Catégories:“ミステリ”

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ささらさや」の姉妹編。 「ささらさや」と同じく佐々良という小さな町が舞台で、登場人物も共通しているのですが、こちらの主人公は照代という15歳の女の子。せっかく希望の高校に受かったのに、浪費家の両親のせいで借金取りに追われることになり、会ったこともない遠縁の親戚「鈴木久代」を訪ねて1人で佐々良へ来るところから物語は始まります。
主人公の照代は全然可愛げのない生意気な女の子。でも両親からされた仕打ちを考えれば、ある程度は仕方ないですよね。彼女の尖った部分が、彼女の寂しさや哀しさをそのまま表しているようで切なかったです。でもそれも佐々良にやって来て色んな人と出会うちに少しずつ柔らかくほぐれていくことになるわけで... まあ、言ってしまえばとっても分かりやすい展開なんですが(笑)、でも加納さんらしく柔らかくて暖かくて、でもドキッとさせられる部分もあって良かったです。
「ささらさや」と同じように不思議なことが起こるのですが、こちらの出来事は「ささらさや」の時ほど物語を左右するものではなくて、言ってしまえばスパイス程度。でもそのスパイスのおかげで、重くなりすぎずに読めたような気がします。それにやっぱりこの佐々良という町がいいんですよねえ。なんだか久しぶりの友達にばったり会えた気分です♪(幻冬舎)


+シリーズ既刊の感想+
「ささらさや」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「てるてるあした」加納朋子

+既読の加納朋子作品の感想+
「ななつのこものがたり」加納朋子
「モノレールねこ」加納朋子
「ぐるぐる猿と歌う鳥」加納朋子
Livreに、これ以前の全作品の感想があります。

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20年前、古都・K市で起きた陰惨な殺人事件。それは、地元の名家の祝いの席に届けられた酒とジュースに青酸系化合物が混入されており、子供6人を含む17人もの人間が亡くなるというものでした。そしてその10年後、その出来事は本として出版されます。事件当時中学生だった雑賀満喜子が、大学の卒論のために当時の関係者に話を聞いて回りまとめたものが、「失われた祝祭」という本として出版されることになったのです。そしてさらに20年後。

事件に関わった人物1人ずつの証言を元に、過去の事件を浮き上がっていくという形態。「Q&A」と似たような手法なんですね。ただしこちらは基本的にQはなくてAだけ。
もちろん事件そのものも浮き上がってくるんですけど、むしろ事件から10年経ってそれぞれの当事者たちの想いが浮き上がってくるというのがポイントなのかもしれないですね。はっきりと質問者が存在していた「Q&A」と違って聞き手の言葉が直接的に登場しないので、まるで自分もその場にいて話を聞いているみたい。そしてなんだか話を聞いてるというよりも、なんだかそこにある混沌とした深淵を覗き込んでいるような気分... 不気味。もちろんそれらの話の中には真実ではないことも含まれているかもしれないし、明らかに事件当日のことを書きながらも、固有名詞が微妙に変えられている部分もあります。巧妙にはぐらかされながら、それ少しずつ核心に近づいていく感覚が堪らない! ...そしてまた最初に戻るのですね。うーん、素敵だわ。恩田さんの作品って最後に近づくと、普通とは違った意味で(笑)ドキドキするんですけど、今回はこの曖昧さがすごくいい方に出てるような気がします。恩田節全開。...と言いつつ、インタビュワーの存在とか、他にも気になってしまう部分もいくつかあったのだけど...(笑) そしてこの本、装幀が凄いんですね。中身も素敵ですが、外側のカバーも。薄い紗のようなグレーで全て塗り込めてしまうような装幀です。(角川書店)

ということでようやくユージニアを読了したので、先日書いていた通りMy Best Books!の恩田陸Best3に参加しますね。しかしこれが迷うんですよねー。どうしよう?


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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津原泰水まつりエントリ第2弾。これも好きなんですよー、「蘆屋家の崩壊」。このタイトルは、言うまでもなくエドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」からですね。30を過ぎても未だ定職についていない猿渡という男と、怪奇小説家、通称「伯爵」の連作短編集。豆腐好きで、美味しい豆腐が食べられると聞けば、日本中遠征してしまう2人の物語。豆腐ですよ、豆腐。出てくる豆腐料理がまた美味しそう。それにこの2人のやり取りも楽しいのです。でもね、そんな風に一見ごく普通の雰囲気かと思えば、実はそこには僅かな歪みが...。何かがおかしいと思ってる間に、いつの間にかその歪みに捕らえられて、落とされてしまうのですねえ。
今回再読して驚いたのは、冒頭の句読点の少なさ。句読点が少なくても全然読みにくくならなくて、むしろそのせいか、最初の短編なんてたった6ページなのにとっても濃いです。独特の濃密さを醸し出しているのですね。これで引きずり込まれちゃう。で、気がついたら句読点は普通になっているのだけど、最初のその効果が持続して勝手に増幅しているのか、もう離してくれないのです。...句読点が少ないといえば、舞城王太郎さんの文章もそうですよね。句読点が少ないというよりはほとんどなくて、独特のリズムとパワーのある文章。でも同じように句読点の打ち方に特徴があるとはいっても、そこにある雰囲気は全くの別物で、なんだか不思議。
でも、確かに句読点の打ち方って重要ですよね。妙に読みにくいと思ったら句読点のせいだったり。...そうか、私も句読点次第で文章の雰囲気を変えられるのか、なんて思ったんですけど、例えば私の文章から句読点を減らしても、ただ単に読みにくくなるだけなんだろうな。

この作品、どうやら猿渡は津原氏本人、伯爵は井上雅彦氏がモデルのようです。この井上雅彦という方も、どんな方なのかとっても気になります。実は未だに読んだことがないので...。(ホラー系は苦手だし←本当か?)(集英社文庫)


+既読の津原泰水作品の感想+
「ペニス」津原泰水
「少年トレチア」津原泰水
「綺譚集」津原泰水
「妖都」津原泰水
「蘆屋家の崩壊」津原泰水
「赤い竪琴」津原泰水
「ルピナス探偵団の当惑」津原泰水

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服飾関係の専門学校を卒業しながら、希望する仕事が見つからずに、ファミリーレストランでバイトをしている久里子が主人公。そのファミリーレストランの内外で起きた奇妙な出来事を、常連客の老人・国枝が解き明かしていきます。

大好きな近藤史恵さんの新刊。でも読みながらなぜか、加納朋子さんの「月曜日の水玉模様」を連想していました。設定も内容も全然違うのに、なぜなんでしょうね。軽快さ加減が似てるのかな? 軽快といえば「天使はモップを持って」「モップの精は深夜に現れる」のキリコちゃんシリーズも同じように軽快なはずなんですけど、こっちのイメージではないんですよね。なぜかしら... 
というのはともかくとして、なかなか可愛らしい連作短編集でした。主人公の久里子や弟の信の成長物語となっているし、それぞれのキャラクターも魅力的。国枝老人が色々な謎を解いていくんですけど、この国枝老人自身が出会う場所によって雰囲気を変えるという謎な人なので(笑)、そっちへの興味も相まって楽しかったです。強烈なインパクトはないし、近藤さんらしい「痛さ」とか「切なさ」はあまり感じられなかったんですけど、読んでいてとても心地良い作品でした。こういうのも好きー♪ シリーズ物になってくれたら嬉しいんですが... この終わり方だと、どうなんでしょう?(文藝春秋)


+シリーズ既刊の感想+
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「にわか大根」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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神麻嗣子ちゃんのチョーモンインシリーズ第7弾。ようやく読めました!
この1冊の中に収められているのは短編が7編。いつもよりも短い? それにいつものレギュラー陣が、ほとんど登場してない! 特に保科さんなんて最初だけじゃないかーっ。とはいえ、いつものように明るく楽しく、ちょぴり毒を含みながら話が展開していきます。色々とみょ~な超能力が登場して面白いし、やっぱりこのシリーズは好きだなあ。それにあとがきに書かれているような「キャラクターを外側から眺める物語を書いてみたくなる」というのは分かります。私もそういうのを読むのは大好きです。
でもね、それはいいんですけど... 今回は全体的に随分小粒のような気も。なんでこんなに小粒なんだろう、短編集の時はいつもいくつ入ってたかしら、と調べてみたら、「念力密室!」「転・送・密・室」「人形幻戯」の時はそれぞれ6編ずつ。全体のページ数はそれほど変わらないはずなんですよね。1編増えるだけで、こんなに短く感じるのか... と、ちょっとびっくりでした。うーん、「短い=小粒」でもないと思うんだけど...。次こそは、ぜひとも!じっくりとした長編が読みたいです。本当に。(講談社ノベルス)


+シリーズ既刊の感想+
「幻惑密室」「実況中死」「念力密室!」「夢幻巡礼」「転・送・密・室」「人形幻戯」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「生贄を抱く夜」西澤保彦
「ソフトタッチ・オペレーション」西澤保彦

+既読の西澤保彦作品の感想+
「方舟は冬の国へ」西澤保彦
「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」西澤保彦
「フェティッシュ」西澤保彦
「キス」西澤保彦
「春の魔法のおすそわけ」西澤保彦
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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「都会(まち)のトム&ソーヤ」シリーズの第3弾。今回も楽しかったです。2~3度、思わず噴出してしまった場面もありました。デートの下見だの文化祭だの、中学生らしくっていいですねえ。今回、内人の「おばーちゃんの知恵袋」(勝手に命名)も結構あったので、かなり満足。でも、創也がどんどんボケキャラになってるのは... これでいいのでしょうか...?(クラスメートは創也が目の前でボケてても全然本気にしてないけど・笑) そして創也のお目付け役の卓也さのシャドー保育ったら!(爆笑) 彼に幸せが訪れる日は本当に来るのでしょうか...。
それと新たな敵役も登場しました。この人は次回以降レギュラーになるのかな? 次回も楽しみです。(講談社YA! ENTERTAINMENT)


+シリーズ既刊の感想+
「都会のトム&ソーヤ1」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「都会のトム&ソーヤ2 乱!RUN!ラン!」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ3 いつになったら作戦(ミッション)終了?」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ4 四重奏(カルテット)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ5 IN塀戸(VADE)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ6 ぼくの家へおいで」はやみねかおる

+既読のはやみねかおる作品の感想+
「虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー」「笛吹き男とサクセス塾の秘密」はやみねかおる
「オリエント急行とパンドラの匣」はやみねかおる
「卒業 開かずの教室を開けるとき」はやみねかおる
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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なんだか怖い表紙ですねー。これは本のことどもの聖月さんのオススメの作品。聖月さんったら力を入れるあまり、まるでスパムのようなトラックバックまでばら撒いたんですよー。(笑) その聖月さんの書かれた書評はコチラ
で、そのトラックバックを頂いてから1ヶ月以上経ってしまったわけなんですが、読んでみました。(←これでも早い方なのだ) 
舞台は江戸末期から明治にかけての日本。表題作は、とある狂言作家が、若い頃に師匠に聞かされた話を物語るという形式。この表題作の中にも、顔は美しく化粧をしていても心の中は...という譬えが出てくるんですが、まさにそういう感覚の作品群です。核となる登場人物たちは、かつては華やかな暮らしをしていたり、幸せを掴んでいたりと一応恵まれた日の当たる場所にいたはずの人々。なのに物語の視点となる人物が見ている「今」は、既に凋落した生活ぶり。そこには一応、一般的な人々が納得できるような理由や解釈が存在するんですが、それだけではないんですよね。読んでいると、まるでたまねぎの薄皮を1枚ずつはがしていくような感覚です。1枚ずつはがしていって、その一番奥に潜むものは...? もうほんとゾクリとさせられます。5つの物語には特に繋がりも何もないのですが(日本の伝統的芸能が多く登場するけど)、でもやっぱりこれは連作短編集なんじゃなかろうかーって思います。全て読み終えてみると、どれも1人の狂言作家の目を通してみた物語という気がするし。本物の芝居を書くために、人々の生業やそこに潜む闇を覗きこむ目、ですね。
ええと、純粋に好きかどうかと聞かれると、実はあまり私の好みとは言えないのだけど...(聖月さん、ごめんなさいー)、でもオススメしたくなるのも良く分かる良質の短編集。翔田寛さんって、去年ミステリフロンティアに書かれるまでは、実は名前も良く知らなかったんですけど、こんな作品がデビュー作だなんて! しかも埋もれていたなんて!(あ、別に埋もれてない?) たとえば心の闇を描いた作品が好きな人なら、すごくハマると思います。一読の価値はあるかと♪(双葉文庫)

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