Catégories:“青春小説”

Catégories: / /

 [amazon]
宝塚、宝塚南口、逆瀬川(さかせがわ)、小林(おばやし)、仁川(にがわ)、甲東園(こうとうえん)、門戸厄神(もんどやくじん)、西宮北口。片道15分ほどの短い阪急今津線を舞台にした人間模様。

阪急電車の今津線が舞台の作品。以前からともっぺさんにオススメされてたものの、図書館で借りようと思ったら大人気。ようやく読めましたよ。いや、本当は書店に本が並んだ時から気にはなってたんですよね。だって、関西に引っ越して以来、ずっと阪急沿線に住んでる私。途中で何度か引越ししたとはいえ、相も変わらず阪急沿線。そして阪急の今津線といえば、私が中学高校の間毎日のように乗っていた路線なんですもん。今ではほとんど乗ることもないんですけどね。これで気にならない方が嘘でしょう~。でもよく知ってるだけに、本筋とは関係ない妙なとこで突っ込んでしまいそうという不安もあって。オススメされるまでは読むつもりはなかったんです。

で、実際に読んでみて。
いや、もう、懐かしい! 初っ端から清荒神ですか。しかも宝塚中央図書館って! ここが建てられた時のことだって覚えてますよぅ。他にも懐かしくなってしまう風景ばかり。燕が巣を作った駅の「今年もやって参りました。お騒がせしますが、巣立ちまでどうぞ温かく見守ってください」という貼り紙にも見覚えがあるし...。登場する人たちの学校もすぐ分かりますね。あれ、ここが出てるのにあそこは出さないの? とか思ったりもしましたが。
でも、案の定突っ込みたい部分も色々と... まず言葉。大阪と神戸の丁度中間というあの土地の言葉は、大阪とも神戸とも違うものだと私は認識してるんですが...? 西宮北口を「西北」なんて言うのも初耳。私は「北口」としか言わないけど、今はそういう言い方するのかしらん。それに、あのほのぼの和やかな今津線に、あんな下品なオバサンも逆ギレ男もいませんよー、とかね。(競馬のある日だけは、電車の中の雰囲気が変わるんですけどね) でも、あそこの小学校(知る人ぞ知る私立の名門お嬢さん学校)があんな扱いされてるのにはびっくりしたけど(だから外見的な描写が変えられてるのね)、うん、こういうこともあるでしょう、と思うし。それに「えっちゃん」の話も、いかにもありそう! 実話と知って思いっきり納得。(笑)

ま、気になる部分もあったんですが、結局あれですね。そんなの全部を乗り越えて、もう可愛すぎ! 身悶えしてしまうぐらい。(笑) そうでなくても、こんな風に色んな人の人生が交錯していくタイプの話って大好きなんです。普通に見える電車の中に潜む様々なドラマ。おばあちゃんも彼も彼女もいい味出してたし、うふふ、楽しかったです。(幻冬舎)


+既読の有川浩作品の感想+
「海の底」有川浩
「図書館戦争」「図書館内乱」有川浩
「阪急電車」有川浩

| | commentaire(10) | trackback(6)
Catégories: /

 [amazon]
第一回ビール祭は1983年、正吉が小学校6年生の時。参加者は秘密基地の正式メンバーである正吉と広治郎と勇の3人、そして紅一点の薫。3人の男子が密かに恋心を抱いていた茜が引っ越すことになり、薫が仲良しの茜も連れて来ることを期待して、女人禁制の秘密基地に特別に誘ったのです。茜が引っ越すことになったのは、その町から月星ビールが撤退することになったせい。残念ながら茜は不参加でしたが、4人は茜に引越しさせた奴らに復讐と称して缶ビールを飲むことに。

ああー、「カレーライフ」のビール版ですね! 小学校の時に出会った正吉、広治郎、勇、薫という4人の人生が、転校や進学、就職などによって近づいたり離れたりしながら、それぞれにビール作りに関わっていくという物語。人生の節目節目、というほどではないですが、何かある時は常にビールを片手にしている彼ら。昨日読んだ「ワンダー・ドッグ」は約10年の物語だったんですが、今回のスパンは約20年。竹内真さんの作品って、考えてみたらこういうのが多いなあ。もちろん「カレーライフ」もそうだったし。
それでも「カレーライフ」みたいにみんなで自分たちのカレーを作り上げたのとはちょっと違っていて、実際にビール作りをするのは正吉だけ。他の面々も大事な仲間ではあるんですが、オーストラリアで正吉が出会ったウィリアムが言ったような「人は、それぞれの場所で闘うものじゃないかな」状態。どうしても「カレーライフ」と無意識のうちに比べてしまうので、実際の作り方で試行錯誤する場面がないのがちょっと物足りなくもあったんだけど... それでも出来上がったビールはやっぱり美味しそうです。ここんとこまた暑い日が続いてますからねえ。そうでなくてもビールが美味しいのに! そこに「がーっと飲むのに向いたビールもあれば、じっくり飲むのに向いたビールもある。俺が造ってんのは、たっぷり時間をかけて味わう価値のあるビールなんだ」という正吉の言葉。いやあ、ほんと正吉が作ってるビールが飲みたくなってきてしまいますー。(東京創元社)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

| | commentaire(3) | trackback(3)
Catégories: /

 [amazon]
1989年4月6日。空沢高校の入学式に遅刻した甲町源太郎の制服は所々破れて砂埃にまみれ、膝やこめかみの辺りには乾きかけた血の痕が、そして制服の胸元には子犬が...! 遅刻した原因は交通事故。自転車で交差点を渡ろうとした時、左折してきたライトバンとぶつかったのです。幸い大きな怪我もなく、高校まで歩いて来ることになった源太郎が見つけたのは、道端に捨てられていた犬。社宅住まいで犬を飼えない源太郎は、学校が終わった後に早速飼い主探しにとりかかります。そして顔見知りの先輩のアドバイスで、学校の敷地の隅でテントを張っていたワンゲル部に行ってみることに。

「ワンダー・ドッグ」のタイトルからも、犬が登場するんだろうなというのは想像できるんですけど、ここまで犬が中心の話だったとは!
犬につけられた名前は「ワンダー」。約10年間の、ワンダーとワンダーをめぐる人々の物語となっていました。ワンゲル部の努力の甲斐あって学校の犬となったワンダーは、拾い主の甲町源太郎の卒業の時が来て、その時にはもう自宅で犬が飼えるようになってるんですけど、学校に居続けることになるんですよね。既に甲町源太郎個人の犬ではなくなってるんです。そして子犬だったワンダーが大きな成犬となるように、最初3人しかいなかった廃部寸前の弱小部はいつしか空沢高校の顔とも言えるような部に...。最初にワンダーと関わった高校生たちが卒業していっても、また新たな高校生が入学してきて、それぞれにワンゲル部やワンダーと関わっているのがまたいいんですよねえ。
前作の「オアシス」も犬が中心的存在となっていたし、その時も十分感じてましたけど、竹内真さんは犬が本当にお好きなんですねー。しかも犬が好きで可愛がるだけでなくて、きちんと正面から向き合っている姿勢が伺えます。ほんとこのワンダーが可愛くて可愛くて。犬好きさんには堪らない作品かと。そして犬だけでなく、ワンダーを拾った甲町源太郎も、ワンゲル部顧問の大地先生も、憎まれ役の教頭ですらとても魅力的。竹内真さんらしい爽やかな青春物語でした。(新潮社)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

| | commentaire(4) | trackback(2)
Catégories: /

 [amazon]
学生の多い東京の西の近郊の町にある古道具屋・中野商店。店主は25年ほど前に脱サラして店を始めたという中野さんで、店には昭和を思わせる雑多な生活用品が並んでいます。アルバイトはタケオとヒトミの2人。タケオは引き取り要員で、午後になると中野さんとトラックで依頼のあったお客の荷物を引き取りに行き、ヒトミは午前に引き続き店番をするという役割分担。そして店には中野さんの姉のマサヨさんもよく顔を出すのです。

店主の中野さんの人柄なのか、どこか不思議な雰囲気を漂わせている中野商店での日々を、アルバイトのヒトミの視点から描いた長編。店に深く関わっている4人も、ここにやってくる客も、中野さんの愛人だというサキ子も、みーんなみんなマイペース。平凡な日々の中にもそれなりに波があり、それを淡々と描き出しているような感じの作品です。古い写真を眺めながら、こういうこともあったなあ、と思い出に浸っているという印象でしょうか。ええと、今の私にはあまりインパクトが感じられなくてさらっと読み流してしまったのだけど、こういうのが好きな人には堪らない作品かもしれないですねえ。(新潮文庫)


+既読の川上弘美作品の感想+
「古道具中野商店」川上弘美
「大好きな本 川上弘美書評集」川上弘美
Livreに「神様」「なんとなくな日々」「センセイの鞄」「パレード」の感想があります)

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
神山高校に入学して1ヶ月。まるで進まない「入学一ヶ月の実態と今後の抱負」という作文を前に、折木奉太郎が福部里志から学校の怪しい噂を聞かされることになる「やるべきことなら手短」他、全7編の短編集。

古典部シリーズ4作目は、シリーズ初の短編集。ホータローたちの高校入学1ヵ月後の話から始まるので驚いたんですが、7編が2年生目前の春休みまでの時系列順に並んでました。今までの3作の合間合間を埋める作品の集まりとなってるんですねえ。
どの作品も、中心になっているのはホータローと千反田える。7編の中でちょっとおおっと思ったのは、「心あたりのある者は」ですね、やっぱり。これはハリイ・ケメルマンの名作「九マイルは遠すぎる」の古典部版。本家の「九マイル」ほどの迫力はないと思うし(あれは衝撃的でした...!)、本当にそれが正解なの?なんて思っちゃったりもするんですけど、ホータローの謎解きとしてはぴったりだし、ものすごく古典部らしさが出てるような~。そして最後の「遠まわりする雛」のラストでは、思いがけない余韻が! 今まで千反田えるといえば、「私、気になります」の一言でホータローを行動に移させる役割に徹していたように思うんですが、今後はその存在も少しずつ変化していくかも? 楽しみです。(角川書店)


+シリーズ既刊の感想+
「氷菓」「愚者のエンドロール」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「クドリャフカの順番 『十文字』事件」米澤穂信
「遠まわりする雛」米澤穂信

+既読の米澤穂信作品の感想+
「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信
「犬はどこだ」米澤穂信
「夏期限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信
「ボトルネック」米澤穂信
「インシテミル」米澤穂信
Livreに「さよなら妖精」の感想があります)

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
「太陽がいっぱい」ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス」「ペイルライダー」「愛の泉」という、映画の題名のついた短編5編。「太陽がいっぱい」には在日朝鮮人の少年たちが登場して、これまでの金城一紀さんの作品にかなり近いんですけど(最初、実話かと思いました...)、2作目以降の作風はハードボイルドタッチだったり、ハートウォーミングだったりと様々。でも全ての話に、8月31日に区民会館で上演の「ローマの休日」が共通していて、それぞれの物語の登場人物たちが、それぞれの想いを胸に「ローマの休日」を同じスクリーンで観ることになりますし、他にもちょこちょことリンクしてる部分がある、ゆるいくくりの連作短編集。

「ローマの休日」以外のリンクから浮かび上がってくるのは、結構重いドラマだったりするんですけど、5つの物語を締めくくる「愛の泉」がとても暖かいので、幸せな読後感。最後まで読んで、最初の「ローマの休日」上映会のポスターに戻ると感慨深いものが~。その後が気になる話もあるんですけど、これはトム・リプリーが逮捕されない「太陽がいっぱい」ということなのかな。この中だとやっぱり「愛の泉」がいい、という人が多いと思うんですけど、ちょっぴり冗長な感じもあったので(浜石教授の口癖「easy come, easy go」が効いてるのかも)、私は「ドラゴン怒りの鉄拳」が好きでした。これは、夫がある日突然自殺してしまって、戸惑う妻の物語。ゾンビーズシリーズのようにページをめくる手が止まらないという感じではなくて、読んでる途中で何度も前に戻ったりして、私としては読むのにとても時間がかかった作品だったかも。すっと読めば、それほど長くないんですけどね。

そしてこの作品、とにかく映画が沢山登場します。公式サイトによると、なんと全部で96本の題名が挙がっているのだとか。私は、今でこそほとんど映画をを観なくなってしまったんですけど、高校から大学にかけて白黒映画を中心に古い名画を観るのが好きだった時期があるので、懐かしい作品が色々ありました。「太陽がいっぱい」を観たのもその頃。フランス映画にもいいのがいっぱいあると思うのに、金城さんがお好きなフランス映画ってこれだけなのかな...。そうそう、フランス映画といえば、この作品の中で何度も登場するのに題名が一度も書かれていなくて、すごく気になった映画が1つあったんです。金持ちでインテリの主婦がアラブ系の労働者階級の若者と不倫して、やがてアラブ系の若者は差別のために殺されてしまうという話だそうなんですが... なんだろう? カンヌか何かの国際的な映画賞を取っていて、著名人や文化人が好きな映画としてよく名前を挙げるという映画なんですって。「トップガン」(日本では1986年公開)と同時期に日本で公開しているようだったので、1985~1986年を中心に、カンヌだけじゃなくてヴェネチアの方もちょっと見てみたんですが、それらしいのは見当たらなかったです。残念。(集英社)


+既読の金城一紀作品の感想+
「GO」金城一紀
「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「SPEED」金城一紀
「対話篇」金城一紀
「映画篇」金城一紀

| | commentaire(4) | trackback(2)
Catégories: /

 [amazon]
5月の終わり。大学のクラブのOBの結婚パーティに出席した「私」は、ひそかに想いを寄せる後輩の乙女が二次会に出ないのを見て、その後をつけていき...という「夜は短し歩けよ乙女」、以下「深海魚たち」「ご都合主義者かく語りき」「魔風邪恋風邪」といった連作短編集。

クラブの後輩である黒髪の乙女に一目惚れした冴えない大学生が、「なるべく彼女の目にとまる作戦」、略して「ナカメ作戦」を駆使しつつ、ひたすら彼女を追いかけるという話。要するにストーカー一歩手前の話です。(なんて書くと身も蓋もないけど...)
先輩のことなど一顧だにしない乙女に自分の存在を認識させるべく、彼は悪戦苦闘するんですけど、当の乙女はどこ吹く風。次から次へと「オモチロイ」ことに興味を持ってふらふらと行ってしまうんですねー。そしてその黒髪の乙女が実はすんごい酒豪で、相当の天然ボケ... というよりもむしろ、あまりにも純真無垢なので楽しいのです。他方、追いかける先輩大学生は妄想炸裂だし、2人の周囲には奇怪至極としか言いようのない強烈な個性の持ち主がこれでもかっていうほどいっぱい。レトロな語り口も相まって、こんな摩訶不思議な空間が生まれるわけですね。(笑)

この黒髪の乙女も先輩も名前が出てこないんですね。感想を書きにくいったらありゃしないんですが、それがまたポイントのような気がするー。そして彼女のお姉さんがまた味のある人物のようで、冒頭で彼女に「おともだちパンチ」なんてものを伝授したことが書かれてるんですけど、これだけでも掴みはオッケー。このお姉さんの話もぜひ読んでみたい! 一体どんな姉妹なんでしょう? おともだちパンチ、思わず自分でも手を握って確かめてしまいましたよ。(笑)(角川書店)


+既読の森見登美彦作品の感想+
「太陽の塔」森見登美彦
「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

| | commentaire(3) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
ヒトミとアカコは漫才コンビ。大学の時に出会ってから8年、コンビを組んで2年。半年前、売れない芸人たちと一緒に喫茶店でライブをしていた時にスカウトされて、プロに転向。その日の若手お笑いたちのクリスマス・ライブが初舞台でした。しかし2人ともすっかりあがってしまい、客席の凍りつくような無反応に撃沈してしまいます。

第16回小説すばる新人賞を受賞したという、山本幸久さんのデビュー作。山本幸久さんは「幸福ロケット」(感想)がとても良くて、こっちも読んでみようと思ってたんですけど、随分遅くなってしまいました。
アカコやヒトミは有名人になりたくて、その手段として漫才を選んだのではなくて、2人で漫才をやるのが本当に好きで漫才をやっているというコンビ。途中多少波風は立つものの、基本的に自分たちのことがよく分かってるせいか、自分たちの進むべき道に悩むわけでもなく、才能の壁にぶち当たるわけでもなく、芸人の世界のドロドロとした部分に巻き込まれてにっちもさっちも行かなくなるわけでもなく... 初舞台こそ撃沈しますけど、全体を通して見れば、順調すぎるほど順調なんですよね。2人が本調子を出してしっかりやりさえすれば、それだけ客に受けるようになるという感じなのが、ちょっと綺麗事すぎるような気もしましたが...。でも2人のお互いに対する暖かい友情や、マネージャーの永吉や、アカコの祖母の「頼子さん」、自衛隊上がりのヘアメイクアップアーティストの白縫といった面々の暖かい視線に包まれて、気持ち良く読める作品でした。

作品の中で一番印象に残ったのは、終盤、マネージャーの永吉がテレビに出ていた2人についてコメントする場面。やっぱりテレビの方が映える人間、舞台の方が映える人間というのはいるんでしょうね。以前吉本の舞台を見に行った時は、テレビでも見る芸人さんが、舞台でもそのまんまなのにちょっと驚いたんですけど、永吉が言ってる部分は、やっぱり舞台から先に見ないと気がつかない部分なんでしょうねー。ちょっとその辺り、見比べてみたいという興味が...(笑)(集英社文庫)


+既読の山本幸久作品の感想+
「幸福ロケット」山本幸久
「笑う招き猫」山本幸久

| | commentaire(2) | trackback(1)
Catégories: /

   [amazon]
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」(感想)、「2 ヨウイ」(感想)に続く完結編、「3 ドン」を読みました!
いやあ、良かった。本当に良かった。1巻も良かったんですけど、2巻でややトーンダウンしたので、心配してたんですよね。あまり好きじゃない展開にもなってたし。でも杞憂でした! 前2巻に比べるととちょっと長めなんですけど、一度読み始めたらもうやめられなくて一気読み。そして読み終えた瞬間、また3巻の最初に戻ってもう一度読み終えてしまいましたー。

健ちゃんとの決着があまりにあっさりついてしまったのには驚いたんですけど、やっぱり主役は新二ですね。1年の時は、無我夢中でなかなか思うように走ることができず、2年になってようやく陸上というものが分かり始め、2年の冬の地道なトレーニングで、3年になってようやく連や仙波、高梨たちと同じスタートラインに立った新二。そんな新二のしなやかな強さ、身体だけでなく精神的な強さが、佐藤多佳子さんの真っ直ぐな視線で描き出されていきます。1年の時に比べて、新二も連も他の面々も、本当に大きく成長したなあ、なんてしみじみと感慨にふけってしまうほど。それに試合の場面がそれほどなかった2巻に比べて、3巻は試合が中心。100mの10秒、そして4継の40秒といった、あっという間とも言える時間の描写を積み重ねることによって、読んでいるこちらまで緊張が高まって、心臓バクバク。(笑)
新二や連が時々言う、「かけっこ」という言葉がまたいいんですよね。そうそう、陸上だの4継だのマイルだの何だの言って、最終的には「かけっこ」なんです。もう本当に純粋に「走る」ことを楽しませてくれたし、「かけっこ」という言葉が、自分の知らない陸上の世界をすっかり身近に引き寄せてくれたようでした。いやあ、本当に良かったです。やっぱり佐藤多佳子さん、大好き~。オススメです!(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(0) | trackback(4)
Catégories: /

 [amazon]
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」(感想)の続編。

1巻でお馴染みになった登場人物たちが、さらに生き生きと動き回ってます。新二や連も2年になって後輩が入部してくるし、部員たちの絆もますます深まるし、部長の守屋を慕っている部員たちの様子もいい感じ。1巻ではまだまだ半人前だった新二も、ここではもうすっかり立派な陸上部員となっていました。なんだかんだ言って、連もちゃんとやってますしね。
でもね、終盤のアレはどうなんでしょう...。ここでそういう展開にはして欲しくなかったなあ。なんでそんなことにしたのか解せないし、相当の理由じゃないと納得もしたくないぞ。...ということで、最終巻が待たれます!(って、もう出てるんだよね) (講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(2) | trackback(2)
Catégories: /

 [amazon]
2歳年上の兄は天才的なMF。父も高校時代にDFとして国体に出場した経験があり、両親共にコアなマリノス・サポーター。そんな家に育った新二は、自分も地元のサッカーチームのFWでサッカーづけの毎日を送っていました。でも試合の前になると、いつも下腹がゴロゴロと鳴り、試合では実力が発揮しきれないタイプ。まるで才能のない自分に、いつしかサッカーを楽しめなくなっていたのです。そんな時、子供の頃からよく一緒にいた連が地元に戻ってくることを知ります。連は小学校の頃通っていた体操クラブでも将来の五輪金メダリストの卵と脚光を浴びながらもあっさりやめてしまい、今もまた全国大会の100mで7位という成績を残した、中学の陸上部を辞めようとしていました。新二と連は同じ高校に入り、一緒に陸上部に入部することに。

8月から3ヶ月連続で刊行中の佐藤多佳子さんの4年ぶりの新作。いやー、イイ!! やっぱり佐藤多佳子さん、好き!!
もう、読んでるうちに、こっちまで熱くなってきちゃう。陸上部とかその競技に関しては何も知らない私ですが、でも全然大丈夫。まだ1巻しか読んでないですけど、これは森絵都さんの「DIVE!!」と、あさのあつこさんの「バッテリー」と並ぶ作品になりそうな予感~。この2作にハマった人なら、きっとハマると思います。早く2巻3巻も読みたいなあ。(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
中学3年生の中森みちるは、崩れ始めたクラスの兆しを敏感に感じ取っていました。崩すのに2週間はかからないけれど、戻すのには半年以上かかる、そのことを小学校6年生の時に実感していたみちるは、クラスの終礼の時に何とかしようとクラスメートに呼びかけます。しかしそれが呼び水となって、それまで友達も多く好かれていたはずのみちるが、一気にクラスのいじめられっ子になってしまうのです。そしてそんなみちるを見ていられなかった優子も、教室に入れなくなってしまい...。

この作品を読むまで知らなかったんですけど、瀬尾まいこさんって中学校の先生だったんですね! なるほど、崩壊してしまったクラスの描写がリアルなはずです。現場を知っている人ならではですよ。とは言っても、ただ教師でいるだけじゃあ、こういう作品は書けないですよね。この作品の中にも、実際にその目で見ていながら、何も見ていないような教師が登場してますし。
「一人になりたくてなるのと、一人にされるのとはわけが違う」という優子の思い、「単なるパシリは情けないけど、有能な使えるパシリなんだぜ。逆にちょっとかっこいいだろ?」「パシリになるのと、パシらされるのは根本的に違うんだって」という斉藤君の言葉。結果的には何も変わらないかもしれないし、第三者から見る分にはまるで同じかもしれないけれど、それでも自分が選択するということの大切さ。もう既に崩壊してしまった学校でも、やはり温室に変わりはないのか、という思いはあるんですが、それでもはり学校というのは、社会から守ってくれている存在。その学校という空間を自分が選んでいるのか、それとも選ばされて仕方なく通っているだけなのか、というのは本当に大きく違いますし、実際に自分から通うことを選んだ優子の存在は、みちるの目には実に自然な姿に映っています。そして、自分できちんと考えて選んだことに正しいも誤ってるもないのですね。

最後を迎えても、外見的には特に何も大きく変わることはないし、悪戯に希望を持たせるわけでもないのだけれど...(ほんのりとした希望は感じられますが)
最近の私は海外作品ばかり読んでて、それは何より楽しいからだし、そういう作品からも得るものが色々とあると思ってるんですけど、そういうのしか読まないというのも、逆に片手落ちだと思うんですよね。この「温泉デイズ」は、1時間もかからずに読めてしまうような作品なんですが、でも日本のこういう作品も読まなきゃダメだな、そんな思いが残りました。とてもいい作品だと思います。(角川書店)


+既読の瀬尾まいこ作品の感想+
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
「優しい音楽」瀬尾まいこ
「温室デイズ」瀬尾まいこ
Livreに「卵の緒」「図書館の神様」「天国はまだ遠く」の感想があります)

| | commentaire(8) | trackback(4)
Catégories: /

 [amazon]
瀬名垣太一は、古書店「無窮堂」の三代目店主・本田真志喜を訪ねます。太一は店舗を持たない古本卸売り業者で、真志喜とは子供の頃からのつきあい。今度M県の山奥に買い付けに行くので、真志喜に付き合ってくれるよう頼みに来たのです... という「水底の魚」、2人の高校時代を描いた「水に沈んだ私の村」、そして文庫書き下ろしの「名前のないもの」の3編。

読み終えてから、三浦しをんさんが直木賞を受賞したことを聞いてびっくり。そうだったんですかー。いや、実は誰が候補になってるのかというのも知らなくて...(要するに関心がない) 森絵都さんとダブル受賞なんですね。おめでとうございます。
ということで、別にタイミングを狙ったわけじゃないんですけど、三浦しをんさんです。この文庫が出た時、装幀が可愛かったので買おうかなと思ったこともあったんですが、そんんなこんなしてるうちに、ボーイズラブっぽい...という話も入ってきて...(笑) でも古本屋の話だと聞いてまた気になってみたり...(笑) タイミング良く本を頂いたので早速読んでみました。

古本業界や稀覯本をめぐる収書家たちにまつわる話となると、まず紀田順一郎さんの「古本屋探偵の事件簿」を思い出すんですが(これはとにかく濃かったー)、この作品もそういった古本業界にまつわるエピソードが面白かったです。太一の父親は、古本屋で少しでも価値のありそうな本を漁って専門店に持って行ったり、廃棄場に捨てられている本をこっそり拾って古本屋に売りに行く、古本業界では「せどり」と呼ばれて嫌われる業者。その辺りの話も面白かったし、M県の奥に買い付けに行った時の話がいい! 亡くなった旦那さんの本に対する奥さんの思いとか、蔵書の中からたった1冊の本を選んだ時に真志喜たちがつけた理由とか、そしてその決着とか。親族たちとのやりとりも良かったし... 図書館の本に対する真志喜の言葉にはどっきり。
全体に流れる透明感のある静かな雰囲気も好きでした。でも真志喜と太一の関係については、どうなんだろう。2人が共有した過去の出来事や、そこから受けた傷、そして負い目、その辺りはとても良かったと思うんですが、ボーイズラブ的な雰囲気に関してだけは、今ひとつ。思わせぶりな雰囲気だけで、そのままフェイドアウトなんですもん。この曖昧さがいいのかもしれませんが、中途半端に逃げたとしか思えなくて。これで終わらせてしまうぐらいなら、最初からそんな雰囲気にしなければ良かったのに。それか逆に、真正面から全てを書ききって欲しかった。...まあ、そうなると読者をかなり限定してしまいそうですが(^^;。
でもひっかかったのはその部分ぐらいで、あとはとても面白かったです。(角川文庫)


+既読の三浦しをん作品の感想+
「しをんのしおり」三浦しをん
「月魚」三浦しをん

| | commentaire(4) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
オアシスが家に来たのは、丁度「ぼく」が生まれた日のこと。天気の良い日曜日、いつものように散歩に出かけていた「ばあちゃん」が公園のベンチに腰掛けて日向ぼっこと読書を楽しんでいると、か細く消え入りそうな声がミーミーと聞こえてきたのです。「ばあちゃん」があたりを見回してみると、ベンチの下にタオルの敷かれた木箱があり、その中にはまだ目も開いていないような子犬が震えていました。その犬にはオアシスという名前がつけられ、ぼくと一緒に育てられることに。

ボーダーコリーのオアシスと「ぼく」、そして「ばあちゃん」の物語。読み始めた時は、竹内さん自伝かと思ったぐらい、オアシスを中心とした家族への愛情がしみじみと伝わってくる作品。「ぼく」の両親も出てくるんですけど、こちらはあまり存在感がなくて、その分「ばあちゃん」の存在感がたっぷりです。年をとったらこうなりたいと憧れてしまうような、素敵な「ばあちゃん」。おばあちゃん子だったという友達がしてた色々な話を、ついつい思い出してしまいました。中には悲しい出来事もあるんですけど、でも最後の最後まで爽やかに読ませてくれるのが、また竹内真さんらしいところ。
この家の「じいさん」は、やっぱりあの「じーさん」なのかな? そういえば、「じーさん」が犬を散歩させてたこともありましたよね。この作品では、なかなかオアシスが懐かなくて困っていましたが。(笑) そしてはた万次郎さんの描かれているオアシスのイラストがまた可愛いのです~。もうこの雰囲気にぴったり。うちに以前いた犬が無性に懐かしくなっちゃう1冊でした。(うちの犬は、オアシスみたいに賢くはなかったですけどね...) (ヴィレッジブックスedge)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

| | commentaire(0) | trackback(1)
Catégories: / /

 [amazon]
山田香な子は、半年前に葛飾区お花茶屋に引っ越してきた小学校5年生。香な子の不幸は、まずクリスマス・イヴが誕生日だということ、山田香な子なんて平凡な名前であること、そして両親の仲が良すぎて、父が母と少しでも長くいるためにと母と同じ職場に転職してしまったこと。そして香な子の通う小学校では、隣の席は小森くん。香な子にとっては、これといって特徴のある男の子ではないのですが、ある日、クラスメートの中でも特に可愛い町野ノドカに、小森くんをデートに誘うのを手伝って欲しいと頼まれて...。

本当はうめさんに「笑う招き猫」をオススメされていた山本幸久さんの作品。「笑う招き猫」も買ったんですが、家に置いてきてしまったんですよねえ。(今は祖母の家です) そしたら父が偶然この本を持っていて、先に読むことに。ああ、もう、なんて可愛らしい初恋物語なんでしょう!
町野さんに協力を頼まれるまでは何とも思っていなかった小森くんのことが、気になっていく過程がとても丁寧に描かれてますし、どのエピソードを取っても、もうほんと可愛いくて~。京成本線での密かなデート、学校で見ているよりも小森くんが大人っぽく見える場面、可愛さでは自称クラスで8番目(笑)の香な子が、自分と町野さんの違いを比べる場面、香な子の抜け駆けに怒った町野さんに逆に闘志を燃やす場面... ずんずんと引き込まれちゃいました。
香な子の両親や義昭オジサン、元モデルで美人でちょっと怖い鎌倉先生、小森くんのお母さんなど、脇役の面々も魅力的。お父さんの前の会社での頑張りぶりや会社を辞めたエピソードも効いてるし、小森くんのお母さんが未来の顔を描くというエピソードもいいですねえ。日下くんが天文にのめりこんでいく様子も微笑ましくて応援したくなります。爽やかでほのぼのとして、気持ちが柔らかくなれるような作品でした。「笑う招き猫」も早く読まなくっちゃ!(ポプラ社)


+既読の山本幸久作品の感想+
「幸福ロケット」山本幸久
「笑う招き猫」山本幸久

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
わー、楽しかった。大学の4年間が春夏秋冬の章に分けて描かれていく群像劇なんですけど、もうほんと読んでて自分の大学時代が懐かしくなっちゃうような作品でした。
大学生活の良さって、在学中ももちろん色々とあって楽しいんですけど、卒業して就職して社会に出て初めて実感できるものだと思うんですよね。もう思い出すだけで身悶えしてしまいたくなるような恥ずかしい思い出も含めて(笑)、全部懐かしくなっちゃったり。中学や高校時代と同じようなもののはずなんだけど、それでも大学の4年間はやっぱり特別だと思うし、そんな日々が鮮やかに切り取られている作品。(あ、でも懐かしんでなんていたら、きっとこの大学の学長に怒られちゃうのね・笑)
中心となる5人がそれぞれにいい味を出してるんですけど、特に、最初はただの変な人物だった西嶋が良かったです。もう最初登場した時は「何なんだコイツ」だったんですが、読み進めるうちに一番好きになってました。(笑) なんで氷の美女・東堂が西嶋に惹かれたのかも、やっと分かったわ。東堂、すごい眼力。そして最後の最後に「幹事役の莞爾」が言う台詞も良かった。「夏」の章の鳥井のエピソードだけは、ちょーっときつかったんですけどね。

それにしても今回は麻雀が登場ですか。雀荘には行ったことないんですけど、私も麻雀は子供の頃に父親に教え込まれて多少は知ってるので、そういう意味でも楽しめました。麻雀を全然知らなくても、それほど差し障りはないとは思うんですけどね。実は賭け事全般に結構強いんです、私。いや、まず実際にはしないんですが。(ということは永遠のビギナーズ・ラック? 笑)(実業之日本社)


+既読の伊坂幸太郎作品の感想+
「死神の精度」伊坂幸太郎
「魔王」伊坂幸太郎
「砂漠」伊坂幸太郎
「終末のフール」伊坂幸太郎
「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎
「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(12) | trackback(9)
Catégories: /

[amazon] [amazon]
たらいまわし企画第12回「爽やかな春に読みたい青春小説」の時に、主催者様となったあいらぶっくすのみらくるさんが出してらした本。(記事はこちら) 椎名さんの本は以前「インドでわしも考えた」を読んで、すごく面白かったので他のも読みたいなーと思ってたんですけど、作品数が多いから何から手に取ればいいのやら... だったんですよね。青春小説は大好きだし、これはいい機会~ ということで。
アパート「克美荘」での男4人の同居生活を中心に、はちゃめちゃだった高校時代のことや、月刊誌の編集長をしていた時のこと、そしてその会社を辞めてしまって執筆に専念しているはずの「現在」のことなどがランダムに描かれていきます。

克美荘に住んでいるのは、脚本学校に通いながら小さな雑誌社でアルバイトをしている椎名さん本人と、レンアイをしては失恋することを繰り返している大学生の「沢野ひとし」、弁護士を目指して司法試験の勉強をしている「木村晋介」、サラリーマンで唯一定収入がある「イサオ」の4人。男4人というだけでも、かなりむさくるしそうなのに、その場所が、昼間でも陽が全く差し込まないというじめじめとしたアパートの6畳間。布団なんて、「ここに引っ越してきてからほとんどまともに陽に当てたことがなかったので、あきらかに水っぽくベタベタとしており、夜更けにに布団にもぐりこむと、寝入ろうとする者の体をおぞましいかんじで冷たく冷やすのである」ですって! でも干そうにも、この日当たりの悪いアパートじゃ到底無理。ということで、ある良い天気の日に、4人は各自布団を担いで近くの河原へと行くのです。実際には布団だけじゃなくて、きっと色々とものすごい状態になってるんでしょうけど、でもなんだか楽しそう。それに食事の風景もやけに美味しそうなんですよね。ざくっと作って、ご飯もおかずも人数分できっちり分けて、自分の割り当て分はがっつり食べる... 男同士の同居って豪快ですね。この面々は克美荘を卒業して何年経ってもいい関係のようで、それもなんだか羨ましくなっちゃいます。(新潮文庫)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
青森県の十和田を舞台にした爽やかな青春小説。雑食レビューのおおきさんにオススメされたんですけど、これは本当に良かったです! 竹内真さんの「自転車少年記」の話題から、青春小説といえば... といった感じでこの本の題名が出てきたんです。確かに「自転車少年記」と同質の青春小説。でも作品の雰囲気は、むしろ芦原すなおさんの「青春デンデケデケデケ」に近いかな? 時代も同じぐらいだし。「青春デンデケデケデケ」が大好きな人は必読でしょう。(逆もまた真なり)
スポーツ、友情、異性への興味、恋、親や教師への反感、出会いと別れといった、青春小説には王道のモチーフが、もう読んでいて気恥ずかしいほどの王道の展開で描かれていくんですけど、これが逆にストレートに響いてきて、もうキラキラ。登場人物も良かったし、印象的なシーンも色々あったし、読んでてうるうるしちゃいました。

実は「雨鱒の川」を読んだ時に、方言がほんと全然分からなくてかなり苦労したので、他の作品もそんな感じなんじゃ... とちょっと警戒してたんですけど、これはほぼ標準語でした。本当は方言で書かれていた方が雰囲気が出たんでしょうし、標準語を話す登場人物との対比も鮮やかになったんでしょうけど... 私にとっては、標準語で書かれていてとてもありがたかったです。(^^ゞ (集英社文庫)


+既読の川上健一作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「雨鱒の川」の感想)
「翼はいつまでも」川上健一

| | commentaire(6) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
「弟と暮らすのが夢だったの」と言う「姉」に拾われて、弟の「良」となった僕は、家から近いガソリンスタンドでの面接のために履歴書を書いていました。「適当はいいけど嘘はダメ。好きなことを好きなように、正直かつ大胆に書こう」という姉の言葉に、何も考えずに生年月日を書き、それに合わせて学歴を作り上げていきます。年齢は19歳。家族は姉だけ。性別は男。免許・資格はなし。趣味・特技は読書。書き終わった履歴書を愉快な気持ちで眺めた僕は、少しだけ物足りなく感じて、今度は「リレキショ」を書き始めます。

以前掲示板で教えて頂いていた中村航さんのデビュー作。文庫になっていたので、これは読んでみないと、と読み始めたのですが...
冒頭で、主人公はある日突然見知らぬ女性に拾われて同居することになったということが分かるんですけど、特に説明もないまま物語は進行。一体何があったんだ? どんな状況だったんだ? というのが気になって読み進めたんですが、その理由はほとんど説明されないままなんですよね。終盤、ちらりと良の過去を匂わせる部分が登場するんですけど、結局のところはそれだけ。うーん、これは一体どういうことだったんでしょう。記憶喪失になったのか、自分の意思だったのかも分からないんです。(文章から読み取れるのかもしれないけど、私には良く分からなかった) これって、要するに一種の現実逃避ですよね。それ自体はとても現代らしいテーマのような気がするのだけど... こんな風に全てが曖昧なままというのも、どうなのかしら?
登場人物はすごく少なくて、主に登場するのは主人公とその姉、姉の親友、良が働くガソリンスタンドの先輩、そしてウルシバラという少女だけ。姉と姉の親友と3人で飲んでる場面なんかとっても楽しそうだし、淡々とした雰囲気も良かったんですけど、それだけで終わってしまったような気がします...。(河出文庫)

| | commentaire(2) | trackback(2)
Catégories: / /

 [amazon]
前の晩、一世一代の決心で3軒先に住む大学生・亨に誕生日カードを書いて出してしまったことを激しく後悔していた「つばめ」は、その日の午後、いつものように書道教室の後にビルの屋上へ。そして目に入ったのは、見慣れないキックボード。そして派手で意地悪そうな「星ばあ」。つばめは星ばあにキックボードを教える代わりに、亨へのカードを取り戻してもらうことに。

宙の本棚の小葉さんに教えて頂いた本です。
とっても可愛い作品でしたー。まず主人公の中学生のつばめの気持ちが1つずつすごくリアルに伝わってくるんですよね。外から見ると安定してるつばめも、その内心はそれほど安定しているわけではなくて、3 歳の時に自分を捨てた本当の母が書家だったことから書道を始めてみたり、自分の恋心を意識した途端に「亨くん」と話せなくなってしまったり(あるある)、実際には大したことを書いていないカードでも、出したことを1日中後悔してみたり。さらには隣の「いずみちゃん」が家を出た話で、「ママ」に苛ついたり。そんな1つ1つの気持ちがすごく伝わってくるんです。でもそれだけだと普通の話なんですが、この物語を引き締めているのが、意地悪な魔女のような星ばあの存在。言葉遣いが悪くて下品、ずけずけと意地悪なことばかり言うのに、どこか憎めないんですよねえ。空を飛べるなどという突飛な言葉も、このおばあさんなら本当に出来そう... なんて思っちゃう。つばめがついつい色々なことを話してしまうのも分かるんですよねえ。気づけば、2人の会話に引き込まれちゃってました。
星ばあの屋根に関する薀蓄も面白かったし、くらげのように夜空を飛んでいる夢のシーンが印象的。そして人のことには威勢が良くても、自分のことになると途端に意気地がなくなる星ばあが可愛く見えてくるラスト。優しさと暖かさが広がります。(ポプラ社)

| | commentaire(0) | trackback(1)
Catégories: / /

 [amazon]
金髪の鶏冠頭の不良少年・竜二が、元担任教師に引きずられるようにして、大酒飲みで借金まみれの落語家・笑酔亭梅寿に入門することになって... という物語。連作短編集です。

随分前からヤマボウシさんにオススメされていた作品。ようやく読めました。
あの田中啓文さんが、こんな普通の (一般的に読みやすいという意味です・笑) 作品も書いてらしたとは! と、まずびっくり。いつもの破天荒な作風はどこにいっちゃったの? 読む前に、先入観入りまくりだったんですけど...!(笑)
いえ、ネットでの評判は上々のようだし、きっとかなり読みやすい作品になってるんだろうなとは思ってたんですけどね。それにしても違いすぎですよぅ。...と偉そうに言えるほど田中啓文作品を読んでるわけじゃないんですが... でもほんとびっくりしちゃいました。ええと、良い方に意外だったし、でもちょっぴり拍子抜けでもあり。
どこが拍子抜けだったかといえば、これが全くそつがない、綺麗にまとまった作品だったってところですね。(やっぱり先入観は大きいぞ・笑) 主人公の竜二が、絵に描いたような不良少年だった割に、特に反抗することもなくこの世界に馴染んでしまうというのもそうだし、特に「派手な外見とは裏腹に、実は良い子で、才能もあった」ってところなんて、「いかにも」ですよね。さりげなく師匠を立てながら、謎解きをしちゃうところも。でもこの師匠、味があってなかなかいいんですよねえ。兄弟子姉弟子も、それぞれに人間らしくて面白かったし。ミステリとしては小粒だけど、きちんと落語のネタにリンクしてるし、落語初心者にも優しい作りだし、話のテンポも良いし、実際にそれぞれの落語を聞いてみたくなる1冊でした。
...でもやっぱり、なんか騙されたような気がするのは拭えない... 妙な先入観がなければ、もっと楽しめたのに! 何かが起きるのを期待しちゃったじゃないかーっ。(笑)
あ、落語といえば、「タイガー&ドラゴン」のDVDはもう出たんですよね。今度借りて来なくっちゃ。(集英社)

| | commentaire(4) | trackback(3)
Catégories: /

 [amazon]
生まれて初めて自転車に乗った4歳の時に、坂道を勢い良く降りて坂の下の家の庭に突っ込んだ昇平。その家にいたのは、昇平と同じ年の草太と、1つ年上の女の子・奏(かなで)。その時から友達となった昇平と草太の25年の物語。

大好きな竹内真さんの作品。ずーっと読みたかったんですが、ようやく読めました! 12回目のたらいまわしの「爽やかな春に読みたい青春小説」の時も、宙の本棚の小葉さんと(コチラ空猫の読書の空猫さんが挙げてらして(コチラ)、その時も読みたくてたまらなかったんですよね。実際読んでみると、ほんとそのお題にぴったりの、何とも爽やかな青春小説でした♪
小学校1年生の時の秘密の特訓に始まり、自転車で海を目指したり、友達が出来たり、自転車部を作ったりと、25年間の物語の主軸は自転車。かなり競技的な、専門的な方向まで突っ込んでます。でもそれが取っ付きにくくなったりしてなくて、すごく自然なんです。自転車が好きで好きで堪らないというのがすごく伝わってきます。きっと竹内さんご自身がお好きなんでしょうねー。しかもその自転車が登場人物たち自身の人生にも重なっていて... 途中で道が分かれることもあり、上り坂になったり下り坂になったりすることもあり、時には立ち止まることもあるんですけど、でもみんな自転車を通して繋がっています。見てるとすごく応援したくなっちゃう。こういう作品を読めると、ほんと幸せ! やっぱり竹内真さんの作品は大好きです~。(でもって、あの犬を連れた老人は... ですよね!?) (新潮社)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

| | commentaire(6) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
ザ・ゾンビーズシリーズの第3弾。今回も楽しかった! 今回は主人公が聖和女学院の1年生・岡本佳奈子で、丁度「フライ、ダディ、フライ」の女版といった感じです。同じといえば、まるで同じようなパターンなんだけど、でもやっぱり楽しい。今回は、ゾンビーズの面々とこんな風に仲間になれるなんて、佳奈子が羨ましーい! 佳奈子に「あんたたち、やっぱりおかしいわよ」と言われて、いっせいに不敵な笑みを浮かべる南方たち、素敵...。(笑)
それにしても、男の南方が「抱かれてもいいかも」と思い(「Revolution No.3」)、今回佳奈子が頬に触られただけで失神しそうになるって... 一体アギーのフェロモンってどんなんなんでしょ。ほんと凄そう。そして今回初登場のアギーのママも、とっても素敵でした。この母にしてこの子あり、なのね。(笑)
でもね、このゾンビーズの中心メンバーの中で、どうしても個性が掴めないのが萱野なんです。アギーや瞬臣、南方、山下辺りは分かりやすいんだけど... ヒロシもいいんだけど... この萱野って人は一体どんな人なんだろう? 何のためにいるんだろう...? と毎回思ってしまう私なのでした(^^;。(角川書店)


+シリーズ既刊の感想+
「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「SPEED」金城一紀

+既読の金城一紀作品の感想+
「GO」金城一紀
「対話篇」金城一紀
「映画篇」金城一紀

| | commentaire(4) | trackback(6)
Catégories: /

 [amazon]
1ヶ月前に全焼したアパートの跡地を訪れ、被害者の1人だった少女に向けた言葉を呟く男。そしてその男に反応した2人の少年。北畠藍子に一体何があったのか...?

うわー、感想を書くのが難しいです...。
「バッテリー」での少年たちの葛藤は、言わばスポーツマンならではの真っ直ぐで、比較的単純なものだったと思うんですけど、こっちの少年の葛藤は、頭が良い少年たちならではの複雑で繊細で尖ったもの。自分がどこか周囲に馴染めていない、周囲から浮き上がっているような気がするという違和感。そんな少年たちの「揺れ」が繊細に描かれていくのですが... うーん、あと一歩踏み込みが足りなかったような...。途中、少年たちの思いや言動にほとんど説明がないので、最後まで核となる部分がぼやけていたような気がするんですよね。ラストも不完全燃焼だし...。(でもここで終わりたいっていうのは分かる気がする)
帯によると「本当に書きたかった作品です」とのこと。一体、あさのさんが本当に書きたかったのって、どんな作品だったんだろう? って読み終わった後で改めて考えてしまいました。「No.6」の2巻のあとがきで、安易に希望を語るのはもうヤメだ、みたいなことが書かれているのを読んだ時は、ああー、この人はもう「バッテリー」を書くのが嫌になってしまったんだろうなって思ってしまったんだけど...。
amazonの書評を見ると、3人中2人が5つ星で、残り1人が4つ星なんですよね。高評価。どうやら私、何か肝心なものを掴み損ねてしまったみたいです(^^;。(角川書店)


+既読のあさのあつこ作品の感想+
「バッテリー6」あさのあつこ
「福音の少年」あさのあつこ
Livreに「バッテリー」1~5、「No.6」1・2の感想があります)

| | commentaire(6) | trackback(1)
Catégories: /

  [amazon] [amazon]
生物教師・ドクター・モローの「君たち、世界を変えてみたくはないか?」という言葉に、立ち上がったオチコボレ男子高校生たちの物語。いやー、とにかくスピーディでパワフル。どんどん読んでしまいましたよ。面白かった! 「レヴォリューションNo.3」は、コウカイニッシ。のあさこさんが第12回のたらいまわし企画「爽やかな春に読みたい青春小説」に挙げてらしたんですよね。それも納得の青春小説でした。あ、この間の第15回「夏の一冊!!」にもいいかも。元は学園祭に潜入する話だから秋のはずなんですけど、どっちの本も暑い熱い夏のイメージが残ります♪
重いテーマが見え隠れしてるところは「GO」と一緒なんですけど、このスピード感と登場人物の連帯感は石田衣良さんのIWGPみたいな感じでもありますね。IWGPはIWGPで凄く面白かったんだけど、でもこっちも好き~。しかも間に「ギョウザ大好き!」とか「グラサン、外せやぁ!」みたいな台詞には、もう大笑い。あっという間に読めちゃうんだけど、読んだ後もパラパラめくってずっと楽しんでました。 

そして「レヴォリューションNo.3」は、講談社から出ていた版の表紙のインパクトが凄いんですが(笑)、今流通してるのは角川書店の方だけみたいですね。これは映画化の影響? ああー、映画も観たくなっちゃった! 岡田准一くんの朴舜臣って、どんな感じなんだろう! 「レヴォリューションNo.3」を読んでる時は、もっと骨太タイプのように思ってたんだけど、「フライ、ダディ、フライ」を読んでみると、繊細な少年らしさも結構感じられたので、案外似合ってるのかも。元々目に力がある人だし。ということで、映画の公式サイトはコチラ。新刊「SPEED」も近々読めると思います。楽しみ♪(角川書店)


+シリーズ既刊の感想+
「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「SPEED」金城一紀

+既読の金城一紀作品の感想+
「GO」金城一紀
「対話篇」金城一紀
「映画篇」金城一紀

| | commentaire(6) | trackback(15)
Catégories: /

 [amazon]
高校ボート部に女子部を作ろうと、先生に働きかけ、部員集めに走り回る悦子の3年間の物語。以前映画にもなっていますし、今も確かドラマ化されているんですよね? 宙の本棚の小葉さんが、たらいまわし企画の第12回「爽やかな春に読みたい青春小説」で挙げてらした作品でもあります。なんと作者の敷村良子さんは、小葉さんの高校時代のクラスメイトなんですって! 作品自体はフィクションでも、本の中にはその当時の雰囲気が詰まっているだなんて、いいですねえ。なんだか羨ましくなっちゃいます。
お世辞にも要領が良いとは言いがたい悦子たちなので、その活動を軌道に乗せるまでが大変なんですが、でも彼女たちの諦めの悪さのようなものが、読んでいる側にも達成感を与えてくれます。作中で家庭科教師が、「器用な人が楽々こなすより、不器用な人が苦労してなしとげるほうが、何倍も尊いのよ」と言ってますが、本当にその通りなのでしょうね。
ちなみに「がんばっていきまっしょい」は、松山東高校に伝わる気合を入れる時の掛け声とのこと。「がんばっていきまっしょい」「ショイ!」という掛け声の部分は、読んでるだけでも雰囲気が伝わってきて、読んでいると熱くなってしまいます。でも... 青春ってほんと恥ずかしいですね。悦子も「出来事を消せる消しゴムがあれば、あれもこれもごしごし消し去りたい恥ずかしい思い出ばかりだ」と言ってますが、私もほんとそうです。あの頃のことって、思い出すだけで身が竦みそうになります。(笑)(幻冬舎文庫)

そうそう、この作品も方言がいい味を出してる作品でした! 同じ四国でも、香川県が舞台の芦原すなお氏の「青春デンデケデケデケ」と、愛媛県が舞台のこの作品では言葉がまた全然違っているのですが、でも雰囲気はどこか似通っていて... いい感じです(^^)。

| | commentaire(6) | trackback(2)
Catégories: / / / / / / /

■「雨鱒の川」川上健一 [amazon]
本が好き!お気軽読書日記のもろりんさんのオススメ。美しい自然を舞台にしたなんとも美しい純愛物語。中心となっている2人が10年経ってもまるで変わらないのは、変わりゆく自然との対比? 評判通り、方言がいい味を出していました。東北の言葉ってほとんど馴染みがないし、最初は全然意味が分からなくて、読みづらかったんですけどね。(集英社文庫)


■「時計坂の家」高楼方子 [amazon]
Cross-Roadの瑛里さんが、先日BookBatonで思い入れのある作品として挙げてらしたので興味を持っていたところ、たらいまわし企画でも妖精と黒薔薇の書架のつばきさんが挙げてらっしゃいました。これは児童書ですが、とても奥が深いファンタジー。読み返すたびに新たな発見がありそうな作品です。作中ではC.S.ルイスのナルニアが引き合いに出されていたんですが、この独特の雰囲気は、フィリッパ・ピアスの「トムは真夜中の庭で」に近いような気がします。高楼方子さん、いいですねえ。他の作品も読んでみたいな。(リブリオ出版)


■「ぐるりのこと」梨木香歩 [amazon]
これはエッセイ。境界線とそのこちら側、向こう側の話が多かったです。で、改めて考えてみると梨木さんの書かれる物語もそういう話が多いような。(新潮社)


■「プールに住む河童の謎」緑川聖司 [amazon]
児童書です。「晴れた日は図書館へいこう」が面白かったので、期待していた緑川聖司さんの新作。こちらもなかなか可愛らしい作品でした。森友典子さんのイラストも作品のイメージにぴったり。大人のミステリ読みはすぐにピンと来るでしょうけど、この謎がまた児童書にぴったりだし~。相馬くん、可愛かったなあ。でも宝石店に関する記述には納得できないものがいくつか。こんなことを子供が本当に信じ込んだらイヤだわあ。(小峰書店)


■「ベルガリアード物語」全5巻 デイヴィッド・エディングス [amazon]
Baroque Midnight Gothic Twilightの森山樹さんに教えて頂いたシリーズ。異世界ファンタジー好きには堪らない本格的なエピック・ファンタジー。「指輪物語」の本流を汲む作品だと解説にはあったけど、読み始めはむしろロイド・アリグザンダーのプリデイン物語のシリーズみたいでしたね。面白かったです。かなりボリュームのある作品なのですぐには無理だけど、これは絶対また再読したくなるだろうな。この物語の前日譚(?)「魔術師ベルガラス」全3冊が今月から出始めてるそうなので、そちらも買ってこなくっちゃ。(ハヤカワ文庫FT)


■「マライアおばさん」「七人の魔法使い」「時の町の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ [amazon]
どれもものすごーくダイアナ・ウィンジョーンズらしい作品で、続けて読むとちょっと胸焼けがしそう... とは言っても、どれも作風は違っていて、DWJの引き出しの多さにびっくりなんですけどね。「マライアおばさん」は、ほんとヤなヤツだらけで、誰が味方なのかも分からないほど。毒気がいっぱい。「七人の魔法使い」の方が明るくて楽しかった。本当にこの終わりでほんとにいいの?って感じでしたが...。「時の町の伝説」はタイムトラベル物。ちょっとややこしかったけど、歴史の捉え方が面白かったです。(徳間書店)


■「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」パトリシア・A・マキリップ [amazon] [amazon]
どこまで行ったらお茶の時間の七生子さんのオススメ。どちらも重厚で寡黙な独特のな雰囲気がすごく素敵な作品でした。まるで神話みたい。少しでも飛ばすとすぐ分からなくなってしまいそうで、そういう緊張感も久しぶりでした。マキリップも色々と読んでみたい! 「影のオンブリア」の「オンブリア(Ombria)」は、舞台となる都の名前。それ自体が影を連想させる言葉なので(仏語の「影」はombre、伊語だとombraだし)重箱読みしてるような妙な気分だったんですけど、読んでみるとなんともぴったりな名前でした。KinukoY.Craftさんのイラストの表紙も、ほんとぴったりで素敵。この「影のオンブリア」を原作として、岡野玲子さんが「コーリング」を描かれてるのだそうです。→間違いでした。「妖女サイベルの呼び声」が原作なんですって。maki さん、ありがとうございます!(ハヤカワ文庫FT)


■「ウルフタワー」全4冊 タニス・リー [amazon]
訳のせいもあるんでしょうけど、これじゃあまるでライトノベル。コバルトに入っててもおかしくないぐらい。原文がどうなってるのかは知らないですけど、なにもこんなに軽く訳さなくても...。たまに惹かれる部分はあるものの(主人公の相手役がかっこよかった)、全体にタニス・リーらしさがあまり感じられなくて残念。(産業編集センター)

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」という、何ともインパクトの強い言葉で始まる物語。
主人公は中学三年生の佐和子。「幸福な食卓」というのは、一家揃っての朝食の情景のことなんでしょうね。読み進めていると家族の色々な問題が見えてくるんですけど、それでもやっぱり私の目に映る一家はとても幸せそう。砂上の楼閣のような幸せなのかもしれないんですが、それでもやっぱり何気ないやり取りに和むし、そんな中で家族に見守られながら成長していく佐和子の姿が微笑ましかったんです。家族の数だけ幸せがあるはずだから、これがこの家族の幸せの形だとも思えたし。
でもね、でもですよ、そんな幸せな日常に、なぜこんな出来事が...! これには本当に驚いたし、ラストの辺りでは思わず号泣。なんでこんなことになるの! というより、瀬尾さんは、なぜここまでしなければならなかったの? ここまでの展開を持ってくるからには、それ相応の理由が欲しいところだし、このままではテレビドラマにわざと波風を立ててるみたいに感じられてしまうんだけど... と言いつつ号泣してしまったというのは、自分で思ってた以上に物語に入り込んでいたんだろうなあ。読み終えて少し経った今でも、「何もそこまでしなくても」「幸せそうな家族に何か恨みでも?」なんて思ってしまうのだけど...。
それでも好きなんですけどね、この物語。ほんと引き込まれて読んだし。でも、やっぱり「卵の緒」の方が好きだなあ。(講談社)


+既読の瀬尾まいこ作品の感想+
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
「優しい音楽」瀬尾まいこ
「温室デイズ」瀬尾まいこ
Livreに「卵の緒」「図書館の神様」「天国はまだ遠く」の感想があります)

| | commentaire(8) | trackback(6)
Catégories: /

 [amazon]
荒唐無稽、奇想天外、豪放磊落な「じーさん」の物語。「男の価値ってのはなぁ、どれだけ無茶苦茶やって生きていくかだ」が口癖のじーさんは、80歳を過ぎた今でも無敵。なんせ今までじーさんより強かったのは、優しくて穏やかだった、死んだ婆ちゃんだけなのです。しかしそのじーさんが、サイパンでの宝探しの最中に行方不明になってしまいます。

もうじーさんがとにかくかっこいい! まるで劇画のような展開で、どこからどこまでが本当なんだ~?って感じなんですけど(小説なんだから、全部虚構なんだってば)、このパワーとテンポの良さの前には、そんなのどうでも良くなっちゃいます。「殺しても死なない」というのは、こういう人のためにある言葉なんですねー。家族もそんなじーさんに慣れてしまっていて、多少のことには動じなくなっちゃってます。それでも最後の最後は、さすがにもうダメかと思われるんですが...(笑)
終盤はちょっぴりダレちゃったんですけど、でもとっても楽しくて、読むだけで元気を分けてもらえそうな物語でした。そして、このじーさんの冒険談をまとめたのが、「図書館の水脈」の彼なんですねっ。うふふ、これでまた1つ繋がったわ♪(講談社)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
夏いっぱいアルバイトに励みながら芝居を作り、8月終わりに開催される演劇コンクールに出場して賞金の100万円を頂いてしまおうと鹿爪島にやってきた、コント劇団コカペプシの4人。その面々と同じフェリーに乗っていたのは、今回初の官能小説に挑戦するために、島のホテルに缶詰になることになった大桃佳苗と、アシスタントをしている従妹の大岩律子。男好きな佳苗は早速コカペプシのメンバーに目をつけ、4人と親しくなることに。

「官能」なんて言葉が出てきてますが、爽やかな夏の物語です。恋愛はもちろん、島に産業廃棄物を持ち込む業者なんかも問題になって、そこに劇団の脚本や佳苗の書く小説のストーリーなんかも絡んできて、なかなかの盛り沢山な内容となっています。脚本と小説、それぞれお互いをモデルにしてアイディアを膨らませていくところが楽しいんですよね。キャラクターも立ってるし、テンポも抜群。でもねー、もっと青春物語に絞っても良かったかなって気も...。盛り沢山なのはいいんだけど、そのせいでちょっとせわしないし、知らない間に時間が経ってしまっていて、置いてきぼりを食らってしまった気分。終盤のミステリ風味もいらなかったんじゃないかと思うし...。
と言いつつも、気軽に読めて楽しめた1冊。この劇団のその後の話も読んでみたいなあ。(角川春樹事務所)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

| | commentaire(2) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
都内の私立高校に通う在日コリアンの「杉原」。中学3年の時に北朝鮮籍から韓国に籍を移したのをきっかけに、一念発起して日本人の通う高校を受験。でも中学までは民族学校に通っていたことがあっという間に広まって、学校ではほとんど友達も出来ない状態。そんな杉原が、ある時出会った「桜井」という女の子と恋をして...。

なんとなく重苦しい作風をイメージしてしまって、今まで敬遠していた金城作品。全然違ったんですねー。国籍問題という重いテーマを扱いながらも、とっても軽快。杉原本人が言ってるほどの恋愛小説かどうかは... でしたが(笑)、良かったです。何が良かったって、とにかく登場人物が! 特に主人公の杉原とそのお父さんがいいなあ。熱くてかっこいい! ただ、いくら韓国籍になってお母さんも強くなったからって、儒教の教えがしみついてるはずの杉原に父親に殴りかかるなんてことできるのかなあ、なんて思ったりもしたんですけどね。でもそういうシーンもひっくるめて、すごく良かったです。
で、この作品を読んでて思い出したのが、鷺沢萠さんの「君はこの国を好きか」。でも「GO」と「君はこの国を好きか」は、同じように在日韓国人が主人公で、その主人公たちが自分自身のことを考えさせる物語なのに、スタンスがまた全然違うんですね。「君はこの国を好きか」での主人公は、自分が韓国人なのに韓国のことを全然知らないことにショックを受けて、自分のルーツをもっと深く知ろうとするんですけど、「GO」の杉原はもっとグローバルな視野を持とうとするというか。でも国籍を変えることがあんまり簡単なのに驚いて、国籍なんてどこでも一緒と思ってるような杉原も、やっぱり日本国籍にはしようとしないし、桜井にも本当のことがなかなか言い出せないんですよねえ。
それにしても、自分が何者なのかちゃんと自覚してる日本人って、一体どのぐらいいるんでしょ。(自分も含めて) 日本人として日本にいる限り、普段は全然考えなくても済むことなんですよね。こういう作品を通して一歩踏み出すのは、すごくいいのではないでしょうかー。今度DVDも借りて来ようっと。(講談社文庫)


これで留守中の分の更新は終わりです♪


+既読の金城一紀作品の感想+
「GO」金城一紀
「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「SPEED」金城一紀
「対話篇」金城一紀
「映画篇」金城一紀

| | commentaire(9) | trackback(4)
Catégories: /

 [amazon]
「海辺のカフカ」を読みながら、ふと一人旅に出てしまった売れない作家と、同じように「海辺のカフカ」を読んで四国旅行に出たカップルの物語。昨日のたらいまわし企画のエントリを書きながら、図書館解禁になったら読もうと思っていた竹内真さんの作品をまだ読んでないのに気付いて、早速これを借りてきました。いやー、面白かった! もしまだたらいまわしのエントリをアップしてなかったら、これも入れたかったぐらい。読みながら何とも心地よくて、もう本の世界から戻って来たくなかったです。(笑)
「海辺のカフカ」へのトリビュート作品と聞いてたんですけど、カフカだけじゃなかったんですね。カフカ以外の村上春樹作品はもちろん、藤子藤雄氏の「パーマン」から(笑)、徳富蘆花、「ドン・キホーテ」、「クローディアの秘密」、「ライ麦畑でつかまえて」「青春デンデケデケデケ」... なんと50冊もの本が紹介されてるんです。...実は「海辺のカフカ」がそれほど大好きというわけではない私にとっては(これは内緒)、そういう予想外の登場本が凄く嬉しかったです。「海辺のカフカ」へのトリビュートというよりも、この世の中にある様々な本に対するトリビュートって感じですね。そして2つの視点から交互に物語が語られていくところは、「海辺のカフカ」と同じような感じ。でもこの2つの視点が交錯していく辺りからは、この作品の方が断然上のように思います。この辺りがほんと良かったな。
で、ワタルって、もしやあっちの作品のワタルと同一人物なんですか...?! そしてここに登場する売れない作家の名前って... もしかして(もしかしなくても)アナグラム?! 
この作品の登場する沢山の本の中で一番読みたくなったのは、ジャック・フィニィの「ふりだしに戻る」。タイムスリップ物だそうです。時間は積み重なっていくものだから、古くからある建物の中でぐぐっと集中すると意識が過去に戻るんですって。なんだか石川英輔さんの「大江戸神仙伝」を思い出しちゃった。この作品も、現代の普通の男性がいきなり江戸時代にタイムスリップしちゃう話なんですけど、丁度そんな感じで行ったり来たりするんですよね。まあ、いかにも男性が描いた作品って感じではあるんですが(男性のドリーム? 笑)、でもこれも面白いです。(ダ・ヴィンチ・ブックス)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

| | commentaire(6) | trackback(2)
Catégories: /

 [amazon]
第15回ファンタジーノベル大賞受賞作。ずーっと読みたいと思ってて、でも図書館解禁まで我慢我慢... と思っていたら、なんと友達が持ってました。ラッキー♪ ...って、確かに図書館自粛は破ってないけど、友達から借りてたら一緒...?(笑)
あ、でも来月辺りそろそろ図書館解禁にしようと思ってます。積読本はまだ70冊ちょっとあるんですけど、それでも自粛してる間に100冊以上消化しましたしねー。とは言っても、その間も本は買ってるので、あんまり効率が良くない減り方なんですが...(^^;。まあ、図書館行きを解禁しても、その70冊を消化するために、当分は週1~2冊借りる程度に抑えようと思ってます。(って、一体誰に向かって説明してるんだ...? 笑)
そしてこの「太陽の塔」なんですが、主人公は休学中の京大5年生。この彼が、1年前のクリスマスに自分を振った「水尾さん」を、「研究対象」とか言って付け回してたりするあぶなーい人だったりするんですが、でもこれがストーカー小説かといえば全然違います。主人公もその周囲の男友達も、自分たちのことを素晴らしい人間だと信じきっていて、自分たちがモテないのを棚上げして、ひたすら強がってる人たち。時には鼻持ちならない勘違い振りなんですが、でもその勘違いの方向がまるでズレてるから、逆に微笑ましくなっちゃうのね。東大生では、この雰囲気は出せないかも。京大生ならではかもしれないなあ。でもって、照れ隠しでわざとちょっと硬めにしてみました... という風情の文章がまた、まるで昔の帝大時代の文学少年といった雰囲気なのです。...これのどこがファンタジーノベル大賞なんだ? なんですが(笑)、でもこの妄想ぶりはまさにファンタジーかも。爆笑できるというよりは、何度もニヤリとさせられちゃう青春小説。特に、土地勘がある人には、かなり楽しめるのではないでしょうか。(笑)(新潮社)


+既読の森見登美彦作品の感想+
「太陽の塔」森見登美彦
「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

| | commentaire(2) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
かつて大阪で人気のあった劇団の花形だった花菱清太郎。しかし結婚を機に自分の劇団を立ち上げるものの失敗。それ以来何度も仕事を変わり、会社を作っては倒産する生活。今は家族6人で、レンタル家族派遣業の真っ最中。

荻原さんらしいデフォルメされた物語にデフォルメされた登場人物。まるで大衆演劇そのもののようなドタバタコメディだなーと思っていたら、後半は本当に大衆演劇の世界となっちゃいました。(笑) 元々はあまり仲良くなくて、すれ違ってばかりいる家族が、レンタル家族派遣なんていう仕事を通して仲の良い親子を装っている辺りは、なんだか痛々しくて読んでるのがツラかったんですけど、でも6人家族の1人が去り2人が去りと、どんどん人数が減ってくるに従って、なぜだか読むのは楽になりました。言ってしまえば家族崩壊なんですけど、でも全然悲惨な感じはしないんですよねー。ちょっぴり切ないんだけど、明るくて。これはやっぱりただの家族崩壊じゃなくて、1人ずつがそれぞれ自分の足で立てるようになったからなんだろうな。去る者を思いながらも、それぞれに自分の進む道をみつけて邁進。しんみりしながらもユーモアたっぷり。もう一捻り欲しかった気もするんですけど、荻原さんらしい作品でした。(双葉文庫)


+既読の荻原浩作品の感想+
「誘拐ラプソディー」荻原浩
「母恋旅烏」荻原浩
「神様からのひと言」荻原浩
Livreに「オロロ畑でつかまえて」「なかよし小鳩組」「ハードボイルド・エッグ」の感想があります)

| | commentaire(4) | trackback(3)
Catégories: / /

 [amazon]
ちょっぴり疲れ気味なので、「陋巷に在り」はまたしても一休み。残りあと3冊なので、読むのが惜しくなったという話も...?(笑)
ということで、今日は笹生陽子さんの「サンネンイチゴ」です。内向的で友達を作るのが苦手。色々と思ってはいても、なかなか口に出しては言えない、中学2年生のナオミが主人公。先生に理不尽にいびられてるクラスメートを見た時も、心の中では勇ましく啖呵を切ってるのに、現実のナオミは何も言えないまま。そんなナオミですが、ある時カバンを盗まれたことから、学年一の問題児のアサミや、アサミの彼氏というウワサのヅカちんと話すようになって... という話。
物語の中には重い問題も色々と含まれてるんですけど、さらりと描かれてるので読後感はとても爽やか。本当にこれでいいのか...?と思う部分もあるんだけど、でもナオミの成長物語としては、やっぱりこれでいいんでしょうね。こういう話って、どこまで掘り下げるかによってまるで印象が違ってきますよね。例えば先生が生徒をいじめる話といえば、まず乙一さんの「死にぞこないの青」が浮かんだんですけど、さすがにあそこまでいっちゃうとね...。やっぱりこの爽やかさが笹生さんの持ち味なんでしょうね。読み終わった時に明るい気持ちになれる作品です。(理論社)

| | commentaire(0) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
コピーライターを目指していたアサグレ青年の猫との同居生活を描いたファンタジックな自伝的青春小説。思いがけず猫の「お父さん」にされてしまったアサグレ青年の、ほのぼのほんわかした猫との生活が、何とも言えずいい感じなのです。もうほんと、猫たちが可愛いし♪ (最初の太った猫は、「耳をすませば」のムーンかと思いましたが... 笑)
笑いあり涙あり... というより、にっこりしたりしんみりしたり、って感じで、なかなか良かったです(^^)。でもこの本は一応フィクション。どこからどこまでが本当なのかな? 猫に関する部分は、かなりの比率で本当なのではないかと思うのですが~。


+既読の浅暮三文作品の感想+
「ラストホープ」浅暮三文
「嘘猫」浅暮三文
「実験小説 ぬ」「石の中の蜘蛛」浅暮三文
「夜聖の少年」浅暮三文
Livreに「ダブ(エ)ストン街道」の感想があります)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
色んな方にオススメされたこの本、評判にたがわず面白かった! 読み終わりたくないーって思ったのは久しぶり。
主人公は、弱小茶道家元の18歳の跡取り息子。受験勉強をしてるはずが、いつの間にか教習所に通ってるし、京都の大学を受験する当日は横浜にライブ! それがバレて怒られて、結局家出することになってしまいます。京都なんて絶対近寄りたくないと思ってるのに、なぜか京都に行く羽目になるし、茶道なんて嫌いだと思ってるのに、なぜかお茶の先生の家に居候することになるし、しかも見るからにロック少年で髪の毛も青いのに、ひょんなことから育ちの良さが垣間見えてしまうこの主人公。お茶から逃げようとしてるのに、後から後から追いかけられてるのが可笑しい♪ でも、小さい頃からちゃんと躾けられてるのって、やっぱりいいですね。ちょっと羨ましくなっちゃうな。
茶道のことはいっぱい出てくるけど、全然知らなくても大丈夫。むしろ全然知らない方が、新しい世界が見えて楽しいかもしれないですね。という私も、久々にお茶室のあの空間を体験したくなりました。きりっとしたあの空気、大好きなのです。お正月に祖母の家に行ったら、久々にやってみようかしら。(うちの祖母もお茶の先生)
テンポが良くて軽快で、脇役陣も個性たっぷりで、とっても楽しい作品でした。松村栄子さんがこういう作品も書いてらっしゃるとは、びっくりです。以前「紫の砂漠」「詩人の夢」というファンタジーを読んだことがあるんですが、もう全然雰囲気が違うんですもん。もしかしてこっちが本来の松村さんなのかな。それに松村さんって、実は芥川賞作家さんだったんですね。それもびっくり。(マガジンハウス)

| | commentaire(4) | trackback(6)
 1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  | All pages

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.