Catégories:“歴史・時代小説”

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「仕掛人・藤枝梅安」シリーズ、読み終えてしまいました。7巻「梅安冬時雨」は「シリーズ白眉の長編完結を目前に、著者が急逝した痛恨の作品」だそうで、「そろそろ、こちらの仕掛をしてもいいころだ」「いつでもようござんすよ」という、すごーくいいところで終わってしまってます。うわーん。それに、この巻に浅井新之助という往年の剣客が登場するんですが、これが秋山小兵衛に「近世の名人、それも希代の名人は、ただひとり、浅井為斎先生あるのみじゃ」と評されたという人物。既にちょっとした活躍をしてるんですが、この後にもまだ重要な役回りをすることになっていたんじゃないかと思うんですよね。それほど前面に出てないのにものすごく存在感があるので、その辺りが読めないのがすごく残念。シリーズとしてすっごく面白かっただけに、もっともっと読みたかったですー。

「梅安料理ごよみ」は、「剣客商売包丁ごよみ」と同じく、作中に登場する様々な料理を紹介した本。とは言っても「剣客商売包丁ごよみ」のように池波正太郎氏自らが紹介してるわけではなく、佐藤隆介・筒井ガンコ堂両氏によるものだし、レシピも写真も、ましてや絵もないんですが、作中の文章を抜き出して、そこに書かれた料理を紹介するというのは同じ。(私の場合、直接写真を見てしまうよりも文章で読む方がそそられるので、写真がないのは無問題) 「剣客商売」と同じ頃の料理なのに、料理はそれほど重なってないのかな? 新鮮な魚介類が美味しそうでした。海の海水と川の淡水が混ざり合う江戸湾で取れた魚介類には、独特の風味があったのだそうで、それが「江戸前」なんですって。知らなかった。それにはまぐりなんて今じゃあ高級品になっちゃってますけど、アサリとかはまぐりはこの頃は庶民の味だったんだとか。池波正太郎さんのインタビューを読んでいても、ほんと江戸時代のことをよく知ってた人なんだな... というよりもむしろ、江戸時代と地続きで生きてた人なんだなって思いますね。

剣客商売が全19冊、鬼平シリーズが全24冊、梅安シリーズは7冊と、梅安シリーズだけが妙に少ないんですが、これについては池波氏ご自身が語ってらしたようです。「乱れ雲」のあとがきで引用されていました。

「やはりね、そう殺せないわけですよ、金もらって殺すのがね。毎月毎月書くっていうわけにはいかないものねえ。毎月毎月ね、金もらって人殺してることになりますからねえ。そこが書きづらい...。」
「うーん、とにかく書いている小説で、これがいちばん難しいですよ、『鬼平』よりも『剣客商売』よりも。」

なるほどねえ。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「殺しの四人」「梅安蟻地獄」池波正太郎
「梅安最合傘」「梅安針供養」池波正太郎
「梅安乱れ雲」「梅安影法師」池波正太郎
「梅安冬時雨」「梅安料理ごよみ」池波正太郎

+既読の池波正太郎作品の感想+
お正月休みの間に読んだ本(7冊) (「剣客商売」1~4)
「剣客商売」5~8 池波正太郎
「剣客商売」9~12 池波正太郎
「剣客商売」13~16+α 池波正太郎

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雨宿りに飛び込んだ小屋で、かつての恩師の死のきっかけとなった男を見かける短編「梅安雨隠れ」、梅安を裏切り者として制裁しようとする白子屋菊右衛門が大坂から江戸に仕掛人を送り込み、自らも江戸へ赴くことになる「梅安乱れ雲」、白子屋残党が各方面から梅安を狙う「梅安影法師」。

短編の「梅安雨隠れ」は「梅安乱れ雲」の冒頭に収められているんですが、これだけは独立した作品で、その後からが長編。この「梅安乱れ雲」が、このシリーズのクライマックスですね! 白子屋菊右衛門との因縁の対決。そして「梅安影法師」がその余韻。この辺りはずっと話の続いている長編のような感じでもあります。なんで「雨隠れ」をここに入れたんだろう? 前の巻に入れてしまえば良かったのに... と思ったら、前の巻「梅安針供養」も長編だったのでした! そうそう、話はここからもずっと続いていたんでしたね。...まあ、それを言ったら、シリーズ全作品続いているとも言えるのだけど。(笑) でもこの辺りは長編ならではの話の絡み具合と盛り上がりぶり。いや、いいですねえ。特に「乱れ雲」の緊迫感はもう堪らないー。
それにしても、白子屋菊右衛門が考え出した仕掛の方法は、梅安の最大の弱点を突くもの。闇の世界は正々堂々となんてしてられないから仕方ないんですが... これはツラい。そして白子屋が「梅安は仕掛人の掟を破った」という理由で殺そうとしているうちはまだ良かったんですが、「藤枝梅安というやつ、表向きは鍼医者をしているが、裏へまわると強欲非道な奴でのう。こいつ、生かしておけば、世のため人のためにならぬ」と言い始めた時はぞぞーっ。色んな意味で怖い台詞...。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「殺しの四人」「梅安蟻地獄」池波正太郎
「梅安最合傘」「梅安針供養」池波正太郎
「梅安乱れ雲」「梅安影法師」池波正太郎
「梅安冬時雨」「梅安料理ごよみ」池波正太郎

+既読の池波正太郎作品の感想+
お正月休みの間に読んだ本(7冊) (「剣客商売」1~4)
「剣客商売」5~8 池波正太郎
「剣客商売」9~12 池波正太郎
「剣客商売」13~16+α 池波正太郎

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既に隠居して百姓暮らしをしている亀右衛門に、会うだけ会って欲しい、仕掛は断っても構わないと言われて梅安が会うことになったのは、大井の駒蔵という元締。以前からの義理で、亀右衛門が断りきれなかったのです。しかしその時依頼された仕掛の相手は、先ごろ梅安が仕掛を引き受けた音羽の半衛門で...という「梅安鰹飯」が入った連作短編集「梅安最合傘」、そしてシリーズ初の長編となる「梅安針供養」。

今回も面白かった~。1・2巻では元締はあくまでも仕掛を頼む人というスタンスで、それほど話の中に深入りして来なかったように思うんですけど、今回の梅安は元締同士の争いにすっかり巻き込まれて、どちらからも仕掛の依頼がきてしまいます。そして、だんだん、この世界に一度入ってしまったら足を洗うことはできないという面を実感させられるような展開になってきてますね。長編「梅安針供養」では梅安にいい感情を持っていない元締なんかもいたりして、狙い狙われの緊迫感がたっぷり。色んな状況が二重三重にも絡んできて読み応えがありました。そして、大抵の作家さんの場合、短編が得意か長編が得意か、自然にどちらかに分かれると思うんですけど、池波正太郎作品は、どちらも同じように面白く読ませてくれるなあと実感。ほんと短編でも長編でも面白いです。短編とは言っても実際には連作短編なんで、長編みたいなものですけど... 1編だけ取り出しても十分面白いですし。
あ、今回見つけた「剣客商売」との繋がりは、浅草の料亭・不二楼でした♪(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「殺しの四人」「梅安蟻地獄」池波正太郎
「梅安最合傘」「梅安針供養」池波正太郎
「梅安乱れ雲」「梅安影法師」池波正太郎
「梅安冬時雨」「梅安料理ごよみ」池波正太郎

+既読の池波正太郎作品の感想+
お正月休みの間に読んだ本(7冊) (「剣客商売」1~4)
「剣客商売」5~8 池波正太郎
「剣客商売」9~12 池波正太郎
「剣客商売」13~16+α 池波正太郎

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今年35歳になる藤枝梅安は、普段は腕の良い鍼医者、裏の顔は金で殺しを請け負う仕掛人。その日、赤大黒の市兵衛から請け負ったのは、薬研堀の料理屋・万七の女房・おみの殺しでした。しかし実は梅安は3年前に違う筋からの依頼で、先妻のおしずを殺していたのです。仕掛人は詳しい事情を聞かないのが原則。しかし女房が立て続けに殺される裏にはどのような事情があるのか、梅安は気になり始め... という「おんなごろし」他、仕掛人・藤枝梅安の連作短編集です。

「剣客商売」を読了したのが去年の8月。それから「仕掛人・藤枝梅安」の方も貸して頂いてたんです。去年から続いてる海外物ブームのせいでしばらく寝かせてしまったんですけど、ここらでちょっと和んでみたいと思います。(...仕掛人で和むって一体。^^;)
テレビの必殺シリーズを何度か見た程度なので、そういう仕掛け人のグループがあって、回ってきた仕事をみんなでやるのかと思ってたんですけど、梅安は基本的に一匹狼。彦さんという仕掛人仲間がいることはいるけど、それぞれ別々に仕事をしてたんですねー。中村主水なんて出てこないじゃないですか! ということはあのお姑さんも出てこない!(笑)
あ、テレビのシリーズでは藤枝梅安は出てないんだと思い込んでたんですが、緒形拳がやってたんですってね。知らなかった。

仕掛人が仕事を請け負うまでには、まず殺しの依頼人(起こり)がいて、その「起こり」が「蔓」と呼ばれる顔役に殺しを依頼、その「蔓」から「仕掛人」に話が来るという流れ。「起こり」がいくら殺しを依頼しても、その人間が殺されるべきかどうかは「蔓」が判断するので、ただの私怨程度の依頼はボツ。その代わり、「蔓」が「コイツは死んだ方が世の中のためだ」と判断したら、「仕掛人」に話がいきます。「仕掛人」が詳しい事情も聞かないまま仕事を遂行するのは、「蔓」を信頼しているからこそ。
でも梅安だって人間だし、たまには裏事情が気になることもあるんですよね。そうでなくても事件に巻き込まれて、やむなく調べ始めることもあるし。その辺りの事情の繋がっていき方が面白いです。それに、鍼医者として病人を治療する梅安は、貧乏人から無理に治療費を取り立てたりしない神様のようなお医者さんなんですけど、そうやっていられるのも、仕掛人として稼いだお金があるからこそ。そんな相反することをしてるようでいて(人の生死のどちらも一手に握ってるんですね)、梅安の中では特に葛藤はないんですよね。どちらも1人の人間の中に自然に存在してるのが、なんか好き♪
途中で牛堀九万之助なんて名前が登場して、「剣客商売」との繋がりを感じさせてくれるのも嬉しいところ。それに相変わらず美味しそうな場面がいっぱい~。これは続きも楽しみです。^^(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「殺しの四人」「梅安蟻地獄」池波正太郎
「梅安最合傘」「梅安針供養」池波正太郎
「梅安乱れ雲」「梅安影法師」池波正太郎
「梅安冬時雨」「梅安料理ごよみ」池波正太郎

+既読の池波正太郎作品の感想+
お正月休みの間に読んだ本(7冊) (「剣客商売」1~4)
「剣客商売」5~8 池波正太郎
「剣客商売」9~12 池波正太郎
「剣客商売」13~16+α 池波正太郎

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女だてらに戯作者を志すお夢が今追っかけているのは、江戸の豪商・紀伊国屋文左衛門。蜜柑船を江戸に運んで一夜にして大儲けし、さらに材木商として幕府ご用達となって一代の栄華を誇りながらも、財産をつぎ込んだ貨幣改鋳が中止になり、一夜にして全財産を失ったと言われる紀伊国屋文左衛門。しかし店を畳んで隠棲して4年、まだまだ吉原で豪遊し続けているのです。そんなある日、お夢は謎の夜鷹に命を狙われ、あやういところで暗闇留之介と名乗る浪人に命を助けられることに。

誰もが一度は名前は聞いたことがあるような豪商、紀伊国屋文左衛門について面白可笑しく書きながら、新たな考察を付け加えていく1冊です。お夢が戯作を書くために推理していくという意味では、歴史ミステリと言えそう。紀伊国屋文左衛門の表向きの顔と本当の素顔、表向きの黒幕と本当の黒幕、本当はそこで何が起きていたのかを探り出していきます。下は町の講釈師や物売りといった町人から、上は6代将軍家宣の正室・天照院までが、お夢に向かって紀伊国屋文左衛門の逸話や自分の推理を語っちゃうんですよね。その部分はフォントも変えられていて、まるで講談でも聞いているような気分。お夢自身が大奥にも入り込むことになるので、舞台も幅広いし、8代将軍吉宗とじかに対決してしまうし、戯曲や講談などに登場する一心太助と大久保彦左衛門までもが登場! 実際の時代とは少しずれてますが、その辺りもきちんと解説済みなのが、米村さんらしいところ。(笑)
ただ、賑やかで楽しいし、突拍子もない真相にもその気にさせられてしまうのが凄いなあって思うんですが、どうしても退屈姫君のシリーズと比べてしまうんですよね。これ1冊しか知らなかったらもっと楽しめるでしょうに、あちらと比べてしまうと、どうしても増長に感じられてしまう部分が... 仕方ないこととはいえ、それがちょっと残念でした。(新潮文庫)


+既読の米村圭伍作品の感想+
「退屈姫君 海を渡る」米村圭伍
「おんみつ蜜姫」「退屈姫君恋に燃える」米村圭伍
「紀文大尽舞」米村圭伍
Livreに「風流冷飯伝」「退屈姫君伝」「面影小町伝」の感想があります)

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ツァシューへと向かう翠蘭は、途中、ロ・バクチェ・イーガンが治めるエウデ・ロガに滞在し、ここでリジムやラセル、朱瓔らと合流。毎年エウデ・ロガに薬草摘みにやって来るリュカも現れます。翠蘭やリジムを屋敷に残し、イーガンはリュカや朱瓔、サンボータらと薬草摘みに出かけるのですが、その帰り道に森の民に襲われ、朱瓔とサンボータは崖の下へと転落してしまい...。

「風の王国」シリーズ9冊目。
翠蘭は、今までのような無鉄砲な行動が許されなくなる体調なので、今回はじっと我慢。でも翠蘭が動かないおかげで、逆に周囲の人々の動きに焦点が当てられていて、いつもとは違う楽しみがありました。サンボータと朱瓔にスポットライトが当たっていますし、森の民ヴィンタク族の長・ホルクや巫子・ラミカも魅力的。エウデ・ロガの良民には優しい領主・イーガンの二面性やその原因も、今回は悪役は悪役と切って捨てられないところがいいですね。翠蘭とリジムの周囲で、様々なドラマが同時進行しているという印象でした。いつもみたいな、当時のチベットでの風習で「へええぇ~」と思う部分はあまりなくて残念だったんですが、やっぱり楽しかったです。 (コバルト文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「風の王国」1~4 毛利志生子
「風の王国 月神の爪」毛利志生子
「風の王国 河辺情話」毛利志生子
「風の王国 朱玉翠華伝」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 目容の毒」毛利志生子
「風の王国 臥虎の森」毛利志生子
「風の王国 花陰の鳥」毛利志生子
「風の王国 波斯の姫君」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 初冬の宴・金の鈴」毛利志生子
「風の王国 嵐の夜」上下 毛利志生子
「風の王国 星の宿る湖」毛利志生子

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「風の王国」シリーズ7冊目。サイドストーリーの短編4編と、イラストを描いてらっしゃる増田メグミさんのまんが2編、全6編が収められています。

「小説+まんが」ということで、最初は読むのを躊躇っていて、結局8冊目の長編を先に読んじゃったんですけど、色々なサイド・ストーリーが読めて、結果的には面白かったです。まんがとは言っても以前から挿絵を描いてらっしゃる増田メグミさんの作品なので、違和感もなかったですし。本当はあまり小説とまんがを1冊の本にして欲しくはないのだけど。
今回面白かったのは、翠蘭と朱玉の出会いとなった「天河の水」と、吐蕃へ嫁ぐことが決まった翠蘭が後宮で過ごす日々を描いた「花の名前」。特に「花の名前」は、李世民(唐の太宗皇帝)の宮廷でのエピソードが描かれるだけに、中国歴史物好きとしては堪らないものがありました~。ここに登場する李世民の妃・楊妃は、隋の煬帝の娘。そして同じく登場する武才人は、後の則天武后(武則天)。後に皇位争いに巻き込まれて、謀反人として自殺させられた呉王李恪も登場するし、3代目高宗皇帝になる晋王李治まで! 後々のことを思うと、少し複雑な気持ちになっちゃうんですけどね。(コバルト文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「風の王国」1~4 毛利志生子
「風の王国 月神の爪」毛利志生子
「風の王国 河辺情話」毛利志生子
「風の王国 朱玉翠華伝」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 目容の毒」毛利志生子
「風の王国 花陰の鳥」毛利志生子
「風の王国 波斯の姫君」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 初冬の宴・金の鈴」毛利志生子
「風の王国 嵐の夜」上下 毛利志生子
「風の王国 星の宿る湖」毛利志生子

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