゃいそうだなあ。(笑)(岩波書店)


+既読のアーシュラ・K・ル=グウィン作品の感想+
「闇の左手」アーシュラ・K・ル・グイン
「ゲド戦記」アーシュラ・K・ル=グイン
「夜の言葉」アーシュラ・K・ル=グウィン

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