Catégories:“ホラー”

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高校2年生の春休みの京都旅行の時に急行列車の中で出会って親しくなり、しかしその後亡くなってしまった阪井京子。その京子のご両親から久しぶりに家に招かれた「わたし」は、かつて京子にもらったそばちょこに梅酒ゼリーを作って持っていくのですが... という「のぞき梅」他、全11編の短編集。

単行本未収録の作品から、ホラー風味の強い11編選んで収めたという短編集。若竹七海さんお得意の、人間の悪意がじわじわ~っと染み込んでくるような怖さや、漠然とした不安からくる怖さ、超常現象や怪奇現象的な怖さ、怪談的な怖さなど、一言でホラーとは言っても怖さは様々。でも読んでいて、それぞれの作品がばらばらに発表されたとは思えないほど、各短編同士に繋がりや流れがあるのにはびっくりでした。特に途中の何編かは、短編のポイントとなる言葉が次の短編に引き継がれていて、そういった意味でもぎょっとさせられたし...。短編集を組む時に、その辺りの配列にも十分気を配られたんでしょうねー。
それぞれに面白かったんだけど、これで私が短編が苦手でなければもっと楽しめたでしょうに勿体ないなー、と思ってしまいました... 11編もあると集中力を持続させるのが大変なんです。連作短編集なら、準長編みたいなものだから大丈夫なんですけどね。
それでも一番印象に残ったのは表題作の「バベル島」かな。これはイギリスのウェールズ北西部のバベル塔で起きた惨劇の話。そこでボランティアの一員として働きながらも、からくも日本に生還した高畑一樹と、200年前にそこを訪れていた曽祖父・葉村寅吉、それぞれの日記から話が進んでいきます。舞台といい雰囲気といい何と言い、かなり好み。あ、葉村寅吉ってことは、葉村晶の曽祖父... だったりするのかな。やっぱり。(光文社文庫)


+既読の若竹七海作品の感想+
「猫島ハウスの騒動」若竹七海
「親切なおばけ」若竹七海・杉田比呂美
「バベル島」若竹七海
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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目の前を行く女性の尻に目を奪われて、思わず付いて行ってしまった鍵和田巴は、それが中学時代の友人・服部ヒロシの姉のサトだということに気づきます。それがきっかけで、巴はかつての同級生の家に招じ入れられることになるのですが... という表題作「「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」他、全4編の収められた短編集。表題作は、第12回ホラー小説大賞の短編賞受賞作。恒川光太郎さんの「夜市」がホラー大賞を受賞した時の短編賞です。ペンネームの「あせごのまん」とは、「あせご」という場所の「まん(化け物・憑き物)」という意味だとのこと。どうやら「あせごの」が苗字みたいですね。

前エントリに続いて、これも頂き物。ホラー系は基本的に苦手なので、滅多に読まないんですけど、この表題作は、結構気に入ってしまったわ!  選者の荒俣宏氏が「異様に気に入った」という作品なんですけど、その気持ちが分かる~。でもこれは、気に入る人は異様に気に入るし、それほどでもない人にはそれほどアピールしない作品かもしれません。私の場合、ごく普通のはずが日常の情景が少しずつズレていくというのは元々好きだし、この作品はまるで夢を見ているように逃げ出すことができないまま、不条理感にがんじがらめになっていく感じなんですよね。それも好き。妙な迫力があります。この雰囲気を盛り上げている各所の描写の気持ち悪さも堪らないし。
その他は、「浅水瀬」「克美さんがいる」「あせごのまん」の3編。「浅水瀬」はあまりにも予想できるオチなんですけど、この本の中では一番ホラーらしいホラー作品。きっと、分かっていてもあえて楽しめる、というところを狙った作品なんだと思います。「克美さんがいる」も予想できるオチなんですが、もう少しミステリ的かな。リアルな怖さがあって、私は「浅水瀬」よりもこっちの方が好きでした。最後の「あせごのまん」は、なんと土佐弁で書かれた作品。岩井志麻子さんの「ぼってえ、きょうてえ」を思い出すなあ。(角川文庫)

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先日、「ザスーラ」のDVDを観たんです。これが結構面白くて(アマゾンのカスタマーレビューでは星1つでしたが!)、でも基本的な話は以前観た「ジュマンジ」と一緒なんですよね。「ジュマンジ」は、子供たちがゲームを始めた途端に家がジャングル状態になってしまう話で、「ザスーラ」は、その宇宙版。どういう関係なんだろう? 二番煎じ? なんて思っていたら、どちらもクリス・ヴァン・オールズバーグの絵本が原作だということが判明。早速図書館で借りてきました。

「ジュマンジ」の絵本が描かれて約20年後に「ザスーラ」が描かれたのだそう。実は話が続き物になっててびっくり。でも絵本になると、やっぱりかなりあっさりしてしまうものですね。そんなものかもしれないけど... というか、このぐらいの長さの話を膨らませる方が、映画を作るには向いてるのかもしれないですけど。少なくとも、長編小説を映画化するために、設定を色々変えて、しかも「あのシーンもない、このシーンもない」なんて言われちゃうよりも、作る人にとっては作りやすいかも? 映画のシナリオって、実際、びっくりするほど短かったりしますし。

それでもやっぱり、この絵本からあんな映画を作っちゃったのかというのが驚きです。特に「ジュマンジ」はスゴイです! あれは、迫力。私にとっては、ほとんどホラー映画状態。あまりに迫力だったので、最後までちゃんと観たのか定かではないほどですし... 結末とか全然覚えてないので、今度また借りてこなくっちゃ。そして、「ザスーラ」の方は、確かに「ジュマンジ」の二番煎じだし、「ジュマンジの方が映画として格上だった気もするんですが、お子様な私には、こちらも十分面白かったです。絵本よりも映画の方が、いがみ合ってる兄弟の気持ちが通じ合っていく過程が丁寧に描かれていたし、絵本よりも映画の方が好みだったかも。って、映像化にほとんど興味のない私にしては、ちょっと珍しい感想かも。でも絵本に出来ること、映画にできること、それぞれの特性がよく分かるような、映画とその原作でした。(ほるぷ出版)

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「図書室の海」以来の短編集。「水晶の夜、翡翠の朝」「ご案内」「あなたと夜と音楽と」「冷凍みかん」「赤い毬」「深夜の食欲」「いいわけ」「一千一秒殺人事件」「おはなしのつづき」「邂逅について」「淋しいお城」「楽園を追われて」「卒業」「朝日のようにさわやかに」の14編。

この中では、三月の学園の「水晶の夜、翡翠の朝」と、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」へのオマージュ「あなたと夜と音楽と」だけが既読だったんですが、どうも既視感のある作品が多くて、ちょっとびっくり。他の作品もどこかで読んでるのかも...。それとも、気づいてないところに特定の作家さんや作品へのオマージュ作品もあるのかしら? さすがに「一千一秒殺人事件」なんてタイトルだと、稲垣足穂系だなと分かるんですが。
どの作品も現実離れしているようでいて、でも妙なリアリティがあって、ちょっと不気味なホラー系。この本に収められた短編のうち「朝日のようにさわやかに」だけが全然ホラー系じゃなくて、むしろエッセイタッチの作品なので、それが表題となってるのがなんだか悪い冗談みたいです。本を読み進めるにつれて世界が徐々に歪んでくるような感じ...。それほど怖くはないんですが、様々なパターンのホラー作品が楽しめます。
私がダントツで気に入ったのは「冷凍みかん」。これも、どこかで読んだことがあるような気がするんですけどね...。これは星新一さんのショートショートみたいな雰囲気。これはいいなあ。あと「淋しいお城」は、講談社ミステリーランドのための作品の予告編なんですって。本編を読むのが楽しみ! でもやっぱり「水晶の夜、翡翠の朝」も素敵でした。それでも天使のようなヨハンにうっとり。(新潮社)


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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高校の英語教師をしているトーマス・アヴィの夢は、作家マーシャル・フランスの伝記を書くこと。9歳の誕生日に父親に「笑の郷」を贈られて以来、手に入る限りの本を集め、フランスについての細かいことを色々と調べているのです。ある日の午後、稀覯本を扱う書店に立ち寄ったトーマスは、何年も絶版になっていた「桃の実色の影」の初版が置かれているのを見つけます。しかしその本は既に買い手が決まっていました。買い手のサクソニー・ガードナーに、100ドルで譲って欲しいと持ちかけるトーマス。2人はやがて一緒に組んでフランスの伝記を書くことになり、フランスが亡くなるまで住んでいたミズーリ州ゲレインへと向かうことになるのですが...。

ジョナサン・キャロルの作品は初めて。実はこの本、ずーーーっと積んでたんですよね。いつから積んでるのか不明。サイトを始めた2000年頃からなのか、それとももっと前からなのか... 誰かにオススメしてもらったか、何かで紹介を見たのか、それすら覚えてないほど。(笠井潔さんが創元推理文庫の企画でベスト5に挙げてたから買ったと思い込んでたんだけど、それはコリン・ウィルソンの「賢者の石」だったらしい...) でも先日翻訳家の浅羽莢子さんが亡くなって、この本も読まなくちゃなあと思っていたところに(浅羽さんは、ジョナサン・キャロルの作品を沢山訳してらっしゃるのです)、先日、檀さんがたらいまわし企画第30回「フシギとあやし」で挙げてらしたんですよね。(記事) 既に十分過ぎるほど熟成済。ようやく手に取ってみました。

最初のうちは緩やかな展開なんですが、トーマスとサクソニーがゲレインに着いた頃からは、どことなく不安感が付きまとい始めることに。これまで伝記を書こうとしていた人々にはけんもほろろだったはずのアンナが親切なのはなぜ? ゲレインの人々と会った時にサクソニーが感じていたのは何? 町の人々が常に全てを知っているのはなぜ? 残念ながら夢中になるところまではいかなかったんだけど、面白かったです。この最後の一文がスゴイ。
それにしても、マーシャル・フランスが実在の作家さんではないのが、ものすごく残念。「笑いの郷」「緑の犬の嘆き」「桃の実色の影」... どれも読んでみたくなっちゃうんですもん。一番読みたくなってしまったのは「笑の郷」ですね。いっそのこと、ジョナサン・キャロル自身に書いてもらいたいほど!(創元推理文庫)

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徹底した人間嫌いの主人、エムズ卿には身寄りがないことから、いつか自分たちが遺産を相続をする可能性があるのではないかと淡い期待を抱き始めたデーヴィス夫婦。しかしエムズ卿の動物への偏愛ぶりを見ているうちに、もしや動物に全財産を遺すつもりなのではないかと不安になり、デーヴィス夫婦は屋敷にいる動物を1匹ずつ始末し始めます。そしてエムズ卿の死後。エムズ卿は、動物たちが生きている限りデーヴィス夫婦が屋敷に住むことを認めると遺書に書き残していたことが明らかになり、デーヴィス夫婦は唯一残った半シェパード犬の世話中心の生活を送るようになるのですが...。

いやー、ハヤカワ文庫FTも結構読みましたが、その中でもダントツで妙な話でした...。ファンタジーらしくない話はこれ以外にも時々ありますけど、なぜこの話がこのラインナップに入ってるのか理解できないぐらい。
原題は「Chog」で、これは「child」と「dog」の造語、文字通り犬児のことなんです。それも普通の犬の子じゃなくて、人間と犬の間にできた子。でもだからといって、そういう場面が赤裸々に描かれてるわけではなくて、かなり後になってから、そうだったんだということが分かる程度の婉曲な表現。直接的に書かれるというのも考えてしまうけど、ここまで婉曲に書かれてるというのも、実際起きたこととのギャップが激しすぎて何とも言えません...。こういうのをブラックユーモアって言うんでしょうか。読んでるだけで気が滅入りそうです。でも決してつまらないわけではなくて、逆に一旦読み始めたら、その展開からは目が離せないんですよね。

クエンティン・クリスプって、私は全然知らなかったんですけど、同性愛カミングアウトの先駆者としても有名な人なんだそうです。バージニア・ウルフ原作の映画化作品「オルランド」とか、イーサン・ホーク監督の「チェルシー・ホテル」、スティングの「イングリッシュマン・イン・ザ・ニューヨーク」のビデオクリップにも出演してるとか。いや、そういった部分は特に関係ないんですが...^^;(ハヤカワ文庫FT)

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ロンドンの下宿に住んでいるスパイダーは、過去の思い出が甦って目の前の光景に重なるような感覚に混乱して、日記をつけ始めることに。それはスパイダーの子供の頃の物語。その頃のスパイダーは、怒りっぽい父と優しい母との3人で、今の下宿から程近い街に暮らしていました。しかしスパイダーが12歳の時、父はあばずれのヒルダ・ウィルキンソンと出会い、夢中になり、なんと母を殺害してしまうのです。ヒルダは、我が物顔にスパイダーの家に居座るのですが...。

解説によると、物語分析には「信頼できない語り手」という言葉があるんだそうです。この物語の主人公・スパイダーは、まさにその「信頼できない語り手」。何も予備知識を持っていなければ、読者は当然1人称の主人公の言うことを信じて読み進めることになりますけど、どこかの時点で、その認識を覆されるわけですね。ミステリで言えば叙述トリック。普段、ミステリの感想を書く時に、「素晴らしい叙述トリックでした~」なんて書いてしまったら思いっきりネタバレなんですけど(書いちゃダメですよ!)、この作品に関しては、主人公に対する印象の変化が主眼なので大丈夫なんでしょう... きっと。本の裏にも解説にも主人公の狂気について思いっきり書いてあるし。...それでも「叙述トリック」という言葉を書くと、どこか後ろめたくなってしまうのは、ミステリ者のサガ?(笑)
この「信頼できない語り手」に、某有名古典ミステリが挙げられているのは当然として(もちろん作者も作品名も伏せられてましたが、読んでる人はぴんと来ますよね)、カズオ・イシグロの「日の名残り」(感想)も挙げられていたのにはびっくり。あれも叙述トリックだったのか...!(違います) でも言われてみると、確かに。納得。あの主人公は自信満々だし、プライドもすごーく高いし、何食わぬ顔で事実をさりげなく脚色してそうです。

まあ、叙述トリックなんて言葉が出てくる通り、この作品もミステリ的ではあるんですが、むしろサイコホラーですね。最初は普通の主人公に見えるんですが、もしかしたらこの精神状態は...? と感じ始めた頃から、どこからどこまでが事実なのか分からなくなっちゃいます。本当に殺人事件はあったのか、あったとすれば誰が殺したのか。そして誰が殺されたのか...。
でも私自身、叙述トリックもサイコホラーも苦手なこともあって、正直ちょっと読みづらかったです。主人公の狂気も、あまり楽しめず仕舞いでした。残念。(ハヤカワepi文庫)

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