Catégories:“ミステリ(翻訳)”

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カッスルは、イギリス情報部に入って30年以上経つベテラン情報員。現在は6課でアフリカ担当として、さほど重要とも思えない極秘電報の暗号を解読したり、逆にこちらから電報を送ったりする日々。かつて南アフリカに勤務していた時に知り合った黒人女性のセイラと結婚し、その息子サムと3人で郊外での生活を送っています。しかしその6課から情報が漏洩していることが発覚。6Aにいるのは課長のワトスンとカッスル、そして40代で働き盛りのデイヴィスのみ。調査の結果ワトスンとカッスルは嫌疑を免れ、デイヴィスが疑われることに。独身でジャガーを乗り回し、年代物のポートワインに目がなく、賭け事もするデイヴィスは、調査をした丁度その日の昼食時にも報告書を持ち出そうとしていたのです。

あまりピンと来ないままに、ハヤカワepi文庫に入っている作品を読み続けていたグレアム・グリーン。著者紹介には「イギリスを代表する作家であるとともに、20世紀のもっとも偉大な作家のひとり」とされてるんですけど... いえ、決して悪くはないんですけど、どこかピンと来なかったんですよね。それはもちろん読み手である私が未熟なせいなんでしょうけど。でもこの作品は面白かった!
この作品は、紛れもないスパイ小説ではあるんですけど、私がこれまでに読んだスパイ小説とは雰囲気が全然違いました。スパイ小説といえば普通、東西の駆け引きあり、裏切りあり、恋愛あり、派手なアクションありの、もっと手に汗を握るサスペンスで、ページターナーって感じの作品が多いと思うんですが、この作品は何ていうか、ものすごく静かなんです。イギリスの冬空のようなイメージ。実際、ジェームズ・ボンドシリーズが作中で何度か皮肉られていたりなんかして。
スパイ物というよりも、ずっしりと重い人間ドラマ。最後に明かされる真相も皮肉です。実際にグレアム・グリーンが第二次大戦中にイギリス情報部の仕事をしていたということもこの作品にリアリティを与えているんでしょうけど... それ以上に、ふとした拍子に垣間見えるキリスト教的な部分が作品に深みを出しているのかも。いやあ、良かったです。(ハヤカワepi文庫)


+既読のグレアム・グリーン作品の感想+
「第三の男」グレアム・グリーン
「おとなしいアメリカ人」グレアム・グリーン
「負けた者がみな貰う」グレアム・グリーン
「権力と栄光」グレアム・グリーン
「事件の核心」「二十一の短篇」グレアム・グリーン
「ブライトン・ロック」グレアム・グリーン
「ヒューマン・ファクター」グレアム・グリーン

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1377年12月。ロンドン塔の城守・ラルフ・ホイットン卿が何者かによって殺害されます。4日前にホイットン卿の手元に警告の手紙が届いており、すっかり怯えたホイットン卿は安全だと思われた北稜堡の塔に移って、信頼のおける2人の従者に階段を見張らせ、階段と廊下の間のドアにも居室のドアにも鍵をかけていたというのに、ベッドの中で喉を掻き切られて死んでいたのです。ドアの鍵は閉まっていたものの、部屋の鎧戸がいっぱいに開いていたことから、当初、犯人は塔を外から上って侵入したと考えられ、それほど難事件とは思われないのですが、国王勅任のシティの検死官・ジョン・クランストン卿とその書記・アセルスタイン修道士が犯人を捜す中、同じように警告の手紙を受け取った人々が続けて殺されていくことに。

これは中世のイギリスを舞台にした歴史ミステリのシリーズの2作目。本当は「毒杯の囀り」というのが第1作なんですが、これが入手できなくて先にこちらを読んでしまうことに...。フィデルマのシリーズが順番通りに訳されてないとか文句を言ってる割に、せっかく順番通りに訳された作品をこんな風に逆に読んでたら仕方ないですね。いや、本当は順番通りに読みたかったのはヤマヤマなのですが!(嗚呼)
1377年といえば、リチャード2世が10歳で即位した年で、叔父のケンブリッジ伯エドマンド・オブ・ラングリーが摂政として立ち、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの発言権が強かった頃。4年後にワット・タイラーの乱が起きるし、名実共に暗黒時代ですね。...と書きつつ、全然詳しくない付け焼刃の私です。(勉強しなくちゃー)

ミステリとしては王道の密室殺人。6インチ角の正方形の羊皮紙の真ん中には三本マストの船の絵、四隅に黒い十字架が描かれ、胡麻のシードケーキと一緒に送られてくるという警告の手紙も謎めいていて、結構好み。これが実は15年前の事件を発端にしていることが分かって、事件は徐々に複雑になっていきます。そして舞台となるのは、そうでなくても禍々しいイメージのあるロンドン塔! リチャード2世自身、後にここに幽閉されることになりますしね。今回は探偵役の2人にあんまり親しみを感じるところまでいかなかったんですけど、これで2人に愛着が湧いてくれば、もっと面白くなるんだろうなあ。ということは、やっぱり1作目を読まなくちゃダメですねえ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「毒杯の囀り」ポール・ドハティ
「赤き死の訪れ」ポール・ドハティ
「神の家の災い」ポール・ドハティ

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修道女フィデルマは、兄であるコルグーの呼び出しに応えて、モアン王国の王城・キャシェル城へ。叔父のカハル王が黄色疫病に倒れてコルグーが王位を継ぐのは時間の問題となっており、そんな時に王城に訪れたラーハン王の使者の強硬な要求にコルグーは困り果てていました。人々から広く敬われていた尊者ダカーンが8日前にロス・アラハーの修道院で殺害された事件のことで、ダカーンの縁者でもあるラーハン国王が、「血の代償金」と「名誉の代価」を払えとモアン国王に要求してきたのです。「名誉の代価」として要求されているのは、オリスガ小国の支配権の返還。これはモアンとラーハンの間でこの6世紀もの間争われ続けてきた件。ロス・アラハーの修道院長がコルグーやフィデルマの従兄であることから、ラーハン王はモアン王家にも責任があると言ってきたらしいのですが...。本当にモアン王家の責任があるのかどうかを調べるために、フィデルマは早速ロス・アラハーへと向かうことに。

昨日に引き続きの修道女フィデルマシリーズ。今度は本国では3作目として刊行された作品で、「蜘蛛の巣」よりも2つも前の作品。もう本当に、なんでこんな順番で刊行するかなー。
というのはともかくとして、こちらの方が「蜘蛛の巣」よりすんなりと読めました。事件的には「蜘蛛の巣」の方が絡み合ってて面白かったんだけど、何と言ってもフィデルマの高飛車なところが前回ほどなかったので(私が慣れたのかもしれませんが)、読みやすかったです。でも今回一緒に組むのが、サクソン人の修道士・エイダルフではなくて、国王直属の護衛戦士のカースだったのがちょっと残念。私としては、カースもすごくいいと思うんですけどね。肝心のフィデルマが物足りなく思ってるようなので~。
今回一番興味深かったのは、アイルランド五王国の大王(ハイ・キング)による「タラの大集会」。この頃のアイルランドにおけるキリスト教のあり方って、ローマの正統派のキリスト教のあり方とはまた少し違うし、アイルランドの法律そのものも、アイルランドでの生活によく合うようにアレンジされてるんですよね。その部分が思いの外しっかりとしたもので好印象だし、すごく面白いところなんです。「蜘蛛の巣」でも、身障者の人権を保障する制度がきちんと存在していて驚いたんですが、今回も女性の人権に関する法律がしっかり登場していました。古代のアイルランドが身近に感じられちゃうなあ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「蜘蛛の巣」上下 ピーター・トレメイン
「幼き子らよ、我がもとへ」上下 ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマの叡智」ピーター・トレメイン

+既読のピーター・トレメイン作品の感想+
「アイルランド幻想」ピーター・トレメイン

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アラグラリンの領主である族長・エベルが寝室で殺され、その死体の横で短剣を握り締めていた男が捕らえられます。殺人の知らせは、モアン王国の新王・コルグーを経て、すぐにその妹であるフィデルマへ。フィデルマは修道女でありながら、同時に熟練した法の専門家ということを示すアンルーという高位の持ち主で、裁判官として、あるいは弁護士としてアイルランド五王国のいずれの法廷にも立つことができるという正式な資格の持ち主。フィデルマは、その日裁判官を務めた最後の訴訟で勝った若者の道案内で、早速修道士エイダルフと共にアラグラリンへと向かうことに。

ピーター・トレメインは高名なケルト研究者。以前、「アイルランド幻想」(感想)を読んで、そのしっかりとした土台の上に作り上げられた話がとても面白かったので、こちらも楽しみにしてたんです。これは7世紀のアイルランドを舞台にした歴史ミステリ。修道女フィデルマが活躍するシリーズです。エリス・ピーターズの修道士カドフェルが12世紀の話なので、それよりも500年も早いんですねえ。アイルランドにもキリスト教は既に伝わってるものの、まだドゥルイドの存在も残ってるみたいで、そういう設定がものすごーくそそります。また修道院の人?って思っちゃったりもするけど、やっぱり修道士とか修道女という人たちは一般人よりも学があるし、行動の自由が利くから、動かしやすいんでしょうね。

フィデルマは、頭が良くて美人で、、自分自身の努力で得た「アンルー」という地位もあれば、モアン国王の妹という社会的身分もあるんですよね。この辺りがちょっと完璧すぎる気もしたのだけど... しかも、日頃はそんな身分的なことには無頓着だというのに、高飛車で傲慢な人の相手をすると、逆に冷ややかにやり返して思い知らせちゃうような性格。最初の方でプライドが高くて傲慢な人たちの相手をするので、そういう嫌な面がかなり出てくるんですよね。それが鼻についてしまって、読むのがちょっとつらかったです... せめて、もうちょっと隙のある設定だったら良かったのにって思ってしまいます。でも、それ以外の部分では、やっぱりすごく面白い! 7世紀のアイルランドという世界が舞台なだけに、覚えなければならない用語が多くて、訳注もいっぱいなんですけど、元々興味のある分野なだけにそういうのは苦にならないし。女性にこれほど社会的な活躍できる場があったというのも驚き。殺人事件も思いの外入り組んでいて、読み応えがありました。

でもこれは本国では5作目として刊行されたという作品。なんで5作目からいきなり訳すのかなー。どうせシリーズ物を読むなら1作目から読みたいのに。シリーズ物って、シリーズを通して人間関係が出来上がっていくのも大きな魅力の1つなのに、そういうのを無視して刊行する神経がよく分かりません。たとえば1作目はどうやらアイルランドじゃなくてローマが舞台になってるようなので、「ケルト」が売りなのにローマが舞台なんていうのは困ると思ったのかもしれませんが... そのうちちゃんと1作目も訳されるのでしょうか? 早くそちらが読みたいですー。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「蜘蛛の巣」上下 ピーター・トレメイン
「幼き子らよ、我がもとへ」上下 ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマの叡智」ピーター・トレメイン

+既読のピーター・トレメイン作品の感想+
「アイルランド幻想」ピーター・トレメイン

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ブリタニアのロンディウム(現ロンドン)にいたファルコたちが巻き込まれたのは、トギドゥプヌス王の元側近が、井戸の中に頭から突っ込まれて死んでいたという事件。ガリアに追放されたはずの彼が、なぜ今ロンディウムに... という「娘に語る神話」と、半年振りにローマに戻ってきたファルコがたまたま受けた仕事から、法廷での争いに巻き込まれていくことになる「一人きりの法廷」。

久しぶりの密偵ファルコシリーズ。今回読んだこの2冊はシリーズの14冊目と15冊目です。何かの事件にファルコが巻き込まれてそれを解決しなくちゃいけなくなるのと、そこにファルコ周辺の人間ドラマが絡んでくる、というパターンは変わらないんですが、やっぱりこのシリーズは面白いです~。特に15冊目の法廷劇! ローマ時代の法廷について分かるのも面白いし、法廷での証人や弁護人の陳述が普段とはまた違う文章で書かれているので、それがアクセントになって面白かったし。依頼人やその一族があんまり秘密だらけなので、読むのはちょっとしんどかったですけどね。事件が一件落着しそうになっていても、まだこれだけページ残ってるからもう一波乱あるんだろうなあ... なんて思ってしまうようなところもあったし。
今回面白かったのは、「娘に語る神話」で登場した拷問官と、「一人きりの法廷」ではヘレナの弟のアエリアヌス。これまで弟のユスティヌスに比べて、何かと分が悪い印象だったアエリアヌスなんですが、これでだんだん道が開けてきそうです。本当に法律の専門家になっちゃえばいいのになあ。向いてると思うなあ。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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紀元74年夏。ファルコが元執政官のルティリウス・ガッリクスに誘われて開いた合同の詩の朗読会は、皇帝の次男・ドミティアヌス・カエサルも臨席し、大成功のうちに終わります。その翌日、ファルコの元へやって来たのは、「黄金の馬」出版工房の経営者のエウスケモン。オーナーのクリューシップスがファルコの詩を気に入ったので、出版しないかと言ってきたのです。しかし翌日、ファルコが出版工房を訪ねた直後、クリューシップスは何者かに殺されて... という「亡者を哀れむ詩」と、ブリタニア王・トギドゥブヌスの宮殿の建設に不正があるらしいと聞きつけた皇帝がファルコに現地調査を命じ、ヘレナやその2人の弟らと共にブリタニアへと行くことになる「疑惑の王宮建設」。

ファルコシリーズの12作目と13作目。
このシリーズは、ファルコがローマ市内で事件を解決するか、皇帝の命令で外国に遠征するか、大体どっちかのパターンなんですけど、やっぱり外国での話の方が基本的に面白いです。特にブリタニア! 1巻以来! ということで、13作目の「疑惑の王宮建設」に思わず食いついてしまいます。なんでローマ皇帝がブリタニア王の宮殿建設に口を挟むかといえば、この建設資金がローマ皇帝から出てるから。そしてなんで万年赤字状態のローマ皇帝ウェスパシアヌスがブリタニア王の宮殿なんか建てるかといえば、ブリタニア王とウェスパシアヌスは、お互いに今の地位を得る前からの知り合いで、ウェスパシアヌスが帝位につくにあたって、ブリタニア王の尽力が大きかったから。ということのようです。建築士や測量士、国内外の労働者をまとめる監督たち、造園師、石工、モザイク師、フレスコ画家、配管技師... 色んな人が働いてる宮殿建設場面がなんか楽しくて好き~。ヘレナの2人の弟も出てくるし~。(ユスティヌスは私の中ですっかり株が落ちてしまって、アエリアヌスの方が不器用ながらも可愛くなってきてるんですが... やっぱりユスティヌスにも早く挽回して欲しい!) 本当は「亡者を哀れむ詩」では古代ローマの出版業界なんてものが登場して、色んな作家の話が出てきて、こちらも楽しいはずなんですけどね... 事件がちょっと小粒すぎたかも。

ファルコシリーズの邦訳は、現在14冊まで。私が読んでるのは全部借り物で、14冊目まで借りてるかと思い込んでたんですが、手元には13冊目までしかありませんでしたー。あと1冊も借りてこなくっちゃ。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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即位の時に大々的な国勢調査実施を命じていた皇帝ウェスパシアヌス。その皇帝が、申告額を誤魔化しを発見し、査定のやり直しをさせるために雇ったのがファルコ。そしてまず査察の対象となったのは、剣闘技の訓練師や興業師(ラニスタ)たちでした。しかしそんな時、「水路の連続殺人」の犯人の処刑を担当するはずの人喰いライオン・レオニダスが何者かに殺されるという事件が... という「獅子の目覚め」と、神官の家の中のゴタゴタをめぐる「聖なる灯を守れ」。

密偵ファルコシリーズの10作目と11作目。9作目の「水路の連続殺人」から、ファルコのパートナー探し3連作となっています。随分意外な相手とも組むことになってびっくり。でもファルコを取り巻く環境が少しずつ変化してるので、それもまた自然な流れなのかもしれませんー。相手の意外な素顔が見れるところも楽しくて。

国勢調査といえば... そういや聖書の福音書にこんな文章がありました。「そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。これは、クレニオがシリアの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。」 キリストが生まれる直前の話で、この勅令が出たためにヨハネとマリアが故郷に向かって急ぐんですね。毎年クリスマスの頃になると暗誦させられていたので、今でも丸ごと覚えてたりします。(笑) 
アウグストというのは、初代ローマ皇帝のアウグストゥス。一応、キリストが生まれた年が紀元元年で(実際には若干ズレがあるそうですが)、キリストは30代半ばで亡くなってるので、それが紀元30年前後のはず。 密偵ファルコのこの時代は、紀元70年頃。ほんの40年前のことなんですねえ。しかも、「聖なる灯を守れ」にはベレニケというユダヤの王女が登場してるんです。この人の曾祖父が、イエス・キリストが生まれた頃に、救世主の到来を恐れて2歳以下の幼児を虐殺させたという噂のあるヘロデ王。ふと気づくと、ちょっとしたところで繋がってくるのが歴史物の面白いところですね。読んでるうちに点と点が繋がって線になっていくのって、嬉しいな。このまま線と線が繋がって面になっていく... といいのだけど。(笑)(光文社)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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