Catégories:“ファンタジー(翻訳)”

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敵との対決に自分の存在が邪魔になると感じたケイティは、ニューヨークでの仕事を辞めて、故郷であるテキサス州コブの町へと帰ることに。そして実家の肥料店を手伝い始めるのですが、魔法とは縁のないはずだったコブで、妙なことが立て続けに起き始めたのです。ケイティはマーリンに事情を説明して相談することに。

「(株)魔法製作所」シリーズの4作目。この翻訳が出るのが待ちきれなくて、去年「Don't Hex with Texas」を読んでしまってるので再読になります。いやあ、やっぱり面白かった。そして原書でもちゃんと話が分かってたことを確認できて、ほっとしました。英文自体はあっさりしててあんまり難しくなかったんですけどね。やっぱり不安だったので...
ケイティの家族総出演が楽しくて、特におばあちゃんがいい味出してて、オーウェンが相変わらず素敵で、イドリスが相変わらず間抜けで... という辺りは以前感想を書いた時と一緒。そして原書の出版社が5作目の出版を保留してるというのが、やっぱりショック。以前そんな話を聞きましたが、まだそうなんですか。でもオーウェンの生い立ちとか敵の黒幕とか、まだまだわかってないことがいっぱいだし、作者本人は出版に意欲的だそうだし、これは出版社を替えてでもぜひ出していただきたい!...なーんて簡単に言えるようなことではないんでしょうけど。出版社側の理由としては、1作目に比べて後続巻の売り上げ部数が期待するほど伸びてないからだそうです。1作目の売り上げはいまだに順調だというのになぜ? しかも日本にまで翻訳されて快調に売れてるというのに! この辺りが日本での出版事情とはちょっと違うところなんですね。あー、続編、読みたいよぅ。こんな風に読んでて幸せになれる作品って貴重ですよぅ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ニューヨークの魔法使い」シャンナ・スウェンドソン
「赤い靴の誘惑」シャンナ・スウェンドソン
「おせっかいなゴッドマザー」シャンナ・スウェンドソン
「Don't Hex with Texas」Shanna Swendson
「コブの怪しい魔法使い」シャンナ・スウェンドソン

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JJ・リディも結婚し、今は4人の子供の父親。でもリディ家では11歳の次女のジェニーが天災のような存在。少し目を離しただけで家や学校から抜け出して、薄着で野山を歩き回って過ごしてばかり。人に言われた通りの行動をすることができないジェニーに、家族全員が振り回されていました。特に不満を持っていたのは、JJの妻のアイスリング。JJと家事を半分ずつ分担して、いずれは療法士の仕事に戻るつもりだったのに、ジェニーがそんな状態で、しかもJJが国内外でのコンサートに忙しくて家にあまりいられない状態なので、予定もきちんと立てられないのです。アンガス・オーグがきちんと木を届けてくれれば、JJも家でフィドル作りに専念できるはずなのですが...。

先日読んだ「時間のない国で」の続編。今回も面白かったー。というか、今回の方がパワーアップで面白かったかも! JJがいきなり4人の子供の父親になっているのには驚いたんですけどね。しかも家の中のゴタゴタの話かと思いきや、そこに見張り塚にいる幽霊と羊の姿のプーカが絡んで、気がついたら話が結構大きくなってるし...。何のために幽霊が見張り塚にいるのかとか、なんでプーカがジェニーに幽霊と友達になるように仕向けてるのかとか、それでいてなぜ自分のことを幽霊からは隠そうとしてるのかとか、なんで隣人の老人・ミッキーが急に見張り塚の上に登りたいと言い出したのかとか、謎がいっぱい。
前回ちらっとしか登場しなかったプーカが今回は前面に登場。話の半ばで「うわーっ、そういうことだったのか!」と第一弾の爆弾(私にとっては)があって、その後もどんどん面白くなります。ああ、ティル・ナ・ノグに行ってみたいな。でもそんなことになったら、ほんと帰って来られないかも~。(創元ブックランド)


+シリーズ既刊の感想+
「時間のない国で」上下 ケイト・トンプソン
「プーカと最後の大王(ハイキング)」ケイト・トンプソン

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JJ・リディは、両親と妹との4人暮らし。父は詩人で母は音楽家。母の家は代々音楽家の家系で、毎週のようにケイリーと呼ばれるアイルランド伝統のダンスパーティが開かれているのです。JJ自身もフィドルやフルートの演奏者として、ハーリングの選手として、アイリッシュ・ダンスの踊り手として、数々の賞を手に入れてきていました。しかし最近どうにも時間がないのです。父が母と出会い、母の実家の農家に移り住んだ時に夢見ていたのは牧歌的な生活。しかし今では日々農作業に追われ、詩作などまったくする余裕がない状態。そしてリディ家だけでなく、この一帯に住む大人も子供も同じ問題に悩まされていました。

毎日のように時間にに追われて「時間が足りないー」「もっと時間が欲しいー」と言っている現代人は多いはず。という私もやりたいことが多すぎて、1日24時間じゃあ到底足りない状態。でも「時間が足りない」というのは、単なる比喩的な表現での話。1日はちゃんと24時間あると納得した上で、そんなことを言ってます。ま、言ってしまえば、自分の能力を超えて欲張りすぎなんですよね、私の場合は。まさか本当に時間がなくなっているとは考えたこともありません。でもこの作品の中では、本当に時間がなくなってしまうんです。となると、ミヒャエル・エンデの「モモ」を思い出すんですが、そういうのとはまたちょっと違っていて...。いや、結果としてはかなり似た状況とも言えるんですけど、誰も他人の時間の花を奪おうとしているわけではありませんし。(笑)
アイルランドのファンタジーはチェックしてるつもりでいたんですけど、これはすっかり抜け落ちてました。まさかこんなところにあったとは! この続編の題名が「プーカと最後の大王(ハイキング)」で、それを見るまで全然気づいてなかったんです。まさか「ティル・ナ・ノグ」まで出て来ようととはーっ。時間不足に嘆く普通の世界と時間の存在していないティル・ナ・ノグの関係も面白かったし、それぞれの住人たちがまたいいんですよねえ。そして最初から最後までずっとアイルランドの伝統音楽がずっと流れ続けてるという意味では、以前読んだチャールズ・デ・リント「リトル・カントリー」(感想)みたいな雰囲気。もうほんとリバーダンスが目の前に浮かんできます。色んな曲の楽譜が入ってるので、詳しい人はもっと楽しめそう。そしてスーザン・プライスの「500年のトンネル」(感想)もなんとなく思い出しながら読んでたんですけど、それはこの表紙のせいかな? 前半こそちょっと引っかかる部分もあったんですけど、後半はそんなことなかったし、終わってみれば結構面白かった! 伏線の効いた解決も気持ち良かったので、ぜひ続きも読んでみようと思います~。(創元ブックランド)


+シリーズ既刊の感想+
「時間のない国で」上下 ケイト・トンプソン
「プーカと最後の大王(ハイキング)」ケイト・トンプソン

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東京創元社で刊行中のラング童話集の7冊目。巻によってフランス系のお話が多かったり、北欧系が多かったり、南欧系が多かったりと少しずつ色合いが違うんですが、今回はエストニアやセルビア、リトアニア、ルーマニアといった東欧の話が多くて楽しかったです。民話としてはフランスやドイツ辺りの話が一般的な認知度が一番高いと思うんですけど、どこの話が好きかと言われれば、私は北欧が一番好き。そして東欧も好き。どこがどう違うのかは、読んでいても今ひとつ分かってないんですけどね。全部のお話を混ぜて、好きなのを適当にピックアップしていったら、多分北欧や東欧のお話が集まるはず。
そして今回「おおっ」と思ったのは、スワヒリの話が登場していたこと。「あるガゼルの物語」「人食いヌンダ」「ハッセブの話」の3つがスワヒリの話。でも「あるガゼルの物語」は「長靴をはいた猫」みたいな感じだし、小道具的には確かにアフリカなんだけど、どれも普通にヨーロッパの民話と同じように読めてしまいそうな話。それほどアフリカの特徴が出てるというわけではないです。むしろ王様を「スルタン」と呼んでるので、トルコかペルシャかってイメージになってしまうんですが... これは元々の話が英語で書かれた時点でそうなってしまったということなんでしょうね。...あ、でも今スワヒリって具体的にどこなんだろうと思って調べたら、「スワヒリ」という言葉は、アラビア語で「海岸に住む人」という意味なんだそうです。ということは、アラビア語の「スルタン」という言葉を使うのは、当たらずとも遠からず? スワヒリ語はケニア・タンザニア・ウガンダといった東アフリカの国で公用語となってるようですが、スワヒリという国はないんですね。知らなかった。(東京創元社)


+シリーズ既刊の感想+(東京創元社版)
「あおいろの童話集」「あかいろの童話集」アンドルー・ラング編
「みどりいろの童話集」アンドルー・ラング編
「きいろの童話集」アンドルー・ラング編
「ももいろの童話集」アンドルー・ラング編
「はいいろの童話集」アンドルー・ラング編
「むらさきいろの童話集」アンドルー・ラング編
「べにいろの童話集」アンドルー・ラング編
「ちゃいろの童話集」アンドルー・ラング編
「だいだいいろの童話集」アンドルー・ラング編
「くさいろの童話集」アンドルー・ラング編

+シリーズ既刊の感想+(偕成社文庫版)
「みどりいろの童話集」「ばらいろの童話集」アンドルー・ラング

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ちっぽけなぼろ小屋からトレーラーいっぱいになるほどの荷物が出てくるのに驚いたアート・スリックは、2時間ほどその光景を眺めた後で、ジム・ブーマーを連れてその奇妙な地区へと向かいます... というR.A.ラファティ「われらの街で」他、全15編の短篇集。

お金では買えないものをお金で売ってくれる「魔法の店」。ふとしたことから店に迷い込むことはできても、一旦商品を買って店を出てしまえば、二度と戻ることができないかもしれない店。そんな魔法の店の物語を集めたアンソロジー。ファンタジー作品に登場する魔法のお店は大好きなので、以前からとても読みたかった1冊。それぞれの短篇につけられた荒俣宏さんの文章がまた素敵なんですよねえ。15編中、稲垣足穂「星を売る店」、ハーヴィ・ジェイコブズ「おもちゃ」、H.G.ウェルズ「魔法の店」、クリスチーナ・ロゼッティ「小鬼の市」は既読。(「小鬼の市」を読むのは、今年3度目! でも3回とも違う訳者さん)
特に好みだったのは、上にもちらっとあらすじを書いたR.A.ラファティの「われらの街で」。ちっぽけな小屋からその何倍もの大きさの品物が出てきたり、公認代書屋はタイプライターもないのに口述筆記をしていたり、隣のビアホールでは冷蔵庫もないのに注文した通りのビールがよく冷えた状態で出てきたり... でもその銘柄のスペリングが間違えていたり。ここに登場する奇妙な人々はあくまでも自然なことのように魔法を使ってるし、アートとジムに質問されても堂々と話をはぐらかしてるのが可笑しいんです。
H.G.ウェルズ「魔法の店」のような純正の魔法のお店はちょっと怖いんですけど、不思議な品が埃をかぶって置かれてるようなヤン・ヴァイス「マルツェラン氏の店」みたいな店には行ってみたくなっちゃう。いつかそんなお店がある横丁に迷い込んでみたいなあ... でもそんなことになったら、もう帰って来られなくなっちゃうかもしれないなあ。(ちくま文庫)

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ネペンテスは王立図書館で拾われて育てられた孤児。今は図書館で書記として書物の翻訳をしています。まだ16歳に過ぎないネペンテスですが、珍しい文字を読み解く勘が備わっているのです。そんなある日、ネペンテスは同僚のオリエルが空の学院に本を貰いに行くのに付き合うことになります。空の学院は馬で平原を通り抜けた先の謎めいた森にあり、その森ではどんなことでも起こり得ると言われているため、オリエルはとても怖がっていたのです。怯えたオリエルに代わってネペンテスが若者から受け取った本には、茨のような文字が書かれていました。その本を一目見て心を奪われたネペンテスは、本を司書には渡さず、自分で訳し始めることに。

図書館が舞台で、不思議な茨文字で書かれた書物が出てくる... というだけで物凄く楽しみにしていたマキリップの新作。ものすごく良かったですー!! マキリップというだけで評価が5割り増しになってしまう私なんですが(笑)、これほどの作品を読んだのは久々!と思ってしまうほど。いや、ほんと素晴らしいー。
宮殿の地下に広がる図書館、謎めいた森、魔術師たちの空の学院、そしていつか国に危機が訪れた時に目覚めるというレイン王国初代の王の眠る海辺の洞窟。それだけでも十分なほどなのに、物語の中心となっているのは、茨のような文字で書かれた書物。その本を一目見た時から、ネペンテスは茨に絡め取られてしまうことになるんです。ネペンテスが読み進めるにつれて、伝説の王アクシスと王に影のようにつき従ったという魔法使い・ケインが生きていた頃の古代エベンの物語が蘇ってきて、その物語が現実のレイン王国の物語に覆いかぶさるように重層的に響き始めます。レイン王国では、若き女王・テッサラが即位したばかり。魔術師のヴィヴェイや元司令官のガーヴィンたちが女王を守り、盛りたてていこうとしているんですが、十二の邦はいつ反乱を起こしてもおかしくない状態だし、もしかすると十二邦の外に敵がいるのかも。敵についてまだ全然掴めないでいるうちに、レイン王国の初代の王も目覚めてしまうし... その警告の言葉は「茨に気をつけよ」というもの。
...なんて説明では全然伝わらないと思いますが、とにかくマキリップらしい世界観を堪能しました。マキリップの描く世界はすっきりと綺麗に整理整頓された世界ではなくて、むしろ物がいっぱいごちゃっと詰め込まれてるようなとこがあるんですけど、それだけに様々な色彩に溢れていて、その色合いをどんどん変えていくのが本当に魅力的。もう図書館も森も空の学院も海辺の洞窟も素敵すぎるっ。登場人物も良かったですしね。私が特に気に入ったのは若き女王・テッサラ。最初はぼーっとした女の子にしか見えない彼女なんですが、実はすごいんです。ただ、途中まで魔術師のヴィヴェイを男性と思い込んでいたことだけは内緒... 元司令官(当然男性)と一緒に暮らしてるってとこで、気付くべきだったんでしょうけど...。(恥)
今回もKinuko Y. Craftさんによる表紙がとても素敵です~♪→公式サイト(創元推理文庫)


+既読のパトリシア・A・マキリップ作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」の感想)
「星を帯びし者」「海と炎の娘」「風の竪琴弾き」パトリシア.A.マキリップ
「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」パトリシア・A・マキリップ
「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ
「ホアズブレスの龍追い人」パトリシア・A・マキリップ
「チェンジリング・シー」パトリシア・A・マキリップ
「茨文字の魔法」パトリシア・A・マキリップ

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貧しい家に育ち、音楽学校でピアノを学んだ17歳の「わたし」は、フランス一の金持ちである「彼」に求婚され、結婚。寝台車で彼の城へと向かうのですが... という表題作他全10編の短編集。

「青髭」や「美女と野獣」、「長靴をはいた猫」「白雪姫」「赤ずきん」などの童話、ドラキュラや狼人間といった伝説をアンジェラ・カーターが現代の物語として語りなおした幻想童話集。七生子さんにものすごく良かった!と伺ってたし、タニス・リーの「血のごとく赤く 幻想童話集」(感想)も大好きだったので、楽しみにしてた本です。
で、読んでみて。どの作品もエロティックで陰鬱な空気が漂っていて、甘美な毒とでもいった感じでしょうか。すごく素敵でした~。「大人のための」という言葉がぴったり。血の赤と雪の白、烏の黒という色合いが「雪の子」という作品に出てくるんですけど、読んでいると、この3色がどの作品でもとても鮮やかに浮かび上がってきます。タニス・リーの「血のごとく赤く」でも、この3色の印象が強いんですけど... まあ「白雪姫」の色と言ってしまえばそれまでなんですけど... 童話における三原色なのでしょうか?(笑)

「美女と野獣」が、「野獣の求愛」「虎の花嫁」という2つのある意味正反対な物語になっているのも面白いし、狼三部作なんかもとても濃くて面白かったのだけど、私にとって一番印象が強かったのは、やっぱり表題作の「血染めの部屋」かしら。これは「青髭」を語りなおしたものです。青髭と結婚するのは、音楽学校(コンセルヴァトワール)に通っていた17歳の少女。ギロチンが首に当たる位置と丁度重なる血のようにルビーの首飾り、夫である侯爵のエロティックな版画のコレクション、夥しい白い百合が飾られている寝室、寝室の12枚の鏡、微妙に調律が狂っているベックスタイン・ピアノ... この物語全編を通して音楽が聞こえてくるのも嬉しいところなんですよね。これまでに3度結婚しているという青髭の最初の妻は、主人公も少女の頃にオペラでイゾルデを歌っているのを見たことがあるというプリマドンナ。結婚前に2人で出かけたのも「トリスタンとイゾルデ」。そして普段はドビュッシーの前奏曲やエチュードを弾いてる主人公なんですけど、見てはいけないものを見てしまった動揺をおさめるために弾くのはバッハの平均律クラヴィーア。そんな音楽の使い方もすごく効果的だと思います。主人公の造形描写に一役買ってますしね。意外性のある(でもちゃんと伏線がある)ラストも良かったな。(ちくま文庫)


+既読のアンジェラ・カーター作品の感想+
「ワイズ・チルドレン」アンジェラ・カーター
「魔法の玩具店」アンジェラ・カーター
「夜ごとのサーカス」アンジェラ・カーター
「血染めの部屋 大人のための幻想童話」アンジェラ・カーター

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