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その頃、神降市で起きていたのは、野良猫の連続殺害事件。猫はただ殺されているだけでなく、そのたびに首や手足が切り取られて持ち去られていました。芳雄のクラスメートが可愛がっていた猫も、3日前に4匹目の犠牲者となったばかり。そんなある日、トイレ掃除で一緒になった転校生の鈴木君に話しかけた芳雄は、鈴木くんが自分のことを神様だと言うのを聞いて驚きます。鈴木くんが真面目なのか冗談を言ってるのか判断がつかなかった芳雄は、自分や周囲の人々のこと、そして猫殺しの犯人について訊ねることに。

ミステリーランドの7回目の配本。同時配本は、田中芳樹氏の「ラインの虜囚」。小学校最後の夏休みの冒険譚、みたいな話ばかりが続いて食傷気味だったミステリーランドなんですが、違うタイプの作品も増えてきたようですね。「ラインの虜囚」は、「三銃士」や「紅はこべ」が好きな人には堪らない作品だし(感想)、こちらの「神様ゲーム」もまた一味違いました! これはともっぺさんのオススメ。そういえば「ラインの虜囚」も、ともっぺさんにオススメいただいたんですよねえ♪
そしてこの作品は、一言で言って、「さすが麻耶さん!」 かなりブラックではあるんですけど、ミステリーランドというレーベルに相応しくとても分かりやすい展開。それでも麻耶さんの作品なので油断せずに読んでいたんですが... うわあ、最後の最後が! そうきましたか! さすが「夏と冬の奏鳴曲」の作者だー。うわー、この感覚は久々です。実は麻耶さんの作品は、最初に読んだ「夏と冬の奏鳴曲」のインパクトが強すぎて、他の作品にやや物足りないものを感じていたんですけど... いえ、普通は他の作品の方が読みやすいと思うんですが、「夏と冬の奏鳴曲」の、不可解さに頭がぐるぐるしてしまうような感覚が忘れられなくなってしまった私にとっては、ということです。そしてこの作品は、それ以来のぐるぐる感。もう、嬉しくなってしまいましたー。

でも本当にワケ分かんないです。これは結局どういうことだったの...???(ヲイ)

この作品で一番面白かったのは、やっぱり鈴木くんの存在ですね。自分のことを神様だと言い、「きみといろいろ話せて楽しかったからね。そのお礼だよ」と、簡単に犯人の名前を明かしてくれる鈴木くん。神様を前にしてしまうと、ミステリ的な論理的な推理は存在しません。そこにあるのは、ただ「真実」だけ。でも、鈴木くんは本当に「神様」なのかどうか... 信じていいのか分からない読者(芳雄もですが)にとっては、それは逆に持て余してしまうような真実。
この作品は子供には読ませたくない、という意見は多いし、その気持ちも分かるんですけど... ええと、やっぱりダメですかね? 私自身は、別に構わないんじゃないかなって思うんですけど... 少なくとも第1回目配本の某作品みたいな後味の悪さはなかったと思うし、これなら許容範囲かと... でも、そんな意見は少数派なんでしょうね。限りなくゼロに近かったりして。(笑)(講談社ミステリーランド)


+既読の麻耶雄嵩作品の感想+
「神様ゲーム」麻耶雄嵩
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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作家の「ピエールさん」が眠っている間にみたのは、とても美しいお話の夢。それは、ピポ王子の物語。跡継ぎの息子がいなくて悲しんでいた王さまは、王妃さまのアドバイスで、"水のほとりの大魔女"に相談しに行き、"新生児デパート"でピポという名前の赤んぼうを見つけます。王さまは、15歳になったら赤い小馬をあげるという約束で、ピポを自分の子供にするのですが...。

物語自体はいかにも子供向けの冒険ファンタジーで、例えばエルショーフの「せむしの小馬」のような雰囲気。でも「とても美しいお話の夢」の話から始まるせいか、まるで夢の中の出来事みたいです。夢の中で、見る見るうちに怪物が迫ってくるのに、身体が重くて思うように走れない時のような、自分が夢を見ているのが分っているのに、どうしても目を覚ますことができない時のような感覚。そして夢の中ってかなり唐突に場面が変わっても、夢を見ている本人は自然に受け入れてしまいますよね。それと同じような感じ。
「夢」が絡むことによって、普通の冒険物語がすごく重層的な構造になることにびっくり。なんだかとっても不思議な感覚の作品でした。これは何だったんだろう? どういう意味があったんだろう? と思う部分が多くて、一読しただけではつかみきれなかったんですけど、色々なモチーフにはそれぞれ深い意味が隠されていそうです。なんだかとっても気になる、後を引くタイプの作品でした。(ハヤカワ文庫FT)

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山田香な子は、半年前に葛飾区お花茶屋に引っ越してきた小学校5年生。香な子の不幸は、まずクリスマス・イヴが誕生日だということ、山田香な子なんて平凡な名前であること、そして両親の仲が良すぎて、父が母と少しでも長くいるためにと母と同じ職場に転職してしまったこと。そして香な子の通う小学校では、隣の席は小森くん。香な子にとっては、これといって特徴のある男の子ではないのですが、ある日、クラスメートの中でも特に可愛い町野ノドカに、小森くんをデートに誘うのを手伝って欲しいと頼まれて...。

本当はうめさんに「笑う招き猫」をオススメされていた山本幸久さんの作品。「笑う招き猫」も買ったんですが、家に置いてきてしまったんですよねえ。(今は祖母の家です) そしたら父が偶然この本を持っていて、先に読むことに。ああ、もう、なんて可愛らしい初恋物語なんでしょう!
町野さんに協力を頼まれるまでは何とも思っていなかった小森くんのことが、気になっていく過程がとても丁寧に描かれてますし、どのエピソードを取っても、もうほんと可愛いくて~。京成本線での密かなデート、学校で見ているよりも小森くんが大人っぽく見える場面、可愛さでは自称クラスで8番目(笑)の香な子が、自分と町野さんの違いを比べる場面、香な子の抜け駆けに怒った町野さんに逆に闘志を燃やす場面... ずんずんと引き込まれちゃいました。
香な子の両親や義昭オジサン、元モデルで美人でちょっと怖い鎌倉先生、小森くんのお母さんなど、脇役の面々も魅力的。お父さんの前の会社での頑張りぶりや会社を辞めたエピソードも効いてるし、小森くんのお母さんが未来の顔を描くというエピソードもいいですねえ。日下くんが天文にのめりこんでいく様子も微笑ましくて応援したくなります。爽やかでほのぼのとして、気持ちが柔らかくなれるような作品でした。「笑う招き猫」も早く読まなくっちゃ!(ポプラ社)


+既読の山本幸久作品の感想+
「幸福ロケット」山本幸久
「笑う招き猫」山本幸久

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滝沢馬琴による「南総里見八犬伝」を、浜たかやさんが児童書用に編集したもの。山本タカトさんの表紙絵に惹かれて、ずっと読んでみたかったんですけど、お正月にテレビドラマを見て、いてもたってもいられず読んでしまいましたー。1巻は「妖刀村雨丸」、2巻は「五犬士走る」、3巻は「妖婦三人」、4巻は「八百比丘尼」。

こうやって並べると凄いですね、壮観。実際に手に取ってみても、やはりこの表紙は美しかったです~。表紙だけでなく挿絵も山本タカトさんで、随所に登場人物画が挿入されているのが、またイメージを掴み易くていいんです。
私は子供の頃に他のリライト版を読んだだけで、原作の現代語訳なんてものは読んでないので、他のリライト版に比べてこれがどの程度のレベルなのか良く分からないんですが、解説によると、原作を六分の一から七分の一ほどに縮めてあり、後半部分はかなり思い切って割愛、ストーリーを単純で分かりやすくして、約400人と言われる登場人物も大幅に整理したのだそう。数多い敵役を整理して籠山逸東太に兼ねさせたり、原作にはいない人物を作り出したり、最後の決戦に犬江親兵衛を登場させるなど、エピソードを変えた部分も多々あるのだそうです。でもそういう違いがあっても、読み手がきちんと認識していればいいことですしね。(読者が必ず解説を読むとは限らないけど) おそらく八剣士や他の登場人物たちのそれぞれの性格も、原作よりも分かりやすく強調されているんでしょうね。正義の味方も悪役もそれぞれに個性的で、すごく楽しかったし面白かった! 児童書なので、さすがに字は大きいんですが、これは入門編にぴったりかと。という私もいずれは岩波文庫から出ている全10巻の現代語訳を読破したいなと思ってるのですが、この4冊で一通り満足してしまったので、ちょっと先の話になりそうです。(^^ゞ (偕成社)

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前の晩、一世一代の決心で3軒先に住む大学生・亨に誕生日カードを書いて出してしまったことを激しく後悔していた「つばめ」は、その日の午後、いつものように書道教室の後にビルの屋上へ。そして目に入ったのは、見慣れないキックボード。そして派手で意地悪そうな「星ばあ」。つばめは星ばあにキックボードを教える代わりに、亨へのカードを取り戻してもらうことに。

宙の本棚の小葉さんに教えて頂いた本です。
とっても可愛い作品でしたー。まず主人公の中学生のつばめの気持ちが1つずつすごくリアルに伝わってくるんですよね。外から見ると安定してるつばめも、その内心はそれほど安定しているわけではなくて、3 歳の時に自分を捨てた本当の母が書家だったことから書道を始めてみたり、自分の恋心を意識した途端に「亨くん」と話せなくなってしまったり(あるある)、実際には大したことを書いていないカードでも、出したことを1日中後悔してみたり。さらには隣の「いずみちゃん」が家を出た話で、「ママ」に苛ついたり。そんな1つ1つの気持ちがすごく伝わってくるんです。でもそれだけだと普通の話なんですが、この物語を引き締めているのが、意地悪な魔女のような星ばあの存在。言葉遣いが悪くて下品、ずけずけと意地悪なことばかり言うのに、どこか憎めないんですよねえ。空を飛べるなどという突飛な言葉も、このおばあさんなら本当に出来そう... なんて思っちゃう。つばめがついつい色々なことを話してしまうのも分かるんですよねえ。気づけば、2人の会話に引き込まれちゃってました。
星ばあの屋根に関する薀蓄も面白かったし、くらげのように夜空を飛んでいる夢のシーンが印象的。そして人のことには威勢が良くても、自分のことになると途端に意気地がなくなる星ばあが可愛く見えてくるラスト。優しさと暖かさが広がります。(ポプラ社)

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19世紀初頭のパリ。父の訃報を持ってカナダからフランスに渡ったコリンヌは、祖父であるギイ・ド・ブリクール伯爵に会いに行くのですが、勝手にカナダに出奔して原住民と結婚した息子のことを、伯爵は既に息子とは認めていませんでした。伯爵はコリンヌに、パリの東北東、ライン河岸に立っている古い塔に幽閉されている人物の正体を調べれば、コリンヌを孫娘として認めると言い出します。実は9年前にセント・ヘレナ島で亡くなったというナポレオンが実はまだ生きていて、その塔に幽閉されているという噂があったのです。

「小学校最後の夏休みの冒険譚」みたいなのばかりで、ちょっと飽きがきてたミステリーランドなんですが(失礼)、これはまるで違う西洋史物。しかも冒険活劇。ふわふらのともっぺさんから、「三銃士」や「紅はこべ」が好きならきっと気に入ると教えて頂いたんですが、確かにこれはいい! 楽しかったです。目次からして、第一章「コリンヌは奇妙な命令を受けパリで勇敢な仲間をあつめる」、第二章「コリンヌは東へと馬を走らせ昼も夜も危険な旅をつづける」なんて説明口調。どことなく懐かしくて楽しいし、子供のためのレーベルであるミステリーランドに相応しい良質な作品だと思います。あとがきには、なぜ田中芳樹さんがこういう物語を書こうと思ったのかも書かれていて、その気持ちにもとっても納得。
ナポレオンが生きているという噂は本当か? という大きな謎はもちろん、爵位にも財産にも興味のないコリンヌが、なぜ伯爵の言う通りにするのか、そしてなぜ伯爵がそのようなことをコリンヌにやらせるのかなどちょっとした謎もいくつかあって、それらが全てきちんと解決されるのが気持ち良かったです。そしてコリンヌがパリで見つける3人の仲間も、アレクサンドル・デュマやカリブの海賊、ジャン・ラフィットといった実在の人物なんです。そういう風にきちんとした歴史の中に架空の人物を放り込んで活躍させるような話って大好き。子供には勿論、大人が読んでも十分楽しめる作品です。(講談社ミステリーランド)

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去年「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」と読み進めていた守り人シリーズ。その後、積読本減らしのために図書館自粛期間に入ってしまって途切れていたのですが、ようやく続きが読めましたー。やっぱりこのシリーズはいいですねえ。決して派手じゃないんだけど、すごく好きです。ハードカバーだし、字が大きいから図書館で借りてるけど、文庫本になってくれたら絶対揃えるのに! そしてバルサとチャグム皇子の出会いから始まったこのシリーズ、どうやらバルサを主人公にした「守り人」シリーズと、チャグム皇子を主人公とした「旅人」シリーズに枝分かれしたようですね。今回4冊積み上げてて気づいたんですが、「守り人」は二木真希子さん、「旅人」は佐竹美保さんがイラストを描くことになったのかしら?
今までは一応1冊ずつで完結してたんですが(「神の守り人」は2冊組ですが)、「蒼路の旅人」は、これだけでは完結していません。というか、ここからまた新たな物語が始まったみたいな感じ。(表紙の色合いがこれだけ違うのも、それを意識してるのでしょうか) この行方がどうなるのか早く読みたい! バルサやタンダも好きなんですけど、チャグム皇子も好きなんですよねえ。
そして守り人&旅人スペシャルサイトなんてものも見つけました。次は守り人の物語が出るそうなんですが、既に「炎路の旅人」という作品も書かれているようで... これに関しては、「読みたいという読者の声がありましたら、いずれ出版する機会もあるかなぁと思っております」とのこと。勿論読みたいに決まっていますとも! ぜひぜひ出版をお願いしたいものです。
2つに枝分かれしたシリーズも、最終的にはまた1つに戻るのでしょうね。これからどのような物語になっていくのか本当に楽しみです。(偕成社)


+シリーズ既刊の感想+
「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「虚空の旅人」「神の守り人 来訪編」「神の守り人 帰還編」「蒼路の旅人」上橋菜穂子
「天と地の守り人」1~3 上橋菜穂子
「流れ行く者 守り人短編集」上橋菜穂子
「バルサの食卓」上橋菜穂子・チーム北海道

+既読の上橋菜穂子作品の感想+
「獣の奏者」1・2 上橋菜穂子
Livreに「狐笛のかなた」の感想があります

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