Catégories:“戯曲・詩”

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「海神別荘」は、表題作のほかに「山吹」「多神教」が入っていて、どれも戯曲。泉鏡花の戯曲はやっぱり読みやすいですね。特に「海神別荘」が良かったです~。これは浦島太郎の女性バージョン(?)。海の中の公子(乙姫様の弟!)に幸せな暮らしを約束された美女が、どうしても今の幸せを父親に伝えたいと言うんですけど、そこには玉手箱こそないものの、ふかーいふかーい落とし穴が... 結構シビアな結末になってます。(笑) でもやっぱり描写が美しい...。これだけでも酔えそうです、ほんとに。
そして「春昼・春昼後刻」は、 眠気を誘うような、うららか~な春の昼下がりの情景にのほほんと読み進めていると... ぎょぎょぎょ。これは実はホラーだったんでしょうか。最後まで読んでからまた最初に戻ると、のどかな春の情景だと思っていたものがやけに濃密に感じられてきて、びっくりでした。
以前に「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」(感想)を読んだ時、overQさんに、「鏡花の文章は波長が合うと案外読みやすいです。でも。そのときに一気に読まないと、他の本を読んでから戻ってくると、読めなくなってたりします(;・∀・)」と言われたので、ちょっと戦々恐々としててたんですが、前回も入りやすかった戯曲から入ったせいか、今回は大丈夫でした。でももう手元には戯曲がない... しかも「草迷宮」と「外科室・海城発電 他5篇」を続けて読もうと思ったのに、そっちは自宅に忘れてきてることが判明。うわー、残念。また改めて読むことにします。で、でも大丈夫かしら...。「外科室」は以前読んだことがあるんですが...。(どきどき) (岩波文庫)


+既読の泉鏡花作品の感想+
「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花
「泉鏡花短篇集」川村二郎編
「海神別荘」「春昼・春昼後刻」泉鏡花
「鏡花百物語集 文豪怪談傑作選・特別篇」東雅夫編

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泉鏡花、学生時代に少し読んだ覚えがあるんですが、それきり全然。ここのところずっと読みたいなあと思っていたんですが、ようやく読めました。「夜叉ヶ池」「天守物語」「高野聖」「眉かくしの霊」の4編の中では、「高野聖」だけが既読。

きっと相当時間がかかるんだろうな... と覚悟してたんですけど、これが全然。もう夢中になって読んでしまいましたー。特に良かったのが「夜叉ヶ池」。そして「天守物語」も。この2編は戯曲です。実際、映画やお芝居にもなってますね。(玉三郎のが観てみたいー) 戯曲を読むなんて、本当に久しぶり。子供の頃は、マルシャークの「森は生きている」とか大好きだったんですが、大人になってからはどうも読みづらくなってしまって敬遠してたんです。それがこんなにさらさらと読めるとは、びっくり。もしかしたら、泉鏡花に関しては、戯曲の方が普通の小説よりも入りやすいのでしょうか? 頭の中で台詞を音読するように読んでいると、泉鏡花ならではの艶やかな世界がぱあっと広がってすごく素敵でした。
「夜叉ヶ池」も「天守物語」も、人間だった時は痛ましい亡くなり方をした女性たちが、物の怪になってから幸せを掴むというのがポイント。それに物の怪の方が、人間よりも約束を律儀に守っているんですよね。夜叉ヶ池の主も、本当は剣ヶ峰千蛇ヶ池にいる恋する若君のところに行きたいのに、そんなことしたら大水になってしまうし、人間との昔からの約束もあるから「ええ、怨めしい...」と我慢しているのに、人間の方が浅はかな考えから約束を簡単に破ろうとしてます。醜い俗世と物の怪の美しい世界の対比?(雨乞いをする人間たちが妙なものを池に投げ込んで困る... と、渋い顔をしてる物の怪の姿が可笑しいです♪)
「高野聖」は、山で何度も遭遇する大蛇や、森の中で上から降ってくる蛭の場面がものすごくリアルで気色悪っ。その後のなまめかしい美女の場面が、余計に妖しく感じられました。川で水浴びをしている時、「うとうとする様子で、疵の痛みがなくなって気が遠くなって、ひたと附ついている婦人の身体で、私は花びらの中へ包まれたような工合」だなんて、イメージとしては恋人よりも母親のようだったけど...(笑)

泉鏡花の本は岩波文庫版が何冊か手元にあるので、ぼちぼちと読んでいくつもりです。(岩波文庫)


+既読の泉鏡花作品の感想+
「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花
「泉鏡花短篇集」川村二郎編
「海神別荘」「春昼・春昼後刻」泉鏡花
「鏡花百物語集 文豪怪談傑作選・特別篇」東雅夫編

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昨日の「西行花伝」に引き続きの西行。でもこちらは物語ではなく評伝ということで、またちょっと違う西行の姿が見えてきました。「西行花伝」の西行は、少年時代から利発で、源重実の語る雅(みやび)な心について真面目に考え込むような少年。若いころから、人間的にかなり出来てるんですけど、白洲さんを通して見る西行はそれほど人間が出来てなくて、結構荒々しい面も持ってたみたい。若いころは好き嫌いがひどくて癇癪持ちで、世話になっている人でも、一旦見切ってしまうと簡単に縁を切ってしまったとか。出家の時に実の娘を縁から蹴落としてる、鎌倉中期に描かれた絵なんかも載ってて、かなりびっくりです。それもそのはず、西行の先祖には平将門を討った荒くれ者の俵藤太がいたから、なんだそうですが... そういうものなんですかね?(笑) あと、出家した後も待賢門院のところの女房たちとか、通りすがりの遊女相手に粋な歌のやりとりをしてみたりという艶やかさもあったり。もちろん「西行花伝」の西行が絶対とは思ってなかったんですけど、やっぱりかなり違うものなんですね。面白いなあ。
白洲正子さんご自身が、西行縁の地を辿って色々な旅をしてらっしゃるので、そういう紀行文的楽しみもあるし、能や歌舞伎、その他様々な資料に残る逸話を引き合いに出しての説明も興味深かったです。白洲正子さんの潔さのある文章もいいですね。(新潮文庫)

ということで、西行はこれで一旦オシマイ。次は坂口安吾氏の「桜の森の満開の下」を読もうかと思ったんですけど、あいにくとまだ満開じゃないんですよね。てか、まだほとんど蕾だし! なので、咲き揃うまでもうちょっと待つことにします。(^^ゞ


+既読の白洲正子作品の感想+
「日本のたくみ」白洲正子
「西行」白洲正子
「遊鬼」白洲正子

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「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」という歌からも、桜のイメージの強い西行。ここ数年、桜の季節に合わせて白洲正子さんの「西行」を読もうと思いつつ、果たせずに積みっ放しだったのですが、今年こそ!
ということで、まずは辻邦生さんの「西行花伝」を読んでみました。(えっ、白洲さんじゃないの?) 西行の死後、弟子の藤原秋実という人物が、生前の西行に関わりあいのあった人物を訪ね歩いて、西行に関する話を聞き出していくという形態。秋実自身はもちろん、乳母や従兄、友人知人、そして他ならぬ西行自身の言葉によって、徐々に西行という人間が浮かび上がってきます。西行に関する知識など皆無に等しい私にとっては、人間関係を掴むまでがちょっと大変だったのですが、でも文章がなんて美しい...! 柔らかな語り口なんですけど、芯の強さがあるんでしょうね。読んでいてすごく心地良かったです。森羅万象を愛しむ西行の懐の深さと相まって、なんだか大きな温かいものに包まれているような気分になりました。和歌の説明が特についていなくても、読んでいるうちに自然と分かってくるような気がしたし。そして西行といえば、もっと世を儚んで出家したのかと思っていたのですが、この作品によるとそうではないのですね。歌に生きるため、この世の全ての物を愛するがため、この世を美しく豊かに生きるための出家。現世(うつせみ)が好きだからこそ、現世を棄てる。現世から一歩離れてこそ、その良さが見えてくるし、より深く現世に関わるための出家。700ページという大作で、結構時間をかけて読んだのですが、でももっとゆっくり読みたかったな。序+21帖に分かれてるから、1日に1帖ずつ読むというのもいいかも。今度ぜひとも再読して、またじっくりと味わいたいものです。

これは実は5回目のたらいまわし企画で、おかぼれもん。のpicoさんが「感銘を受けた本」として挙げてらした本。たらいまわしって、漫然とした私の読書意識にいつもほんとガツーンとショック与えてくれて凄いです。私なんて参加するたびに全然読んでない本ばかりで、自分の底の浅さにショック受けちゃうんですけど、でもおかげで少しは幅が広がりそう。
ということで、次こそは白洲正子さんの「西行」。本当は瀬戸内寂聴さんの「白道」も読んでみたいんですけど、こちらは未入手。これは来年かもしれないなあ。(新潮文庫)


+既読の辻邦生作品の感想+
「西行花伝」辻邦生
「手紙、栞を添えて」辻邦生・水村美苗

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先日読んだ「論語」と同じ、角川文庫の「ビギナーズ・クラシックス」のシリーズの1冊。以前OverQさんがたらいまわし企画の棺桶本に挙げてらした陶淵明です。私も漢詩は読んでみたいなと思っていたんですが、どこから入っていいものやらさっぱり状態。OverQさんに、陶淵明は漢文に慣れてない人間にも入りやすいと伺って、いつかは~と思ってたんです。「桃源郷」の言葉の語源となってる「桃花源記」も、原文を読んでみたかったし。...そんなところに初心者向けのこのシリーズが! なんともいいタイミングじゃありませんか。
漢文と書き下し文と訳文を行ったり来たりするので、この1冊を読み終えるのに、ものすごーーーく時間がかかっちゃいましたが... しかも時間がかかった割に、自分がどれだけ理解できたのか、自分の中にどれだけ蓄積されたのか不明なんですが... っていうか、ほとんど残ってない気もするんですが...(ダメじゃん) でも田園詩人と呼ばれる陶淵明の雰囲気はなんとなく掴めたような気が。山海経を主題にした詩を読んでると山海経が読みたくなるし、あと詩の中に「昭昭」とか「皛皛」(「白」が3つ、丁度「晶」みたいな感じで並んでる字です)という言葉が出てきたんですけど、「昭昭」が「月の光が空全体に広がった明るさ」で、「皛皛」が「白い月の光が川の水面のさざ波に反射した明るさ」なんですって。こういうのも全然知らなかったので面白かったです。
こういうのは繰り返し読むほど味わいが深くなるそうなので、また折りに触れてじっくりと読み返してみたいと思ってます... が、次はとりあえずこのシリーズの「李白」を読む予定。さて今度はどのぐらい時間がかかるんでしょ。忘れた頃にでも感想をアップできれば、御の字です。(角川ソフィア文庫)


+関連シリーズ作品の感想+
「論語 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」加地伸行
「陶淵明 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」釜谷武志
「李白 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」筧久美子
「老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」野村茂夫
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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