Catégories:“恋愛小説”

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宝塚、宝塚南口、逆瀬川(さかせがわ)、小林(おばやし)、仁川(にがわ)、甲東園(こうとうえん)、門戸厄神(もんどやくじん)、西宮北口。片道15分ほどの短い阪急今津線を舞台にした人間模様。

阪急電車の今津線が舞台の作品。以前からともっぺさんにオススメされてたものの、図書館で借りようと思ったら大人気。ようやく読めましたよ。いや、本当は書店に本が並んだ時から気にはなってたんですよね。だって、関西に引っ越して以来、ずっと阪急沿線に住んでる私。途中で何度か引越ししたとはいえ、相も変わらず阪急沿線。そして阪急の今津線といえば、私が中学高校の間毎日のように乗っていた路線なんですもん。今ではほとんど乗ることもないんですけどね。これで気にならない方が嘘でしょう~。でもよく知ってるだけに、本筋とは関係ない妙なとこで突っ込んでしまいそうという不安もあって。オススメされるまでは読むつもりはなかったんです。

で、実際に読んでみて。
いや、もう、懐かしい! 初っ端から清荒神ですか。しかも宝塚中央図書館って! ここが建てられた時のことだって覚えてますよぅ。他にも懐かしくなってしまう風景ばかり。燕が巣を作った駅の「今年もやって参りました。お騒がせしますが、巣立ちまでどうぞ温かく見守ってください」という貼り紙にも見覚えがあるし...。登場する人たちの学校もすぐ分かりますね。あれ、ここが出てるのにあそこは出さないの? とか思ったりもしましたが。
でも、案の定突っ込みたい部分も色々と... まず言葉。大阪と神戸の丁度中間というあの土地の言葉は、大阪とも神戸とも違うものだと私は認識してるんですが...? 西宮北口を「西北」なんて言うのも初耳。私は「北口」としか言わないけど、今はそういう言い方するのかしらん。それに、あのほのぼの和やかな今津線に、あんな下品なオバサンも逆ギレ男もいませんよー、とかね。(競馬のある日だけは、電車の中の雰囲気が変わるんですけどね) でも、あそこの小学校(知る人ぞ知る私立の名門お嬢さん学校)があんな扱いされてるのにはびっくりしたけど(だから外見的な描写が変えられてるのね)、うん、こういうこともあるでしょう、と思うし。それに「えっちゃん」の話も、いかにもありそう! 実話と知って思いっきり納得。(笑)

ま、気になる部分もあったんですが、結局あれですね。そんなの全部を乗り越えて、もう可愛すぎ! 身悶えしてしまうぐらい。(笑) そうでなくても、こんな風に色んな人の人生が交錯していくタイプの話って大好きなんです。普通に見える電車の中に潜む様々なドラマ。おばあちゃんも彼も彼女もいい味出してたし、うふふ、楽しかったです。(幻冬舎)


+既読の有川浩作品の感想+
「海の底」有川浩
「図書館戦争」「図書館内乱」有川浩
「阪急電車」有川浩

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高校時代の同級生から芝居の案内が送られてきたのがきっかけで、11歳年上の女優・大庭妙子と付き合うことになった田中孝。妙子念願の「あわれ彼女は娼婦」のアナベラ役を見に父と劇場へと向かうのですが... という「父のお気に入り」他、全3編。

1作目2作目に共通点がないので、まるで関連性のない3作かと思いきや...! 実はそうではなかったんですね。読み終えてみると、3つの作品が綺麗に円を描いていました。まさに題名通りの「ラ・ロンド」。主題があり、異なる旋律を挟んで、少し変形した主題が繰り返されます。
久々の服部まゆみさんの作品だったんですが、いや、もう、服部まゆさんならではの濃厚な美しさを持った作品でした。「父のお気に入り」では、中学時代の同級生・河合さんが可哀想過ぎて、これだけは何とも言えないのですが... それでも作品世界はとても素敵。少しずつ微妙にズレながら重なっていく人間関係の描き方は、服部まゆみさんならではで、ぞくぞくぞわぞわ。やっぱり服部まゆみさんの描く世界は美しい~。やっぱり大好きな作家さんです。(文藝春秋)


+既読の服部まゆみ作品の感想+
「ラ・ロンド 恋愛小説」服部まゆみ
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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旅行代理店に勤める北村志織は、一眼レフのカメラでモノクロ写真を撮り、それを自分で現像するのが趣味。しかし現像液の臭いのことで隣人から苦情が来て、引っ越すことになります。ようやく決まった引越し先は、画家でもあるオーナーの権藤氏の拘りで、色々な事情で部屋を借りにくい芸術関係の人、よそで三ヶ所以上断られた人、というのが条件のマンション。なんとかオーナーの合格が出て、新しい部屋での生活を始める志織。しかしある日、いつものように仕事から帰ってきて、ぬいぐるみの熊相手に1人で話していた志織は、壁のエアコンの穴から聞こえた笑い声に驚きます。相手は1年後の隣人の平野だと名乗り、1年前の自分を尾行して欲しいと志織に依頼するのですが...。

最初は時間を越えた恋愛物かと思いきや、それが徐々にミステリ的になっていくという、松尾さんらしーい物語。でも、結果的には気持ちの良いSFテイストのラブストーリーになっていると言えるんでしょうけど... なんか違ーう。松尾さんの作品は全部読んでるし、設定の突飛さには慣れてるので、期待しすぎてしまった私がいけないのかもしれないんですが... うーん、どうも物足りない。作中に登場する「シラノ・ド・ベルジュラック」の使い方はすごく効果的だと思うし、きっとSF部分の決着の付け方もあれで良かったんだろうと思うんですけどね。中心となる人物たちに魅力を感じられなかったせいなのかしら。マンションのオーナー氏や他の隣人たちの方が、主人公たちよりも面白かったし。終盤の引越しの話し合いや、その後の説明もクドくて、正直引いてしまいました...。
この作品なら一般的な評価はいいかもしれないんですけど... でもね、他の人の作品ならいいんです。これは松尾さんの作品なんですよーっ。そういう一般ウケする作品を読みたいわけじゃないんです。って、その期待はちょっと変でしょうか。でも松尾さんの作品には、どうしてももっと突き抜けたものを求めてしまうんですよね。メーワクな読者かもしれないなあ。(新潮社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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離婚して実家に戻り、雑貨を作っては梅屋に置いてもらって生計を立てている果那。自宅ではなかなか熟睡できないため、徹夜で作品を作っては梅屋に行き、納品がてら奥の三畳ほどの小部屋に眠らせてもらうのが毎日の習慣。そんなある日、果那を訪ねてきたのは、「カワサキリュウジ」という青年でした。果那の元夫の行方を捜すには、果那の寝言が鍵となっているのではないかと考えた「カワサキリュウジ」。実は果那には幼い頃に誘拐された経験があり、よく寝言で口にしていたのです。

大島真寿美さんの作品を読むのは初めて。実はサイン本を頂いてしまいました。ありがとうございます~。
読みながらずっと考え続けていたのは、「かなしみの場所」がどこなのかということ。どこなんでしょうね。登場する場所といえば、まず梅屋があるんですが、ここはとっても居心地が良さそうな場所なんですよね。ここにいる「みなみちゃん」とは、果那もよく気が合ってるし、自宅でもよく眠れない人間がすとんと眠ってしまえるような場所なんですもん。かといって、離婚する前に住んでいた家でもないでしょうし、その後戻った自宅も、伯母夫婦がマレーシアの息子のところに行ってる間留守番をすることになった伯母宅も、「かなしみ」とはちょっと違うし...。結局のところは、果那が既にぼんやりとしか覚えていない思い出のことなのでしょうかー。現在も決して不幸ではないけれど、そこだけぽっと暖かく色づいているような思い出。
静かな雰囲気の中で淡々と進んで、まるで透明な水のようにさらさら流れていく物語です。柔らかい色彩の装幀も綺麗で、この雰囲気にぴったり。果那とみなみちゃんのやりとりも楽しいです。ただ、時折ひっかかる部分も... その中の1つは、設定が時々妙に細かくなること。そんなに書き込まない方が、全体の雰囲気には合うと思うんですけど、何度も書き直してるうちに、場面によって深さが変わっちゃったのかな? とはいえ、これから人気が出そうな作家さんですね。この作品の透明感に惹かれる人は多そうです。(角川書店)

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17歳の時に出会って結婚した両親は、「わたし」が生まれて半年後に離婚。母が貧しい牧師風情と結婚していることが許せなかった祖父母が、父を家から追い出したのです。父のことを愛し続けていた母は、それを忘れようとするかのように他の男性たちとのデートを重ねる日々。「わたし」が父に会ったのは5歳、10歳、そして20歳になった時。20歳の時、10年ぶりに父に会った娘は父に強く惹かれ、父もまた美しく成長した娘に目を奪われます。

作者自身の体験、それも近親相姦が描かれていると話題になったらしいですね。でも、確かに近親相姦ではあるんですけど、かなりそっけない文章で書かれてるので、そういうエロティックさはほとんど感じなかったです。ここに描かれているのは、愛情に飢えた子供が自分の中に溜め込んできた哀しみ。でもそっけない文章のせいなのか、ただ言葉が足りないのか、こちらに受け止める力がないのか、彼女が父親に魅了される気持ちがあまり伝わってこなかったです。あの父親の一体どこがそんなに良かったのかしら。失われていた父親に対する思いというのは確かにあるでしょうけど...。父親にしたって、あれじゃあただの、自分が欲しいものを我慢することを知らない子供じゃないですか。娘の思いをあんな風に利用する父親なんて、とんでもない。
原題はただの「Kiss」ではなく、「The Kiss」。作品そのものは全然感傷的じゃないのに、「その」キスというところに、作者の感情が出てるような気がします。キャサリン・ハリソンを呪縛した、1つのキス。そしてこの作品では、過去のことを語りながら、その文章は現在形という時制を取ってるんですけど、これは過去の自分を追体験するという意味があったのでしょうか? 小説として読んでもらうことが目的というよりも、自分の辛い過去を敢えて文章にすることで、自分自身がその呪縛を断ち切るのが目的の作品のように思えました。(新潮文庫)

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「なつこ、 孤島に囚われ」「両性具有迷宮」に続く、森奈津子シリーズの連作短編集。
いや~、もう相変わらずのエロティックぶりで大変でした。4作入ってるんですが、特に最初の2作は凄いです。エロエロ。おお、こういうオチだったのか!と、楽しく読めるのがさすが西澤作品なんですが、でもやっぱりエロすぎ。これじゃあ感想が書けません。(笑)
あとの2編はそれほどエロではなかったかな。(前2作を読んだ後なので、もはや一般的なレベルとは比べられなくなってますが) むしろ表題作の「キス」は、ロマンティックでメランコリックな作品だったし、「舞踏会の夜」では、思いがけないシロクマの文才を楽しむことができました。シロクマの作品としていくつかの小編が紹介されてるんですが、これは西澤さんご自身がかつて書いた幻の作品のようですね。「凶歩する男」、面白かったです。
今回初登場で、森奈津子さんとディープなエロ話を繰り広げる美人編集者・遅塚久美子さんも、実在の方なんですって。こういう作品に登場するのって、勇気あるなあ。この方も、ここに描かれた通りの方なんでしょうかー。(笑) (徳間書店)


+シリーズ既刊の感想+
「なつこ、孤島に囚われ。」「両性具有迷宮」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「キス」西澤保彦

+既読の西澤保彦作品の感想+
「方舟は冬の国へ」西澤保彦
「生贄を抱く夜」西澤保彦
「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」西澤保彦
「フェティッシュ」西澤保彦
「春の魔法のおすそわけ」西澤保彦
「ソフトタッチ・オペレーション」西澤保彦
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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香恵は、天然ボケの大学2年生。学校ではマンドリンクラブに所属して、定期演奏会に向けて練習中。そして万年筆好きの香恵のバイト先は、万年筆に強い今井文具堂。しかしクラブで一番仲の良かった葉奈が1年間のアメリカ留学に行ってしまい、電話やメールでのやりとりもなかなかタイミングが合わず、クラブのメンバーとの付き合いにもどこか寂しさを感じ始めていた頃、香恵は部屋のクローゼットの中から見つけた、前の住人「伊吹先生」のノートを読み始めます。

雫井脩介さんの作品は実は初めてなんですが、もっとハードなサスペンスタッチの作品を書かれる方なんじゃないかと勝手に思い込んでいたので、この作品の柔らかい優しい雰囲気にはびっくり。こういう作品を書かれる方だったんですか!
香恵の現在の生活に、伊吹先生のノートがどのように絡んでくるのかは、少し読み進めると見当がついてしまうんですけど、暖かくて優しくて、素敵な物語でした。小学校の先生として毎日頑張っている伊吹先生のノートそのものも良かったし、天然ボケなだけでなく一見自分の主張が何もないように見える香恵が、その伊吹先生のノートに影響されて、徐々にしっかりと自分を持てるようになっていくところもいいんですよね。
香恵がバイトをしている文具店の万年筆売り場での薀蓄はとても楽しくて、思わず自分でも万年筆を持ちたくなってしまうほど。ここまで詳細に書き込む必要があったのかという気も少しあったんですが、やっぱりこの部分は、物語の中でもとても好きな部分でした。
でも、あの後はどうなるのかしら? これはもう読者のご想像にお任せします、なのかしら。となると、私には良い方向しか想像できないんですけど... いいのでしょうか。(笑) (角川書店)

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美和と絵梨が、創作ビジューのブランド「クレソプレーズ」を立ち上げて2年。「クレソプレーズ」は細々ながらも順調に業績を伸ばし、固定ファンもつき始めていました。もっぱら絵梨が創作し、美和は納品や事務作業全般の担当。奔放な絵梨と生真面目な美和は、対照的ながらも仲が良く、実は幼稚園以来30年弱の付き合いなのです。そして2人の間にいるのは、まだ少年のミチル。

「月の石」「アクアマリン」「赤瑪瑙」「クレソプレーズ」「真珠」という5つの章に分かれており、それぞれに美和、ミチル、絵梨、ミチル、美和と視点が入れ替わっていく連作短編集。
野中柊さんの本を読むのは初めてです。実は名前も知らなくて、前知識が全然ない状態で読んだんですけど、これがなかなか良かったですー。読み始めた時は、2人の女性が天然石のビーズのアクセサリーを作って販売しているという辺りで、安っぽく感じられてしまったんですが(そんなに書き散らされた設定というわけでもないのに、手垢がつきまくってるような気がしちゃって)、読んでるうちに印象が徐々に変化。例えば、作ったものを「商品」ではなく「作品」と呼ぶ2人に対して、冷ややかな笑みを浮かべる店主もいるというくだりもリアルだし、その双方の気持ちが実感として分るだけに、この作品のビーズやアクセサリーが単なる小道具ではなくなったという感じでしょうか。読み終えてみると、天然石のひんやりとした感触がぴったりくるような、静かな印象の素敵な作品でした。
沢山の死や別れの影がまとわりついていて、それも「静」のイメージを強くしていて、全体的にどこか物哀しい雰囲気なんですけど、その中で美和の存在がとてもふんわりと暖かく感じられて好きでした。彼女は、絵梨のわがままも、ミチルの若さも、難なく受け止めてしまえる包容力を持った存在。彼女自身にも、夫に恋人がいることが分かったり、実は色々とあるんですけどね... 読み終えた後も彼女の部分が読みたくて、なんとなくページを繰り続けてました。この心地よさは何なのかしら。

ただ、「クレソプレーズ」という言葉だけは、どうしても違和感。これは青林檎のような緑色をした天然石のことなんですが、私にとってその石は、あくまでも「クリソプレーズ」であって、「クレソプレーズ」ではあり得ないんですよね。まあ、野中柊さんにとっては、どうしても「クレソプレーズ」だという拘りがあるのかもしれないですが... 新井素子さんの「星に行く船」のシリーズの彼女が「レディ」ではなく「レイディ」であるように、ですね。(角川書店)

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フランソワーズ・サガン2冊。どちらも、先日のたらいまわし企画「教えてください!あなたのフランス本」で挙がっていた本です。サガンに関しては、友達が夢中になって読んでたので、私も大学に入った頃に何冊か読んだことがあるんですが、その時は今ひとつピンとこないままだったんですよね。ものすごーく久しぶり。

「ブラームスはお好き」は、きみ駒さんが挙げてらした本。(記事
ディスプレイ・デザイナーとして自立している39歳のポール(女性)が主人公。恋人は、少し年上で浮気性のロジェ。ポールはロジェの浮気が本気ではないことを知ってるし、2人の間では笑い話なんですが、そこに若くて美貌のシモンが登場して、ポールに一目惚れをした時... という物語。
まず、39歳というポールの年齢設定が絶妙。「若い女」から「いつまでも、お若い」と言われる段階に入りつつある彼女の気持ちがすごく伝わってきます。結局ポールがシモンの気持ちに応えられなかったのは、ロジェを愛してるからというより、ポールのこの微妙な年齢のせいなんでしょうね...。今からどんどん男盛りに向かうシモンと、女性としては老いていくばかりのポール。ポールの最後の台詞が痛いです。
でもね、ポールみたいな女性はまだまだ美しくあり続けると思うし、ますます魅力的になると思うんですよ! そりゃロジェを選べば、失うものは少ないでしょうけど、シモンの一途な愛情を信じてみて欲しかったなあ。...きみ駒さんが、ポールとシモンがもし再会したら、と書いてらしたんですが、ほんといつかまた再会して欲しい! シモンのあの一途で純粋な恋心は、もう少し落ち着きをみせるでしょうけど(あんな風に年下の美青年に口説かれてみたいものだ~)、逆に素敵な大人の恋愛になりそうです。

「愛は束縛」は、みらくるさんが挙げてらした本。(記事
美貌で資産家のローランスと結婚したヴァンサンの物語。結婚以来7年、芽の出ないピアニストとしてジゴロのような生活をしていたヴァンサン。しかし手掛けた映画音楽が大ヒットして大金が転がりこんだことから、2人の関係は少しずつ変質していき...。
...とは言っても、急にお金が入ってヴァンサンが嫌らしい成金ぶりを発揮するというんじゃなくて(笑)、むしろ自分を取り巻く環境が良く見えてきてしまったという感じなんですけどね。若い頃に読んでたら、ヴァンサンを束縛して、自分の傍に置いておこうとするローランスに嫌悪感を持っただけだったと思うんですけど、今の年齢で読むと、なんだかローランスが痛々しかったです。愛情表現の仕方を間違えてしまっただけで、彼女がヴァンサンのことを愛してたのは確かなんですもん。好きになったのも自分の方からだし、夫がいくら優しくても、いつ自分から離れていくか不安で仕方なかったんでしょうね。ヴァンサンはヴァンサンなりにローランスを愛していたというのに。という私にはローランス的なところは今も昔もないと思うんですが、少しは理解できるようになったのも年の功でしょうか。(笑)

今回読んでみて、こういう作品はやっぱりある程度年齢を重ねないとダメだと再認識。サガンに傾倒していた友達は、きっとこういう作品を深く味わってたんだと思うんですけど、ろくすっぽ恋愛経験もなかったオコサマな私には、ちょっと早すぎたようで...。やっぱりその本に読むのに適した時期ってありますよね。しかもフランス文学って、そういう作品が多そうです。(特に私の場合は、かしら) (新潮文庫)

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姫野さんの幻のデビュー文庫本「チゴイネルワイゼン」を改題したという作品。洋子と高志という双子の姉弟を中心に、「桜の章」「ライラックの章」「柘榴の章」「羊歯の章」という4つの章に分けて、平成・大正・戦後・未来という4つの時代を背景に綴った恋愛小説。
4つの章で常に中心となるのは洋子と高志で、この双子の姉弟の禁断の愛の物語。エロティックです。しかも常に姉が強いから、尚更妖しい感じが~。そしてこの2人以外の登場人物、洋子の婚約者や高志の相手、友人、仲人なども名前が共通してるし、それぞれの基本的な容貌や性格、嗜好も類似してるみたい。平成の洋子が画材店に勤めていれば、大正や戦後の洋子は絵を描くのを習っているといった具合。でも少しずつずれているので、だんだん「書かれている部分」よりも「書かれていない部分」が気になってくるんですよね。その辺りが面白かったです。1章で話の中に出てくる仲人も池井という人なのかしら... とか。そして全て読み終えてみると、最初の「桜の章」だけがちょっぴり異例な設定だったことに気づきました。「桜の章」のその後が気になるなあ。でも「羊歯の章」はなくても良かったかな。最初の3章だけで良かったのに。(角川文庫)


+既読の姫野カオルコ作品の感想+
「桃」姫野カオルコ
「受難」姫野カオルコ
「変奏曲」姫野カオルコ
Livreに「ツ、イ、ラ、ク」の感想があります)

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10の作品が入った短編集。どの作品にも食欲とか性欲とかがたっぷりと詰まってて、ものすごく「女」を感じます。でもそんな風にたっぷり「欲」が詰まってる割に、どこか印象が薄いんですよねえ。起承転結があるというより、場面場面のスケッチといった方が相応しい作品群。しかもどの作品もそれぞれに似てるんです。同じような人物が次から次へと登場して、同じような会話を交わして、同じようなことをしているだけ。読んだ端から忘れていってしまいそう...。
こうやって短編集で読むんじゃなくて、アンソロジーや雑誌の掲載で1つずつ読めば、それぞれの作品の印象がもっと強く残ったかもしれないのに、ちょっと勿体なかったかも。山本周五郎賞を受賞してる表題作も、それほど印象に残らなくて残念でした。なんとなく習慣で買ってしまったんだけど、江國さんの本はもういいやって感じ。悪い本じゃあないのですが...。(集英社文庫)


+既読の江國香織作品の感想+
「泣く大人」江國香織
「ウエハースの椅子」江國香織
「泳ぐのに安全でも適切でもありません」江國香織
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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中山可穂さんの本は、これで6冊。常に女性同士の恋愛を核に描いてる方なので、これだけ読むと、いくら設定が違っていても徐々に同じ部分が見えてきちゃいますね。芝居をする女性が出てくると、「猫背の王子」「天使の骨」を思い出してしまうし、しかもこの2冊は、どちらもフリーの女性と主婦との恋愛の物語なんです。恋愛部分の描写では、どちらの作品にも「旦那と寝なかった?」と問い詰める場面があって、家庭を捨てたい主婦が子供をどうするかという悩む場面があって。そこから出てくる結果はまた違うんですけど、ああー、いくら枝葉が違っていても、やっぱり核心部分では一緒になっちゃうんだなあという印象。この「感情教育」と「深爪」は、半年を置いて続けて出版された作品だし、中山可穂さんご自身が、その頃そういう恋愛をしてらしたんでしょうね。もちろん、それぞれに読めば、「感情教育」では2人の女性のそれぞれの生い立ちの話の部分がすごく良かったし、「深爪」では、恋人同士になってしまう女性2人と旦那という3人の視点から描かれているのが面白かったし、特に「深爪」に登場する普通とはちょっと違う感覚を持つ旦那像を、私はかなり気に入ってたのですが。

中山可穂さんの作品は、あんまり沢山読まない方が、1つの作品の印象が強く残りそうな気がしてきました。6冊読んでも、最初に読んだ「サグラダ・ファミリア-聖家族」の印象が一番強烈だったし。...あ、でも続けて読んだのが間違いだっただけなのかもしれないですね。次に読む時は、まとめ読みしないで1冊ずつ読むことにします。(講談社文庫・新潮文庫)


+既読の中山可穂作品の感想+
「白い薔薇の淵まで」中山可穂
「猫背の王子」「天使の骨」中山可穂
「感情教育」「深爪」中山可穂
Livreに「サグラダ・ファミリア-聖家族」の感想があります)

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幼い頃から戒律厳しい修道院で育ち、出た後も清く正しい生活を送る彼女の渾名は「フランチェス子」。そのフランチェス子に、突然できものができます。最初は痣のようだったできものは徐々に盛り上がって人の顔のようになり、人面瘡へと変化。そして、ある日その人面瘡が話し始めたのです。どうやっても追い払えない人面瘡は、なんとフランチェス子の股間に移動。最初は取り乱すフランチェス子でしたが、いつしかうちとけてきて、その人面瘡を「古賀さん」と呼ぶように。

信兵衛の読書手帖の信兵衛さんに以前教えて頂いた本。最近、本を読む女。改訂版のざれこさんにも再プッシュされてたんですが...
うひゃひゃひゃひゃーっ、これは何なんですか! もう「フランチェス子」という名前からして笑わせてくれるですけど、その友達がアン子、ノン子、ウィズ美、モア代、オリ江、マルとクスの兄弟、朝志、読夫ですよ! しかも身体のどこかに人面瘡が出来るという話は時々ありますけど、なぜ股間に(^^;。フランチェス子はミロのビーナスを思い浮かべさせるような美女で、モデル経験もあるんですが、男性のその気を萎えさせてしまうという特殊体質。これまでもこれからも男性とつきあいそうにないので、どこに人面瘡が住み着いていても別段困るわけではないんですが... 純粋培養な育ちのはずなのに、なぜこんなに放送禁止用語に詳しいんですか! なぜそれを完璧に使いこなしてるんですか!(笑)
でもそれだけすごい表現が氾濫してる割には、全然いやらしくないんですよねえ... 不思議。
「古賀さん」は何かといえばフランチェス子のことをダメ女だって罵倒するし、フランチェス子は何を言われても素直に納得して反省しちゃう。何もそこまで素直に認めなくても... なんですが、「古賀さん」の言葉には確かに説得力があるんですよね。放送禁止用語や上辺の面白さにかまけて読んでいると、ふと深い言葉が飛び込んできて驚かされます。最初はフランチェス子も古賀さんもあまり好きじゃなかったのに、読んでるうちにだんだん可愛く見えてきて楽しかったです。
最後の展開には、結構度肝を抜かれます。この展開は私としてはあまり好みではなかったので、ちょっと残念だったんですが、でもこれだけの話を収拾させようとしたら、これで一番良かったのかもしれないですね。「ツ、イ、ラ、ク」と「桃」は万人にお薦めできるけど、この「受難」は恐る恐るお薦めする感じ... と、ざれこさんが仰ってたのも納得の作品です。(笑) (角川文庫)


+既読の姫野カオルコ作品の感想+
「桃」姫野カオルコ
「受難」姫野カオルコ
「変奏曲」姫野カオルコ
Livreに「ツ、イ、ラ、ク」の感想があります)

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冴えない中学教師の久保が祖父の遺品の中から見つけたのは、明治時代に日本を訪れた著名な女流探険家「I・B」との思い出を綴った、とある青年の手記。久保は、その手記を書いたのは明治時代に通訳ガイドとして活躍した伊藤亀吉ではないかと考え、自分が顧問を務める郷土部の唯一の実働部員・赤堀と共に、この文書を読み解いてみようと考えます。しかしその手記は、途中で終わっていたのです。耕平は伊藤亀吉の孫娘と思われる人物に、協力を求める手紙を出すことに。

CROSS-ROADの瑛里さんにオススメされた本。ここに登場する「I・B」とは、「日本奥地紀行」を書いたイザベル・バードで、手記を書いているとされているのは、実在した明治時代の通詞・伊藤鶴吉(作中では亀吉)がモデルのようです。
いやあ、良かったです。何がいいって、まずこの作品に登場する亀吉の手記が! 久保がカタカナ交じりの古い文を現代文に訳したという設定だし、言ってしまえば下手な翻訳文のような感じなんですけど、明治時代の横浜の雰囲気がすっごく伝わってくるんです。そして伝わってくるといえば、「I・B」と旅をするうちに亀吉の中に芽生えてくる感情も。「I・B」は、20歳の亀吉の倍ほどの年だし、最初は西洋人の女性なんて自分と同じ人間とも思ってなかったようだし、自分の気持ちにもずっと気づかないままなんですが、何とかして「I・B」を笑わせようと頑張ってたりする亀吉青年の姿が、微笑ましくも切なくなっちゃうんです。最後の船のシーンもいいんですよねえ。
そして、その亀吉の手記を研究する久保と郷土部の赤堀真、亀吉の孫娘の田中シゲルという、どこかピントのすれた3人の組み合わせも楽しかったです。この3人のやりとりは何ともほのぼのとしていて、亀吉の手記部分とは好対照。そして最後まで読むと、物語の最初と最後に配置された「彼女」の思いもしみじみと伝わってきて。何層にもなった人々の思いが熱く感じられました。(講談社)

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7編の連作短編集。最初の話の脇役が次の話では主役にまわり、その話の脇役がその次の話の主役になり... という形式。こういうのはかなり好き。でもって、7編中3編は男性視点。島本さんの作品で男性視点というのは、もしかしてこれが初めてじゃないですか? なかなかいいですねえ。作品を読んでて一番気に入ったのが体重100キロを越すバーテンダーの針谷くんなんです。高校時代、可愛い女の子に告白して付き合い始めながらも、「ずっと彼女はなにか勘違いしているのだと僕は疑っていた」というほど、自分の外見にコンプレックスがある男の子。幼馴染の女の子に告白されそうになると、「男なのに胸があるんだよ」と触らせてかわしてしまったり。でもいざという時に頼りになる素敵な男の子。
あとがきにも書かれているように、「生真面目だったり融通がきかないほど頑固だったりするのに、その反面どこかウカツで変に不器用」な登場人物たち。これまでの作品、特に「ナラタージュ」のような熱さは感じなかったですし、幸せな場面ばかりではないですが、それでも読んでいて心地良い穏やかさがありました。(マガジンハウス)

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「優しい音楽」「タイムラグ」「がらくた効果」という3編が収められた、瀬尾まいこさんの最新作。(とは言っても、出たのは4月だけど)
3編とも、恋人関係の中に第三者が入り込んできて、恋人同士の基盤が揺らぎそうになりながらも、しっかりと持ちこたえて新しい関係を生み出す、そんな話。(で、いいのかしら...(^^;) それぞれに柔らかい優しさがあって、登場人物たちの人の良さがとても印象的。
でもね、「幸福な食卓」のことを考えると、どこか違う気がしてならないんです。別に「幸福の食卓」のような展開を望んでいるわけじゃないし、むしろあんなことは二度とゴメンなんですけど... でもここでこんな風に終わらせてもいいのなら、なぜ瀬尾さんはあの時あんなことをしたの? という疑問が再燃。
うーん、やっぱり納得できてなかったのね、私。きっととってもいい話なのに、なんだか素直に読めなくて淋しいわー。(双葉社)


これで、現時点で出ている瀬尾さんの作品は完読。とりあえずMy Best Books! の順位(コチラ)は変更なしで良さそうです。


+既読の瀬尾まいこ作品の感想+
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
「優しい音楽」瀬尾まいこ
「温室デイズ」瀬尾まいこ
Livreに「卵の緒」「図書館の神様」「天国はまだ遠く」の感想があります)

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短編3編が収められています。他の金城作品と比べるととても静かな印象を受ける1冊。他の作品の特徴だった躍動感はすっかり影を潜めていて、物語は淡々と進んでいきます。ここに収められた3編のモチーフは「死」や「別れ」。しかもここで「死」の対象となるのは、まだまだ若い人間たち。自分の死を悟った彼らは、そのことに関して「対話」をすることになるのですが... これほど周囲に人間が沢山いても、何かがあった時にそれを聞いてくれる人間とか、言って欲しい言葉を言ってくれる人間はほとんどいないんだなあ...。
3編の中で私が特に気に入ったのは3作目の「花」。切なくて温かくて爽やか。そして1作目の「恋愛小説」の「彼女」の、たとえ生きていても会わなければ、それは死んでいるのと同じだという言葉はインパクトが強かった! でもほんとその通りなんでしょうね。
3編の舞台となる時代はそれぞれ違うんですが、共通する人物が登場。「SPEED」にも繋がっています。

金城一紀さんの作品も、これで全部読んじゃった。早く新作が出ないかな。(この間出たばかりですってば) でもこれも良かったんだけど、最後に読んだのがこれって、なんだか寂しい気分になっちゃう。普段の元気な作品が無性に再読したくなっちゃいました。(講談社)


+既読の金城一紀作品の感想+
「GO」金城一紀
「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「SPEED」金城一紀
「対話篇」金城一紀
「映画篇」金城一紀

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「猫背の王子」は中山可穂さんのデビュー作。5年前に自分の劇団を立ち上げ、座長として脚本家として演出家として、そして役者としてやってきた王寺ミチルが、自分の劇団、そして大切な人々を失う物語。そして「天使の骨」はその続編。劇団を失って失意のどん底にいたミチルが、海外へと旅立つ物語。いわば喪失と再生への序曲、でしょうか。
「猫背の王子」で、自分の命を削るように輝いていたミチルは良かったんだけど、でも破滅に向かって突き進んでいく様子が痛々しくて見てられなかったんですよね。「天使の骨」では、既にどん底にまで落ちてしまってるわけだから、もちろんそれはそれで大変なんですけど、でもこっちの方が好き。何よりずっと読みやすかったし、ぼろぼろの天使というのがいいんですよねえ。そしてすっかり輝きを失っていたミチルが、その光を再び取り戻していこうとするのも。
でもまだ決着がついてないんです。あともう1作、続編希望。恋人同士の愛情を超えた、もっと大きな愛が見たいところです。

それにしても、恋愛小説は苦手なはずだったのに、最近増えてきてるような...。しかも結構ディープだったり。(笑)
でも、中山可穂さんの作品は女性同士ということに注目が集まりがちなんでしょうけど、きっとそれは瑣末なことなんですよね。同性でも異性でも、人を好きになったり大切に思う気持ちは一緒ですものね。(集英社文庫)


+既読の中山可穂作品の感想+
「白い薔薇の淵まで」中山可穂
「猫背の王子」「天使の骨」中山可穂
「感情教育」「深爪」中山可穂
Livreに「サグラダ・ファミリア-聖家族」の感想があります)

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高校3年生の時に予備校の教師・サイトウさんと付き合い、そして別れ、自暴自棄になった「わたし」は気軽な男の子たちと適当に付き合った挙句、妊娠。そして中絶。そんな「わたし」が徐々に自分を取り戻していく物語。

これが、綿矢りささんと金原ひとみさんが芥川賞を取った時に、一緒に候補になってた作品なんですねー。
あとがきには、「厳密には、この物語は恋愛小説とは言えないかもしれない」とあったんですけど、これのどこが恋愛小説じゃないんだろう、って考えてしまうほど、私にとっては恋愛小説でした。主人公の「わたし」が、いくら恋を失ったからといって、そんな手軽な男の子たちと適当に寝てしまうような子には見えなかったのが難点なんだけど... でもそんな風に見えない彼女が実はそういう行動に出て、高校の夏休みにキャバクラでバイトをしてしまうような同級生のキクちゃんが、「けど、やっぱり好きじゃない人と寝ちゃだめだな」なんて言ってるところが、やっぱり今らしさなのかもしれないですね。...でも堕胎を扱っているというのに、この扱いの軽さは何なんだろう...。
そんな時に知り合った男性との緩やかな付き合いを通して、深くて暗い森の中から、徐々に周囲が明るくなっていくようなところが良かったです。希望が感じられて。誰かに見守ってくれる人がいればそれだけでいいって時は、確かにありますよね。

島本さんの作品が3冊続きましたが、最新作「一千一秒の日々」は手元にないので、とりあえずここまでです。この本の表紙の絵はミヒャエル・ゾーヴァ! 本の裏までこの絵が続いていて、そういう使い方が素敵です。ここに出てくる画像に帯がついてなくて嬉しいわあ。(講談社)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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あとがきによると、「明るい小説にしようと、最初から最後までそれだけを考えていた」という作品なのだそう。確かに不思議な明るさがある作品と言えそうです。主人公の橘ふみの家は母子家庭で母親は2度も離婚していますし、物語の冒頭で母親が勤める整骨院の院長が夜逃げしてしまって失業、酔っ払って帰って来る始末。ふみ自身、高校は卒業したものの、大学に行く学費なんてどこを押しても出てこない状態。しかも妹のユウちゃんは、小学校2年生の異父妹。...お世辞にも明るいとは言いがたい状況なんですが、それでもふみの家族も、ふみの習字の先生も、そんな時に出会った周やその姉も、ふわりと明るい空気をまとっているような印象なんですよね。まるで力んだりしてなくて、ごく自然体。しかも伸びやかで。
読み始めた時は、また母子家庭か!と思ったんですけど、単なる枠組みに過ぎないような気もしてきました。(でもそろそろ母子家庭はやめて欲しいな... ←次は父子家庭だったりして・笑) (講談社)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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「シルエット」「植物たちの呼吸」「ヨル」の3編が収められていて、表題作「シルエット」は、島本さんが17歳の時に群像新人文学賞最優秀作を受賞したとのこと。ということは、「ヨル」は... 15歳の時に雑誌に掲載されたってこと? すご...っ。
どれも作者の若さを映し出すように若さが溢れているんですが、やっぱりこの中では表題作が良かったです。今は大学生の「せっちゃん」と付き合っているけれど、どこか冠くんのことが忘れられないでいる「わたし」の物語。主人公の揺れ動く心とか、この年代の繊細で尖った部分とか、そういうのが、まさに同年代の手によって書かれてるんだなあという感じ。でもいくら女子高生の時に書いたと作品だと言っても、やっぱりここまで等身大の女子高生を描けるのって凄いんじゃないかと思います。...確かに忘れられない人っていますよね。だからといって無理に忘れられるものではないし、忘れられない人は忘れられないままでいいと思うのですが... でもやっぱりそこに若さが出るんだろうな。
ただ、ちょっと気になってしまうのは、3編の主人公3人+α が母子家庭なこと。そりゃ最近では全然珍しくない存在だと思うのですが、でも3編連続でっていうのはどうなんだろう... まあ、コレに関しては他の作品も読めば、おのずと答が出ると思いますが。

そうそう、この文庫はクラフト・エヴィング商會の装幀です♪(講談社文庫)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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4年前に宝くじで3億円が当たったものの、特にやりたいことがなく、東京の勤めをやめて敦賀に移り住んだ河野勝男。釣りをしたり、釣った魚を料理したり、洗車したりという毎日を送っていた河野の目の前に現れたのは、白いローブを着た、金髪に灰色の目をした40がらみの男「ファンタジー」でした。その日からファンタジーは河野の家の居候となります。

初めての絲山秋子さんの作品。今読むなら、直木賞候補になった「逃亡くそたわけ」でしょ!と言われそうな気がするのですが(笑)、これも一昨年の芥川賞の候補作品だったそうですねー。それってもしかして、綿矢りささんと金原ひとみさんが受賞した時ですか? いやー、直木賞も芥川賞もちゃんとチェックしてないので良く分からなくて... というか、選ばれた時点で読む気をなくしてることが多いので...(^^;。あ、もちろん面白そうなら拘らずに読みますけどね。ちなみにこれは貸していただいた本です。
で、読んでみて。んんー、何だったんでしょう。自分のことを神だと言うファンタジーのことは、河野も含めて大半の人間がなぜか知っていて、会った瞬間名前が分かるんですよね。この中でファンタジーのことが分からないのは、河野のかつての同期の女性の片桐だけ。でも私には、その片桐だけが、この作品の中でリアルに感じられました。他の人たちは皆砂の色なのに、彼女と彼女にまつわるものだけが鮮やかに色づいていたような印象というか。片桐のアルファロメオは鮮やかな赤なのに、河野のオレンジ色のピックアップも、河野の恋人となるかりんのカーキ色のジープも、全部砂の色の濃淡の中に沈んじゃう。海も空もいっぱいあるのに、目に入ってくるのは片桐だけ。そして作中には結構重いテーマが投げ込まれてたりするんですけど、でもそれも砂色の濃淡に染まって、さらりと流れていってしまったんですよねえ。むむむ。
理屈ではなく、感覚で捉えるべき作品なんでしょうけど... 脇役の片桐にしか色彩を感じなかった私には、結局うまく捉えきれない作品だったのでした。うーむ、何をどう感じていいのかも良く分からない...。(新潮社)

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津原泰水まつりエントリ第3弾です。本当は刊行順に読もうと思ってたんですけど、「ペニス」は今回こそゆっくりと読もうと決心してるし(ということで、まだ125ページ)、丁度こちらの本が入手できてしまったので、先に読んでしまいましたー。津原さん単独作品で最後の未読本。(...と思ったらキム・ギドク監督の映画のノベライゼーション「悪い男」もあったんだっけ。でもノベライゼーションっていうのは、あまり食指が動かないなあ)

というのはともかく、「赤い竪琴」。
祖母の遺品をきっかけに、耿介という楽器職人と知り合った暁子の物語。純愛小説だというのだけは聞いてたんですけど、それでも実際に読んでみてかなり驚きました...。明らかに津原泰水さんの文章なんですが、でも本当に?って感じ。とは言ってもやはり津原泰水さんだから、一筋縄ではいかないのですが...。
うわーん、良かったです。なんて素敵。なんて美しい...。これは本当に大人の恋愛小説ですね。今にもほとばしり出しそうな、抑えられた情熱にドキドキ。耿介と暁子の一言一言にドキドキ。そして最後の一言...。未読の最後にこんな作品が残っていたなんて幸せだー♪

津原泰水まつりのバナーは、OverQさんが作って下さったんですが、この「赤い竪琴」と同じ色だったのですねえ。この書体(康印体?)がまた、津原作品に似合ってますね(^^)。

赤い竪琴かあ... 私も膝の上に抱いて爪弾いてみたい。音色を聴いてみたいなあ。(集英社)


+既読の津原泰水作品の感想+
「ペニス」津原泰水
「少年トレチア」津原泰水
「綺譚集」津原泰水
「妖都」津原泰水
「蘆屋家の崩壊」津原泰水
「赤い竪琴」津原泰水
「ルピナス探偵団の当惑」津原泰水

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同じく姫野カオルコさんの「ツ、イ、ラ、ク」と対になるような短編集。今年の3月末に出た時から読みたくて仕方なかったんですが、ようやく読めました! いやー、やっぱり良いですね...。「ツ、イ、ラ、ク」ほどではないんだけど、あの雰囲気を肌の感覚で覚えているだけに、これを読んでいると「ツ、イ、ラ、ク」の世界が鮮やかに蘇ってきます。特に「高瀬川、それから」が良かったな。あとは表題作の「桃」かしら。そしてこれを読んだら無性に「ツ、イ、ラ、ク」が読みたくなっちゃって、またしても読み返してしまうことに...。
「ツ、イ、ラ、ク」は、去年の自分のマイベスト本で4位にした作品でもあります。やっぱり良かった! 今回、読んでる途中で、「キスするよりも抱き合うよりも熱かった時間」という言葉にドキッとしたんですけど、前読んだ時の感想を見たら、その時もやっぱりその言葉がとても気になってたらしいです。またいつか読み返したら、そのことをすっかり忘れて、またこの言葉のところで目が止まっちゃうのかしら?(笑) そして今回は、小山内先生にものすごーーく惹かれました。(前読んだ時も惹かれたと思うんだけど、こちらは自分の感想には特に何も書いてありませんでした...)

「桃」のあとがきに、「長編小説のほうを読んでいなくても、それと対になっていると知らなくてもかまわない。長編未読の人を読者と想定して書きました。」とありました。もちろん「桃」だけでもいいんだけど... でもやっぱり「ツ、イ、ラ、ク」があってこその作品なんじゃないかと思います。あの世界を知ってるからこそ、無性に痛くて切なくてエロティックなのではないかと。(角川書店)

久しぶりに2004年のマイベスト本の記事を見たら、「夜のピクニック」の画像だけが大きくなっててびっくり。本屋大賞を取ったから? 何も大きくしなくても... と思うのだけど、画像としては左端の1つ目なのでバランス的には悪くなくて、それがなんだか可笑しーい。


+既読の姫野カオルコ作品の感想+
「桃」姫野カオルコ
「受難」姫野カオルコ
「変奏曲」姫野カオルコ
Livreに「ツ、イ、ラ、ク」の感想があります)

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ジャン・ジュネの再来とまで言われた新人女性作家・山野辺塁と「わたし」の恋愛の物語。
中山可穂さんの作品を読んだのは、「サグラダ・ファミリア」に続いてこれで2冊目です。「サグラダ・ファミリア」もものすごーく良かったんですけど、なかなか強烈なので、気になりつつも次が続かなかったんですよね。そしたら、たらいまわし企画の第10回「映画になったら見てみたい」ではdarjeeling and bookのかっこーさんが、第11回「『旅』の文学!」ではどこまで行ったらお茶の時間の七生子さんが、第12回の「爽やかな春に読みたい青春小説 」ではa daydreamのBryumさんがこの本を挙げてらっしゃるじゃないですか。3回連続登場! 凄いですね。
ということで読んでみたのですが、この作品も凄かった。ほとんど魂が持って行かれそうになりました... この2人の女性の恋愛は、周囲を不幸にして自分も相手も不幸にするのが分っていても、お互いに取り返しのつかないほど傷つけあいながらも、それでも尚相手を求めずにはいられない関係。これまでは、恋愛に性別ってあんまり関係ないんじゃないかとも思ってたんですけど、やっぱりこれは女性作家さんの描く女性同士の恋愛だからこそなのかも...。いや、「恋愛」なんてそれこそ人間の数だけあるものでしょうし、男女だからどうだとか女性同士だから男性同士だからって、決め付けるのはナンセンスなんでしょうね。でも少なくとも、元々あまり恋愛感情の強くない私にとって、ここまで自分をさらけだして相手にぶつけるというのは絶対に不可能なので、この2人の関係はちょっと羨ましくもありました...。

この作品は山本周五郎賞受賞作品でもあります。私が日本ファンタジーノベル大賞と並んで信頼している、貴重な文学賞。だって「異人たちとの夏」だって「そして夜は甦る」「エトロフ発緊急電」「スメル男」「ダック・コール」「天空の舟」「リヴィエラを撃て」「ガダラの豚」「鉄鼠の檻」「しゃべれども しゃべれども」「ライオンハート」「黄色い目の魚」「家守綺譚」「ナラタージュ」...といった作品が受賞したり候補になったりしてるんですもん。もちろん、中には私が好きじゃない作品も受賞してたりしますけどね。
↑ここに挙げた作品って、あんまり... というか全然統一性がないんじゃ... って感じですけど、対象となるのは「すぐれて物語性を有する新しい文芸作品」なのだそうです。(集英社文庫)


+既読の中山可穂作品の感想+
「白い薔薇の淵まで」中山可穂
「猫背の王子」「天使の骨」中山可穂
「感情教育」「深爪」中山可穂
Livreに「サグラダ・ファミリア-聖家族」の感想があります)

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急にアメリカに行くことになった叔母の代わりに、叔母のマンションに住みこんで2匹の猫の面倒をみることになった渉。しかしそのマンションには、実は雨の日にだけ現れる幽霊がいたのです...

幽霊との恋物語。そしてその幽霊の死の真相を探るミステリでもあります。松尾さんの作品に幽霊というのは今までにもあった組み合わせだし、特に珍しくもないんですが、今回驚いたのは、この作品の持つストレートさ。これほど素直な松尾作品なんて、これまでありました?! もちろん幽霊の描かれ方はとてもユニークで、そこは十分松尾さんらしいんですけど、でも恋愛物という点では、予想した通りの場所に直球ストレートでびっくり。毒もないことはないんだけど、本筋とはまた少し違う部分だし...。(それにつけても、守山という男の最低なことったら) さすがに相手が幽霊のせいか、純粋な恋愛物という意味では少し希薄な感じは否めないんですけど、淡々とした描写が優しい雨の情景と良く似合ってました。...でも正直言えば、ミステリ部分にはちょっと不満が。幽霊がなかなか語ろうとしない部分が結構あるんですけど、それが妙に意図的に感じられてしまって...。自慢して言いふらすような事柄じゃないだけに、当然なのかもしれませんが...。
でも... 帯の「ありえない恋 ラスト2ページの感動」はどうなんでしょ...??(新潮社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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厳格すぎるほど厳格だった父に反抗して、20歳そこそこでで家を飛び出して以来、実家にはあまり寄り付かなかった野々。しかしその父も1年前に亡くなり、兄妹3人で一周忌の相談をすることになります。兄の春日も20歳になった時に家を飛び出しており、現在実家に残っているのは、母親と妹の花だけ。しかし以前はいつも身綺麗にしていた母が、最近身なりにも構わず、家事もせず、庭は荒れ放題、あれほど好きだったピアノにも鍵をかけているという状態。それには父が死んだ後で発覚した不倫事件が関係していたのです...。

児童書のイメージが定着していた森絵都さん。前作「永遠の出口」が初の大人向け作品として出版されていたものの、元々大人にも十分楽しめる児童書を書かれていた絵都さんのこと、実際にはそれほど雰囲気は変わらなかったんですよね。でも今回は本当に大人向きでした! 最初の場面がいきなり性描写でびっくり。しかもそこから話は、亡くなった父親の不倫話へと発展。これは確かに大人向きですね。...とは言っても決してどぎつくはないんですが。(そういえば「DIVE!!」の2巻も、かなり際どかったような覚えがあるんですけど... あれは設定がそうだっただけかな?)
夫婦の愛情、親子の愛情、兄妹の愛情、恋人同士の愛情と、色々な愛情がテーマとなっていたように思います。そして父からの卒業。なんだか大きく人生を感じることのできるような作品でした。もし身近にいたら、好きになれたかどうか分からないこの兄妹も他の人たちも、森絵都さんの濃やかな描写を通すと、なんだかみんな愛しく感じられちゃうような気がします。そしてそれが絵都さんの凄いところなんでしょうね。(角川書店)


+既読の森絵都作品の感想+
「いつかパラソルの下で」森絵都
「にんきもののひけつ」「にんきもののねがい」「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」森絵都
「あいうえおちゃん」「流れ星におねがい」森絵都
「ぼくだけのこと」森絵都
「いちばんめの願いごと」森絵都
「屋久島ジュウソウ」森絵都
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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初めての島本理生さんの作品。実は芥川賞の候補になった時点で(綿矢りささんと金原ひとみさんが受賞の時ですね)すっかり興味を失っていたのですが(なんて失礼なヤツだー)、今回本を頂いたので、良い機会と早速読んでみることに。
いやー、良かったです! 興味ないなんて思ってたのがほんと申し訳ないぐらい。純粋な恋愛小説だし、展開自体はとても普通なんだけど、でも淡々としていながら、しみじみと切なくて。ぶっきらぼうとも言えそうな主人公が思わず心情を吐露してしまうところなんて、思いの深さがすごく伝わってくるし。相手の男性については、ちょっと言いたいことがあるし、もうちょっと突っ込んで書いて欲しかったな、というのがあるんですけどね。でもこういう人いるよなー。淡々としたラストも、何とも良かったです。何が良かったって、このラストが一番かも。
島本さんの作品は今回初めてなので、他の作品に比べてどうなのかは良く分からないんだけど、でも他の作品もぜひ読んでみたくなりました。作品数の少ない今が狙い目?(笑)(角川書店)


+既読の島本理生作品の感想+
「ナラタージュ」島本理生
「シルエット」島本理生
「リトル・バイ・リトル」島本理生
「生まれる森」島本理生
「一千一秒の日々」島木理生

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14歳の頃は毎日のように一緒に過ごしていた智史と佑司と花梨も、親の転勤や引越しによって連絡が途絶え、15年後、智史はアクアショップの店長になっていました。今は結婚相談所で知り合った女性とお付き合い中。その彼女に、少年時代の懐かしい話をすることになって... ということで、聖月さんの「2005年版聖月大賞」受賞作品です。(笑) もう聖月さんが読むべし読むべしと何度も言いに来るので仕方なく、というわけではありませんが(笑)、そこまでプッシュされたら、やっぱり読んでみないとね!
で、読んでみて。いやー、あったかい! 男女の愛情とか親子の愛情とか友達同士の愛情とか、そういう暖かい感情がいっぱい詰まった作品でした。人と人との心の繋がりを信じさせてくれるというか、気持ちがちゃんと繋がっていさえすれば離れていても大丈夫ということを教えてくれるというか... で、なんとなく感じたんですけど、ノスタルジックな情景がセピア色じゃなくて透明な印象なんですよね。透明なんだけど、冷たい透明じゃなくて、暖かみのある透明。その透明感にアクアショップの情景が重なってとても綺麗なのです。それに、ウィットが利いた会話が心地よくて。登場人物も、みんなそれぞれにいい味を出してました。不器用で真っ直ぐで、少年の部分を残した主人公も、その一枚上手って感じのお父さんも、バイトの夏目くんとか花梨もすごく好き。ラスト近くの展開にはちょっとびっくりしたし、これだけはちょっと気に食わない部分なんだけど... でも、これはこれで良かったのかもしれないなあ。
ということで、聖月さん大プッシュの理由がよーく分かった作品なのでした。聖月さん、ありがとうございます(^^)。(小学館)


+既読の市川拓司作品の感想+
「そのときは彼によろしく」市川拓司
Livreに「いま、会いにゆきます」の感想があります)

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偶然手元に回ってきたものの、実は読もうかどうしようかかなり迷った作品。お正月までには返す約束なので、もうあんまり時間がなかったんだけど、どうも気分が乗らなくて...。本当は気分が乗らない本を読むのって凄く嫌なんですよね。でも図書館でも予約がいっぱい入ってるような本がせっかく手元に来てるのに、読まないで返すのも勿体無い気もするし... と、結局読んでしまったわ。うーん、私ってば貧乏性。(溜息)
...で、実際読んでみて。読みやすいですね。本多孝好さんらしくない、という話も聞いていたんですが、私はこれまで「MISSING」しか読んでないので、それについては何とも。でも、普通... かな。悪くはないし、すいすいと読めるんですけどねー。
でも、いくらそっくりの一卵性双生児でも、親にも恋人にも見分けがつかないなんてことあるのでしょうか? しかもこの2人の場合、見分けるための凄く有効な方法があるのにねえ。それと5分遅れの時計のエピソードは、一体何だったんでしょ。もっと重要なポイントかと思ったのに、それだけはなんだかちょっと拍子抜けでした。(新潮社)

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9編が収められた短編集。私は見てないのですが、表題作は映画化もされましたねー。
先日の「残花亭日暦」で、久しぶりに田辺聖子さんの小説を読みたくなって、積んでた本の中から引っ張り出してきたのですが、でもこれはそれほどでもありませんでした...。以前大好きだった作品では、もっと女性たちに惹き込まれたのに、今回はそれがほとんどなくて。なんで? 短編のせい? それとも自分がトシを取ったせい? でも9編のうち、「恋の棺」だけは、「コレだ!!」と思える作品でした。この話、ダントツで好きだなあ。でもそう思えたのが1編だけとは、やっぱりちょっとサビシイなあ。(角川文庫)


+既読の田辺聖子作品の感想+
「残花亭日暦」田辺聖子
「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子

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まるっきり初めての藤堂志津子さん。この間なぜか突然貸してもらった本。よく知らない作家さんだし、借り物でもなかったら、きっと自分からは読まなかっただろうなあと思うんですけど、「ジェーン・エア」を書いたシャーロット・ブロンテ、「嵐が丘」を書いたエミリー・ブロンテ、末っ子のアン・ブロンテ、そしてシャーロットとエミリーの間にいた男の子・ブランウェルという、4人の「ブロンテきょうだい」が重要なモチーフとなっているようだったので、ちょっと楽しみに読み始めました。
...で、読んでみて。
ちょっぴりほろ苦さの残る、恋愛小説でした。肝心のブロンテきょうだいに関しては、それほどでもなかったのが残念でしたが、でもむしろもっとストレートに、主人公の気持ちとか行動がどれも凄く分かるなあって、そっちがなかなか良かったです。(文春文庫)

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「私」は38歳の画家。結婚はしていないのですが、妻子のいる恋人とは6年ごしの付き合い。そんな「私」の日常が淡々と綴られていきます。
一昨日、エッセイの「泣く大人」を読んだばかりのせいか、この作品の主人公が思いっきり江國さんと重なってしまいました。この主人公の気持ち、すっごく良く分かるなあ...。私なら、きっと怖くてなかなか行動には起こせないと思うんだけど、でもそれが逆に溜まってしまって、「いっそのこと...!」になってしまいそうでもあるわけで。自分で作り出したもの、育てあげたものを壊してしまいたい衝動って、いつだってあるんだよね。恋愛に限らず。たとえばこのサイトとかでも。(ハルキ文庫)


+既読の江國香織作品の感想+
「泣く大人」江國香織
「ウエハースの椅子」江國香織
「泳ぐのに安全でも適切でもありません」江國香織
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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12人の女性作家によるアンソロジー。この1冊の中に、色んな「あのころ」が入っていて、どの「あのころ」も切なくて痛くて、でも優しくて、どこか懐かしい感じ。読みながら、やっぱり「今」があるからこそ、「あのころ」があるんだよねえ、としみじみとしてみたり。(あ、本当は、「あのころ」があるからこそ、「今」があるんだよね 笑) この中で私が特に好きだったのは、加納朋子さんの「モノレールねこ」、中山可穂さんの「光の毛布」、光原百合さんの「届いた絵本」の3作かな。「モノレールねこ」の「タカキ」、最高! 「光の毛布」は、主人公の咲もいいけど、この毛布がいいんですよねえ。「届いた絵本」は、最後の最後で決定的に幸せな気持ちになれるのが好き。
近藤史恵さんの「窓の下には」の、あのどこかこわーい雰囲気も近藤さんならではだし、狗飼恭子さんの「町が雪白に覆われたなら」の独特の雰囲気もいい感じだったし、久美沙織さんの「賢者のオークション」も何気に可愛かったし、どれもそれぞれに良かったです。お初の作家さんも5人いて、新しい出会いにもなりました。(ダ・ヴィンチブックス)


+シリーズ既刊の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編

+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「花散る夜に」「ピアニシモより小さな祈り」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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