Catégories:“絵本・画集”

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ヒイラギの枝と一緒にクリスマスの靴下に入っていたビロードのうさぎ。始めは大喜びで遊んでいたぼうやでしたが、新しいプレゼントがどんどん来ると、うさぎはすっかり忘れ去られて、子供部屋の隅っこに放置されてしまうことに。でも、お手伝いさんのナナが、いつもの犬のぬいぐるみの代わりにうさぎをぼうやと一緒に寝かせた時から、うさぎはぼうやのお気に入りになり、いつもいつも一緒に過ごすことになったのです。

ぼうやとうさぎの心の絆が、ほんと泣きたいぐらい愛おしくなってしまうんですが... 同時に「ほんもの」って一体何なんだろう?と考えさせられる話でもあります。うさぎがぼうやに忘れ去られていた時、他のおもちゃたちはみんな「じぶんこそ ほんものだ」「ほんものそっくりだ」と自慢ばかりしてて、忘れられたうさぎをばかにするんですね。私はやっぱり、この時にウマのおもちゃが言う「こころから たいせつに だいじにおもわれた おもちゃは ほんとうのものになる。たとえ そのころには ふるくなって ボロボロになっていたとしてもね」という言葉が全てだと思うんですけど... ビロードのうさぎも、ぼうやと一緒にいる時がやっぱり一番幸せだったはず。なのに。
酒井駒子さんの絵がやっぱりものすごく素敵です。ぼうやがお布団で作ってくれる「うさぎのあな」も幸せそうな一コマで大好きだし、最後の場面の問いかけるようなうさぎの緑色の目もすごく好き。だけどやっぱり一番は、病気のぼうやの耳元でうさぎが色んな話をするところかしら。うさぎがぼうやのことを本当に大切に思ってるのが伝わってきて、ぐっとくるし、すごく素敵なんですよね。ああ、いいなあ。この場面、好きだなあ。(ブロンズ新社)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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昨日まではまだまだ残暑が厳しかったのに、あっと気づけば朝晩もすっかり涼しくなって、季節はもう秋。でも私自身はまだまだ夏の疲れが残ってて、未だ「読書の秋」到来とはなってません...。むしろ、集中力がなくなってて、同じところを何度も読み返していたり。こんな時は、目と心に優しいものを~と、酒井駒子さんの絵本を手に取ってみました。

まずは「よるくま」。ベッドの中の「ぼく」がママに話したのは、前の晩にやって来た可愛いお客さま・よるくまのこと。よるくまのおかあさんがいなくなってしまって、2人一緒におかあさんを探す冒険に出たのです...というお話。
なんでよるくまのお母さんは、よるくまを置いて出かけちゃったのかな、前もって説明しておけば、よるくまだってこんなに不安にならずに済んだはずなのに、なんて思ったりもするのだけど、よるくまの不安そうな表情、ここにもいない、あそこにもいない、そしてとうとうお母さんを見つけて泣き出しちゃう表情... どれも可愛くて、きゅーんとしてしまいます。お母さんの表情も、いかにも包容力のありそうな大きな笑顔でいいんですよねえ。そしてよるくまと一緒に寝ている時の「ぼく」の楽しそうな表情。寝入ってしまった時のあどけない顔。んんん~、可愛いっ。

そして「よるくま クリスマスのまえのよる」。こちらは、お友達になったよるくまが遊びに来たのは、クリスマスの前の夜のこと。サンタさんのことを知らないよるくまのために、「ぼく」はよるくまのサンタさんになってあげることに... というお話。
「ママにいっぱい叱られたから、サンタさんは来ないかも」「よるくまはまだ小さいから、いっぱいだっこしてもらえていいな」...そんな風に複雑な胸中になってる「ぼく」が可愛いのです。途中で小さい頃に戻ってる場面が好き~。ママが「ぼく」のことを怒るのは、「ぼく」が悪い子だからとか、ましてや嫌いだからじゃないんだよ、いつだって「ぼく」はママの宝物だから大丈夫なんだよって言ってあげたくなっちゃう。

そして今回、この2冊と一緒に「リコちゃんのおうち」というのも読んでみました。これは、おにいちゃんかいじゅうに邪魔されて遊べないリコちゃんのために、ママがリコちゃんだけのおうちを作ってくれるというお話。これは酒井駒子さんのデビュー作なのだそうです。「よるくま」は以前から読んでるけど、こちらは初めて。これが酒井駒子さんの絵なの...?という感じで、言われなければ気づかないほどの、とても普通な絵だなあと思うんですけど、それでもやっぱり話は可愛い。小さなダンボール箱で作ったおうちなんだけど、リコちゃんの中ではいくらでも楽しく豊かな空間に広がっていくんですよね。それがとても素敵だし、ああ、分かるなあって思っちゃう。

いい機会なので、酒井駒子さんの絵本を未読のものも既読のものも、少しずつ読んでいってみようかと。読み終わった頃には、夏の疲れもすっかり忘れてしまっているといいなあ~。


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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・セイレーン、マーメイド、魔性の女、異教のヴィーナス、誘惑する水界の魔女など、可憐で妖艶な水の女たちを集めた異色の画集。ラファエル前派や世紀末の画家たちが描いた、19世紀ロマン主義の官能と退廃。...「水の女 From the Deep Waters」
・真夏の光のもとで、永遠の眠りの魔に囚われる女。いばらの森で王子の目覚めの口づけを待つ眠り姫。恋に溶けたからだの微熱のなかでまどろむダナエ。夜の虚空に愛された「夢魔」の女。地と天を結ぶ一弦の糸に耳を澄まし、無力に哀切に目を閉じる少女。ウォーターハウス、クリムト、デルヴィル、フュスリ他、収録画多数。...「眠る女 Sleeping Beauty」
・19世紀末―爛熟した美と退廃の時代、現実に倦みはてた人々が生み出した、聖であり、邪でもあり、純真で残酷で、類い稀に美しい「黄泉の女」たちの多彩なイメージを、繊細に編み上げて、世紀末をあざやかに映し込めた異色の画集。ベルギー象徴派やラファエル前派の画家たちが描いた珠玉の44作品をフルカラーにて収録。...「黄泉の女 To the End of the World」

出版社の案内をそのまま引用してしまいましたが...
この3冊は以前リブロポートという出版社から「A Treville Book」シリーズの本として刊行されていた本。その後リブロポートが倒産、「水の女」だけは河出書房新社から3年ほど前に復刊されて私も買ってたんですよね。で、「眠る女」と「黄泉の女」もいずれ復刊されるだろうと思って待ってたんですが、全然その気配がなくて! 結局ネットで探して購入してしまいましたよー。定価以下では買ってるけど、でもやっぱりお財布はイタイ。でもでもその価値はありました。いや、もう本当に、美しい!!
特にラファエル前派はやっぱり素敵。大好き。

まず「水の女」は、「Sights of Water」「Water Nymphs」「From the Deep」「Water Blooms」の4章。主に題材となっているのは、「ハムレット」のオフィーリアや「テンペスト」のミランダ、アーサー王伝説のエレインや、マーリンが心を奪われるニムエ、ヘラクレスの従者のヒュラスを誘惑したり、オルフェウスの首を見つけるニンフたち。キルケー、ケルピー、マーメイド、セイレーンなどなど。オフィーリアだけでも7枚ありますしね。ここに収められていない絵もまだまだあるはず。文学作品が画家に与えるインスピレーションというのは、すごいものがあるんでしょうね。アーサー王伝説のエレインも4枚あるし。特にウォーターハウスの「シャロットの女」は素晴らしく、高宮利行さんによる解説も素晴らしいので、テニスンの「シャロット姫」はもちろんのこと、夏目漱石の「薤露行」(感想)も読み返したくなります。さらには、そういった文学作品から派生していない絵画ですら、どの絵からも物語が立ち上ってくるように感じられるのが素晴らしいです。
一番好きなのは、ポール・ドラローシュの「若き殉教者」。ウォーターハウスの「ヒュラスと妖精たち」も素敵。このニンフたちが本当に美しくて。(どのニンフを見ても、顎がジェーン・モリスに見えてしまうのだけど。笑)

「眠る女」は、「Flaming June」「Sleeping Princess」「The Nightmare」「Hope」の4章。こちらにも「Sleeping Princess」という章題からも想像できるように「いばら姫」「眠りの森の美女」といったモチーフはありますし、金色の雨を浴びながら眠るダナエや、「神曲」のパオロとフランチェスカもいるのですが、こちらでは、文学作品から触発された作品というのは、あまり多くなかったです。
山田登世子さんによる解説の最初に「《美しいもの》はすべて眠る」という、E.A.ポーの「眠る女」からの引用がありました。ここに描かれているのは、眠っている間に時を止められてしまった女性たち。永遠の眠りはたたただ甘美で... 彼女たちはそのまどろみの中で、その美しさを永遠に保つことになるのですね。「水の女」とはまた違い、絵から物語を感じるというよりも、絵の中に描かれている女性と一緒になって、その永遠の眠りの中をたゆとう存在となってしまいたくなる画集。この中で一番好きなのは、フレデリック・レイトン卿の「燃えあがる六月」。あと特に好きなのは、ジョン・エヴァレット・ミレイの「二度目のお説教」、フランク・カドガン・クーパーの「眠るタイターニア "真夏の夜の夢"より」辺り。

そして3冊目の「黄泉の女」は、「Love and Life」「Wounded Angel」「Punishment of Lust」「Night with her Train of Stars」の4章。こちらはまた、キューピッドとプシケーや、エンディミオン、オルフェウスとエウリュディケ、ペルセポネ、メデア、スフィンクスといったギリシャ神話系のモチーフが多いです。あと目につくのはエデンの園のイメージ。滝本誠さんの解説を読んで、ジョヴァンニ・セガンティーニの「よこしまの母たち」の読み解き方になるほど~。ここにはあと「淫蕩の罪」しかないけど、これもなんだか繋がった物語のように感じられるし、他の作品も色々と見てみたくなっちゃうなあ。
そしてこの本で一番好きなのは、ソフィー・アンダーソンの「ニンフの頭部」。あとは表紙にもなっているエドワード・ロバート・ヒューズ「夜と星の列車」もすごく素敵だし、フランク・カドガン・クーパーの「ラプンツェル」には意表を突かれました。この表情、すごいな。

3冊の中ではやっぱり「水の女」が一番好きでしょうかー。最初に入手したというのもあるでしょうし、「水の女」というのが今の私の隠しテーマ(別に隠してません)になってるので、それもあるでしょう。この本が一番、そのテーマに焦点が合ってると感じるというのも。でも「水」と「眠り」と「死」は、同じ事象に対するまた違う表現に過ぎないようにも思うし、結局のところは、切っても切り離せない存在かも。どれも何度も何度もめくっては、ため息をつきながら見入ってしまう画集です。(河出書房新社・リブロポート)


 
左は3冊一緒に撮ったところ。「水の女」だけは復刊されたものだけど、元々のデザインのままなので3冊揃えてもまるで違和感がありません。素敵でしょう?
右はポール・ドラローシュの「若き殉教者」。この人はラファエル前派じゃなくてロマン派。

 
左がフレデリック・レイトン卿の「燃えあがる六月」。このオレンジ色にノックアウト。
右はソフィー・アンダーソンの「ニンフの頭部」。タイトルがイマイチなんだけど...(笑)

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暮れなずむ夏の日々の、遠い大聖堂の塔が沈みゆく陽に茜色に染まる頃。幼いオデット・ダントルヴェルヌは灰色の古城をこっそり抜け出しては、翳りゆく庭園にじっと佇み、小鳥たちの声に耳を傾けていました。蝋燭の灯りのともる仄暗い居間に戻ると、レースの祭壇布に刺繍している叔母のヴァレリに「どこに行っていて?」と聞かれ、「小鳥さんたちが夜のお祈りをするのを聞きに行っていたの」と答えるオデット。かつてインドから帰る途中の船が沈んで両親を失ったオデットは、預けられていたパリの聖鳩修道院から、夫を失った叔母に引き取られたのです。ある8月の美しい晩、幼いオデットは自分も司祭に聞いた少女ベルナデットのように、聖母マリアを探しに行こうと思い立ちます。

山本容子さんの繊細な銅版画がとても美しくて手に取った本です。原題の副題は「けだるい大人のためのおとぎ話」。作者のロナルド・ファーバンクは、20世紀初頭にロンドンの裕福なアッパーミドルの家に生まれた作家で、ガラス細工のような文体、極端なはにかみ性、飲酒癖、奇癖などで当時のロンドンのインテリの間ではいわば伝説的な人物だったのだそう。
この物語の少女オデットは作者と同じく、もしくはそれ以上に裕福な家に生まれ育った少女。幼い頃に両親を失うものの、引き取ってくれた叔母に大切に育てられています。世の中に存在する醜いものを何も知らないまま、素直に純粋に真っ直ぐ育つ少女。...司祭の話す聖母マリアと少女ベルナデットの物語に感動し憧れて、自分も聖母マリアと会いたいと願っていたその時までは。
実際に少女が出会ったのは、聖母マリアとは程遠い女性。いわゆる「世界最古の職業」の女性ですね。でもオデットにとっては、彼女もまた外の世界の真実を教えてくれる聖母マリアのような存在だったのかも。この一晩の経験で、人生は美しい夢だけではないと知るオデットなんですが、そのことを受け入れつつ、自分に与えられた役割を見事に果たしつつ、オデットは大人への第一歩を踏み出すのですねえ。オデットが夜の庭園で摘んでいた深紅の薔薇が、朝の陽光の中、道端に散らばっている場面が暗示的。でもこの出会いは、おそらく2人ともにとって幸せなものとなったと思うんですが... 果たして作者のロナルド・ファーバンクが初めて世間を知った時はどうだったんだろう?

帯には「小川洋子さん推薦!」で「いたいけな少女が聖母の遣いとなる秘密の一夜は、銀の十字架のように清らかで枯れた薔薇のように妖しい。」という言葉があります。うわあ、まさにまさにまさに。やっぱりすごいな、小川洋子さんは。(講談社)

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バーバ・ヤーガは、スラヴ系の民話に登場する魔女。元々はスラヴ神話における「冬」の象徴だったのに、キリスト教が入ってきて、すっかり悪い魔女になってしまったみたいです。元々は悪い存在じゃなかったので、時には良い人間を助けてくれる親切な老婆として登場したりもするんですけどね。そして、そのバーバ・ヤーガの住む家というのがとてもユニーク。鶏の足が生えた家なんです。その足でとことこ歩いて家が移動したり、ぐるぐる回ってる時も。

ムソルグスキーの「展覧会の絵」にも「鶏の足の上に立つバーバ・ヤーガの小屋」があるし、あちらの方にはかなり馴染み深い存在のようなんですけど、なかなかバーバ・ヤーガの登場する物語にめぐり合えないんです。アファナーシェフの「ロシア民話集」(感想)でもいくつか読めたし、スーザン・プライスの「ゴースト・ドラム」(感想)は素晴らしかったのだけど...! でも、ふと気がついたら。バーバ・ヤーガのお話の絵本が図書館にいくつかあるじゃないですか。早速ありったけを借りてきました。

今回読んだ5冊の中では、「まほうつかいバーバ・ヤガー」(松谷さやか再話・ナタリー・パラン絵)と「バーバ・ヤガーとままむすめ」(渡辺節子文・井上洋介絵)がほぼ同じ話で、「ロシア民話集」収録の「ヤガーばあさん」と同じ。そして「マーシャとババヤガーのおおきなとり」(宮川やすえ文・太田大八絵)が、同じく「ロシア民話集」収録の「鵞鳥白鳥」と、「おばけのババヤガー」(カロリコフ再話・カバリョーフ絵)が「りりしい鷹フィニストの羽」と同じ。オリジナルなのかな?というのは「バーバ・ヤガー」だけ。(私がオリジナルを知らないだけかも)
でも既に知ってる話でも、絵本で改めて読むと面白いー。以前読んだ時は挿絵も何もない状態でしたしね。「まほうつかいバーバ・ヤガー」は、バーバ・ヤーガの家が普通の木の小屋で足が生えてないのが難点なんだけど、ぐるっと周りを回っても入り口が見つからない家に「こやよ こやよ、森のほうには うしろむき、わたしのほうには まえむきに なあれ!」って言うところが面白かったし、部分的に切り紙細工のような絵が可愛かったし... 「バーバ・ヤガーとままむすめ」の絵はあまり好みではなかったんだけど、ちゃんとバーバ・ヤガーの小屋に鶏の足がついてくるりくるりと回っているのが良かったし。「マーシャとババヤガーのおおきなとり」に登場する小屋も、回ってはいないものの鶏の足付き。そして「おばけのババヤガー」の幻想的な絵の素晴らしいことったら...! 人物の絵はあまり好きではないんですけど、バーバ・ヤガーの小屋(鶏の足付き)や、魔法使いの女王の城の絵が特に素敵~。
唯一のオリジナル(?)の「バーバ・ヤガー」(アーネスト・スモール文、ブレア・レント絵)は、お母さんに言われてカブを買いに出たものの途中でお金を落としてしまったマルーシャが、森にカブが生えてないか探していると、やがて鶏の足の生えたバーバ・ヤガーの小屋が現れて... というお話。「白い騎士」と「黒い騎士」というのが素敵だったし、悪い子じゃないと食べないというバーバ・ヤガーがユニーク。恐ろしいながらもどこか抜けている魔女相手に、マルーシャは自分の力でで夕食になることを免れるんですよ! 面白いなあ。こういうのを読んでると、「いい子にしないとバーバ・ヤーガに食べられてしまうよ!」なーんて子供をたしなめるお母さんの声が聞こえてきそう。版画風の挿絵も素敵でした。あ、小屋にはちゃんと鶏の足がついてます。一番左に画像が出てる絵本の表紙の通りです。(童話館出版・福音館書店・ほるぷ出版・岩崎書店・ひさかたチャイルド)

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伊勢英子さんによる宮沢賢治作品の絵本を一挙に4冊。
ざしき童子(ぼっこ)は、東北地方、特に岩手県に伝わる伝説の存在。特定の家に居つき、ざしき童子がいる家は栄え、去られてしまった家は傾くという... そんなざしき童子のお話を4つ集めた「ざしき童子のおはなし」。
姿が醜いため、他の鳥たちに顔を見たくないとまで言われてしまうよだか。みんなに嫌われていることを悲しんだよだかは、弟のかわせみに別れを告げ、太陽の方へと飛んでいきます... という「よだかの星」。
谷川の岸にある小さな小学校に新しく来たのは、赤い髪に変てこな洋装をしたおかしな子供。父親の仕事の都合で、北海道の学校から転校して来たのです... という「風の又三郎」。
しきりにカルメラのことを考えながら、赤い毛布(けっと)にくるまって雪丘の裾を家に急ぐ子供。しかしその日は水仙月の四日。じきに風が出て、乾いた細かな雪が降り始め、あたり一面は真っ暗に.. という「水仙月の四日」。

やっぱり「ルリユールおじさん」や「大きな木のような人」、「にいさん」のような絵本とは違っていて、こちらはやっぱり子供向けだなあという感じでしたが、それでもどれも伊勢英子さんの絵が堪能できる絵本ばかり。「ざしき童子のおはなし」は、昼下がりの穏やかな光、夕暮れの柔らかい光、残暑の頃の明るい光、そして眩しいほどの月の光... と、どの絵も光がとても印象的だったし、「よだかの星」は後半の色の深みと美しさが素晴らしいと思ったし、「風の又三郎」はどれも吹き渡る風を感じるような絵。「水仙月の四日」は、青と白が美しくて、その中の子供の毛布や、雪狼の舌の赤がとても鮮烈。

最初読んだ印象では、「水仙月の四日」が一番好きかなあと思ったんですが... 文章だけで読んだ時もとても印象深い作品だったし、伊勢英子さんらしい青を楽しめますしね。でも読んでから少し時間が経った今は「よだかの星」の印象の方が鮮烈に残ってるということに気がつきました。この絵本、最初の何枚かの絵が、あまり私好みの色彩じゃないんです。どこか民話調の赤の使い方というか、あまり色にも深みがなくて、なんでこういう色使いをするんだろう、とどうも違和感があったんです。でも、後半の色の深みが素晴らしい! なんて美しいんでしょう... もしかしたら、前半の絵は表面上の美醜しか捉えようとしないほかの鳥たちの浅さを表現してるのかしら。そして後半の深みのある広がりのある色彩は、よだかの内面を表しているのかなあ、と思ったのでした。...ただ単に前半の絵の美しさを、私が感じ取れなかっただけなのかもしれないんですが。(笑)(講談社・くもん出版・偕成社)


+既読の宮沢賢治作品の感想+
「宮澤賢治のレストラン」中野由貴 「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「注文の多い料理店」「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「よだかの星」「ざしき童子のはなし」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
「よだかの星」「ざしき童子のはなし」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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オランダの貧しい牧師の息子として生まれたヴィンセント・ヴァン・ゴッホとその弟のテオ。「とうさんのような人になりたい」と語る兄と、にいさんのような人になりたいと思う弟。学校を出た兄は画廊に勤め、絵に囲まれて働く喜びがあふれる兄の手紙に、弟も16歳になると迷わず画廊に就職。しかし牧師である父のようになりたいという思いも捨てきれなかったのです。兄はやがて解雇され、様々な職につくもののうまくいかず何度も挫折を経た後、やがて絵描きになる決意を固めます。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホとその弟のテオの物語。まずこの絵本で目を奪われるのはその色彩。表紙の黄色も印象的ですが、中はもっとすごいです。これほどまでに深みのある青とそして鮮烈な黄色の対比とは...。
伊勢英子さんは1990年からずっとゴッホの足跡をたどる旅を続けているのだそうで、エッセイ「ふたりのゴッホ」、絵本「絵描き」、実の妹さんと共訳したという「テオ もうひとりのゴッホ」を経て、どうしても描きたかった物語がこの絵本として結実したとのこと。その思いがすごく伝わってくる絵本です。ゴッホから弟に宛てた700通近い手紙から伊勢さんが感じたという「誠実に生きようとすればするほど、節度のない過剰な人間と見なされて居場所を失っていった彼の生きづらさと、白い画布以外に自分らしく生きられる場所がないという痛切な叫び」が、こちらにまで痛いほど伝わってきます。天才肌の芸術家と一緒に暮らすというのは、本当にものすごく大変なんでしょうね。しかもそれが実の兄ときた日には... 兄を愛しながらも困惑し続けたであろうテオ。テオの送る金でゴッホは旅を続け、パリのテオのアパートに押しかけて、アパートを絵の具だらけにしながら習作で埋め尽くし、客が来れば誰彼構わず議論をふっかけて、テオの生活をめちゃくちゃにしてしまいます。そしてアパートを出てからも、金や絵の具や筆、キャンバスを無心し、借りた金を自分の描いた絵で返すという身勝手さ。しかしその絵は決して売れることがないのです。自分の欲求に素直に生きることしかできない兄に対して、「ぼくはきみのエゴイストぶりにあこがれながら、そのすさまじさをにくんだ」という文章が心に突き刺さるようです。
この青や黄色の色の強さは素晴らしいですね。命がこもってるようです。私が見ているのはあくまでも絵本であって、原画ではないのに、それでも魂を吸い取られるような気がしたし、物語の中にも引きずり込まれました。これで原画だったらどうなってしまうんだろう? 強烈に伝わってくるものがある絵本です。(偕成社)


+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
「ざしき童子のはなし」「よだかの星」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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