Catégories:“ミステリ”

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世話になった伯父の隆正に憧れて、警察の仕事を選んだ松宮は、現在は警視庁捜査一課の刑事。練馬の少女死体遺棄事件で練馬署の加賀恭一郎と組むことになります。加賀は隆正の息子。しかし胆嚢と肝臓が癌に冒されて余命いくばくもない隆正の病室に、加賀は近づこうともしないのです。割り切れない思いを抱えながらも、一緒に聞き込みを始める松宮。一方、少女を殺したのは14歳の直巳。パートを終えて家に帰ってきた母親の八重子は、リビングに死体があるのを見て驚き、直巳の将来のことを考えて、夫の昭夫と共に直巳を守ろうと決意を固めるのですが...。

加賀恭一郎物です。ミステリ作品ですが、単に事件を解けばいいというだけのミステリではありませんでした。嫁姑問題や老人介護問題、家族の絆など、家族や家の問題が織り込まれてます。馬鹿親子には、ほんと嫌な思いをさせられますが、事件の解決が、加賀に対する松宮の心情的なわだかまりの解決と見事に重なっているところがいいですねー。加賀も、「刑事というのは、真相を解明すればいいというものではない。いつ解明するか、どのようにして解明するか、ということも大切なんだ」という言葉通りの解決をしてくれますし。
ただ、重いテーマを扱いながらもとても読みやすいんですが、それだけに本当はもっと深いところまで書きたかったのではないかという気も...。270ページというのは、短すぎたのでは? もう少しじっくり書いて欲しかったな。

それにしても、海外物(特に古典)を続けて読んでいて、ふと日本の現代物に戻ると、なんて読みやすい! ほんと毎回のようにびっくりします。海外物の場合、カタカナの固有名詞を覚えるのが大変だし、特にギリシャとかインドとか、固有名詞をきっちり押さえておかないと、すぐワケが分からなくなっちゃうので、食い入るように読むというせいも大きいのですが... 東野さんの作品は元々読みやすいから尚更なんでしょうけどねー。(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「卒業」「眠りの森」「どちらかが彼女を殺した」「悪意」「私が彼を殺した」「嘘をもうひとつだけ」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「赤い指」東野圭吾

+既読の東野圭吾作品の感想+
「ちゃれんじ?」東野圭吾
「さまよう刃」東野圭吾
「黒笑小説」東野圭吾
「容疑者Xの献身」東野圭吾
「さいえんす?」東野圭吾
「夢はトリノをかけめぐる」東野圭吾
「たぶん最後の御挨拶」東野圭吾
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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15年前の錬摩を知る者からの英文のメッセージに導かれるようにして、指定された品川埠頭へと向かった錬摩は、そこで燃え盛るドラム缶を見ることに。遺体の第一発見者として周囲が騒がしくなる錬摩。そして今度は錬摩の身近な人間が行方不明になり、またしても英文のメッセージが...。

民間の犯罪心理捜査士・大滝錬摩のシリーズ5作目。これが完結編。
いやー、4巻を読んだ時点では、あと1冊で解決するなど到底無理!と決め付けてたし、その5巻を待ってるうちに、本当に最終巻が出るのかしら... なんて、だんだん不安にもなっていたんですが、鮮やかに決めてくれましたよ! 面白かった! 15年前の錬摩を知る人物のことも、錬摩を取り巻く人々の感情も、宗一郎との決着も、全て解決した上でのフィニッシュ。あとがきに「予想は裏切り、期待は裏切らない」をモットーに書いてらっしゃるとあるんですけど、確かにそのまんま。もう、お見事としか言いようがないです。全てのことが、あるべき場所に綺麗に収まっちゃったみたい。もうびっくり。いやー、良かったなー。待った甲斐がありました。
巻末に宗一郎の大学時代を描いた短編が収められてるのも、嬉しいところ。これでもうこの「EDGE」シリーズが終わりだなんて寂しいんですけど、新しい作品も楽しみ。のんびり(笑)待ちたいと思います。(講談社X文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「EDGE」「EDGE2 三月の誘拐者」とみなが貴和
「EDGE3 毒の夏」「EDGE4 檻のない虜囚」とみなが貴和
「EDGE5 ロスト・チルドレン」とみなが貴和

+既読のとみなが貴和作品の感想+
「セレーネ・セイレーン」とみなが貴和
「夏休みは命がけ!」とみなが貴和

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ムーミンパパそっくりの探偵・陽向万象の探偵事務所は、その名も「ひまわり探偵局」。玄関脇には可愛いひまわりのイラストで囲まれた木彫りの看板があり、ドアを開けるとカウベルの音が。そして漂ってくるのは、紅茶と焼きたてのクッキーの匂い。しかし、時には保育園と間違えられることもあるような、ほのぼのとした雰囲気なのですが、万象は実は辣腕の私立探偵なのです。そんな万象と、万象をこよなく尊敬する押しかけ助手の「さんきち」の連作ミステリ。

ネットのお友達、はまっちさんこと濱岡稔さんの新刊が出ました! 「さよならゲーム A‐side」「さよならゲーム B‐side」「わだつみの森」といった硬派なミステリ作品に続くのは、美味しい紅茶と美味しいお菓子が出てくる、ほのぼのとしたミステリ。この作品は、実は4~5年前に濱岡さんがご自身のサイトで公開しているのを読ませて頂いているのですが、それからミステリ作品を沢山読み、最近ではミステリ自体にすっかり飽きがきてしまっているにもかかわらず、この作品はその時と同じようにとても楽しんで読めました。ようやく本になってくれて嬉しい!
濱岡さんご自身のサイトによれば、この作品を書く時に心掛けられたのは、「1.一応、ミステリイであること。」「2.オーソドックスなホームズ・ワトスン物であること。」「3.シンプルな謎解きをメインにしていること。」「4.軽いものであること。」「5.楽しく、後味もよいこと。」
確かに、オーソドックスでシンプル。でも万象と「さんきち」はまるで漫才コンビみたいだし、濱岡さんらしいマニアックなネタや薀蓄が作品中に散りばめられていて、これがすごく楽しいんです。それでいて第一話~第三話では、今はもういない人々の残した謎を解く物語ということもあり、その謎が解けてメッセージが明らかになった時の、しみじみとした切なさも...。その切なさが幸せを感じさせてくれて、またいいんですよね。
眩惑されるような「わだつみの森」もものすごく好きだったんですけど、こういう気軽に楽しめる作品も楽しくて大好き。日常系のミステリがお好きな方は、ぜひぜひ♪(文芸社)


+既読の濱岡稔作品の感想+
「ひまわり探偵局」濱岡稔
Livreに「さよならゲーム-A Side・B Side」「わだつみの森」の感想があります)

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葉崎半島の西にある猫島は、人間が30人ほどと100匹を超える猫が住んでいる島。数年前、猫の専門誌にここの猫の写真が取り上げられて以来、猫の楽園として有名な観光地となっていました。猫マニアが島に押し寄せ、同時に捨て猫の数も急増したのです。そんなある日、観光客をナンパしていた高校生・菅野虎鉄が見つけたのは、ナイフが突き立てられた猫の剥製。丁度猫島にやって来ていた駒持警部補は、猫島夏期臨時派出所の七瀬巡査と共に調査を開始します。
ということで、「ヴィラ・マグノリアの殺人」「古書店アゼリアの死体」に続く、葉崎を舞台にしたコージーミステリ。今回舞台となる猫島は、葉崎からほんの目と鼻の先にある小島です。干潮の時は徒歩で移動できるほど。

今回は、とにかく猫、猫、猫ばっかり!
メル、マグウィッチ、ポリス猫DC、ビスケット、お玉、ワトニー、トマシーナ、セント・ジャイルズ、ラスカル、ジョフリイ、ヴァニラ、シルヴァー、ウェブスター、クリスタロ、モカ猫、アイーダ、アイ、ソロモン(ミスター・ティンクルス)、アムシャ・スパンダ、チミ...
「著者のことば」によると、この作品には本当に沢山の猫が登場していて、しかもその8割の名前は小説や映画に出てくる猫の名前からとってあるのだそうです。「ただし、出典が全部わかったら、相当の猫バカだと思う」とのこと。
トマシーナはポール・ギャリコからでしょうし(柴田よしきさんの「猫探偵正太郎」シリーズにもトマシーナがいるけど)、チミは仁木悦子さんの「猫は知っていた」かなと思うんですけど... アムシャ・スパンダはゾロアスター教からって作中にあったし、ウェブスターはP.G.ウッドハウス「ウェブスター物語」、ソロモンは「黒ネコジェニーのおはなし」、ミスター・ティンクルスは映画「キャッツ&ドッグス」...? 
ラスカルはあらいぐま?(笑) シルヴァーは「宝島」(猫じゃないじゃん!)で、モカ猫はモカ犬から? でも後は...? セント・ジャイルズがすごく気になるんですけど...!

剥製の猫にナイフが突き立てられていた事件から、殺人事件までだんだんと事件が大事になっていくのですが、雰囲気としてはあくまでもコージーミステリ。殺人が起きてコージーミステリというのも妙ですが(笑)、みんなどこかのんびりと構えていて微笑ましくて、コージーとしか言えない雰囲気なんですよね。住人たちが賑やかに楽しそうに動き回っていて、ミステリとしてよりも猫島に住む人々や猫たちの物語として楽しかったなー。「ヴィラ・マグノリアの殺人」「古書店アゼリアの死体」に登場していた人々が名前だけの登場をするのもまた、昔馴染みに会えたようで嬉しいところ。ラストは、若竹作品には珍しく毒が少なくてびっくり。 ...それより、修学旅行で一体何があったのか、気になるんですけど...? なんでそんなところで出し惜しみ? それが一番のびっくりでした!(光文社カッパノベルス)


+既読の若竹七海作品の感想+
「猫島ハウスの騒動」若竹七海
「親切なおばけ」若竹七海・杉田比呂美
「バベル島」若竹七海
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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はやみねかおるさんのYA向けシリーズ「都会(まち)のトム&ソーヤ」の4作目。クラスメートが応募する、地元のタウン誌の自主制作映画コンテストの締め切りに間に合わせるために、内人と創也がマラソン大会を抜け出す「大脱走 THE GREAT ESCAPE」、「番外編 栗井栄太は夢をみる。」、究極のゲームを作るための資金作りに、内人と創也がテレビのオバケ屋敷探検番組に出演する「深窓の令嬢の真相」、そして「おまけ 保育士への道 THE WAY OF THE "HOIKUSHI"」。今回も前回同様、ショートショートを挟んで中編2編です。

相変わらずのテンポの良さが楽しいシリーズ。「深窓の令嬢の真相」も、いかにもこのシリーズらしい作品なんですが、今回は「大脱走」が面白かったな。ごく普通の中学校生活に、いかにもあり得そうな感じで馴染んでたので、その辺りが個人的にポイント高かったです。でも、前作はショートショートを挟んだ中編同士が繋がって1つの長編になっていたように思うんですけど、今回はそれぞれに独立した短編となっていたのがちょっと残念。そろそろ読み応えのある長編作品を読みたいなあ。
それにしても、「トム」と「内人」の関係にはびっくり。そして卓也の上司の黒川さんについてもびっくり! はやみねさんご自身が気付いてらっしゃらなかったというのは本当でしょうか!?(講談社YA! ENTERTAINMENT)


+シリーズ既刊の感想+
「都会のトム&ソーヤ1」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「都会のトム&ソーヤ 乱!RUN!ラン!」2 はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ いつになったら作戦(ミッション)終了?」3 はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ4 四重奏(カルテット)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ5 IN塀戸(VADE)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ6 ぼくの家へおいで」はやみねかおる

+既読のはやみねかおる作品の感想+
「虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー」「笛吹き男とサクセス塾の秘密」はやみねかおる
「オリエント急行とパンドラの匣」はやみねかおる
「卒業 開かずの教室を開けるとき」はやみねかおる
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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光原百合さんご自身が「声なき楽人(バルド)」シリーズと呼ばれているという、ケルト神話に題材を取ったシリーズ。「祓いの楽人」オシアンと、その相棒・ブランの連作短編集です。ケルト神話は大好きなので、この新刊は本当に楽しみにしてました~。

「祓いの楽人」とは、竪琴を奏でて歌を聞かせる一般的な楽人とは違い、竪琴の調べによって楽の音の神秘を操る人間のこと。自然や人間があるべき様から外れている時に、竪琴の音を聞かせて、あるべき姿に戻すという技を持つ楽人です。なりたいと思ってなれるようなものではなく、なれるのはそれ相応の天分を持った人間だけ。そしてオシアンはとても強力な「祓いの楽人」。諸国を旅しながら、時には死んだ後も頑なな人々の心を開き、彼らに道を示していきます。そして、楽師なのに声を出せないオシアンの代わりに村の人々と話すのは、小生意気で饒舌な相棒・ブランの役目。

「祓い」を必要とするような物語だから仕方ないとはいえ、どの物語もなんて切ない... ただ好きだっただけなのに、大切に思っていただけなのに、なぜか相手を傷つけることになってしまう登場人物たち。本心とは裏腹の言葉を口にしてしまい、心にもない行動をとってしまう、あるいは本当の思いが伝えられないまま終わってしまう。そしてそんな自分の行動を後悔し、死んだ後も留まり続けてしまう...。でも、彼らはただ、自分の深い想いを伝える術を知らなかっただけなんですよね。
未練や後悔の念が中心なのですが、ブランの存在が作品全体の雰囲気を明るくしてくれるようですし、オシアンの美しい透明感のある竪琴の音色が、その明るさを光に昇華させているよう。この世界は、本当にとても素敵でした。ケルト的な雰囲気は、5作目の「三つの星」で一番強く感じたかな。元になっているモチーフや登場人物の名前はもちろんなんですけど、他の4作に比べてダントツでケルトの雰囲気を感じたのは何だったんでしょうね...。「祭礼の島」に、どこかアヴァロンの雰囲気を感じてたからかしら。
でも、あとがきに「ケルト民話に触発されて生まれた一つの異世界の物語」とある通り、とてもケルト的でありながら、光原さんならではの世界です。あんまり自然に存在してるので、こちらもするんとその世界に入っちゃいましたけど、「祓いの楽人」というのも光原さんのオリジナルですよね? まだまだオシアンやブラン自身について分かっていない部分が多いので、彼ら自身の物語も読みたいです。そちらも、相当切ないものになりそうですが...。

そして今回も装幀がとても綺麗です~。最初見た時、「星月夜の夢がたり」とお揃いかと思いました。タイトルのフォントも似てますし。でも、出版社はもちろん、装幀した方も違いました。「星月夜の夢がたり」の暖色系の色合いとは対照的に、こちらは月明かりのような寒色系の色合い。これがまた、オシアンのイメージ、そして作品全体のイメージにぴったりですね。(角川春樹事務所)

そして「親切な海賊」は、幻冬舎のPR誌・星星峡に載っている不定期連載作品。こちらは「潮ノ道の日常」シリーズというシリーズ名なのだそうです。星星峡はジュンク堂に置かれてるんですけど、このジュンク堂に行く時間がなかなか取れなくて...! 最初に行った時は「明日来ると思います」、次に行った時は「もう全て配布してしまいました」... ガックリ。(でも、その後無事読めました!)
「銀の犬」ですっかり切ない気分になってたんですが、こちらを読んだら、暖かくてぽかぽか~。最初はただの困った頑固親父かと思った花嫁の父(結婚式はまだだけど)なんですけど、いいじゃないですか~。吼え合ってるアレクサンダーとジロー(犬です)を挟んで芹菜と話している場面で、すっかり気に入っちゃいました。婚約者の耕介も、最初予想したよりもずっと可愛い気があったし(失礼かな...)、この2人きっと上手くいきますよ! 表面上はお互いブツクサ言いそうだけど、根っこのところで信頼できる関係になりそうです。気がついたら、美弥そっちのけで意気投合して、酒を酌み交わしてるかも。(笑)
芹菜と零司も相変わらずのいいコンビだし(零司、頑張ってますね)、颯月さんも相変わらず、眠そうな割に力強くて素敵。本当は「あたりを打ち払うほどの美人」ぶりをもっと長時間拝めれば言うことないんですけど... 珈琲のカフェインもあんまり効き目なさそうだし、なかなか難しそうですね。(笑)


+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「花散る夜に」「ピアニシモより小さな祈り」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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夜中の突然の地震で起きた若だんなが耳にしたのは、若だんなが邪魔だから殺してしまおうという声と、このままでは若だんなが死んでしまうのではないかと心配する声、そして遠くから聞こえる悲しそうな泣き声でした。そして翌日また地震が起き、若だんなの頭に物が激突、若だんなは気を失ってしまいます。気がついた若だんなに母親のおたえが提案したのは、湯治に行ったらどうだろうという案。ゆっくりお湯に浸かって養生したらぐっと丈夫になれるかもしれないと、稲荷神様のご神託があったというのです。

若だんなのシリーズの第5弾。
今回は1作目以来の長編なんですねー。この方の連作短編は大好きだけど、やっぱり長編だと嬉しいです。しかもシリーズ初の遠出、目先が変わって新鮮ですし。ただ、箱根まで行くとなると、旅に参加できる人数が限られてるのが、やや残念ではあるのですが...。
旅に出た途端に、消えてしまう仁吉と佐助。いつもなら梃子でも若だんなから離れないと頑張る2人なのに、予想外の事態が起きたとはいえ、結局2人とも離れてしまったというのがちょっと納得しきれないのですが... そのおかげで、若だんなが自力で頑張ることになります。いやー、周囲にどれだけ甘やかされても、若だんなって本当に良い青年ですね。皆が若だんなを思いやる心が温かくて、読んでいるこちらまで幸せな気分になれるのが、このシリーズの良さでしょう。やっぱり人間、基本は愛情をたっぷりと受けることなんだろうなー。
物語冒頭で若だんなが山神に尋ねる「私はずっと、ひ弱なままなのでしょうか」「他に何もいらぬほどの思いに、出会えますでしょうか」という問いがとても印象的でした。山神のくれた「浅い春に吹いた春一番で出来た」金平糖のようなお菓子が食べてみたい...。そして印籠のお獅子も既に仲間入りでしょうか。可愛いです~。(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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