Catégories:“SF”

Catégories: /

 [amazon]
近未来、書物が禁止されている時代。焚書官のガイ・モンターグはその日も通報を受け、仲間たちと共に現場に駆けつけていました。大蛇のような巨大なホースで石油を撒き散らし、本だけでなく家に火をつけて全てを焼き尽くすのです。そして仕事から帰る途中、彼は隣の家に引っ越してきた少女に出会います。少女の名前はクラリス・マックルラン。クラリスはモンターグに色々と奇妙なことを話し、本を焼いているのは幸せなのかと尋ねます。

レイ・ブラッドベリも少しは読んでるんですけど、SFが基本的に苦手なのであんまり読んでないんですよね... これは美結さんにオススメされた本です。いや、これがすごかった。読んでる間中、ずっと頭にあったのは「時計じかけのオレンジ」(感想)。そして伊坂さんの「魔王」(感想)の「考えろ考えろマクガイバー」という言葉。

壁面をテレビにしていつも映像に囲まれ、海の貝と呼ばれる小型ラジオ受信機を耳に入れている人々。街中で車を運転する時は最低制限時速(「最低」です、最高じゃありません)が55マイル(約88km)で、時速40マイル(約64km)なんかで運転しようものなら、即刻刑務所行き。徒歩運動(って何なのかよく分からないんですが)をしても逮捕され、学校で疲れた子供たちは遊園地に行ったり「窓割り遊技場」で窓を割ったり、「自動車破壊場」で車に大きな鋼鉄ボールをぶつけたり、車で正面衝突ごっこをして気分転換。本は基本的に禁止。許されるのは漫画や性風俗の雑誌程度で、聖書ですらも処罰の対象。人々には、ひたすら何も考えないことが求められてるんですね。そして何も考えない人々は、日々提供される娯楽に身を任せるだけ。何も考えないことに慣れすぎてしまって、いざ戦争がおきて身近な人間が動員されても、何も考えられない状態なんです。「考えない」だけでなく「感じない」ですね。いくら巧妙に操作されていても、そんな生活、知らず知らずのうちにストレスが溜まるのではないかと思うんですが、そのストレス解消の手段までもがさりげなく提供されているというのが恐ろしい...。
でもそんな世界を恐ろしいと思いながら読んでいると、それが実は現代社会を如実に映し出していることに気づかされます。全然未来の話じゃない、まさに今のこの状態! ...モンターグの妻のミルドレッドが夢中になっているのは、テレビの中の人々と一緒になって自分の役割を演じること。RPGのゲームをしているようなものですね。海の貝は、今はiPod? 家ではテレビやパソコン、出かける時は携帯電話を手離せず、耳には常にイヤホン。心の底から満たされることがなく、精神的に不安定になっている人々の姿も同じ。本も映画もどんどんスピードアップしてジェットコースター状態になってるし、特に作中で署長のビーティがモンターグに語るこの言葉!

『ハムレット』を知っているという連中の知識にしたところで、例の、<これ一冊で、あらゆる古典を読破したのと同じ。隣人との会話のため、必須の書物>と称する重宝な書物に詰め込まれた一ページ・ダイジェスト版から仕入れたものだ。わかるかね?(P.111)

まさに今流行りだという「あらすじで読む世界文学」のような本のことじゃないですか。この作品が発表された当時は突拍子もなく感じられたのかもしれないけど、今やすっかり現実となってます。焚書官という存在がなくても同じ状態になってる分、ブラッドベリが書いたこの作品よりも酷い状態へと向かっていると言えるのかも。

冒頭の火の場面がものすごく印象的です。素晴らしい...。あと、まるでアンドロイドのように無機質な人々の中で、モンターグとクラリスの場面だけが色鮮やかで引き込まれました。華氏451度とは摂氏233度、紙が自然発火する温度なのだそうです。色々考えさせられるし... 色んなことを感じ続けたいですね。人間であり続けるためにも。(ハヤカワSF文庫)

| | commentaire(4) | trackback(1)
Catégories: / / / / /

 [amazon]
ダヴンホール島のチャイナタウンで生まれ育ったマークは、生まれつき真っ白い髪をした少年。そのマークが、母親の足元に見知らぬ男の死体が横たわってるのを見たのは19歳の時。マークはそのまま回れ右をして島を出て行きます。島と本土を行き来する小さい船で働きながら、決して島に降り立とうとはしないマーク。そして15年が経った時。ダヴンホール島にやって来た青いドレスの娘に心を奪われたマークは、娘がなかなか戻って来ないのに苛立ち、15年ぶりに島に降り立ちます。しかし娘は見つからず、マークは母と再会。そして15年前に死んだ男の声、バニング・ジェーンライトの生涯を語る声を聞くことに...。

裏表紙に「仮に第二次大戦でドイツが敗けず、ヒトラーがまだ死んでいなかったら...」と書いてあったので、てっきりヒトラーのif物、第二次世界大戦でナチスが勝ち、その勢力が全世界に及んでいく話なのかと思ったら! いや、確かにヒトラーは生きてるんですけどね。そういう話ではなかったんですね。そして裏表紙に「ヒトラーの私設ポルノグラファーになった男を物語の中心に据え」ともあったので、最初に出てくる少年がそのポルノグラファーになるのかと思ったんですけど、どうやらそれも違うみたいで、そうこうしてるうちにバニング・ジェーンライトの話が始まっちゃうし。しかもそのバニング・ジェーンライトの話の中にも、いくつもの話の流れがあるんです。面白くてどんどん読み進めてしまうんですけど、えっ、これってどういうこと? 話はあとでちゃんと繋がるの? このまま読み進めちゃって本当に大丈夫...? なんて不安になってしまいました。
それでもとりあえず読み続けてたら。「あっ」と思った瞬間全てが繋がってました。そうか、よく分からなかったあの場面はこういうことだったのか! あれもこれも、そういうことだったのか! いきなり目の前がクリアになりました。オセロゲームで、いきなりパタパタと駒がひっくり返って、黒一色に見えた盤上が白一色になってしまった時みたいな感覚。
そうか、これはパラレルワールドじゃないんですね。パラレルワールドと言えるほど平行してないもの。捩れて絡まりあって侵食しあってます。そうか、クリストファー・プリーストの「双生児」か。あと、先日読んだばかりのガルシア=マルケス「百年の孤独」も? いや、凄かったな。これはもう一同最初に戻って読み返してみなくっちゃ。そうすれば、もう少し全体像を掴みながら読めるよね。ああ、作者の理解力を持ってこの作品を読みたい。って、理解力のなさを暴露してるようですが、そこはそれ、隅々まで理解したいということで♪

...で、結局カーラって誰だったんでしょうか?(す、すみません、よく分からなくて...)(白水uブックス)

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
かつて早川書房の異色作家短篇集に大きく影響され、今も尚影響を受け続けているという恩田さん。異色作家短篇集のような無国籍で不思議な短編集を作りたいと考えて「奇想短編シリーズ」と銘打って雑誌に連載していたという作品15編を集めた短編集です。

最近こういった国内作家さんの本を読む機会がめっきり減ってしまって、恩田さんの新作にも以前のようには手が出ない私。新刊が出たら「すぐ読みたい!」と思う作家さん、減りましたねえ。一時に比べると本当にわずかになってしまいました。多分、読みすぎて飽和状態になってしまったんでしょう。恩田さんの作品も今のところは細々と追ってるけど、いつまで続くか... そういう時に短編集を読むのってキケンなんですけどね、本当は。短編集は基本的に苦手なので、下手するとそれっきりになってしまいそうで。

さてこの「いのちのパレード」。一旦読み始めると、ほんと読みやすくてびっくりしてしまうんですが、こういう国内作家さんの読みやすさがまたクセモノなんだよな、なんて最近は思うようになりました。ひねくれてるな。(笑)
ええと、この中で私が一番好きだったのは「夕飯は七時」。こういうのは好き~。そんなアホなと思いつつ、思わず想像してニヤニヤしちゃう。これはやっぱり例の一族の話に繋がってるのでしょうか。あと「かたつむり注意報」も良かった。こういった雰囲気は好きですねえ。「SUGOROKU」なんかも結構好きなタイプ。でもその他は... うーん、まずまず楽しめたのもあったんだけど、面白さがよく分からないのも結構あったりして... それにやっぱり短編集のせいか、途中で息切れしてしまって困ります。一旦息切れしちゃうと、どうやっても進まなくなるんですもん。そういうのって短編がどうこういう私の嗜好だけでなく、きっと途中で集中力を途切れさせてしまうような作品があるせいなんだろうなと思うんですが。
いくつかの作品で、あれ、これってもしかして...? なんて思ったりしたので、どの作品も何らかの作品へのオマージュなのかもしれないですね。そういうのが分かると、また楽しさが違ってくるのかも。(実業之日本社)


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: / / /

 [amazon]
ある初冬の晩、社会主義同盟の集まりから帰ってきた「私」は、家についた途端ベッドに転がり込んで、すぐに寝入ってしまいます。しかし翌朝、すっかり日が高くなってから目が覚め、服を着替えて外に出てみると、そこは6月上旬のようなうららかな美しい朝。空気が心地よく、そよ風が気持ち良いのです。なかなか眠気が去らないせいだと考えた「私」はテムズ川で泳ぐことを思い立ち、いつの間にか家の真正面にできていた浮桟橋から舟に乗り込むことに。しかし水の中から見た川岸の光景はいつもとはまるで違っていて、船方の青年も14世紀風の美しい服装をした洗練された紳士だったのです。その船方の青年・ディックと話すうちに、「私」がなんと未来のロンドンにいることが判明して...。

19世紀に生きる主人公が、22世紀の未来にタイムスリップしてしまうという物語。未来のイギリスはまさにユートピア。貨幣制度は既に廃止されていて、人々は生きるために働いているのではなく、自分の楽しみのために、あるいは夜の眠りを心地良くするために働いています。機械によって粗悪品が大量生産されることもなく、美しい手工芸品が喜ばれる世界。生活に追われて嫌な仕事に追われるということもなく、各自がそれぞれに好きな仕事をこなし、必要とする人に必要とする物を供給することによって自然に社会が運営されていくという仕組み。いつか「革命」がおきて、そういった世界が来ることを望んでいた主人公は、自分の生きていた時代から後に一体何が起きたのか、古老たちに聞かずにはいられません。
これはモリスにとっての理想の社会の未来図なんでしょうね。モリスにとって現実の19世紀の世の中がどんなものだったのか、そして彼の持っていた社会主義とはどのような思想だったのか、この作品を読むとよく分かります。でも、あまりに夢物語で... もちろんこの作品の中でもこれは夢物語なんですけど(笑)、ここまでくるとなんだか逆に痛々しくて、読むのがちょっとツラかったかも。
でも、満ち足りた幸せな生活を送っていると、人間の老け方も全然違ってくるというのが面白かったです。主人公はじき56歳という年齢なんですけど、未来の世界では80代ぐらいの老人と思われてるんですね。逆に20歳そこそこだと思った女性が実は40歳を過ぎていたり、がっしりと逞しい初老の男性が実際には90歳ぐらいだと分かったりして、主人公はびっくり。確かに生活に追われてると老けやすいでしょうけど、ここまで極端なのは... でも言いたいことは分かるような。(笑)(晶文社)


+既読のウィリアム・モリス作品の感想+
「世界のはての泉」上下 ウィリアム・モリス
「理想の書物」ウィリアム・モリス
「輝く平原の物語」ウィリアム・モリス
「ジョン・ボールの夢」ウィリアム・モリス
「ユートピアだより」ウィリアム・モリス
「不思議なみずうみの島々」上下 ウィリアム・モリス
「世界のかなたの森」ウィリアム・モリス
「サンダリング・フラッド」ウィリアム・モリス
「アイスランドへの旅」ウィリアム・モリス

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / /

 [amazon]
様々な問題にいらいらしている時によくみるのは、思いがけない楽しい夢。そんなある晩みたのは、1381年に起きたワット・タイラーの乱の只中にあるケントにいる夢でした。「私」はケントのウィリアム・タイラーという男と親しくなり、ワット・タイラーの指導者の1人となった司祭・ジョン・ボールと語り合うことになったのです。

ウィリアム・モリスは芸術家であるだけでなく社会主義者だったんですが、この作品はモリスが編集者となっていた社会主義同盟の機関紙「コモンウィール」に発表されたもの。それだけに、これまで読んだ中世風ロマンスとはまるで違っていて、社会主義者としてのモリスの一面を強く感じさせる作品でした。仲間と共に会社を設立したモリスは、自ら資本家となることで現実と理想の矛盾を身をもって体験し、社会を変えていかねばならないという使命を感じたのだそう。「社会主義」と聞くと、正直ちょっと引いてしまうところはあるんですが、モリスの理想の世の中というのは、旧ソ連のような社会主義とはまたちょっと違うんですよね。(多分) 
「ジョン・ボールの夢」という題名から、主人公がジョン・ボールになった夢をみたのかと思ったんですが、そうではなくて、ジョン・ボールと出会ったという夢でした。大筋としては、ワット・タイラーの乱の当時のケントの人々を描いたもので、実際、中世当時の田園風景や人々がとても生き生きと描かれているのが魅力的。特に村の酒場・薔薇亭での村人たちと飲み食いしている様子や、ウィリアム・タイラーの家での夕食の様子が素敵です。生命力が満ち溢れてる感じ。でも中心となっているのは、乱の指導者であるジョン・ボールと語らう場面。その場面を通して、モリスは現実の自分が生きている19世紀の世の中を改めて見つめ直しているんですね。
この本の挿絵は、ジョン・ボールが残した言葉として有名な「アダムが耕し、イヴが紡いでいたときに、ジェントルマンなどいただろうか」という言葉をバーン=ジョーンズが絵にしたもの1枚だけ。それがちょっと寂しいかな。(晶文社)


+既読のウィリアム・モリス作品の感想+
「世界のはての泉」上下 ウィリアム・モリス
「理想の書物」ウィリアム・モリス
「輝く平原の物語」ウィリアム・モリス
「ジョン・ボールの夢」ウィリアム・モリス
「ユートピアだより」ウィリアム・モリス
「不思議なみずうみの島々」上下 ウィリアム・モリス
「世界のかなたの森」ウィリアム・モリス
「サンダリング・フラッド」ウィリアム・モリス
「アイスランドへの旅」ウィリアム・モリス

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / /

 [amazon]
ある6月の雨の日。仕事途中に立ち寄った青山のギャラリーの扉を押し開けた途端、思いがけない芳香に鼻をくすぐられて驚く友香。それは人間ではなく、ギャラリー奥の壁にかけてある小さな布裂から漂ってくる匂いでした。その週、ギャラリーではトルコの染織をテーマに絨毯やキリムを展示していたのです。その芳香に引き寄せられるように友香は毎日のようにギャラリーを訪れ、その布裂が13世紀のコンヤ地方の村で作られた貴重なトルコ絨毯だと知ることに。そして「匂いは、追わないと消えますよ」というオーナーの言葉に後押しされるように、友香はいい匂いのする絨毯を探しにイスタンブルへ...。

匂いがポイントになるという時点で、実はちょっと引きそうになりましたが... パトリック・ジュースキントの「香水 ある人殺しの物語」(感想)を読んだ時は全然そんなことなかったのに、なんでだろう? 体調の違い?(今、ひどい風邪をひきそうなところを一歩手前で踏みとどまってるような、イヤんな感じがあるのです) 読んでみれば結構面白かったです。芳香を放つ絨毯を探して旅をする物語。現代のイスタンブルから、13世紀のビザンティン帝国の首都・コンスタンティノポリスまで行くことになるという、タイムトラベル物でもあります。
トルコに何度も滞在している新藤悦子さんならではの現在や昔のトルコの描写や絨毯の話もたっぷり。トルコのルーム・セルジューク朝の最盛期を築いたスルタン・ケイクバードと、ニカイア帝国の「千の耳」テオドータの恋を通してトルコの歴史的な一面をも見ることもできて、雰囲気もたっぷり。もっとこの辺りの歴史的な小説を色々と読んでみたいな。(東京書籍)


+既読の新藤悦子作品の感想+
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
「エツコとハリメ」新藤悦子
「トルコ 風の旅」「イスタンブールの目」新藤悦子
「時をわたるキャラバン」新藤悦子
「羊飼いの口笛が聴こえる」新藤悦子
「チャドルの下から見たホメイニの国」新藤悦子

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

  [amazon] [amazon]
21世紀の私企業・FUPが極秘裏に開発したのは、タイムチューブと呼ばれる一種のタイムマシン。チューブの片側の端は21世紀の現代に設置され、もう片側は現在は16世紀に設置されており、チューブが稼動すると、その中を歩いていく人間は通り抜けた時に16世紀のイングランドにいるという仕掛け。FUPは16世紀のイングランドの辺境地帯から石油や石炭、黄金などの資源を掘削し、さらにその辺りをリゾート地として売り出したいと考えていたのです。しかしその地方に住む好戦的なスターカム一族とはアスピリン錠をえさに同盟をしているはずなのに、彼らは地質調査に訪れた21世紀の学者たちを身ぐるみ剥ぐことなど何とも思っておらず...。

1998年に刊行されると、イギリス児童文学の2大タイトル、カーネギーとガーディアンの両賞にノミネートされて、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(J.K.ローリング)や「肩甲骨は翼のなごり」(デイヴィッド・アーモンド)などを抑えてガーディアン賞を受賞したという作品。
500年の昔にタイムスリップするという意味ではSFなんですが、SF色はその程度かな。むしろファンタジーと呼んだ方がいいかもですね。あとがきでもジュード・デヴローの「時のかなたの恋人」や他の作品が引き合いに出されていたけど、確かにそんな雰囲気。あとダイアナ・ガバルドンの「時の旅人クレア」とか。過去に行っちゃった後は、O.R.メリングのケルト物にもちょっと近いかも。
過去に行った現代人が自分たちを「エルフ」の一族だと名乗って、近代技術を全て「エルフの技」なんて言ってるのが、現地に派遣されてる女の子が妖精の女王的な扱いを受けてるのと相まって面白いんだけど... 本文中でも引き合いに出されてたんですが、21世紀の人間と16世紀の人間の関係がまるでアメリカ大陸に上陸した白人と現地のインディアンのようで、ちょっとツラい部分もありました。これでもっと21世紀人に魅力があればねえ。21世紀人が、「野蛮で好戦的で、しかも貧しくて不潔」と捉えているスターカーム一族なんですが、その生き様の濃さや力強さは実はとても魅力的。ものすごく「生きている」って感じがします。それに引き換え、21世紀の人々の情けないことったら。確かに清潔で便利な生活なんだけど、何て無味乾燥で薄いのかしら。...というのが、作者の書きたいことの1つだったのかもしれませんが、この辺りのバランスがもう少し良ければ、もっと面白くなったでしょうに、とも思っちゃう。ちょっと残念でした。(創元推理文庫)


+既読のスーザン・プライス作品の感想+
「エルフギフト」上下 スーザン・プライス
「ゴースト・ドラム」「オーディンとのろわれた語り部」スーザン・プライス
「500年のトンネル」上下 スーザン・プライス

| | commentaire(2) | trackback(0)
 1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  | All pages »

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.