Catégories:“文学(翻訳)”

Catégories: / /

 [amazon]
主に、20代後半から30代ぐらいの女性を描いた13の短編。既に若さだけで突き進んでいけるほど元気でもなく、忙しい日々の中で恋も仕事もあまり順調でなくなってきている、ちょっと生活に疲れた女性たちの姿が描かれていきます。描き方がかなりドライなので、読みやすかったんですが、1冊通して読もうとしないで、短編1つずつを別々に読んだ方が良かったかも。元々短編集が得意じゃない私、途中でちょっと飽きてしまいました...。一番短い「初めての地震」という作品のインパクトから見ても、短編的なセンスは十分ある方みたいなんですけどね。
そして読みながらちょっとびっくりしたのは、結構日本について書かれた部分があること。登場する女性が着物を着ていることも多かったし、「日本には、クリスマス・ケーキ現象というのがある。(中略)ところがクリスマス当日の二十五日になったら、東京じゅうを探して歩いても、ケーキはひとつも見あたらない。それまでにケーキは全部捨てられてしまうのだ。無料であっても、ケーキをほしがる人はもういない。日本では、二十五歳の女はクリスマス・ケーキと呼ばれている」ですって!(笑)(ハヤカワepi文庫)


ということで、ハヤカワepi文庫を立て続けに読んできたんですが、手元にあるのはこれでオシマイ。また近いうちに仕入れて来なくっちゃ。これで14冊読んだことになるんですが、全部で33冊あるから、まだ半分も読んでないんですね。まだまだ楽しめそうです~。

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
13歳だった末っ子のセシリアの自殺をきっかけに、自殺に魅入られ始めたリズボン家の姉妹たち。彼女たちが自殺したのは、6月のヘビトンボの季節のことでした。一体彼女たちに何があったのか...。

美しいリスボン家の姉妹たちに憧れていつも見つめていた「ぼくら」がまとめあげたという体裁の作品。実は以前、ほしおさなえさんの「ヘビイチゴサナトリウム」を読んだ時にこの作品のことが出てきて、それからずっと気になっていた作品なんです。なんとハヤカワepi文庫に入っていたとはー。
でも、あまり期待通りではなかったです...。どうにも読みにくくて堪りませんでした。もう本当にこの題名の通りの内容で、一種異様な雰囲気の中で、破滅に向かっていく姉妹たちが淡々と描かれていくんですが... 解説には70年代のアメリカを象徴しているようなことが書かれてたんですけど、その辺りも正直あまりピンと来なかったし...。この作品は映画にもなっているので、そちらを観た方が良かったのかも。
本当は彼女たちを守ろうとしていただけの母親が、結果的にここまで彼女たちを追い詰めてしまったというのが何とも...。反抗しようとしても、結局その呪縛に囚われてしまっていた彼女たち。育てられた歳月の重みを感じてしまいます。(ハヤカワepi文庫)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
大学が冬休みに入り、4ヶ月ぶりでニューハンプシャーからロサンゼルスに帰ってきたクレイ。両親は別居中で、家にいるのは母親と2人の妹。毎日のようにコークできめて、友人らとパーティーに繰り出すクレイの日々を描いた作品。

昨日は村上春樹作品かと思ったら、こちらはまるで、村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」! でも「レス・ザン・ゼロ」が発表された当時、アメリカでは衝撃的だったらしいんですが、「限りなく透明に近いブルー」が発表されたのは1976年。「レス・ザン・ゼロ」は1986年。こちらの方が10年も後なんです。それを考えると、「限りなく透明に近いブルー」って、世界的に見ても早かったんですねえ。

ここに描かれているのは、80年代の西海岸の、セックスにドラッグにパーティ三昧の、虚無的で退廃的な日々。プールがあるのが当たり前のような裕福な家に生まれ育ちながらも、全てにおいて投げやりで無軌道な若者たち。常に他人と一緒にいなければ時間を潰すこともできないような彼らなのに、他人と本質的に関わることは避けていて、あくまでも表面的なつきあいだけ。
んんー、悪くはないんでしょうけど...
私はやっぱり「限りなく透明に近いブルー」の方が格上のように思いますね。先に出会ったのがそちらだったというのも大きいのかもしれないですが。...どちらにしても、アメリカの若者の無軌道な話って、あんまり好きじゃないんですよね(^^;。(ハヤカワepi文庫)

| | commentaire(5) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
その図書館は、普通の図書館とは違い、人々が大切な思いを綴った本を保管するだけのために存在する図書館。保管された本を調べたり読んだりする人は誰もおらず、図書館に来るのは、自分が書いた本を置きに来る人々だけ。そして「わたし」の仕事は、それらの人々に会って本を受け取り、その本を登録すること。人々は24時間いつでもやって来るので、この職について以来3年間、「わたし」は図書館から一歩も出ない生活を送っていました。そんなある日やって来たのはヴァイダ。並外れて美しい自分の容姿を恥じていたヴァイダですが、「わたし」と恋に落ちて図書館に暮らし始めることに。

一読して感じたのは、まるで村上春樹作品みたい!ということ。そして、人々が書き綴った本は誰にも読まれることなく図書館に保管され、図書館がいっぱいになると洞窟に移され、そのうちに朽ち果てることになるのですが、その部分はまるで「恥」を全て川に流しているボリス・ヴィアンの「心臓抜き」(感想)のようでした。こういう不思議感覚の作品は大好きです♪

でも、読み終えてから原題の「THE ABORTION」を見てびっくり。これは直訳すると「堕胎」のこと。そして訳者解説によると、ヒロインとなる「ヴァイダ」(Vida)の名前は「生命」を表す「Vita」から来ているのだそうです。この作品のテーマは、「生」と「死」だったんですね。
そう思って読み返してみると、物語のモチーフが色々と深い意味を内包していることに気づきます。まずここの図書館は、様々な人々が自分の書いた本を置き去りにする場所。新しい命をせっかく生み出したかと思えば、人々はそれらの命をこの図書館に捨てていってしまうんですよね。まるで「堕胎」のように。そして「わたし」とヴァイダは、本当の堕胎のためにはるばるメキシコまで行くことになるんですが、彼らにとってのメキシコは、本を書いた人々にとっての図書館。結局、その旅によって「わたし」は結局職を失ってしまうことになるんですが、図書館から外の世界に出ようとする「わたし」の姿は、まるで子宮から生まれ出る赤ん坊のようにも見えてきます。
リチャード・ブローティガンの作品は初めて読んだんですけど、いいですね。他の作品も読んでみたいです。(ハヤカワepi文庫)


+既読のリチャード・ブローティガン作品の感想+
「愛のゆくえ」リチャード・ブローティガン
「西瓜糖の日々」R.ブローティガン

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
アメリカの黒人作家にして初のノーベル賞受賞者という女流作家・トニ・モリスンの作品。そういえば黒人作家による黒人の物語というのは、ほとんど読んだことがないかもしれません。これは黒人の少女ピコーラの物語。

ここに書かれているのは、黒人の中の差別意識。登場するピコーラという少女は、学校に友達なんて1人もいないし、黒人の少年たちにすら軽蔑され、いじめられています。黒人対白人という構図なら分かりやすいんですが、ピコーラが通ってる学校は、別に黒人蔑視というわけではないんです。転校生としてモーリーン・ピールという少女も登場するんですが、この子も黒人でありながら、周囲には「夢のようにすてきな黒人の女の子」と思われてます。とても裕福な家に生まれ育ち、肌の色は薄く、黒人はもちろん白人の子供たちも彼女のことをからかおうとしないどころか、むしろ魅了されてるんですよね。先生すらも。
黒人の中でも肌の黒さによって差別感情があるのは当然のことかもしれないんですけど、ピコーラがこれほどまでに手ひどく蔑視されているというのは衝撃的でした。むしろ白人と結婚する黒人の方がどっちつかずの状態で敬遠されやすいのかと思っていましたよ...。(この辺りの状況には、とんと疎くてお恥ずかしい) 黒人の中に、ここまで白人本位な美意識が入り込んでいたとは。そしてピコーラは、自分の眼が青い綺麗な眼だったらみんなに愛されると思って、毎晩のように神様にお祈りするんですよね...。
この作品は1940年代のアメリカの話だし、もちろん今とは多少状況が違うとは思うんですが、それでもきっと黒人による黒人差別はおそらくなくなってないんでしょうね。ピコーラをいじめる黒人の少年たちも、肌はピコーラと同じように黒いんです。白人に差別され続けている鬱憤がピコーラに対して噴出してるというのは分かるんですけど、これじゃあ、自分自身を貶めているのと同じこと。
でもこの作品において、作者は加害者側にも被害者側にも加担しようとはしません。ありのままの事実を淡々と書いているだけ。そしてピコーラや彼女の両親の人生を遡ることによって、その差別的な心情がどのようにして形成されていったのか、分かるような構成となっています。考えさせられる作品でした。(ハヤカワepi文庫)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
先日「日の名残り」(感想)がものすごーく良かったカズオ・イシグロさんの作品。今回は英国だけでなく、日本も舞台になってるんですね。現在英国の田舎に住んでいる悦子と、ロンドンから訪ねて来た娘のニキの会話、そして長崎に住んでいた頃の悦子の回想シーンで物語は進んでいきます。回想に主に登場するのは、長崎にいた頃に悦子の夫だった二郎、その父親の緒方さん、近所に住んでいた佐知子とその娘の万里子。

長崎に住んでいたはずの悦子がなぜ今は英国に住んでいるのか、二郎との間に一体何が起きたのか、そして回想シーンに一番多く登場する佐知子やその娘の万里子が悦子の人生に、本質的な意味でどのように関与しているのか分からないまま、悦子の回想は続いていきます。はっきりと分かるのは、景子という娘がいたけれど、彼女が自殺してしまったということだけ。「景子は、ニキとはちがって純粋な日本人だった」という文章から、この景子がおそらく二郎との間に出来た娘であろうということ、悦子が日本人ではない夫と再婚したこと、夫が娘に日本名をつけたがったという部分から、その男性が親日家らしいことだけは分かるんですが、今どこでどうしているのやら。生きているのでしょうか、それとも既に亡くなっているのでしょうか。どうやら家にはいないようです。となると、やはり亡くなったと考える方が妥当なのでしょうか。そして、すぐには分からなくてもそのうちに明かされるのだろうと思っていた部分が、結局ほとんど明かされないまま物語は終了してしまってびっくり。
確かに普通の人が過去のことを思い出す時は、自分以外の人間に説明するように思い浮かべるわけじゃないし、きっとこんな感じですよね。もっととりとめがなくてもおかしくないです。でも幼い頃に英国に渡り、そのまま帰化、日本語を外国語として育ったというカズオ・イシグロ氏が、こんな風に行間から感じ取るタイプの作品も書かれるとは意外でした。英国人というより、日本人の作品みたい。
回想シーンを見る限り、悦子と佐知子はまるでタイプの違う女性。2人の会話はどこまでいっても噛み合いませんし、理解し合っているとは言いがたい状態。長崎にいた頃は良妻賢母タイプだった悦子と、あくまでも「女」である佐知子とは全く相容れないのですが... 後から振り返ってみると、佐知子と万里子の関係は、悦子と景子の関係に重なるんですよね。景子を死に追いやったのは結局自分なのではないかと感じている悦子。1人の女性の中に「母」であること、「妻」であること、「女」であることが上手く同居できれば良いのでしょうけれど、大抵はどれか1つに比重が傾きがちでしょうし、それが自分の本当の望みとは違っていた場合は...。
すっきりとはしないんですけど(笑)、色々余韻が残る作品です。(ハヤカワepi文庫)


+既読のカズオ・イシグロ作品の感想+
「日の名残り」カズオ・イシグロ
「遠い山なみの光」カズオ・イシグロ
「わたしたちが孤児だったころ」カズオ・イシグロ
「浮世の画家」カズオ・イシグロ
「私を離さないで」カズオ・イシグロ
「充たされざる者」カズオ・イシグロ

| | commentaire(2) | trackback(2)
Catégories: / /

 [amazon]
昨年の9月に付き合い始めてから、彼が電話をかけてきて、家へ訪ねてくるのを待つだけの生活になってしまった「私」。仕事や日常的な用事は無難にこなすだけ。しかし彼は妻子のある東欧の外交官。じきに任務を終えて、母国に戻ることになります。

本国フランスでは、出版されるやいなやベストセラーとなり、マルグリット・デュラスの「愛人(ラマン)」と並ぶほどの売れ行きを示したという作品なのだそうです。
でも、私には今ひとつピンと来なかったかな...。よくある恋愛物とは一線を画してると思うんですよね。あくまでも自分のことを客観的に見てシンプルに書いてるのがいいと思うし。でも、惹き込まれなかった。斉藤由貴さんが解説で、「あなたは、自分を見失う程の恋愛に溺れた事がありますか」と書かれてるんですが、もしかしたら私が惹き込まれなかったのは、そういう経験が乏しいせいなのかも? 恋愛はしてても、自分を見失う程恋愛に溺れたことなんて、あったかしら...。ここまで純粋に相手のことだけを思って生活することができるのって、確かに1つの贅沢かもしれないなあ。
もちろん、経験がなくても惹き込まれる人は惹き込まれるんでしょうね。恋をしている最中よりも、恋を失った時に読んだ方がしみじみと響いてくるような気がします。(ハヤカワepi文庫)

| | commentaire(0) | trackback(0)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.