Catégories:“読書案内”
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「子どものころに読んだあの絵本から 大人の心に響く名作絵本まで 今だから読みたい100冊」ということで、「晴れた日に」「つまずいた日に」「泣きたい日に」という3章に分けて100冊の絵本を紹介していく本。
先日書店をうろうろしていた時に目に留まって、あまりの可愛らしさに思わず買ってしまいましたー。(値段はそれほど可愛くないんだけど・笑) だってsalvia っぽい色合いの本のデザインといい、紹介されてる絵本といい... 「晴れた日に」の章からして、「ぐりとぐら」「そらいろのたね」「ももいろのきりん」「まりーちゃんとひつじ」に始まって、「こねこのぴっち」とか「あおい目のこねこ」とか、私自身が子供の頃から大好きだった絵本がいっぱい! そして大人になってから知った「ふたりはともだち」とか「バムとケロのおかいもの」とか「オリビア」とか! すごーくすごーく気になってるのに、まだ実物を手にしていない「郵便屋さんの話」とか! そしてバーバラ・クーニーやレオ=レオニの絵本は「つまづいた日に」に紹介されてました「ちいさいおうち」もそう。「ルリユールおじさん」や「ピアノ調律師」も。酒井駒子さんやエリック・カールの絵本は「泣きたい日に」。
しかもこの本、本の表紙だけでなく、ページを開いたとこもカラーで載ってるのが嬉しいんですよね。うひゃーん、未読の絵本も、あれもこれも読んでみたくなっちゃう! 柳田邦男さんの「砂漠でみつけた一冊の絵本」(感想)を読んだ時にも色々と読みたい絵本が出てきたのに、そういえばまだそのうち半分ぐらいしか読んでなかったのでした... 今度こそ読まねば~。
そして東京にある絵本専門のお店も5軒紹介されていて、どのお店もそれぞれに素敵。特に惹かれたのは、「えほんや るすばんばんするかいしゃ」と「cafe SEE MORE GLASS」かな。でも東京に行く機会がなかなかない... 気軽に行けない距離なのが残念です。(エンターブレイン)
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ハンニバル・レクター博士が聞いていたグレン・グールドの「ゴルトベルク変奏曲」は、果たして1955年盤なのか、1981年盤なのか。左手が多指症で6本の指があったというレクター博士、左手だけで中指が2本ある指で演奏するというのは、一体どのような感覚なのか。そしてそのトマス・ハリスのレクター博士の三部作とリンクしているような気がしてならないのは、ジョン・フランクリン・バーディン「悪魔に食われろ青尾蝿」。こちらに登場するのは、ハープシコードで「ゴルトベルク変奏曲」を弾くヒロインのエレン。精神病院を退院したエレンが、頭の中で家に着いた自分が「ゴルトベルク変奏曲」を弾くところを思い描く場面は、まさに演奏家としての思念の動きと言えるリアルなものなのです。...古今東西の純文学やミステリーの中から音楽や音楽家を扱った作品を取り上げて、音楽とのかかわりを主軸に読み解き、それによって音楽や音楽家の神秘を垣間見ようとする1冊です。
青柳いづみこさんの音楽と小説の本といえば「ショパンに飽きたらミステリー」もありますが、そちらとはまた違った音楽のシーンを楽しめました。今回一番印象に残ったのは、「シャープとフラット」の章に紹介されているアンドレイ・マキーヌの「ある人生の音楽」に登場するピアニストについてのエピソードかな。その後に待つものが分かっていても、それでも弾きたいピアニストの思い。それが青柳いづみこさんの文章に重なって、じんじんと伝わってきます。そうだよね、弾きたいよね! 弾いてしまうよね...!
そして「音楽のもたらすもの」の章で紹介されるトルストイの「クロイツェル・ソナタ」では、この言葉が印象的。
普通の人間関係は、言葉を介して築かれる。見ず知らずの他人からスタートし、言葉をかわし、お互いの共通点を発見し、共感しあい、しかるのちに恋愛に至り、しばらくたつとやがて言葉がいらなくなり... というコースをたどるのだが、音楽はすべての手順をすっとばし、二人の男女をいきなり「言葉がいらなくなった状態」に置く。(P.172)
ああー、ものすごく分かる気がする...。音楽だけではないんでしょうけど、音楽にはこういう面が確かにあると思います。この作品は、ぜひとも実際にベートーベンの「クロイツェル・ソナタ」を聴きながら読んでみたい! そしてこのトルストイの作品にインスパイアされて書かれたという、ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」もぜひ聴いてみたい。
ここのところ私の中で音楽の比重がすごく大きくなってるので、比較的最近読んだ本はかなり音楽的な部分にも注目して読んでるんですけど... 例えばアンジェラ・カーターの「血染めの部屋」のバッハの平均律とかね。私は青柳さんとは逆にバッハを弾くのが大好きなので、バッハで気持ちを落ち着かせるというのは、ものすごく分かる気がします。私の場合、平均律全曲なんてとても弾けないどころか、弾けるのはまだほんの数曲なんですけど。(笑) 奥泉光さんの「鳥類学者のファンタジア」や山之口洋さんの「オルガニスト」は、音楽を無視しては読めないし、例えば皆川博子さんの「死の泉」のカストラートのインパクトは強烈だったんですけど...! あまり音楽を意識しないで読んだ本は、ぜひともその辺りに注目して読み返したくなりますねえ。今読んだらまた違う印象を持つんだろうな。それに未読の本もいっぱい紹介されてたんですよね。どれも読んでみたい! その時はもちろん、その作品で取り上げられている音楽を聴きながら読みたいものです。(岩波書店)
+既読の青柳いづみこ作品の感想+
「モノ書きピアニストはお尻が痛い」「ショパンに飽きたら、ミステリー」青柳いづみこ
「水の音楽 オンディーヌとメリザンド」青柳いづみこ
「ボクたちクラシックつながり」青柳いづみこ
「ピアニストは指先で考える」青柳いづみこ
「指先から感じるドビュッシー」青柳いづみこ
「ピアニストが見たピアニスト」青柳いづみこ
「六本指のゴルトベルク」青柳いづみこ
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岩波少年文庫50周年の特別企画本。中川李枝子・山脇百合子姉妹、池内紀・池内了兄弟、岸田衿子・岸田今日子姉妹の対談のほか、斎藤惇夫の講演、目黒考二、猪熊葉子、内藤濯、瀬田貞二、林容吉、河盛好蔵、松方三郎、石井桃子各氏のエッセイが収められた本。
子供の頃の私にとって、児童書といえばまず岩波書店の本でした。ほとんど処分してないので、まだ家に沢山残ってます。函入りのハードカバーの本も多いんですけど、少年文庫もずらーっと。私が子供の頃の少年文庫は、今みたいなカバーがかかってないソフトカバーだったんですけどね。そのも一つ前のハードカバーのものも何冊かあります。その全てが私の宝物。もうほんと大好きだった本ばかりですし~。何度読んだか分からないほど、繰り返し読んでます。そういった岩波書店の本は、私の「本を読む」ということの基礎になってるはず。
で、今回読んだのは、その大好きな岩波少年文庫の特別企画本。ここに登場してるのはものすごいメンバーばかり。中川李枝子・山脇百合子姉妹の絵本は、もう本当に幼稚園の頃大好きだったし! 内藤濯さんといえば「星の王子さま」、林容吉さんは「メアリー・ポピンズ」や「床下の小人たち」のシリーズ。猪熊葉子さんには、訳書だけでなく、児童文学の方でもお世話になったし...。そして瀬田貞二さんと石井桃子さんは、子供の頃の私にとって児童書訳者トップ5のうちの2人だし。(他3人は神宮輝夫さんと井伏鱒二さん、そして高橋健二さん)ということで、読まないでいられるはずがないんですけど... 実は今回初めて読みました。(爆)
いやあ、面白かった。それぞれの方に対する思い入れもあるので、ほんと楽しめました。特に3人のきょうだい対談が面白かったです。きょうだいの対談っていいですねえ! 遠慮もないし、話してるうちにどんどん色んなエピソードが出てくるし、時には話がかみ合ってなかったり、大きく脱線したりしても、そういうのもすごく楽しくて。中でも中川李枝子・山脇百合子姉妹の話には、もう本当に沢山の少年文庫の本が登場! 読んでいて嬉しくなってしまうほど。いや、私も少年文庫は相当好きだし懐かしいんですけど、この方たちの思い入れには負けます。(笑)
そして読み終えてみて特に印象に残ったのは、子供の頃はもちろん、大人になってから少年文庫を楽しむ人が多いという言葉。これは何人かの方が書いてらっしゃいましたね。「少年文庫」ならぬ「老年文庫」なんて書いてたのは誰だったかな? 猪熊葉子さんかな? うんうん、やっぱり今読んでもいいですもん。というか、今読んでも楽しめる、という感性をなくしたくないです。
池内兄弟の、完訳だからいいとは限らない、という部分もすごく印象に残りました。「ダイジェストしたり、抄訳したりする人の力量が問われますが、ダイジェスト版は値打ちが落ちるように思うのは間違いです」「なんか完訳だけがいいかのごとき信仰がある。もうそろそろ気がつけばいいのにね」という言葉。...そっか、そうだよね! もちろん完訳には完訳の良さがあると思うんですが、いくら名作でも冗長な部分というのはあるもの。特に「1行につきいくら」で書いていたような作家さんの場合は。やっぱり抄訳でもいいんだー! と、読んでて嬉しくなっちゃいました。もっと小さな子供用のはともかく、少年文庫のはしっかりしてますもん。
数年前から少し再読したりもしてたんですけど、ああ、やっぱり改めて全部読みたくなっちゃいました。そして家にずらーっと揃えたい... って小学校の頃の私もそう思ってたし、今の私もそう思ってるわけで... なんだか人間として全然進歩してないような気がしてきましたよ。(爆)(岩波少年文庫)
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読売新聞の書評委員を2年、朝日新聞で4年、そして現在再び読売新聞で4年目、という川上弘美さんが新聞紙上に書いた書評が中心となった本。川上弘美さんのお好きな本、全144冊が紹介されていきます。
書評集や読書案内って、いくつかパターンがあると思うんですよね。真っ先に出てくるのはやっぱり「そこに紹介されてる本を全てを読みつくしたくなるもの」。私にとっては、石堂藍さんの「ファンタジー・ブックガイド」(感想)がこれに当たります。実際、ここに紹介されてる本はかなり読みました。全部で400タイトルぐらい紹介されてるので、まだまだなんですけどね。石堂藍さんと東雅夫さんの「幻想文学1500ブックガイド」(感想)も、どんどん読みたくなる本。こちらは、私があまり得意ではない分野のも紹介されてるので「全部読みたい!」とまではいかないんですが。そして先日読んだ小川洋子さんの「心と響き合う読書案内」(感想)の場合は、「未読の本が読みたくなるのはもちろん、既読の本ももう一度読み返したくなるもの」。よく知ってるはずの本でも、今の自分ならどう感じるんだろうって読み返したくなっちゃう。こういうのもとても素敵ですよね。
「既読の本について考察が深まって面白いもの」もありますね。紹介されている本を読んだ後で、そのことについてのページを繰りたくなるような本。水村美苗さんと辻邦生さんの往復書簡「手紙、栞を添えて」(感想)や、須賀敦子さんの「本に読まれて」(感想)がそういうタイプ。この手の本は、未読の本のところに差し掛かると、自分が読んでいないことがものすごく悔しく感じられてしまいます。私も早く読んで、このページを読み返したい!と焦ってしまうー。そして自分がその本を読んでから該当部分を読み返すと、ずしんずしんとくるタイプ。
逆に「未読の本も既に読んだ気になって満足してしまうもの」もありますね。例えば河合隼雄さんの「子どもの本を読む」(感想)「ファンタジーを読む」(感想)がそうでした。「ファンタジーを読む」で紹介されてる本はほとんど既読だったから良かったんですけど、「こどもの本を読む」は半分ぐらいで...。河合隼雄さんの心理学者の視点ならではの深い解釈がとても魅力的で、すごく興味深く読んだんですが、未読の本も既に読んだような気がして満足してしまい...。
この川上弘美さんの書評集は、私にとって「既に読んでいる本についてはとても楽しく興味深く読んだけれど、あまり新たに読みたいという気持ちにはさせないもの」でした。決して面白くなかったわけではないのです。それどころか、すごく面白かったんですよー。川上弘美さんなりの「読み」がすごく興味深かったし、特に既読本に関しては「なるほどな」と思わされる部分も多かったし、自分がうっすらと思っていたことをそのまま言葉にしてもらえたような快感も。でも、未読本に関しては、なんだかまるでその本をお題に書いたエッセイを読んでいるような感覚だったんですよね。川上弘美さんがあとがきで「取り上げた本を読んでいない読者の方に、ほとんどわからないようなことを平気で書いていることにも、驚いた」と書いてらっしゃるんですけど、もしかしたらそこに通じるのかもしれません。きっと、作家としての川上弘美さんの作品を追い続けているファンの方にとっては、どれもこれも読みたくなるんだろうな、川上弘美さんらしい文章に浸ってるだけでも幸福感を感じるんだろうなと思いつつ...。いえ、私も川上弘美さんの作品は好きなんですけどね。
「川上弘美書評集」とあるし、これは確かに書評集なのかもしれません。が、私にとっては書評というよりも川上弘美さんのエッセイを読んだような気分になった1冊。分厚い本なのにその厚みを感じさせない、素敵なエッセイ集でした。...読み方、間違えてる?(朝日新聞社)
+既読の川上弘美作品の感想+
「古道具中野商店」川上弘美
「大好きな本 川上弘美書評集」川上弘美
(Livreに「神様」「なんとなくな日々」「センセイの鞄」「パレード」の感想があります)
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未来に残したい文学遺産を紹介する、という趣旨のTOKYO FMのラジオ番組「Panasonic Melodious Library」を書籍化したもの。共通点は「文学遺産として長く読み継がれてゆく本」という一点のみで、古今東西の文学から様々な作品が選ばれています。そして本を選ぶ時に最も配慮したのが季節感だったそうで、そのまま春夏秋冬の4つのブロックに分けて、全52作が紹介されていきます。
国内外を問わず様々な本が、小川洋子さんの柔らかで穏やかな語り口で紹介されていくのが素敵です~。有名な本が多いので、本好きさんにとっては「あ、知ってる、それ読んだ」という本も多いでしょうし、読んでなくても題名は知ってる、という本が多いはず。私自身も既読の本がすごく多かったんですが、それでも色々な発見がありました。
例えば「秘密の花園」や「モモ」みたいに、私自身子供の頃に大好きだった本で、比較的最近に読み返している本は、小川洋子さんの書かれていることがほんと「分かる分かる、そうなのよね」という感じだし、例えば「ラマン」や「悲しみよ こんにちは」みたいに、まだ小娘(笑)だった頃に読んだきりの本は、今の自分ならどう読むのかなと思って新たに読み返したくなったし... この手が一番多いかも。(笑) そして気になりつつも何となく読んでいなかった作品は、私も読んでみたくてうずうず。
どれも印象的だったんだけど、特に印象に残ったのは「アンネの日記」でしょうか。小川洋子さん自身、アンネと同世代の中学の頃に読んだ時はあまりピンと来なくて、でも17~18歳の頃に読んだ時にはすっかり引き込まれたのだそう。ああ、分かる...! 私も、外国の女の子は日本の女の子よりずっと大人だとは聞いてたけど、これほどだったのかーなんて思った覚えがあります。(私自身が標準よりも子供っぽかったせいもあるんだけど) そしてアムステルダムのアンネの隠れ家を訪ねた時のエピソードに、小川洋子さんの思い入れがしみじみと感じられました。あと、小川洋子さん自身が母としての視点で読んでらっしゃる部分もとても印象に残りました。「窓ぎわのトットちゃん」のお母さんのはからい、「銀の匙」の伯母さんの包み込むような暖かさ、「流れる星は生きている」の最後の母親の安堵などなど。
斬新で鋭い視点に感服させられるというのではなくて、同じ感じ方に共感したり、また新たな一面を教えてもらったりという、もっと身近で親しみやすい読書案内。小川洋子さんご自身の立ち位置が、読者ととても近いのがいいんですよね。1人の作家としての視点もとても興味深いものでしたが、作家である以前に1人の読者として本を楽しんでらっしゃるのがとても伝わってきます。そして、長く残っていく文学作品というのは様々な面を持っているもの。同じ人間が読んでも、経験値や立場の変化でその都度新たな発見があるもの。だからこそ、その作品は時代を超えて残っていくんだと思います。私も小川洋子さんのように、そういった文学作品とは息の長い付き合いがしたいな、と改めて感じました。
ラジオでは紹介した本に因んだ楽曲を3曲ずつ放送していたのだそうで、その曲の一覧も巻末に紹介されてました。これまた多岐にわたったジャンルから選曲されていて、ちょっとした意外性が楽しいです。(PHP新書)
+既読の小川洋子作品の感想+
「寡黙な死骸 みだらな弔い」小川洋子
「沈黙博物館」小川洋子
(Livreに「偶然の祝福」「博士の愛した数式」の感想があります)
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「志は高く心は狭い」小娘のための読書スタイル、文藝ガーリッシュ。今度は「毒と蜜」の世界文学編です。感想はのちほど。(河出書房新社)
+既読の千野帽子作品の感想+
「文藝ガーリッシュ」千野帽子
「世界小娘文學全集 文藝ガーリッシュ舶来編」千野帽子
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副題は「おしゃれ古本ガイド」。先日sa-ki さんに教えて頂いた本です。
仕事部屋に大きめの本棚が1つしかないという山崎まどかさん。多少大きめだったとしても、本好きさんの本棚なんてすぐ埋まってしまうもの。じきに1冊入れようとするたびに1冊抜かなければならなくなり、抜いた本は人にあげたり、古本屋に売ったり。そして1冊買うたびに1冊抜く、を繰り返してるうちに、気づけば本棚に残る本は古本ばかりだったといいます。古本ではなかったとしても、古本と並べても違和感のないような本。誰かに読まれて自分のところに巡ってきた本が大好きだという山崎まどかさんの、古本ガイドであり本棚紹介でもある本です。
「ブック・イン・ピンク」というタイトルですが、中身はピンク、レッド、ブルー、ブラウン、ブラックの5章。
ピンク...「おいしい話に目がない人の本棚」「ワードローブの本棚」「読書のためのレコード・ライブラリー」
レッド...「乙女のための本棚」「パジャマ・パーティみたいな本棚」「黒い服を好む人のための本棚」
ブルー...「フォアレディースの本棚」「遠くに思いをはせる本棚」「スラプスティックな本棚」
ブラウン...「ボーイフレンドの本棚」「観賞用本棚」
ブラック...「ポップコーン・ラヴァーのための本棚」「夢見がちな人のための本棚」「静かな生活のための本棚」
このカテゴリ分けがまたいいんですよねえ。素敵。可愛い。乙女だわ!
そしてこういう読書ガイドって、書いてる人と自分とのちょっとした重なりが重要ポイントですよね。全部重なってたら新鮮味がないし、全然重なってないのもちょっとね。たとえ1冊でも「コレが出てきたらおおっ!となる」本もありますし、その本を選んでるってだけで信用したくなっちゃうこともあるんですけど、1冊だけじゃあただの偶然かも。そんな本が2冊3冊出てきたら「もしや...」「コレはいけるかも!」...ブックガイドって、そんな風に判断してるような気がします。ちょっぴり重なりつつ、でも知らないのもいっぱい、というのが一番嬉しい。もちろん、コレが入ってるのはちょっと、ってこともありますけどね。(笑)
で、この本はそういう風に「お!」と思う本が、思わぬところに潜んでました。そしてその登場する具合が、私にとってはまたツボだったんです。そもそも「おいしい話に目がない人の本棚」からして、懐かしい本+今持ってる本がずらっと並んでるんですもん。こんな風に並んでると、周りの本も全部読んでみたくなっちゃうじゃないですか。でも知ってる本がいっぱいあるのは、そこだけ。しばらく知らない本が続いて、興味のないジャンルなんかもあって、少しテンションが下がり気味になってきた頃に、また「おおっ!」という本が登場する... これが個人的に絶妙で。しかも山崎まどかさん、先日「乙女日和」を読んだ時にも思ったんですが(感想は書いてません)、本だけでなく映画とか音楽の知識もすごく豊富な方なんですよね。
この本自体が古本でしか入手できなくなってるようなんですが(笑)、探して買っちゃう!(晶文社)
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読売新聞に連載されていたというファンタジー&SF作品の読書案内。「小谷真理のファンタジー&SF玉手箱」からの改題。
語り口からすると小中学生辺りの子供が対象としか思えないんですが、挙げられている作品は大人でも楽しめる作品ばかり。むしろ小中学生にはちょっと手ごわいんじゃ... という作品も混ざっているので、高校生辺りが対象なのかな? ファンタジーやSFの中でも幅広いジャンルから満遍なく選んでいるという印象です。私はファンタジーはともかくとしてSF作品には疎いんですけど、そんな私でも題名を知っている作品ばかりですから、かなりの名作・定番作品のラインナップとも言えそう。
どれも平易な語り口での紹介なのですが、それだけにその本の良さを素直に表しているように思います。そしてポイントを鋭く突いていますね。例えば超定番の筒井康隆「時をかける少女」。これはラベンダーのような香りと共にタイムスリップしてしまうという話。
ラベンダーは、香水に使われる植物の名前ですから、なんだかちょっと大人っぽくてロマンティックな印象がありますね。未知の世界に足をふみこんでしまった少女の冒険物語は、はじめて大人の世界をのぞきこんでしまったときの、あの胸がときめくような、高揚感をもっています。大人になってから昔をなつかしむときには決まって、青春時代の思い出がいちばん強烈に思い出されますから、時間小説と青春小説が重なりあうのはそんなに不思議なことではないのでしょう。子どもから大人になるということ自体が、時間の区切りをジャンプすることなのかもしれませんね。
確かに私もこのラベンダーという言葉にとても惹かれた覚えがあります。この本を読んだ小学生の頃は、ラベンダーの香りなんて知らなかったんですが、知らないなりにも、確かに大人っぽくてロマンティックなイメージがあったし、確かにそういう香りを感じてワクワクしてました。...この本を読んでると、そういう素直なわくわくドキドキ感をいつまでも大切にしたいものだなあと改めて実感してしまいます。
大野隆司氏の猫版画も、それぞれの本の雰囲気がよく出ていて楽しいです。(中央公論新社)
+既読の小谷真理作品の感想+
「ファンタジーの冒険」小谷真理
「星のカギ、魔法の小箱」小谷真理
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色んなところに、今年は幻想文学を読みたいです~と書きまくってる私ですが、その指針にしようと思ってるのがこの本です。世界を「イギリス」「アメリカ」「フランス」「ドイツ」「中国」「ロシア」「東欧」「南欧」「ラテンアメリカ」「その他」という10の地域に分けて、その中で「暗黒」「異界」「怪奇」「綺想」「機械と無機物」「幻視と狂気」「神秘の探求」などなど... の項目別に、10作品ずつ紹介してる本です。(ちなみに日本編はありません)
幻想文学には元々すごく興味があったし、石堂藍さんの「ファンタジー・ブックガイド」には日頃とってもお世話になってるので、この本もちょっと前に買ってたんですけど、あまりきちんと見てなかったんです。紹介されてるのが全部で1500作品、というのにもちょっと圧倒されてたし。でも今回パラパラとめくっていたら、もうどれもこれも面白そうで読みたくなってしまって、困ってしまう! 気になる本が大量すぎて、リストを作ることすらできません。それぞれの本の紹介はほんの数行なのに、なんでこんなに読みたくなるツボを押さえてるんでしょう! しかもこの1500作品を選出するために、お2人は一体何冊の本を読んでらっしゃるんでしょうか!
この中で私が読んでるのはざっと200作品強といったところみたい。まだまだ1300作品の本が私を待っているというわけですね。まだ私が知らなかった神話とか叙事詩も見つけたので、これはぜひがんがん読んでみたいと思います。
ああ、今年1年でどれだけ読めるかしら。今から楽しみ!
つい、このブログのカテゴリにも「幻想文学1500」というのを作ってしまいましたよ。(ついでに「ファンタジー・ブックガイド」も) 前のブログの方にはタグをつけてみました。コチラ。「ファンタジーブックガイド」の方はコチラ。よろしければ参考までに。(国書刊行会)
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前記事の「たのしく読める英米幻想文学」と同じシリーズ。
そちらの記事で、最初の3章「古代・中世の英詩」「バラッドおよび物語詩の系譜」「聖書と神話と英語の詩」限定で読んでみたいーと書いてたんですが、早速図書館で借りてきてしまいました。そして最初の3章はじっくりと、後はさらっと...(笑)
要は叙事詩関係でめぼしい作品で読み落としてるのはないかというのが確認したかったんですが、とりあえず基本は押さえているようです。「ベーオウルフ」「ガウェイン卿と緑の騎士」「農夫ピアズの夢」「カンタベリー物語」「妖精女王」「失楽園」... この本ではイギリス物しか分からなかったので、後はフランス・ドイツ辺りを確認したいところ。
以下、「バラッドおよび物語詩の系譜」というコラムのメモ
バラッド(Ballad)...口誦で伝えられてきた民族の文学的遺産。最盛期は15世紀。1400年頃までは儀式に伴う歌謡として歌われていたが、その後吟遊詩人(Minstrel)や吟誦詩人(Bard)らによって語られるものとなる。16世紀以降しばらく廃れていたが、やがて文学的に再評価されるようになり、ウォルター・スコット「スコットランド国境地域の吟遊詩」が生まれ、18~19世紀のロマン派の詩人たちによって文学としてのバラッドが書かれるようになる。コールリッジ「老水夫の歌」、キーツ「つれなきたおやめ」など。チャイルド編「イングランドおよびスコットランドの民衆バラッド集」が口誦バラッドの純粋性を伝えるものとして貴重。
物語詩...民族起源の古代詩のほとんどが物語詩。中世では、チョーサー「カンタベリー物語」「トロイラスとクリセイデ」、その後もアーサー王と聖書と神話の物語を原型とする作品が多く作られる。「アーサー王の死」、「ガウェイン卿と緑の騎士」、スペンサー「妖精女王」、テニスン「アーサー王の死」「国王牧歌」、マシュー・アーノルド「トリスタンとイゾルデ」、ウィリアム・モリス「グゥイネヴィアの弁明」、スウィンバーン「ライオネスのトリスタン」など。
バラッドと物語詩は重なる部分もあるので、はっきり区別するのが難しいです...。どちらも好きなんだけど、より好きなのは物語詩の方なのかも。私にとって一番のポイントとなる神話やアーサー王伝説はこっちに含まれるようですしね。
モリスの「グゥイネヴィアの弁明」は、以前人さまにお借りした「ユリイカ」で読んだことがあるんですが、ほんと素敵でした~。普通の本にまとまっていたら欲しいんだけど、ないのかなあ。(ミネルヴァ書房)
かつて文学(物語)といえば幻想文学のことでした。もちろん当時は、それらの物語を語り伝えた人びとも、それらに耳を傾け楽しんでいた人びとも、それらの物語が「幻想文学」であるなどとはつゆ考えたこともありませんでした。そのことを考える必要がなかったのは、「幻想文学」とわざわざ決めつけなくとも、物語といえばすえにそうしたものだったからです。(はしがきより)
そんな「幻想文学」を幻想文学と意識させるようになったきっかけは、18世紀初めの英国でのリアリスティックな小説の登場。そういった小説の台頭で、一旦は幻想文学は片隅に追いやられ、廃れたかのように見えるのですが、逆にそういった小説の登場が文学の「幻想性」を意識させる結果にもなったのだとか。
ということで、18世紀~20世紀に英米で登場した幻想文学を120作品紹介している本です。
私が大好き~な路線の本も結構紹介されてるし、これは他の作品もかなり期待できるかも? と、興味津々借りてきたのですが... 結論から言えば、期待ほどではありませんでした。なんせあらすじ紹介が長いんです。しかも長い割に面白くない! 多分ラインナップ的にはすごくいいのではないかと思うので、この辺りが、もっと簡潔にまとまってると、もっと楽しかったのではないかしら、と思うのだけど。1作品につき見開き2ページ使ってるけど、これなら1ページずつでも良かったかも。...ということで、興味を惹く本はいくつか出てきたけど、読んでいてそれほど「あれもこれもそれも読みたいー!!」と焦るような気持ちにはなりませんでしたよ。うーん、残念なような... いや、この時期に積読本が増えなくて逆に良かったかも... というのは、負け惜しみかしら。(笑)

どうやら「たのしく読める」シリーズというのがあるみたいですね。「たのしく読めるイギリス文学」「たのしく読めるアメリカ文学」「たのしく読める英米児童文学」辺りは、まあ、よくあるパターンなんだけど、「たのしく読める英米演劇」「たのしく読めるネイチャーライティング」なんていうのがあるのには、ちょっとびっくり。あと「たのしく読める英米女性作家」「たのしく読める英米の絵本」なんていうのもありました。
私が一番見たくなったのは、「たのしく読める英米青春小説」「たのしく読める英米詩」の2冊。「英米青春小説」でどんな作品が登場してるのか見てみたいし、「英米詩」は最初の3章が「古代・中世の英詩」「バラッドおよび物語詩の系譜」「聖書と神話と英語の詩」なんです。この3章限定で読んでみたいー。(ミネルヴァ書房)
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「偏愛」の条件は、まず再読できること。「二度目に読む時に、いい人、好きな人と再会するのに似た懐かしさがあって、相手の魅力も一段と増したように思われる」、そんな作品が偏愛できる作品。この本に取り上げようと思った作品は全て事前に再読されたそうです。「再読しようとしてもできなかったものは、偏愛に値しないもので、ここに取り上げるのをやめることになります」という拘りを見せる読書案内。
急逝した作家、倉橋由美子。実は作品を読むのは初めてです。こういう文学系の読書案内では、既読作品が片手に収まってしまうことも多いんですが、意外と(!)読んでる作品が並んでいたので、読む前からちょっと親近感~で楽しみにしていたんです。
この本に紹介されているのは全部で39作品。そこここで「おおっ」とか「なるほどな~」って表現が色々あって面白かった! 読みたい本がまたどーんと増えちゃいました。面白い表現の中でも一番印象に残ったのは、内田百閒「冥途・旅順入城式」の章の「その文章は食べだすとやめられない駄菓子のようで、しかもそれが「本邦唯一」という味ですから、雑文の断片まで拾って読み尽くすまではやめられないのです。」という文章。駄菓子ですって! でも、ああー、確かにそうかもしれないですね。
こういう読書案内で自分が読んでる本が出てくると妙に楽しく読めるのはいつものことなんですが、既読の本をどれもこれも再読したくなる読書案内って意外と珍しいかもしれませんー。比較的最近読んだ「高丘親王航海記」でもそうなんだから(2年ちょっと前に読みました)、あーもー仕方ないなー。って感じですが。コクトーもカミュもカフカも漱石も再読したーい。もちろん未読の本も1冊残らず読みたいわー。(講談社文庫)
+既読の倉橋由美子作品の感想+
「偏愛文学館」倉橋由美子
「ポポイ」倉橋由美子
「夢の浮橋」倉橋由美子
「城の中の城」倉橋由美子
「交歓」倉橋由美子
「夢の通い路」倉橋由美子
「よもつひらさか往還」倉橋由美子
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プロのピアニストでありドビュッシー研究家でもあるという青柳いづみこさんのエッセイ。「モノ書きピアニストはお尻が痛い」は、音楽雑誌などに掲載された文章を集めたもの。「ショパンに飽きたら、ミステリー」は、古今東西のミステリ作品に描かれた様々な音楽シーンを、鋭い視点で解説したもの。こちらは再読です。
以前読んだ「ショパンに飽きたら、ミステリー」がすごく面白かったので、「モノ書きピアニストはお尻が痛い」も楽しみにしてたんです。でも「ショパンに飽きたら~」が本を読みたくて堪らなくなる本だとすれば、「モノ書きピアニストは~」は音楽が聴きたくて堪らなくなる本かな。一番よく話がでるのはやっぱりドビュッシー。でもドビュッシーのピアノ曲っていったら、私は「2つのアラベスク」しか弾いたことないし、あんまりよく知らないのです。ちょっと勿体なかったかも。
面白いなと思った部分はいくつかあったんですが、読み終わってみて一番印象に残ってるのは、水の女の文学とその音楽の話や、ラヴェルとドビュッシーの話とか、その辺り。右に画像を出したのは書籍の「水の音楽」なんですが、これとセットでCDの「水の音楽 オンディーヌとメリザンド」も出てるんですよね。水をテーマにドビュッシー、リスト、ラヴェル、ショパン、フォーレを弾いたという1枚。青柳いづみこさんのピアノ、聴いてみたいなあ。「ピアノは、水に似ている」と書いてらっしゃるんですが、ピアノで水の音を表現できるのは、既にに相当練習を積んでる人だけですよね。「リストのダイナミックな水は、指のバネをきかせ、ひとつひとつの音の粒をきらめかせる。そこに手首の動きを加えると、ラヴェルの神秘的な水になる。対してドビュッシーの澱んだ水を弾くときは、指の腹を使い、すべての響きがないまぜになるように工夫する」そうですけど!
あ、↓の部分も面白いなと思ったところ。
楽器の奏者には、楽器特有の顔がある。小さいころからたくさんの音を操る訓練を受けてきたピアノ科は、頭脳明晰学力優秀で、なんでもてきぱきやっつける。いっぽう、ある程度の年齢になって始める管楽器科は、学校の勉強はイマイチかもしれないが、楽器に対する愛情は群を抜き、変に管理されていないのでその分人間的だ。その違いが、顔や態度に出る。(P.108)
あー、分かる気がする!(笑)
そして続けて「ショパンに飽きたらミステリー」も再読してしまいました。やっぱり面白い~。1年中実技レッスンや実技試験、コンクールやオーディションなどに神経を尖らせてる演奏科の学生にとって、ミステリは手軽で最上の気分転換で、クラシックの演奏家にはミステリファンが多いのだそう。言われてみると、私の周囲で声楽やピアノをやってる人にも、確かにミステリ好きが多いです。でもコンサート前のピアニストの気分はほとんど殺人者って...(笑)
一番好きなのは、ヴァン・ダインのシリーズ物の主人公ファイロ・ヴァンスのピアノの腕前に関する話。「カナリヤ殺人事件」ではブラームスの「カプリッチォ第一番」という曲を弾いているヴァンス。それを読んで「素人としてはよく弾けるほうだろう。私立のお嬢さん音大くらいには合格するかもしれない」と書いてます。でもこれには続きが。
...と思って「ドラゴン殺人事件」を読んだら、これがすごい!「未解決の知的問題に深くとらえられた」ヴァンスは、苦悩に満ちた様子で、夜中の三時に、かのベートーベン至高のソナタ第二十九番「ハンマークラヴィーア」の長大なアダージオを弾きはじめるのである。お嬢さん音大だなんて言って、ゴメンナサイ。(P.33)
こんな調子で進んでいくんですよ。楽しいです♪(文春文庫・創元ライブラリ)
+既読の青柳いづみこ作品の感想+
「モノ書きピアニストはお尻が痛い」「ショパンに飽きたら、ミステリー」青柳いづみこ
「水の音楽 オンディーヌとメリザンド」青柳いづみこ
「ボクたちクラシックつながり」青柳いづみこ
「ピアニストは指先で考える」青柳いづみこ
「指先から感じるドビュッシー」青柳いづみこ
「ピアニストが見たピアニスト」青柳いづみこ
「六本指のゴルトベルク」青柳いづみこ
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柳田邦男さんは、人は人生において3度、絵本や物語を読み返すべきなのではないかと言います。まず最初に読むのは、自分自身が子供の時。次は、親になって子供を育てる時。そして3度目は、人生後半になってから。それは、人生後半になってからでないと、自分の生き方に本当に結び付けて読み取るということがなかなかできないから。絵本というものは幼い子供のためにあるのだけではなく、魂の言葉であり、魂のコミュニケーションでもあるもの。様々な体験を通して人生を生きてきた大人だからこそ得られるものがあり、内容は年をとると共に味わい深くなるものなのです。
これも前のエントリの「はじまりの記憶」と同じく、つなさんに教えて頂いた本。(記事)
息子さんの早すぎる死という経験を経て、絵本との再会をしたという柳田邦男さん。絵本が小さい子供のためだけのもののように思われているのは勿体ないと私自身も常日頃から思っていたので、ここに書かれていることにはとても賛同したし、柳田邦男さんのような方が絵本の素晴らしさに気づいているというのが、何よりも嬉しいことでした。そしてここに紹介されているエピソードが、またいい話ばかりなんです~。「スーホーの白い馬」を巡る鎌田俊三氏と「やっちゃん」のエピソードは、自分自身が幼い頃にこの本と出会った時のことを思い出させてくれるし、本当に心を打つもの。いせひでこさんの「1000の風 1000のチェロ」の読み聞かせ公演も、星野道夫さんの写真絵本「森へ」と「クマよ」も、乾千恵さんの書を本にした「月人石」のエピソードも、どれもそれぞれにとても印象的で、ぜひ本を手にとってみたくなります。この本には、「おとなにすすめる絵本」として計51冊が紹介されているし、それ以外にも沢山の絵本が紹介されているので、ぜひ絵本から遠ざかっている人に参考にしてもらいたいです。という私は、大人の本も児童書も絵本も、読みたい本なら手に取る方なんですけど、やっぱり絵本というと子供の頃に出会った本が中心... 知らない本も色々あったので、ぜひ読んでみたくなりました。
この柳田邦男さんの本に付け加えたいことがあるとすれば、最初の絵本の出会いの時、つまり子供の頃のことですね。早々と絵本を卒業してしまう子供もいると思うし、図書館にいると、年齢よりも大人びた本を借りる子も結構いるんです。かく言う私も、その傾向はあったのだけど...。でも、いったん絵本から離れてしまうと、再び絵本を手に取る機会ってもうなかなか来ないもの。大人になってからだからこそ、という絵本との出会いももちろんあるけど、子供だからこそ、という出会いは本当に大きいと思うんですよね。なるべくなら、最初の出会いの時代にじっくりと絵本と向き合って欲しいなあ、周囲もそういった態勢を整えてあげられてたらいいよなあ、と思います。(岩波書店)
「おとなにすすめる絵本」より、前から読みたいと思ってた絵本。左の2冊はもう借りてきてるんですけどね。

あれ、「おとなにすすめる絵本」にはこれが入ってないのね。でも、これも読みたい。

+既読の柳田邦男作品の感想+
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「砂漠でみつけた一冊の絵本」柳田邦男




