Catégories:“ミステリ”

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ススキ野原に囲まれた秋庭市立秋葉図書館は、立地条件があまり良くないことから、あまり利用者も多くなく、図書館職員も暇をもてあそぶ毎日。そんな図書館で新米司書の文子が出会う謎を描いた、日常の謎系の連作短編集。
図書館が舞台ということで、とても読みたかった本。私も図書館は大好きだし、作品全体の雰囲気もとても良くて、繊細な感じ。そしてほんのり暖かい読後感が残ります。しかもこの作品に登場する2冊の児童書は、私も子供の頃大好きだった作品なんです。ええと、1つはメアリー・ノートンの「床下の小人たち」なんですが、もう1つはタイトルを出すとネタばれになりそうなので伏せておきますね。知ってる人は読んでる途中でピンと来ると思うんですが。あ、でも 最後に能勢夫人が借りた本が分かりません。あれは何なのでしょう?
登場人物もそれぞれにいい味を出してるし、特に水曜日ごとに図書館に来る「深雪さん」が素敵。北村薫さんや加納朋子さんが好きな人は、きっと大好きになるんじゃないかしらという作品です。という私も、もちろん楽しめました。でもね、5つ星の満足度ではないんですよね。どこか物足りなくて... 読み終わった後、なんでだろう? と考えてしまいました。多分、プラスアルファの「深み」が足りないんでしょうね。...でもやっぱり一読の価値がある1冊ですね。図書館好きさんは特に。(東京創元社)

今月はすっかり翻訳物づいてしまって、翻訳物は19冊読んでいるというのに、国内の作品は津原泰水さんの「綺譚集」に続いてこれでようやく2冊目。で、この2冊ともが図書館本なんです。図書館は、ゆっくりゆっくり利用中。でもやっぱり図書館の期限って強力ですね。(笑)
それと今日は古本屋で本を大量に処分してきました。紙袋5つ分で、しめて6千円♪ 部屋も気分もすっきりです。 


+既読の森谷明子作品の感想+
「れんげ野原のまんなかで」森谷明子
「千年の黙(しじま) 異本源氏物語」森谷明子
「七姫幻想」森谷明子

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アイルランドの和平実現を目前に控えた1997年7月。スライゴーのB&B・レイクサイド・ハウスで、IRAと並ぶ北アイルランドの武装勢力・NCFの副議長が何者かに殺害されます。政治的な理由で警察を呼ぶことが出来ないまま、同行していたNCF参謀長のトムは、偶然居合わせた日本人科学者・フジらと共に事件を調べ始めることに。

ということで、石持浅海さんのデビュー作。アイルランドを舞台にしたミステリというのも珍しいし、しかも北アイルランド問題が絡んでくるところなんて、なかなか面白かったです。(IRAはもちろん実在ですけど、NCFって架空の団体ですよね...?) テロ組織っていったら、もっと血の気が多い人たちを想像しちゃうんだけど、案外みんな理性的なのは、やっぱり和平交渉が進んでる最中だからでしょうか。(笑)
でもそっちは良かったんだけど、肝心のミステリ部分に関しては、ちょっと物足りなかったかも。殺し屋に関しても真相に関しても動機に関しても他のことに関しても、予想してた所に直球ストレートなんですもん。私の予想が当たることなんて珍しいから尚更なんですけど、でも今回は、これまた私にしては珍しく、「これしかない」と思ってたんですよね。普段は断然物語重視で、たとえトリックが多少破綻してても気にしない私なんですが、これほど驚けないとなるとやっぱりちょっと考えちゃいます。だって唯一びっくりした箇所が、「~を」が「w」になってる誤植だけだったんですもん(^^;。 とはいえ、これがデビュー作なんですものね。こんな素材をミステリに絡めて書ける作家さんが出てきてるというのは、やっぱりすごいな。他の作品はどんな感じなのか楽しみです。(光文社文庫)

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A女学院の英語教諭・ニシ・アズマ女史は、学院の屋根裏部屋が大のお気に入り。時間が空くとその部屋で絵を描いたり、運び込んだ古ベッドで午睡をしたりしています。しかしそんな彼女も赤縁のロイド眼鏡をかけると名探偵に変身。学院の内外で起きた出来事を解き明かしていきます。...ということで、昭和32年から33年にかけて雑誌に連載されていたという連作短編集。北村薫さんが「謎のギャラリー 謎の部屋」で取り上げて絶賛、文庫化の運びになったようです。さすがに時代を感じさせる文字遣いや文章なんですけど、でもそれがまた逆に雰囲気を出してました。
時には殺人も起きてるのに、むしろ「日常の謎」に近い雰囲気。意外と観察眼の鋭いニシ・アズマ女史が偶然何かを目にして、「おや」と思ったところから事件が始まります。ほんの小さな出来事から、事件の全体像を描き出してしまう鮮やかさ。でも普段のニシ・アズマ女史は、あくまでものんびり午睡を楽しむ可愛らしい女性なんですよね。この彼女の雰囲気が作品全体の雰囲気になっていて、とても優しい読後感。ミステリ部分以上に、この雰囲気をのんびりと楽しみたい作品かも。飄々とした味わいのある1冊でした。 (創元推理文庫)

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久々の御手洗シリーズの長編。 レオナに届いたファンレターから、大正8年に箱根の芦ノ湖にロシアの軍艦がいたという写真の謎、そしてさらに大きな歴史的な謎へと物語は発展していきます。
御手洗が北欧に行ってしまってから、このシリーズへの興味もすっかり薄れてしまってたんですけど(子供の頃の御手洗には興味ないし、海外で活躍するのもあんまり好きじゃない ←ワガママ)、これは北欧に発つ前年の話だったんですね。いや、面白かった。読み始めた時は、こんな壮大な話になるとはつゆ知らず。なんだかまるで全盛期の御手洗物を読んでるような雰囲気もあって、懐かしかったなあ。これこそが真実に違いない!って迫力もありました。...でもねー、パソコン通信全盛の1993年に、インターネットで簡単に検索しちゃってるのが驚き!しかも出先で!?とか、彼女は話せないの、話したくないの、どっち?!とか、つい気になってしまった部分もいくつか。ああ、些細なことなのに! 普段は細かいことなんてほとんど気にせず読んでるのに(面白ければオッケー)、一旦気になりだすと止まらないのはなぜぇ。そんなことに気付いてしまった自分がカナシイ。や、面白かったんですよー。
これは元々「季刊島田荘司2000Autumn」に発表された作品で、その時は、文庫にして80ページほどのエピローグはなかったのだそう。御手洗物としては本編だけでも十分だと思うけど、もしかして本当はエピローグの方が書きたかったのかな? これがあるのとないのとでは、かなり印象が変わりそうです。(角川文庫)


+既読の島田荘司作品の感想+
「ロシア幽霊軍艦事件」島田荘司
「UFO大通り」島田荘司
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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「邪馬台国はどこですか?」の姉妹編とも続編とも言える作品。美貌の歴史学者・早乙女静香とフリーライターの宮田、バーテンの松代はそのままなんですが、今回は三谷教授の代わりにペンシルベニア大学教授のハートマン氏が加わります。彼は古代史の世界的権威。でもほとんど物語の視点提供だけといった感じですね。今回も静香のツッコミに、宮田の一見突拍子もない推論が繰り広げられるのが楽しい連作短編集。でも「邪馬台国」ほどの説得力は感じられなかったかな...。今回は、前回みたいな「わー、本当にそうなのかも!」じゃなくて、「ほおー、そう来るのか」という感じだったし。とはいえ、やっぱり楽しかったです。この軽快さは鯨さんならではですね。しかも今回バーテンの松代さんもかなり頑張ってましたよ。小林ケンタロウさんの「ドカンと、うまいつまみ」が参考文献に入ってるって聞いてたんですけど、それも納得。本当に参考文献に載ってるところを見た時は笑っちゃった。あ、そういうつまみとかカクテルの参考文献もそうなんですけど(笑)、こういう作品の参考文献って、タイトルを見てるだけでも面白そうで読みたくなっちゃいますね。そして、ここで活躍する早乙女静香は、「すべての美人は名探偵である」で、「九つの殺人メルヘン」の主人公の桜川東子と共演してたんですね。これも読んでみたいなあ。(創元推理文庫)

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新しく自分の劇団を立ち上げようとしている度会恭平と、その度会恭平に、「この人しかいない」と思わせた風見爽馬。"劇団φ"のための納得のいくメンバーを探すために、2人は日々走りまわることに...。

全部で7章から成っている作品。そのうちのいくつかの章は、ジャーロに連載されていた時にも読んでいたんですが、今回最初から通して読んでみると、その時の印象とはまた全然違っていたのでびっくり。ジャーロで読んでいた時は、それぞれに独立した1つの短編のように読んでたんですけど、全体を通して読むと、これは連作短編集というよりもむしろ、1つの長編だったんですね! で、1つの章に1つずつ謎が含まれていて、度会さんと風見さんがその謎に関わり合っていくんですが、でも謎解きをするというよりも、むしろ彼らが関わった人間1人1人の心のしこりやわだかまりを解きほぐしていっているような感じ。単に「謎」というよりも、もっと深いものを感じました。そして最初の6章のそれぞれの物語が少しずつ他の章と重なって1つの世界を作り上げていき、最後の「...そして、開幕」にそれぞれの思いが流れ込み、昇華されていくような印象。
いやー、本当に良かったです。光原さんの作品はどれも好きで、新しい作品を読むたびに「この作品が一番好き!」と思ってしまうんですけど、またしても「一番」の作品が!(笑) 最後まで読んで、また最初に戻ったり、今度は途中のところ読んでみたり、ずーっと余韻を楽しんでましたもん。(出先で読んでいたので、特に最後の章を読んだ時は涙腺が緩んでしまってすごーく困ったのですが...) 一瞬で印象をまるで変えてしまう度会さんもとても魅力的だし(特に、うかつに触ったら手が切れそうな時の度会さんが堪らないっ)、度会さんと風見さんのコンビも楽しいし、この2人にスカウトされたシロちゃんこと吉井志朗さんも、またいい味出してるし...! 彼の「シロちゃんと呼ばんでくださいっ」を聞くたびに和んじゃいます。でもでも、やっぱり私は風見さんが一番好きだーっ...! ジャーロで読んでた時も惚れ込んでたんですが、またしても惚れ直してしまいました。やっぱりあの目はポイントですね...っ >光原先生
ああっ、彼が主演を演じたという例の舞台、観てみたいっ。あ、もちろん劇団φの旗揚げ公演も見てみたいです。これは果たしてどんな話なんでしょう。想像(妄想?)がふくらみます。これからの劇団φがどうなっていくのかも、とっても楽しみ。...その時は、「Oさん」も登場するのかな? あ、しないのかな?(笑)(光文社)


+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「花散る夜に」「ピアニシモより小さな祈り」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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「天使はモップを持って」の続編。明るくキュートな清掃員・キリコちゃんのシリーズ第2弾です。仕事で色んなテナントに出入りするキリコは、そこで関わった人の悩みを解決したり、社内での謎を解明したりしていきます。
やっぱりキリコちゃんは可愛ーい。何かに悩んでいる当人には、物事の全体像はなかなか見えてこないものだし、少し離れたキリコの立場だからこそ見えてくるものもあると思うんですけど、やっぱりそういうのをちゃんとキャッチしているのは、キリコの素直さとか気配りとか、そういうのがあってこそなんですよねー。読んでいて、キリコの言葉には何度もはっとさせられちゃいました。や、ほんとに。
近藤史恵さんがあとがきで、キリコをずっと天使のままにしておくこともできるけれど、それが嫌で敢えて彼女の「羽衣を隠した」と書いてらっしゃるんですが、その「羽衣を隠した」ことがこのシリーズに、深みを出しているような。普段はキリコの明るく頭の回転の早い面が全面に出ているけど、ふとした時に、隠された心の一面が垣間見られるのがやっぱり魅力的だし、それが読後感を暖かいものにしているんじゃないかと。やっぱりこのシリーズは大好きです。(ジョイノベルス)


+シリーズ既刊の感想+
「天使はモップを持って」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「にわか大根」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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