Catégories:“ミステリ”

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リンツ少年の住む国では、その頃、怪盗ゴディバによって富豪の家から高価な宝物が盗まれるという事件が相次いでおり、ゴディバを追う名探偵ロイズの活躍が注目されていました。リンツもロイズに憧れる1人。そんなある日、リンツは近所に住む新米新聞記者から、ゴディバがいつも現場に残していくカードの裏に、実は風車の絵が描かれているということを聞きます。それは犯人自身とごく一部の人間しか知らない情報。そしてそのことを聞いたリンツは、以前父と一緒に露店で買った古い聖書の表紙の破れ目に入っていた、1枚の地図のことを思い出します。その地図の裏にも風車小屋の絵があったのです。早速リンツはロイズに手紙を書くことに。

ミステリーランド第10回配本。
主人公が「リンツ」で、怪盗ゴディバや名探偵ロイズが登場することからも分かる通り、登場人物の名前とか地名はチョコレート関係の名前ばっかり。そのほかのこと、例えば濃い白い霧の現象は、地元では「ホワイトショコラ」と呼ばれてますし、ほんと全編チョコレートでいっぱい。でもチョコはチョコでも、ミルクチョコレートではなく、ブラックチョコレートなんですよね。かなりビターな味わいでした。平田秀一さんの挿絵がまたダークで、雰囲気を盛り上げてるし...。(怖かった)
ある意味、あっさりネタが見える部分もあったんだけど、でもこの展開はすごいですね。さすが乙一作品。一筋縄ではいかなくてびっくり。正直、こんなことでいいのか?!という部分はあったんですけど、でも面白かったです。読んでいて一番気に入ったのも、とんでもない悪がきの彼だったし...。戦争や移民問題などもさりげなく盛り込まれてるんですが、説教臭くないところがポイント高し。

ただ、世界各国のチョコの名前が入り乱れてるせいで、読んでいて「ここは一体どこの国?」的に落ち着かなくて、それだけはちょっと閉口しました。だってイギリス名やらドイツ名やらロシア名なんかが入り乱れてるんですもん。まあ、子供だったら気にしないでしょうけどね。
何も知らないでこの本を読んだ子供が、あの名前は全てチョコレート絡みだったのか! と後で気づいたら、楽しいでしょうねー。そういうの、ちょっといいかも。(講談社ミステリーランド)


+既読の乙一作品の感想+
「銃とチョコレート」乙一
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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猿若町捕物帳シリーズ第3弾。今回は、吉原の遊女が3人立て続けに亡くなった事件を調べることになる「吉原雀」、以前は相当の人気があったという女形・村山達之助の演技がめっきり冴えなくなってしまったという「にわか大根」、天水桶から見つかった死体は巴之丞の昔馴染みなのか...「片陰」という3編。

これまでも面白くはあったんですが、梨園シリーズや整体師シリーズなどの他のシリーズ物に比べるとどこか印象が薄かったこのシリーズ、これまでの3作品の中で一番面白かったです! もちろんこれまで通り、巴之丞や花魁の梅が枝の存在が物語に華を添えていますし、仏頂面の千蔭もいい味を出しています。そして今回はこれに加えて、前作で結婚した彼女の新婚生活ぶりが伺えるのが楽しいところ。冒頭のやりとりなんて、ほんと立場が逆転してるみたい。やはり拵えというものは人を変えてみせるものなんですねえ。(笑)
でもそれ以上に気になるのが、梅が枝! 美貌と気風の良さが売りの彼女の本心はどこにあるのでしょう。今後どんな風に展開するのか、目が離せません! 早く続きが読みたいなー。(光文社)


+シリーズ既刊の感想+
「巴之丞鹿の子」「ほおずき地獄」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「にわかだいこん」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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映画化もされてしまった「陽気なギャングが地球を回す」とその続編。
人間嘘発見器・成瀬、相変わらずの演説振りをみせる響野、天才的なスリ・久遠、体内時計の持ち主・雪子の4人が再登場。今回は4人がそれぞれに関わった事件が最終的に繋がりをみせるという作り。せっかくなので、「陽気なギャングが地球を回す」を再読してから、「陽気なギャングの日常と襲撃」を読んでみました。

前作では、響野の喫茶店は登場するものの、他の3人の日常の生活についてはほとんど書かれていなかったんですよね。それがいいところでもあったんですが、やっぱり4人が普段どうしているのかという部分にも興味があったので、今回4人の普段の仕事っぷりや日常生活が垣間見えるのが楽しかったです。題名にも「日常」という言葉がある通り。そして前作と同じく、章のタイトルとか、辞書の言葉の意味のもじりも楽しいです。
でも、相変わらずのテンポの良さで、全体的に楽しく読めたことは読めたんだけど...
私としては4人の颯爽とした強盗ぶりや、響野の演説を楽しみにしていたのに、それが物語の中心とはなっていなかったので、ちょっとがっかり。もっと強盗と本筋と密接に絡み合っていれば、もっと楽しめたんじゃないかと思うんだけどなー。これじゃあ、強盗がまるでオマケみたい。前回の方がオチも良かったし、伏線の回収具合も好きでした。もちろん、こちらもさくさく読めるんですけどね。ちょっとさくさくいきすぎちゃったのかもしれないです。(祥伝社文庫・祥伝社ノンノベル)


+既読の伊坂幸太郎作品の感想+
「死神の精度」伊坂幸太郎
「魔王」伊坂幸太郎
「砂漠」伊坂幸太郎
「終末のフール」伊坂幸太郎
「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎
「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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小市民としての道を追求してやまない小鳩くんと小山内さん。周囲は2人のことを恋人同士だと思っているのですが、実は2人の関係はお互いをかばい合うためだけのもの。そして高校2年生の夏は、甘いものをこよなく愛している小山内さんのたっての希望で、小山内さんの夏の運命を左右するという「小山内スイーツセレクション・夏」を完遂することに。

「春期限定いちごタルト事件」が好評だったため、「夏期限定」も書かれることになったという小市民シリーズの2作目。
謎までもがあまりに小市民的で小粒、謎解きのための謎といった遊びの要素が強いように思えた「春期限定いちごタルト事件」は、どうにも物足りなかったんですけど、こっちは面白かったです! 今回も日常の小さな謎から始まるんですが、思わぬ方向へと発展していってびっくり。小鳩くんと小山内さんの目指す「小市民」についても、前作ではどこか地に足が着いていないような違和感を感じてたんですが、こちらでは十分納得。いやー、いいですねえ。しかもまさかこういうエンディングを迎えるとは...。最後まで読んでまた最初に戻ると、各所にきちんと伏線があったのも分かるし、同じ情景がまた全然違った風に見えてくるのが怖いほど。前作が小粒すぎるほどの日常の謎だったことも、今回の驚きに一役買っているんでしょうね。前作が出た時点では、シリーズ化は決定していなかったはずなのに、まるで全てが計算づくのようじゃないですか! そして、ここで終わり、というのも私としてはアリだと思うんですけど(ブラックだ~)、次は「秋期限定モンブラン事件」が出るようですね。ここから一体どんな展開を見せてくれるのか、どきどき。ここから話をどう持っていくかって、難しそう。
ただ、甘い物があまり得意ではない私には、読んでいるだけで胸焼けしてきそうな作品でした。(あのシャルロットなら、いけそうですが) 次回のモンブランも、私には食べられないのよ~。でも、甘い物好きの人にはきっと堪らないんでしょうね。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信
「夏期限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信

+既読の米澤穂信作品の感想+
「犬はどこだ」米澤穂信
「クドリャフカの順番 『十文字』事件」米澤穂信
「ボトルネック」米澤穂信
「遠まわりする雛」米澤穂信
「インシテミル」米澤穂信
Livreに「氷菓」「愚者のエンドロール」「さよなら妖精」の感想があります)

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元大物国会議員・大堂剛の事務所に勤めている佐倉聖は、21歳の大学生。両親が早くに離婚し、中学の頃からぐれ始めた聖でしたが、高校卒業も間近に控えた頃に更生。今では、保護司に連れて来られたこの事務所で、真面目に働きながら大学にも通い、年の離れた腹違いの弟を養う生活。年は若いながらも経験は豊富に積んできた聖が、様々な日常の謎を解いていく連作短編集。

しゃばけシリーズの楽しさとは裏腹に、現代物では立て続けにがっかりさせられてきていた畠中さんの現代物の新作。「とっても不幸な幸運」を読んだ時に、もう二度と現代物は読むもんか!とまで思ってたんですが、今回はあまり評判が悪くないようだったので、恐る恐る読んでみました... 確かにそれほど悪くはなかったです。というか、まずまず面白かったです。
謎自体は小粒すぎる気がするし、政治家の先生方があまりに良い人に描かれすぎている気もかなりしたんですけど、この人間関係の楽しさと、雰囲気の良さは、やっぱり畠中さんならではでしょうね。元不良で腕っぷしが強く、機転も利く聖自身もなかなか良かったし、嫌味な二枚目議員・加納も、結構好きです。まあ、続編を読みたいかと聞かれると、これ1冊で十分と答えてしまいそうなのですが... 元々政治家絡みの話があまり好きじゃないというのもありますしね... 聖がその後どうなるのか、その辺りだけは知りたいんですが。
一時はもう、「しゃばけ」だけの作家さんになってしまうのかも、と危惧してた畠中さんなんですけど、それだけでは終わらなさそうな所を見せてくれてほっとしました。というか、「しゃばけ」シリーズであれだけ書ける方が、なんで、これまでの現代物であの出来だったのかが、私としてはすごく不思議なんですけどね。畠中さんなら、もっともっと書けるはず! これからも頑張って頂きたいな~。(実業之日本社)


+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「おまけのこ」
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
「いっちばん」畠中恵
Livreに「しゃばけ」「ぬしさまへ」「百万の手」「ねこのばば」の感想があります)

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中学の修学旅行で京都に行っていた小野寺冬葉が失踪。その時に一緒にいたのは、修学旅行で同じ班だった6人。知恩院に向かっていた彼らが、市バスに乗り込んでいる間の出来事でした。バスがひどく混んでいたため、乗り込んだ時はバラバラの場所にいた6人。その後バスがすいてきた時、1人足りないのに気づいたのです。行き先はきちんと分っており、自分の意志でバスを降りたとしか思えない冬葉。...そして20年後。冬葉の名前でメールが届きます。文面は「わたしを憶えていますか? 冬葉」。

失踪した冬葉からのメールが届いたことが呼び水となって、20年ぶりに集まることになった元同級生たち。冬葉がまだ生きているのか既に死んでいるのか、メールの発信人は本当に冬葉なのか、冬葉でないとすれば一体誰なのか。そして20年前の冬葉に一体何があったのか。それらの謎を含んで、物語は展開していきます。単行本にして554ページの2段組という長さなんですけど、長さを感じさせませんね。柴田よしきさんならではの語りの上手さもあって、先が気になってどんどん読み進めてしまいましたー。
冬葉にまつわる謎も魅力的なのですが、20年ぶりに集まった5人(6人のうち1人は消息不明)の造形がいいですねえ。14~15歳だった彼らも今や30代半ば。当然仕事にも人生にも一波乱二波乱あるわけです。そんな波乱を乗り越えてきたり、今まさに乗り越えつつある姿が良かったし、読んでいて楽しかったです。でも最後に明かされた真相は...。物語の終盤、とある悪意の存在が明らかになるんですけど... 犯人がそういう人間だったという説得力はあったし、そんな悪意が他の悪意を増幅させていくのも分かるんですけど... でも所詮は単なる自分勝手な大馬鹿人間、という感じに見えてしまって、それまでのこの作品を受け止めるにはちょっと役不足だった気がします...。面白かったし、読んでる間は夢中になってたんですけど、その辺りがちょっぴり残念でした。(徳間書店)


+既読の柴田よしき作品の感想+
「ワーキングガール・ウォーズ」柴田よしき
「シーセッド・ヒーセッド」柴田よしき
「窓際の死神(アンクー)」柴田よしき
「夜夢」柴田よしき
「激流」柴田よしき
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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その頃、神降市で起きていたのは、野良猫の連続殺害事件。猫はただ殺されているだけでなく、そのたびに首や手足が切り取られて持ち去られていました。芳雄のクラスメートが可愛がっていた猫も、3日前に4匹目の犠牲者となったばかり。そんなある日、トイレ掃除で一緒になった転校生の鈴木君に話しかけた芳雄は、鈴木くんが自分のことを神様だと言うのを聞いて驚きます。鈴木くんが真面目なのか冗談を言ってるのか判断がつかなかった芳雄は、自分や周囲の人々のこと、そして猫殺しの犯人について訊ねることに。

ミステリーランドの7回目の配本。同時配本は、田中芳樹氏の「ラインの虜囚」。小学校最後の夏休みの冒険譚、みたいな話ばかりが続いて食傷気味だったミステリーランドなんですが、違うタイプの作品も増えてきたようですね。「ラインの虜囚」は、「三銃士」や「紅はこべ」が好きな人には堪らない作品だし(感想)、こちらの「神様ゲーム」もまた一味違いました! これはともっぺさんのオススメ。そういえば「ラインの虜囚」も、ともっぺさんにオススメいただいたんですよねえ♪
そしてこの作品は、一言で言って、「さすが麻耶さん!」 かなりブラックではあるんですけど、ミステリーランドというレーベルに相応しくとても分かりやすい展開。それでも麻耶さんの作品なので油断せずに読んでいたんですが... うわあ、最後の最後が! そうきましたか! さすが「夏と冬の奏鳴曲」の作者だー。うわー、この感覚は久々です。実は麻耶さんの作品は、最初に読んだ「夏と冬の奏鳴曲」のインパクトが強すぎて、他の作品にやや物足りないものを感じていたんですけど... いえ、普通は他の作品の方が読みやすいと思うんですが、「夏と冬の奏鳴曲」の、不可解さに頭がぐるぐるしてしまうような感覚が忘れられなくなってしまった私にとっては、ということです。そしてこの作品は、それ以来のぐるぐる感。もう、嬉しくなってしまいましたー。

でも本当にワケ分かんないです。これは結局どういうことだったの...???(ヲイ)

この作品で一番面白かったのは、やっぱり鈴木くんの存在ですね。自分のことを神様だと言い、「きみといろいろ話せて楽しかったからね。そのお礼だよ」と、簡単に犯人の名前を明かしてくれる鈴木くん。神様を前にしてしまうと、ミステリ的な論理的な推理は存在しません。そこにあるのは、ただ「真実」だけ。でも、鈴木くんは本当に「神様」なのかどうか... 信じていいのか分からない読者(芳雄もですが)にとっては、それは逆に持て余してしまうような真実。
この作品は子供には読ませたくない、という意見は多いし、その気持ちも分かるんですけど... ええと、やっぱりダメですかね? 私自身は、別に構わないんじゃないかなって思うんですけど... 少なくとも第1回目配本の某作品みたいな後味の悪さはなかったと思うし、これなら許容範囲かと... でも、そんな意見は少数派なんでしょうね。限りなくゼロに近かったりして。(笑)(講談社ミステリーランド)


+既読の麻耶雄嵩作品の感想+
「神様ゲーム」麻耶雄嵩
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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