Catégories:“恋愛小説”

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4年前に宝くじで3億円が当たったものの、特にやりたいことがなく、東京の勤めをやめて敦賀に移り住んだ河野勝男。釣りをしたり、釣った魚を料理したり、洗車したりという毎日を送っていた河野の目の前に現れたのは、白いローブを着た、金髪に灰色の目をした40がらみの男「ファンタジー」でした。その日からファンタジーは河野の家の居候となります。

初めての絲山秋子さんの作品。今読むなら、直木賞候補になった「逃亡くそたわけ」でしょ!と言われそうな気がするのですが(笑)、これも一昨年の芥川賞の候補作品だったそうですねー。それってもしかして、綿矢りささんと金原ひとみさんが受賞した時ですか? いやー、直木賞も芥川賞もちゃんとチェックしてないので良く分からなくて... というか、選ばれた時点で読む気をなくしてることが多いので...(^^;。あ、もちろん面白そうなら拘らずに読みますけどね。ちなみにこれは貸していただいた本です。
で、読んでみて。んんー、何だったんでしょう。自分のことを神だと言うファンタジーのことは、河野も含めて大半の人間がなぜか知っていて、会った瞬間名前が分かるんですよね。この中でファンタジーのことが分からないのは、河野のかつての同期の女性の片桐だけ。でも私には、その片桐だけが、この作品の中でリアルに感じられました。他の人たちは皆砂の色なのに、彼女と彼女にまつわるものだけが鮮やかに色づいていたような印象というか。片桐のアルファロメオは鮮やかな赤なのに、河野のオレンジ色のピックアップも、河野の恋人となるかりんのカーキ色のジープも、全部砂の色の濃淡の中に沈んじゃう。海も空もいっぱいあるのに、目に入ってくるのは片桐だけ。そして作中には結構重いテーマが投げ込まれてたりするんですけど、でもそれも砂色の濃淡に染まって、さらりと流れていってしまったんですよねえ。むむむ。
理屈ではなく、感覚で捉えるべき作品なんでしょうけど... 脇役の片桐にしか色彩を感じなかった私には、結局うまく捉えきれない作品だったのでした。うーむ、何をどう感じていいのかも良く分からない...。(新潮社)

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津原泰水まつりエントリ第3弾です。本当は刊行順に読もうと思ってたんですけど、「ペニス」は今回こそゆっくりと読もうと決心してるし(ということで、まだ125ページ)、丁度こちらの本が入手できてしまったので、先に読んでしまいましたー。津原さん単独作品で最後の未読本。(...と思ったらキム・ギドク監督の映画のノベライゼーション「悪い男」もあったんだっけ。でもノベライゼーションっていうのは、あまり食指が動かないなあ)

というのはともかく、「赤い竪琴」。
祖母の遺品をきっかけに、耿介という楽器職人と知り合った暁子の物語。純愛小説だというのだけは聞いてたんですけど、それでも実際に読んでみてかなり驚きました...。明らかに津原泰水さんの文章なんですが、でも本当に?って感じ。とは言ってもやはり津原泰水さんだから、一筋縄ではいかないのですが...。
うわーん、良かったです。なんて素敵。なんて美しい...。これは本当に大人の恋愛小説ですね。今にもほとばしり出しそうな、抑えられた情熱にドキドキ。耿介と暁子の一言一言にドキドキ。そして最後の一言...。未読の最後にこんな作品が残っていたなんて幸せだー♪

津原泰水まつりのバナーは、OverQさんが作って下さったんですが、この「赤い竪琴」と同じ色だったのですねえ。この書体(康印体?)がまた、津原作品に似合ってますね(^^)。

赤い竪琴かあ... 私も膝の上に抱いて爪弾いてみたい。音色を聴いてみたいなあ。(集英社)


+既読の津原泰水作品の感想+
「ペニス」津原泰水
「少年トレチア」津原泰水
「綺譚集」津原泰水
「妖都」津原泰水
「蘆屋家の崩壊」津原泰水
「赤い竪琴」津原泰水
「ルピナス探偵団の当惑」津原泰水

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同じく姫野カオルコさんの「ツ、イ、ラ、ク」と対になるような短編集。今年の3月末に出た時から読みたくて仕方なかったんですが、ようやく読めました! いやー、やっぱり良いですね...。「ツ、イ、ラ、ク」ほどではないんだけど、あの雰囲気を肌の感覚で覚えているだけに、これを読んでいると「ツ、イ、ラ、ク」の世界が鮮やかに蘇ってきます。特に「高瀬川、それから」が良かったな。あとは表題作の「桃」かしら。そしてこれを読んだら無性に「ツ、イ、ラ、ク」が読みたくなっちゃって、またしても読み返してしまうことに...。
「ツ、イ、ラ、ク」は、去年の自分のマイベスト本で4位にした作品でもあります。やっぱり良かった! 今回、読んでる途中で、「キスするよりも抱き合うよりも熱かった時間」という言葉にドキッとしたんですけど、前読んだ時の感想を見たら、その時もやっぱりその言葉がとても気になってたらしいです。またいつか読み返したら、そのことをすっかり忘れて、またこの言葉のところで目が止まっちゃうのかしら?(笑) そして今回は、小山内先生にものすごーーく惹かれました。(前読んだ時も惹かれたと思うんだけど、こちらは自分の感想には特に何も書いてありませんでした...)

「桃」のあとがきに、「長編小説のほうを読んでいなくても、それと対になっていると知らなくてもかまわない。長編未読の人を読者と想定して書きました。」とありました。もちろん「桃」だけでもいいんだけど... でもやっぱり「ツ、イ、ラ、ク」があってこその作品なんじゃないかと思います。あの世界を知ってるからこそ、無性に痛くて切なくてエロティックなのではないかと。(角川書店)

久しぶりに2004年のマイベスト本の記事を見たら、「夜のピクニック」の画像だけが大きくなっててびっくり。本屋大賞を取ったから? 何も大きくしなくても... と思うのだけど、画像としては左端の1つ目なのでバランス的には悪くなくて、それがなんだか可笑しーい。


+既読の姫野カオルコ作品の感想+
「桃」姫野カオルコ
「受難」姫野カオルコ
「変奏曲」姫野カオルコ
Livreに「ツ、イ、ラ、ク」の感想があります)

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ジャン・ジュネの再来とまで言われた新人女性作家・山野辺塁と「わたし」の恋愛の物語。
中山可穂さんの作品を読んだのは、「サグラダ・ファミリア」に続いてこれで2冊目です。「サグラダ・ファミリア」もものすごーく良かったんですけど、なかなか強烈なので、気になりつつも次が続かなかったんですよね。そしたら、たらいまわし企画の第10回「映画になったら見てみたい」ではdarjeeling and bookのかっこーさんが、第11回「『旅』の文学!」ではどこまで行ったらお茶の時間の七生子さんが、第12回の「爽やかな春に読みたい青春小説 」ではa daydreamのBryumさんがこの本を挙げてらっしゃるじゃないですか。3回連続登場! 凄いですね。
ということで読んでみたのですが、この作品も凄かった。ほとんど魂が持って行かれそうになりました... この2人の女性の恋愛は、周囲を不幸にして自分も相手も不幸にするのが分っていても、お互いに取り返しのつかないほど傷つけあいながらも、それでも尚相手を求めずにはいられない関係。これまでは、恋愛に性別ってあんまり関係ないんじゃないかとも思ってたんですけど、やっぱりこれは女性作家さんの描く女性同士の恋愛だからこそなのかも...。いや、「恋愛」なんてそれこそ人間の数だけあるものでしょうし、男女だからどうだとか女性同士だから男性同士だからって、決め付けるのはナンセンスなんでしょうね。でも少なくとも、元々あまり恋愛感情の強くない私にとって、ここまで自分をさらけだして相手にぶつけるというのは絶対に不可能なので、この2人の関係はちょっと羨ましくもありました...。

この作品は山本周五郎賞受賞作品でもあります。私が日本ファンタジーノベル大賞と並んで信頼している、貴重な文学賞。だって「異人たちとの夏」だって「そして夜は甦る」「エトロフ発緊急電」「スメル男」「ダック・コール」「天空の舟」「リヴィエラを撃て」「ガダラの豚」「鉄鼠の檻」「しゃべれども しゃべれども」「ライオンハート」「黄色い目の魚」「家守綺譚」「ナラタージュ」...といった作品が受賞したり候補になったりしてるんですもん。もちろん、中には私が好きじゃない作品も受賞してたりしますけどね。
↑ここに挙げた作品って、あんまり... というか全然統一性がないんじゃ... って感じですけど、対象となるのは「すぐれて物語性を有する新しい文芸作品」なのだそうです。(集英社文庫)


+既読の中山可穂作品の感想+
「白い薔薇の淵まで」中山可穂
「猫背の王子」「天使の骨」中山可穂
「感情教育」「深爪」中山可穂
Livreに「サグラダ・ファミリア-聖家族」の感想があります)

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急にアメリカに行くことになった叔母の代わりに、叔母のマンションに住みこんで2匹の猫の面倒をみることになった渉。しかしそのマンションには、実は雨の日にだけ現れる幽霊がいたのです...

幽霊との恋物語。そしてその幽霊の死の真相を探るミステリでもあります。松尾さんの作品に幽霊というのは今までにもあった組み合わせだし、特に珍しくもないんですが、今回驚いたのは、この作品の持つストレートさ。これほど素直な松尾作品なんて、これまでありました?! もちろん幽霊の描かれ方はとてもユニークで、そこは十分松尾さんらしいんですけど、でも恋愛物という点では、予想した通りの場所に直球ストレートでびっくり。毒もないことはないんだけど、本筋とはまた少し違う部分だし...。(それにつけても、守山という男の最低なことったら) さすがに相手が幽霊のせいか、純粋な恋愛物という意味では少し希薄な感じは否めないんですけど、淡々とした描写が優しい雨の情景と良く似合ってました。...でも正直言えば、ミステリ部分にはちょっと不満が。幽霊がなかなか語ろうとしない部分が結構あるんですけど、それが妙に意図的に感じられてしまって...。自慢して言いふらすような事柄じゃないだけに、当然なのかもしれませんが...。
でも... 帯の「ありえない恋 ラスト2ページの感動」はどうなんでしょ...??(新潮社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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厳格すぎるほど厳格だった父に反抗して、20歳そこそこでで家を飛び出して以来、実家にはあまり寄り付かなかった野々。しかしその父も1年前に亡くなり、兄妹3人で一周忌の相談をすることになります。兄の春日も20歳になった時に家を飛び出しており、現在実家に残っているのは、母親と妹の花だけ。しかし以前はいつも身綺麗にしていた母が、最近身なりにも構わず、家事もせず、庭は荒れ放題、あれほど好きだったピアノにも鍵をかけているという状態。それには父が死んだ後で発覚した不倫事件が関係していたのです...。

児童書のイメージが定着していた森絵都さん。前作「永遠の出口」が初の大人向け作品として出版されていたものの、元々大人にも十分楽しめる児童書を書かれていた絵都さんのこと、実際にはそれほど雰囲気は変わらなかったんですよね。でも今回は本当に大人向きでした! 最初の場面がいきなり性描写でびっくり。しかもそこから話は、亡くなった父親の不倫話へと発展。これは確かに大人向きですね。...とは言っても決してどぎつくはないんですが。(そういえば「DIVE!!」の2巻も、かなり際どかったような覚えがあるんですけど... あれは設定がそうだっただけかな?)
夫婦の愛情、親子の愛情、兄妹の愛情、恋人同士の愛情と、色々な愛情がテーマとなっていたように思います。そして父からの卒業。なんだか大きく人生を感じることのできるような作品でした。もし身近にいたら、好きになれたかどうか分からないこの兄妹も他の人たちも、森絵都さんの濃やかな描写を通すと、なんだかみんな愛しく感じられちゃうような気がします。そしてそれが絵都さんの凄いところなんでしょうね。(角川書店)


+既読の森絵都作品の感想+
「いつかパラソルの下で」森絵都
「にんきもののひけつ」「にんきもののねがい」「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」森絵都
「あいうえおちゃん」「流れ星におねがい」森絵都
「ぼくだけのこと」森絵都
「いちばんめの願いごと」森絵都
「屋久島ジュウソウ」森絵都
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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初めての島本理生さんの作品。実は芥川賞の候補になった時点で(綿矢りささんと金原ひとみさんが受賞の時ですね)すっかり興味を失っていたのですが(なんて失礼なヤツだー)、今回本を頂いたので、良い機会と早速読んでみることに。
いやー、良かったです! 興味ないなんて思ってたのがほんと申し訳ないぐらい。純粋な恋愛小説だし、展開自体はとても普通なんだけど、でも淡々としていながら、しみじみと切なくて。ぶっきらぼうとも言えそうな主人公が思わず心情を吐露してしまうところなんて、思いの深さがすごく伝わってくるし。相手の男性については、ちょっと言いたいことがあるし、もうちょっと突っ込んで書いて欲しかったな、というのがあるんですけどね。でもこういう人いるよなー。淡々としたラストも、何とも良かったです。何が良かったって、このラストが一番かも。
島本さんの作品は今回初めてなので、他の作品に比べてどうなのかは良く分からないんだけど、でも他の作品もぜひ読んでみたくなりました。作品数の少ない今が狙い目?(笑)(角川書店)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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