Catégories:“青春小説”

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山田香な子は、半年前に葛飾区お花茶屋に引っ越してきた小学校5年生。香な子の不幸は、まずクリスマス・イヴが誕生日だということ、山田香な子なんて平凡な名前であること、そして両親の仲が良すぎて、父が母と少しでも長くいるためにと母と同じ職場に転職してしまったこと。そして香な子の通う小学校では、隣の席は小森くん。香な子にとっては、これといって特徴のある男の子ではないのですが、ある日、クラスメートの中でも特に可愛い町野ノドカに、小森くんをデートに誘うのを手伝って欲しいと頼まれて...。

本当はうめさんに「笑う招き猫」をオススメされていた山本幸久さんの作品。「笑う招き猫」も買ったんですが、家に置いてきてしまったんですよねえ。(今は祖母の家です) そしたら父が偶然この本を持っていて、先に読むことに。ああ、もう、なんて可愛らしい初恋物語なんでしょう!
町野さんに協力を頼まれるまでは何とも思っていなかった小森くんのことが、気になっていく過程がとても丁寧に描かれてますし、どのエピソードを取っても、もうほんと可愛いくて~。京成本線での密かなデート、学校で見ているよりも小森くんが大人っぽく見える場面、可愛さでは自称クラスで8番目(笑)の香な子が、自分と町野さんの違いを比べる場面、香な子の抜け駆けに怒った町野さんに逆に闘志を燃やす場面... ずんずんと引き込まれちゃいました。
香な子の両親や義昭オジサン、元モデルで美人でちょっと怖い鎌倉先生、小森くんのお母さんなど、脇役の面々も魅力的。お父さんの前の会社での頑張りぶりや会社を辞めたエピソードも効いてるし、小森くんのお母さんが未来の顔を描くというエピソードもいいですねえ。日下くんが天文にのめりこんでいく様子も微笑ましくて応援したくなります。爽やかでほのぼのとして、気持ちが柔らかくなれるような作品でした。「笑う招き猫」も早く読まなくっちゃ!(ポプラ社)


+既読の山本幸久作品の感想+
「幸福ロケット」山本幸久
「笑う招き猫」山本幸久

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わー、楽しかった。大学の4年間が春夏秋冬の章に分けて描かれていく群像劇なんですけど、もうほんと読んでて自分の大学時代が懐かしくなっちゃうような作品でした。
大学生活の良さって、在学中ももちろん色々とあって楽しいんですけど、卒業して就職して社会に出て初めて実感できるものだと思うんですよね。もう思い出すだけで身悶えしてしまいたくなるような恥ずかしい思い出も含めて(笑)、全部懐かしくなっちゃったり。中学や高校時代と同じようなもののはずなんだけど、それでも大学の4年間はやっぱり特別だと思うし、そんな日々が鮮やかに切り取られている作品。(あ、でも懐かしんでなんていたら、きっとこの大学の学長に怒られちゃうのね・笑)
中心となる5人がそれぞれにいい味を出してるんですけど、特に、最初はただの変な人物だった西嶋が良かったです。もう最初登場した時は「何なんだコイツ」だったんですが、読み進めるうちに一番好きになってました。(笑) なんで氷の美女・東堂が西嶋に惹かれたのかも、やっと分かったわ。東堂、すごい眼力。そして最後の最後に「幹事役の莞爾」が言う台詞も良かった。「夏」の章の鳥井のエピソードだけは、ちょーっときつかったんですけどね。

それにしても今回は麻雀が登場ですか。雀荘には行ったことないんですけど、私も麻雀は子供の頃に父親に教え込まれて多少は知ってるので、そういう意味でも楽しめました。麻雀を全然知らなくても、それほど差し障りはないとは思うんですけどね。実は賭け事全般に結構強いんです、私。いや、まず実際にはしないんですが。(ということは永遠のビギナーズ・ラック? 笑)(実業之日本社)


+既読の伊坂幸太郎作品の感想+
「死神の精度」伊坂幸太郎
「魔王」伊坂幸太郎
「砂漠」伊坂幸太郎
「終末のフール」伊坂幸太郎
「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎
「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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たらいまわし企画第12回「爽やかな春に読みたい青春小説」の時に、主催者様となったあいらぶっくすのみらくるさんが出してらした本。(記事はこちら) 椎名さんの本は以前「インドでわしも考えた」を読んで、すごく面白かったので他のも読みたいなーと思ってたんですけど、作品数が多いから何から手に取ればいいのやら... だったんですよね。青春小説は大好きだし、これはいい機会~ ということで。
アパート「克美荘」での男4人の同居生活を中心に、はちゃめちゃだった高校時代のことや、月刊誌の編集長をしていた時のこと、そしてその会社を辞めてしまって執筆に専念しているはずの「現在」のことなどがランダムに描かれていきます。

克美荘に住んでいるのは、脚本学校に通いながら小さな雑誌社でアルバイトをしている椎名さん本人と、レンアイをしては失恋することを繰り返している大学生の「沢野ひとし」、弁護士を目指して司法試験の勉強をしている「木村晋介」、サラリーマンで唯一定収入がある「イサオ」の4人。男4人というだけでも、かなりむさくるしそうなのに、その場所が、昼間でも陽が全く差し込まないというじめじめとしたアパートの6畳間。布団なんて、「ここに引っ越してきてからほとんどまともに陽に当てたことがなかったので、あきらかに水っぽくベタベタとしており、夜更けにに布団にもぐりこむと、寝入ろうとする者の体をおぞましいかんじで冷たく冷やすのである」ですって! でも干そうにも、この日当たりの悪いアパートじゃ到底無理。ということで、ある良い天気の日に、4人は各自布団を担いで近くの河原へと行くのです。実際には布団だけじゃなくて、きっと色々とものすごい状態になってるんでしょうけど、でもなんだか楽しそう。それに食事の風景もやけに美味しそうなんですよね。ざくっと作って、ご飯もおかずも人数分できっちり分けて、自分の割り当て分はがっつり食べる... 男同士の同居って豪快ですね。この面々は克美荘を卒業して何年経ってもいい関係のようで、それもなんだか羨ましくなっちゃいます。(新潮文庫)

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青森県の十和田を舞台にした爽やかな青春小説。雑食レビューのおおきさんにオススメされたんですけど、これは本当に良かったです! 竹内真さんの「自転車少年記」の話題から、青春小説といえば... といった感じでこの本の題名が出てきたんです。確かに「自転車少年記」と同質の青春小説。でも作品の雰囲気は、むしろ芦原すなおさんの「青春デンデケデケデケ」に近いかな? 時代も同じぐらいだし。「青春デンデケデケデケ」が大好きな人は必読でしょう。(逆もまた真なり)
スポーツ、友情、異性への興味、恋、親や教師への反感、出会いと別れといった、青春小説には王道のモチーフが、もう読んでいて気恥ずかしいほどの王道の展開で描かれていくんですけど、これが逆にストレートに響いてきて、もうキラキラ。登場人物も良かったし、印象的なシーンも色々あったし、読んでてうるうるしちゃいました。

実は「雨鱒の川」を読んだ時に、方言がほんと全然分からなくてかなり苦労したので、他の作品もそんな感じなんじゃ... とちょっと警戒してたんですけど、これはほぼ標準語でした。本当は方言で書かれていた方が雰囲気が出たんでしょうし、標準語を話す登場人物との対比も鮮やかになったんでしょうけど... 私にとっては、標準語で書かれていてとてもありがたかったです。(^^ゞ (集英社文庫)


+既読の川上健一作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「雨鱒の川」の感想)
「翼はいつまでも」川上健一

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「弟と暮らすのが夢だったの」と言う「姉」に拾われて、弟の「良」となった僕は、家から近いガソリンスタンドでの面接のために履歴書を書いていました。「適当はいいけど嘘はダメ。好きなことを好きなように、正直かつ大胆に書こう」という姉の言葉に、何も考えずに生年月日を書き、それに合わせて学歴を作り上げていきます。年齢は19歳。家族は姉だけ。性別は男。免許・資格はなし。趣味・特技は読書。書き終わった履歴書を愉快な気持ちで眺めた僕は、少しだけ物足りなく感じて、今度は「リレキショ」を書き始めます。

以前掲示板で教えて頂いていた中村航さんのデビュー作。文庫になっていたので、これは読んでみないと、と読み始めたのですが...
冒頭で、主人公はある日突然見知らぬ女性に拾われて同居することになったということが分かるんですけど、特に説明もないまま物語は進行。一体何があったんだ? どんな状況だったんだ? というのが気になって読み進めたんですが、その理由はほとんど説明されないままなんですよね。終盤、ちらりと良の過去を匂わせる部分が登場するんですけど、結局のところはそれだけ。うーん、これは一体どういうことだったんでしょう。記憶喪失になったのか、自分の意思だったのかも分からないんです。(文章から読み取れるのかもしれないけど、私には良く分からなかった) これって、要するに一種の現実逃避ですよね。それ自体はとても現代らしいテーマのような気がするのだけど... こんな風に全てが曖昧なままというのも、どうなのかしら?
登場人物はすごく少なくて、主に登場するのは主人公とその姉、姉の親友、良が働くガソリンスタンドの先輩、そしてウルシバラという少女だけ。姉と姉の親友と3人で飲んでる場面なんかとっても楽しそうだし、淡々とした雰囲気も良かったんですけど、それだけで終わってしまったような気がします...。(河出文庫)

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前の晩、一世一代の決心で3軒先に住む大学生・亨に誕生日カードを書いて出してしまったことを激しく後悔していた「つばめ」は、その日の午後、いつものように書道教室の後にビルの屋上へ。そして目に入ったのは、見慣れないキックボード。そして派手で意地悪そうな「星ばあ」。つばめは星ばあにキックボードを教える代わりに、亨へのカードを取り戻してもらうことに。

宙の本棚の小葉さんに教えて頂いた本です。
とっても可愛い作品でしたー。まず主人公の中学生のつばめの気持ちが1つずつすごくリアルに伝わってくるんですよね。外から見ると安定してるつばめも、その内心はそれほど安定しているわけではなくて、3 歳の時に自分を捨てた本当の母が書家だったことから書道を始めてみたり、自分の恋心を意識した途端に「亨くん」と話せなくなってしまったり(あるある)、実際には大したことを書いていないカードでも、出したことを1日中後悔してみたり。さらには隣の「いずみちゃん」が家を出た話で、「ママ」に苛ついたり。そんな1つ1つの気持ちがすごく伝わってくるんです。でもそれだけだと普通の話なんですが、この物語を引き締めているのが、意地悪な魔女のような星ばあの存在。言葉遣いが悪くて下品、ずけずけと意地悪なことばかり言うのに、どこか憎めないんですよねえ。空を飛べるなどという突飛な言葉も、このおばあさんなら本当に出来そう... なんて思っちゃう。つばめがついつい色々なことを話してしまうのも分かるんですよねえ。気づけば、2人の会話に引き込まれちゃってました。
星ばあの屋根に関する薀蓄も面白かったし、くらげのように夜空を飛んでいる夢のシーンが印象的。そして人のことには威勢が良くても、自分のことになると途端に意気地がなくなる星ばあが可愛く見えてくるラスト。優しさと暖かさが広がります。(ポプラ社)

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金髪の鶏冠頭の不良少年・竜二が、元担任教師に引きずられるようにして、大酒飲みで借金まみれの落語家・笑酔亭梅寿に入門することになって... という物語。連作短編集です。

随分前からヤマボウシさんにオススメされていた作品。ようやく読めました。
あの田中啓文さんが、こんな普通の (一般的に読みやすいという意味です・笑) 作品も書いてらしたとは! と、まずびっくり。いつもの破天荒な作風はどこにいっちゃったの? 読む前に、先入観入りまくりだったんですけど...!(笑)
いえ、ネットでの評判は上々のようだし、きっとかなり読みやすい作品になってるんだろうなとは思ってたんですけどね。それにしても違いすぎですよぅ。...と偉そうに言えるほど田中啓文作品を読んでるわけじゃないんですが... でもほんとびっくりしちゃいました。ええと、良い方に意外だったし、でもちょっぴり拍子抜けでもあり。
どこが拍子抜けだったかといえば、これが全くそつがない、綺麗にまとまった作品だったってところですね。(やっぱり先入観は大きいぞ・笑) 主人公の竜二が、絵に描いたような不良少年だった割に、特に反抗することもなくこの世界に馴染んでしまうというのもそうだし、特に「派手な外見とは裏腹に、実は良い子で、才能もあった」ってところなんて、「いかにも」ですよね。さりげなく師匠を立てながら、謎解きをしちゃうところも。でもこの師匠、味があってなかなかいいんですよねえ。兄弟子姉弟子も、それぞれに人間らしくて面白かったし。ミステリとしては小粒だけど、きちんと落語のネタにリンクしてるし、落語初心者にも優しい作りだし、話のテンポも良いし、実際にそれぞれの落語を聞いてみたくなる1冊でした。
...でもやっぱり、なんか騙されたような気がするのは拭えない... 妙な先入観がなければ、もっと楽しめたのに! 何かが起きるのを期待しちゃったじゃないかーっ。(笑)
あ、落語といえば、「タイガー&ドラゴン」のDVDはもう出たんですよね。今度借りて来なくっちゃ。(集英社)

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