Catégories:“文学(翻訳)”

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「停電の夜に」は下でも書いた通り読了済だったんですけど、続けて「その名にちなんで」も読んだので一緒に。
「停電の夜に」は、ピュリッツァー賞、O・ヘンリー賞、PEN/ヘミングウェイ賞、ニューヨーカー新人賞、The Best American Short Storiesなどなど、アメリカでものすごーく高い評価を受けている、ジュンパ・ラヒリのデビュー短編集。「その名にちなんで」は、それに続く2作目で長編。どちらにも共通してるモチーフはインド。ジュンパ・ラヒリ自身はロンドン生まれのニューヨーク在住ですが、両親はカルカッタ出身のベンガル人なのだそうです。すっごい美人!
文章はそっけないほど無駄がなくて、ほんと淡々としてるんですけど、でも実はすごく鮮やかだし、余韻が残るんですよね。それがとても不思議。面白くない人には全く面白くないでしょうし、そういう人も結構いるんじゃないかと思います。でも逆にクセになってしまう人も多そうな感じ。基本的に短編集は苦手な私なんですが、「停電の夜に」はとても良かったし、長編の「その名にちなんで」も言わずもがな。でも色々と思ったことはあるのに、言葉にするのが難しい...。とにかく他の作品もぜひ読みたい作家さんです。早く3作目も訳されないかな。(「停電の夜に」は文庫でも出てるんですけど、クレストブックスの表紙が好きなのでこちらで~) (新潮クレストブックス)


+既読のジュンパ・ラヒリ作品の感想+
「停電の夜に」「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ
「見知らぬ場所」ジュンパ・ラヒリ

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鬱病のペンギン・ミーシャと一緒に暮らしている、売れない作家の物語。
ソ連の崩壊後に独立したウクライナの首都・キエフが舞台で、まだかなりきな臭い状態なんですけど、そんな状況の中に、このペンギンがすごく効いてるんですねー。もうほんと、とにかく可愛い。主人公が座っているとその膝に身体を押し付けてみたり、バスタブに冷たい水を入れてる音を聞きつけてペタペタとやって来て、水がたまるのを待ちきれずにバスタブに飛び込んだり。主人公をじーっと見つめてみたり、どことなく嬉しそうだったり。勿論何もしゃべらないんですが、なんだかとっても雄弁なんです。やっぱりペンギンと聞くと、あのペタペタ歩くユーモラスな姿が浮かんでくるのがポイントなんでしょうね。他の動物じゃあ、ちょっと出せない味だ~。
でもそのペンギンは憂鬱症。訳者あとがきにあるクルコフのインタビューによると、ペンギンは集団で行動する動物なので、1羽だけにされると途方に暮れてしまうんだそうです。そしてその姿は、ソ連時代を生きてきた人間にそっくりとのこと。ミーシャは動物園から解放され、人々はソ連から解放されても、最早「自由」に順応できなくなっているんですね。そしてそれは作中でペンギン学者の老人が言う、「一番いい時はもう経験してしまった」という言葉に繋がります。動物園での生活、ソ連にとらわれていた時が「一番いい時」というのが何ともいえない...。
主人公も孤独でペンギンも孤独、一緒にいるからって孤独じゃなくなるわけじゃなくて、孤独が寄り添っているという辺り、分かるなあ。

読みながら、どこか村上春樹作品の雰囲気があるなあと思ってたら、訳者あとがきにクルコフは「羊をめぐる冒険」が好きだと書かれててびっくり! 文章だけの問題じゃないのは分かってますが、それでも日本語をロシア語に変換して(「羊をめぐる冒険」)、ロシア語を日本語に変換しても(「ペンギンの憂鬱」)、やっぱり雰囲気が似てるってなんだかとっても不思議です。(笑)

これは新潮クレストブックスの1冊。やっぱりこのシリーズ、もっともっと読みたいな。(新潮社)

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11歳の時に母を亡くし、大学3年生の時に伯父を亡くして天涯孤独となったマーコは、伯父の残した蔵書を売り払いながら細々とした生活を送ることに。しかしとうとう家賃を滞納して部屋を追い出されてしまいます。セントラル・パークで飢えと病気で死ぬ寸前だったマーコを見つけて救い出したのは、親友のジンマーとダンサーの卵・キティ・ウー。マーコはジンマーの部屋で介抱されて健康を取り戻し、車椅子に乗った盲目の老人トマス・エフィング相手の住み込みの仕事をみつけるのですが...。

たらいまわし企画・第12回「爽やかな春に読みたい青春小説」で、お題を出されたあいらブックス!のみらくるさんが挙げてらした本。ポール・オースターは今まで「シティ・オヴ・グラス」と「幽霊たち」を読んでいて、それぞれに惹きこまれたんですが、、本当に私は理解しきれてるのかな... って感じでもあったんですよね。この「ムーン・パレス」は、これまでで一番私に合ってたみたい。面白かったです! 枠組みが一番物語らしくて馴染みやすいからかも。それに主人公の状況は、一時はかなり悲惨なとこまでいっちゃうんですけど、でもそういう時でも虚勢を張っちゃう主人公の姿がどこかコミカルで、全然暗くならないんですね。むしろ爽快。みらくるさんが村上春樹作品のような雰囲気と言われていたのも納得の素敵な青春小説でした。
この作品は、確かに主人公・マーコの物語ではあるんですけど、でもこの1冊の中には3人の人間の人生が丸ごと入ってました。ぎっしり。それに開くページによってこれほど印象が変わる作品というのも珍しいかも。基本は青春小説なんですが、恋愛小説だったり冒険譚だったり、読む場所によって全然違う表情を見せてくれるんです。こういう作品は1度読んでそれっきりというのは勿体ないですね。折に触れて何度も読み返したら、そのたびにまた新たな発見がありそうです。「シティ・オヴ・グラス」と「幽霊たち」も、また機会を作って再読しようっと。今読んだら、また違った印象を受けそうな気もします。(新潮文庫)


+既読のポール・オースター作品の感想+
「ムーン・パレス」ポール・オースター
「ミスター・ヴァーティゴ」ポール・オースター
Livreに「シティ・オヴ・グラス」「幽霊たち」の感想があります)

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イギリスの田舎町に青年紳士ビングリーが引越して来て、5人姉妹の母であるミセス・ベネットは娘のお相手にぴったりと大騒ぎ。ビングリーはその近辺で一番の美人と評判の長女ジェーンを気に入り、ビングリーの親友で気難し屋のダーシーは、次女のエリザベスを気に入ります。しかしエリザベスはダーシーのことを鼻持ちならない人物と考えていて... という物語。主人公は次女のエリザベスです。

以前、本が好き!お気楽読書日記のもろりんさんに薦めて頂いていた本。サマセット・モームの「世界の10大小説」のうちの1作でもあります。とは言っても私はモームがあまり好きじゃないので、10大小説自体には全然興味がなかったんですが... でもやっぱり良いものは良いですね! この作品は夏目漱石も大絶賛、なんとジョージ4世も愛読していたのだそう。
読んでみて、まず1813年に発表されたという作品なのに、全然古臭さを感じさせないのがびっくり。ストーリーは完全に予想の範囲内だし、それほど事件らしい事件も起きないんですけど、でも一旦読み始めたらページをめくる手が止まらない~。登場人物それぞれに結構大きな欠点があるんですけど、でもみんな生き生きとしていてすごく楽しいのです。オースティンは、大学の授業で原書を読んだ覚えがあるんですが(でも別作品)、その時はそれほど印象に残らなかったんですよね。やっぱり読解力がなかったせいなのか... それとも私にとっては読む時期ではなかったのか。(サマセット・モームも今読んだらまた印象が変わるかも) 他のオースチン作品も読んでみたいです。
でもこの作品、絶対題名で損してるかと。「自負と偏見」だなんて、めちゃくちゃ堅そうじゃないですか。岩波文庫版やちくま文庫版は「高慢と偏見」だし、これじゃあちょっと手に取りたくならないですよね。ほんとは凄く面白いのに勿体ないなー。(新潮文庫)

で、この作品とは直接関係ないんですが... エリザベスって、時々「エライザ」とも呼ばれているんですよね。「エライザ」... もしかして読み方によっては「イライザ」? ということは、もしかして「キャンディ・キャンディ」のイライザは「エリザベス」だったのか...?!(爆) 


+既読のジェイン・オースティン作品の感想+
「自負と偏見」オースチン
「エマ」上下 ジェイン・オースティン
「分別と多感」ジェイン・オースティン
「マンスフィールド・パーク」ジェイン・オースティン
「ジェイン・オースティンの手紙」ジェイン・オースティン
「説きふせられて」ジェーン・オースティン
「ノーサンガー・アベイ」ジェーン・オースティン

+既読のジェイン・オースティン関連作品の感想+
「ジェイン・オースティンの読書会」カレン・ジョイ・ファウラー

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これは前回のたらいまわし企画「旅の文学」で、肩までまったり。のne_sanさんが紹介されていた本。「暑苦しい真夏の夜に読むのには、一押しの一冊です」「夏に向けて、「積読熟成」なさるなら、この春がチャンス!」とのことだったんですが、熟成を待ちきれずに、読んでしまいました。(笑) このアントニオ・タブッキというのは、現代イタリア文学を代表する鬼才の1人なのだそう。...と書いてるワタシは、名前を聞いたこともなかったのですが...(^^;
内容は、失踪した友人を探してインドの各地を旅する男の物語。でも手がかりがあまりに少なくて、主人公は細い糸を辿るように色々な場所を訪れて、様々な人に話を聞くことになります。場末の娼婦に「彼は病気だった」と聞けば病院を訪ね、そこにも何も手がかりがないと知ると、医者がふと名前を出したホテルに泊まりに行き... と、確実に足取りを辿っているわけじゃないんですが、細い糸を手繰り寄せるように訪ねまわる主人公。でもそうやって訪ね歩いているうちに、なんだかまるで合わせ鏡の中に入り込んでしまったような感覚なんです。...そして最後にその鏡に映ったものは...? (鏡というのは私が連想しただけで、作中には登場しません) インドを辿る旅でありながら、自分自身の内面の旅でもあるんですね。とても幻想的。ごく短い作品なんですけど、とても不思議な感覚で、これはクセになりそうです。もうちょっと何回か読み返してみようっと。
上のAmazonのリンクは単行本版。表紙の画像が出てこなかったのですが、もっとお手頃な新書版はコチラ。私が読んだのもそっちです。(白水uブックス)

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ブラジルの片田舎に生まれたマリーアは、21歳の時に芸能プロデューサーに連れられてスイスへ。そして22歳となったマリーアは、今や売れっ子の売春婦。...と書くと、いかにも田舎のちょっと可愛い女の子が都会の男にひっかかって人生狂わせたって感じになっちゃうんですけど(^^;、でもそういうんじゃないんです。マリーアは常にとてもポジティブ。きちんと自分自身の足で立って、自分の頭で人生を考えているから、きっと今も昔もこれからも後悔なんてしないんだろうな。なかなか素敵な女の子でした。
マリーアの職業柄というわけでもないんだけど、直接的な表現が多いので、これを電車の中で読んでたら周囲の目を気にして無闇にどきどきしてしまいそうなんですが(笑)、 でもマリーアの言葉はとても深くて哲学的。それに結局のところは、純粋なラブストーリーだったような気がします。ラストも良かったな。(角川書店)

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映画にもなった「ショコラ」と同じく、フランスの小さな村ランスクネ・スー・タンヌが舞台の物語。「ショコラ」の5年後ぐらいですね。ヴィアンヌとアヌークはいないんですが、ジョゼフィーヌがカフェの女主人となっていたり、川のジプシーだったルーが村に居ついていたりと、「ショコラ」にいた人々も再登場です。でも舞台や登場人物はある程度共通してても、物語としてはまったく別。今回の主人公はイギリス人の作家です。や、この作家が情けない人でねえ... 「ショコラ」のヴィアンヌのようには、すっと入れないんですよね。それに読んでるだけでチョコレートの甘い香りが漂ってくるような「ショコラ」に比べると、ワインの芳醇な香りが... という感じでもなかったし。(しかも、ワインとは言っても要は果実酒) でも、このワインが結果的にはすごく良かった! ワインを作った老人の不思議な魔法にかかったかのように、いつの間にか引き込まれるようにして読んじゃいました。このラスト、いいなあ。(角川文庫)

この作品に登場するワインは、ブラックベリーの他にもラズベリーやブルーベリー、ローズヒップやスモモ、ニワトコの花など。ワインを作っている老人の家には、果物や野菜、ハーブが豊富にあって、普通に食べるのはもちろん、ワイン以外にも色々と日常の生活に利用してるんです。...私のうちにもハーブは何種類かあって、特にローズマリーとラベンダーはものすごく元気。なのに、今のところあまり有効利用してないんですよね。この本を読んでいたら、なんだか色々と作りたくなってきちゃって、突発的にローズマリーのハーブオイルだのハーブビネガーを作ることに...。なんて影響されやすいんだ、私ってば。まあ、作ったとは言ってもオイルもビネガーも漬け込むだけだし、たとえ作っても、上手く使いこなせるかどうかはまた別なんですけど... ね。(笑)


+既読のジョアン・ハリス作品の感想+
「ブラックベリー・ワイン」ジョアン・ハリス
「1/4のオレンジ5切れ」ジョアン・ハリス
Livreに「ショコラ」の感想があります)

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