Catégories:“恋愛小説”

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宝塚、宝塚南口、逆瀬川(さかせがわ)、小林(おばやし)、仁川(にがわ)、甲東園(こうとうえん)、門戸厄神(もんどやくじん)、西宮北口。片道15分ほどの短い阪急今津線を舞台にした人間模様。

阪急電車の今津線が舞台の作品。以前からともっぺさんにオススメされてたものの、図書館で借りようと思ったら大人気。ようやく読めましたよ。いや、本当は書店に本が並んだ時から気にはなってたんですよね。だって、関西に引っ越して以来、ずっと阪急沿線に住んでる私。途中で何度か引越ししたとはいえ、相も変わらず阪急沿線。そして阪急の今津線といえば、私が中学高校の間毎日のように乗っていた路線なんですもん。今ではほとんど乗ることもないんですけどね。これで気にならない方が嘘でしょう~。でもよく知ってるだけに、本筋とは関係ない妙なとこで突っ込んでしまいそうという不安もあって。オススメされるまでは読むつもりはなかったんです。

で、実際に読んでみて。
いや、もう、懐かしい! 初っ端から清荒神ですか。しかも宝塚中央図書館って! ここが建てられた時のことだって覚えてますよぅ。他にも懐かしくなってしまう風景ばかり。燕が巣を作った駅の「今年もやって参りました。お騒がせしますが、巣立ちまでどうぞ温かく見守ってください」という貼り紙にも見覚えがあるし...。登場する人たちの学校もすぐ分かりますね。あれ、ここが出てるのにあそこは出さないの? とか思ったりもしましたが。
でも、案の定突っ込みたい部分も色々と... まず言葉。大阪と神戸の丁度中間というあの土地の言葉は、大阪とも神戸とも違うものだと私は認識してるんですが...? 西宮北口を「西北」なんて言うのも初耳。私は「北口」としか言わないけど、今はそういう言い方するのかしらん。それに、あのほのぼの和やかな今津線に、あんな下品なオバサンも逆ギレ男もいませんよー、とかね。(競馬のある日だけは、電車の中の雰囲気が変わるんですけどね) でも、あそこの小学校(知る人ぞ知る私立の名門お嬢さん学校)があんな扱いされてるのにはびっくりしたけど(だから外見的な描写が変えられてるのね)、うん、こういうこともあるでしょう、と思うし。それに「えっちゃん」の話も、いかにもありそう! 実話と知って思いっきり納得。(笑)

ま、気になる部分もあったんですが、結局あれですね。そんなの全部を乗り越えて、もう可愛すぎ! 身悶えしてしまうぐらい。(笑) そうでなくても、こんな風に色んな人の人生が交錯していくタイプの話って大好きなんです。普通に見える電車の中に潜む様々なドラマ。おばあちゃんも彼も彼女もいい味出してたし、うふふ、楽しかったです。(幻冬舎)


+既読の有川浩作品の感想+
「海の底」有川浩
「図書館戦争」「図書館内乱」有川浩
「阪急電車」有川浩

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高校時代の同級生から芝居の案内が送られてきたのがきっかけで、11歳年上の女優・大庭妙子と付き合うことになった田中孝。妙子念願の「あわれ彼女は娼婦」のアナベラ役を見に父と劇場へと向かうのですが... という「父のお気に入り」他、全3編。

1作目2作目に共通点がないので、まるで関連性のない3作かと思いきや...! 実はそうではなかったんですね。読み終えてみると、3つの作品が綺麗に円を描いていました。まさに題名通りの「ラ・ロンド」。主題があり、異なる旋律を挟んで、少し変形した主題が繰り返されます。
久々の服部まゆみさんの作品だったんですが、いや、もう、服部まゆさんならではの濃厚な美しさを持った作品でした。「父のお気に入り」では、中学時代の同級生・河合さんが可哀想過ぎて、これだけは何とも言えないのですが... それでも作品世界はとても素敵。少しずつ微妙にズレながら重なっていく人間関係の描き方は、服部まゆみさんならではで、ぞくぞくぞわぞわ。やっぱり服部まゆみさんの描く世界は美しい~。やっぱり大好きな作家さんです。(文藝春秋)


+既読の服部まゆみ作品の感想+
「ラ・ロンド 恋愛小説」服部まゆみ
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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旅行代理店に勤める北村志織は、一眼レフのカメラでモノクロ写真を撮り、それを自分で現像するのが趣味。しかし現像液の臭いのことで隣人から苦情が来て、引っ越すことになります。ようやく決まった引越し先は、画家でもあるオーナーの権藤氏の拘りで、色々な事情で部屋を借りにくい芸術関係の人、よそで三ヶ所以上断られた人、というのが条件のマンション。なんとかオーナーの合格が出て、新しい部屋での生活を始める志織。しかしある日、いつものように仕事から帰ってきて、ぬいぐるみの熊相手に1人で話していた志織は、壁のエアコンの穴から聞こえた笑い声に驚きます。相手は1年後の隣人の平野だと名乗り、1年前の自分を尾行して欲しいと志織に依頼するのですが...。

最初は時間を越えた恋愛物かと思いきや、それが徐々にミステリ的になっていくという、松尾さんらしーい物語。でも、結果的には気持ちの良いSFテイストのラブストーリーになっていると言えるんでしょうけど... なんか違ーう。松尾さんの作品は全部読んでるし、設定の突飛さには慣れてるので、期待しすぎてしまった私がいけないのかもしれないんですが... うーん、どうも物足りない。作中に登場する「シラノ・ド・ベルジュラック」の使い方はすごく効果的だと思うし、きっとSF部分の決着の付け方もあれで良かったんだろうと思うんですけどね。中心となる人物たちに魅力を感じられなかったせいなのかしら。マンションのオーナー氏や他の隣人たちの方が、主人公たちよりも面白かったし。終盤の引越しの話し合いや、その後の説明もクドくて、正直引いてしまいました...。
この作品なら一般的な評価はいいかもしれないんですけど... でもね、他の人の作品ならいいんです。これは松尾さんの作品なんですよーっ。そういう一般ウケする作品を読みたいわけじゃないんです。って、その期待はちょっと変でしょうか。でも松尾さんの作品には、どうしてももっと突き抜けたものを求めてしまうんですよね。メーワクな読者かもしれないなあ。(新潮社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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離婚して実家に戻り、雑貨を作っては梅屋に置いてもらって生計を立てている果那。自宅ではなかなか熟睡できないため、徹夜で作品を作っては梅屋に行き、納品がてら奥の三畳ほどの小部屋に眠らせてもらうのが毎日の習慣。そんなある日、果那を訪ねてきたのは、「カワサキリュウジ」という青年でした。果那の元夫の行方を捜すには、果那の寝言が鍵となっているのではないかと考えた「カワサキリュウジ」。実は果那には幼い頃に誘拐された経験があり、よく寝言で口にしていたのです。

大島真寿美さんの作品を読むのは初めて。実はサイン本を頂いてしまいました。ありがとうございます~。
読みながらずっと考え続けていたのは、「かなしみの場所」がどこなのかということ。どこなんでしょうね。登場する場所といえば、まず梅屋があるんですが、ここはとっても居心地が良さそうな場所なんですよね。ここにいる「みなみちゃん」とは、果那もよく気が合ってるし、自宅でもよく眠れない人間がすとんと眠ってしまえるような場所なんですもん。かといって、離婚する前に住んでいた家でもないでしょうし、その後戻った自宅も、伯母夫婦がマレーシアの息子のところに行ってる間留守番をすることになった伯母宅も、「かなしみ」とはちょっと違うし...。結局のところは、果那が既にぼんやりとしか覚えていない思い出のことなのでしょうかー。現在も決して不幸ではないけれど、そこだけぽっと暖かく色づいているような思い出。
静かな雰囲気の中で淡々と進んで、まるで透明な水のようにさらさら流れていく物語です。柔らかい色彩の装幀も綺麗で、この雰囲気にぴったり。果那とみなみちゃんのやりとりも楽しいです。ただ、時折ひっかかる部分も... その中の1つは、設定が時々妙に細かくなること。そんなに書き込まない方が、全体の雰囲気には合うと思うんですけど、何度も書き直してるうちに、場面によって深さが変わっちゃったのかな? とはいえ、これから人気が出そうな作家さんですね。この作品の透明感に惹かれる人は多そうです。(角川書店)

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17歳の時に出会って結婚した両親は、「わたし」が生まれて半年後に離婚。母が貧しい牧師風情と結婚していることが許せなかった祖父母が、父を家から追い出したのです。父のことを愛し続けていた母は、それを忘れようとするかのように他の男性たちとのデートを重ねる日々。「わたし」が父に会ったのは5歳、10歳、そして20歳になった時。20歳の時、10年ぶりに父に会った娘は父に強く惹かれ、父もまた美しく成長した娘に目を奪われます。

作者自身の体験、それも近親相姦が描かれていると話題になったらしいですね。でも、確かに近親相姦ではあるんですけど、かなりそっけない文章で書かれてるので、そういうエロティックさはほとんど感じなかったです。ここに描かれているのは、愛情に飢えた子供が自分の中に溜め込んできた哀しみ。でもそっけない文章のせいなのか、ただ言葉が足りないのか、こちらに受け止める力がないのか、彼女が父親に魅了される気持ちがあまり伝わってこなかったです。あの父親の一体どこがそんなに良かったのかしら。失われていた父親に対する思いというのは確かにあるでしょうけど...。父親にしたって、あれじゃあただの、自分が欲しいものを我慢することを知らない子供じゃないですか。娘の思いをあんな風に利用する父親なんて、とんでもない。
原題はただの「Kiss」ではなく、「The Kiss」。作品そのものは全然感傷的じゃないのに、「その」キスというところに、作者の感情が出てるような気がします。キャサリン・ハリソンを呪縛した、1つのキス。そしてこの作品では、過去のことを語りながら、その文章は現在形という時制を取ってるんですけど、これは過去の自分を追体験するという意味があったのでしょうか? 小説として読んでもらうことが目的というよりも、自分の辛い過去を敢えて文章にすることで、自分自身がその呪縛を断ち切るのが目的の作品のように思えました。(新潮文庫)

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「なつこ、 孤島に囚われ」「両性具有迷宮」に続く、森奈津子シリーズの連作短編集。
いや~、もう相変わらずのエロティックぶりで大変でした。4作入ってるんですが、特に最初の2作は凄いです。エロエロ。おお、こういうオチだったのか!と、楽しく読めるのがさすが西澤作品なんですが、でもやっぱりエロすぎ。これじゃあ感想が書けません。(笑)
あとの2編はそれほどエロではなかったかな。(前2作を読んだ後なので、もはや一般的なレベルとは比べられなくなってますが) むしろ表題作の「キス」は、ロマンティックでメランコリックな作品だったし、「舞踏会の夜」では、思いがけないシロクマの文才を楽しむことができました。シロクマの作品としていくつかの小編が紹介されてるんですが、これは西澤さんご自身がかつて書いた幻の作品のようですね。「凶歩する男」、面白かったです。
今回初登場で、森奈津子さんとディープなエロ話を繰り広げる美人編集者・遅塚久美子さんも、実在の方なんですって。こういう作品に登場するのって、勇気あるなあ。この方も、ここに描かれた通りの方なんでしょうかー。(笑) (徳間書店)


+シリーズ既刊の感想+
「なつこ、孤島に囚われ。」「両性具有迷宮」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「キス」西澤保彦

+既読の西澤保彦作品の感想+
「方舟は冬の国へ」西澤保彦
「生贄を抱く夜」西澤保彦
「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」西澤保彦
「フェティッシュ」西澤保彦
「春の魔法のおすそわけ」西澤保彦
「ソフトタッチ・オペレーション」西澤保彦
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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香恵は、天然ボケの大学2年生。学校ではマンドリンクラブに所属して、定期演奏会に向けて練習中。そして万年筆好きの香恵のバイト先は、万年筆に強い今井文具堂。しかしクラブで一番仲の良かった葉奈が1年間のアメリカ留学に行ってしまい、電話やメールでのやりとりもなかなかタイミングが合わず、クラブのメンバーとの付き合いにもどこか寂しさを感じ始めていた頃、香恵は部屋のクローゼットの中から見つけた、前の住人「伊吹先生」のノートを読み始めます。

雫井脩介さんの作品は実は初めてなんですが、もっとハードなサスペンスタッチの作品を書かれる方なんじゃないかと勝手に思い込んでいたので、この作品の柔らかい優しい雰囲気にはびっくり。こういう作品を書かれる方だったんですか!
香恵の現在の生活に、伊吹先生のノートがどのように絡んでくるのかは、少し読み進めると見当がついてしまうんですけど、暖かくて優しくて、素敵な物語でした。小学校の先生として毎日頑張っている伊吹先生のノートそのものも良かったし、天然ボケなだけでなく一見自分の主張が何もないように見える香恵が、その伊吹先生のノートに影響されて、徐々にしっかりと自分を持てるようになっていくところもいいんですよね。
香恵がバイトをしている文具店の万年筆売り場での薀蓄はとても楽しくて、思わず自分でも万年筆を持ちたくなってしまうほど。ここまで詳細に書き込む必要があったのかという気も少しあったんですが、やっぱりこの部分は、物語の中でもとても好きな部分でした。
でも、あの後はどうなるのかしら? これはもう読者のご想像にお任せします、なのかしら。となると、私には良い方向しか想像できないんですけど... いいのでしょうか。(笑) (角川書店)

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