Catégories:“ミステリ”

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ものすごーく久しぶりの京極作品。「巷説百物語」の続編です。今回も連作短編。小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平、考物の百介という4人も健在。でも、前作も必殺シリーズみたいで楽しかったんですが、今回はまた一味違いました。まず、今回のそれぞれの短編は、「巷説百物語」のそれぞれの短編と入れ子になって進んでいくんですね。そして今回、最初の4つの短編はそれぞれに話が完結してたので、普通の連作短編集かと思ってたんですが、それぞれの短編、それまでの伏線が絡み合って、この本の中で一番長い「死神」へと雪崩れ込んでいってびっくり。いやあ、前作とは物語の深みが全然違うんですね。素晴らしいー。
「憑き物」を落として人を正気に戻す京極堂シリーズに対して、「憑き物」を利用して人を正気に戻すこのシリーズ。この続編の「後巷説百物語」が直木賞を受賞してるんですけど、ここまで綺麗にまとまってしまって、このあとどんな続編が出たのかしら? ちょっと気にはなるけど... でも敢えて読まずに、ここで終わらせておきたい気もします。(角川文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「巷説百物語」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「続巷説百物語」京極夏彦
「後巷説百物語」京極夏彦

+既読の京極夏彦作品の感想+
「百器徒然袋-風」京極夏彦
Livreに、これ以前の作品の感想があります

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まだまだ駆け出しの28歳のフリーライター・寺坂真以が主に仕事場としているのは、近所のファミリーレストラン。ノートパソコンや手帳、携帯電話などをリュックに詰めて出かけていきます。そしてそこで出会った謎を、幸田ハルというおばあさんの助けを借りて解いていくという連作短編集。

いわゆる日常の謎物。ここに登場する幸田ハルというおばあさんは、このファミリーレストランが建つ前に、この辺り一帯の敷地の持ち主だった女性で、20年前に既に亡くなっています。つまり幽霊ということ。この設定が松尾さんらしいところですねー。彼女は生前の暮らしを懐かしんで、時々ファミリーレストランに現れるんですが、みんなに見えるというわけじゃなくて、見える人と見えない人がいるという設定。
で、このおばあちゃんが何とも愛嬌があって可愛いんです。特に冒頭の「ケーキと指輪の問題」で、せっかく解いた謎が仕事の役には立たなかったと分かった時のおばあちゃんの反応といったら...。あまりに可愛らしくて、一気にファンになってしまいました。松尾さんらしさはそれほど強烈ではないので、松尾ファンの私にとってはちょっぴり物足りなさも残るんですが、逆にこういう作品がファン層を広げるかも? ぜひ続編も書いていただきたい作品です~。(光文社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
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福岡に働くイソ弁を主人公にした連作短編集。ええと、イソ弁というのは、「居候中の弁護士」の略でしたっけ? 弁護士事務所に勤めている弁護士のことですね。そのイソ弁として働いている新人弁護士「剣持鷹士」が関わった件を、高校時代からの親友・コーキが鮮やかに解いてしまうというパターン。

いやあ、これはまさに推理パズルですね。特に表題作「あきらめのよい相談者」の解決は、まるでハリイ・ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」みたい! いくつか提示されていた事実が思いがけない状態で見事に繋がってびっくり~。いや、本当は多少強引なのかもしれないんですけど、こういう作品に弱いんですよね、私。(^^ゞ
作者の剣持鷹士さんご自身が弁護士だそうで、法律的な薀蓄や、裁判にまつわるエピソードも楽しいです。「裁判ってのは、こちらの主張が正しいと裁判所に思わせること、あるいは相手の主張が正しくないと思わせることなんやから、実際に起こったことは何かって考えてもしょうがなかよ」という言葉で、ああやっぱり弁護士にとっては、真相よりも依頼人を守ることが大切なんだなあと実感。あまり正義感の強い人には向かない仕事なんでしょうね。なんだか苦労が多そうです。

さて、この剣持鷹士さんというのは、「五十円玉二十枚の謎」の一般公募で最優秀賞だった高橋謙一氏。このまま書き続けていればきっと人気作家さんになれたでしょうに、この1冊しか本になってないんですよね。なんだか勿体ないなあ。本業の方がお忙しいのかしら?(創元推理文庫)

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そのお人好しぶりのせいで、いつも事件に巻き込まれてしまう白戸修の連作短編集。1作目の「ツール&ストール」は、第20回小説推理新人賞受賞のデビュー作品。

ミステリ作品、特にシリーズ物は主人公がどうやって事件に絡んでいくかというのが大きなポイントだと思うし、わざとらしくならないようにするのって結構難しいと思うんですけど、この作品の巻き込まれっぷりは、ほんとお見事。しかも白戸修が必ずしも探偵役というわけでもなくて、巻き込まれているうちに何となく解決してしまうという感じなんですよね。もちろん彼自身が何かに気づいてそれが解決に繋がることもあるんですけど、周囲の助けも大きくて。脇役もいい味出してます。
それぞれの短編では、スリとかストーカーとか万引きとか、そういう犯罪がクローズアップされるんですけど、例えばそういうスリの実態とか、ストーカーに対する対処法とか、それぞれの犯罪に関する薀蓄も楽しいんですよね。ちょっぴりピカレスクっぽい雰囲気。で、そういうのに感心しながら読んでたら、突然真相が現れて意表を突かれたり。事件が起きて探偵役が推理するっていう、普通のミステリとはちょっと角度が違うのも楽しいところ。主人公の抜け具合に愛嬌があるせいか、どの作品も後味が良くほのぼのとしています。これはぜひ続編も書いて頂きたいな。(双葉文庫)

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金髪の鶏冠頭の不良少年・竜二が、元担任教師に引きずられるようにして、大酒飲みで借金まみれの落語家・笑酔亭梅寿に入門することになって... という物語。連作短編集です。

随分前からヤマボウシさんにオススメされていた作品。ようやく読めました。
あの田中啓文さんが、こんな普通の (一般的に読みやすいという意味です・笑) 作品も書いてらしたとは! と、まずびっくり。いつもの破天荒な作風はどこにいっちゃったの? 読む前に、先入観入りまくりだったんですけど...!(笑)
いえ、ネットでの評判は上々のようだし、きっとかなり読みやすい作品になってるんだろうなとは思ってたんですけどね。それにしても違いすぎですよぅ。...と偉そうに言えるほど田中啓文作品を読んでるわけじゃないんですが... でもほんとびっくりしちゃいました。ええと、良い方に意外だったし、でもちょっぴり拍子抜けでもあり。
どこが拍子抜けだったかといえば、これが全くそつがない、綺麗にまとまった作品だったってところですね。(やっぱり先入観は大きいぞ・笑) 主人公の竜二が、絵に描いたような不良少年だった割に、特に反抗することもなくこの世界に馴染んでしまうというのもそうだし、特に「派手な外見とは裏腹に、実は良い子で、才能もあった」ってところなんて、「いかにも」ですよね。さりげなく師匠を立てながら、謎解きをしちゃうところも。でもこの師匠、味があってなかなかいいんですよねえ。兄弟子姉弟子も、それぞれに人間らしくて面白かったし。ミステリとしては小粒だけど、きちんと落語のネタにリンクしてるし、落語初心者にも優しい作りだし、話のテンポも良いし、実際にそれぞれの落語を聞いてみたくなる1冊でした。
...でもやっぱり、なんか騙されたような気がするのは拭えない... 妙な先入観がなければ、もっと楽しめたのに! 何かが起きるのを期待しちゃったじゃないかーっ。(笑)
あ、落語といえば、「タイガー&ドラゴン」のDVDはもう出たんですよね。今度借りて来なくっちゃ。(集英社)

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東中島で強盗事件が起こります。被害者は一緒に暮らしている姉妹。妹が刃物で傷つけられていたものの、強奪されたのは現金2万円のみ。しかし姉妹が可愛がっていたチワワも盗まれていたのです。

「狼の寓話」に続く、南方署強行犯シリーズ第2弾。
近藤史恵さんのブログ「むくいぬ屋仮宅」で「犬猫好きの人には、鬱になる内容かも」と書かれてるとは聞いていたのですが、確かにそうでした...。前作もすごーく痛い内容だったんですけど、今回もかなりキツかったです。あんな病気があるなんて、知らなかったよー。あ、知らないといえば、長年動物を飼ってる割に「虹の橋」の話も知らなかったんですけど、検索してみるとものすごい数がヒットしてびっくり。へええ、そうだったんですか。もしかしてものすごーく良く知られてる話だったのでしょうか! でもそういうのを逆手に取る人もいるものなんですね。(怒)
内容的にも、動物の話が人間の話に絶妙にリンクしてる辺りが凄く良かったんですけど、あとがきに、動物絡みの事件というのは、動物が嫌いな人間よりもむしろ動物好きの人間のせいで起きると書かれていたのが痛かった。そうなんですよねえ、動物嫌いの人って、ものすごい迷惑でも掛けられない限り、自分から動物には関わろうとはしないですものね。一般の飼い主以外にも、動物愛護団体のボランティアをしてる人間とか、ブリーダーとか、他にも色んな立場の人が出てきて、もうほんと色々考えさせられちゃいます。動物が好きで、しかも最初は善意から始まってることだけにやり切れない...。(徳間ノベルス)


+シリーズ既刊の感想+
「南方署強行犯係 狼の寓話」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「にわか大根」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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5年前に離婚した夫にしつこくつきまとわれ、思わず殺してしまった花岡靖子。その時靖子に声をかけたのは、アパートの隣室に住む高校の数学教師・石神でした。石神は自分に任せておけば全てが上手く行くというのですが...。

「探偵ガリレオ」「予知夢」に引き続き、湯川学と草薙刑事の登場する作品。でもこれって単純にシリーズ物と言ってしまっていいのでしょうか! これまでの2作品は湯川の物理の知識を生かした、いわば理科の実験を見てるような楽しさのある連作短編集だったんですけど、この作品は雰囲気がまた全然違うんです。本格ミステリでありながら、純愛小説。
アリバイは完璧なのに、靖子を疑い続ける警察。そして警察の先手を打って着実にコトを進める石神。実はこの石神、かつては50年か100年に1人の逸材とも言われた数学の天才で、湯川学とは、帝都大学の同期だったんですねー。まず、この2人の頭脳対決が見もの。コトの真相には、びっくり。でもそういうミステリ的部分よりも、石神の純愛の方が印象的でした。客観的に見て、靖子は石神がそこまで惚れこむほどの女性とは思えなかったんですが、でも石神にとって、そんなことはどうでも良かったんでしょうね。彼のダルマのような体つきと無表情な顔の奥に隠された深い感情... 最後の慟哭は切なかったです。(文藝春秋)


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「探偵ガリレオ」「予知夢」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「容疑者Xの献身」東野圭吾

+既読の東野圭吾作品の感想+
「ちゃれんじ?」東野圭吾
「さまよう刃」東野圭吾
「黒笑小説」東野圭吾
「さいえんす?」東野圭吾
「夢はトリノをかけめぐる」東野圭吾
「赤い指」東野圭吾
「たぶん最後の御挨拶」東野圭吾
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