Catégories:“恋愛小説”

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7編の連作短編集。最初の話の脇役が次の話では主役にまわり、その話の脇役がその次の話の主役になり... という形式。こういうのはかなり好き。でもって、7編中3編は男性視点。島本さんの作品で男性視点というのは、もしかしてこれが初めてじゃないですか? なかなかいいですねえ。作品を読んでて一番気に入ったのが体重100キロを越すバーテンダーの針谷くんなんです。高校時代、可愛い女の子に告白して付き合い始めながらも、「ずっと彼女はなにか勘違いしているのだと僕は疑っていた」というほど、自分の外見にコンプレックスがある男の子。幼馴染の女の子に告白されそうになると、「男なのに胸があるんだよ」と触らせてかわしてしまったり。でもいざという時に頼りになる素敵な男の子。
あとがきにも書かれているように、「生真面目だったり融通がきかないほど頑固だったりするのに、その反面どこかウカツで変に不器用」な登場人物たち。これまでの作品、特に「ナラタージュ」のような熱さは感じなかったですし、幸せな場面ばかりではないですが、それでも読んでいて心地良い穏やかさがありました。(マガジンハウス)

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「優しい音楽」「タイムラグ」「がらくた効果」という3編が収められた、瀬尾まいこさんの最新作。(とは言っても、出たのは4月だけど)
3編とも、恋人関係の中に第三者が入り込んできて、恋人同士の基盤が揺らぎそうになりながらも、しっかりと持ちこたえて新しい関係を生み出す、そんな話。(で、いいのかしら...(^^;) それぞれに柔らかい優しさがあって、登場人物たちの人の良さがとても印象的。
でもね、「幸福な食卓」のことを考えると、どこか違う気がしてならないんです。別に「幸福の食卓」のような展開を望んでいるわけじゃないし、むしろあんなことは二度とゴメンなんですけど... でもここでこんな風に終わらせてもいいのなら、なぜ瀬尾さんはあの時あんなことをしたの? という疑問が再燃。
うーん、やっぱり納得できてなかったのね、私。きっととってもいい話なのに、なんだか素直に読めなくて淋しいわー。(双葉社)


これで、現時点で出ている瀬尾さんの作品は完読。とりあえずMy Best Books! の順位(コチラ)は変更なしで良さそうです。


+既読の瀬尾まいこ作品の感想+
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
「優しい音楽」瀬尾まいこ
「温室デイズ」瀬尾まいこ
Livreに「卵の緒」「図書館の神様」「天国はまだ遠く」の感想があります)

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短編3編が収められています。他の金城作品と比べるととても静かな印象を受ける1冊。他の作品の特徴だった躍動感はすっかり影を潜めていて、物語は淡々と進んでいきます。ここに収められた3編のモチーフは「死」や「別れ」。しかもここで「死」の対象となるのは、まだまだ若い人間たち。自分の死を悟った彼らは、そのことに関して「対話」をすることになるのですが... これほど周囲に人間が沢山いても、何かがあった時にそれを聞いてくれる人間とか、言って欲しい言葉を言ってくれる人間はほとんどいないんだなあ...。
3編の中で私が特に気に入ったのは3作目の「花」。切なくて温かくて爽やか。そして1作目の「恋愛小説」の「彼女」の、たとえ生きていても会わなければ、それは死んでいるのと同じだという言葉はインパクトが強かった! でもほんとその通りなんでしょうね。
3編の舞台となる時代はそれぞれ違うんですが、共通する人物が登場。「SPEED」にも繋がっています。

金城一紀さんの作品も、これで全部読んじゃった。早く新作が出ないかな。(この間出たばかりですってば) でもこれも良かったんだけど、最後に読んだのがこれって、なんだか寂しい気分になっちゃう。普段の元気な作品が無性に再読したくなっちゃいました。(講談社)


+既読の金城一紀作品の感想+
「GO」金城一紀
「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「SPEED」金城一紀
「対話篇」金城一紀
「映画篇」金城一紀

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「猫背の王子」は中山可穂さんのデビュー作。5年前に自分の劇団を立ち上げ、座長として脚本家として演出家として、そして役者としてやってきた王寺ミチルが、自分の劇団、そして大切な人々を失う物語。そして「天使の骨」はその続編。劇団を失って失意のどん底にいたミチルが、海外へと旅立つ物語。いわば喪失と再生への序曲、でしょうか。
「猫背の王子」で、自分の命を削るように輝いていたミチルは良かったんだけど、でも破滅に向かって突き進んでいく様子が痛々しくて見てられなかったんですよね。「天使の骨」では、既にどん底にまで落ちてしまってるわけだから、もちろんそれはそれで大変なんですけど、でもこっちの方が好き。何よりずっと読みやすかったし、ぼろぼろの天使というのがいいんですよねえ。そしてすっかり輝きを失っていたミチルが、その光を再び取り戻していこうとするのも。
でもまだ決着がついてないんです。あともう1作、続編希望。恋人同士の愛情を超えた、もっと大きな愛が見たいところです。

それにしても、恋愛小説は苦手なはずだったのに、最近増えてきてるような...。しかも結構ディープだったり。(笑)
でも、中山可穂さんの作品は女性同士ということに注目が集まりがちなんでしょうけど、きっとそれは瑣末なことなんですよね。同性でも異性でも、人を好きになったり大切に思う気持ちは一緒ですものね。(集英社文庫)


+既読の中山可穂作品の感想+
「白い薔薇の淵まで」中山可穂
「猫背の王子」「天使の骨」中山可穂
「感情教育」「深爪」中山可穂
Livreに「サグラダ・ファミリア-聖家族」の感想があります)

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高校3年生の時に予備校の教師・サイトウさんと付き合い、そして別れ、自暴自棄になった「わたし」は気軽な男の子たちと適当に付き合った挙句、妊娠。そして中絶。そんな「わたし」が徐々に自分を取り戻していく物語。

これが、綿矢りささんと金原ひとみさんが芥川賞を取った時に、一緒に候補になってた作品なんですねー。
あとがきには、「厳密には、この物語は恋愛小説とは言えないかもしれない」とあったんですけど、これのどこが恋愛小説じゃないんだろう、って考えてしまうほど、私にとっては恋愛小説でした。主人公の「わたし」が、いくら恋を失ったからといって、そんな手軽な男の子たちと適当に寝てしまうような子には見えなかったのが難点なんだけど... でもそんな風に見えない彼女が実はそういう行動に出て、高校の夏休みにキャバクラでバイトをしてしまうような同級生のキクちゃんが、「けど、やっぱり好きじゃない人と寝ちゃだめだな」なんて言ってるところが、やっぱり今らしさなのかもしれないですね。...でも堕胎を扱っているというのに、この扱いの軽さは何なんだろう...。
そんな時に知り合った男性との緩やかな付き合いを通して、深くて暗い森の中から、徐々に周囲が明るくなっていくようなところが良かったです。希望が感じられて。誰かに見守ってくれる人がいればそれだけでいいって時は、確かにありますよね。

島本さんの作品が3冊続きましたが、最新作「一千一秒の日々」は手元にないので、とりあえずここまでです。この本の表紙の絵はミヒャエル・ゾーヴァ! 本の裏までこの絵が続いていて、そういう使い方が素敵です。ここに出てくる画像に帯がついてなくて嬉しいわあ。(講談社)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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あとがきによると、「明るい小説にしようと、最初から最後までそれだけを考えていた」という作品なのだそう。確かに不思議な明るさがある作品と言えそうです。主人公の橘ふみの家は母子家庭で母親は2度も離婚していますし、物語の冒頭で母親が勤める整骨院の院長が夜逃げしてしまって失業、酔っ払って帰って来る始末。ふみ自身、高校は卒業したものの、大学に行く学費なんてどこを押しても出てこない状態。しかも妹のユウちゃんは、小学校2年生の異父妹。...お世辞にも明るいとは言いがたい状況なんですが、それでもふみの家族も、ふみの習字の先生も、そんな時に出会った周やその姉も、ふわりと明るい空気をまとっているような印象なんですよね。まるで力んだりしてなくて、ごく自然体。しかも伸びやかで。
読み始めた時は、また母子家庭か!と思ったんですけど、単なる枠組みに過ぎないような気もしてきました。(でもそろそろ母子家庭はやめて欲しいな... ←次は父子家庭だったりして・笑) (講談社)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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「シルエット」「植物たちの呼吸」「ヨル」の3編が収められていて、表題作「シルエット」は、島本さんが17歳の時に群像新人文学賞最優秀作を受賞したとのこと。ということは、「ヨル」は... 15歳の時に雑誌に掲載されたってこと? すご...っ。
どれも作者の若さを映し出すように若さが溢れているんですが、やっぱりこの中では表題作が良かったです。今は大学生の「せっちゃん」と付き合っているけれど、どこか冠くんのことが忘れられないでいる「わたし」の物語。主人公の揺れ動く心とか、この年代の繊細で尖った部分とか、そういうのが、まさに同年代の手によって書かれてるんだなあという感じ。でもいくら女子高生の時に書いたと作品だと言っても、やっぱりここまで等身大の女子高生を描けるのって凄いんじゃないかと思います。...確かに忘れられない人っていますよね。だからといって無理に忘れられるものではないし、忘れられない人は忘れられないままでいいと思うのですが... でもやっぱりそこに若さが出るんだろうな。
ただ、ちょっと気になってしまうのは、3編の主人公3人+α が母子家庭なこと。そりゃ最近では全然珍しくない存在だと思うのですが、でも3編連続でっていうのはどうなんだろう... まあ、コレに関しては他の作品も読めば、おのずと答が出ると思いますが。

そうそう、この文庫はクラフト・エヴィング商會の装幀です♪(講談社文庫)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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