Catégories:“ミステリ”

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夏休みの最後の3週間を、父と2人で海のそばの小さな町で家を借りて過ごすことになったと聞かされて驚くカズヤ。母がその間ずっと遠くで仕事なので、2人で東京にいても仕方がないというのです。カズヤは小学5年生。父は小説家で、母はデザイナー。そしてたどり着いた海辺の町は、海水浴場などではなく、小さな漁港があるだけの町。カズヤは早速、同じ小学5年生でミステリー好きのミツルと話すようになります。そのミツルがしてくれた秘密の話は、この町に住んでいた佐多緑子という大金持ちの老婦人の遺産にまつわる謎の話。彼女は亡くなる4日前に全財産を銀行からおろし、亡くなるまで一度も外出せず、訪ねてきた客もいなかったというのに、死後、そのお金は屋敷のどこにもなかったというのです。2人は早速佐多緑子の遺産はどこに消えたのか考え始めます。

ポプラ社にTEEN'S ENTERTAINMENTというYA向けのシリーズが出来ていたようですね。これはその第一回配本作品。
題名の「フリッツと満月の夜」の「フリッツ」は、表紙の絵にも描かれている猫のこと。満月の夜に一体何があるのかな~?なんて思って読んでいたんですけど... いや、確かにフリッツも満月の夜も一応重要ではあるんですけど... あんまり話の中心というわけではなかったんですね。むしろカズヤとミツルのひと夏の冒険物語という感じ。もしかして、元々はきっともうちょっと違う話になるはずだった? 書き直してるうちに路線が違う方向にズレちゃったの? って思っちゃう。このフリッツの存在こそが松尾さんらしいところになるはずだったんでしょうに、この程度じゃああんまり必然性が感じられない... せめてもう少し早く物語の前面に出てきていれば。
うーん、ダビデの星の使い方は面白かったんですけどねえ。私にはどうも全体的に物足りなかったです。残念(ポプラ社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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信乃にアルバイトの話を持ってきたのは、継父の「村尾さん」。取引先の社長に、ある10歳のお嬢様が女子高校生限定の家庭教師を探しているという話を聞いてきたのです。無事にその子の家庭教師になれた時の謝礼は、かなりの高額。しかしお嬢様はなかなか気難しいらしく、これまで面接を受けに別荘まで行った高校生のほとんどが、その日のうちに帰されてしまっているというのです。信乃は再婚したての両親を2人きりにさせてあげる意味もあって、面接を受けに行くことを決めます。そして翌日早速その少女、阿久根芽理沙に会いに行くことに。

普通なら、我侭なお嬢様の家庭教師になった女子高生が別荘地で連続殺人事件に巻き込まれて... というミステリになるはずのところなんですけど、この作品を書いてるのは松尾由美さん。そんな一筋縄でいくはずがありません。なんせ人くい鬼モーリスが殺人事件に絡んできちゃうんですから。
この「人くい鬼モーリス」は、実際には何なのかははっきりと分からないものの、この土地が別荘地になる前、普通の村だった頃は時々目撃されていた存在。芽理沙のお祖父さんもお母さんも、子供の頃に何度も見ています。お祖父さんの観察ノートによると、モーリスは自ら人を殺すことはしないものの、新鮮な人間の死体が大好物。死体を前にお祈りでも捧げるように頭を少し垂れていると、死体が光を放ち始め、数秒で死体が消えてなくなってしまうといいます。お祖父さんの考えでは、モーリスが食べてるのは生物の残留思念で、死体が消えてなくなるのは、その副作用のようなもの。そして最大のポイントは、モーリスを見ることができるのは高校生ぐらいまでの子供だけだということ。
この別荘地で起きる殺人事件では、いずれも死体が消滅してしまいます。読者や主人公たちにすれば、モーリスが食べてしまったんだろうというところなんですが、実際に推理する大人たちはそんな存在自体全然知らないし、人くい鬼の噂を聞いたとしても信じられるわけもなく...。そもそも死体と一緒に犯人の手がかりとなりそうなものも消えてしまってるだけでも問題なのに、死体を移動させられる腕力というのが犯人の条件になってしまうんだからヤヤコシイ。

読んでいても、モーリスの姿があまり鮮明に浮かんでこなかったのがちょっと残念でした。この作品は、ある怪獣のお話のオマージュになってるので、それが分かればそちらの絵が出てくるんですけど、最初はそんなこと分からないですしね。それに終盤、ちょっと唐突だなーとか、ツメが甘いなーと思ってしまう部分も... 本当ならもっと強烈に面白い作品になったんじゃないかって思ってしまうー。それでもモーリスの存在というファンタジックな存在が現実的なミステリと上手く絡み合っていて、これはこれでなかなか面白かったです。(理論社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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南アルプスの小さな山村にある火村家から「御守り様」の調査依頼があり、内藤三國と佐竹由美子は早速火村家へ。しかし正式な調査依頼だったにも関わらず、調査に関する当主とその家族の意見は真っ二つに割れており、しかもその晩、その人形が土蔵から消えうせて... という「憑代忌(よりしろき)」他、全4編。

蓮丈那智フィールドファイルのシリーズ第3弾。
相変わらず、民俗学的な謎と現実での事件の連携がお見事。シリーズも3作目ともなると、新たなネタを見つけるのが大変なんじゃないかと考えてしまうんですけど、相変わらずレベルの高い作品群。さすがですね。しかも長編でも書けそうな話を短編で発表し続けてるわけで...。基本的には、相変わらず三國が那智に振り回されるというパターンなんですが、前作で初登場した佐竹由美子もすっかりこのシリーズに馴染んでいるようだし、狐目の教務課主任もどうやらレギュラー入りしそうな活躍ぶり。この狐目の主任、いいですねえ。今後の活躍がとても楽しみ♪
表題作では、冬狐堂こと宇佐見陶子も登場。初めてこのシリーズを読んだ時は、那智がどうしても生身の人間に思えなかったこともあって(笑)、冬狐堂シリーズの方が人間味があって好きだったんですが、あちらはあまりに闇が深すぎて、最近は読んでるとちょっとツラいものが...。こっちのシリーズの方が読んでいて楽しいかも。(新潮文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「凶笑面」「触身仏」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「写楽・考」北森鴻

+既読の北森鴻作品の感想+
「共犯マジック」北森鴻
「蜻蛉始末」北森鴻
「親不孝通りディテクティブ」北森鴻
「螢坂」北森鴻
「瑠璃の契り」北森鴻
「暁の密使」北森鴻
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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神山高校に入学して1ヶ月。まるで進まない「入学一ヶ月の実態と今後の抱負」という作文を前に、折木奉太郎が福部里志から学校の怪しい噂を聞かされることになる「やるべきことなら手短」他、全7編の短編集。

古典部シリーズ4作目は、シリーズ初の短編集。ホータローたちの高校入学1ヵ月後の話から始まるので驚いたんですが、7編が2年生目前の春休みまでの時系列順に並んでました。今までの3作の合間合間を埋める作品の集まりとなってるんですねえ。
どの作品も、中心になっているのはホータローと千反田える。7編の中でちょっとおおっと思ったのは、「心あたりのある者は」ですね、やっぱり。これはハリイ・ケメルマンの名作「九マイルは遠すぎる」の古典部版。本家の「九マイル」ほどの迫力はないと思うし(あれは衝撃的でした...!)、本当にそれが正解なの?なんて思っちゃったりもするんですけど、ホータローの謎解きとしてはぴったりだし、ものすごく古典部らしさが出てるような~。そして最後の「遠まわりする雛」のラストでは、思いがけない余韻が! 今まで千反田えるといえば、「私、気になります」の一言でホータローを行動に移させる役割に徹していたように思うんですが、今後はその存在も少しずつ変化していくかも? 楽しみです。(角川書店)


+シリーズ既刊の感想+
「氷菓」「愚者のエンドロール」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「クドリャフカの順番 『十文字』事件」米澤穂信
「遠まわりする雛」米澤穂信

+既読の米澤穂信作品の感想+
「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信
「犬はどこだ」米澤穂信
「夏期限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信
「ボトルネック」米澤穂信
「インシテミル」米澤穂信
Livreに「さよなら妖精」の感想があります)

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夜中の火事で、仁吉と佐助に起こされた若だんな。しかし中庭に向いた離れの板戸を開けた途端に煙を吸いこんでしまった若だんなは、気づくと賽の河原にいたのです... という「鬼と小鬼」他、全5編の連作短編集。

しゃばけシリーズの第6弾。
今回、いきなり若だんなが三途の川のほとりに行ってしまってびっくり~。でも他の短編も「死」や「別れ」を強く意識させられる作品ばかりでした。特に最初の「小鬼」と最後の「はるがいくよ」。
この「はるがいくよ」が余韻が残る作品でいいですねえ。生まれたその日から病弱で、いつまで命が持つのか分からない若だんな。たとえ若だんなが病で亡くなることがなかったとしても、人としてせいぜい数十年を生きるのみ。後に残される妖たちは、その後も長い年月を生きることになるんですが、普段自分があんまり「死」の近くにいるから、若だんなはそんな当たり前のことを実感として知ることはなかったんですね。自分が置いていかれる身になって初めて、そのことに改めて気づかされることになるわけです。小紅の存在が切ないながらも、とても健気で可愛らしい~。(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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何年も一緒に暮らしてきたのに、そのあくる日から別々の生活へと踏み出すことになっているヒロとアキ。最後の晩、荷物もすっかり運び出してがらんとした部屋の中で、買ってきた酒と惣菜を片手に話し始める2人。とりとめもない話題に始まった会話は、やがては1年前の夏の旅行の話へ。その旅行が2人の別離の決定的なきっかけとなったのです。彼を殺したのは、やはり彼(彼女)だったのか? 夜明けまでに相手に白状させることはできるのか?

場所は何もない部屋の中、一組の男女の一夜の会話だけで物語が進行。なんだか舞台の芝居を見ているみたいな作品でした。というかこれ、舞台で演じられているところが、読みながらまさに想像できるんですけど... 既にどこかやろうとしてる劇団があったりして。(笑)
何も事前知識がないまま読み始めたんですが、思いっきりミステリだったんですね。なんとなくびっくり。2人のことはなかなか明らかにされなくて謎だらけだし、ふと思い出した情景がまた新たな謎を呼んで、それまで真実だと思っていたこととはまた全然違う新しい真実が見えてくるんです。今まで確かに見えていたはずのものが、一瞬のちにはまるで違う表情を見せて、まるで万華鏡みたい。もちろん、それに連れて2人の間の緊迫感も刻々と変化。これは真実が何なのかということを突き詰めるというよりも、このくるくると変わる表情を楽しむ作品なんでしょうね。川の表面で光る木洩れ日の中にちらちらと見えているのは、本当に魚...?
いやあ、こういうの久々に読んだなって感じ。楽しかったです。(中央公論新社)


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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高校2年生の春休みの京都旅行の時に急行列車の中で出会って親しくなり、しかしその後亡くなってしまった阪井京子。その京子のご両親から久しぶりに家に招かれた「わたし」は、かつて京子にもらったそばちょこに梅酒ゼリーを作って持っていくのですが... という「のぞき梅」他、全11編の短編集。

単行本未収録の作品から、ホラー風味の強い11編選んで収めたという短編集。若竹七海さんお得意の、人間の悪意がじわじわ~っと染み込んでくるような怖さや、漠然とした不安からくる怖さ、超常現象や怪奇現象的な怖さ、怪談的な怖さなど、一言でホラーとは言っても怖さは様々。でも読んでいて、それぞれの作品がばらばらに発表されたとは思えないほど、各短編同士に繋がりや流れがあるのにはびっくりでした。特に途中の何編かは、短編のポイントとなる言葉が次の短編に引き継がれていて、そういった意味でもぎょっとさせられたし...。短編集を組む時に、その辺りの配列にも十分気を配られたんでしょうねー。
それぞれに面白かったんだけど、これで私が短編が苦手でなければもっと楽しめたでしょうに勿体ないなー、と思ってしまいました... 11編もあると集中力を持続させるのが大変なんです。連作短編集なら、準長編みたいなものだから大丈夫なんですけどね。
それでも一番印象に残ったのは表題作の「バベル島」かな。これはイギリスのウェールズ北西部のバベル塔で起きた惨劇の話。そこでボランティアの一員として働きながらも、からくも日本に生還した高畑一樹と、200年前にそこを訪れていた曽祖父・葉村寅吉、それぞれの日記から話が進んでいきます。舞台といい雰囲気といい何と言い、かなり好み。あ、葉村寅吉ってことは、葉村晶の曽祖父... だったりするのかな。やっぱり。(光文社文庫)


+既読の若竹七海作品の感想+
「猫島ハウスの騒動」若竹七海
「親切なおばけ」若竹七海・杉田比呂美
「バベル島」若竹七海
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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Note


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