Catégories:“歴史・時代小説”

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小野篁と小野小町、そして在原業平を巡る伝奇小説。加門七海さんといえば、「大江戸魔方陣」とか「うわさの神仏」とか、若竹七海さんや高野宣李さんとの「マレー半島すちゃらか紀行」。ちょっと旅に出ればハプニングの連発で、でもそれを笑い飛ばしちゃうような感じの文章が多かったと思うんですが、こういう雅な和歌調の文体も書かれる方だったんですねえ。最初はちょっと入りづらかったんですけど、気が付いたらすっかりその世界に浸っていました。先日、お友達と話してた時に、本を「さらっと読み流す派」か「心の中で音読する派」かっていう話になって、まあ私は普段はさらっと読んでしまう派なんですけど、この本に関しては、ふと気付けば心の中で音読してましたし。そんな風に文章に浸りたくなる作品というのもいいものですねー。それと、謎が多いと言われている小野小町の設定にも意表をつかれました。こんな風に繋げてしまうなんて面白いなあ。(幻冬舎文庫)

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北森さんの作品は久しぶり。なかなか気分が乗らなくて積んだままだった本なんだけど、昨日の「警視庁草子」と登場人物がかなり共通しているようなので、今がチャンス!と選んでみました。明治12年に、後に「藤田組贋札事件」として知られる偽札事件の容疑で逮捕された大阪の豪商・藤田傳三郎の話。ミステリ風味なのかと思ったら真っ当な歴史小説だし、傳三郎の伝記的な作品かと思ったら、彼の影的な存在だった宮越宇三郎の話だったんですねえ。や、この宇三郎がいいんですよ。最初は「鬱陶しい人だな...」的視線で見てしまった宇三郎なんですが、中盤以降どんどん光ってきてびっくり。ほおぉ、これはよろしいですなあ。あ、この時代に活躍した高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤博文といった長州の志士たちも登場します。
で、この話自体もとても良かったんだけど、昨日の「警視庁草子」と比べると、これがまた面白いんですよね。同じ贋札事件、同じ下手人による事件が、描き方によってこうも違ってくるとは。私なんて、どれを読んでも「ほー、そうだったのか!」状態だから、どれも真実に見えてきて困っちゃう。歴史ミステリなんかでも、「それがきっと真実だろう」と思い込んでる作品が結構ありますしね。私のこの騙されやすさっていうのは、もしかしたら本(特にミステリ)を楽しむ上で最大の美徳かもしれないわっ。(←自虐的)(文春文庫)


+既読の北森鴻作品の感想+
「共犯マジック」北森鴻
「蜻蛉始末」北森鴻
「親不孝通りディテクティブ」北森鴻
「螢坂」北森鴻
「瑠璃の契り」北森鴻
「写楽・考」北森鴻
「暁の密使」北森鴻
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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 警視庁草子 下 [amazon] [amazon]
明治初期。まだ混沌とした時代を背景として、警視庁と元江戸南町奉行の面々の対決を描いた作品。いやー、この時代の政府の要人はもちろんのこと、有名人が多数登場、所狭しと動き回ってるのが凄いです。だってね、清水次郎長とその乾分の大政・小政、河竹黙阿弥、雲霧お辰に高橋お伝、山岡鉄舟、幼い頃の夏目漱石や幸田露伴、樋口一葉、少年時代の森鴎外、そして皇女和宮まで! 他にもまだまだ色んな人たちが表に裏に活躍するんですよ。まるで江戸時代から明治への時代の流れをフルカラーで見せられてるみたい。元江戸南町奉行が、「隅の老人--いや、隅の御隠居と呼んでもらおうか」と言っていたり(オルツィ!)、仕掛け人の話のところでご隠居が横を向いて「御免下され、池波正太郎殿」と言っていたり(笑)、しかもこーんなところに新撰組のあの人が!(ここで、大河ドラマでその役をやってた役者さんの顔がどどーんとアップになる) 森鴎外の初恋秘話やいかに?! もう虚実を取り混ぜて自由自在って感じ。山田風太郎って、ものすごい知識の人だったんだろうなあ...。誰が善で誰が悪ということもないのが、またいいんですよね。途中ちょっぴりダレた部分もあったんですけど(これはきっと私の知識不足のせい)、最後の追い込みがまた良かったです。色んな人の想いが切なかったなー。(ちくま文庫)


+既読の山田風太郎作品の感想+
「明治断頭台」山田風太郎
「警視庁草子」上下 山田風太郎
Livreに「魔界転生」の感想があります)

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「陋巷に在り」の次に何を読もう?ということで、「陋巷に在り」とちょっぴり共通点を感じる「鬼」を選んでみました。読む前は、去年読んだ「白妖鬼」に登場した弓削是雄の連作短編集かと思ってたんですけど、弓削是雄の話は5編中2編だけ。実際には、他にも滋岡川人や賀茂忠行、安倍晴明といった面々が登場して、もっと大きく平安時代の陰陽師たちが主人公といった感じですね。年代順に5編並んでいるので、それぞれの陰陽師たちの繋がりが分かるのも面白いし、1編目では少年だった弓削是雄が2編目では壮年になり、3編目で登場した賀茂忠行の息子が4編目で登場し、4編目ではまだ少年だった安部清明が、5編目では白髪のおじいさんになってたりするのも面白いです。
とは言っても、やっぱり弓削是雄だけの話が読みたかったなっていうのはあるんだけど(^^;。
陰陽師たちは、もちろん鬼の存在を絶対的に信じてるし、本当に鬼の仕業という怪異もあるんですけど、鬼の仕業に見せかけて悪事を行う人間も当然多いんですよね。5編共に、鬼の存在を通して人間の欲望や悪意を焙り出してるみたい。もしかしたら、そういった人間の負の感情が、鬼という形をとっているのかもしれないですね。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「白妖鬼」高橋克彦
「鬼」高橋克彦
「空中鬼」高橋克彦

+既読の高橋克彦作品の感想+
「闇から招く声」高橋克彦
「火怨 北の燿星アテルイ」上下 高橋克彦
「天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実」1~3 高橋克彦
「炎立つ」1~5 高橋克彦
「風の陣」1~3 高橋克彦
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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「陋巷に在り」もとうとう最終巻。「魯の巻」です。いやー、読んだ読んだ。これで案外あっさり終わってしまったのがちょっとびっくりだったんですが、やっぱり面白かったです。全13冊という長大な物語なんですが、結局、孔子が司寇職にいた3年間の物語だったんですね。びっくり。しかもこの作品を読む前は、儒教といえば、ひたすら祖先や年長者を敬い道徳を重んじて、孔子といえば「聖人」だったんですけど、この作品が物の見事に覆してくれました。史実を元にここまで壮大なファンタジーを作り上げるなんて、ほんと凄いや。呪術が当たり前に存在してたこの時代という設定が、またファンタジーなんですよねえ。酒見さんの作風にも良く似合ってたような気がします。(新潮文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「陋巷に在り」1・2 酒見賢一
「陋巷に在り」3・4 酒見賢一
「陋巷に在り」5・6 酒見賢一
「陋巷に在り」7・8 酒見賢一
「陋巷に在り」9・10 酒見賢一
「陋巷に在り」11・12 酒見賢一
「陋巷に在り」13 酒見賢一

+既読の酒見賢一作品の感想+
「語り手の事情」酒見賢一
「聖母の部隊」酒見賢一
「ピュタゴラスの旅」酒見賢一
「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一
「中国雑話 中国的思想」酒見賢一
Livreに「後宮小説」「墨攻」「童貞」「周公旦」の感想があります)

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舞台は18世紀のフランス、ルイ15世の時代。...と書くとまるで重厚な歴史物みたいなんですが、全然そんなことはありませんでした。だってね、この作品に登場する最初の台詞が、「--もうええっちゅうに」なんですよっ。それを言ってるのは、ジャック・カザノヴァ。ドン・ファンと並ぶ艶福家として有名なあのヒトです。舞台がフランスだから、カザノヴァの話すイタリア訛りのフランス語は大阪弁になっちゃうわけなんですねー。いや、もうなんてお茶目なんでしょ。それがまたこのカザノヴァのキャラクターにハマってて可笑しくて、ついつい勢いがついて一気読みしてしまいました。いやー、面白かった。
カザノヴァの他にも、女装の剣士デオン・ド・ボーモン(この人が主人公です)、ルイ15世、その寵妃・ポンパドゥール夫人、サン・ジェルマン伯爵、他にもこの時代の有名人が続々と登場して縦横無尽に駆け回ってるって感じで、歴史物らしい重みはやっぱり全然ナシ。ちょっと軽すぎるきらいはあるんだけど、でもその分テンポの良さは抜群! しかも史実は史実として、しっかりと流れてるんですよね。なんだか不思議。これでラストがもっと盛り上がってくれたら言うことなかったかも。
この作品は、第12回日本ファンタジーノベル大賞の大賞受賞作品。やっぱこの賞の作品は面白い!というか私に合います。ということで、今年はこの賞関連の作品を1冊ずつ読んでいこうと決意を新たにした私なのでした♪(新潮社)

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11巻「顔の巻」と12巻「聖の巻」。中休み的な10巻を挟んで、また話が動きました。でも話としては凄いことになってるし、相変わらず面白いんだけど、やっぱり7~9巻の盛り上がりぶりほどではないかなあ。って、比べる方が酷というものかなあ。
次はいよいよラストの13巻。これまでの12冊はそれほど分厚くなかったんだけど(400ページ平均)、13巻になるといきなり700ページ近くの分厚さになるんです。さて、どうなることやら。読むのが楽しみなような惜しいような... って、また一休みしてしまいそう。(笑)(新潮文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「陋巷に在り」1・2 酒見賢一
「陋巷に在り」3・4 酒見賢一
「陋巷に在り」5・6 酒見賢一
「陋巷に在り」7・8 酒見賢一
「陋巷に在り」9・10 酒見賢一
「陋巷に在り」11・12 酒見賢一
「陋巷に在り」13 酒見賢一

+既読の酒見賢一作品の感想+
「語り手の事情」酒見賢一
「聖母の部隊」酒見賢一
「ピュタゴラスの旅」酒見賢一
「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一
「中国雑話 中国的思想」酒見賢一
Livreに「後宮小説」「墨攻」「童貞」「周公旦」の感想があります)

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