Catégories:“青春小説”

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ヒトミとアカコは漫才コンビ。大学の時に出会ってから8年、コンビを組んで2年。半年前、売れない芸人たちと一緒に喫茶店でライブをしていた時にスカウトされて、プロに転向。その日の若手お笑いたちのクリスマス・ライブが初舞台でした。しかし2人ともすっかりあがってしまい、客席の凍りつくような無反応に撃沈してしまいます。

第16回小説すばる新人賞を受賞したという、山本幸久さんのデビュー作。山本幸久さんは「幸福ロケット」(感想)がとても良くて、こっちも読んでみようと思ってたんですけど、随分遅くなってしまいました。
アカコやヒトミは有名人になりたくて、その手段として漫才を選んだのではなくて、2人で漫才をやるのが本当に好きで漫才をやっているというコンビ。途中多少波風は立つものの、基本的に自分たちのことがよく分かってるせいか、自分たちの進むべき道に悩むわけでもなく、才能の壁にぶち当たるわけでもなく、芸人の世界のドロドロとした部分に巻き込まれてにっちもさっちも行かなくなるわけでもなく... 初舞台こそ撃沈しますけど、全体を通して見れば、順調すぎるほど順調なんですよね。2人が本調子を出してしっかりやりさえすれば、それだけ客に受けるようになるという感じなのが、ちょっと綺麗事すぎるような気もしましたが...。でも2人のお互いに対する暖かい友情や、マネージャーの永吉や、アカコの祖母の「頼子さん」、自衛隊上がりのヘアメイクアップアーティストの白縫といった面々の暖かい視線に包まれて、気持ち良く読める作品でした。

作品の中で一番印象に残ったのは、終盤、マネージャーの永吉がテレビに出ていた2人についてコメントする場面。やっぱりテレビの方が映える人間、舞台の方が映える人間というのはいるんでしょうね。以前吉本の舞台を見に行った時は、テレビでも見る芸人さんが、舞台でもそのまんまなのにちょっと驚いたんですけど、永吉が言ってる部分は、やっぱり舞台から先に見ないと気がつかない部分なんでしょうねー。ちょっとその辺り、見比べてみたいという興味が...(笑)(集英社文庫)


+既読の山本幸久作品の感想+
「幸福ロケット」山本幸久
「笑う招き猫」山本幸久

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「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」(感想)、「2 ヨウイ」(感想)に続く完結編、「3 ドン」を読みました!
いやあ、良かった。本当に良かった。1巻も良かったんですけど、2巻でややトーンダウンしたので、心配してたんですよね。あまり好きじゃない展開にもなってたし。でも杞憂でした! 前2巻に比べるととちょっと長めなんですけど、一度読み始めたらもうやめられなくて一気読み。そして読み終えた瞬間、また3巻の最初に戻ってもう一度読み終えてしまいましたー。

健ちゃんとの決着があまりにあっさりついてしまったのには驚いたんですけど、やっぱり主役は新二ですね。1年の時は、無我夢中でなかなか思うように走ることができず、2年になってようやく陸上というものが分かり始め、2年の冬の地道なトレーニングで、3年になってようやく連や仙波、高梨たちと同じスタートラインに立った新二。そんな新二のしなやかな強さ、身体だけでなく精神的な強さが、佐藤多佳子さんの真っ直ぐな視線で描き出されていきます。1年の時に比べて、新二も連も他の面々も、本当に大きく成長したなあ、なんてしみじみと感慨にふけってしまうほど。それに試合の場面がそれほどなかった2巻に比べて、3巻は試合が中心。100mの10秒、そして4継の40秒といった、あっという間とも言える時間の描写を積み重ねることによって、読んでいるこちらまで緊張が高まって、心臓バクバク。(笑)
新二や連が時々言う、「かけっこ」という言葉がまたいいんですよね。そうそう、陸上だの4継だのマイルだの何だの言って、最終的には「かけっこ」なんです。もう本当に純粋に「走る」ことを楽しませてくれたし、「かけっこ」という言葉が、自分の知らない陸上の世界をすっかり身近に引き寄せてくれたようでした。いやあ、本当に良かったです。やっぱり佐藤多佳子さん、大好き~。オススメです!(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」(感想)の続編。

1巻でお馴染みになった登場人物たちが、さらに生き生きと動き回ってます。新二や連も2年になって後輩が入部してくるし、部員たちの絆もますます深まるし、部長の守屋を慕っている部員たちの様子もいい感じ。1巻ではまだまだ半人前だった新二も、ここではもうすっかり立派な陸上部員となっていました。なんだかんだ言って、連もちゃんとやってますしね。
でもね、終盤のアレはどうなんでしょう...。ここでそういう展開にはして欲しくなかったなあ。なんでそんなことにしたのか解せないし、相当の理由じゃないと納得もしたくないぞ。...ということで、最終巻が待たれます!(って、もう出てるんだよね) (講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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2歳年上の兄は天才的なMF。父も高校時代にDFとして国体に出場した経験があり、両親共にコアなマリノス・サポーター。そんな家に育った新二は、自分も地元のサッカーチームのFWでサッカーづけの毎日を送っていました。でも試合の前になると、いつも下腹がゴロゴロと鳴り、試合では実力が発揮しきれないタイプ。まるで才能のない自分に、いつしかサッカーを楽しめなくなっていたのです。そんな時、子供の頃からよく一緒にいた連が地元に戻ってくることを知ります。連は小学校の頃通っていた体操クラブでも将来の五輪金メダリストの卵と脚光を浴びながらもあっさりやめてしまい、今もまた全国大会の100mで7位という成績を残した、中学の陸上部を辞めようとしていました。新二と連は同じ高校に入り、一緒に陸上部に入部することに。

8月から3ヶ月連続で刊行中の佐藤多佳子さんの4年ぶりの新作。いやー、イイ!! やっぱり佐藤多佳子さん、好き!!
もう、読んでるうちに、こっちまで熱くなってきちゃう。陸上部とかその競技に関しては何も知らない私ですが、でも全然大丈夫。まだ1巻しか読んでないですけど、これは森絵都さんの「DIVE!!」と、あさのあつこさんの「バッテリー」と並ぶ作品になりそうな予感~。この2作にハマった人なら、きっとハマると思います。早く2巻3巻も読みたいなあ。(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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中学3年生の中森みちるは、崩れ始めたクラスの兆しを敏感に感じ取っていました。崩すのに2週間はかからないけれど、戻すのには半年以上かかる、そのことを小学校6年生の時に実感していたみちるは、クラスの終礼の時に何とかしようとクラスメートに呼びかけます。しかしそれが呼び水となって、それまで友達も多く好かれていたはずのみちるが、一気にクラスのいじめられっ子になってしまうのです。そしてそんなみちるを見ていられなかった優子も、教室に入れなくなってしまい...。

この作品を読むまで知らなかったんですけど、瀬尾まいこさんって中学校の先生だったんですね! なるほど、崩壊してしまったクラスの描写がリアルなはずです。現場を知っている人ならではですよ。とは言っても、ただ教師でいるだけじゃあ、こういう作品は書けないですよね。この作品の中にも、実際にその目で見ていながら、何も見ていないような教師が登場してますし。
「一人になりたくてなるのと、一人にされるのとはわけが違う」という優子の思い、「単なるパシリは情けないけど、有能な使えるパシリなんだぜ。逆にちょっとかっこいいだろ?」「パシリになるのと、パシらされるのは根本的に違うんだって」という斉藤君の言葉。結果的には何も変わらないかもしれないし、第三者から見る分にはまるで同じかもしれないけれど、それでも自分が選択するということの大切さ。もう既に崩壊してしまった学校でも、やはり温室に変わりはないのか、という思いはあるんですが、それでもはり学校というのは、社会から守ってくれている存在。その学校という空間を自分が選んでいるのか、それとも選ばされて仕方なく通っているだけなのか、というのは本当に大きく違いますし、実際に自分から通うことを選んだ優子の存在は、みちるの目には実に自然な姿に映っています。そして、自分できちんと考えて選んだことに正しいも誤ってるもないのですね。

最後を迎えても、外見的には特に何も大きく変わることはないし、悪戯に希望を持たせるわけでもないのだけれど...(ほんのりとした希望は感じられますが)
最近の私は海外作品ばかり読んでて、それは何より楽しいからだし、そういう作品からも得るものが色々とあると思ってるんですけど、そういうのしか読まないというのも、逆に片手落ちだと思うんですよね。この「温泉デイズ」は、1時間もかからずに読めてしまうような作品なんですが、でも日本のこういう作品も読まなきゃダメだな、そんな思いが残りました。とてもいい作品だと思います。(角川書店)


+既読の瀬尾まいこ作品の感想+
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
「優しい音楽」瀬尾まいこ
「温室デイズ」瀬尾まいこ
Livreに「卵の緒」「図書館の神様」「天国はまだ遠く」の感想があります)

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瀬名垣太一は、古書店「無窮堂」の三代目店主・本田真志喜を訪ねます。太一は店舗を持たない古本卸売り業者で、真志喜とは子供の頃からのつきあい。今度M県の山奥に買い付けに行くので、真志喜に付き合ってくれるよう頼みに来たのです... という「水底の魚」、2人の高校時代を描いた「水に沈んだ私の村」、そして文庫書き下ろしの「名前のないもの」の3編。

読み終えてから、三浦しをんさんが直木賞を受賞したことを聞いてびっくり。そうだったんですかー。いや、実は誰が候補になってるのかというのも知らなくて...(要するに関心がない) 森絵都さんとダブル受賞なんですね。おめでとうございます。
ということで、別にタイミングを狙ったわけじゃないんですけど、三浦しをんさんです。この文庫が出た時、装幀が可愛かったので買おうかなと思ったこともあったんですが、そんんなこんなしてるうちに、ボーイズラブっぽい...という話も入ってきて...(笑) でも古本屋の話だと聞いてまた気になってみたり...(笑) タイミング良く本を頂いたので早速読んでみました。

古本業界や稀覯本をめぐる収書家たちにまつわる話となると、まず紀田順一郎さんの「古本屋探偵の事件簿」を思い出すんですが(これはとにかく濃かったー)、この作品もそういった古本業界にまつわるエピソードが面白かったです。太一の父親は、古本屋で少しでも価値のありそうな本を漁って専門店に持って行ったり、廃棄場に捨てられている本をこっそり拾って古本屋に売りに行く、古本業界では「せどり」と呼ばれて嫌われる業者。その辺りの話も面白かったし、M県の奥に買い付けに行った時の話がいい! 亡くなった旦那さんの本に対する奥さんの思いとか、蔵書の中からたった1冊の本を選んだ時に真志喜たちがつけた理由とか、そしてその決着とか。親族たちとのやりとりも良かったし... 図書館の本に対する真志喜の言葉にはどっきり。
全体に流れる透明感のある静かな雰囲気も好きでした。でも真志喜と太一の関係については、どうなんだろう。2人が共有した過去の出来事や、そこから受けた傷、そして負い目、その辺りはとても良かったと思うんですが、ボーイズラブ的な雰囲気に関してだけは、今ひとつ。思わせぶりな雰囲気だけで、そのままフェイドアウトなんですもん。この曖昧さがいいのかもしれませんが、中途半端に逃げたとしか思えなくて。これで終わらせてしまうぐらいなら、最初からそんな雰囲気にしなければ良かったのに。それか逆に、真正面から全てを書ききって欲しかった。...まあ、そうなると読者をかなり限定してしまいそうですが(^^;。
でもひっかかったのはその部分ぐらいで、あとはとても面白かったです。(角川文庫)


+既読の三浦しをん作品の感想+
「しをんのしおり」三浦しをん
「月魚」三浦しをん

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オアシスが家に来たのは、丁度「ぼく」が生まれた日のこと。天気の良い日曜日、いつものように散歩に出かけていた「ばあちゃん」が公園のベンチに腰掛けて日向ぼっこと読書を楽しんでいると、か細く消え入りそうな声がミーミーと聞こえてきたのです。「ばあちゃん」があたりを見回してみると、ベンチの下にタオルの敷かれた木箱があり、その中にはまだ目も開いていないような子犬が震えていました。その犬にはオアシスという名前がつけられ、ぼくと一緒に育てられることに。

ボーダーコリーのオアシスと「ぼく」、そして「ばあちゃん」の物語。読み始めた時は、竹内さん自伝かと思ったぐらい、オアシスを中心とした家族への愛情がしみじみと伝わってくる作品。「ぼく」の両親も出てくるんですけど、こちらはあまり存在感がなくて、その分「ばあちゃん」の存在感がたっぷりです。年をとったらこうなりたいと憧れてしまうような、素敵な「ばあちゃん」。おばあちゃん子だったという友達がしてた色々な話を、ついつい思い出してしまいました。中には悲しい出来事もあるんですけど、でも最後の最後まで爽やかに読ませてくれるのが、また竹内真さんらしいところ。
この家の「じいさん」は、やっぱりあの「じーさん」なのかな? そういえば、「じーさん」が犬を散歩させてたこともありましたよね。この作品では、なかなかオアシスが懐かなくて困っていましたが。(笑) そしてはた万次郎さんの描かれているオアシスのイラストがまた可愛いのです~。もうこの雰囲気にぴったり。うちに以前いた犬が無性に懐かしくなっちゃう1冊でした。(うちの犬は、オアシスみたいに賢くはなかったですけどね...) (ヴィレッジブックスedge)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

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