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性倫理に厳格で、いかがわしさを連想させるものは机の脚ですら布で包み隠されたというヴィクトリア王朝の英国が舞台。そこには、性に対する様々な妄想を抱いた紳士が招かれる屋敷がありました。その屋敷に住むのは、屋敷の主人と3人のメイド、そして「語り手」。

というあらすじでは全然説明できてないんですが(笑)、いや、すごい話でした... 酒見さんが色んな作品を書いてらっしゃるというのは知識としては知ってたんですけど、でも「後宮小説」「墨攻」「陋巷に在り」「童貞」「周公旦」... と、中国物しか読んだことなかったんです、私。そこにいきなりヴィクトリアンなイギリス。しかも... えええ、もしかしてエロエロですか?! うわーん、びっくり。

でも読んでみると、確かにエロエロ(笑)だし、童貞喪失から性倒錯、性奴隷にSMとすごいラインナップなんですけど(笑)、酒見さんにかかると全然隠微じゃないんですよねえ。むしろ上品な軽快さがあるような... いや、面白かったです。人前ではちょっと読みたくないし、読めないですが。電車で隣り合わせたおじさんに本を覗き込まれた日には、切腹ものですが...! でも酒見さんって、こういうヘンな話を書くのが上手いですねー。本当はまともな中国物の方が好きですけど、でも実は本領発揮って気がします。
しかしこの作品が「文學界」に載っていたとは... 驚き。いや、実は意外と相応しいのか?(笑)
読み始めた時は「表紙のミュシャに騙された!」と思ったんですが、でも読み終わってみると、やっぱりミュシャが良く似合っていたのかもしれません。(って、本当かなあ? 笑)(文春文庫)


+既読の酒見賢一作品の感想+
「陋巷に在り」1・2 酒見賢一
「陋巷に在り」3・4 酒見賢一
「陋巷に在り」5・6 酒見賢一
「陋巷に在り」7・8 酒見賢一
「陋巷に在り」9・10 酒見賢一
「陋巷に在り」11・12 酒見賢一
「陋巷に在り」13 酒見賢一
「語り手の事情」酒見賢一
「聖母の部隊」酒見賢一
「ピュタゴラスの旅」酒見賢一
「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一
「中国雑話 中国的思想」酒見賢一
Livreに「後宮小説」「墨攻」「童貞」「周公旦」の感想があります)

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作家としてデビューしながらも行き詰っている孝夫と、第一線の医師として国際的に活躍しながらも心のバランスを崩してしまった美智子の2人は東京を引き払い、孝夫が子供の頃を過ごした信州の田舎へ。そこで2人が出会ったのは、96歳のおうめ婆さんと、難病を抱えながらもおうめ婆さんにインタビューしながら「阿弥陀堂だより」という広報誌にコラムを書く24歳の小百合でした。

本が好き!お気軽読書日記のもろりんさんにオススメして頂いた本。豊かな自然に囲まれてゆったりとした空気が流れ、物語は淡々と進んでいきます。孝夫と美智子という夫婦には、実際に医者さんであり作家でもあるという南木佳士さんご自身が投影されているのでしょうね。そしてその2人に、自分自身を改めて見直すきっかけをくれるのが、おうめ婆さんと小百合の2人。小百合も可愛いんですけど、このおうめ婆さんがとにかく素敵なんですよー。何気ない一言に人生の重みがあってじわりとくるし、その自然体な生き方といったら、生半可な親切心が虚しくなっちゃうほど。もちろん自然というのは厳しいものだし、その中で自然体で暮らすことの大変さは半端ではないのですが...。この作品は映画化されてて、おうめ婆さんを演じたのが北林谷栄さんなのだそう。きっと絶品なんだろうなあ。観てみたくなっちゃいました。(文春文庫)

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夏目漱石「夢十夜」、内田百閒「冥途」、萩原朔太郎「猫町」。いずれもパロル舎の本です。たらいまわし企画第8回「あなたが贈られたい(贈りたい)本はなんですか?」の時に、日々のちょろいものちょろいもさんが挙げてらして、金井田英津子さんの挿画や装幀があんまり素敵なので、ついつい贈ってもらっちゃったんですけど(笑)、あまりの素敵さに、逆に読めずに寝かせてあったんですよね。(積んでるというのとはまたちょっと違う感覚) でも先日のたらいまわし企画「夜の文学」で、moji茶図書館のmoji茶さんが「冥途」を挙げてらしたり、おかぼれもん。のpicoさんが「猫町」を挙げてらしたり、ワルツの「うたかた日記」のワルツさんが「夢十夜」を挙げてらっしゃるのを見て、これはやっぱりすぐに読もう!と思ったのでした。
で、読んでみて。ほんとどれも素敵です。私は「夢十夜」だけが既読だったんですが、既に知ってる物語でも挿絵に邪魔されるどころか、逆に新たなイメージを膨らませてくれるみたいだし、知らない話は尚更、この独特な世界に引きずり込まれるみたい。これはもう既に挿絵というレベルではなく、コラボレーションですね。作り手の神経が隅々まで行き届いているが分かります。妖しくて美しくて、まさに夜の世界。ああ、こういう本は、誰かに読み聞かせてもらいたい...。ページをめくるのがなんだか惜しかったです。
内田百閒作品、もっと読んでみたいなあ。


+既読の夏目漱石作品の感想+
「夢十夜」「冥途」「猫町」
「明暗」夏目漱石・「続明暗」水村美苗
「対訳 テニスン詩集」「倫敦塔・幻影の盾」夏目漱石

+既読の内田百閒作品の感想+
「夢十夜」「冥途」「猫町」
「ノラや」「御馳走帖」内田百閒

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「トリエステの坂道」で、すっかりその世界に浸ってしまった須賀敦子さん。これは先日「トリエステの坂道」を読んだ時に、屋上庭園荘の居里悠未さんが「書評としてならこれを」と仰って下さった「本に読まれて」です。海外の小説を中心に、古典や詩集など沢山の作品が紹介されていきます。
実は私は新聞の書評欄も滅多に見ないし、プロの書評家さんの書評というのもほとんど読んだことがないので、そういった意味ではあまり比較できないんですけど(ネットでの書評は沢山読んでますが!)、こういう切り口で書評を書くのか、というのがとても新鮮でした。視点が鋭くて、それでいてどこか初々しい印象。相当幅広く多くの本を読んでらっしゃるんでしょうけど、本を読むこと書評を書くことに、「慣れ」のようなものがなくて、常に初心で正面から向き合っているという感じ。それに書評というより、既にエッセイのような... 独自の世界ですね。読んでいて心地良かったです。(須賀さんの書評に比べて、私の感想の、あまりに単純で詰まらないことといったら...っ。)
ただ、私自身が、ここに紹介されている本のほとんどを読んだことがないというのが、ちょっと残念。文学系には弱いんですよね、私...(^^;。あ、それでも十分面白かったし、先日アントニオ・タブッキ「インド夜話」を読んだばかりなので、その書評や本にまつわるエピソードなどが特に興味深かったです。色々と読んでたら、もっと楽しめたんだろうなあ。でもここで紹介されてる本を読んで、またこの本に戻れば、「1粒で2度美味しい」的に楽しめそう。
うーん、私ももっと色んな本を読まなくっちゃなー。特に須賀さんが傾倒してらっしゃる池澤夏樹さんの作品、読んだことないんですよね。今度挑戦してみよう。(中公文庫)


+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

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昨日読んだ「インド夜想曲」の訳者、須賀敦子さんのエッセイ。これも前回のたらいまわし企画「旅の文学」で、コウカイニッシ。のあさこさんが紹介されていた本です。「ゆるやかでとても深くて、やさしい」だなんて、それは何とも読みたくなってしまうではないですかー。
最初は須賀さんがユダヤ人の詩人・サバに憧れてトリエステの街を訪れたことに始まり、イタリア人のご主人とのこと、お姑さんや義弟夫婦のこと、イタリアで出会った人々のことなど、合わせて12編のエッセイが収められています。でも確かにエッセイではあるんですけど、まるで物語を読んでいるみたいでした。情景も登場人物もとても生き生きとしていて、場面場面が浮かんでくるんですよね。文章も読んでいて心地良いし... 日本語としてもとても美しいと思うし、その美しさ以上に、穏やかに優しく包み込んでくれるような懐の深さが心地よかったです。
トリエステという街の名前から、どうしても「triste(悲しい)」という言葉を連想してしまって、なんだか物哀しい気持ちで読み始めてしまったんですけど、でもそれもあながち間違ってなかったのかも...? という静かな余韻が残りました。これは確かに「ゆるやかでとても深くて、やさしい」ですね。しかも芯の強さもあって。...いいなあ、須賀敦子さん。他の作品もぜひ読んでみなくっちゃ。(新潮文庫)


+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

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取り上げられているのは、ルドヴィヒ2世、ゲオルギー・イヴァーノヴィッチ・グルジエフ、ロベール・ド・モンテスキュー、ウィリアム・ベックフォード、ジル・ド・レエ、サンジュスト、ヘリオガバルスという、3世紀から20世紀までの異端とされる7人の人物。同じ澁澤氏による「世界悪女物語」の男性版といったところでしょうか。ヴィスコンティ監督の映画で有名になったルドヴィヒ2世なんかは結構知ってたんですけど、全然名前を聞いたこともない人もいて、でもなかなか面白い人物が揃っていて楽しかったです。それぞれに写真や肖像画、彫像などが掲載されているというのも嬉しいところ。素直にハンサムだなあと思う人もいるんですけど、「えっ、この顔でそんなにモテたのかっ」なんて思っちゃう人も...。(殴)(河出文庫)


+既読の澁澤龍彦作品の感想+
「私のプリニウス」澁澤龍彦
「異端の肖像」澁澤龍彦
「夢のある部屋」澁澤龍彦
「澁澤龍彦初期小説集」澁澤龍彦
「夢のかたち」「オブジェを求めて」「天使から怪物まで」澁澤龍彦
「高丘親王航海記」澁澤龍彦
「東西不思議物語」澁澤龍彦
Livreに「世界悪女物語」「幻想博物誌」「夢の宇宙誌」「フローラ逍遥」の感想があります)

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2000年も昔に、古代ローマの博物学者プリニウスが記した「博物誌」全37巻。その「博物誌」から、澁澤龍彦氏が興味のある部分をランダムに紹介していった本。
この本で一番可笑しかったのは、プリニウスのことを引用魔だと言ってる割に、澁澤氏の引用も相当なこと。アリストテレスやヘロドトスの丸写しだと言いながら、澁澤氏も「博物誌」を丸写ししてたりしませんか...?(笑) とは言っても、引用するだけでなく、それらの引用に対するツッコミも充実。「博物誌」は読んでみたいけど、本格的に読もうと思ったら物凄く大変だし、これは丁度いい入門編にもなりますね。それにしても、絶対存在しないと思えるようなものでも、まことしやかに語られてるのって、ほんと面白いなあ。
で、この中に、一本脚でぴょんぴょん飛んで移動するという単脚族の話が登場するんですよね。暑くてたまらない時には地面に仰向けになって寝て、足で影を作って涼むって... これはどこかで読んだことが! しかも挿絵もあったはず。やっぱりナルニア? だとしたら、「朝びらき丸東の海へ」かしら? 手元に本がないから確認できなーい。(河出文庫)


+既読の澁澤龍彦作品の感想+
「私のプリニウス」澁澤龍彦
「異端の肖像」澁澤龍彦
「夢のある部屋」澁澤龍彦
「澁澤龍彦初期小説集」澁澤龍彦
「夢のかたち」「オブジェを求めて」「天使から怪物まで」澁澤龍彦
「高丘親王航海記」澁澤龍彦
「東西不思議物語」澁澤龍彦
Livreに「世界悪女物語」「幻想博物誌」「夢の宇宙誌」「フローラ逍遥」の感想があります)

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