Catégories:“ミステリ”

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光原百合さんの作品2つ。
その日「マノミの木」目当てに茉莉花村にやって来たのは、馬で10日ばかり行った先にある耀海(かぐみ)の若き領主夫妻。奥方の水澄が重い病にかかり、どんな病でも治すマノミにすがるしかないとやって来たのです。しかしマノミは魔の実。マノミ酒を飲んで命が助かれば、その代わりに最愛の人の記憶を失うのです... という「花散る夜に」。(新・本格推理 不可能犯罪の饗宴)
大学を卒業後、地元の尾道に戻った静音は、ひょんなことから神埼零というピアニストのコンサートに行くことに。音楽にはあまり詳しくないながらも鳥肌が立つような感動を覚えた静音は、それ以来、地元で演奏がある時は事務方スタッフとして手伝うようになり、いまや神崎零とも調律師兼マネージャーの木戸柊ともお馴染み。そして今回の演奏会が終わった後、静音は自宅にあるピアノのことを相談します。静音の家のピアノは音が出ないピアノ。相変わらず応接間に置かれているものの、静音の家ではみな諦めていたのです... という「ピアニシモより小さな祈り」。(オール讀物)

「花散る夜に」は、「嘘つき。やさしい嘘十話」に収録されていた「木漏れ陽色の酒」の続編。「最愛の人の記憶を失ってしまう」というのは、やっぱり何度考えてもキツい設定だわーと思いつつ。それだけだと話の範囲がどうしても狭まってしまいそうな気もするんですが、それは素人考えでした。ああ、なんて素敵なエンディング。
淡い金緑色のマノミの酒もなんですが、今回のマノミの花の散る場面の美しいことったら。この花びらの辺りで、ああこの作品はミステリなんだなあ、なんて改めて思ったりしてました。そして、ふと気づいてみれば。今回の領主夫妻の名前は「蒼波」「水澄」、前回は「水際」と「沙斗」。いずれも水に関係する名前なんですね。あの世とこの世の間にいる人々に、マノミの酒が効かなければもう助からない人々に、とても相応しい気がします。

「ピアニシモより小さな祈り」は、大好きな潮の道幻想譚シリーズ。これは尾道の街を舞台にした、ちょっぴり不思議なファンタジー。今回はピアノのお話。読んでいる後ろから、澄んだピアノの音が流れてくるような気がします。音と共に光の波が広がっていき、金色のオーロラに包まれるようなピアノの演奏、私も体験してみたい。でもそんな美しいピアノの音とは対照的な、切なくて哀しくてやるせない想いも存在して。最後の「ピアニシモより小さい音でしかなくとも...」という言葉がすごく良かったです~。そして和尚さんは相変わらずだし、静音は気が強い中に可愛いらしさがあって素敵だし、自分の魅力を知ってる人も、自分の魅力にまるで気づいてない人も、どちらも魅力的でした。私としては... 自分の魅力にまるで気づいてない人の方が好みかも。(笑)


そして光原百合さん情報です。
ギリシャ神話系ファンタジー「イオニアの風」の発売が決定になったそうです。発売日は8月25日。中央公論新社から。光原さんの本は装丁が素敵な本が多いのですが、今回も素敵な本になったそうで~。とっても楽しみ。
それと潮の道幻想譚シリーズは、これで単行本1冊分の短編が出揃って、これから単行本に向けた作業に入るとのこと! 最初の方のお話の記憶が朧になってるので、改めて最初から読み返すのがとても楽しみです。
あと、今刊行中の「詩とファンタジー」に光原百合さんの「夏の終わりのその向こう」が掲載されてるんですけど、それには「星月夜の夢がたり」で挿絵を担当された鯰江光二さんが絵をつけてらっしゃるんですね。その作品は、来年刊行予定の絵本に収録されることになるんだとか。内容は、ギロックの叙情小曲集の全曲をモチーフにしたファンタジーで(絵はもちろん鯰江光二さん)、小原孝さん演奏によるCDも付くんだそうです。光原百合さんは、尾道学園の創立50周年記念で校歌をご一緒に作られた時からの小原孝さんのファン。それ以来、すっかりピアノに開眼されて、小原さんが弾かれるギロックに魅了されて... 今回の「ピアニシモより小さな祈り」も、そうやって書かれることになったのですねえ。
ああ、どれも楽しみー!!(文藝春秋・光文社)


+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「ピアニシモより小さな祈り」「花散る夜に」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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七日の間誰も出て来ず、しかも何の応答もなくなった館。大后はたまりかねて白い糸の標を破って踏み込みます。そこにいたのは大王と衣通姫(そとおりひめ)。しかし大王は既に亡くなっていました。大后は衣通姫が大王の命を奪ったのだろうを弾劾するのですが、衣通姫は何とも答えようとせず... という「ささがにの泉」他、全7編。

オムニバス形式の七夕の姫の物語7編。神話の時代の衣通姫は「使い神」に守られた姫。姫の身体には地霊の力が満ち、国つ神の霊力を備えています。そしてその姫による機織は、まさに神事と言えるもの。「秋去衣」の軽大郎女(かるのおおいらつめ)にとっての機織も同様ですね。でも徐々に時代が下がるに従って、社会は変わり、霊力も失われ、機織は日常の仕事となってしまうのです。都ほどではないにせよ、変化に晒されることになるのは泉の地に住む一族も同様。それでもここに登場する姫たちは、みなそれぞれに様々な状況的な制約の中にありつつも、精一杯生きている女性たちなんですが... 「糸織草子」の姫なんて、読んでいて痛々しくなってしまうほどだったなあ...。
この7編の中で私が特に好きなのは、「ささがにの泉」と「朝顔斎王」。「ささがにの泉」は神話時代を感じられる独特の雰囲気が大好き。そして「朝顔斎王」は「源氏物語」の朝顔の斎院と重ね合わせられている、とても可愛らしい作品。

7つの題名は、それぞれに織姫の別名によるもの。(ささがに姫・秋去姫・薫物姫・朝顔姫・梶の葉姫・百子姫・糸織姫) 千街晶之さんの解説によると、折口信夫の論文「水の女」が発想源の1つであることは、ほぼ間違いないだろうとのこと。藤原氏は元々聖なる水を扱う家柄だったという説もあるのだそうです。そちらも読んでみたい! 確かに常に泉の地に住む一族が見え隠れしていますし、例えば「美都波」「瑞葉」「椎葉」「水都刃」...と「みづは」という名前が繰り返し登場するところなんかも暗示的。おそらく他にも様々な暗示的な意味合いが籠められているのでしょうね。そして、そこここに散らばるヒントを元に歴史上の人物のことを推理するのも楽しいところ。私も色々調べまくってしまいました。(その甲斐あって主要人物についてはほぼ全て分かったかな) 日本史に詳しい人ほど、一層楽しめそうです。でもそんなことは考えずに、ただストーリーを追って読んでも、十分ここに流れる空気は堪能できそうです。物語そのものも幻想的な美しさだし、物語の最後にゆかりの和歌が添えられているのも雅な美しさ。とっても味わい深い作品でした。(双葉文庫)


+既読の森谷明子作品の感想+
「れんげ野原のまんなかで」森谷明子
「千年の黙(しじま) 異本源氏物語」森谷明子
「七姫幻想」森谷明子

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女童のあてきがお仕えしているのは、藤原宣孝と結婚して2年目の藤原香子。香子は既に「源氏物語」の執筆に取り掛かっており、作品を読んだ左大臣・藤原道長から、娘の彰子の入内に当たって女房として仕えるよう何度も熱心な誘いがかけられていました。その頃、出産のために宮中を退出する中宮定子に同行した猫が繋いでおいた紐ごと失踪し、大騒ぎとなって... という「上にさぶらふ御猫」、そして失われた1帖の謎を探る「かかやく日の宮」、その後日談となる「雲隠」の3編。

鮎川哲也賞受賞の、森谷明子さんのデビュー作。先日読んだ倉橋由美子さんの「夢の通い路」(感想)にも紫式部や道長が出てきたとこだし、丸谷才一さんの「輝く日の宮」は、この作品と合わせて読んだんですけど、またちょっと源氏物語が自分の中で大きく浮上してきてます。
というこの「千年の黙」は、平安時代を舞台に、繋いでおいた猫が失踪した事件と、「かかやく日の宮」が失われた理由を探るミステリ作品です。探偵役は紫式部。猫の事件の方は日常の謎系なんですが、失われた章の理由を探る「かかやく日の宮」は、立派な新仮説。丸谷才一の「輝く日の宮」で書かれていた解釈ほどの大胆な仮説ではないものの... うーん、比べてしまうとやっぱりちょっぴり小粒かしら。でもこちらはこちらで1つの立派な仮説となっています。なるほどね~。そして「雲隠」の章での、紫式部と道長のやりとりにニヤリとさせられて。
紫式部はもちろんのこと、その夫の藤原宣孝やその上司に当たる藤原道長、道長の娘の彰子中宮といった歴史上の人物も登場するし、阿手木やその夫となる義清、阿手木の親しい友達となる小侍従も賑やかに動き回っていて、こちらは物語として面白かったです。平安時代という舞台の雰囲気が楽しかった~。そして紫式部の「物語を書くこと」に対する思いは、そのまま森谷明子さんの思いでもあるのでしょうね。作者は自分の心を偽らないように書く、しかし一度作者の手を離れてしまえば、それはもう読者に託すしかない... 全編を通して「物語」に関する印象的な台詞が多かったです。例えばこんなの。

「物語というものは、書いた者の手を離れたら、ひとりで歩いていくものです。わたくしのうかがいしれぬところで、どんなふうに読まれてもしかたがない。うっかり筆をすべらせたら、後の世の人がどんなにそしることかと思うと、こわくて身がすくむこともあります」
「そう、むずかしいのね。あたしはそんなことは考えない。後の世のことは、神仏でもない身にはわからないもの。ただね、自分の心はいつわらぬようにしよう。あとは自分に子どもが生まれたら、その子にだけは誇ってもらえるようにしよう、と。そしてほかの人にはどう見られようと、かまわないでいようと」(P.215)

これは入内する前の彰子との会話。こういう言葉って、デビューして色んなところで色々なことを書かれた作家が書きそうなイメージがあるのだけど... 森谷さんはデビュー作で書いていたのですね。(創元推理文庫)


+既読の森谷明子作品の感想+
「れんげ野原のまんなかで」森谷明子
「千年の黙(しじま) 異本源氏物語」森谷明子

+既読の「源氏物語」の感想+
「源氏物語」+「まろ、ん?」小泉吉宏(与謝野晶子訳)
「源氏物語」1・2 円地文子訳
「窯変 源氏物語」1~3 橋本治
「窯変 源氏物語」4~6 橋本治
「窯変 源氏物語」7・8 橋本治
「窯変 源氏物語」9・10 橋本治
「窯変 源氏物語」11・12 橋本治
「窯変 源氏物語」13・14 橋本治

+既読の「源氏物語」関連作品の感想+
「東方綺譚」マルグリット・ユルスナール(雲隠)
「源氏供養」上下 橋本治
「輝く日の宮」丸谷才一
「千年の黙(しじま) 異本源氏物語」森谷明子
「七姫幻想」森谷明子
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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サクセス塾の事件から4ヶ月ほど経ち、受験勉強に本腰が入る3学期のある日のこと。謝恩会の実行委員長に任命されたレーチは謝恩会の会場探し中。無料で使えて多少の騒いでも大丈夫だという場所がなかなか見つからないのです。そんな時、2年の片桐弟が提案したのは、3学期が終われば取り壊される予定の旧校舎。取り壊されるのが決まっているだけにドンチャン騒ぎには最適なのではないかという話に、レーチはすっかりその気になり、亜衣・真衣・美衣と共に旧校舎へ。しかしその旧校舎には、40年前に「夢見」によって「夢喰い」が封印された開かずの教室があるのです...。

夢水清志郎シリーズ最終巻。15年書き続けたというこのシリーズも亜衣たちの中学卒業と同時にシリーズからも卒業となります。
卒業というのは、それぞれがそれぞれの選択をしなければならない時期。その選択が正しかったかどうかはすぐには分からないし、長い人生の中で、あの時選択を間違た、と思うこともあるのかも。でもその時その時で自分のできる精一杯の選択をしていれば、後悔することはないですよね。亜衣も真衣も美衣もレーチも、自分自身で決めた道を進んでいくからこそ、これから先、後悔なんかしないで真っ直ぐ進んでいけるのではないかと思います。そして今回、印象に残る言葉が色々とあったんですけど、一番印象に残ったのは亜衣と出版社の人の会話の場面。なんだかぐっときちゃいました。ほんとその通りだわ~。
謎解き部分は正直物足りなかったんですけど、シリーズ最終巻に相応しい素敵な物語。楽しいシリーズ物はいつまでも続いて欲しいと思ったりもするものですが、こういう風にきちんと区切りがついてみると、卒業するというのもいいものだなと思いますね。(実は「ハワイ幽霊城の謎」だけ未読なんだけど... 読まなくちゃ!)(講談社青い鳥文庫)


+シリーズ既刊の感想+
ブログにはこれ以前のシリーズ作品の感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー」「笛吹き男とサクセス塾の秘密」はやみねかおる
「オリエント急行とパンドラの匣」はやみねかおる
「卒業 開かずの教室を開けるとき」はやみねかおる

+既読のはやみねかおる作品の感想+
「都会のトム&ソーヤ2 乱!RUN!ラン!」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ3 いつになったら作戦(ミッション)終了?」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ4 四重奏(カルテット)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ5 IN塀戸(VADE)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ6 ぼくの家へおいで」はやみねかおる
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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日限の親分が若だんなのところへ。最近通町で横行している質の悪い掏摸は、おそらく打物屋の老舗の大店の次男坊が飴売りの女の共謀。しかし肝心の証拠がまるでなく、親分は困り果てていました... という「いっちばん」他、全5編の連作短編集。

しゃばけシリーズの第7弾。「ひなのちよがみ」だけは雑誌掲載時に既読。
相変わらずのしゃばけワールドで、若だんなだけでなく妖たちも相変わらず。このシリーズはマンネリになろうが何しようがこのまま頑張って欲しいなと思う気持ちと、でもそろそろ狐者異を再登場させてみても面白いんじゃ?という気持ちと半分半分なんですよね。まあ、もし畠中恵さんがそろそろ終わりにしたいと思ったとしても、まあ出版社が止めさせてくれないでしょうけど。
今回は妖たちが勢ぞろいする「いっちばん」が楽しかった! みんな若だんなを喜ばせようと頑張るんですけど、なかなか上手くいかないまま最後になだれ込んで、気がついたら事件もすっかり解決してマシタ! というこの構成が素敵。そして「餡子は甘いか」では、相変わらず菓子作りが下手な栄吉が頑張っている様子が見られて、こちらもいいですねえ。器用貧乏な人よりも、栄吉みたいなタイプの方が一度コツを掴んだら安定度はずっと高いはずだし、これからも負けずに頑張って欲しいな。(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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千蔭お駒が妊娠。つわりが酷く何も食べられないお駒のために、千蔭と八十吉は巴之丞の元へ。お駒の母・佐枝が、お駒は珍しいものの方が喜んで口にするかもしれないと言い、珍しいものなら巴之丞が詳しいと考えたのです。巴之丞のおすすめは、乃の字屋の猪鍋。最近江戸で流行っており、店の外まで行列ができるほどだというのですが... という「猪鍋」他、全3編

猿若町捕物帳第4弾。いやあ、面白かった。このシリーズ、最初はちょっと地味かなと思っていたのですが、進むにつれてどんどん面白くなりますね! 今回の注目は「おろく」。彼女がいい味を出してるんですよねえ。そしてもしやこのままいっちゃうの...? と思いきや、千蔭がまたかっこいいところを見せてくれるし。ま、人が良いにもほどがあるって感じもしますが。梅ヶ枝も巴之丞も元気です。今回、梅ヶ枝がなんだか可愛らしかったなあ。

それにしても日本人作家さんの本を読むのはほんと久しぶり。先月の仁木英之さん「薄妃の恋 僕僕先生」以来かな? 最近は翻訳物オンリーでいきたいぐらい、翻訳物に気持ちが向いてしまってるんですが、近藤史恵さんはやっぱり大好き。特に好きなのは、どうしてもデビュー作の「凍える島」とか「ガーデン」「スタバトマーテル」「ねむりねずみ」「アンハッピードッグス」といった初期の作品なんだけど... いや、「サクリファイス」も久々に「キター!!」って感じだったんですが(笑)、でもこういうのもいいなあ。可愛いとか美味しいのもいいんですけどね。そういうのは読んでてすごく楽しいんだけど、近藤史恵さんらしさが少し薄めのように感じられてしまうんですよね。このシリーズは、私の中では既にそちらよりも上になってきてます。我ながらちょっとびっくりですが。(光文社)

+シリーズ既刊の感想+
「巴之丞鹿の子」「ほおずき地獄」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「にわか大根」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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夏休み。サークルの会合まで時間があいていた結城理久彦は、コンビニでアルバイト情報誌を見ることに。女にもてるためには車が欲しいと考えていたのです。そこで出会ったのは、結城とは明らかに違う世界に住んでいると思われる上品な女性・須和名翔子。須和名もまたアルバイトを探していました。2人で短期アルバイトのページを繰るうちに、どう考えても誤植としか思えないような条件を提示しているアルバイトを見つけることになります。ある人文科学的な実験の被験者として7日間隔離され拘束されるだけで、時給11万2000円をもらえるというのです。

いやあ、久しぶりにベタなほどミステリらしいミステリを読みました。舞台は「暗鬼館」だなんていかにもなネーミングのクローズドサークル。その見取り図もいかにもな作りだし! そこここに思わせぶりな趣向が凝らされてるし、ネイティブアメリカンの人形が12体用意されてるこのが「そして誰もいなくなった」的展開を予想させます。副題が「THE INCITE MILL」なんてなってるところは森博嗣作品みたいだけど、登場人物が妙な実験に「INしてみる」とも読めるし、古今東西のミステリに淫してきたミステリ好きが、思いっきり自分好みのミステリ的舞台と自分好みのミステリを作り上げることに淫してみたって感じにも取れますね。そして、せっかくだからそういうお遊びに読者も「淫してみる」?といったところでしょうか。(笑)
時給11万2000円って、なんて半端な... と思いましたが、そういうことだったのね。その辺りまでわざとらしくて、それが逆に可笑しい。しかも終盤のあの役割反転。これは予想してなかったのでびっくりです。ミステリ好きさんなら、色んなところでニンマリできそうですよー。(文芸春秋)


+既読の米澤穂信作品の感想+
「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信
「犬はどこだ」米澤穂信
「クドリャフカの順番 『十文字』事件」米澤穂信
「夏期限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信
「ボトルネック」米澤穂信
「遠まわりする雛」米澤穂信
「インシテミル」米澤穂信
Livreに「氷菓」「愚者のエンドロール」「さよなら妖精」の感想があります)

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