Catégories:“歴史・時代小説”

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「結構元気に病人をやっている」(笑)若だんなのシリーズ第4弾。やっぱり畠中さんはこのシリーズが一番好き! そりゃ4作目ですから「しゃばけ」や「ぬしさまへ」の頃の新鮮味は薄れてしまってるし、若だんなのお兄さんの話がすっかり落ち着いて以来、特に大きな波風も立たないんですけど、でもマンネリ化を恐れずにこの路線を追求していって欲しいなあ。
今回は屏風のぞきや鳴家といった、今まで脇でいい味を出していた妖(あやかし)が中心となった話があったり、5歳の頃の若だんなのエピソードなんかもあったりして、相変わらずのほのぼのぶり。でも突然、「吉原の禿を足抜けさせて一緒に逃げることにしたよ」などと爆弾発言をしてくれたりします。若だんなが駆け落ち? しかも吉原の... ええっ?!
そんな中で、今回一番気になってしまったのは、初登場の妖(あやかし)「狐者異(こわい)」。他の妖とは違って、人間はもちろんのこと、妖ともまじわらない狐者異は、仏すらも厭い恐れたという妖なんですよね。それがなぜなのか誰も教えてくれないし、生れ落ちた瞬間から、他の者たちのつまはじきとなる運命。受け止めきれた者がいないというこの狐者異に、若だんなが手を差し伸べるのですが...
一応今回の話はこれで終わりなんだけど、この狐者異、また登場しそうな気がします。そしてその話こそが、このシリーズ全体の山場となりそうな予感...。(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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舞台は平安時代。自分のせいで異母妹の比右子を死なせてしまい、悶々とする12歳の小野篁が主人公。最後に一緒に遊んでいた荒れ寺へと向かった篁は、ふとした拍子に、比右子が転落した古井戸に吸い込まれてしまいます。気がつくと、そこは石ころだらけの河原。そこには大きな河と立派な橋があり、行くあてもない篁はその橋を渡り始めるのですが... ふと気付くと篁を食べようと狙っている鬼がいたのです。

以前、たまきさんに薦めて頂いた本。児童書です。
昼は朝廷に仕え、夜になると冥府に通って閻魔大王のもとで役人として働いていたなんて伝説のある小野篁の少年時代の物語。妹と恋仲だった、なんて話もありますね。大人になった後の篁は有能な官僚として有名なんですが、ここに描かれた少年時代の篁には、その片鱗はまだ全然ありません。異母妹の死をいつまでもくよくよと悩んで、生きていく気力も半分失っているような状態。鬼に襲われたところを坂上田村麻呂に危機一髪助けてもらうのに、またしても古井戸の中に舞い戻ってしまう始末。
これは、そんな篁が立ち直っていく成長物語なんですが、私がいいなあと思ったのは、3年前に死んでいるはずの坂上田村麻呂。橋の向こう側に渡ってしまいたいのに、帝から「死後も都を守れ」なんて、武装した姿で立ったまま葬られたせいで、どうしても向こう側に行けないんです。立派な武人だから、帝の言葉通りに京の都をしっかり守ってはいるんだけど、でも本当は向こう側に行きたいんですよね。友人知人もどんどん橋を渡ってしまうのに、なぜ自分だけが... と思いつつ、でも自分にできる精一杯のことをしている田村麻呂の姿がなんとも哀しくて。
そんな田村麻呂の姿もそうだし、田村麻呂に角を1本取られたせいで鬼でもなく人間でもない状態になってしまった非天丸の姿もと篁と重なって、なんとも切なかったです。それだけに、異母妹の死を乗り越えた篁の姿が一層感慨深く... うーん、いい話だわー。(福音館書店)

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8歳の時に会って一目惚れした許婚が数ヵ月後に死亡。そして9年後、17歳になった芳娥は許婚の死は殺人だったことを知ることになり、犯人を探し始めます。許婚は当時の宋の宰相・王安石の長男で、当世きっての秀才と名高かった人物。王安石の推進する「新法」にも大きく貢献していました。犯人は「新法」瓦解をたくらむ、旧法派の大物・司馬公と思われるのですが...。

森福都さんの新作。森福さんお得意の中国を舞台にしたミステリです。(嬉)
王安石や司馬公は実在の人物だし、新法派・旧法派の争いも本当にあったんですね。宋代の神宗~哲宗皇帝の時代が舞台。
中国冒険活劇... ってほどではないんですが、剣戟場面もありますし、芳娥自身がかなり長身の男装の麗人なので、司馬公に近づくために大人気女優・月英の助けを借りて偽劇団を作ってみたり、その後の逃亡劇や幻の漆黒泉探し、そこに隣国・西夏の存在や幻の武器開発も絡んできて、なかなか盛りだくさんな華やかさとなってます。芳娥の許婚を殺した真犯人は本当に司馬公なのか、それとも... と、みんなが疑心暗鬼になってくるのも楽しかったし。これで許婚の若い頃にそっくりという少游がもうちょっと活躍してくれれば、もっと良かったんですけどねえ。
でも実は犯人が誰かとか黒幕が誰かとかそういうのよりも、漆黒泉の正体にびっくりでした、私。そ、そういうことだったのか...!
いえ、これは別に秘密でもなんでもなくて、物語の前半で分かっちゃうんですけどね。なるほどねえ...。(文藝春秋)


+既読の森福都作品の感想+
「琥珀枕」森福都
「漆黒泉」森福都
「狐弟子」森福都
「楽昌珠」森福都
「肉屏風の密室」森福都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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高橋克彦さんの陸奥三部作の3作目。ちなみに三部作の1作目は、奈良時代に朝廷に反旗を翻した蝦夷の英雄・アテルイを描いた「火怨」(感想)、2作目は奥州藤原氏を描いた「炎立つ」で、こちらは手元にはあるんですが未読。大河ドラマにもなりましたよね。あと北方謙三さんの南北朝の動乱期の陸奥を制した北畠顕家「破軍の星」(感想)も、陸奥が舞台でした。時代はそれぞれ異なるものの、陸奥の歴史がだんだん繋がってきて楽しい! やっぱり歴史物は読めば読むほど、繋がってきて楽しくなりますね。同じ時代のものを様々な角度から読むというのも大好きなんだけど、こうやって陸奥に拘ってみるのも楽しいなあ。

ということで、これは戦国時代の陸奥が舞台。戦国時代は昔から結構好きで読んでるので、今回はすんなりと入れました。(「破軍の星」はちょっと苦労したので...) 今回の主人公は九戸政実。名前は全然聞いたことがなかったんですが、南部一族で「北の鬼」と恐れられていた男なんだそうです。この人がかっこいいんですよー。武人としても一流でありながら、策士としても凄くって、敵の行動の裏の裏まで読んで大胆な策を打ち出していくんです。時には水面下でこっそり他の人間にその策を授けていたりして... まるでスーパーマンのような活躍ぶり。(笑) でもって、それがぴたりぴたりとハマっていくところが、読んでいて本当に痛快なんです。
物語前半は、南部一族の棟梁の座を巡っての内紛、後半は副題通り、「天」である秀吉に喧嘩をふっかけることになります。わずか5千の兵で立つという潔さもいいし、その少ない兵で10万の兵を自在に追い散らしてしまうとこもカッコいい。途中で政実が秀吉のことを、武者というよりもむしろ商人だと言うところがあったんですけど、本当にそうかもしれないですね。秀吉の戦巧者ぶりは有名だけど、わずか5千の兵に10万という力技を繰り出してくる辺り、札束で頬を叩いているようなものですものね。

ただ、棟梁争いをする三戸信直がもう少し大きく成長してくれたら良かったんですけど、その辺りだけはちょっぴり残念でした。最初は政実や弟の実親が信直の頭の良さを警戒してたし、かなりの曲者と言ってたはずなのに、気がついたら北信愛べったり。自分で考えることもしなくなっちゃう。途中、1人立ちしかけて、大きく成長したと言われてるのに、それも結局それっきり。私としては信愛失脚で、政実と信直との本気の対決を希望してたんですが。(^^ゞ

今度は「炎立つ」を読まなくちゃー。でも全5巻と長いので、ちょっと気合を入れ直してから取り掛かる予定です。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「火怨 北の燿星アテルイ」上下 高橋克彦
「天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実」1~3 高橋克彦
「炎立つ」1~5 高橋克彦
「風の陣」1~3 高橋克彦

+既読の高橋克彦作品の感想+
「白妖鬼」高橋克彦
「闇から招く声」高橋克彦
「鬼」高橋克彦
「空中鬼」高橋克彦
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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中国歴史小説の情報がたっぷり詰まったサイト小芙蓉城の冰児さんが、「風の王国」シリーズの地図を作ってらっしゃいました!(コチラ
「風の王国」は、唐の時代に李世民(太宗皇帝)の娘として吐蕃(チベット)へと嫁ぐことになった文成公主を描いた作品。(私の感想はココココ) コバルト文庫なんですが、しっかりと史実を捉えつつ、毛利志生き子さんなりの解釈で作り上げられた物語はなかなか読み応えがありますし、チベットといえばバター茶とヤクとダライ・ラマ... ぐらいの知識しかない私にとっては、風俗描写もとても興味深いんですよね。でも、大好きな中国物ですら大体の場所しか把握してないのに、チベットなんて...! 挿絵入りの人物紹介なんていらないから、地図が載ってたらいいのになあって思ってたんです。
当然、7~8世紀当時の資料なんていうのもなかなか残ってないわけで、作者の毛利さんはもちろんのこと、地図を作られた冰児さんも大変だったと思うのですが、ほんと嬉しい! 今後このシリーズを読む時は、この冰児さんの地図を参考にさせてもらおうと思ってます。今までも、特に最初の文成公主お輿入れの旅、吐谷渾の辺りがイマイチ掴みづらかったんですよー。地図があると、ほんと助かります。嬉しいなあ。


+シリーズ既刊の感想+
「風の王国」1~4 毛利志生子
「風の王国5 月神の爪」毛利志生子
「風の王国6 河辺情話」毛利志生子
「風の王国7 朱玉翠華伝」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国8 目容の毒」毛利志生子
「風の王国9 臥虎の森」毛利志生子
「風の王国 花陰の鳥」毛利志生子
「風の王国 波斯の姫君」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 初冬の宴・金の鈴」毛利志生子
「風の王国 嵐の夜」上下 毛利志生子
「風の王国 星の宿る湖」毛利志生子

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コバルト文庫から出ていた「かぜ江」シリーズの続編が、角川ビーンズ文庫から出てました。これは三国志を、孫策と周瑜の友情を中心に描いたシリーズ。コバルト文庫で三国志っていうのもすごいと思うんですが、これが意外としっかりとした作品なんですよね。しかも私の好きな周瑜が主役級で出てくるとあれば、やっぱりこれは読むしかないでしょう♪
ということで、2年半ぶりぐらいに読んだんですが... んんー、ちょっとパワーダウンかしら。話としては、コバルトの「約束の時」の直後から「旋風は江を駆ける」の直前辺りまで。あとがきを読むと、出版社を移して完全な続編を書くということで、かなり苦労されたみたいですね。確かにシリーズ物とはいえ、やっぱり角川ビーンズから出るのは初めてだから(しかもコバルトの方は絶版)、登場人物の紹介も最初からやりなおさなくちゃいけないし、シリーズのファンにもそれなりに読ませなくちゃいけないし、色々と大変なんでしょうね。でも、そういう迷いが作品に出てきてしまっているような...。直情型の孫策と冷静沈着な周瑜は相変わらずなんだけど、以前の熱さが感じられなかったのがちょっと残念。まだ本調子じゃないだけで、これからガンガン書いて下さるといいのですが!

この朝香さんの三国志は正史ベース。私が好きな北方三国志も正史ベース。「三国志演義」は実はそれほど好きじゃないし、やっぱりこれは、いつかはちゃんと正史を読んでみなくちゃいけないなあ。でも、正史はちくま学芸文庫から出てるんですけど、文庫なのに1冊1500円ぐらいするんですよね。しかも全8巻... うーん...(^^;。(角川ビーンズ文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「運命の輪が廻るとき」朝香祥
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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酒見賢一さんによる三国志。とは言っても決して真面目な「酒見三国志」ではなくて、私見入りまくり砕けまくりの読本と言った方が相応しいかも。でも酒見さん、「正史三国志」も「三国志演義」も漢字が難しくて読めなくて、適当に和訳された「三国志」をつらつらと眺めただけなんだそうですが... 本当に? その言葉が信じられないほど詳しいし、斬新な解釈や絶妙な突っ込みが満載です。
例えば、劉備の息子の劉禅が生まれる時に、母親の甘夫人が北斗を呑み込む夢をみたとか、白鶴が役所に来て40数回鳴いたとか、産屋に妙なる香りが満ちたとか結構な神秘現象が起きてるそうなんですけど、「凄まじい神秘現象のもとに生まれても駄目なヤツは駄目だという歴史的教訓を示すために書かれているのだとしか思われない」とか...(笑) もっと面白い部分もいっぱいあって、真面目な部分は真面目なんだけど、やっぱり可笑しい。後ろの方で紹介される英語版「三国志」なんて、もう! 全編通して三国志の舞台裏を覗いているような気分でした。考えてみれば、「陋巷に在り」でも、時々挟まれる薀蓄部分が凄く面白かったんですよね。
その酒見さんが「三国志」を初めて読んだのは、デビュー作の「後宮小説」が「シンデレラ+三国志+金瓶梅+ラスト・エンペラーの面白さ」と評されてたからなんですって。なんなんだ、その評価は。(笑)

でもこの1冊でまだあんまり進んでません。この本は500ページ弱なんですが、最後100ページぐらいでようやく三顧の礼が始まるし... しかも劉備ってば嫌々やってるもんだから、違う人をナンパ(?)したり、妙なのど自慢に参加(!)してしまったりとまあ... 別冊文藝春秋での連載が再開してるようなので、きっといずれは五丈原までいくんでしょうけど、「陋巷に在り」と同じように完結まで何年もかかっちゃうのかもしれないですね。分かりやすいから三国志入門編にも良さそうなんですが、でもやっぱりある程度知ってる方が面白いでしょうね。ただ、別に作中の孔明は「泣き虫弱虫」ではなかったです。子供の頃はともかく、大人になってからはむしろ宇宙的に変なヤツでした... 何でこんな題名にしたんだろう?
これで酒見作品はコンプリート。酒見作品はこれからも追いかけていきます~。(文藝春秋)


本当はものすごく海外物の気分なんですけど、先日図書館でいーっぱい予約を入れちゃったので、しばらく国内物が続きます。(せっかくの海外物の気分なのに勿体ない、もっと海外物中心に借りれば良かった) 図書館、行きたかったんですよー。もうほんと、すっかり禁断症状が出てました。(^^ゞ


+既読の酒見賢一作品の感想+
「陋巷に在り」1・2 酒見賢一
「陋巷に在り」3・4 酒見賢一
「陋巷に在り」5・6 酒見賢一
「陋巷に在り」7・8 酒見賢一
「陋巷に在り」9・10 酒見賢一
「陋巷に在り」11・12 酒見賢一
「陋巷に在り」13 酒見賢一
「語り手の事情」酒見賢一
「聖母の部隊」酒見賢一
「ピュタゴラスの旅」酒見賢一
「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一
「中国雑話 中国的思想」酒見賢一
Livreに「後宮小説」「墨攻」「童貞」「周公旦」の感想があります)

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