Catégories:“ミステリ(翻訳)”

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14歳のカッレは名探偵に憧れ、ロンドンの貧民窟やシカゴの暗黒街に生まれたかったと思っている少年。日々怪しい人物をチェックし、町の治安を守るために見回りを欠かさず、空想の中で「探偵ブルムクヴィスト」になっては、いっぱしの名探偵ぶって「架空の聞き手」相手に捜査や推理の基本を語ってきかせています。しかし実際には、カッレは小さな町の食料品店の1人息子。カッレが住む平和な町では事件など望むべくもないのです。そして夏休み。遊び仲間の靴屋の息子のアンデスと、パン屋の娘のエーヴァ・ロッタと一緒に毎日のように遊びまわっているカッレの前に現れたのは、エーヴァ・ロッタのお母さんの弟だというエイナルおじさん。エイナルおじさんはエーヴァ・ロッタの家にしばらく滞在することになり、何かといえばカッレたち3人につきまとうのですが...。

子供の頃の私にとってリンドグレーンといえば、まずこのカッレくんのシリーズ。もう何度読んだか分からないぐらい大好きでした。ピッピもいいんですけどね、破天荒で突拍子のないことをしてばかりのピッピよりも、この3人の方が好き。現実味があって、身近な存在に感じられたからかも。このシリーズを最初に読んだのは、多分小学校3年生の頃だから、9歳のピッピよりも14歳のカッレたち3人の方が大人っぽく感じられて良かったというのもあったのかも。
ケストナーの「エーミールと探偵たち」はもう読んでたかもしれないけど、ホームズやルパンを読むようになる前で、「探偵」という存在にもあまり馴染んでなかった頃。カッレくんが憧れるエルキュール・ポワロやピーター・ウィムジィ卿の存在も知らなかったし(アスビョーン・クラーグは未だに知らない)、歴史上のバラ戦争なんていうのも、もちろん初耳。でもカッレたち3人の「白バラ軍」と、それに敵対する「赤バラ軍」のバラ戦争にも「いく千いく万の人命は、死と死の暗夜に落ちてゆくであろう」という言葉にもワクワクしたし(この言葉は、今読んでも本当にかっこいい)、夜中にこっそり家を抜け出しての冒険ときたら! そしてエーヴァ・ロッタのパパがくれる甘パンの美味しそうなことったら!

で、今回久しぶりに本を手に取ったんですけど、やっぱりすっごく面白かった~。これは本当に大好きです。展開も全て覚えてるというのに、すっかり童心に戻ってワクワク。でもそんな風にワクワクしつつも、早く名探偵になりたくて背伸びしてるカッレくんが、たまらなく可愛かったりなんかもして~。この辺りは自分が年を重ねた分、受ける印象がちょっぴり変わりますね。そういう描写がその時よりも目につくというか。一緒に白バラ軍に入って活躍したい(というかエーヴァ・ロッタになりたかった)と思ってた子供の頃とは違って、温かい目で見守る側になってる自分を再認識してしまう...。そして空想の中の事件だけでなく現実の事件に触れることによって、3人が大人の世界を垣間見る部分なんかでは、ああ、まだまだ大人になってしまうのは早いよ、1日でも長くこの幸せな時間を過ごさせてあげたいな、なんて思ってしまう...。
と言いつつ、入れるものなら今でもやっぱり私も白バラ軍に入りたいですけどね。で、赤バラ軍と戦争をしたい! 聖像の争奪戦を繰り広げたい! 白バラ軍はもちろんだけど、赤バラ軍のシックステンとベンカとユンカだって、とっても気持ちいい男の子たち。赤バラも白バラも、読んでる私まで気持ちよくなってしまうほど素敵な子供たちです。やっぱりいいな、このシリーズは。いくつになっても、子供の頃、最初にこのシリーズを読んだ頃の自分を思い出させてくれるみたい。うふふ、大好き。(岩波少年文庫)


+既読のリンドグレーン作品の感想+
「長くつ下のピッピ」「ピッピ船にのる」「ピッピ南の島へ」リンドグレーン
「やかまし村の子どもたち」「やかまし村の春・夏・秋・冬」「やかまし村はいつもにぎやか」リンドグレーン
「名探偵カッレくん」「カッレくんの冒険」「名探偵カッレとスパイ団」リンドグレーン

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ローマに巡礼としてやってきた修道女フィデルマ。しかしひっそりとした裏通りの小さな教会堂でのミサにあずかっていた時、殺人事件に遭遇してしまうことに... という「聖餐式の毒杯」他、全5編の短編集。

7世紀のアイルランドを舞台にしたミステリ、修道女フィデルマシリーズの短編集。
短編作品も十分読ませてくれることは、シリーズ外作品の「アイルランド幻想」(オススメ!)でも既に分かっていたことなんですが、今回も切れが良い短編集になっていて、とても面白かったです。フィデルマが相変わらず冷静でな毅然とした態度で、その観察眼と洞察力、推理力を披露。でも、その高飛車で傲慢な態度も相変わらずなんですけどね... これさえなければなあ。7世紀のアイルランドが舞台というのが話の中でも十分生かされていて、その辺りもすごく面白いんですけど、肝心のフィデルマにはあまり愛着が湧かない私です...。でもちょっと思ったんですけど、原書でもここまで高飛車で傲慢なんでしょうかね? 会話の翻訳にどうも不自然さを感じるし、もしかしたら訳のせいもありそうだなあと思ってしまうんですがーー。(ということで、私はこの訳者さんの訳が苦手だったりする)
5作の中で一番面白かったのは、アイルランド全土の大王としての即位式を早く執り行わなければならないというのに、儀式に必要な王家伝来の宝剣・カラハーログが盗まれて... という「大王の剣」。あとはフィデルマがローマで事件に挑む「聖餐式の毒杯」も! 5編とも、フィデルマでなければ解決にもっと時間がかかるか、もしくは迷宮入りという事件、鮮やかに解き明かしてくれるのは快感です。
でも、7世紀の頃のローマってどうなってたんだろう? 古代ローマ帝国はもっと早い時期に東西に分裂して、東ローマ帝国(=ビザンティン帝国)しか残ってなかったと思うんだけど? 西ローマ帝国は確か5世紀に滅びたはず。イタリアが小国家に分裂するにはまだ早いのかな? (世界史、苦手だったんだよね~) この作品を読む限りでは、すでにキリスト教の本山的な雰囲気なんですが。

でもこのシリーズ、翻訳が出る順番がバラバラなんですよね。最初に出た「蜘蛛の巣」がシリーズ5作目で、次に出た「幼き子らよ、我がもとへ」が3作目なんですもん。今回は短編集だから、まあいいんだけど... 長編はやっぱり順番通りに出して頂きたい! そうでないと、フィデルマの人間的成長が楽しめないことになってしまうんですもん。実際に物事が前後して、フィデルマの反応の変化が妙な具合になってます。次はぜひ1作目を訳していただきたいな。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「蜘蛛の巣」上下 ピーター・トレメイン
「幼き子らよ、我がもとへ」上下 ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマの叡智」ピーター・トレメイン

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AD76年9月。今回マルクスに助けを求めたのは、ヘレナの母・ユリア・ユスタ。27歳になるヘレナの弟・アウスル・カミルス・アエリアヌスがアテナイで勉強したいと言い出して、家族がギリシアに向かう船に乗るアエリアヌスを見送ったのは8月のこと。手紙が届くのは何ヶ月も先のことになるだろうと思いきや、オリュンピアで「神殿巡り」の旅をするギリシア団体旅行の一行と知り合いになり、そのうちの1人が死亡した事件に巻き込まれたというのです。ユリア・ユスタの頼みは、ギリシアでアエリアヌスに代わって事件の捜査を行い、アエリアヌスを予定通りアテナイに行かせて欲しいということでした。

久し振りの密偵ファルコシリーズ。これが17作目です。古代ローマ時代(ウェスパシアヌス帝の時代)を背景にしたシリーズなんですが、今回はローマ帝国の属州となっている古代ギリシャを旅する話なので特に嬉しい♪ 政治的にはローマが上位に立ってるんですけど、歴史・文化的にはギリシャが先駆者。ギリシャの文化に憧れるローマ人も多いのです。4年に1度のオリンピックの開催年を変えてまで、無理矢理参加してしまった皇帝ネロもその1人だし...(ネロの時代と結構近いせいか、何かといえばネロの名前が出てきます) 古代ローマの公用語はラテン語だけど、ギリシャ人の奴隷に勉学を習う貴族の子弟も多いし、教養がある人たちは当然のようにギリシャ語を話すし、大学に行くとかならまずはギリシャ留学だし。

今回のファルコの旅に同行するのは、5人と犬1匹という賑やかな一行。オリンピックの起源となったオリュンピアの地を訪れて体育場に行ったり、世界七不思議の1つであるゼウス像を見物したり、アポロンの神殿での神託が有名なデルポイや、デルポイとはまた違った方法で神託が行われるレバデイアのトロポニオスの神託所を訪れたりと、古代ギリシャの名所めぐりが楽しめるのもとても嬉しいところ。ギリシャ神話の様々なエピソードも紹介されます。そして良きローマ人としてのファルコの目を通して見たギリシャも面白いのです。まあ、この時代に本当にこんなパック旅行があったのかどうかは知りませんが...(笑)
でも、本来の目的は殺人事件の解決。事前に分かってたのは、今回「神殿巡り」の旅の途中に死亡した若妻のウァレリアと、3年前に白骨死体で見つかったマルケラ・カエシア。でも、まだまだ事件が起こるし、ファルコの捜査も攪乱されまくり。ファルコ大苦戦。...いや、この最後のオチには驚きました。伏線は十分すぎるほどあったんですけど、まさかまさかそうくるとは...。無理矢理な気もしますが、でもすんごいですね。これがまた視覚的効果抜群なせいか、最後のシーンがフランス映画の「太陽がいっぱい」と妙に重なって感じられました。発端も展開も結末も何もかもまるで違うのにね。映画的な幕引きでした。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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昇天祭の日。大学生のアンゼルムスは、市で醜い老婆が商売に出している林檎や菓子の入った籠に突っ込んでしまいます。その辺りにいた子供たちが飛び散った商品に我先にと飛びつき、アンゼルムスは老婆に中身のあまり入っていない財布を渡して逃げ出すことに。せっかくの昇天祭なのに一文無しとなってしまったとアンゼルムスが嘆いていると、ふと頭上の紫丁香花の樹から水晶の鈴のような響きが。そこにいたのは3匹の緑金の小蛇。そしてアンゼルムスはそのうちの1匹に恋をしてしまうのです。それはセルペンチナでした... という「黄金の壷」。
真夜中、サント・オノレ通りにあるスキュデリー嬢の家の戸が激しく叩かれます。それは見知らぬ若い男。侍女が玄関を開けると、外にいる時は哀れっぽいことを言っていた男は家の中に入るなり荒々しくなり、匕首まで持っていたのです。思わず助けを求めて叫ぶ侍女。すると男は小箱を侍女に持たせると、スキュデリー女史に渡して欲しいと言い残して消え去ります。折りしもパリでは宝石強奪事件が相次いで起きていた頃。その箱に入っていたのは見事な宝飾品。当代随一の金細工師・ルネ・カルディラックの作った品だったのです... という「スキュデリー嬢」。

ホフマンの作2つ。「黄金の壷」の方は古本屋で見つけた古い本で、なんと初版が昭和9年! なので当然のように旧字・旧かな使いです。検印もついてるし、題名も本当は「黄金寳壷 近世童話」。でもこれ、面白いことは面白かったんですけど... この作品は、ホフマンの作の中でも傑作とされている方らしいのに、それほどでもなかったんですよね。ホフマンらしい幻想味は素敵なんですけど、肝心のアンゼルムスとセルペンチナの場面が思ったほどなかったからかなあ。もっとこのセルペンチナの一族の話が読みたかったな。この作品では、むしろアンゼルムスに片思いする16歳のお嬢さんの方が存在感があるし、世俗的で面白かったかも。
「スキュデリー嬢」は、ルイ14世の時代を舞台にした作品。ルイ14世はもちろんその愛人・マントノン夫人も、スキュデリー嬢その人も実在の人物。でもこの主人公となるスキュデリー嬢、実は「嬢」という言葉から想像するような若い娘さんじゃなくて、73歳の老嬢なんですね。その年輪が若い娘さんには出せない味を出していて、それが良かったです。そしてこの作品、スキュデリー嬢を探偵役とするミステリでもあります。それほど積極的に事件の謎を解こうとするわけではないし、むしろ巻き込まれた被害者とも言えるんですが... 謎が解けたのも、彼女の推理力のおかげというより、人徳のおかげでしたしね。普通のミステリを期待して読むとちょっとがっかりするかもしれませんが、期待せずに読むと、ほのぼのとした時代ミステリ感が楽しめるかと。

でも「スキュデリー嬢」はともかく、自分が「黄金の壷」をちゃんと読み取れてるのか気になる... 丁度、古典新訳文庫でこの組み合わせが出てたし、そちらも読んでみようかなあ。(岩波文庫)


+既読のホフマン作品の感想+
「クルミわりとネズミの王さま」ホフマン
「悪魔の霊酒」上下 ホフマン
「黄金の壺」「スキュデリー嬢」 ホフマン

「ホフマン短篇集」ホフマン
「黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン

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1379年6月。ジョン・クランストン卿はランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの豪華な晩餐に招かれます。甥のリチャード2世の摂政を務めるジョン・オブ・ゴーントは野心の強い人物。この晩餐は、巨万の富を築いているクレモナの領主を接待するためのもの。国王を始めとするこのえり抜きの賓客たちと共に、なぜ自分が招かれているのかと不思議に思うクランストン。しかしその時、イタリア人の持ち込んだ不思議な謎が解けるかどうかという賭けを持ち出されたのです。それは、イタリア人の持つ郊外の館の「緋色の部屋」で4人もの人間が死んだ謎。イタリア人は、謎が解けない方に千クラウンを賭けるといいます。まんまとジョン・オブ・ゴーントの思惑に引っかかったことを悟りながらも、クランストンはその賭けに応じることに。

14世紀イギリスを舞台にした、検死官クランストン卿とアセルスタン修道士のシリーズ第3弾。
今回は「緋色の部屋の謎」、聖アーコンウォルド教会の敷石の下から発見された白骨死体の謎、そしてフラックフライアーズの修道院での連続殺人事件の謎と大きな謎が3つ。その中でも一番重要なのは「緋色の部屋の謎」。期限は2週間、解けなければ千クラウン払わなければならないんですから。でも連続殺人鬼を放置しておくわけにもいかないし、白骨死体のせいで奇跡騒ぎが起きてしまうし、どれも早急に解決しなくちゃいけません。

大酒飲みで大食らいで、所構わずげっぷやおならをしているクランストン卿。(これでも貴族!) モード夫人の「あなたって大口ばかりたたいて、大食らいでーー取り柄は、心が大きいことだけだわ。ときどき誰よりも賢くなることがあるけれど、それ以外のときは」という言葉がぴったり。本当はとても切れ者だし、実は権力には負けないまっとうな精神の持ち主なんですけどねえ。わざと酔いつぶれる寸前の酔っ払いという仮面をかぶってそれを隠しているみたい。彼が唯一恐れているのは、小柄なモード夫人だけ。夫人と生まれたばかりの双子の息子たちを溺愛する、いいお父さんです。そんなクランストンに比べると、アセルスタンは堅実でやや地味に見えるんですが... でもクランストン卿と比べたら誰でも地味に見えてしまうかも。アセルスタンもいい味出してます。今回は特に純な一面を見せてくれますしね。そんな2人が事件の捜査に乗り出すんですが、推理の部分で活躍するのはもっぱらアセルスタン。クランストンはほとんどのことをアセルスタンに任せっぱなしです。でも最後に見事なところを見せるのがクランストン。
このシリーズの大きな特徴である14世紀末の英国の風俗描写は相変わらず。排泄物の臭いが今にも漂ってきそうです。そんな不潔なロンドン下町の描写と対照的なのが、ジョン・オブ・ゴートの豪華極まりない晩餐会。リチャード2世とジョン・オブ・ゴーントの関係もとてもリアルでいいですねえ。歴史がどうなったのか知ってる読者としては、色々ニヤリとさせられちゃう箇所が~。そして一見穏やかに見えるけれども、実は権力欲が渦巻いている修道院の世界も面白いし。そんな歴史的な面白さも味わえるミステリです。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「毒杯の囀り」ポール・ドハティ
「赤き死の訪れ」ポール・ドハティ
「神の家の災い」ポール・ドハティ

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ノエルは、ソルトマーシュ村の副牧師を務める青年。牧師のクーツさん夫妻はあまり好きではないものの、彼らの姪のダフニと甥のウィリアムは気に入っているし、特にダフニとは恋仲。クーツ家でなかなか居心地の良い日々を送っていました。しかしクーツ牧師の家でメイドをしていたメグ・トスティックに子供ができたことから、クーツ家は大騒ぎとなります。破廉恥な行いが大嫌いなクーツ夫人によってメグは首となり、村の宿屋に滞在して出産を待つことに。メグの恋人は、宿屋のバーテンダー兼用心棒のボブ・キャンディ。しかし赤ん坊の父親はボブではなかったのです。メグは誰が父親なのか頑として口を割ろうとしないどころか、出産後、誰もメグにもその赤ん坊にも会うことができず、村では噂が飛び交います。そんな折、この土地の領主であるサー・ウィリアムの家にミセス・ブラッドリーという小柄で痩せた、眼光の鋭い女性が滞在することになって...

ミセス・ブラッドリーという精神分析医の女性が探偵役を務めるミステリ。でもこれが普通の探偵役とは全然違ーう! このミセス・ブラッドリー、声は綺麗らしいんですが、その外見描写は散々なんですよね。「小柄で、痩せていて、しわくちゃで、顔は黄ばみ、魔女を思わせる黒い目は眼光が鋭く、猛禽の鉤爪のような黄色い手をしていた」とか「トカゲ、というか、鱗に覆われた先史時代の爬虫類みたいで、甲高い、きーきーいう笑い声を聞くと、思わず飛び上がってしまう」とか... ワトスン役のノエル青年も始終ぎょっとさせられてるし、とにかく「胡散臭い」「変人」というのが第一印象。しかも物語自体も一筋縄ではいきません。何が何やらよく分からないうちに事件が起こっていて、気が付けばこのエキセントリックなミセス・ブラッドリーがノエル青年を従えて捜査に乗り出してるし。
とにかく、これまであまり読んだことのないような雰囲気。しかも物語自体に何やら妙な歪みのようなものがあるなあ、なんて思ってたんですが、訳者あとがきに「この作者はわざと強弱の付け方を逆にしてオフビートな世界を創り出しているのだ。グラディス・ミッチェルの面白さとは、盛り上がるべきところで盛り上がらず、本来なら盛り上がるはずのないところで、突如、盛り上がったりする面白さなのである。」と書かれているのを見て納得。そうか、そうだったのか。やっぱりそれがグラディス・ミッチェルの魅力だったんですね。でもやっぱり強烈ですよ、ミセス・ブラッドリーって。もしやグラディス・ミッチェル自身がミセス・ブラッドリーのような女性だった...? なんて思いたくなっちゃう。(笑)
これは慣れれば慣れるほどクセになるかもしれないです... という私も一読した時よりも、感想を書こうと思ってぱらぱらと読み返してた時の方が面白くてハマってしまって、結局また読み直してしまったし。最初に読んだ時はほんと「ワケ分からん」状態だったんですが、後から読み返してみると「そういう意味だったのか!」という文章や会話がいっぱいあって、なんだか作者にいいようにしてやられてしまったみたいです。これはシリーズの他の作品もぜひ読んでみようと思います~。(国書刊行会)

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ジーヴスは、ありとあらゆる点でとてつもなく有能な執事。主人のバーティーが目が覚めたきっかり2分後に完璧なミルクティーを持って現れ、主人に質問される全てのことに適切に答え、適切な助言をするのです。そんなある日のこと、公園に散歩に出かけたバーティーは、旧友のビンゴ・リトルに出会います。春になると永久不変に誰かと恋に落ちるビンゴは、その時もメイベルという名のウェイトレスに恋をしていました。身分違いのメイベルと何としても結ばれたいと考えていたビンゴは、現在収入面で頼り切っている伯父に穏便に結婚を認めさせる方法をジーヴスに尋ねてくれとバーティーに頼み込みます。

色んなブログで面白いという評判は目にしていたし、オススメもされていたんですが、ようやく読めました!
いやあ、噂にたがわず面白かったです~。なんとなくもっと文学寄りなのかと思い込んでたんですけど、そうではなかったんですね。すらすら読めてしまうエンタメ作品。英国独特なシニカルなユーモアが満載。この「比類なきジーヴス」は、元々短編だったものを編集・加筆して長編小説の体裁にしたものなんだそうで、確かに読んでみると連作短編集みたいだし、基本的な展開はどれも一緒なんですね。バーティーが失敗して、ジーヴスが得意の機転でその窮地を切り抜けるというパターン。そこにアガサ伯母さんや、従弟のクロードとユースタス、ビンゴの恋の相手たちが彩りを添えてます。バーティーが自分で危機を切り抜けたと思っても、必ずその裏にはジーヴスの活躍があるんですねえ。でもそんな完全無欠なジーヴスにも、時折ご主人さまに冷たくなることがあるんです。それは大抵、決して趣味がいいとは言えないバーティーの服装センスが原因というのがまた可笑しい♪
普通に読むだけでも十分楽しいんですが、先日読んだ新井潤美さんの「階級にとりつかれた人々」のおかげで少し理解度が増したかな? このジーヴスが、ロウアー・ミドル・クラスのヒーローだというわけですねー。多分アッパー・クラスのステレオタイプとして描かれているバーティーやビンゴのあり方にも、ビンゴの恋人(ウェイトレス=ロウアー・ミドル・クラス?)に対する反応にも納得です。でも、バーティーが自分のことをシャーロック・ホームズになぞらえる箇所にだけは違和感が。シャーロック・ホームズの連載も、確かロウアー・ミドル・クラスが購読する新聞か雑誌だったと思うのだけど~?(国書刊行会)

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ベルヴィル最後の映画館・ゼブラ座の舞台でバンジャマンたち総勢18人が夕食のテーブルを囲んでいた時、ゼブラ座のドアをノックする音が響きます。それは28ヶ月ぶりに帰還したマロセーヌ一家のママ。しかしパストール刑事との28ヶ月にわたる逃避行にも関わらず、ママのおなかはぺったんこだったのです...。

マロセーヌシリーズ第4弾。これが一応シリーズ最終巻となります。
前回は本の話だったんですけど、今回は映画。映画にまつわる話がいっぱい。たとえば「執行吏のラ・エルスは二度ベルを鳴らした。」なんて文章があったんですけど、これって「郵便配達は二度ベルを鳴らす」ですよね。きっともっといっぱいあったんでしょう。私にはあまりよく分からなかったけど。
そして今回はいつも以上に謎がいっぱい。まずは、これまで駆け落ちするたびに1人ずつ赤ん坊を産んできた「ママ」が、今回はおなかがぺったんこのまま帰ってきた謎。一緒に逃避行してたはずのパストール刑事はどうしたのかな? 2人の仲が破局して「ママ」が帰ってきたのか、それとも...? そしてチアン刑事の娘・ジェルヴェーズが世話をしていた売春婦たちが消えた謎。刺青のコレクションと殺人鬼の謎。聖女の妊娠の謎。シリーズ最終巻に相応しく1冊目「人喰い鬼のお愉しみ」からの登場人物が勢揃いで、所狭しと動き回ってます。これまでも血塗れの死体が散乱してたんですけど、今回はさらにすごいし...。時々、さすがにこれはないでしょ!という展開にびっくりしてたら、それはジェレミーが作り出したお話だったりして、一体どこからどこまでが物語の中の真実なのか分からなくなってきちゃう。もうほんとタチが悪いなー。もしかしてこれまで読んできた話は全部ジェレミーの創作だった? なーんて訳が分からなくなりつつも、面白さとしてはこのシリーズの中では1番だったかも。うん。やっぱり面白いです。読みやすいとは言いがたいけど(これは翻訳のせいではないです! これは絶対に原文がはちゃめちゃなんです)、このアクの強さはすっかりクセになっちゃうんですよね。これでシリーズは一応終了なんですが、本国では番外編の小品が3作ほど出ているようですね。またいずれそちらも読めるといいな。(白水社)


+シリーズ既刊の感想+
「人喰い鬼のお愉しみ」D.ぺナック
「人喰い鬼のお愉しみ」「カービン銃の妖精」ダニエル・ぺナック
「散文売りの少女」ダニエル・ぺナック
「ムッシュ・マロセーヌ」ダニエル・ペナック

+既読のダニエル・ぺナック作品の感想+
「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック
「カモ少年と謎のペンフレンド」ダニエル・ペナック
「奔放な読書」ダニエル・ぺナック

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タリオン出版でスケープゴート(身代わりの山羊)の仕事をしていたバンジャマンは、社長の「ザボ女王」に辞表を提出。お気に入りの妹のクララが40歳も年上の刑務所所長と結婚すると言い出して、ショックを受けていたのです。そんなバンジャマンに逆にクビだと言い渡すザボ女王でしたが、2日後には前言撤回。今度は「憎悪」ではなく「愛」の仕事があるというのですが...。そしてバンジャマンは、覆面ベストセラー作家・J・L・B になりすますことに。

バンジャマン・マロセーヌシリーズ第3弾。いやあ、今回も濃かったわー。
他人のミスをかぶって怒鳴りつけられ、激怒している相手の怒りを和らげるのが仕事という職業的スケープゴートのバンジャマン。しかも身の回りであんまり事件が頻発するせいで、警察からは爆弾犯や殺人犯い間違えられて毎回のように大迷惑なんですが、今回の悲惨さはこれまでの比ではありませんでした! ここまできますかー。まさかとは思ったけど、すごい展開にびっくり。こんなのあり得ないでしょ... とは思うんですけど、元々強烈なシリーズですしね。強烈な登場人物や強烈な事件に紛れてしまって、なんとはなしに納得してしまうのがコワイ。でも今回、確かに本がテーマになってるんだけど、「散文売りの少女」という題名はどうなんでしょう。原題のまま訳されてるんし、確かにそういうエピソードはあるんだけど、ちょっと違う気がします。
バンジャマンにはそれぞれに父の違う6人の弟や妹たちがいるんですけど、今回この7人きょうだいが「母親の情熱の果実(パッション・フルーツ)たち」と表現されていたのには笑いました。いかにも! でも1作ごとに1人ずつ増えるのが恒例となってますが、今回増えるのは直接の弟 or 妹ではありませんでした。赤ん坊が増えるのには変わりないんですけどね。そしてその赤ん坊につけられた名前は「天使だね(セ・タン・ナンジュ)」。このネーミングセンス、フランス人がどう受け止めているのか聞いてみたいところです。
そしてこのシリーズ、2作目までは本国フランスのミステリ系の出版社から出てたのが、この3作目から文学系の出版社に移ったのだそう。確かにミステリ(というよりエンタメ系かも)なんですけど、私もなんだか「文学」のカテゴリに入れたい気がしてたんですよね。だからとっても納得。まあ、これが本当に「文学」なのかと言われると、答えに困ってしまうのですが...。(白水社)


+シリーズ既刊の感想+
「人喰い鬼のお愉しみ」D.ペナック
「人喰い鬼のお愉しみ」「カービン銃の妖精」ダニエル・ペナック
「散文売りの少女」ダニエル・ペナック
「ムッシュ・マロセーヌ」ダニエル・ペナック

+既読のダニエル・ぺナック作品の感想+
「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック
「カモ少年と謎のペンフレンド」ダニエル・ペナック
「奔放な読書」ダニエル・ぺナック

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唐の高宗皇帝の時代。33歳の狄仁傑(ディー・レンチエ)判事は山東省の平来(ポンライ)の知事に任命され、腹心の助手・洪亮(ホン・リャン)と共に平来へ。途中襲ってきた義賊の馬栄(マー・ロン)と喬泰(チャオ・タイ)もディー判事の助手となり、4人は平来の町に到着。そこで待っていたのは、前任の判事が密室状態の書斎の中で亡くなっていたという不可解な事件でした。

先日、三省堂版の「中国黄金殺人事件」を読んだんですが、それと訳者さんが違うだけで、同じ作品です。いやー、翻訳ミステリ作品もそこそこ読んでるんですけど、ポケミスを読むのは実は初めてだったりします。(どきどき)
先日読んだ「中国黄金殺人事件」は、訳文がどうもダメで、ポケミス版でリベンジとなったんですが、こちらの方はまずまず。登場人物の名前がカタカナから漢字になったというだけでも、ぐんと読みやすくなりますねー。(翻訳物もよく読んでますが、カタカナの名前は本当はあんまり得意じゃないので) まあ、三省堂版にもいいところがあったので、全体的に比べると一長一短なんですけどね。私はこちらの方が断然楽しめました。

3つの謎を知事が解決するのが伝統だという公案小説の形式に則って、この作品も前任の王知事の殺人事件と、新婚の花嫁の失踪事件、そして平来政庁の役人の失踪事件という3つの事件が絡まりあって、1つの大きな事件となっています。でも1つになってるとは言っても、繋がるところは繋がるし別物のところは別物。その見極めがなかなか難しいんです。これが初の事件となるディー判事、トリックが判明してもそれだけでは犯人までは辿り着けなかったりと苦戦はするんですが、傍目には些細に見えるようなことから着実に手がかりを掴んでいきまます。全然思ってもみなかったところが、後々の伏線になってたりしてびっくり。ちょっとしたこともきちんと生かされてて感心しちゃった。これはシリーズの他の作品も読んでみたいです♪

でね、何が面白かったって髭ですよ髭! うさぎ屋さんが書いてらっしゃるのを読んで(記事)「えー、髭ねえ」なんて思ってたんですけど、今回読みながら色々想像して笑っちゃいました。(ハヤカワ・ミステリ)


+既読のロバート・ファン・ヒューリック作品の感想+
「中国黄金殺人事件」ロバート・ファン・フーリック
「東方の黄金」ロバート・ファン・ヒューリック

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マロセーヌは、デパートの商品の品質管理係。しかしその実態は苦情処理のためのスケープゴート。怒った客がデパートに怒鳴り込むたびに「お客様ご要望コーナー」に呼び出され、客の前で上司にこっぴどく叱られるのが仕事。マロセーヌは反省して嘆き悲しみ、上司はマロセーヌに弁償するように命じたり首を言い渡します。そして尚もくどくど怒り続けていると、客の態度が一変するのです。客たちは一様にマロセーヌに同情して、逆にマロセーヌが首にならないように上司に喰ってかかり、訴えを引っ込めることになり、結果的にデパートは賠償金を払わずに済むという仕組み。そんなある日、マロセーヌの目の前で爆弾事件が起こります。その爆弾事件は2度3度と続き、そのたびに死人が出ることに。そしてなぜか常に現場近くにいるマロセーヌが疑われることになるのですが... という「人喰い鬼のお愉しみ」と、その続編「カービン銃の妖精」。

以前「人喰い鬼のお愉しみ」を読んで、続きを読もうと思ってそのままになってたんですけど、つなさんが読んでらしたのを見て思い出しました。でも前回読んだのは、もう4年も前のこと。人間関係もかなり忘れちゃったし、これは一度復習しておかないといけないなあーと、「カービン銃の妖精」を読むついでに「人喰い鬼のお愉しみ」も再読しておくことに。
いやあ、面白かった。もう前回の苦労が何だったのか全然思い出せないぐらい堪能しました。そうか、こんなに楽しい作品だったのか。やっぱり人間関係が掴めてると、物語そのものに集中できますね。前回は大変だったんですよー。「マロセーヌ」と聞くと女の子の名前かなって思うのに男の人だし、しかもこの「マロセーヌ」というのは苗字! 後で出てくる「バン」とか「バンジャマン」というのが彼のファーストネーム。マロセーヌが苗字だと分からないのは日本人の私には仕方ないとしても、それが「バン」や「バンジャマン」と同じ人間だと分かるまでにも随分かかったし...。しかも彼には父親の違う弟や妹が5人もいて、お母さんは何度目かの駆け落ち中。その辺りの説明もさらっとしてるんですよね。もうほんと読みづらいったら。饒舌すぎるほど饒舌な作品なのに、なんで肝心のその辺りの説明は饒舌じゃないのかしら?(笑)
あーでもこの饒舌ぶり、ニコルソン・ベイカーの「中二階」(感想)に通じるものがあるかもー。なんて思いつつ...。

この家族構成だけでも只者じゃないって感じですが、登場人物がまた1人残らず個性的だし、とにかくユニーク。妙に後を引く面白さがあります。ちょっと説明しづらいんですけどね。読んでるうちにミステリだということをすっかり忘れてしまってましたが、一応ミステリ作品でもあります。そして「カービン銃の妖精」では訳者さんが代わるんですけど、全然違和感がないどころか、さらにパワーアップ。あと2冊出てるし、続きも読むぞ!(白水Uブックス・白水社)


+シリーズ既刊の感想+
「人喰い鬼のお愉しみ」D.ペナック
「人喰い鬼のお愉しみ」「カービン銃の妖精」ダニエル・ペナック
「散文売りの少女」ダニエル・ペナック
「ムッシュ・マロセーヌ」ダニエル・ペナック

+既読のダニエル・ぺナック作品の感想+
「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック
「カモ少年と謎のペンフレンド」ダニエル・ペナック
「奔放な読書」ダニエル・ぺナック

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唐の高宗皇帝の時代。33歳のディー判事は山東省の平来(ポンライ)の知事に任命され、腹心の助手・ホン・リャンと共に平来へ。途中襲ってきた義賊のマー・ロンとチャオ・タイもディー判事の助手となり、4人は平来の町に到着。そこで待っていたのは、前任の判事が密室状態の書斎の中で亡くなっていたという不可解な事件でした。

先日森福都さんの「肉屏風の密室」を読んだ時に、樽井さんに教えていただいたシリーズ。中国物は大好きなのに、中国を舞台にしたミステリ作品がまだあったなんて、迂闊にも全然知らなかったよ! ということで、先日図書館で借りてきました。そしたら!借りてきた丁度その日に、ちょくちょく覗いてるブログさんでこの本の記事を書いてらしてビックリ。なんてタイミング。正確に言えば、読んでらしたのはこれの新訳の「東方の黄金」だったんですけどね。しかもその日は、別のブログさんでも私が偶然見つけてゲットしてきた他の中国歴史物を読んでらっしゃるし... またまたびっくり。

この作者のロバート・ファン・フーリックという人はオランダ人。十数ヶ国語を自在に操り、駐日大使として日本にいたこともある人なのだそう。中国文学の研究家で、狄仁傑(ディー・レンチェ)という実在の人物が主人公の公案小説(中国独自の探偵小説)を翻訳したことから、その面白さに自分でも書いてしまった... というところらしいです。この本の挿絵までこの人が描いてるんだからびっくり。これがまた雰囲気たっぷりなのです。
でもね、やっぱり新訳を読むべきでした...。話は同じでも、この文章は私には合いませんー。だって「いまの彼女にはちょいと人好きする美しさが欠けてはいなかった。」って、一体? もう気が散って仕方ありませんでしたよ...。おおっと思った部分があっただけに勿体ない。一応最後まで読みましたが、今度ポケミス版でリベンジします!(三省堂)

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AD76年8月。テベレ川河口の港町オスティアにやって来たファルコ一家。インフォミアという名前で「日報」のゴシップ欄を担当している記者・ディオクレスがオスティアで消息を絶っており、ファルコがその行方を捜す仕事を請け負ったのです。そしてファルコの親友で、ローマ第四警備大隊の隊長を勤めるペトロもまた、オスティア勤務を志願してマイアたちと共にオスティアに来ていました。

密偵ファルコのシリーズ16冊目。今回、海賊~♪ ということでちょっぴり期待して読み始めたのですが... うーん、期待したほどではなかったかな。というか、私の気合不足だったのかもしれないですが... 最近小説以外の本がすごい勢いで増えてて(と、他人事のように書いているけど、買ってるのは私だ!)、そっちにすっかり気を取られてしまってるせいもあるのかも。そうなると読むのにちょっと時間がかかってしまって、しかも自分のペースで読まないと、本来の面白さを十分堪能できないままに終わってしまうという悪循環があるんですよねえ。
...と、感想を書こうとして前の方のページを繰っていたら、本筋とはあまり関係ないんだけど1つ伏線を発見! これって笑い所じゃないですか。集中して読まないと、そういうのが頭から零れ落ちてしまうのも問題ですね。もう一回読み直したら、笑い所が満載だったりするのかもしれないなあ。あ、でも、身体の一部を改変したかった伯父さん絡みのエピソードは面白かったな。この頃でも本当にそういうことをしてた人っていたのかしら?!(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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1377年、エドワード3世が崩御し、まだ10歳のリチャード・オブ・ボルドーがリチャード2世として即位した頃。王侯・貴族相手の金貸しをしていた貿易商のスプリンガル卿が自室で死んでいるのが発見されます。死因はゴブレットのワインに入っていた毒。容疑者は、そのワインを前夜スプリンガル卿の部屋に運んだ執事のブランプトン。ブランプトンは屋根裏部屋で首を吊って死んでいるのが発見されていました。首席裁判官のフォーテスキュー卿は、検死官のジョン・クランストン卿とその書記を務めるアセルスタン修道士をスプリンガル卿の屋敷へとやることに。

14世紀、中世のイギリスを舞台にした歴史ミステリシリーズ第1弾。以前2作目の「赤き死の訪れ」を先に読んでしまったんですけど、ようやく1作目が読めましたー。
前回も、微妙に私の好みから外れるような気がしてたんですが、こっちを読んでみてもやっぱり微妙でした... 中世のイギリスとか歴史ミステリとか、好きな要素は揃ってるはずなんですけどねえ。でも今回面白かったのは、この作品の原題ともなっている「小夜鳴鳥の廊下(ナイティンゲール・ギャラリー)」。これは丁度京都の二条城や知恩院のような鴬張りの廊下なんです。スプリンガル卿の屋敷はとても古いもので、ジョン王の時代には司令官の1人がこの屋敷を本部として使用していたこともあるんですけど、その司令官が他人を誰1人信用できなかったため、特別なイチイの板で張り替えさせたというもの。実際にアセルスタン修道士が足を踏み入れると、どこに立っても一足ごとに「一ダースもの弓の弦を同時に弾いたような」「弦楽器めいた深い音を生じ」て、この廊下に面した部屋にいる人間に分かるようになってるんです。京都の鴬張りの廊下を歩いても弦楽器的な音を連想したことはないんですが... どんな音でしたっけ。今度また行ってみなくちゃ! そしてこの鴬張りの廊下が密室殺人に一役買っているんですねー。
事件自体はそれほど複雑なものではないしし、ミステリ慣れしている読者ならある程度は想像がついてしまうかも。それよりも当時のロンドンの情景がこれでもかというほど詳細に描きこまれていて... 多少詳細過ぎる気もするんですけど...(しかもあまり綺麗とは言えない描写が多いんだな) そういった意味でもとても興味深い作品となっています。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「毒杯の囀り」ポール・ドハティ
「赤き死の訪れ」ポール・ドハティ
「神の家の災い」ポール・ドハティ

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カッスルは、イギリス情報部に入って30年以上経つベテラン情報員。現在は6課でアフリカ担当として、さほど重要とも思えない極秘電報の暗号を解読したり、逆にこちらから電報を送ったりする日々。かつて南アフリカに勤務していた時に知り合った黒人女性のセイラと結婚し、その息子サムと3人で郊外での生活を送っています。しかしその6課から情報が漏洩していることが発覚。6Aにいるのは課長のワトスンとカッスル、そして40代で働き盛りのデイヴィスのみ。調査の結果ワトスンとカッスルは嫌疑を免れ、デイヴィスが疑われることに。独身でジャガーを乗り回し、年代物のポートワインに目がなく、賭け事もするデイヴィスは、調査をした丁度その日の昼食時にも報告書を持ち出そうとしていたのです。

あまりピンと来ないままに、ハヤカワepi文庫に入っている作品を読み続けていたグレアム・グリーン。著者紹介には「イギリスを代表する作家であるとともに、20世紀のもっとも偉大な作家のひとり」とされてるんですけど... いえ、決して悪くはないんですけど、どこかピンと来なかったんですよね。それはもちろん読み手である私が未熟なせいなんでしょうけど。でもこの作品は面白かった!
この作品は、紛れもないスパイ小説ではあるんですけど、私がこれまでに読んだスパイ小説とは雰囲気が全然違いました。スパイ小説といえば普通、東西の駆け引きあり、裏切りあり、恋愛あり、派手なアクションありの、もっと手に汗を握るサスペンスで、ページターナーって感じの作品が多いと思うんですが、この作品は何ていうか、ものすごく静かなんです。イギリスの冬空のようなイメージ。実際、ジェームズ・ボンドシリーズが作中で何度か皮肉られていたりなんかして。
スパイ物というよりも、ずっしりと重い人間ドラマ。最後に明かされる真相も皮肉です。実際にグレアム・グリーンが第二次大戦中にイギリス情報部の仕事をしていたということもこの作品にリアリティを与えているんでしょうけど... それ以上に、ふとした拍子に垣間見えるキリスト教的な部分が作品に深みを出しているのかも。いやあ、良かったです。(ハヤカワepi文庫)


+既読のグレアム・グリーン作品の感想+
「第三の男」グレアム・グリーン
「おとなしいアメリカ人」グレアム・グリーン
「負けた者がみな貰う」グレアム・グリーン
「権力と栄光」グレアム・グリーン
「事件の核心」「二十一の短篇」グレアム・グリーン
「ブライトン・ロック」グレアム・グリーン
「ヒューマン・ファクター」グレアム・グリーン

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1377年12月。ロンドン塔の城守・ラルフ・ホイットン卿が何者かによって殺害されます。4日前にホイットン卿の手元に警告の手紙が届いており、すっかり怯えたホイットン卿は安全だと思われた北稜堡の塔に移って、信頼のおける2人の従者に階段を見張らせ、階段と廊下の間のドアにも居室のドアにも鍵をかけていたというのに、ベッドの中で喉を掻き切られて死んでいたのです。ドアの鍵は閉まっていたものの、部屋の鎧戸がいっぱいに開いていたことから、当初、犯人は塔を外から上って侵入したと考えられ、それほど難事件とは思われないのですが、国王勅任のシティの検死官・ジョン・クランストン卿とその書記・アセルスタイン修道士が犯人を捜す中、同じように警告の手紙を受け取った人々が続けて殺されていくことに。

これは中世のイギリスを舞台にした歴史ミステリのシリーズの2作目。本当は「毒杯の囀り」というのが第1作なんですが、これが入手できなくて先にこちらを読んでしまうことに...。フィデルマのシリーズが順番通りに訳されてないとか文句を言ってる割に、せっかく順番通りに訳された作品をこんな風に逆に読んでたら仕方ないですね。いや、本当は順番通りに読みたかったのはヤマヤマなのですが!(嗚呼)
1377年といえば、リチャード2世が10歳で即位した年で、叔父のケンブリッジ伯エドマンド・オブ・ラングリーが摂政として立ち、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの発言権が強かった頃。4年後にワット・タイラーの乱が起きるし、名実共に暗黒時代ですね。...と書きつつ、全然詳しくない付け焼刃の私です。(勉強しなくちゃー)

ミステリとしては王道の密室殺人。6インチ角の正方形の羊皮紙の真ん中には三本マストの船の絵、四隅に黒い十字架が描かれ、胡麻のシードケーキと一緒に送られてくるという警告の手紙も謎めいていて、結構好み。これが実は15年前の事件を発端にしていることが分かって、事件は徐々に複雑になっていきます。そして舞台となるのは、そうでなくても禍々しいイメージのあるロンドン塔! リチャード2世自身、後にここに幽閉されることになりますしね。今回は探偵役の2人にあんまり親しみを感じるところまでいかなかったんですけど、これで2人に愛着が湧いてくれば、もっと面白くなるんだろうなあ。ということは、やっぱり1作目を読まなくちゃダメですねえ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「毒杯の囀り」ポール・ドハティ
「赤き死の訪れ」ポール・ドハティ
「神の家の災い」ポール・ドハティ

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修道女フィデルマは、兄であるコルグーの呼び出しに応えて、モアン王国の王城・キャシェル城へ。叔父のカハル王が黄色疫病に倒れてコルグーが王位を継ぐのは時間の問題となっており、そんな時に王城に訪れたラーハン王の使者の強硬な要求にコルグーは困り果てていました。人々から広く敬われていた尊者ダカーンが8日前にロス・アラハーの修道院で殺害された事件のことで、ダカーンの縁者でもあるラーハン国王が、「血の代償金」と「名誉の代価」を払えとモアン国王に要求してきたのです。「名誉の代価」として要求されているのは、オリスガ小国の支配権の返還。これはモアンとラーハンの間でこの6世紀もの間争われ続けてきた件。ロス・アラハーの修道院長がコルグーやフィデルマの従兄であることから、ラーハン王はモアン王家にも責任があると言ってきたらしいのですが...。本当にモアン王家の責任があるのかどうかを調べるために、フィデルマは早速ロス・アラハーへと向かうことに。

昨日に引き続きの修道女フィデルマシリーズ。今度は本国では3作目として刊行された作品で、「蜘蛛の巣」よりも2つも前の作品。もう本当に、なんでこんな順番で刊行するかなー。
というのはともかくとして、こちらの方が「蜘蛛の巣」よりすんなりと読めました。事件的には「蜘蛛の巣」の方が絡み合ってて面白かったんだけど、何と言ってもフィデルマの高飛車なところが前回ほどなかったので(私が慣れたのかもしれませんが)、読みやすかったです。でも今回一緒に組むのが、サクソン人の修道士・エイダルフではなくて、国王直属の護衛戦士のカースだったのがちょっと残念。私としては、カースもすごくいいと思うんですけどね。肝心のフィデルマが物足りなく思ってるようなので~。
今回一番興味深かったのは、アイルランド五王国の大王(ハイ・キング)による「タラの大集会」。この頃のアイルランドにおけるキリスト教のあり方って、ローマの正統派のキリスト教のあり方とはまた少し違うし、アイルランドの法律そのものも、アイルランドでの生活によく合うようにアレンジされてるんですよね。その部分が思いの外しっかりとしたもので好印象だし、すごく面白いところなんです。「蜘蛛の巣」でも、身障者の人権を保障する制度がきちんと存在していて驚いたんですが、今回も女性の人権に関する法律がしっかり登場していました。古代のアイルランドが身近に感じられちゃうなあ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「蜘蛛の巣」上下 ピーター・トレメイン
「幼き子らよ、我がもとへ」上下 ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマの叡智」ピーター・トレメイン

+既読のピーター・トレメイン作品の感想+
「アイルランド幻想」ピーター・トレメイン

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アラグラリンの領主である族長・エベルが寝室で殺され、その死体の横で短剣を握り締めていた男が捕らえられます。殺人の知らせは、モアン王国の新王・コルグーを経て、すぐにその妹であるフィデルマへ。フィデルマは修道女でありながら、同時に熟練した法の専門家ということを示すアンルーという高位の持ち主で、裁判官として、あるいは弁護士としてアイルランド五王国のいずれの法廷にも立つことができるという正式な資格の持ち主。フィデルマは、その日裁判官を務めた最後の訴訟で勝った若者の道案内で、早速修道士エイダルフと共にアラグラリンへと向かうことに。

ピーター・トレメインは高名なケルト研究者。以前、「アイルランド幻想」(感想)を読んで、そのしっかりとした土台の上に作り上げられた話がとても面白かったので、こちらも楽しみにしてたんです。これは7世紀のアイルランドを舞台にした歴史ミステリ。修道女フィデルマが活躍するシリーズです。エリス・ピーターズの修道士カドフェルが12世紀の話なので、それよりも500年も早いんですねえ。アイルランドにもキリスト教は既に伝わってるものの、まだドゥルイドの存在も残ってるみたいで、そういう設定がものすごーくそそります。また修道院の人?って思っちゃったりもするけど、やっぱり修道士とか修道女という人たちは一般人よりも学があるし、行動の自由が利くから、動かしやすいんでしょうね。

フィデルマは、頭が良くて美人で、、自分自身の努力で得た「アンルー」という地位もあれば、モアン国王の妹という社会的身分もあるんですよね。この辺りがちょっと完璧すぎる気もしたのだけど... しかも、日頃はそんな身分的なことには無頓着だというのに、高飛車で傲慢な人の相手をすると、逆に冷ややかにやり返して思い知らせちゃうような性格。最初の方でプライドが高くて傲慢な人たちの相手をするので、そういう嫌な面がかなり出てくるんですよね。それが鼻についてしまって、読むのがちょっとつらかったです... せめて、もうちょっと隙のある設定だったら良かったのにって思ってしまいます。でも、それ以外の部分では、やっぱりすごく面白い! 7世紀のアイルランドという世界が舞台なだけに、覚えなければならない用語が多くて、訳注もいっぱいなんですけど、元々興味のある分野なだけにそういうのは苦にならないし。女性にこれほど社会的な活躍できる場があったというのも驚き。殺人事件も思いの外入り組んでいて、読み応えがありました。

でもこれは本国では5作目として刊行されたという作品。なんで5作目からいきなり訳すのかなー。どうせシリーズ物を読むなら1作目から読みたいのに。シリーズ物って、シリーズを通して人間関係が出来上がっていくのも大きな魅力の1つなのに、そういうのを無視して刊行する神経がよく分かりません。たとえば1作目はどうやらアイルランドじゃなくてローマが舞台になってるようなので、「ケルト」が売りなのにローマが舞台なんていうのは困ると思ったのかもしれませんが... そのうちちゃんと1作目も訳されるのでしょうか? 早くそちらが読みたいですー。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「蜘蛛の巣」上下 ピーター・トレメイン
「幼き子らよ、我がもとへ」上下 ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマの叡智」ピーター・トレメイン

+既読のピーター・トレメイン作品の感想+
「アイルランド幻想」ピーター・トレメイン

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ブリタニアのロンディウム(現ロンドン)にいたファルコたちが巻き込まれたのは、トギドゥプヌス王の元側近が、井戸の中に頭から突っ込まれて死んでいたという事件。ガリアに追放されたはずの彼が、なぜ今ロンディウムに... という「娘に語る神話」と、半年振りにローマに戻ってきたファルコがたまたま受けた仕事から、法廷での争いに巻き込まれていくことになる「一人きりの法廷」。

久しぶりの密偵ファルコシリーズ。今回読んだこの2冊はシリーズの14冊目と15冊目です。何かの事件にファルコが巻き込まれてそれを解決しなくちゃいけなくなるのと、そこにファルコ周辺の人間ドラマが絡んでくる、というパターンは変わらないんですが、やっぱりこのシリーズは面白いです~。特に15冊目の法廷劇! ローマ時代の法廷について分かるのも面白いし、法廷での証人や弁護人の陳述が普段とはまた違う文章で書かれているので、それがアクセントになって面白かったし。依頼人やその一族があんまり秘密だらけなので、読むのはちょっとしんどかったですけどね。事件が一件落着しそうになっていても、まだこれだけページ残ってるからもう一波乱あるんだろうなあ... なんて思ってしまうようなところもあったし。
今回面白かったのは、「娘に語る神話」で登場した拷問官と、「一人きりの法廷」ではヘレナの弟のアエリアヌス。これまで弟のユスティヌスに比べて、何かと分が悪い印象だったアエリアヌスなんですが、これでだんだん道が開けてきそうです。本当に法律の専門家になっちゃえばいいのになあ。向いてると思うなあ。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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紀元74年夏。ファルコが元執政官のルティリウス・ガッリクスに誘われて開いた合同の詩の朗読会は、皇帝の次男・ドミティアヌス・カエサルも臨席し、大成功のうちに終わります。その翌日、ファルコの元へやって来たのは、「黄金の馬」出版工房の経営者のエウスケモン。オーナーのクリューシップスがファルコの詩を気に入ったので、出版しないかと言ってきたのです。しかし翌日、ファルコが出版工房を訪ねた直後、クリューシップスは何者かに殺されて... という「亡者を哀れむ詩」と、ブリタニア王・トギドゥブヌスの宮殿の建設に不正があるらしいと聞きつけた皇帝がファルコに現地調査を命じ、ヘレナやその2人の弟らと共にブリタニアへと行くことになる「疑惑の王宮建設」。

ファルコシリーズの12作目と13作目。
このシリーズは、ファルコがローマ市内で事件を解決するか、皇帝の命令で外国に遠征するか、大体どっちかのパターンなんですけど、やっぱり外国での話の方が基本的に面白いです。特にブリタニア! 1巻以来! ということで、13作目の「疑惑の王宮建設」に思わず食いついてしまいます。なんでローマ皇帝がブリタニア王の宮殿建設に口を挟むかといえば、この建設資金がローマ皇帝から出てるから。そしてなんで万年赤字状態のローマ皇帝ウェスパシアヌスがブリタニア王の宮殿なんか建てるかといえば、ブリタニア王とウェスパシアヌスは、お互いに今の地位を得る前からの知り合いで、ウェスパシアヌスが帝位につくにあたって、ブリタニア王の尽力が大きかったから。ということのようです。建築士や測量士、国内外の労働者をまとめる監督たち、造園師、石工、モザイク師、フレスコ画家、配管技師... 色んな人が働いてる宮殿建設場面がなんか楽しくて好き~。ヘレナの2人の弟も出てくるし~。(ユスティヌスは私の中ですっかり株が落ちてしまって、アエリアヌスの方が不器用ながらも可愛くなってきてるんですが... やっぱりユスティヌスにも早く挽回して欲しい!) 本当は「亡者を哀れむ詩」では古代ローマの出版業界なんてものが登場して、色んな作家の話が出てきて、こちらも楽しいはずなんですけどね... 事件がちょっと小粒すぎたかも。

ファルコシリーズの邦訳は、現在14冊まで。私が読んでるのは全部借り物で、14冊目まで借りてるかと思い込んでたんですが、手元には13冊目までしかありませんでしたー。あと1冊も借りてこなくっちゃ。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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即位の時に大々的な国勢調査実施を命じていた皇帝ウェスパシアヌス。その皇帝が、申告額を誤魔化しを発見し、査定のやり直しをさせるために雇ったのがファルコ。そしてまず査察の対象となったのは、剣闘技の訓練師や興業師(ラニスタ)たちでした。しかしそんな時、「水路の連続殺人」の犯人の処刑を担当するはずの人喰いライオン・レオニダスが何者かに殺されるという事件が... という「獅子の目覚め」と、神官の家の中のゴタゴタをめぐる「聖なる灯を守れ」。

密偵ファルコシリーズの10作目と11作目。9作目の「水路の連続殺人」から、ファルコのパートナー探し3連作となっています。随分意外な相手とも組むことになってびっくり。でもファルコを取り巻く環境が少しずつ変化してるので、それもまた自然な流れなのかもしれませんー。相手の意外な素顔が見れるところも楽しくて。

国勢調査といえば... そういや聖書の福音書にこんな文章がありました。「そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。これは、クレニオがシリアの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。」 キリストが生まれる直前の話で、この勅令が出たためにヨハネとマリアが故郷に向かって急ぐんですね。毎年クリスマスの頃になると暗誦させられていたので、今でも丸ごと覚えてたりします。(笑) 
アウグストというのは、初代ローマ皇帝のアウグストゥス。一応、キリストが生まれた年が紀元元年で(実際には若干ズレがあるそうですが)、キリストは30代半ばで亡くなってるので、それが紀元30年前後のはず。 密偵ファルコのこの時代は、紀元70年頃。ほんの40年前のことなんですねえ。しかも、「聖なる灯を守れ」にはベレニケというユダヤの王女が登場してるんです。この人の曾祖父が、イエス・キリストが生まれた頃に、救世主の到来を恐れて2歳以下の幼児を虐殺させたという噂のあるヘロデ王。ふと気づくと、ちょっとしたところで繋がってくるのが歴史物の面白いところですね。読んでるうちに点と点が繋がって線になっていくのって、嬉しいな。このまま線と線が繋がって面になっていく... といいのだけど。(笑)(光文社)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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ヒスパニアのバエティカ・オリーブ油生産者協会の饗宴に出席したファルコは、同じく出席していた密偵頭のアナクリテスやほかの密偵がその帰宅途中に襲わたのを知り驚きます。どうやら自分も襲われるはずだったらしいのです。事件にはヒスパニアから来た踊り子が関係しているらしく、しかも調べているうちに、オリーブ油闇カルテル疑惑も浮上。ファルコとヘレナはヒスパニアへと向かうことに... という「オリーブの真実」と、ローマの上水道を流れてきた人間の手を発見したファルコとペトロが猟奇殺人犯人を追う、「水路の連続殺人」。

密偵ファルコシリーズ8作目と9作目です。
「オリーブの真実」は、ひたすらオリーブオイルの話。オリーブオイルが様々な用途に使われてきたというのは知識として知っていても、こうして実際に物語で読むとまた違いますね。料理にはもちろん、入浴後の肌の保湿剤として(男女問わず、貧富の差を問わず、生活必需品だったようです)、ランプの燃料として、香料や医療品の基材として用いられており、もちろん実も食用。前巻の出来事も伏線になって、物語のオチまでオリーブオイル。(笑) ただ、ヒスパニアに行くのはいいんだけど、肝心のオリーブオイル闇カルテルにまつわる話がイマイチだったような気もするんですけどね...。
そして「水路の連続殺人」は、ローマで起きた連続猟奇殺人の犯人探し。ミステリですねえ。どうやらこの9作目から3冊は、ファルコの仕事のパートナー探し編にもなってるようです。最初にパートナーになるのは、親友のペトロ。でも、同じように日頃悪を追う仕事をしていても、そのやり方は全然違うんですよね。やっぱり仕事と友情は別々にしておいた方が無難でしょ、と言いたくなるような状態で...。ペトロが警備隊長のまま協力するなら、衝突しつつもなんとか上手くいくのでしょうけれど、なんとペトロは停職中なのでした。
今回面白かったのは、古代ローマの上水道に関する薀蓄。古代ローマの上・下水道は、相当素晴らしいものだったようですね。都市や工場地に水を供給するために多くの水道が建設され、ローマ市内では実にのべ350キロ(260マイル)もの長さを誇る水道が、日々市民に大量の水を供給していたのだとか。しかもその大部分が地下に埋め込まれていたんですって。水に含まれる石灰で水道管が詰まってしまわないように管の掃除も不可欠だったようで、そんな仕事をしてる人も登場します。でも何といっても良かったのは! 後にローマの水道管理委員として水道に関する著作を残したというユリウス・フロンティヌスが登場すること。この事件をきっかけにして水道に興味を持つようになっただなんて、上手いなあ。自らまめに動き回って仕事をこなすフロンティヌス、なかなかいい味を出していたので、これからも登場してくれるといいな。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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皇帝一家がファルコへの大事な約束を反故にしたおかげで、ヘレナは激怒。皇帝の仕事は金輪際受けないようにと、ファルコに厳命。そんな時、密偵頭のアナクリテスが持ってきた仕事は、最近ローマ帝国によって鎮圧されたばかりのナバテアでの情報収集の仕事でした。そして丁度その頃、蛇使いのタレイアからも、男と一緒に中東に逃げた水圧オルガン弾きの娘をローマに連れ戻すようにとの依頼があり、ヘレナとファルコは、結局ナバテアへと向かうことに。しかしナバテアの拠点ペトラの町に到着した途端、2人は殺人事件の被害者を発見。監視人付きでペトラを追放されてしまい... という密偵ファルコシリーズ6作目「砂漠の守護神」と、7作目の「新たな旅立ち」。

「砂漠の守護神」は、全編通して旅先での話。ひょんなことから、被害者が旅芸人一座の台本作家だったのを知ったファルコは、その後釜として旅芸人一座に加わって、町から町へと回ることになります。ヘレナとファルコは旅芸人一座に加わった時から、時間は内部の人間の犯行だと見て犯人探しを始めるし、実際、事件は1つでは終わらないので、今回はミステリ風味が強いです。でもどこが面白かったといえば、ミステリ部分そのものよりも、旅芸人一座の生活ぶりとか、その旅の様子だなあ。主な舞台となるのはローマ領シリアの「十の町(デカポリス)」なんですが、それぞれの町の描写もすごく詳しいんですよね。...でもヘレナやファルコを見てると、中東に行くのもブリタニアやゲルマニアに行くのとそれほど変わらないように見えるんですが、この時代の旅って実際どうだったんだろう? 旅そのものは大変でも、中東って今の時代よりも近い存在だったのかしら。少なくとも今の時代だと、シリアなんて、おいそれと気軽に旅行に行けるような場所じゃないですよね。なので、そういう意味でも楽しかったです。
そして「新たな旅立ち」は、打って変わってローマでの話。題名からすると、まるでファルコとヘレナに新しい展開があったように思えてしまうんですけど、違いました。(笑) 旅立つのは、死罪を言い渡された大犯罪人。ローマ時代、死罪を宣告された犯罪者には、旅の用意をして家族に別れを告げ、逃げ出す権利が認められてたんですって。死罪を言い渡されるほどの犯罪者なのに?! とびっくりなんですが、その方が国家にとって安上がりで助かったらしく... そんなことでいいのかなあ。今回も、その大犯罪者が出国するところをファルコもその目でしっかり確かめるんですけど、案の定、それだけでは済みませんでしたよー。江戸時代の所払いの方が、しっかり追放されそうです。ローマには関所なんてないですしね。(笑)(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
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「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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皇帝が次に自分を行かせたいと思っているのはゲルマニア... そう耳にしたファルコは、皇帝に近づくのをやめて、庶民相手の仕事探しに励むことに。しかしファルコの留守中に訪ねて来たティトゥス・カエサルがヘレナと楽しそうに話し込んでいたのがきっかけで、ファルコとヘレナは気まずい雰囲気になってしまい、ファルコが意地を張っているうちに、ヘレナは家を出てしまいます。ローマを出たというヘレナの行方は誰にも分からず、ヘレナがいないローマに未練はないファルコは皇帝のゲルマニア行きの仕事を受けることに... という密偵ファルコシリーズ4作目「鋼鉄の軍神」と、5作目「海神の黄金」。

いやあ、今回も面白かった。「鋼鉄の軍神」は、やっぱりゲルマニアに着いてからでしょうね。ここでファルコは、ヘレナの弟で、ローマ執政武官をしているカミルス・ユスティヌスに会うことになるんですが、この弟くんが良かった! 正統な貴族の子弟らしい優雅さと冷静沈着な態度を見せながら、意外と行動力もあったりして(もちろん、頭もいいのです)、これはぜひとも再登場して欲しい人物です。(その時は、女祭司もぜひご一緒に) ファルコがユスティヌスや百人隊長のヘルウェティウス(彼もいいです)と一緒に、使えない新兵を従えて辺境の地を行軍する辺りも面白かったなあ。
「海神の黄金」の方は、今は亡きファルコのお兄さんの尻拭い。ファルコが身に覚えのない殺人容疑で追われたりして、結構大変な事態になります。小さな不審と小さな心の傷、そして小さな謎が集まってできたような話なんですけど、それらの1つ1つが氷解していくたびに家族の絆が少しずつ強まっていくようで、なかなかいい話でした。シリーズの最初の方ではあまり分からなかったけど、ファルコのお父さんもお母さんもいい味出してます。(ヘレナのお父さんも好き~)

ここまで、題名に「白銀」「青銅」「錆色」「鋼鉄」「黄金」と金属が使われてたんですけど、それもこの5巻で終わり、物語もとりあえず一段落みたいです。第一部終了? でもまだまだ解決してない部分が残ってるし、手元にもあと9冊あるし! 続きを読むのが楽しみです。(光文社文庫)


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「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
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紀元71年。今回の仕事の依頼主は、解放奴隷のサビナとアティリアという女性2人。彼女たちとそれぞれの夫は解放奴隷であり、そして同じく解放奴隷仲間だったノヴスと一緒に、ローマの北にある広大な屋敷に暮らしています。しかし、ノヴスが近々セヴェリナという女性と結婚しようとしているのですが、セヴェリナには過去3回の結婚歴があり、その3回とも夫が早死にしているというのです。ファルコは調べ始めます。

密偵ファルコシリーズ3作目。
今回仕事の依頼人となるのは、解放奴隷。この解放奴隷については、先日アントーニーヌス・リーベラーリスの「メタモルフォーシス」を読んだ時にも出てきました。このアントーニーヌス・リーベラーリスという作者が解放奴隷らしいんですよね。奴隷とは言ってもローマ時代の奴隷は大抵が戦争捕虜で、高い教養を持つ知識人も含まれていることから、ローマ人貴族の秘書となったり、その子弟のギリシャ古典教育のために家庭教師になるなど、重用されていたのだという説明がありました。お金を貯めて自由を買い取ったり、主人が亡くなった時に遺言で解放されるなど、自由の身になる機会もそこそこあったようです。「奴隷」という言葉を聞くと、どうしても生まれた時から死ぬ時まで、みたいなイメージがあるんですけど、解放奴隷は全然違うんですねー。今回登場する解放奴隷も、ある程度の教養人だし、貯めたお金を元手に商売で大成功したようです。今や大富豪。
今回もひねくれたユーモアセンスの持ち主であるファルコの語りが楽しいんですが、前2作とは違って、全編通してローマ内での展開でした。そして前2作よりもずっとミステリ色が強かったです。果たしてセヴェリナは白なのか黒なのか。セヴェリナが白だとしたら、黒は誰なのか。その方法と動機は。セヴェリナの行動には今ひとつ納得のいかないところもあったんですが、そのファム・ファタールぶりと、それに対抗するファルコの姿が楽しかったです。実際的に見えるファルコなんですけど、実は結構ロマンティックなんですよね~。
可笑しかったのは、ファルコが皇帝の息子にもらった巨大ヒラメ(ターボット)を、アパートの部屋で料理する場面。狭い部屋で焼くわけにもいかず、最初は兄の形見の盾(!)で煮ようとするんですが、深さが足りなくて、結局洗濯用の大きな銅の盥を借りてくるんです。一体どれだけ大きいの? この場面には招かれざる客まで登場して、ちょっとしたどたばた劇。それともう1つ可笑しかったのは、ルシウスという法務官の書記に関する描写。「いかにも切れ者」という辺りはいいんですけど、「馬券屋のおやじみたいな粋なかっこうをしている」ですって! 馬券屋のおやじって... 競馬が貴族のスポーツのイギリスでは、「馬券屋のおやじ」も粋なんでしょうけど、この日本語だと到底かっこよく感じられませんー。でもこんなところに、作者のお国柄が出てくるのが楽しいです。これはやっぱり狙ったものなのかな? それとも無意識...? やっぱり狙ったものなんだろうなあ。(光文社文庫)


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「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
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紀元70年のローマ。29歳の密偵・ディディウス・ファルコは、2人組の男に追われて炎天下を走る娘と鉢合わせし、彼女を助けることになります。その娘は、元老院議員である伯父の家に暮らすソシア・カミリア。伯父の屋敷に忍び込んだ2人組の男に無理矢理連れ出され、逃げ出したところだったのです。

なぜか2巻の画像がありませんが... これは皇帝がウェスパシアヌスの頃の古代ローマを舞台にしたハードボイルド、密偵ファルコシリーズ。現在14巻まで出ているようなんですが、なぜか全部手元に揃ってしまってます。(笑) 古代ローマには微妙に苦手意識があるんだけど大丈夫かしら... と、ちょっぴり心配しながら読み始めたんですけど、これがなかなか面白い!
作者のリンゼイ・デイヴィスは、修道士カドフェルのシリーズのエリス・ピーターズと、P.C.ドハティ(未読...)と並ぶ、歴史ミステリ御三家と呼ばれる存在なんだそうです。でも同じ歴史ミステリとは言っても、カドフェルのシリーズとは雰囲気が全然違っていたので、ちょっとびっくり。カドフェルの方は、舞台が12世紀のイギリスなら、そこに登場するのも12世紀の人々。当時の日々の生活がしっかりと伝わって来るんです。でもこちらは確かに古代ローマが舞台でありながら、登場してるのはもっと現代的な人々。古代ローマはしっかり描かれてるし、スラム出身のファルコが貴族や皇帝の仕事をしたりするので、色んな階級の人々の生活が幅広く描かれてるんですが... やっぱりこの思考回路と行動ぶりは現代的でしょ! それがまたこのシリーズの面白いところだと思うんですけどね。
それに「白銀の誓い」の方ではブリタニアに行くんです! 今まで読んだ古代ローマ物ではブリタニアに言及してる作品なんて全然なかったので、これは新鮮。逆にブリタニアの側の作品で、ローマについての話が出ることは時々あったんですけどね。そういえば、ローマからはまるっきり無視されてました。それもそのはず、ファルコ曰く、文明の果つる地、林檎だけはローマよりも美味しいけど、野蛮人の住む地らしいです。林檎ですって!? アーサー王の時代と少しズレてるのが本当に残念だわ。(笑)
ミステリあり冒険ありロマンスあり。歴史的にもこれはかなりしっかりした作りなのではないかと思います。中身が濃くて面白いので、続きも読んでみるつもり~。(光文社文庫)


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「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
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今回ルパンが押し入ったのは、代議士のドーブレックの住むマリー=テレーズ荘。しかし無人のはずの別荘に、召使のレオナールが残っていたのです。ルパンの手下に縛り上げられたレオナールは自力で縄を解いて警察に電話をかけてしまい、それを知った手下のヴォシュレーがレオナールを殺してしまいます。そして駆けつけた警察にヴォシュレーと、ルパンの腹心の部下・ジルベールの2人が殺人容疑で逮捕されてしまうことに...。2人を必ず助け出すと誓うルパン。ジルベールは逮捕される寸前、ルパンに水晶の栓を渡していました。しかしその水晶の栓は、ルパンが隠れ家の暖炉の上に置き、ほんの少し目を離した隙に消えてしまったのです。

ルパンといえば、常に自信たっぷり相手を煙に巻いて手玉に取るというイメージがあるんですが、この作品のルパンはいつもとは逆の立場になってしまう場面が多くてびっくり。(子供の頃にも読んでるはずなんですけど、話を全然覚えてないので...) 代議士のドーブレックは、実は相当の好敵手だったのですねー。手下を助けようと打つ手はことごとく裏をかかれ、巧みな変装は見破られ、いつもは自分が言うような、相手をからかうような台詞を今回は全部相手に取られてしまいます。しかも何度も思わせぶりに登場する「水晶の栓」が、何の意味を持つかというのも、なぜ手に入れるたびに消えうせてしまうのかも、ルパンには全然分からないままなんです。(なので読者にも分からないまま) 事情が分かってからは分かってからで、2人の手下がギロチン台にかかる日が刻々と近づいて、最後はルパンが勝つと分かっていてもドキドキ...。
翻弄され続けるルパンの姿はあんまりカッコよくないですし、そもそもこの作品に登場するルパンって、子供の頃に思い描いていたようなスマートで上品な紳士ではないんですよね。そういえば、ハヤカワ文庫HMの新訳はどれもそうだったかも...。きっと台詞の訳仕方に左右されてるんでしょうけどね。でもこの緊迫感だけは、子供の頃に読んだ時と変わらないです(ハヤカワ文庫HM)


+シリーズ既刊の感想+
「怪盗紳士ルパン」「カリオストロ伯爵夫人モーリス・ルブラン
「奇岩城」モーリス・ルブラン
「水晶の栓」モーリス・ルブラン

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ソポクレスは、アイスキュロス、エウリピデスと並ぶ3大悲劇詩人。生涯に作った123もの悲劇のうち、現存するのは本書に収められた7作、「アイアス」「トラキスの女たち」「アンティゴネ」「エレクトラ」「オイディプス王」「ピロクテテス」「コロノスのオイディプス」のみです。

いやあ、面白かった。やっぱりソフォクレス(この本の表記は「ソポクレス」ですが、どうも馴染めないので、こちらで失礼)はスゴイです。紀元前の作品でこんなに楽しめるとは思わなかった... ってエウリピデスを読んだ時も思ったんですけど(笑)、紅白の小林○子的に機械仕掛けの神で盛り上げるエウリピデスよりも、ソフォクレスの方がいかにもギリシャ悲劇という感じですね。ギリシャ悲劇と聞いて現代人が想像するような、まさにそういう作品を書いていると思います。
そんなソフォクレスの一番有名な作品といえばやっぱり「オイディプス王」。読んだことはなくても粗筋を知ってる方は多いでしょうね。フロイトのエディプス・コンプレックスという言葉の元になった作品でもあります。私がこの作品を読んだのは、確か中学の頃。筒井康隆さんの「エディプスの恋人」を読んで、その関連で読みました。でもその時はそれほど楽しめなかったんですよ。その時の私にはまだ早すぎたっていうのが一番大きいと思うんですが、必要以上に堅苦しく考えてたというのもあるのかも。
でもね、違うんです。「オイディプス王」は、実は紀元前に書かれたミステリ小説だったのです!

話としては、オイディプスが治めるテーバイの都に疫病が猛威をふるっているところから始まります。前王・ライオスを殺した犯人を挙げなくては、疫病がやむことはないというアポロンの神託が下り、オイディプスが探偵役として犯人探しを始めるんです。被害者はどんな人間だったのか、いつどこで殺されたのか、目撃者はいたのか。最初は断片的だった証言は、オイディプスを軸として徐々に繋がりを見せはじめます。迫り来る悪い予感。オイディプスを安心させようとした王妃・イオカステの証言は、逆にオイディプスを追い詰めることになります。そしてその証言に裏付けが取れた時に、見えた真実とは。
いや、実は安楽椅子探偵だったんですね、オイディプス王って。でも真相は、「探偵=犯人」。そして来る自己崩壊。

そうやって読むと、ギリシャ悲劇がちょっと身近な感じになりませんか? エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」が世界最古の推理小説とされていますけど、こっちの方が断然古いですよー。エディプス・コンプレックスなんていうのは後付けに過ぎないなので、この作品を読む時には邪魔になる程度のものだと思います。

まあ、ミステリと言えるのは「オイディプス王」ぐらいなんですけど(笑)、7編ともすごく面白かったです。「オイディプス王」の他で好きだったのは、トロイア戦争物かな。「アイアス」「エレクトラ」「ピロクテテス」ですね。どの作品も、クライマックスに向けて緊迫感が高まっていくのがさすがの迫力。いや、いいですねえ。面白かった。
ミステリ好きで「オイディプス王」が未読の方は、ぜひ試してみて! 訳者さんは違いますが、岩波文庫からも出ています♪(ちくま文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ギリシア悲劇I」アイスキュロス
「ギリシア悲劇II」ソポクレス
「ギリシア悲劇III」上 エウリピデス
「ギリシア悲劇IV」下 エウリピデス

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ダニエルは6歳の時に母を亡くし、バルセロナの旧市街に古書店を経営している父と2人暮らし。そんなダニエルが初めて父に連れられて「忘れられた本の墓場」を訪れたのは1945年、ダニエルが10歳の時のことでした。見捨てられた宮殿のような建物の中には無数の書棚が迷宮のように入り組んで並んでおり、この建物に初めて来た者は気に入った本を1冊選び、その本を一生守っていくのがきまり。そしてダニエルが選んだ本は、フリアン・カラックスという作家の「風の影」という本でした。家に帰って本を読み始めたダニエルは、その作品にすっかり魅了されます。しかし生粋の古書店主の父も、フリアン・カラックスという名を聞いたことがなかったのです。

12月の扉の檀さんのオススメ。この作品のあらすじを初めて読んだ時、一番惹かれたのは「忘れられた本の墓場」という場所だったんですけど、そして実際読んでみても、やっぱりそこがとても魅力的でした!

内部は蒼い闇につつまれている。大理石の階段と、天使の像や空想動物を描いたフレスコ画の廊下が、ぼんやりうかんで見えた。管理人らしき男のあとについて宮殿なみの長い廊下を進むうちに、父とぼくは、円形の大きなホールにたどりついた。円蓋(ドーム)のしたにひろがる、まさに闇の教会堂(バシリカ)だ。高みからさしこむ幾筋もの光線が、丸天井の闇を切り裂いている。書物で埋まった書棚と通廊が、蜂の巣状に床から最上部までつづき、広い階段、踊り場、渡り廊下やトンネルと交差しながら不思議な幾何学模様をなしていた。その迷宮は見る者に巨大な図書館の全貌を想像させた。(上巻P.14-15)

んんー、やっぱりこの部分かな。
青春・恋愛要素を含んだダニエルの成長物語でありながら、「風の影」とその作者・フリアン・カラックスを巡るミステリ・サスペンスも含んでいて、盛り沢山。でもドキドキわくわくでページをどんどんめくるタイプの作品ではなくて、むしろ静かに進行していく感じなので、詰め込みすぎの煩さはないですね。正直、このミステリ・サスペンス部分にはそれほど惹かれなかったんですけど(でも後半に向けて盛り上がってくると、やっぱり面白い)、ダニエルがフリアンの謎に迫ることによって、2人の人生が交錯し、ダニエルとベアトリスの恋が、謎の作家・フリアンとペネロペの恋との二重写しに見えてくるという構造が良かったです。そしてそんな物語の背景にあるのは、光と影の街・バルセロナ。まさに二重構造にぴったりの舞台ではないですか。物語の各所にこのスペイン内戦の傷跡が感じられるのも物語の深みを増しているようですし、ピカソも通いつめたというクアトロ・ガッツが登場するのも嬉しいところ。ダニエルの周囲の面々も魅力的でしたしね♪


生まれてはじめてほんとうに心にとどいた本ほど、深い痕跡を残すものはない。はじめて心にうかんだあの映像(イメージ)、忘れた過去においてきたと思っていたあの言葉の余韻は、永遠にぼくらのうちに生き、心の奥深くに「城」を彫りきざむ。そして--その先の人生で何冊本を読もうが、どれだけ広い世界を発見しようが、どれほど多くを学び、また、どれほど多くを忘れようが関係なく--ぼくたちは、かならずそこに帰っていくのだ。(上巻P.20)

この部分、グッときませんか~?(笑) (集英社文庫)

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夫のスティーブを事故で亡くし、15歳のマイクを筆頭に13歳のケイト、10歳のトッドという3人の子供を抱えて毎日てんてこ舞いの専業主婦・ジェーンの素人探偵シリーズ。
隣人のシェリイの家で持ち寄りパーティが開かれる日、シェリイが空港に母親に会いに行っている間に、家の掃除をしていた掃除婦が殺されたという「ゴミと罰」、クリスマス間近のジェーンのうちにやって来たのは、昔馴染みのフィリス。でもフィリスと一緒にやって来たのは、フィリスが今の夫と結婚する前に産んで、最近再会したばかりという息子のボビー。これがとんでもない性悪で... という「毛糸よさらば」。

とても楽しいシリーズだとは聞いてたんですけど、読むのはこれが初めて。「ゴミと罰」「毛糸よさらば」という題名は、もちろん有名文学作品の題名のパロディ。このシリーズ、ずっとこんな調子の題名がついてるそうです。訳す方も大変そうですが、さすが浅羽莢子さん、ぴったりの題名になってますねー。
女手1つで子供を育てる主婦が活躍するという意味でも、その主婦が少々おっちょこちょいで、体当たり式に行動するという意味でも、周囲を巻き込みつつ賑やかに展開するところも、主人公の親友がとてもリッチという意味でも、捜査に来た刑事さん(ヴァンダイン刑事ですって!)とロマンスが発展しそうな辺りでも(笑)、ダイアン・デヴィッドソンのクッキング・ママシリーズとかなり雰囲気が似てますね。クッキング・ママシリーズの主人公・ゴルディは料理が大好きなのに対して、ジェーンはあまり好きではなさそうですが。(笑)
ジェーンが「あたし、推理小説をたくさん読んでるから、動機には詳しいの」と言っている割に、それはミステリの定石だろうって部分に気づかなくてアレレと思う部分もあるし、文章にちょっと三人称が揺れる感じがあってちょっと違和感も感じたんですが、でも楽しかったです。コージーミステリが好きな人にオススメの気楽に楽しめるシリーズ。また今度続編も読んでみようっと。(創元推理文庫)

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来週105歳になるというのに、未だに元気なミス・ヒルダ・ホースフォールとその82歳の甥のヘニーの農場には、ここ3ヶ月ほど悪質な嫌がらせが続いていました。そしてとうとう農場の作男・スパージ・ランプキンが命を落とすことに... という「ヴァイキング、ヴァイキング」。
床にモップをかけていたミセス・ローマックスは、下宿人のアングレー教授の赤毛のかつらを猫がくわえているのに気づきます。ミセス・ローマックスは、教授が寝ている間にこっそり部屋に戻そうと考えるのですが、ベッドには人が寝た形跡がなく、教授が裏庭で倒れて死んでいるのを発見して... という「猫が死体を連れてきた」。シャンディ教授シリーズの第3弾と第4弾です。

久しぶりにミステリが続いてますが、これは積読本消化のためもあります。年内にあと何冊読めるでしょうか? でももちろん、消化するためだけに読んでるわけじゃありません。1つ前のドートマンダーシリーズもとっても面白いんですけど、このシリーズも農業の町バラクラヴァを舞台にした、とっても賑やかで楽しいシリーズなのです。
シャンディ教授は50代半ば。周囲の人々もそれなりに年を取っています。3作目の「ヴァイキング、ヴァイキング」では、なんと105歳のミス・ヒルダと、102歳の学長のおじのスヴェンが大活躍! さらに平均年齢が上がってしまいました。でもみんなとってもパワフル。もちろん体力は若者には敵いませんが、気力では年なんて感じさせないですね。そういえば、コリン・ホルト・ソーヤーの「老人たちの生活と推理」のシリーズも、老人ホームが舞台で、おじいちゃんおばあちゃんが沢山登場するんですが、これがまた可愛くてパワフルで、しかも人生を重ねた重みがあるシリーズ。可愛いおじいちゃんおばあちゃん、好きかも♪

最初は偶然事件に巻き込まれていたシャンディ教授ですが、3作目4作目と進むに連れて、どんどん探偵業が板についてきています。3作目まで仲の悪かったオッターモール署長と、4作目では一緒に聞き込みなんてしてるし! でもそうやって一緒にいることで、あんまりよく思ってなかった署長の良さもだんだん分かっていくんですよね。このシリーズの大きな魅力の1つは、バラクラヴァの町の人たちがすごく身近に感じられること。3作目も4作目も、大学の学生たちが機転を利かして頑張ってたのが楽しかったし、スヴェンソン学長はやっぱりかっこよかった。学長はヴァイキングの末裔なんですよね。だから3巻があんな題名になってるんですが、ルーン文字の石碑の呪いの謎なんかもあって、北欧神話好き心も刺激されます。(まあ、それほど本格的なものではないのですが)(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「にぎやかな眠り」シャーロット・マクラウド
「蹄鉄ころんだ」シャーロット・マクラウド
「ヴァイキング、ヴァイキング」「猫が死体を連れてきた」シャーロット・マクラウド

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1000ドルの稼ぎになるはずだった盗みが失敗した翌日にアンディ・ケルプがジョン・ドートマンダーに持ち込んだのは、墓堀りの仕事でした。これはアンディがインターネットで知り合った、ギルダーポストという男に依頼された仕事。墓に埋められている棺桶を他の棺桶にすりかえて、また埋め直すのです。ギルダーポストには、アーウィン、そしてインディアン娘のリトル・フェザーという仲間がおり、今までにも他のちんぴらと組んで悪事を働き、仕事が終わった後は組んだ相手を始末していました。今回も仕事が無事終わった後は、アンディとドートマンダーを始末するつもりでいたのですが...。

伊坂幸太郎さんがお好きなことでも知られている、ドートマンダーシリーズ。本国では10作目だそうですが、日本に訳されたのは9作目。
既にワンパターンになってるとも言えるんですが、相変わらずのノリで安心して読めるシリーズですねー。今回はインディアン経営のカジノの利権をめぐる争い。相変わらずのドートマンダー一味に、小悪党3人組が加わって、でもお互いにいつ裏切られるか分からないというスリリングな状況。ドートマンダーは、相変わらず物事を深く考えてるし、いいところに気がつくんですが、その運のなさも相変わらず。ここまで苦労するぐらいなら、普通の生活を送った方が、いくらかなりとも効率が良いのではないかしら。(笑)
でも帯にも「ドートマンダー登場36周年(笑)記念 史上最も不運な泥棒が ついに完全犯罪に成功! (まったくの嘘ではありません。念のため)とあるんですが、今回はドートマンダーシリーズにしてはものすごーく珍しく、1つの試みがすんなりと成功します。もしやシリーズ初の快挙?! や、このシリーズは一応全部読んでますが、どうも犯罪に関する部分をあまり覚えてないんですよね。むしろ全然関係ない場面が、妙にくっきり印象に残っていたり...。(笑)(ハヤカワ文庫HM)


+シリーズ既刊の感想+
「ホット・ロック」「強盗プロフェッショナル」「ジミー・ザ・キッド」「悪党たちのジャムセッション」「天から降ってきた泥棒 」「逃げだした秘宝 」「最高の悪運」「骨まで盗んで」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「バッド・ニュース」ドナルド・E・ウェストレイク

+既読のドナルド・E・ウェストレイク作品の感想+
「我輩はカモである」ドナルド・E・ウェストレイク

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チポリーノは貧しいタマネギの少年。ある時、国の総督であるレモン大公がチポリーノたちの住む木造バラックの辺りを通ることになり、沿道に出ていたチポリーノの父・チポローネは、後ろの群集たちに押されてレモン大公の足をひどく踏みつけてしまいます。チポローネは即刻ちびレモン兵たちに逮捕され、終身刑を言い渡されることに。父親に面会に行ったチポリーノは、世間に出て勉強しろという父親の言葉に、チポッラおじさんに母と弟たちのことを頼むと、1人旅に出ることに。

チポリーノはたまねぎですし、ブドウ親方、レモン大公、トマト騎士、エンドウ豆弁護士、イチ子やサクラン坊やなど、野菜や果物が中心となった物語。児童書ですが、実は政治色が強いんですよね。「冒険」という名目で、レモン大公の独裁政治に革命を起こし、共和制の世の中に変わる様子を描いてるんですから。でも、子供の頃もそういうことは薄々感じていましたが、楽しく読んでましたし、大人になった今読み返しても、やっぱり楽しかったです。ロシア語の訳書からとったというB・スチェエーヴァの挿絵も、相変わらず可愛い~。
それにしても、ロシアでチポリーノの歌が作られたというのは覚えていましたが、それを作ったのが「森は生きている」のマルシャークだったとは...! びっくり。そうだったのか。いや、色々ありそうですね。(岩波少年文庫)


+既読のジャンニ・ロダーリ作品の感想+
「猫とともに去りぬ」ロダーリ
「チポリーノの冒険」ジャンニ・ロダーリ
「うそつき国のジェルソミーノ」ジャンニ・ロダーリ
「パパの電話を待ちながら」ジャンニ・ロダーリ

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修道士カドフェルシリーズ21冊目。これが本当の最後。「ウッドストックへの道」「光の価値」「目撃者」という短編が収められた1冊。

「ウッドストックへの道」には、まだ修道院に入っていない、40代そこそこのカドフェルが登場。かつてイーヴシャムの修道士だったという男とのやり取りや、その後の出来事によって、シュルーズベリの大修道院に行くことになるという作品。まさにこの本の題名である「修道士カドフェルの出現」です。人生のどんな転機に対しても、さすがカドフェルは常に自然体なんだなあと思わされる作品。そして、まだこの頃は女帝モードの父であるヘンリー1世が生きてるんですけど、作中で後継とされていたウィリアム王子が海難事故に遭うんですよね。そういう意味でもシリーズに繋がる重要な作品と言えそうです。カドフェルが修道院に入るには、これ以上の年はなかったかも。

3作の中では、やはり「ウッドストックへの道」の印象が一番強かったんですけど、「光の価値」も、シリーズの中に長編としてあってもおかしくないような作品だったし、「目撃者」で、ドジなオズウィン修道士が登場するのも懐かしかったし、やっぱりこのシリーズがもう新作で読めないなんて寂しいですー。でもエリス・ピーターズ自身が、誰にも続編を書いてはいけないと遺言しているそうなので... それでもピーターズは、最初はカドフェルをシリーズ物にする気なんてなかったんですね。彼女自身による序文を読んでびっくりでした。
巻末には「修道士カドフェルシリーズ:ガイド」があって、物語の歴史的な背景やシュルーズベリについて、カドフェル以外の主な修道士や修道院での1日、シリーズに出てくる食べ物や薬草、各巻のあらすじなどがまとめてある小事典となっています。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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明け方、ジェーヴル伯爵の屋敷に何者かが侵入。居間の物音に気づいて起き出した伯爵の姪・レイモンドと、伯爵令嬢シュザンヌは、外を何者かが大荷物を抱えて歩いていくのを目撃。居間に駆けつけると、2人の目の前で角灯を持った男がバルコニーから姿を消し、居間の隣の伯爵の部屋には、気を失った伯爵と、ナイフで刺された伯爵の秘書が折り重なって倒れていました。レイモンドが咄嗟に撃った弾は逃げていく男に命中。しかし茶色い革のハンチング帽を残して、男は消えうせてしまいます。

子供の頃に愛読したルパンシリーズの中でも、トップ3の面白さだった覚えのある「奇岩城」。子供の頃何度か読んだとはいえ、話の展開はほとんど覚えていなかったので、新鮮な気持ちで読めました。でも今改めて読んでみると、最近再読した「怪盗紳士ルパン」や「カリオストロ伯爵夫人」(感想)に比べて、正直あまり面白くありませんでした... なぜぇ。
ルパンやガニマール主任警部はもちろんのこと、高校生探偵・イジドール・ボードルレ、シャーロック・ホームズも登場して豪華キャストだし、奇妙な暗号がフランスの王室に伝わる秘宝に繋がるという探偵小説的・歴史的な興味もあるはずだったんですけどねえ... 所詮はジュブナイルの甘さ? ルパンにはもっと泰然と構えていて欲しい場面で、ボードルレ少年に案外やりこめられてしまうから? どうもこの作品では、ルパンの器が小さいというか、セコイというか、普段のルパンらしく感じられないのがイヤん。ボードルレ少年の方が遥かにかっこいいです。(ハヤカワ文庫HM)


+シリーズ既刊の感想+
「怪盗紳士ルパン」「カリオストロ伯爵夫人モーリス・ルブラン
「奇岩城」モーリス・ルブラン
「水晶の栓」モーリス・ルブラン

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セントラル・パークで通りゆく人々の写真を撮って生計を立てているビンゴとハンサム。アパートの家賃にも困っている2人でしたが、ある日現像した写真にサンデー・ピジョンの姿が写っていることに気づきます。サンデー・ピジョンとは、7年前に忽然と姿を消して話題になった男。友人と東洋アンティークの輸入会社を経営し、日曜日にセントラル・パークで鳩に餌をやるのが習慣だった彼が姿を消してから7年、次の日曜日までに現れなければ、共同経営者のペニースが50万ドルの死亡保険金を受け取ることになっていました。ビンゴはサンデー・ピジョンを自分たちで探し出し、死亡保険金の分け前にありつこうと考えます。

大好きなクレイグ・ライスの作品。ミステリ作家さんもたくさんいますが、海外のミステリ作家さんの中で私が一番好きなのは、このクレイグ・ライスかも。...なーんて考えはじめると、いや、コリン・デクスターも捨てがたい、ハリイ・ケメルマンはどうした? ローレンス・ブロックにだってハマってるでしょ、ピーター・ラヴゼイだっているし、他にもあの人は? あの人は? あの人は? なんて他の作家さんの名前がどんどん出てきちゃって困るんですけど(笑)、少なくとも私の中では、海外ミステリ部門でトップ5に入る作家さんです。古き良き時代が舞台のコージーミステリ。特にヘレンとジェイクのシリーズの、粋でお洒落な雰囲気が堪りません~。
でも、創元推理文庫とハヤカワ文庫HMから出てる作品は全部読んでるんですが、実はハヤカワのポケットミステリに手を出したことがない私、この作品もポケットミステリから出ていたので未読なんです。また違うシリーズらしくて、今度はどんな雰囲気なのかドキドキ。

ということで、チビでやせっぽちで赤毛のビンゴと、長身で男前、超人的な記憶力の持ち主だけど頭の回転は鈍い、元新聞社のカメラマン・ハンサムのシリーズです。これが1作目。
保険金目当ての誘拐や脅迫などを企んではいても、いっぱしのワルぶっていても、主人公がワルになりきれないお人よしの2人なのが、とてもクレイグ・ライスらしいところ。いくら食費や家賃に困っていても、今にも部屋を追い出されそうだからといっても、誘拐した相手からお金を取るなんて!と、2人は妙なところで筋を通してますし、ピジョン氏ともすっかりお友達になってしまって、ピジョン氏が朝食に作ったオムレツのできばえにも感動して和気藹々と食事をしてるし、とっても和やか~。もちろん殺人事件も起きるし、2人も悪いヤツらに狙われ続けるんですけどね。そして、一見ビンゴがもっぱら計画を立てて、ハンサムをひっぱっているように見えるんですが、ふとしたところでハンサムの天然な言動にビンゴが助けられてるのも楽しいところ。でも今回はシリーズ1作目のせいか、話の展開自体はあまり...。今後の2人の活躍ぶりに期待、ですね。(ハヤカワ文庫HM)


+既読のクレイグ・ライス作品の感想+
「暴徒裁判」クレイグ・ライス
「セントラル・パーク事件」クレイグ・ライス
Livreに「マローン御難」「マローン殺し」の感想があります)

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修道士カドフェルシリーズの19作目と20作目。あとは短編集を1冊残すのみなので、長編はこれでオシマイです。淋しいー。でも、特に20巻で完結という作りになっているわけではないし、そういう意図もなかったようなんですが(エリス・ピータースは続編を書こうとしていたそうなのですが、その途中で亡くなられてしまったようです)、19巻では、1巻の「聖女の遺骨求む」で聖ペテロ聖パウロ修道院にやって来た聖ウィニフレッドの遺骨が盗まれるという事件で、カドフェルの行動を色々振り返ることになるし、20巻ではこれまでのスティーブン王と女帝モードの争いという歴史も大きく絡み合い、しかもこれまで探偵役に徹していたカドフェルが名実共に話の中心となり、最終作に相応しい物語となっています。

このシリーズは、12世紀という時代背景における人々の生活や修道院での暮らしが色々と描かれているのがとても興味深いんですが、今回は19巻に出てきた聖書占いというのが面白かったです。これは聖骨箱の上に福音書を載せて、目は他の方向に向けて両手で福音書を開き、人差し指で指した部分の文章を読み取り、解釈するというもの。今回の占いの結果に関してはやや出来すぎの感があるのですが、それでも臨場感たっぷり。荘厳で敬虔な雰囲気がよく現れていました。そんな偶然に頼るなんて! とも思ってしまうのですが、それも神の御心ということなんでしょうね。今よりも遥かに信心の篤いこの時代ならではの占いで、すごく面白かったです。
ただ、このカドフェルシリーズは何人かの訳者さんが訳してらっしゃるんですが、岡本浜江の訳だけ登場人物の言葉遣いが違うのが気になります。19巻もやけに古めかしい言葉遣いだし...。これでシリーズ全部を統一しているのならまだしも、訳者さん同士での連携というのはないのかしら? 1人だけ浮き上がってしまうのは問題だと思うんですけどねえ...。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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19世紀末。ワイオミングの寂れかけた銀鉱山の麓の町に、ネブラスカから来たマシュー・ダブチェクという若者がやって来ます。既に両親を失ったというマシューは、15人しか残っていない土地の人々から低賃金の半端仕事を引き受けながら、この町に居座ることに。しかしその頃ワイオミングの刑務所から、数々の犯罪を犯して終身刑を言い渡されている"リーダー"と呼ばれる凶悪犯が脱走していたのです。そして"リーダー"がこの土地に現れます。

日本では実に18年ぶりの新作だったんだそうですね。毎回作風ががらりと変わることで知られているトレヴェニアン、今回のこの作品は西部劇とのことなのですが...
それをすっかり忘れていた私、ワイオミングと聞いてもぴんとこなくて(ワイオミングには、「カウボーイ州」という俗称もあるそうです)、前半はごく普通の山間の村が舞台の話と同じ感覚で読んでました(^^;。中盤、酒場によくあるスイングドアが登場して初めて、西部劇の映像が出てきた程度。西部劇の囲気を強く感じなかったのは、読みやすかったところでもあり、勿体なかったところでもあり、ですね。
そして良かったのは、主人公のマシューの造形。このマシューという青年が掴みづらいんです。警戒心を持つ人々の間にも持ち前の愛嬌でするりと入り込み、詐欺師のように達者な弁舌で相手を煙に巻いているマシュー。でも何か得体の知れないものを隠して持っていて、印象が微妙に不安定。それが後半、"リーダー"が現れた時にマシューがヒーロー役になって「めでたしめでたし」になるはずのところに、すごく効いてるんですよね。そして物語の後日談にも。この後日談が、普通なら冗長に感じてしまいそうなところなんですが、すごく余韻が感じられて良かったし... こういうところがトレヴェニアンらしいところかな。結局、憧れのリンゴ・キッドになり切れなかったマシューが痛々しかったです。(新潮文庫)


+既読のトレヴェニアン作品の感想+
「夢果つる街」トレヴェニアン
「シブミ」上下 トレヴェニアン
「ワイオミングの惨劇」トレヴェニアン

Livreに「バスク、真夏の死」の感想があります)

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しゅがーはーと・ぶろぐのとしやさんが読んでらして興味を持った本。表紙も可愛らしいんですけど(画像がでなくて残念)、それに似合ったなかなか可愛らしいミステリでした。主人公がミステリ専門店をしてることもあって、会話やら思考やら小道具に海外ミステリ作品がいっぱい登場。いかにもミステリマニアが書いたミステリといった感じで、そういうのが楽しかったです。もしもっと翻訳ミステリに詳しかったら、きっともっと楽しかったのに! 日本に翻訳されてない作品もあるようなので、ある程度は仕方ないんですけどね。巻末に、作中に登場した作品のミニミステリガイドがあるのが、また嬉しいところでした。
でも邦訳としてはこの作品が第1弾だったそうなんですが、本国ではシリーズ3作目とのこと。こういうシリーズ物を、なんで途中から出すのかしら? 1作目2作目は訳さないのかしら。一番売れそうな作品をまず出してみて様子を伺うという姿勢も分からないではないけれど、一度出すと決めたんなら、もっと堂々と自信を持って出版して欲しいなあ。しかもこの作品は今も入手できるけど、8作か9作かあるシリーズの他の作品は軒並み入手不能状態みたいです。やれやれ。(ハヤカワミステリアスプレス)

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リナ・ラザラスとピーター・デッカーのシリーズ、4作目~6作目。話自体ももちろん面白いんですけど、日頃なかなか知ることのできないユダヤ教やユダヤ人、その生活習慣について詳しく書かれていて、そういう意味でもとても興味深いシリーズ。今回読んでみても、やっぱり良かったです~。特に「贖いの日」のラストシーンが最高。1巻からの人間関係が、色々な出来事を経て徐々に発展していくのも楽しみなんですよね。
でもこのシリーズを読むのはほぼ3年ぶり。以前3作目まですごく面白く読んでいたのに、なんで3年も中断してたか、前読んだ時の自分の感想を読んで思い出しました。最初は敬虔なユダヤ教徒のリナと、ユダヤ人でありながら敬虔なバプテストの家庭で育ったデッカーの宗教的葛藤がすごく面白かったのに、3作目で2人の関係がちょっと落ち着くと、ユダヤ教関係の記述がすごく減ったんですよね。このまま2人が上手くいっちゃうと、さらに減るんだろうなあ、と勝手に思い込んでたのが原因。どうやら私はミステリとしてよりも、ユダヤ教関係の話が読みたくてこのシリーズを読んでるみたいです。(^^ゞ
新作「逃れの町」も今年9月に出てます。来年になったら買って読もう。(創元推理文庫)

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子供の頃にポプラ社から出ていた南洋一郎氏訳の全集を読んで以来のルパンシリーズ。ホームズよりも断然ルパン派だったんで、母親に嫌がられながら(母は表紙が嫌いだったらしい)全集を1冊ずつ揃えてましたよー。いやあ、久しぶりでしたけど、結構覚えてるものですね。懐かしかったです。「怪盗紳士ルパン」は一番最初に出版された短編集。ルパンといえば泥棒なのに、実は謎解き物が多かったという覚えがあるんですが、この短編集の頃はかなり純粋に泥棒をしてて、そういう意味でも楽しい1冊。そして「カリオストロ伯爵夫人」は、後期に書かれた作品ながらも、20歳の頃のルパンの最初の大仕事の物語。「怪盗紳士ルパン」の頃の設定とは食い違う部分もあったりして、そういうのを見つけるのもちょっと楽しかったり...。(滅多にそういうのを見つけられないので) このままハヤカワからシリーズが刊行されていくといいなあ。特に好きだったのは、「奇厳城」「8・1・3の謎」「青い目の少女」(あれー、「緑の目の~」だと思ってたんですけどー)かな。またぜひ読みたいです。
そして映画化もされてましたけど、どうだったんでしょう。本の帯を見る限りでは、ルパン役の俳優さんはあんまりイメージじゃないんですが...。(公式サイト)(ハヤカワ文庫HM)


それにしても今日は寒かった! 祖母の家の辺りは雪なんて滅多に降らないのに、今朝は起きたら吹雪いていたのでびっくりでした。今日は交代して自宅に戻る日だったので、その雪の中を電車で帰らなくちゃいけなかったんですが(交代要員は昨日の晩のうちに到着してたのでセーフ)、途中でJRが止まっちゃうし、もうえらい目に遭いました。代行輸送でなんとか帰り着いたんですけど、最寄り駅からの帰り道の雪の多さには、またしてもびっくり~。朝積もってたとしても、もう午後だからすっかり溶けてるだろうと思ったのに、全然なんですもん。裏がつるつるの靴で、すっかり踏み固められた雪の上を歩くのは怖かったです。雪は大阪の方が断然凄かったのね。(祖母の家の辺りは吹雪いてたけど積もってなかった) この間の日曜日の朝に、この冬初めての雪がちらちら舞ってはいたんですが、いきなりこんなドカ雪が降るとは。疲れたー。
今日は祖母の家の工事のために大阪から業者さんが来ることになってたんですけど、雪が凄すぎて高速道路まで辿り着けないって電話があって延期になったんです。どんな状態だか、身をもって納得しました。大阪で雪かきをしてる光景なんて初めて見たわ。(笑)


+シリーズ既刊の感想+
「怪盗紳士ルパン」「カリオストロ伯爵夫人モーリス・ルブラン
「奇岩城」モーリス・ルブラン
「水晶の栓」モーリス・ルブラン

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修道士カドフェルシリーズの17巻と18巻。現在発刊中なんですが、最終的に全21巻となることは既に決まっているので、これを読んでしまうと、あと3冊だけになっちゃうんですよねえ。なんか淋しいなあ。

さて、「陶工の畑」とは、聖書の「マタイによる福音」に登場する言葉。キリストを売って銀貨30枚を得たユダは、その後自分のしたことを後悔して首をつって死ぬのですが、その時にユダが神殿に投げ込んだ銀貨の扱いに困った祭司長たちは、「陶器職人の畑」を買って外国人の墓地にするんですよね。なのでキリスト教徒にとっては、どことなく不吉なイメージのある言葉。(陶工って、職人の中でも一番低く見られることがあるそうなんですが、きっとこの辺りが関係しているんでしょうね) そしてそんな題名が象徴するような事件が起こります。「陶工の畑」と呼ばれる土地に埋められていた女性の白骨死体は、一体誰の死体? 物語自体は、カドフェルシリーズらしいオーソドックスさなのに、謎の出し方がいつもとちょっと違っていて目新しい感じ。それぞれに愛する者たちを庇おうとするために、真実に辿り着くまでにかなり遠回りしてしまうことになります。
そして「デーン人の夏」は、「カドフェルまたしてもウェールズに行く」編。題名のデーン人というのは、平たく言えばデンマークから来たバイキングのこと。この頃にはアイルランドやスコットランド、ウェールズにも侵攻して、一大勢力となっていたようです。この作品では、3巻「修道士の頭巾」に登場した見習い修道士のマーク、9巻「死者の身代金」に登場したオエイン・グウィネズが再登場して嬉しい限り。終生住む場所はシュルーズベリの修道院と心を決めているカドフェルも、時々旅をしたくて堪らなくてうずうずするようで、ウェールズ旅行がもう楽しくて仕方ないみたい。今回は背景事情も人間関係も複雑で、冒頭で思わぬ苦戦をしてしまったんですが(3回も読み直す羽目に...)、途中からは面白くて止まりませんでしたー。そういえば「死者の身代金」もすごく面白かったし、エリス・ピーターズ自身、ウェールズとなると執筆にかなり力が入るのかも。(笑) (光文社文庫)


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「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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イギリスの由緒正しい貴族の館・パラダイン館は、現在は一部がカントリークラブとして解放されていました。しかしこのパラダイン家には代々伝わる呪いがあったのです。突如として、居もしない尼僧が館の中をうろつき、外から鍵がかけられた人気のない音楽室ではハープが曲を奏で、さらにはポルターガイスト現象が... そしてロンドンで心霊探偵をしているアレグザンダー・ヒーローが呼ばれることに。

ポール・ギャリコ唯一の長編本格ミステリという作品。意外としっかりとした本格ミステリなので驚きました。とは言っても殺人など物騒なことは起きなくて、もっぱら心霊現象の解明なんですが。(笑)
館に住んでる人間は6人、そして泊り客は12人。とにかく登場人物が多くて、最初は混乱しちゃいました。この辺りがもうちょっと分かりやすいと良かったんですが... でも分ってみれば、皆それぞれに個性的。そして探偵役のアレグザンダー・ヒーローが、本当は心霊現象を見てみたいと思ってるのに、心ならずも科学的に解明することになっちゃうっていうのがいいんですよね。心霊現象には冴えてる彼も、思わぬところに弱点があったり。(笑) このアレグザンダーと義理の妹のメグがいいコンビなんですよ。シリーズ物にならなかったのが、とっても残念。
そしてこの彼がロンドンの家で使ってる家政婦さんが、ハリスおばさん! ハリスおばさんのシリーズは最近復刊したばかりで、ぜひ読んでみたいと思ってたのです。なんか嬉しい♪ ギャリコは、コンプリート目指します!(創元推理文庫)


+既読のポール・ギャリコ作品の感想+
「トマシーナ」ポール・ギャリコ
「セシルの魔法の友だち」ポール・ギャリコ
「マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険」ポール・ギャリコ
「われらが英雄スクラッフィ」ポール・ギャリコ
「幽霊が多すぎる」ポール・ギャリコ
「猫語の教科書」ポール・ギャリコ
「ハリスおばさんパリへ行く」「ハリスおばさんニューヨークへ行く」他2冊 ポール・ギャリコ
「七つの人形の恋物語」「スノーグース」ポール・ギャリコ
「トンデモネズミ大活躍」「ほんものの魔法使」ポール・ギャリコ
「ポセイドン」上下 ポール・ギャリコ
「ザ・ロンリー」ポール・ギャリコ
「「きよしこの夜」が生まれた日」ポール・ギャリコ
Livreに「ジェニィ」の感想があります)

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2001年9月11日に起きた同時多発テロの後のニューヨークを描いたノン・シリーズ作品。とは言っても、それはあくまでも背景であって、そのこと自体にはそれほど触れてませんが...。
主人公は特にいなくて、敢えていえばテロを体験したニューヨーカー全員、もしくはニューヨークという街自体、でしょうか。書いてるのがブロックなので、どの人物もそれぞれに存在感たっぷり。ニューヨークという街もリアル。でもねー、長いんですよ。いつかは全作品を読みたいと思ってるほど好きなブロックだけど、これはどうなんだろう...? この半分の量でぴりっと引き締めて欲しかったー。読んでいて、ちょっとつらかったです。本筋とは直接関係ないエピソードも多かったですしね。しかも性的倒錯場面の多いこと。確かに訳者あとがきで田口俊樹さんが書いてらっしゃるように、9.11テロが「死」だとしたら、ここに描かれている性は「生の謳歌」だというのは納得がいくんですが...。きっと自分が生きている証のようなものを求めて、ひたすらそちらに突き進んでしまってるんでしょうけれど。
途中私立探偵が登場して、その男が警察に20年勤めた後に私立探偵となった飲んだくれ、とあったので「もしや...?」期待したんですが、マット・スカダーではなかったようでちょっと残念。まあ、ローレンス・ブロックはそういうことをするタイプじゃないですね(^^;。(二見文庫)


+既読のローレンス・ブロック作品の感想+
「死者の長い列」ローレンス・ブロック
「殺しのリスト」ローレンス・ブロック
「処刑宣告」ローレンス・ブロック
「砕かれた街」上下 ローレンス・ブロック
Livreにマット・スカダーシリーズ、「泥棒は野球カードを集める」「殺し屋」の感想があります)

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リンダ・ハワード作品を読むのは初めてです。全然知らなかったんですが(この本もいきなり貸してもらったので)、「ロマンス小説の女王」と呼ばれる方らしいですね。
これは、CIAの契約エージェントという女性が、親友夫婦(2人とも引退したCIAの契約エージェント)とその養女を殺された恨みから、常に厳戒警備のマフィアのボスを殺し、引退していたはずの親友夫婦が、なぜまた危ない仕事を始めたのかを探っていくという話。マフィアの一家は当然血眼になって彼女を探すし、勝手な行動をしたことからCIAからも追われることになるし、CIAから派遣された男とは恋仲になるしで、サスペンスとミステリとラブロマンスの三本立て。
彼女がマフィアのボスを暗殺するシーンはかなりの緊迫感だし、その後その一家の手下に追われながらも鮮やかに撒いてしまうところなんて結構面白いんだけど... 全体的に見ると、なんだか無難にまとまり過ぎてたような気も。最初の方で「なんでそんな行動をする?」と思ったのが尾を引いたのか... それとも肝心のラブロマンス部分がいかにもアメリカ的でイマイチだったのか...(多分どっちも) 相手の男性は面白いキャラなんですけどね。でもすんなり上手く行き過ぎというか... ハリウッド映画的というか... ああ、映画にするといいかもしれないですね。そんな感じの作品でした。(二見文庫)

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マット・スカダーシリーズ13作目。このシリーズにもIT化の波が来ていて、マット・スカダーもTJという助手にしきりとパソコン導入を勧められてます。
今読むと、「まだパソコン使ってないの?」「やっぱりマット・スカダーも新しい物は苦手なのねー」って感じだったんですけど、でもよく考えてみると、この文庫が出たのは今年なんですけど、単行本で出たのって1996年なんですよね。1996年でパソコンがまだでも、それって全然遅くないんじゃ... てか、3作前の「獣たちの墓」で、ハッカー少年たちが大活躍するんですけど、この作品が日本に発表されたのが1993年。まだWindows3.1の時代じゃん!(日本語版でも、それほどタイムラグがないはず) それ以前の作品でも、警察のコンピューターで情報を調べてたような気がするし、実は結構時代を先取りしてる作品だったんですねー。今まではどちらかと言えばアナログなイメージを持ってたシリーズだけにびっくりです。だって、マット・スカダーは「足で稼ぐ」タイプの探偵なんですもん...。この作品でも、マット・スカダーがTJをポケベルで呼び出してるのが違和感だったんですが、1996年頃だとそっちの方が普通ですものね... ほんとびっくり。

でもこういう最先端技術を本に取り入れるのって難しいですね。いくら新しいこと書いても、出た時すぐに読まなかったらどんどん古くなっちゃうんですもん。最先端技術だけでなく、時事的な問題も。例えば、服部真澄さんの作品は、「龍の契り」と「鷲の驕り」しか読んでませんが、どちらもとても読み応えがあったし、出てすぐ読めばものすごーく旬な作品だったはずなのに、3~4年遅れて読んだ私にとってはちょっぴりツラかったんですよね。(「龍の契り」は、香港返還の直前に読みたかった!) でも井上夢人さんの、コンピューターウィルスを扱った「パワー・オフ」は、1996年に出た作品で読んだのが2002年。まだフロッピーディスクしかないような時代の話なのに、全然古く感じなかったんです。川端裕人さんの、クラッカー集団のサイバーテロの話「The S.O.U.P.」も夢中になって読んだし、他にも全然古く感じなかった作品は思い出せば色々とあるはず。
一体どこにその差があるのかしら?

...と思いつつ。
別にこの作品が古臭く感じられたという話じゃないんですけどね。この作品の中では、そういう電子機器はあくまでもメインじゃないし。でもそろそろポケベルの代わりに携帯電話が登場して、パソコンが活躍する頃かもしれないなー。(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「過去からの弔鐘」「冬を怖れた女」「一ドル銀貨の遺言」「暗闇にひと突き」「八百万の死にざま」「聖なる酒場の挽歌」「慈悲深い死」「墓場への切符」「倒錯の舞踏」「獣たちの墓」「死者との誓い」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「死者の長い列」ローレンス・ブロック
「処刑宣告」ローレンス・ブロック

+既読のローレンス・ブロック作品の感想+
「殺しのリスト」ローレンス・ブロック
「砕かれた街」上下 ローレンス・ブロック
Livreに「泥棒は野球カードを集める」「殺し屋」の感想があります)

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久々の猫の事件簿シリーズ。
「猫が消える町」の方は、ナンシー・ピカードの表題作が一番面白かったです。このシリーズでナンシー・ピカードの作品は2作目。やっぱり短編もなかなかいい感じ。短いのに、町の情景やそこに住む人々の明るい雰囲気が伝わってきました。他の作品は、まずまずってとこかな... 本としては「in ハリウッド」の方がずっと面白かったです。こちらはハリウッドが舞台となっているだけあって華やか。懐かしい有名スターの名前も登場するし、映画や舞台を巡る人々の人間ドラマみたいなのも面白かったし。(そういえば、メガンという名の女性がやけに登場するんですけど、女優や歌手に向いてる名前なんでしょうか...?)
でも「猫が消える町」には9編なんですが、「in ハリウッド」には17編も入ってるんです。合計26編。これだけ短編が続くとちょっとツライものが...。短編集を読んでるといつも、無性にずっしりした長編が読みたくなってくるんですよね、私(^^;。(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「猫の事件簿」ピーター・ラヴゼイ他
「貴婦人のペルシャ猫」エドワード・D・ホック他
「魔女のオレンジ猫」シャーロット・マクラウド他
「宝石商の猫」ウィリアム・L・デアンドリア他
「猫が消える町」「inハリウッド 猫の事件簿」ナンシー・ピカード他

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「にぎやかな眠り」に続く、シャンディ教授シリーズの2作目。今回は強盗とか殺人事件とか、バラクラヴァ農業大学畜産学部の大切な大切な豚のベリンダが誘拐されたりとか(表紙の彼女です←天野喜孝さんのイラスト、可愛い!)、年に1度の馬の競技会に対する邪魔工作があったりと盛りだくさん。
やっぱりこのシリーズ、登場人物がすっごくいいです。特に今回はイデューナという女性がいいんですよー。この女性に対するシャンディ教授の第一印象は、「グッドイヤーの気球そっくりの体形」の「人間ツェッペリン」。このグッドイヤーの気球というのが分からなかったので検索してみたらこんなのが出てきました。ひ、ひどい...(^^;。 歩き方も、「七月四日の独立記念日のパレードで子供が持っているピンクの風船のように、元気よくはずむ感じでただよって」いるですって。すごい言われようですね。でも、彼女がにっこりすると、誰もが笑顔を返さずにはいられないし、男性陣はみんな彼女が気になって仕方ないのです。そして豚のベリンダの世話をしている畜産学部長のダニエル・ストット教授もかなりいい恰幅なんですが、「ストット教授が豚に生まれていたら、きっとこのうえなくすばらしい豚になっていたことだろう」という表現をされてて、なんか可笑しい。農業大学を中心とした町なので、普通の都会的なスレンダーな美女やハンサムさんには用がないみたいです。(笑)
盛りだくさんな出来事が綺麗にパタパタと解決していくのも気持ちいいし、しかも思わぬところに伏線が潜んでいてびっくり。同僚のエイムズ教授の家に、おっそろしい家政婦さんが来てしまったので(ものすごい掃除魔で、家の前を通るだけで漂白剤の匂いがする始末...)、シャンディ教授はイデューナをエイムズ教授の奥さんにして、その恐ろしい家政婦を追い出そうなんて言ってたりするんですけど、その辺りの展開も楽しいところ。殺人は起きるんですが、それでもやっぱりほのぼのした魅力が失われなくて素敵。続きも読みたいんだけど、次の「ヴァイキング、ヴァイキング」は未入手。積読本がもう少し減ったら買って来ようっと。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「にぎやかな眠り」シャーロット・マクラウド
「蹄鉄ころんだ」シャーロット・マクラウド
「ヴァイキング、ヴァイキング」「猫が死体を連れてきた」シャーロット・マクラウド

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クリスマスのイルミネーションの時期だけ、見物人で賑わうバラクラヴァ。その中でただ1人協力せず、毎年グランド・イルミネーション委員会にせっつかれていたシャンディ教授、今年は悪戯心を出してしまいます。専門業者に悪趣味な飾りつけと大音響のクリスマスソングを頼み、ちょっとやそっとじゃスイッチを切れないようにして、そのまま船旅に出かけてしまったのです。しかし船のエンジン・トラブルで、すぐに自宅に戻ることになった教授を待っていたのは、暗くひっそりと静まり返った家。そしてイルミネーション委員会のジェマイマの死体でした。

ずっと気になってたシャンディ教授シリーズの第1作。ようやく読めました。
大学教授が探偵役で、その専門知識を生かして推理というミステリは結構ありますし、比較的最近読んだ中では、アーロン・エルキンズのスケルトン探偵・ギデオン・オリヴァー博士のシリーズが印象に残ってるんですが(「古い骨」「暗い森」の感想)、こちらのシャンディ教授は、応用土壌学が専門。また変わったものを持ってきてますねー。(笑) 応用土壌学と言われても正直ピンと来ないんですけど、どうやら土というよりも、植物の品種改良がメインみたいです。巨大なカブを作り出していて、その特許料が毎年結構入ってきてるみたいだし、毒性を持つ植物なんかにも詳しいみたいだし。とは言っても、この1作目ではその知識がそれほど生かされていないようだったのが、少し残念だったのですが。これからのシリーズで、もっとそういう部分が前面に出てくるといいな。
殺人は起きるんだけど、基本的にほのぼのとしたミステリ。同僚のエイムズ教授やその親戚のヘレン・マーシュ、そして大学の学長夫妻など、周囲の登場人物がすごく個性的で楽しかったし、これは続きも読んでみたいな。これから先の展開も楽しみです。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「にぎやかな眠り」シャーロット・マクラウド
「蹄鉄ころんだ」シャーロット・マクラウド
「ヴァイキング、ヴァイキング」「猫が死体を連れてきた」シャーロット・マクラウド

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ローマにやって来た売れないミステリ作家の「わたし」は、ブルネッティという名の市立探偵が活躍する物語を書くために、ある料理店(トラットリア)にかけあって、その店を舞台にする代わりに無料で食事をさせてもらう約束を取り付けます。極上のイタリア料理を堪能しながら、「わたし」の執筆は順調に進むのですが...。

これは本のことどもの聖月さんのオススメ。(聖月さんの感想はコチラ
売れないミステリ作家の「わたし」が小説として書いているブルネッティの物語と、「わたし」が実際にローマで過ごしている物語の2つの流れがあって、その2つの流れが交錯していくという展開。どちらにも同じ名前の人物が登場してちょっぴりヤヤコシイし、そもそも2つの流れの境目が2~3行の改行だけなので分かりづらいのが難点なんですよね。(伊坂幸太郎さんの作品みたいに、間に小さいマークが入ってたらいいのに) でも2つの流れの双方で毒殺事件が起きる辺りからぐんぐんと面白くなります。ブルネッティを主人公にした小説部分には、最初は出来の悪い小説を読んでいるような感じだったのに、それもいつの間にか作品全体にしっくりと馴染んでるし、人は良いけれどかなり抜けているブルネッティに、どちらかといえば抜け目のない「わたし」がだんだん引っ張られてくようなところも面白かったです。
それに料理店が舞台だけあって、美味しそうな料理が満載! いいなあ、美味しいイタリア料理食べたいなあ。(という私はペンネアラビアータが一番好きなんだけど、これは登場しなくて残念(^^;) しかも、家に居ながらにしてローマの市内観光まで出来ちゃいます。(北イタリアには行ったことがあるんだけど、ローマには行ったことないのよね。行ってみたいー。)
ちなみに作中に登場する「わたし」の作品は、本当にベルンハルト・ヤウマン自身の作品だったのでびっくり。それが分かって読んでたら、一層面白かっただろうな。それ以前の4作品が全然日本語に訳されてないようなのが残念です。(扶桑文庫)

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スター紙の記者ウェルズに情報屋が持ち込んだネタは、上院議員選に立候補中の下院議員が女優の卵相手にSM行為をしている写真。ウェルズは、スター紙はファミリーペーパーであり、議員の私生活は議員自身のものだと、そのネタを断ります。しかし翌日情報屋の死体が見つかり、ウェルズが見た写真のことがマスコミに漏れたことから、ウェルズの新聞記者生命は危うくなることに。

新聞記者・ジョン・ウェルズのシリーズ3作目。1作目の「幻の終わり」の時は、正直あまり面白いと思わなかったんですけど、「暗闇の終わり」そしてこの「夏の稲妻」とどんどん面白くなってるような... シンプルで渋いハードボイルドです。(伊坂幸太郎さんがお好きだそうな)
これが日本での話なら、どんな新聞や雑誌でも議員のSMネタなんて放っておかないんじゃないかとも思うんですが、アメリカでは違うんでしょうか。もちろん1人の人間である以上、プライバシーは絶対に必要だし、自分が記者だったとしてもそんな記事でスクープをものにしたいと思わないだろうと思うんだけど... どうなんだろう? ウェルズみたいに、そういう時でも自分の価値基準を忘れずに突っ張れるのってカッコいい。逆に頑固すぎて、自分で自分の首を絞めるような真似もしちゃうわけですが...。(創元推理文庫)

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車で気ままな田舎旅行に出かけたヘレンとジェーク。しかし釣りの許可を取ろうとジャクソンの郡役場を訪れた2人は、建物の中で嵐が過ぎるのを待っている間に殺人事件に巻き込まれてしまいます。アリバイはあるものの、彼ら2人はここではあくまでも「よそ者」。保安官はヘレンとジェークの2人が重要参考人だと言い張り、ヘレンは急いでマローンに電報を打つことに。

マローンとヘレンとジェークのシリーズ。これは「大当たり殺人事件」の後に執筆された作品なのだそう。ずっとポケミスでしか出てなかったんですが、ようやく文庫になってくれました。(未だにポケミス未体験者なのだ)
今回はシカゴではなく、ウィスコンシン州の田舎町が舞台。ヘレンは相変わらずの美しさ可愛らしさなんだけど、今回はあまりその活躍が前面には出てなくて残念。心配させられるばっかりで、あざやかなブルーのコンヴァーティブルを疾走させるチャンスもほとんどなし。これが寂しーい。暴走しちゃったヘレンが大好きな私にはちょっと物足りなかったな。3人ともシカゴにいる時ほど飲んだくれてないし、ジェークも冴えないし。(今までは「ジェーク」じゃなくて「ジェイク」だったと思うんだけど...?)
でも今回も印象的な人物が登場してました。それは、莫大な金を失ったショックで1929年で時間が止まってしまい、相変わらず禁酒時代を生きているヘンリー。頭はいいし、会社経営も上手くいってるのに、彼の中の時間だけがストップしちゃってるのです。これがユーモラスなんだけど、人生の悲哀なんだなあ。(ハヤカワ文庫HM)


+既読のクレイグ・ライス作品の感想+
「暴徒裁判」クレイグ・ライス
「セントラル・パーク事件」クレイグ・ライス
Livreに「マローン御難」「マローン殺し」の感想があります)

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作家としての再起を図っているホーギーの元に届いたのは、差出人の名前がない手紙。それは小説家志望者からの自作小説の第1章でした。小説はただの白いタイプ用紙にタイプされていて、添えられた手紙の最後にあるアンサーマンという名前があるだけ。そしてその小説の内容は、アンサーマンという男が街で知り合った女性を殺すまでの顛末。一読したホーギーは、その才能に驚きます。しかし翌朝、ホーギーはその小説の内容と同じ殺人事件が起きていたことを知ることに...。

ホーギーシリーズの第8弾。小説のストーリーの通りに殺人事件が起きていくというストーリー展開自体はそれほど目新しくないんですが、今回はホーギーの学生時代のエピソードが登場するのが嬉しいです。そういえば、これまで学生時代の話って出てきてなかったんですねー。仲が良かった3人組も今は昔、「青春時代の栄光」と「人生の悲哀」って感じになっちゃって、下手すると暗くなりそうな展開なんですが、でも相変わらずのお洒落な語り口で、さらっとほろ苦い青春物語となっています。シリーズ前半の勢いこそなくなってるけど、やっぱり高め安定。でも本国ではこの作品を最後に続編が出てなくて、新シリーズが始まってるとのこと。もしやこれでおしまい...? 曲りなりにも、作家として再起できたから?! 1歳半のトレーシーも可愛い盛りだし、意外なカップルのその後の生活ぶりも気になるし、まだまだ彼らの会話を楽しみたいのになあ。もっと書いてくれないかなあ。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「真夜中のミュージシャン」「フィッツジェラルドをめざした男」「笑いながら死んだ男」「猫と針金」「女優志願」「自分を消した男」「傷心」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「殺人小説家」デイヴィッド・ハンドラー

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老人ホーム「海の上のカムデン」シリーズ第4作目。相変わらずのアンジェラとキャレドニアのおばあちゃんパワーが炸裂。可愛いです~。そしてそんなおばあちゃんたちに愛情と敬老の精神たっぷりで接しているマーティネス警部補も、相変わらずの男前。ああ、私もこんな風に「公的には勤務中です。が、実際のところ、大好きなご婦人がたとコーヒーを飲んでも差し障りはありません」なんて言われてみたいものだわ!(おばあちゃんになった時にね) こんな風に歳を取れるなら、それも悪くないかもしれないなー、なんて思いながら読んでいたら、解説でも光原百合さんがそんなことを書いてらっしゃいました。(笑)
そして今回は、意外と冒険心旺盛だったトム・ブライトン翁も素敵でした。このシリーズって、中心となっているのが老い先の短い人たちなので、ふとした時に人生の年輪や重みが感じられるのもいいんですよね。老人ホームでは人間の死が決して珍しくないからこそ、普通のミステリ作品とは一線を画しているような。コリン・ホルト・ソーヤー自身が老人ホームに入っているだけあって、その辺りはとてもリアルです。本当は日常の謎が似合いそうな環境とキャラクターなんですけど、でもやっぱり殺人事件だかなこそ、感じられるものがあるんだと思ってます。まあ、シリーズが進んでいくにつれ、その辺りは少しずつ薄れてはいるのですが。それに殺人事件でないとマーティネス警部補は来ないしですしねー。(それは大変!)

マーティネス警部補の顔立ちは、アンジェラによるとメキシコ系の俳優・ギルバート・ローランド似。そのギルバート・ローランドの写真は、以前つきんさん@TSUKIN-BOOKS に教えて頂きましたので、よろしければどうぞ。コチラです。同じ写真ですが、こんなのこんなのも迫力があります。(笑)(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「老人たちの生活と推理」コリン・ホルト・ソーヤー
「氷の女王が死んだ」「フクロウは夜ふかしをする」コリン・ホルト・ソーヤー
「ピーナッツバター殺人事件」コリン・ホルト・ソーヤー

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修道士カドフェルシリーズの16冊目。もう16冊も読んだのかー... と、なんだか感慨深いです。読んでいてとても心地良いシリーズなので、あと5冊しか残されてないのがちょっと寂しいのですが。
今回は中心となるのは、まず異端問題。この時代ならではですね。イレーヴ青年の持った「生まれたばかりの赤ん坊が、洗礼を受けていないという理由だけで地獄に落とされるというのか?」という疑問や、「人は、神の恩寵を受けるために日々努力するべきであり、ただ単に救いを待つべきものではない」という言葉は決して間違っていないはずだし、当然だとも思うのに、キリスト教の教義に対して疑問を持つこと自体が異端であり、断罪されかねないこの時代では、神を冒?する言葉としてしか受け止められないんですよね。そもそも「父と子と聖霊の御名によりてアーメン」という三位一体の言葉自体、突き詰めて考えるとすっごく難しい問題のはずなのに、それが上手く理解できないというだけで異端とされちゃうなんて。(私だって、何度唱えたか分からないけど、まだ理解しきれてないぞ!) その辺りのややこしい問題がエリス・ピーターズによってとても入りやすくまとめられているのが興味深かったし、ラドルファス院長やカドフェルの懐の深さが改めて感じられて、とても良かったです。
あと今回はヴェラム皮で作られた祈祷書が登場。これが見てみたい! 本文中の描写を読んでるだけでもとても美しいのです。かなり具体的な描写なので、きっとモデルがあるのだろうと検索してみたんですけど、作り手や持ち主の名前では何も出て来なくて残念。やっぱり、ずばりそのものがあるわけではないのね。... でもどんな本なのかぜひ見てみたいなー。(光文社文庫)


やっぱり本は私にとって一番の精神安定剤だな。と、ふと。
精神的にキツくなってくると読了数が増えるという、不健全な本読みですが(^^;。


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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瀕死のハルイン修道士がカドフェルと院長相手に懺悔。恋人と引き裂かれて18歳で修道院に入ったハルインですが、実は恋人のおなかの中には、既に彼の子が宿っていたのです。そのことを恋人の母親から知らされたハルインは、求められるままにカドフェルの薬草で堕胎薬を調合。しかし恋人はその堕胎薬によって、おなかの赤ちゃんもろとも亡くなってしまったというのです。

修道士カドフェルシリーズ15冊目。今回は懺悔した修道士とカドフェルが、修道士のかつての恋人の墓参りをするために恋人の母親を訪れます。今回はいつも以上にフェアに書いてあるのかしら... あれ?と思ったら一気に謎解きまで全部分かっちゃいました。とは言っても、この作品はミステリだけの作品じゃないので、全然大丈夫なんですけどね。カドフェルを巡る人間ドラマは相変わらず読ませてくれます。それにしても、その恋人だった女性のお母さん、怖ーい。や、彼女自身も哀しい人生を送ってるのは良く分かるんですが...。でもハルイン修道士に関しては、良かった良かった。たとえ事故で足が不自由になっても、心が不自由なまま過ごすよりは、彼にとってはずっと幸せなんですものね、きっと。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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スケルトン探偵シリーズの8作目と9作目。
「楽園の骨」は、南太平洋に浮かぶ島・タヒチが舞台。ここでは、FBI捜査官のジョン・ロウの親戚がコーヒー農園を営んでいるんです。もうこのコーヒーの美味しそうなことったら! このシリーズ、結構色々と美味しそうな食べ物が登場してるんですけど、でもこのコーヒーがダントツで一番かもしれないなあ。(という私はカフェイン中毒・笑) 私の大好きなジョン・ロウとその親戚一同が登場ということで、文句なしに楽しかったし♪ 楽園ののんびりした空気もいいんですよねー。大家族も色々あるんだろうけど、でもやっぱりなんかいいなあ。
そして「洞窟の骨」は、フランスの旧石器時代の洞窟で発見された骨をギデオンが鑑定する話。フランスが舞台ということで、「古い骨」に登場していたジョリ警部が再登場! この警部、好きなんですよー。今回は、素顔がかなり見れて嬉しかったな。そしてこの洞窟の辺りはクロマニヨン人やネアンデルタール人など先史時代の遺跡が多く残っている場所なので、そういった先史時代に関する議論がケンケンガクガクと繰り広げられていて、これもすごく面白いです。髭を剃ってジョギング・スーツを着たネアンデルタール人をニューヨークの地下鉄に乗せたらとか、パリの地下鉄(メトロ)だったらどうだとか、この学者さんたちってば、一体何の話をしてるんですか!(笑) でもそういう学者さんたちに関してのジュリーの言葉がまた可笑しいのです。「分別のある人たちはそんなことはしません」「でも今話しているのは旧石器時代が専門の人類学者ですから。意見を一致させるのは主義に反するんです」 ですって。(笑)
それにしても、ギデオンは骨は古ければ古いほどいいと毎回のように言ってるのに、結局生身の死体をいじったり解剖したりする羽目に陥ってて、お気の毒。でもなんだかんだ言って、かなり詳しくなっているのでは...(笑) そしてギデオンの講義を毎回聞かされるジュリーも骨について相当詳しくなっているようですね♪
でもスケルトン探偵で出版されている分は、これで最後なんです。さびしーい。やっぱり今度、美術館学芸員のクリス・ノーグレンシリーズも買って来ようっと。(ハヤカワミステリアス・プレス文庫)


+既読のアーロン・エルキンズ作品の感想+
「古い骨」「暗い森」アーロン・エルキンズ
「断崖の骨」「呪い!」アーロン・エルキンズ
「氷の眠り」「遺骨」アーロン・エルキンズ
「死者の心臓」アーロン・エルキンズ
「楽園の骨」「洞窟の骨」アーロン・エルキンズ

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昨日に引き続きのスケルトン探偵シリーズ。7作目です。今回の舞台はエジプト。教育用ビデオのナレーターの仕事を引き受けて、ギデオンは撮影隊と共にエジプトへ。
エジプトも一度行ってみたいなあと思う場所なんですけど、そのエジプトが表から裏まで楽しめちゃう。やっぱり紀行ミステリですね、このシリーズは。自分もエジプトに行った気分になって楽しめちゃう。作者のアーロン・エルキンズは、ちゃんと取材旅行してたのかな? で、あーんなこととかこーんなこととか体験したのかしら? 羨ましーい。でもエジプトを旅行するのは、想像以上に大変そうです。「昨日は存在しなかったし、明日はもう存在しないであろう規則」だなんてねえ。その時々で役人に言いたいこと言われて、「規則ですから」なんてテキトーなこと言われても、反論できる語学力もないからなあ。
今回はいつも以上に事件が起きるのが遅くって、それがちょっと気になっちゃいました。もちろん事件が起きるまでにギデオンは骨の鑑定とかしてるし、その鑑定が後半に繋がって面白いことになるんですけどね。でも今回のギデオンの行動はちょっとなあ。それより、シリーズで何度か登場してた人が知らないうちに亡くなっててびっくりです。ショック。それと、エジプトでコーディネーター役をしているアメリカ人がいるんですけど、この彼が、エジプトにいる時とアメリカにいる時とでは能力の発揮され方が全然違うみたいで、その辺りがなんだかすごく面白かったです。妙に説得力がありました。(笑)(ハヤカワミステリアス・プレス文庫)


+既読のアーロン・エルキンズ作品の感想+
「古い骨」「暗い森」アーロン・エルキンズ
「断崖の骨」「呪い!」アーロン・エルキンズ
「氷の眠り」「遺骨」アーロン・エルキンズ
「死者の心臓」アーロン・エルキンズ
「楽園の骨」「洞窟の骨」アーロン・エルキンズ

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しばらくファンタジーばかりだったんですが、海外ミステリに戻って来ました。これはスケルトン探偵ことギデオン・オリヴァー博士のシリーズ、5作目と6作目。
「氷の眠り」は、30年前に氷河で雪崩に巻き込まれた植物調査チームの3人の骨が見つかって、丁度そこのロッジに居合わせたギデオンが骨を鑑定すると、そこには殺人の証拠が...?!という話。謎解き自体には、どこかすっきりしないものが残っちゃったんですが、骨が見つかったと聞いた時のギデオンが反応が可愛かった! あ、正確には反応そのものというより、それを見ていたジュリーの説明がですね。想像して笑っちゃった。それに氷河のしくみの説明も興味深かったです。ジュリーの説明から位置がぴたりと合うところなんて、なんだか理系ミステリみたい。こういうのはワクワクしちゃいます。
そして「遺骨」では、ギデオンとジュリーが司法人類学者たちの会議に出席。10年前に亡くなった教授の骨が博物館に展示されることになるんですけど、それが盗まれてしまったり、ギデオンが、死体が埋まっている場所を発見してしまったり、という事件。なんと土壌圧縮地というのがあって、見る人が見ればすぐ分かるし、そういう場所にはほぼ確実に死体が埋まってるんですって。地面を見ただけで、死体の埋まってる深さや姿勢まで分かってしまうなんてびっくり! そしてそこから掘り出された白骨死体の頭蓋骨を使って復顔法が実演されるんですけど、これがまた... や、この最後の一瞬は凄かった。いやー、面白かったです。でもって、専門家がいっぱいその辺りをうようよしてケンケンガクガクしてるっていうのが、またいいんですよねえ。(笑)(ハヤカワミステリアス・プレス文庫)


+既読のアーロン・エルキンズ作品の感想+
「古い骨」「暗い森」アーロン・エルキンズ
「断崖の骨」「呪い!」アーロン・エルキンズ
「氷の眠り」「遺骨」アーロン・エルキンズ
「死者の心臓」アーロン・エルキンズ
「楽園の骨」「洞窟の骨」アーロン・エルキンズ

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本当はエルキンズを続けていきたいところなんですが、まだ4冊しか買ってなかったので、一時中断。早く買って来なくっちゃ! ということで、今日読んだのは怪盗ニック・ヴェルベットシリーズ4作目。今回は「白の女王」ことサンドラ・パリスが登場した10の短編が収められています。
このサンドラのモットーは「不可能を朝食前に」。ニックと同様、不可能なことをやってのける怪盗なんですが、ニックと違う点は盗む物にこだわらないということ。ニックは取るに足らない詰まらない物、どう考えても無価値な物しか盗まないんですが、サンドラはどんな高級品でも依頼があれば引き受けちゃう。最初はそんなサンドラの登場に、自分の縄張りを割り込んできたのかと警戒するニックなんですが、徐々に助けたり助けられたり協力したり競争したりという関係になっていきます。10編の短編は時系列的にはそれほど接近してないらしくて、ニックと会うのが1年ぶりとか2年ぶりとか、そういう記述は多いんですけど、でもニックの手数料がインフレで2万5千円から5万円に値上げするほど時間が経っても、ずーっと30代後半のままの美女です。(笑)
このシリーズは、ニックがいかにして不可能に見える盗みを実行するか、そして依頼人の本当の目的は、というのが一番の興味なんですが、サンドラが加わったことによって、サンドラとの協力体制や、逆に泥棒競争みたいな楽しみも加わります。でも確かにサンドラもすごい泥棒なんですけど、でもやっぱりニックの方が一枚上手って感じ。そんなニックのプロぶりを見せ付けてる「白の女王のメニューを盗め」が一番のお気に入りです。(ハヤカワ文庫HM)


+シリーズ既刊の感想+
「怪盗ニック登場」「怪盗ニックを盗め」「怪盗ニックの事件簿」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「怪盗ニック対女怪盗サンドラ」エドワード・D・ホック

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昨日に引き続き、スケルトン探偵ことギデオン・オリヴァー博士のシリーズ。日本での出版順だと、「古い骨」→「呪い!」→「暗い森」→「断崖の骨」となるんですが、とりあえず書かれた順は「断崖の骨」の方が早いんで、その順番で読むことに。どっちも表紙の画像が出てこなくてざんねーん。
まず「断崖の骨」は、「暗い森」で出会ったジュリーとのハネムーン先のイギリスでの物語。長閑な田園地帯の描写が素敵。でも当然のように2人は... というかギデオンはトラブルに巻き込まれることになります。ギデオンは白骨が専門なのに、腐乱死体の検死をやらされることになっちゃうし! いくら白骨に慣れてても、やっぱり普通の死体はダメなんですね。死体を目の前にした時のギデオンの反応にちょっとほっとしたりして。(笑) そして「呪い!」は、結婚から2年経過、時系列的に「古い骨」の次の物語。この2年間、ギデオンはフィールドワークに全然出てなかったらしくて、恩師エイブからの誘いを受けて、嬉々としてユカタン半島のマヤの遺跡に飛ぶことになります。この遺跡からマヤの呪いの書なんてものが出土してしまって、その書に書かれた通りのことが発掘チームを襲うんですが... これがなかなか可笑しいのです。もう思わず笑っちゃうようなこともあれば、「なるほど、そう来たかー」っていうのもあったりして。いかにも超常現象的な「呪い」というのとはまたちょっと違うんですが、でもこっちの方が人間の悪意がひしひしと伝わっていいかもしれないですね。で、2作ともこの恩師のエイブが登場して凄くいい味出してるんですけど、私が気になってるFBI捜査官ジョン・ロウが登場してなくてちょっと残念。別にいつもそっちの筋で動くわけじゃないのね。(当たり前か) でも各作品ほんと世界中各地が舞台になってて、特にマヤ遺跡なんてなかなか実物を見る機会がなさそうだし、そういう意味でもとても楽しかったです。あと、「断崖の骨」ではちょっと洒落た会話なんかも楽しめて、デイヴィッド・ハンドラーのホーギーシリーズを思い出しちゃった。(ハヤカワミステリアス・プレス文庫)


+既読のアーロン・エルキンズ作品の感想+
「古い骨」「暗い森」アーロン・エルキンズ
「断崖の骨」「呪い!」アーロン・エルキンズ
「氷の眠り」「遺骨」アーロン・エルキンズ
「死者の心臓」アーロン・エルキンズ
「楽園の骨」「洞窟の骨」アーロン・エルキンズ

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スケルトン探偵ことギデオン・オリヴァー博士のシリーズ。私が読んだのは、どちらもハヤカワのミステリアス・プレス版なんですけど、どちらも画像が出ないのでハヤカワの新しく出た版を。ほんとはシリーズ物の順番を飛ばして読むのって嫌なんですけど、このシリーズ、1作目は訳されてないんですね。日本で最初に紹介されたのは「古い骨」で、これは4作目。「暗い森」は日本では3番目に紹介されたけど、実は2作目。どっちを先に読むか、迷ってしまったわ...。実際、ストーリー的には、どちらを先に読んでも不都合はなかったんですけど、でもやっぱり書かれた順に読んだ方が良かったかな。だって「古い骨」を先に読んじゃうと、「暗い森」での馴れ初め話にドキドキ感がなくなっちゃって勿体ないんですもんっ。(まあ、それはそれで微笑ましくていいんですけどねー)
ええと、ミステリ界広しと言えども他に類を見ない「スケルトン探偵」なんですけが、これがなかなか面白かったです。たった一片の骨からでも、人種、性別、身長体重、体格、病歴など色々なことが分かっちゃうものなんですね。骨の薀蓄というのも面白いものなんだなあと感心。色んなことを見事に言い当てていく、その言い当て方がまるでシャーロック・ホームズみたい!と思ってたら、「暗い森」の中にもそんな意見が。(笑) でもでも、最愛の奥様に対する言葉が、「きみの長く、愛らしい、見事な仙骨脊椎内溝が...」って何なんですか、一体!(爆笑)
2冊読んで思ったのは、登場人物がそれぞれにいい味を出してることと(私が気になってるのはFBI捜査官のジョン・ロウ。彼との出会いの話も知りたいなー)、情景描写がなかなか凄いということ。「古い骨」のモン・サン・ミッシェル湾の上げ潮の場面もすごい迫力だったし、「暗い森」のオリンピック国立公園の雨林の描写もとても良かったです。でもここに登場する森は、先日のエリス・ピーターズの「アイトン・フォレストの隠者」に出てくるイギリスの森とはまた全然違うんですね。原生林って感じで、こっちの森の方が普段持ってる森のイメージに近いです。なかなか凄まじい所のようですが...。(笑)(ハヤカワミステリアス・プレス文庫)


+既読のアーロン・エルキンズ作品の感想+
「古い骨」「暗い森」アーロン・エルキンズ
「断崖の骨」「呪い!」アーロン・エルキンズ
「氷の眠り」「遺骨」アーロン・エルキンズ
「死者の心臓」アーロン・エルキンズ
「楽園の骨」「洞窟の骨」アーロン・エルキンズ

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修道士カドフェルシリーズ14冊目。今回は、5歳の頃から修道院で育てられてきたリチャードの父親が死んだ所から話が始まります。イートンの荘園主だった父親の死で、自動的に荘園主の地位を引き継ぐことになったリチャード。ルドルファス院長は父親の遺志を尊重して、成人するまではリチャードの教育を修道院で引き受けようと考えていたのですが、リチャードの祖母は、まだ10歳のリチャードを22歳の近隣の荘園主の娘と結婚させて領地を広げようと考えていて...。

この時代のことだから年齢の釣り合わない政略結婚っていうのも多かったんでしょうけど、でも10歳の少年に22歳の娘さんとはね...。(これが逆に、22歳の若者に10歳の少女だったら、あんまり違和感を感じなかっただろうなと思ってしまうのが嫌ですなー) でもこの娘さん、いざ登場してみるとこのシリーズに登場するのに相応しい、自分をしっかりと持った賢い女性でした。父親に逆らうなんてとんでもないって感じだったんですけど、いざ決意するとなかなかの芯の強さを見せてくれて素敵。そしてリチャード自身も、この出来事を通してきっと大きく成長したんだろうな。いくら利発でも、こんなことに巻き込まれてしまったら自分のことで精一杯。会ったこともない相手の感情まで推し量れるものじゃないですもんね。
あと、今回は森の描写がとても印象的でした。イギリスの森って日本の森とはやっぱり根本的にイメージが違うのかもしれないですね。私は森といえば鬱蒼とした深い森を思い浮かべちゃうんですけど、ここの描写を見てると案外明るい空間を持つ雑木林という感じ。...と、ここで思い浮かべたのが、梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」。あれも確か明るいイメージでしたよね? そういえば「ロード・オブ・ザ・リング」のエントもあんなんだったし... あの映画では、エントだけは凄く違和感だったんですけど、やっぱりあれがイギリスの森なのかもしれないですね。ロビン・フッドもそんな明るい森に住んでたのかな。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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「老人たちの生活と推理」に引き続き、「海の上のカムデン」シリーズの2作目と3作目。こちらも楽しかったです。2作目のマーティネス警部補は、好奇心旺盛な老女たちにダミーの任務を与えて事件から遠ざけようとするけど失敗。3作目は、老人ホームで起きた殺人事件の担当は、いつものマーティネス警部補ではなくて、ごく事務的なベンソン部長刑事だった...と、変化を作り出そうとする苦心のあとが?(笑) 老人ホームの厨房にいるシュミット夫人の料理も、ますます豪華になって美味しそうだし。でも私に限っていえば、アンジェラやキャレドニアといった元気なおばあちゃんたちと、若くてハンサムなマーティネス警部補の会話が楽しめれば十分。やっぱりこのシリーズは登場人物たちのやりとりがとても楽しいです。でもね、マーティネス警部補がギルバート・ローランドという映画俳優の若い頃に似てるそうなんですけど、その顔写真が検索しても全然見つからないんです! メキシコ系で口髭を生やしてるそうなので、なんだか想像がつく気はするのですが...。ああ、気になる~。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「老人たちの生活と推理」コリン・ホルト・ソーヤー
「氷の女王が死んだ」「フクロウは夜ふかしをする」コリン・ホルト・ソーヤー
「ピーナッツバター殺人事件」コリン・ホルト・ソーヤー

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サンディエゴから北に20マイルのところにある超高級老人ホーム、海の上のカムデン。ここの建物から浜に下りる階段の下で、入居者のうちでも最も大人しく、最も人畜無害な女性が死んでいるのが発見されます。なかなか進まない警察の捜査に業を煮やした4人の元気なおばあちゃんたちが、推理に乗り出すのですが...。

ということで、「海の上のカムデン」シリーズの1作目。老人ホームが舞台の作品といえば、やっぱり島田荘司氏の「ひらけ!勝鬨橋」を思い出すなー。で、あちらの息詰まるゲートボール勝負(笑)とカーチェイスが楽しかったんですけど、こちらのおばあちゃんたちもすっごく元気で楽しい! 4人のおばあちゃんたちが探偵ごっこの相談をしているところなんて、まるで女学生みたいで可愛いのです♪ それにこの老人ホームに捜査にやってきたマーティネス警部補の、老人たちとのユーモアたっぷりの応酬ってば。でもそういうユーモラスなドタバタミステリかと思いきや、その奥にはなかなか深いものも含まれていました。それぞれの老人たちが積み重ねてきた人生の歴史の重みもあるし、「老い」ならではの問題も無視できないし、人の死が決して珍しいことではない老人ホームでの殺人事件って、普通のミステリ作品とはまたちょっと違うんですね。そんな風に、ユーモアの奥に内包している深みと切なさが、またとても良かったです。
このシリーズは今3作目までが訳されているんですけど、もう既に9作目まで書かれているようですね。近々発刊予定の4巻は光原百合さんが解説をされるそうなので、それも楽しみ。続けて2巻3巻にいきまーす。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「老人たちの生活と推理」コリン・ホルト・ソーヤー
「氷の女王が死んだ」「フクロウは夜ふかしをする」コリン・ホルト・ソーヤー
「ピーナッツバター殺人事件」コリン・ホルト・ソーヤー

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猫の事件簿シリーズ4冊目。今回知ってたのは、ウィリアム・L・デアンドリア。(やっぱり1人しか知らないのね...) 今回はちょっと低調だったかなあ。バーバラ・コリンズ&マックス・アラン・コリンズの「どうして黙ってるの」は、なかなか良かったんですけどね。でもバーバラ・コリンズは1巻にも作品を書いてるんですけど、1巻の17編を書いた作家の中で唯一の猫嫌い人間だって、解説に書いてあったぞー。(笑)
デローリス・スタントン・フォーブズの「もの言わぬ動物たち」とジャン・グレープの「どっちつかず」は、まあまあ。悪くはないんだけど、他の作品も読みたいというほどではなかったような。そして、「夢の扉」のジョン・ラッツは、映画「ルームメイト」で有名になった人なのだそうです。それも納得のホラーぶりでした。...でも、今回低調に感じたのは、そろそろ短編に飽きてきたというのもあるのかも。こっちはちょっと一休みして、次は普通の本を読もうっと。(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「猫の事件簿」ピーター・ラヴゼイ他
「貴婦人のペルシャ猫」エドワード・D・ホック他
「魔女のオレンジ猫」シャーロット・マクラウド他
「宝石商の猫」ウィリアム・L・デアンドリア他
「猫が消える町」「inハリウッド 猫の事件簿」ナンシー・ピカード他

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猫の事件簿シリーズ3冊目。今回知ってたのは、ナンシー・ピカードだけです。なんで各巻1人ずつしか知らないんだろう...?(それは単に海外物に詳しくないから・笑)
ええと、ナンシー・ピカードは、サイトを開く前にジェニー・ケインシリーズを7冊ぐらい読んでるので、今回の短編はとってもお久しぶり。彼女の「水曜日の女(長編風短編の試み)」は、なかなか面白かったです。20ページほどの短編なんですけど、その内容というのが、「全18章+エピローグ」という長編のプロットだけなんですよ。でもプロットだけでも登場人物の人となりは伝わってくるし、その場の情景も浮かんでくるんですよねえ。こういうアイディアって面白ーい。(こんな作品を書く人と思ってなかったのも大きいかな)
そして今回一番面白かったのは、表題作の「魔女のオレンジ猫」。これはミステリというよりファンタジーですね。案外ブラックな話が多いこのアンソロジー集なんですけど、これは読後感も良かったなあ。こういう話は大好き。シャーロット・マクラウドは、他の作品もぜひ読んでみなくっちゃ! この人の作品は色々と翻訳されてるようで嬉しいな。...というよりむしろ、作品数が多くてどれから読んだらいいのやらだったりして...。(アリサ・クレイグ名義の作品もあるらしい) とりあえずデビュー作は「にぎやかな眠り」のようですね。
あと他の作品では、マーガレット・マロンの「内なる獣」も良かったです。ちょっぴりブラックなんだけど、でも爽快なのだ。(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「猫の事件簿」ピーター・ラヴゼイ他
「貴婦人のペルシャ猫」エドワード・D・ホック他
「魔女のオレンジ猫」シャーロット・マクラウド他
「宝石商の猫」ウィリアム・L・デアンドリア他
「猫が消える町」「inハリウッド 猫の事件簿」ナンシー・ピカード他

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猫の事件簿シリーズ2冊目。今度は9編が収められていて、この中の作家で知ってたのはエドワード・D・ホックだけ。というか、そもそもこのアンソロジーは、エドワード・D・ホックが目当てだったんですよね。「怪盗ニック」のシリーズを読んで、それがすごく面白かったので。で、やっぱりこの人の短編は抜群に上手いです! 長編好きの私でも色々と読んでみたくなっちゃうぐらい。やっぱりサム・ホーソーンのシリーズも読んでみなくちゃいけないなあ。
あと気に入ったのは、シャーリン・マクラムの「ただでは死なない」、ジョン・F・スーターの「非情の雨」。ホラー調のB・W・バッティンの「報い」もなかなか良かったです... が、この3人の作品もほとんど日本に紹介されてないらしい... これじゃあ新しい出会いにならないよぅ。ダメじゃん!(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「猫の事件簿」ピーター・ラヴゼイ他
「貴婦人のペルシャ猫」エドワード・D・ホック他
「魔女のオレンジ猫」シャーロット・マクラウド他
「宝石商の猫」ウィリアム・L・デアンドリア他
「猫が消える町」「inハリウッド 猫の事件簿」ナンシー・ピカード他

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猫にまつわるミステリばかり17編が収められた短編集。アンソロジーってお初の作家さんとの出会いの場として凄くいいと思うし、私もキレの良い短編は大好き。でもね、やっぱり長編の方が好きなんですよー。積読本の中から次の本を選ぶ時も、つい長編を手に取ってしまって、短編集が残りがち。 ...なのに! なぜ買ってしまうのかしら、私ってばー。
この本は「猫の事件簿」シリーズになってるんですけど、全部で6冊出てて、6冊とも持ってるんですよぅ。や、「猫」という言葉に惹かれて魔が差したのは、自分でもよーっく分かってるんですが...。(^^ゞ

で、いざ読み始めて。んんっ、これはなかなかいい感じ?
17編のうち、私が知ってる作家はピーター・ラヴゼイだけだったんですけど、でも全体的になかなか良かったような。このシリーズ、マーティン・H・グリーンバーグとエド・ゴーマンの2人が編集してるんですけど、以前読んだエド・ゴーマン編のアンソロジー2冊もなかなか良かったんですよね。もしかしたら好みが合うのかしら。これは他の5冊も楽しめそうな予感... 良かった!(ほっ)
中でも特に気に入ったのは、ドロシー・B・ヒューズの「いたずら猫の大作戦」と、デヴィッド・H.エヴァースンの「猫さらい」。この2人の作品は他にも読んでみたくなりました... が、2人とも全然作品が日本に紹介されてないらしい。ドロシー・B・ヒューズは短編がいくつか翻訳されてるみたいだけど、デヴィッド・H.エヴァースンに至っては、この「猫さらい」1編だけ?!そんなあ、殺生な。このユーモア感覚、絶対好きな感じなのにー。
あと、ビル・プロンジーニの「猫は幽霊がきらい」も結構良かったです。これは「名無しの探偵(オプ)」シリーズなんですって。そういうのもあるのね。覚えておこうっと。(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「猫の事件簿」ピーター・ラヴゼイ他
「貴婦人のペルシャ猫」エドワード・D・ホック他
「魔女のオレンジ猫」シャーロット・マクラウド他
「宝石商の猫」ウィリアム・L・デアンドリア他
「猫が消える町」「inハリウッド 猫の事件簿」ナンシー・ピカード他

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シブミとは、「渋み」のこと。父はドイツ人で母はロシア貴族、しかし日本人の心を持つという暗殺者が登場。このシブミという言葉がちょっと微妙なんですけど、でも「侘び寂び」みたいな直接的な言葉でない分、実は良かったのかも。西洋人が書いた「日本」にしては、驚くほど違和感がないです。トレヴェニアン自身が、主人公と同じように戦中戦後の日本に暮らしていたことがあるんじゃないかってぐらい。特に桜の花に対する情感なんて、とっても日本的なんですよー。
既読の「バスク、真夏の死」「夢果つる街」に比べて若干読みにくかったのですが、大きな流れ小さな流れ共に「おお!」という場面があり、最終的にはやっぱり面白かったです。ただちょっと残念だったのは、途中で出てくる「裸-殺」というワザについて詳細に書かれていないこと。でも危険な登山場面を描いたら、映画化の時に若く優秀な登山家が1人死亡(多分「アイガー・サンクション」ですね)、美術館から絵画を盗む話を描いたら、まさにその方法でミラノの美術館から絵が盗まれた(「ルー・サクション」かな?) ということもあったって、原注にありました。やっぱりそういう危険性って常にあるものなんですね。そういや、ドナルド・E・ウェストレイクの「ジミー・ザ・キッド」でも、誘拐ミステリを読んだ登場人物が、それをそのまま実行してみようなんて思っちゃう話だったもんなあ。実際やってみたくなる人って、思ってる以上に多いのかも。(ってか、1人でも真似したら大変なんだよね...(^^;)(ハヤカワ文庫NV)


+既読のトレヴェニアン作品の感想+
「夢果つる街」トレヴェニアン
「シブミ」上下 トレヴェニアン
「ワイオミングの惨劇」トレヴェニアン
Livreに「バスク、真夏の死」の感想があります)

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カドフェルシリーズ13作目。比較的穏やかな巻が続いていたので、今回の殺人事件がすごく血なまぐさく感じられてしまったんですが、でもそんな中で登場する女性が、この作品の中に登場する白バラそのもののようで、とても印象的でした。「決して美人ではなかった」と書かれてるんですけど、でも凛としてて、すごく素敵な女性なんですよー。夫と子供を相次いで失って以来、世俗にもう未練はないって感じだったんですが、でもふと周囲を見渡してみたら、優しい視線があるのに気付いてみたり... 今までは若いカップルが幸せになるパターンばかりだったんですけど、こういう落ち着いたロマンスもいいなあ。ということで、今回も満足。でも全20巻(多分)のカドフェルシリーズなんですが、今の時点で復刊されているのはこの13巻まで。続きは発刊待ちなのです。早く読みたいな。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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カドフェルシリーズの11作目「秘跡」と12作目の「門前通りのカラス」。まず、「秘蹟」がすごく良かったです!今まで読んできた中ではこれが一番好きかも。真相は途中で分かってしまったんだけど、でもそれが判明して、解決していく過程がとってもいいのです。カドフェルはもちろんのこと、周囲の人たちの人柄の良さのおかげで、心温まるラストとなってました。そして「門前通りのカラス」。こっちでは、住民全員に嫌われてしまう司祭が登場します。教養もあるし、一見立派な人間なんだけど、思いやりとか謙虚さがこれっぽっちもないんです。教区民の命よりも、やり始めた自分の祈りを続ける方が大切だなんて! 今まで嫌われ役といえば、修道院の副院長とその腰巾着がいたんですけど、でもこの2人に関しては単なる「困ったちゃん」で、「もう、しょうがないなー」って感じだったんですよね。こんなに徹底的に嫌われる人物も登場するとはー。あ、でも、ラストにはくすっと笑わせてくれるようなシーンがあったり、こちらも気持ちが明るくなるような読後感でした。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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久しぶりに読み始めました、修道士カドフェルシリーズ。これは9巻と10巻。9冊目はまるでロミオとジュリエットのようなスタート。今回はカドフェルと、あとお久しぶりのマグダレン修道女がとてもいい味を出していましたー。酸いも甘いもかみ分けた大人の余裕、いいなあ。(マグダレン修道女は、今回で2回目の登場) でもって、今回内戦がかなり激しくなっていて、捕虜の交換の場面もあったんですけど、実際の戦闘場面はともかくとして、その他の時はお互いにとても礼儀正しくて友好的なのには、ちょっとびっくり。お互いの尊厳を認め合い、信頼し合ってるのが良く分かるんです。私たちから見たら同じイギリス人だけど、この場合イングランド人vsウェールズ人だから、全然知らない国との戦争以上に、なかなか難しいんじゃないかと思うんですけどね。今の時代の戦争じゃあ、こんな場面はちょっと見られないわ...。そして10巻でも、以前登場した人物が再登場! この人にはほんと会いたかったので嬉しいなあ。でもカドフェルが時々腰だの膝だの痛がってて、なんだか年を感じてしまうのが寂しいわ。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
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「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
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くまのパディントンのシリーズの作者のパンプルムース氏シリーズ第2弾。1作目「パンプルムース氏のおすすめ料理」と一緒に買っていたのに、1作目を読んでから丸3年も間があいてしまいました... というのは、ひとえに1作目がパディントンの可愛らしさからは想像もつかないほど、アダルト~な場面満載だったせい...。(しかもあまり上品とは)
ずっと積みっ放しだし、そろそろ読まなくちゃ、と読み始めたんですが、今回もそういうアダルト~な場面が...? と、最初はかなりの警戒態勢。話としては、フランスのグルメ雑誌の覆面調査員をしているパンプルムース氏が、編集長直々の頼みで、編集長夫人の叔母の経営してるホテルを立て直しに行くことになるのですが... えっ、ホテルの料理に媚薬が?! そしてその媚薬がまず効いてしまったのは、なんと同行していた犬のポムフリット!? ひええええ。(ポムフリットは、パンプルムース氏が食事をする時、いつもテーブルの下で食事を分けてもらっているのです)
でも読み終わってみると、今回は十分許容範囲でした。良かったー。これなら楽しく読めます。必要以上のアダルト~な場面さえなければ、フランスのロワール地方のガイド&グルメな料理とワインがたっぷりですからね。シトロエンの2CV、さぞかしこの風景に似合うんだろうな。ということで、やっぱり艶っぽい場面は、今後もこの程度でさらっと流してくれるととってもありがたいな。(創元推理文庫)

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殺し屋ケラーシリーズの長編。前回は連作短編で、殺しをするために新しい土地に行くたびに、その土地が気に入って不動産屋めぐりをしてしまうケラーが可笑しかったんですが、今回はそういうのはありませんでした。でもやっぱり変なキャラクターです、ケラーって。普段はごくごく常識的な生活を送っている普通の人だし、目下の趣味は切手蒐集。仕事が入ると、まるで普通の出張に行くみたいに出かけていくんですもん。でもその仕事ぶりを見てると、殺し屋という仕事はやっぱり天職なんですよね。一体この造形ってリアリティがあるのかないのか... いや、きっと本物の殺し屋もこんな人物に違いない。じゃなくて、こういう殺し屋もいるに違いない。(笑)
前作の「殺し屋」の方が良かったような気もするし、マット・スカダーや泥棒バーニーに比べると負けてる気はするんだけど、でもやっぱり面白かった。仕事を回してくれるドットとの会話も楽しいんですよね。で、前半、まるで連作短編集のようだなーと思ったら、本当に短編として雑誌に掲載されてたんですね。そういえばジャーロにも載ってた気がするなあ。(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「殺し屋」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「殺しのリスト」ローレンス・ブロック

+既読のローレンス・ブロック作品の感想+
「死者の長い列」ローレンス・ブロック
「処刑宣告」ローレンス・ブロック
「砕かれた街」上下 ローレンス・ブロック
Livreにマット・スカダーシリーズ、「泥棒は野球カードを集める」の感想があります)

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修道士カドフェルシリーズ7作目と8作目。
7冊目は昨日読み終わってたんですけど、だんだん書きにくくなってきたので一緒に。(シリーズ物ってムズカシイー)
ええと、この2冊は女性がすごく印象的でした。家を守り、夫に仕え、子供を育てるのが女性の最大の仕事だったこの時代、それでも自分の運命を勝ち取るためにあがいている女性たちもいたというのが、なんか嬉しい。カドフェルがいる地方はかなり平穏なんですが、時代もかなり動いているようです。でも私、この頃のイギリスの歴史ってあんまり知らないんですよね。それってやっぱりちょっと勿体無いかも... と思い始めたので、シリーズの次の本に行く前に、軽くおさらいしておこうと思います。まあ、5冊立て続けに読んだことだし、ここらでちょっと一休み。そろそろ違う本に行ってみようっと。(光文社文庫)


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「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
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「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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修道士カドフェルシリーズ6作目。イングランドでの政権争いがまたもや激しくなり、女帝モード攻撃を受けたウスターの町から、カドフェルのいるシュルーズベリへも人々が逃げてきます。そんな中で行方不明になってしまった2人の子供の行方が、今回の物語の焦点。夜盗が登場して話がすっかりややこしくなり、なかなかのサスペンス味たっぷりの展開を見せてくれました。そして気になる存在が登場! この彼(ハイ、男性です)、今後もどんどん出てくれればいいんですけど~。そして色々と語ってくれるといいんですけど~。(光文社文庫)

ということで、カドフェルシリーズ3冊読了。さて、まだあと5冊積んでるんだけど、どうしようかな。本当は今度のお正月休みのお楽しみにしようかと思ってたのに、読み始めたら止まらなくなってきちゃった。(笑)


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「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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修道士カドフェルシリーズ5作目。今回は政略結婚のお話。高慢な領主の花嫁は、まだ18歳。亡くなった両親から広大な土地を受け継いでいるため、後見人に勝手に結婚を決められてしまいます。でもこの彼女、実は好きな人がいて... とまあ良くあるパターンなんですけど、この時代背景に良く似合うからオッケー。(笑)
で、このシリーズで何がいいって、やっぱり人物造形がすごくいいです。特に今回は、それぞれの人物の、隠された意外な素顔が見えてくるんですよね。意外な人物が意外と人間的だったということが見えてきたりなんかして、なかなか深かったです(^^)。(光文社文庫)


この本の解説に、「『カドフェル修道士の薔薇』という品種も...」という文章があってびっくり。そういえば、イングリッシュローズにそういう名前の薔薇あります! 調べてみると、確かにこのシリーズから名前がついたとありましたよ。そうかー、そうだったのかー。ということで、Green Valleyという園芸店での、この薔薇のページはコチラ。綺麗ですよー。ここでは、「ブラザー・カドファイル」になってますが、「ブラザーカドフィール」「ブラザーカドフェル」など、日本語での名称は一定してないみたいです。


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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とーっても久しぶりの修道士カドフェルシリーズ4作目。3巻を読んでから、なんと1年半もあいちゃいました。その間、一度読もうとしたことがあったんですけど、その時は翻訳物の気分じゃなくて、途中でやめちゃったんですよね。
で、今回久しぶりに読むんですが、やっぱりこのシリーズは、読みやすくていいです! 花園大学での、篠田真由美さんと近藤史恵さんの講演会でも、翻訳物の入門編に向いている作品としてカドフェルシリーズの名前が挙がっていましたが(確か篠田真由美さんだったかと)、それも納得できるような作品。舞台は12世紀のイギリス。でも歴史物にありがちな、難しーいとっつきにくい感じはありません。今回はちょっと犯人がバレバレでしたけど、それもご愛嬌。このシリーズで面白いのは、ミステリ部分だけじゃないですし♪(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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ウェストレイクの作品はドートマンダーシリーズしか読んだことがないので、これが初の単発物。生まれてこの方、ありとあらゆる詐欺師に騙されてきたフレッドは、会ったこともない叔父から30万ドルもの遺産を贈られると聞いてびっくり。てっきり新手の詐欺かと思いきや、それはれっきとした事実でした。でもあっという間に周囲は金の無心の人々でいっぱいになり、しかも命まで狙われる羽目になって... と、主人公がちょっぴり気の毒になっちゃうような、コミカルミステリ。面白かったことは面白かったんだけど、なんていうか、いかにもアメリカのコメディって感じで、今ひとつピンとこなかったかなあ。ドートマンダーシリーズの方が浪花節が入ってるし(?)、分かりやすい面白さなんですよね。(ハヤカワミステリアスプレス)


+既読のドナルド・E・ウェストレイク作品の感想+
「我輩はカモである」ドナルド・E・ウェストレイク
「バッド・ニュース」ドナルド・E・ウェストレイク
Livreにドートマンダーシリーズの感想があります)

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テキサスの田舎町の図書館長が、図書館で死体を発見。死亡推定時刻のアリバイもないし、被害者とは前日ひどい口論をしてたということで、警察に疑われちゃう。で、自分で犯人探しに乗り出す... という話なんですけど、いやー、面白かった。読んでる途中も、翻訳物らしいクセがなくてすごく読みやすくて良かったんだけど、止まらなくなるほどではなかったんですよね。でもラストスパートが凄かった! いやあ、びっくりびっくり。実は本筋とは関係ない主人公の人となりにちょっとひっかかってたんだけど(母親の介護に関してちょっと異議アリ)、それも忘れちゃったぐらい。とりあえずこの1冊だけのつもりだったんだけど、やっぱりもう1冊ぐらいは読まなくちゃだわ!(シリーズ物で、「図書館の美女」「図書館の親子」「図書館長の休暇」と続くそうです)(ハヤカワミステリアスプレス文庫)

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ステファニー・プラムシリーズ4作目。またしても今回、強烈なキャラクターが登場です。身長が2メーター近い、大きくて超ド派手なドラッグクイーン(でも一応ノーマル)のサリー。強烈なキャラで売ってるこのシリーズでも1、2を争う凄まじさ。(笑)
今回は、ステファニーが捕まえようとする女性が別れた男にいくつも暗号文を送りつけてきて、それをタイトル通り、このサリーに解いてもらうことになります。でも普通のミステリなら、ここで何らかの具体的な暗号が出てくるとこなんですけど、この本では全然登場しないんですよね。「支離滅裂なアルファベットが並んでいた」っていうだけ。これがちょっと物足りない... 読みながら解く努力をするかどうかはともかくとして(少なくとも私はしない←断言するなッ)、やっぱりちょっと見てみたくなるじゃないですかー。...とは言っても、そんな風に暗号なんか登場させちゃったら、作風が変わっちゃうから仕方ないんでしょうね。脳みそも筋肉でできてるような男に、こんな難しそうな暗号送りつけても仕方ないのに... というのも言いっこなしですな。(笑) あ、今回は、ステファニーの恋愛面も大発展。凄いですよ!相変わらずの賑やかで楽しい作品になってます(^^)。 (扶桑社文庫)


このシリーズは、全部で9作出てるみたいなんですが、私が持ってるのはここまで。タニス・リーに戻りたい気もするんだけど、せっかくだから、もうちょっと海外ミステリを続けてみよう。


+シリーズ既刊の感想+
「あたしにしかできない職業」ジャネット・イヴァノヴィッチ
「モーおじさんの失踪」ジャネット・イヴァノヴィッチ
「サリーは謎解き名人」ジャネット・イヴァノヴィッチ

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ステファニー・プラムシリーズ3作目。今回ステファニーは、街の人気者・モーおじさんを捕まえなくちゃいけなくなります。このモーおじさん、ほんとにものすごい人気なんですよね。聞く人聞く人みんな、口を揃えて「モーは絶対に間違ったことはしない」って言うし、そんなモーおじさんを捕まえようとするステファニーは総スカン状態。そんな風に万人に評判がいい人ってどうよ?って思っちゃうし、なんでみんなにそこまで信頼されてるのか、その辺りにもうちょっと説得力が欲しかったんですが、でもそんなのはこの展開の前には些細なことなのかな。やっぱり面白かったです。行く先々で死体を見つけちゃう暴走ステファニーと、その後始末をやらされる羽目になるモレリもいいコンビ。それに今回はメイザおばあちゃんはあまり前面に出てこなかったんですけど、その代わりに体重104キロの黒人の元娼婦・ルーラがいい味を出していました。
でもこの作品に出てくる人たちって、なんでこんなにカロリー高いものばっかり食べてるんだろう。ドーナッツも必ず12個単位で買ってるし。そんなのばっかり食べて、気持ち悪くならないのかしら。(笑)(扶桑社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「あたしにしかできない職業」ジャネット・イヴァノヴィッチ
「モーおじさんの失踪」ジャネット・イヴァノヴィッチ
「サリーは謎解き名人」ジャネット・イヴァノヴィッチ

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ファンタジーが続いてるので、ここらでちょっとミステリなど。ちょっとブレーキかけておかないと、手持ちのタニス・リーを全部読み終わってしまいそうだし。(笑)
ということで、「私が愛したリボルバー」に続く、ステファニー・プラムシリーズ2作目。どうも世間一般的には2作目の方が断然面白いという評判みたいなんですが、でも私は1作目の方が楽しめたような... な、なぜだろう(^^;。や、こっちも面白かったんですよ。でもね、1作目の方が、なんていうか、五里霧中の手探り状態の面白さがあったような気がするんですよねえ。誰が味方で誰が敵なのか分からない中を主人公が1人暴走する、みたいな。今回はちょっと安定感が出てきて、そんながむしゃらぶりがあまり感じられなかったような...。
とは言え、今回もステファニーの家族がいい味を出していました。特にメイザおばあちゃん、かっこいいよぅ。ダーティ・ハリーも真っ青だ!(扶桑社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「あたしにしかできない職業」ジャネット・イヴァノヴィッチ
「モーおじさんの失踪」ジャネット・イヴァノヴィッチ
「サリーは謎解き名人」ジャネット・イヴァノヴィッチ

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各国の移民たちの吹き溜まりの街、モントリオールのザ・メインで起きた殺人事件。この街を知り尽くし、街の法律でもあるラポワント警部補は、押し付けられた新人刑事と共に事件を調べ始めます。
ミステリというよりもハードボイルド。でもこれはもう既にそういう範疇を超えてる作品かも。主人公は確かにラポワント警部補なんだけど、本当の主人公はこのザ・メインという街に違いないです。移民だの売春婦だの浮浪者だのがうろつく猥雑な街が濃やかに描かれていて、ものすごい存在感なんですもん。もうほんと、凄いんですよ。上手く説明できませんが、もうほんと「いぶし銀」という言葉がぴったりくるような作品で、すっごく良かった!! この作品だけ見ると、原尞さんに近い雰囲気かな。2人とも寡作なところも共通してるし。(笑) でも以前に読んだ「バスク、真夏の死」(これも良かった)は、また全然違う作品なんですよね。そして「アイガー・サンクション」「ルー・サンクション」「シブミ」、15年ぶりに出た新作「ワイオミングの惨劇」(そういえば、原さんも今度10年ぶりの新作が!)といった他の作品も、また違う雰囲気らしい...。ぜひとも全作品制覇したくなる作家さんです。(角川文庫)


それにしても、画像の出ない本ばかり。画像がないと地味だなー。で、次の本も画像が出ないんだよね(^^;。


+既読のトレヴェニアン作品の感想+
「夢果つる街」トレヴェニアン
「シブミ」上下 トレヴェニアン
「ワイオミングの惨劇」トレヴェニアン
Livreに「バスク、真夏の死」の感想があります)

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5?6歳の子供ばかり十数人を乗せたバスが、4人のテロリストにジャックされます。しかし、その日初めての殺人を犯すことになっていたミロ・シャンタスにとって計算外だったのは、そのバスの運転手が女性だったこと。金髪の女子高校生ケイトが、病気のおじの代わりに運転していたのです。
以前「チョコレート・ウォー」と「フェイド」を読んで、「チョコレート・ウォー」は今ひとつピンと来なかったんですが、「フェイド」がとても良かったコーミア。その後古本屋で、「ぼくが死んだ朝」と「真夜中の電話」を入手してたのですが、それっきりになってたんですよね。で、積読本リストを作った時に出てきたので、久々に読みたくなったんですが... この作品もあまりピンと来なかったかな。
でも後味はあまり良くないのに、何か後を引くんですよね、コーミアって。普段ならピンと来なかった作品のことなんてすぐに忘れてしまうのに、「チョコレート・ウォー」のことは、なぜかすごく覚えてるし、この作品もそんな存在になるのかもしれません。ちなみにサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」も、私にとってはそんな作品。ということでワケ分からん感想ですが、続けて「真夜中の電話」に行きまーす。(扶桑社文庫)


+既読のロバート・コーミア作品の感想+
「ぼくが死んだ朝」ロバート・コーミア
「真夜中の電話」ロバート・コーミア
Livreに「チョコレート・ウォー」「フェイド」の感想があります)

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副題は「ヒッチコックのお気に入り」。その名の通り、あのアルフレッド・ヒッチコックが選んだ短編集です。ヘンリイ・スレッサーというのは、「アルフレッド・ヒッチコック劇場」で脚本家をしていた人だそうで、この17編も全て実際にテレビドラマ化されてるんですって。いかにもヒッチコックが選びそうな、遊び心満載で洒脱で、皮肉がたっぷりと利いた作品ばかり。オチも鮮やかです。この本の題名もいいですよねえ。この題名で、ずっと読んでみたかったんですよー。ちなみに原題は、「A BOUQUET OF CLEAN CRIMES AND NEAT MURDERS」。前書きを読むと、これもヒッチコックの命名みたいな感じを受けるんですが、本当にそうなのかな?
アルフレッド・ヒッチコック劇場かー。一度(じゃなくても)観てみたかったなあ。(ハヤカワ文庫HM)

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31人の選りすぐりの若者たちがメンバーとなる「三十一人の会」。毎年1回集まって食事をすることだけが会の規則であり、そして最後の1人となった人間が次の31人を選ぶことによって、会は何世紀もの間続いていました。しかし今のメンバーが初めて顔を合わせてから32年後、会員は既に半数の14人に。死亡率が高過ぎることを気にした会員の1人が、マット・スカダーに調査を依頼します。
マット・スカダーシリーズ12冊目。今回はいつも以上にミステリ物だったんだけど、ちょっと地味だったかな。マットもなんだかんだ言って、「探偵」になってきちゃってるし、既に55歳というのには驚いちゃった。あと、作中に世界貿易センタービルが登場して、どっきり。1994年に書かれた作品だったのね。あの事件は、このシリーズにどんな影響を与えるんだろう...。(二見文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「過去からの弔鐘」「冬を怖れた女」「一ドル銀貨の遺言」「暗闇にひと突き」「八百万の死にざま」「聖なる酒場の挽歌」「慈悲深い死」「墓場への切符」「倒錯の舞踏」「獣たちの墓」「死者との誓い」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「死者の長い列」ローレンス・ブロック
「処刑宣告」ローレンス・ブロック

+既読のローレンス・ブロック作品の感想+
「殺しのリスト」ローレンス・ブロック
「砕かれた街」上下 ローレンス・ブロック
Livreに「泥棒は野球カードを集める」「殺し屋」の感想があります)

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先日行った花園大学公開講座「ミステリーの魅力」で、近藤史恵さんが海外ミステリ入門編として薦められてた本。近藤史恵さん大好きだし、すっごくキャラ立ちしててフランスでもブレイク中のシリーズということで、とても読みたかった本。
でも... いえ、キャラ立ちは凄いのです、確かに。これでもかこれでもかと個性的な人物が登場。ストーリーはユーモアたっぷりで、テンポも良くて面白い。でもね、読んでても人間関係がなかなか分からないんですよー。その辺りの説明が極めてあっさりしているので、「えっ、これは誰? どういう関係?!」の繰り返し。独身で、たんまりいる弟妹と一緒に暮らしているという主人公の家庭環境を飲み込むだけで、凄く時間がかかってしまいました...。「人間関係が全然ワカラナイー。でもなんだか面白いー」状態。結局なんとか理解したのは、後半に入ってからでしょうか... いえ、一旦分かってしまえば、全然なんてことないんですけどね。でも、こんなに掴みにくくて、それでも面白かったっていう作品も珍しいです、ほんと。やっぱりフランスの作品... だからなのでしょうか...?(笑)
これで人間関係は掴めたから、シリーズ次作はずっと楽しく読めると思います。なんかね、後を引くんですよね、この感じ。うーん、やっぱり面白かったんだな。不思議だなあ)(白水社)


+シリーズ既刊の感想+
「人喰い鬼のお愉しみ」D.ペナック
「人喰い鬼のお愉しみ」「カービン銃の妖精」ダニエル・ペナック
「散文売りの少女」ダニエル・ペナック
「ムッシュ・マロセーヌ」ダニエル・ペナック

+既読のダニエル・ぺナック作品の感想+
「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック
「カモ少年と謎のペンフレンド」ダニエル・ペナック
「奔放な読書」ダニエル・ぺナック

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