Catégories:“ミステリ”

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クリスマスの時期に読もうと思っていたのに、今頃になってしまいましたー。でも実際にはあんまりクリスマスは関係なかったですね。帯の「ビートルズが死んだ1970年。すべてはそこから始まった」というのも、まあその通りなんですけど、ジョンだのポールだのの名前がちらっと登場するだけです。(笑)
クリスマスの夜に人身事故を起こしてしまった4人の20歳の若者。警察には行かずに、その事故を隠すことを決意したのですが、その10年後の同じクリスマスの夜、4人の前にあの時死んだはずの男が現れて... という話。話は1970に始まり、10年ごとのクリスマスということで視点を変えて描かれていきます。導入はそれほど珍しくないパターンだし、オチはオチで、これは賛否両論なんじゃないかなあって思うんですけど(私は楽しめたけど←何でもアリ人間) でもこの10年ごとの描写が、ごくさりげないんだけど、なんかいいんです。新入社員の月給が3万7千円だった(!)という1970年に始まり、インベーダーゲーム全盛期(?)の1980年、バブル景気のの1990年、ほとんど現代の2000年。この登場人物たちと同年代の読者なら、もっとノスタルジーを感じられるんじゃないかなあ。んでもって、この4人はいくつになっても変わんないなーって感じなんですけど、でも学生時代の仲間って、ものすごーく久しぶりに会っても、会った瞬間昔の仲間に戻っちゃいますもんね。そんなことを思うと、なんだか微笑ましかったです。(光文社文庫)


でもこの作品の死体遺棄部分を読んで、先日読んだ雑誌の記事を思い出しちゃいました。その記事のタイトルは、「人は土に返れなくなっちゃったのよ」。自然食品の記事のようだったので、てっきり比喩的な意味だと思っていたら、そうじゃなくて本当に土に返れなくなってるという話でした。その理由は、食品と一緒に体内に入り、そして蓄積されていった防腐剤。日本では火葬がほとんどですけど、土葬のアメリカでは、遺骸の内臓がなかなか腐らないのが問題になってるんですって。も、もしや頭とか身体の表面とかはでろでろ~んと腐ってきてるのに、内臓だけはツヤツヤのピカピカ...? これは怖い! で、そういう防腐剤などの有害な添加物を腸から押し出して洗い流すことができるのは、玄米だけなんですって。そうだったんだー!!
玄米、食べましょうねっ。腐らない内臓、怖いです...(^^;。


+既読の井上夢人作品の感想+
「オルファクトグラム」上下 井上夢人
「クリスマスの4人」井上夢人
「the TEAM」井上夢人
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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姉が殺人鬼に襲われている現場に居合わせることになってしまい、自分も頭を強打された主人公。1ヵ月後、昏睡状態から醒めた彼は、世界が一変しているのに驚きます。彼の嗅覚は並の犬以上になってしまっていたのです...

ということで。読む前は、またまたすごい設定だなあと思ったんですけど、読んでみるとこれがすっごく面白くてびっくり。いやー、やっぱり井上夢人さんは凄いわ。話自体も勿論面白いんだけど、こんな風に匂いを表現してしまうとはー。主人公は匂いを「嗅ぐ」のではなく、「目で見る」ことになるんですけど、その匂いの情景がすっごく綺麗なんです。こんな嗅覚にはなりたくないけど、でもこの匂いの結晶は見てみたいぞー! それに途中でテレビ局が入ってきた辺りから、これはもしかしたらあんまり好きじゃない展開になるかも、とちょっと構えたんですけど、全くの杞憂でした。いやー、面白かったです。やっぱり井上夢人さんの作品は好きだー!(講談社文庫)


+既読の井上夢人作品の感想+
「オルファクトグラム」上下 井上夢人
「クリスマスの4人」井上夢人
「the TEAM」井上夢人
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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明治30年代を舞台に、「食道楽」という本邦初の美食小説を書いた実在の小説家・村井弦斎が探偵役となる連作ミステリ。弦斎は、丁度シャーロック・ホームズみたいな感じですね。弦斎と一緒に行動する友人・山田文彦が医学助手をしてるというところは、ワトソン役にぴったりだし。(笑)
伊藤博文や大隈重信といった明治期の立役者も登場しますし、あと松本良順(この頃は松本順という名前)とか、元新撰組隊士の甥という人物とかね。「美食探偵」というタイトルの割には、美食部分にはそれほどそそられなかったんですけど(これだけは残念)、でも村井弦斎がこの作品の中で執筆している「食道楽」にはすごく興味が湧いたし、ミステリとしてもそれほど凝ってるわけじゃないんだけど、素朴なところが逆にとても魅力的。文明開化の時代の空気を楽しめる、気持ち良い作品でした。これはシリーズ化はしないのかな? うーん、やっぱりしないかしら。「その後」を描いて欲しい気もするし、でもここでやめておく方が余韻が楽しめていいような気もするし... どうかしら。(講談社文庫)

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 EDGE4 檻のない虜囚 [amazon] [amazon]
昨日の続きの「EDGE」3巻と4巻です。今回は毒ガス事件に犬の連続虐殺事件。どちらの犯人も、ごく普通の生活を送っているごく普通の人たち。そんな人たちが、ふとした瞬間に「普通」から一歩踏み出してしまうんですね。表れ方はちょっと違うんだけど、共通点は家族。今回の2人の犯人はなんだか表裏一体のよう。でも犯人を追い詰める大滝錬摩だって、いつ一歩踏み出してもおかしくないわけで...。そういった心理の描き方がやはり絶妙。でもって、錬摩も「自分自身を追い詰める」から、だんだん「贖罪」へと移行してるような気もしたりして。
で、そんな事件以外にも、錬摩とその保護下にある藤崎宗一郎の関係にも大きな変化が! 一度は脳に銃弾を受けて零歳児状態にリセットされてしまった宗一郎なんですけど、どんどん成長してるんですよね。このままいったらどうなるんだろう... という危惧はそのまんま現実のことになっちゃいました。もうこの2人の緊迫感だけでもドキドキ!
でも、どうやら次の巻で最終話らしいんですけど、この状態で一体どうやってオチをつけるつもりなんだろう...?! 錬摩と宗一郎のことに決着つけるだけでも大変だと思うのに、思わせぶりな人物や、解決していない事件、怪しげな動きをする人々がうじゃうじゃといて、あと1冊だけで全てが収まるとは私にはどーしても思えないです。もしや5巻は分厚い上下巻?(それはそれで嬉しいのですが♪)
ということで、早く次巻が読みたいです!(ぜひとも頑張って下さいませ♪>とみなが貴和サマ)(講談社X文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「EDGE」「EDGE2 三月の誘拐者」とみなが貴和
「EDGE3 毒の夏」「EDGE4 檻のない虜囚」とみなが貴和
「EDGE5 ロスト・チルドレン」とみなが貴和

+既読のとみなが貴和作品の感想+
「セレーネ・セイレーン」とみなが貴和
「夏休みは命がけ!」とみなが貴和

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 EDGE2 三月の誘拐者 [amazon] [amazon]
ホワイトハート文庫にしては硬派な作品だとは聞いてたんですけど、ほんとにそうでした! うわー、これはほんとホワイトハートじゃあ勿体ないですよぅ。や、私はホワイトハートも好きですけど、読者がすごく限定されそうですからねえ。すごく骨太な作品なんですもん。もっと幅広い層に読んでもらわなくっちゃ! って言ってる間に口コミで広がってるのかな?(笑)
主人公は、民間人でありながら、天才的なプロファイラーとして警察に協力していた大滝錬摩。3年前に起きた事件が元で、今は飛騨の山村に引っ込んでるんですが、警視庁がそんな錬摩を無理矢理引っ張り出してくるんです。プロファイリングといえば、「羊たちの沈黙」なんかが真っ先に思い浮かぶんですけど、ああいう猟奇的な事件ではないんですね。1作目は連続爆弾事件、2作目は連続少女誘拐事件。本当はもっと天才プロファイラーの天才たる所以を見せて欲しい気はしたんですが、でも犯人や大滝錬摩自身の心理がとても肌理濃やかに描かれてるのがとても良かったですー。着実に犯人の範囲を狭めて追い詰めていく錬摩ですが、このプロファイルという作業によって追い詰めているのは、実は自分自身だったりして... まだまだ謎を秘めている錬摩もとても魅力的ですし、錬摩が飛騨に引っ込むきっかけとなった事件で、脳に銃弾を受けて瀕死の重傷を負った元相棒・藤崎宗一郎という存在も気になります。今後一体どうなっていくのかしら... どきどき。
それにしても、この表紙のイラストは大滝錬摩のイメージにぴったり! 美しくて、しかも絶妙です♪(講談社X文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「EDGE」「EDGE2 三月の誘拐者」とみなが貴和
「EDGE3 毒の夏」「EDGE4 檻のない虜囚」とみなが貴和
「EDGE5 ロスト・チルドレン」とみなが貴和

+既読のとみなが貴和作品の感想+
「セレーネ・セイレーン」とみなが貴和
「夏休みは命がけ!」とみなが貴和

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北森さんの作品は久しぶり。なかなか気分が乗らなくて積んだままだった本なんだけど、昨日の「警視庁草子」と登場人物がかなり共通しているようなので、今がチャンス!と選んでみました。明治12年に、後に「藤田組贋札事件」として知られる偽札事件の容疑で逮捕された大阪の豪商・藤田傳三郎の話。ミステリ風味なのかと思ったら真っ当な歴史小説だし、傳三郎の伝記的な作品かと思ったら、彼の影的な存在だった宮越宇三郎の話だったんですねえ。や、この宇三郎がいいんですよ。最初は「鬱陶しい人だな...」的視線で見てしまった宇三郎なんですが、中盤以降どんどん光ってきてびっくり。ほおぉ、これはよろしいですなあ。あ、この時代に活躍した高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤博文といった長州の志士たちも登場します。
で、この話自体もとても良かったんだけど、昨日の「警視庁草子」と比べると、これがまた面白いんですよね。同じ贋札事件、同じ下手人による事件が、描き方によってこうも違ってくるとは。私なんて、どれを読んでも「ほー、そうだったのか!」状態だから、どれも真実に見えてきて困っちゃう。歴史ミステリなんかでも、「それがきっと真実だろう」と思い込んでる作品が結構ありますしね。私のこの騙されやすさっていうのは、もしかしたら本(特にミステリ)を楽しむ上で最大の美徳かもしれないわっ。(←自虐的)(文春文庫)


+既読の北森鴻作品の感想+
「共犯マジック」北森鴻
「蜻蛉始末」北森鴻
「親不孝通りディテクティブ」北森鴻
「螢坂」北森鴻
「瑠璃の契り」北森鴻
「写楽・考」北森鴻
「暁の密使」北森鴻
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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 警視庁草子 下 [amazon] [amazon]
明治初期。まだ混沌とした時代を背景として、警視庁と元江戸南町奉行の面々の対決を描いた作品。いやー、この時代の政府の要人はもちろんのこと、有名人が多数登場、所狭しと動き回ってるのが凄いです。だってね、清水次郎長とその乾分の大政・小政、河竹黙阿弥、雲霧お辰に高橋お伝、山岡鉄舟、幼い頃の夏目漱石や幸田露伴、樋口一葉、少年時代の森鴎外、そして皇女和宮まで! 他にもまだまだ色んな人たちが表に裏に活躍するんですよ。まるで江戸時代から明治への時代の流れをフルカラーで見せられてるみたい。元江戸南町奉行が、「隅の老人--いや、隅の御隠居と呼んでもらおうか」と言っていたり(オルツィ!)、仕掛け人の話のところでご隠居が横を向いて「御免下され、池波正太郎殿」と言っていたり(笑)、しかもこーんなところに新撰組のあの人が!(ここで、大河ドラマでその役をやってた役者さんの顔がどどーんとアップになる) 森鴎外の初恋秘話やいかに?! もう虚実を取り混ぜて自由自在って感じ。山田風太郎って、ものすごい知識の人だったんだろうなあ...。誰が善で誰が悪ということもないのが、またいいんですよね。途中ちょっぴりダレた部分もあったんですけど(これはきっと私の知識不足のせい)、最後の追い込みがまた良かったです。色んな人の想いが切なかったなー。(ちくま文庫)


+既読の山田風太郎作品の感想+
「明治断頭台」山田風太郎
「警視庁草子」上下 山田風太郎
Livreに「魔界転生」の感想があります)

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