Catégories:“児童書・YA(翻訳)”

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1年前に漁師だった父が海で亡くなって以来、海を憎んでいる15歳の少女ペリ。考えることをやめて海を見つめてばかりの母を置いて家を出たペリは、港のそばの宿屋で働きながら、村から離れた海辺の小さな家に暮らしていました。ペリは幼い頃からこの家に通い、1人で住んでいた老婆に不思議な物語を聞いたり魔法を教えてもらったりしていたのです。その老婆もまた、父の死の後に姿を消していました。そんなある日のこと、その村の高台にある別荘に滞在するため、王の一家が村にやって来ます。そしてペリは老婆に会いにやって来た王の息子・キールと出会うことに。

うーん、ルルル文庫って私が買うにはちょっとツラい表紙が多いんですけど...(笑)
一見、普通のラノベレーベルにしか見えないルルル文庫ですが、タニス・リーとかパトリシア・A・マキリップとか、私にとって無視できない翻訳ファンタジーを出してくれてるのがすごいんですよね。読んでないけど、ナンシー・スプリンガーやシャロン・シンの作品もあるし。まあ、タニス・リーの「パイレーティカ」は、私にとっては物足りない作品でしたが... こちらの「チェンジリング・シー」は、なかなか可愛らしい話でしたー。
ただ、マキリップらしいイメージ喚起力がいつもよりも弱い気がします... 海と魔法で、情景が広がるモチーフはたっぷりのはずなのに... 翻訳された柘植めぐみさんは、訳者あとがきによるとマキリップの作品を読んで「翻訳家になりたい!」と思われたそうなので、マキリップの魅力は十分ご存知なのだろうと思うんですけど... ここにきてレーベルの色が出てしまったのかしら。挿絵に邪魔されたってわけでもないと思うのだけど。

それにしても、今年になってから3冊もマキリップの新作が読めたなんて! それだけでも幸せだと言わなければなりませぬ。(小学館ルルル文庫)


+既読のパトリシア・A・マキリップ作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」の感想)
「星を帯びし者」「海と炎の娘」「風の竪琴弾き」パトリシア.A.マキリップ
「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」パトリシア・A・マキリップ
「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ
「ホアズブレスの龍追い人」パトリシア・A・マキリップ
「チェンジリング・シー」パトリシア・A・マキリップ
「茨文字の魔法」パトリシア・A・マキリップ

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都会の暮らしにはあまり都合の良くない目をしたマルコヴァルドさん。人々の目を引くために工夫された看板や信号機、ネオンサインや広告のチラシは目に入らず、逆に枝に1枚残った黄色い葉や屋根瓦にひっかかっている鳥の羽のような光景は決して逃さないのです。そんなある朝、仕事に行くために電車を待っているマルコヴァルドさんが見つけたのは、通りの並木の周りのわずかな土から顔を出そうとしていたきのこの頭でした。

ズバーブ商会の人夫をしているマルコヴァルドさんは奥さんと子供4人の、全部で6人家族。お給料は少ないのに養う口は多く、家賃を支払うのも滞りがち... というマルコヴァルドさんを巡る四季の物語です。春夏秋冬が5回繰り返されるので、5年間の物語ということになりますね。
んんー、これはとっても微妙...。最初はごく普通の街角の情景を切り取ったような感じで始まるんですけど、じきに現実味が少しずつ薄れていくんですよね。そういう現実と非現実の境目が曖昧な話というのは好きなんだけど、そこまで突き抜けた話というわけでもなくて、どちらかといえばホラ話のレベル? でもそれ以前にどう反応したらいいのか困ってしまう話も多かった...。家に帰るバスに乗ったつもりが、インド行きの飛行機に乗っていた、なーんて展開の場合はニヤニヤできるからいいんですけど、これって笑える話?それとも...?なんて思ってしまったのが結構多いんです。確かにユニークではあるんだけど、シュールというかブラックというか... 最初のきのこの話だって、結局きのこを食べた人みんな病院で再会することになるというオチですしね。最後の「サンタクロースのむすこたち」なんて、一体! お涙頂戴では決してないし、むしろ乾いた感じではあるのだけど、しかもどんな状況になっても生き抜いていく逞しさがあるんだけど、笑う以前にマルコヴァルドさんの貧しさとか悲哀を感じてしまうー。カルヴィーノは笑える話のつもりで書いたのかしら? イタリア人なら読めば笑える? 大人になってしまった私は笑えなかったけど、子供の頃に読んでいればまた違った印象になってたのかな?(岩波少年文庫)


+既読のイタロ・カルヴィーノ作品の感想+
「宿命の交わる城」イタロ・カルヴィーノ
「不在の騎士」イタロ・カルヴィーノ
「レ・コスミコミケ」イタロ・カルヴィーノ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」イタロ・カルヴィーノ
「イタリア民話集」上下 カルヴィーノ
「魔法の庭」イタロ・カルヴィーノ
「見えない都市」イタロ・カルヴィーノ
「マルコヴァルドさんの四季」カルヴィーノ
「冬の夜ひとりの旅人が」イタロ・カルヴィーノ
「柔かい月」イタロ・カルヴィーノ
「カルヴィーノの文学講義」イタロ・カルヴィーノ
「パロマー」カルヴィーノ
「くもの巣の小道」イタロ・カルヴィーノ
「むずかしい愛」カルヴィーノ

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東京創元社で復刊中のラング童話集の5冊目。今回はシチリアやカタルーニャ、そしてデンマークの昔話が多かったですね。25編中10編が、シチリアかカタルーニャのどちらか。そして7編がデンマークの昔話。つい先日イタリア民話集(感想)やスペイン民話集(感想)を読んだところなので、そちらで読んだ覚えのある話が結構ありました。でもデンマークの昔話にも、最近どこかで読んだ覚えがある作品が多かったんだけど、これはどこで読んだのかしら? 似たような趣向の本を続けて読むとダメですねえ。きちんとメモしておかなかったせいで、どれがどうだったのかすっかり分からなくなってます。(汗)
巻末には原書の目次も載ってるので、こちらには掲載されなかったお話が何か分かるようになってるんですけど、今回落とされたのはアンデルセンの童話が多かったようです。このシリーズは元々、日本で既に有名なお話よりも、それほど一般的でないものを優先的に収めるという趣旨だし、私もそれが正解だと思ってるので全然構わないんですが(関係ないけど、アンデルセンはあまり好きじゃないし)、日本のお話もいくつか落とされてました。「Urashimataro and the Turtle」は「浦島太郎」、「The Sparrow with the Slit Tongue」は「舌切り雀」でいいんだけど、「The Slaying of Tanuki」って何だろう? 「Slaying」は「殺害」だから、「文福茶釜」ではないはず... ほかに狸が出てくるような話って何かあったっけ。...あっ、「かちかち山」? ほかにも色々ありそうだけど、全然思い出せないやー。
それにしても「Tanuki」だなんて、ヨーロッパには狸はいないんでしょうか。元々は日本の動物だということなのかな。調べてみたら、狸は英語で「Raccoon dog」と言うようなんですけどね。...あ、Wikipediaによると、基本的な分布は「韓国、北朝鮮、中国、日本、ロシア東部」だそうです。日本だけというわけではないんですね。そして日本の「たぬき寝入り」という言葉は、猟師の銃声に驚いた狸が、弾が当たってもいないのに気絶する習性から来てますが、欧米では同じことを「Fox Sleep」と言うそうです。狐も同じ習性だったのか。面白いなあ。(東京創元社)


+シリーズ既刊の感想+(東京創元社版)
「あおいろの童話集」「あかいろの童話集」アンドルー・ラング編
「みどりいろの童話集」アンドルー・ラング編
「きいろの童話集」アンドルー・ラング編
「ももいろの童話集」アンドルー・ラング編
「はいいろの童話集」アンドルー・ラング編
「むらさきいろの童話集」アンドルー・ラング編
「べにいろの童話集」アンドルー・ラング編
「ちゃいろの童話集」アンドルー・ラング編
「だいだいいろの童話集」アンドルー・ラング編
「くさいろの童話集」アンドルー・ラング編

+シリーズ既刊の感想+(偕成社文庫版)
「みどりいろの童話集」「ばらいろの童話集」アンドルー・ラング

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14世紀初頭のイギリス。スティーヴンは伯爵の息子ながらも、幼い頃に犬に噛まれたのが原因で犬を怖がるようになり、しかも内気で心優しい性格だったために、実の姉妹や腹ちがいの兄弟姉妹にいじめられる毎日。本人も自分のことを臆病だと思い込んでいました。父親の伯爵も、スティーヴンを騎士にするのではなく修道院に入れようと考えていたのです。そんなある日、伯爵家の猟犬が7匹の子供を産み、そのうちの一番弱い仔犬が殺されようとしているのを知ったスティーヴンは、思わずその仔犬を引き取ると言ってしまいます。はじめは引き取った仔犬を密かに捨てようとするスティーヴンでしたが、崖から落ちた仔犬を助けたことから、徐々に仔犬に対する愛情を持ち、犬に対する恐怖心を克服することに。

先日読んだ高柳佐知子さんの「ケルトの国へ妖精を探しに」(感想)に出てきて興味を持った本。修道僧が福音書を描いている場面の描写が詳細だというのが読みたいなと思ったポイントで、実際その場面も満足したんですけど、いやあ、全体的にもとてもいいお話でした!
主人公のスティーヴンはとても感受性が鋭い少年なんです。物の形や色彩にも敏感で、明らかに絵の才能があるんだなという感じ。でもこの時代のことだから、男の子は何よりも騎士になるのが一番とされてるんですよね。見るからに騎士に向いてないスティーヴンは、単なる落ちこぼれ。出来損ない。誰もスティーヴンの才能や長所に気づくことがないんです。本人ですら、自分が臆病で何もできない人間だと思い込んでるし... まさに「みにくいあひるの子」状態。しかもあひるの子なら大きくなって白鳥になった自分を見ることができるのに、スティーヴンには確認する手段が全然なくて。
そんなスティーヴンに、少しずつ自信を付けさせてくれたのが犬のアミール、師となったペイガン卿、そして従者となったトマス。中でもペイガン卿の言葉は、スティーヴンに大きな影響を及ぼしてます。

じぶんのことを他人に決めてもらってはいけない。じぶんが生きたいと思うとおりに人生を生きるんだ。他人にこうすべきだと指図されて生きたりしてはだめだ。自分らしく生きなさい。そしてなんでもやりたいことがあったら、精魂込めてやるんだ。

なによりも、いつもじぶんらしく生きるんだ。他人を傷つけさえしなければ、恐れずに自分のやりたいことをやりたまえ。神はわれわれを、それぞれ別々に形造ってくださった。もし神がきみをふつうとはちがった型に入れて造るのがいいとお思いになったのなら、臆することなく人とちがっていればいいのだ。

出会いがあれば別れもあるし、それにとっても長い回り道だったんですけど、それだけに最終的に見つけた自分だけの道はスティーヴンにとって実りが大きいはず。最後にあの頑固な人の後悔も癒されることになって良かったわー。長い長い自分探しの旅の話でした。児童書なんですけど、大人にも十分読み応えがあると思います♪(すぐ書房)

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久々に読む「せむしの小馬」。先日祖母の家に行ったので、その時にこの本を持って帰ってきました。これはエルショーフが19歳の時に書いた作品で、色々なロシアの民話を元にロシア語で書かれたという詩。プーシキンや他の詩人たちがこの作品に感心して夢中になったのだそうです。
改めて読んでみると、先日読んだ「ロシア民話集」(感想)にも出てくる物語がいくつも組み合わさっているのがよく分かります。夜のうちに小麦畑をめちゃくちゃにしてしまう馬も、火の鳥も、鯨が飲み込んだ船のことも...。そういった1つ1つの物語よりもこちらの方が断然面白いから、「ロシア民話集」を読んでいてもどこか物足りなさが残ってしまったのだけど。そして私にとって「ばかのイワン」は、これが基本なのかもしれません。トルストイの「イワンのばか」も、子供の頃から好きだったんですけどね。
私の持っているのは岩波少年文庫版ですが、これは絶版。でもお話そのものは、今でもちゃんと読めるようです。ただ訳者さんが違うので、どんな感じなのかは分かりませんが...。岩波文庫版は詩の形で訳してあるんですけど、右の画像の論創社版はきっと散文訳なんでしょうしね。挿絵からして、低学年の子供向けって感じ?
今回読んでいたら「はくらいのぶどう酒」なんて言葉があって、「ああ、舶来という言葉を覚えたのは、この本だったなー」なんて懐かしかったです。そして岩波文庫版の挿絵にはV.プレスニャコフというロシアの画家の版画風の絵葉書が使われていて、そういうのもこの本が好きなところなんですよね。(岩波少年文庫)

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言わずと知れたハリー・ポッターシリーズの第6巻。先日最終巻が発売されて、図書館でもものすごい数の予約が入ってるというのに、なんで今頃第6巻?...と思われてしまいそうなんですが、まあ、元々あんまり真面目に読み進めるつもりもなかったので...。ホグワーツの魔法学校の組み分け帽子とか、そういうモチーフは楽しくて好きなんですけどね。世間の熱狂振りを見てると逆に引いてしまう... もっと面白いファンタジーなんていっぱいあるよって言いたくなっちゃう。でも身近に買って読んで押し付けてくれる人がいるものだから、どうやらシリーズを読破してしまいそうです。(笑)
ということで第6巻を読みましたが、これはなかなか面白かったです。いつもなら、今にも暴走しそうになるハリーにロンがくっついて、ハーマイオニーがなんとかブレーキをかけようとするという感じの展開だと思うんですけど(違いましたっけ...?)、今回はハリーとダンブルドアが組む場面が多いんですよね。しかもそれで明かされる新事実というのが多くって。
でも真面目に読んでないのが裏目に出て... というより間隔があきすぎてるのが問題なんでしょう。「不死鳥の騎士団」を読んだのは4年も前だし。前回起きた事件とか登場人物とか忘れてしまった部分が多かったのが、ちょっと痛かったかも。ジニーの気持ちに関しては、ちゃんと覚えてたんですけどね。
それにしても... ジニーはいつの間に美人になったんですか?(笑)(静山社)


+シリーズ既刊の感想+
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」上下 J.K.ローリング
「ハリー・ポッターと死の秘宝」上下 J.K.ローリング
(それ以前の感想は残っていません)

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ある朝フェイリムが起きると家の中がぐちゃぐちゃ。重いオーブンは壁から動いているし、玄関のドアの前には家具が積み重ねられ、テーブルも窓をふさいでいました。驚くフェイリムに話しかけたのは、油まみれの小人。小人の他にもフェイリムの腰ほどの背丈の全身毛むくじゃらの男女が沢山いました。小人は家を守る精霊ドモボーイで、毛むくじゃらの男女は畑を守るグラッシャン。そして自分たちを「生まれくるもの」から救えるのはジャッコ・グリーンだけなのだと言います。どうやらフェイリムがジャッコ・グリーンと思われているようなのですが...。

石が孵り、ワームが目覚めるのを阻止しなければならないと言われたフェイリムの仲間となるのは、木から木へと飛び移る「愚者」マッド・スウィーニーと、影をなくしてしまった「乙女」アレクシア、丸いカフェテーブルのような不思議な姿の「馬」オビー・オース。
水辺の洗濯女やバンシー、小麦畑の鬼婆などイギリス土着の妖精が多く登場します。イギリスやスコットランド、アイルランド辺りの土着の妖精がディズニーの可愛い妖精とは全然違うというのは知ってますけど、この本に登場する妖精たちは今まで読んだ本に登場していた以上に迫力があって、「妖精」というより「妖怪」と呼んだ方が相応しい感じ。でも設定としては好みの系統のはずなんだけど、訳文のせいなのかそもそもの話のせいなのか、なんだかとても読みにくかったです...。「生まれくるもの」とか「ワーム」とか言われても全然イメージが湧かなかったですし。しかも情けない主人公の成長物語でもあるんですが、主人公自体もイマイチ。逃げ惑いながら嫌々続ける旅の話なんて読んでてあまり楽しくないですしね。
途中でちょっと面白くなりそうな感じだったのに、ラストの詰めはやっぱり甘いような... 訳者あとがきに書かれているほど深みも味わい深さも感じられなくて残念。以前読んだ「不思議を売る男」は面白かったと思うのになあ。(偕成社)


+既読のジェラルディン・マコーリアン作品の感想+
「ジャッコ・グリーンの伝説」ジェラルディン・マコーリアン
Livreに「不思議を売る男」の感想があります)

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