Catégories:“紀行”

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1871年。モリス37歳。この夏、彼はポニーの背に揺られて、アイスランドを旅した。終生愛してやまなかったアイスランド・サガゆかりの地を訪ねる六週間の旅だった。モリスの生涯の転機となった旅を記録した貴重な日記。氷河と火山の島アイスランドの伝説と自然と、そこに暮らす人びとの姿を精彩に富む筆致で描く。(「BOOK」データベースより)

全7巻のウィリアム・モリスコレクションで、唯一まだ読んでなかった本。アイスランド・サガは私も好きなので、結構楽しみにしてたんですが... うーん、あまり楽しめませんでした。アイスランド・サガが好きとは言っても、きっと「好き」のレベルが違いすぎるんでしょうね。例えば北欧には行ってみたいと思ってても、そういうゆかりの地を訪ねたいと思ったことはないし...。「ここはニャールのサガのあの場面で...」なんて言われても。その「ニャールのサガ」だって、一応読んでるんですけども。(涙)
しかも紀行エッセイ。私にとっては、どうも好き嫌いが激しく分かれる分野みたいです。せっかくだったのに、思ったほど楽しめなくて残念だわ~。(晶文社)


+既読のウィリアム・モリス作品の感想+
「世界のはての泉」上下 ウィリアム・モリス
「理想の書物」ウィリアム・モリス
「輝く平原の物語」ウィリアム・モリス
「ジョン・ボールの夢」ウィリアム・モリス
「ユートピアだより」ウィリアム・モリス
「不思議なみずうみの島々」上下 ウィリアム・モリス
「世界のかなたの森」ウィリアム・モリス
「サンダリング・フラッド」ウィリアム・モリス
「アイスランドへの旅」ウィリアム・モリス

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太古の昔から目に見えない言葉の霊力を信じ、文字よりも言葉を大切にして、歴史や物語、詩を何世代にも渡って言葉で伝えてきたアイルランドのケルト人。その後ケルト社会が崩壊し、ゲール語が英語に取って代わられるようになっても、アイルランドには音楽や物語を好む風土が残り、今に至っています。そんなアイルランドのケルト的な無形の文化、歌い手たちや物語の語り手たちに興味を引かれた著者が、それらの人々に会いながらアイルランドを旅する本です。

まず印象に残ったのは、歌は語りだから、歌の背景を知らなければ正しく歌うことはできない、という言葉。歌う技術よりも、まず「物語ありき」。この言葉には驚きました。...ちょっと考えてみれば、確かに歌も物語も一緒なのにね。でもやっぱり、歌は耳から入ってくるもの、物語は目から入ってくるものという意識が私の中にはあるんですねえ。それがいいのか悪いのかはともかくとして。
古い神話や伝承、口承で伝わってきたような文学が好きと言いつつ、私は実際にはあまり耳からの情報というのに慣れてないのかも、なんて改めて思います。物心ついた頃には既に本は身の回りに沢山あったけど、どちらかといえば本と一緒に放置されてたという感じで、母に本の読み聞かせなんてやってもらったことないし(母もした覚えがないと言ってました)、おじいちゃんおばあちゃんが面白いお話を沢山してくれるなんてこともなく、ラジオもあんまり聞かなかったですしねえ。私にとって情報とは、まず目から入ってくるものなのかも。例えば何かの曲を聴いていても、私にとって歌は楽器の1つぐらいの位置付け。言葉としての歌詞を聞くことってほとんどないんです。ピアノはずっと習ってたし、音を聞き取るという意味ではある程度訓練されてるはずなのだけど。
でもケルトの文化では、元々文字には重きを置いてなくて、あくまでも言葉が中心。「文字にされれば、物語は死ぬ」なんて言葉を聞くと、ドキッとしてしまいます。

さて、この本に登場するのは現代の語り部たち。名刺大のカードを繰って、どんな話が聞きたいのかとたずね、1つ話が出てくるとその話が次の話へ、そしてまた次の話へと繋がっていくなんて楽しそう! 日本の昔話のような「むかーしむかしあるところに...」のような始まりではなくて、畳み掛けるように言葉が出てくるリズミカルな語りというのもちょっと意外でしたが、身振りや手振りもなく、自分の中にある言葉をどんどん並べていくような語り方みたいです。そしてそんな風に語られた物語が実際にこの本でも紹介されてるのが嬉しいところ。
語り部になるにも人それぞれのきっかけがあるでしょうけど、著者が最初に会った人の場合は、成人して海外で仕事をしていて、久々に帰国した時に見た光景がきっかけだったのだそうです。かつては夜になると家族や近所同士で集まって歌を歌い、楽器を演奏し、踊り、物語を語っていたのに、それが全くなくなっていたのにショックを受けたから。テレビの登場のせいだったんですね。人々はそれぞれ家に閉じこもってテレビを見るばかり... でもだからといって語りの伝統が完全に絶えたわけではなくて、声をかけてたら、まだまだ歌やお話を愛する人々がぞろぞろと出てきて。...こういう集まり(ケイリー)に関しては、チャールズ・デ・リントの「リトル・カントリー」(感想)や、ケイト・トンプソン「時間のない国で」(感想)を読んだ時にも楽しそうだなと思ってたんです。
でもこの人の場合は、まだまだそんな人たちがいっぱいいることが分かったからいいんですが、他の語り部には、もう誰もお話を聞きたい人間などいない、なんて言ってる人もいて... 今の人間は集中力がなくなっていて、20分も静かにしてることができない、もう語りも終わりだ、なんて話を聞くと本当に悲しくなってしまいます。

ちょっと意外だったのは、今は神話はあまり受けなくて、それよりも笑い話に人気があるという辺り。フィン・マックールの話もオシアンの話もクーフリンの話もメイヴの話も、私、大好きなんですけどー。確かに1日中働いて疲れてる時には、ちょっとした笑い話がいいのかもしれませんけどね。こんな時に文字があってやっぱり良かったと思います。文字がなかった頃は、最近の人には受けないから、なーんて言われて消えていった物語も沢山あったんでしょうけど、今はその心配はほとんどないんですものね。(笑)(集英社新書)

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ダブリン大学を卒業後、音楽者を目指してドイツに行き、作家に転向しようとしてフランスに行ったというシング。ラシーヌに傾倒していたシングにイェーツが勧めたのは、アラン島を訪れること。シングはその勧めに従って1898年5月から1902年までの間に4回に渡ってアラン島に滞在して土地の人々にゲール語を習い、その土地に伝わる伝説や迷信を聞くことになります。これはその4回に渡るアラン島滞在記。

アラン島はアランモア(北の島)、イニシマーン(中央の島)、イニシール(東の島)という3つの島から成り立っていて、シングはその3つの島にカラハ(土地の人間の乗る小舟)で行き来しながら、島民の家に滞在してアイルランド語やゲール語を習い、土地の老人たちに様々な話を聞く日々。島の人々との生活ぶりが飾らない筆致で描かれていきます。最初は余所者扱いで少し距離があったんでしょうけど、徐々に島の生活に馴染み、島民と親しくなっていくシング。
ここに書かれているのは、ほぼ100年前の生活なんですが、私が以前からアイルランドという土地に対して持っていたイメージそのまま~。土地はあっても肝心の土があまりないから、土を大切に掘り出して砂と海草を混ぜて、平たい岩の上一面に広げて、そこでじゃがいもの栽培をするんですよ! 大変そうー。でも島の人々は素朴で暖かくて、自然体。ケルトの民話や妖精譚が自然に生活の中に息づいているのがとても素敵。島のおじいさんからも、後から後から妖精の話が出てきますしね。ここに出てくる妖精譚には既にどこかで読んだ覚えがあるものも多くて、この作品から知られるようになった物語もあるのかも? それにイェーツ辺りも同じように話を採取してたんでしょうね。そしてこの生活の中で得たものは、シングの戯曲の中で見事に実を結んでいるのだそう。そちらも読んでみたいな。
ただ、私が読んだこの岩波文庫の姉崎正見訳は最近復刊したものなんですけど、昭和12年当時の旧字・旧かな遣いのままなんですよね。みすず書房の栩木伸明訳の方が読みやすいのではないかと思います... この栩木伸明さん、「琥珀取り」「シャムロック・ティー」の方なので、読みやすさは間違いないかと。(岩波文庫)


+既読のシング作品の感想+
「アラン島」シング
「シング戯曲全集」ジョン・M・シング

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デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、そして再びスウェーデンへ。カレル・チャペックの旅行記コレクションの4冊目。今回もチャペック自身によるイラストが多数収められています。

イギリス、チェコ、スペインと続いたチャペックの旅行記、今回は北欧です。これは1936年に、妻のオルガとその兄のカレル・シャインプフルークと共に訪れたデンマーク、スウェーデン、ノルウェーという北欧3国を描いたもの。鉄道や船で巡る旅の記録。カレル・チャペックの人々を見つめる優しいまなざしやウィットの利いた描写は相変わらずですし、色々考えさせられます。例えばデンマーク。

ここはちっちゃな国だ、たとえ五百の島全部を寄せ集めたとしても。まるで小さなパンの一片のようだが、その代りに、厚いバターが塗られている。そう、家畜の群、農場、はちきれそうな家畜の乳房、樹冠に埋もれる教会の塔、さわやかなそよ風の中に廻る風車の肩ーー。(P.25)

でもこれほどまでに豊かな自然を描いたその後で、こんな文章が来るんです。

そう、ここは豊穣の国、バターとミルクの国、平穏と快適の国だ。そう。しかしここでひとつ教えてほしい。なぜこの国は自殺率が世界最高だと言われるのか? それはここが、満ち足りて落ち着いた人たちのための国であるせいではないのか? このうにはおそらく、不幸な人たちには向かないのではないか。彼らはおのれの不運を恥じるあまり、死を選ぶのだろう。(P.30-31)

ほけほけと読んでいていきなりこういう文章が来ると、かなり強烈です。実際、北欧の国は冬の日照時間が短いから鬱になる人が多いとは聞いたことがありますが...。アルコール依存症もとても多いとか。

あと、都心部でのことも色々と描かれてるんですが、私にとって興味深かったのは、まだまだ昔からの自然が残っているような場所。そういった場所が本当にまだまだ沢山あるんですねー。北欧神話やサガで親しんだ、壮大な自然と共に生きる人々の暮らしがここにはあって、ずっと変わることなく続いているんですねえ。チャペックの体験した白夜の描写も美しいです。一度体験してみたくなります。でも白夜があるから冬に長く続く夜があるわけで... それが鬱に繋がるなんて知ってしまうと、能天気に「白夜が見てみたいー」なんて言えなくなってしまうんですよねえ。(ちくま文庫)


+既読のカレル・チャペック作品の感想+
「ダーシェンカ」「チャペックの犬と猫のお話」「園芸家12ヶ月」カレル・チャペック
「イギリスだより」「スペイン旅行記」カレル・チャペック
「ロボット」チャペック
「チェコスロヴァキアめぐり」カレル・チャペック
「北欧の旅」カレル・チャペック

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スコットランドを「幽霊伝説」「妖精伝説」「魔女伝説」「文学・歴史ミステリー」「パワースポット」の5章から紹介していく本。

んんー、悪くはなかったんだけど... なんだかちょっと微妙でした。面白い部分と面白くない部分が混在してるんですよね。「幽霊伝説」はまずまず、「妖精伝説」はいい感じ、「魔女伝説」はイマイチ、「文学・歴史ミステリー」は面白いんだけど物足りない、「パワースポット」は案外いける... といった感じでしょうか。もちろんそれは私の興味の方向性によるものなんでしょうけど。
一番面白かったのは、シェイクスピアのマクベスが実在の人物だったという辺りかな。いや、本当にいたとは知りませんでした。11世紀に17年間スコットランドを治めた王だったんだそうです。でも本当のマクベスは、シェイクスピアの悲劇に描かれてる人物とは全然違う人物だったんですって。シェイクスピアの悲劇で史実に沿ってるのは、国王ダンカンを殺して王位についたこと、そしてダンカンの子・マルコムによって殺されたということだけ。野心に目がくらんで謀反を起こしたという下克上的な描かれ方をしてるんですけど、本当はマクベスは王家の血筋の生まれで、ダンカンとは同年代の王位継承者同士の争いだったようです。しかも戦いを仕掛けたのはダンカンの側だったんだとか。本当のマクベスは、有能で寛大な君主でスコットランドを大いに繁栄させた王なのだそう。しかもマクベス夫人もそんな夫に主君殺しをけしかけるような悪女ではなくて、こちらも王家の血筋、しかも本家筋の貴婦人。演劇界では「マクベス」が呪われた芝居とされているというのも知らなかったんですけど、その呪いが事実とは随分違う人物に描かれてしまったマクベス夫妻の怒りのせいかもという筆者の意見も、いかにもありそうです。(笑)
スコットランドといえば、ウォルター・スコットやその作品に関しても何か言及があるのではないかと期待したんですが、それは全然ありませんでした。ああー、この本が物足りなかったのは、その辺りが全然載ってなかったせいというのが一番大きかったのかも。ロンドンが舞台のジキルハイドなんかより、「湖上の美人」を取り上げて欲しかった。でも「ミステリー」「ファンタジー」の括りに引っかからなければ仕方ないんですよね。残念。(新紀元社)

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アイルランドをレンタカーで走り、そしてアラン島へ。夏の終わりにヒースの花咲くムーア(荒野)が見たくなって、嵐が丘の舞台となったイギリスのヨークシャーのハワースへ。緑と白の地に真っ赤なドラゴンが国旗のウェールズ、「バスカーヴィル家の犬」の舞台となったダートムーア、ミス・マープルが住むセント・メアリー・ミード村のモデル、ダートムーアのウィディコム・イン・ザ・ムーア村へ。クリームティーが美味しいことで有名なトットネス、ケルトの国・コーンウォール地方へ。そしてケルトの遺跡を見るために再びアイルランドへ。

以前読んだ「イギリス湖水地方を訪ねて」「風のまにまにイギリスの村へ」に続く旅行記。ただし今回はアーサー・ランサム色は全然なくて、アイルランドやイギリスの南西部が中心。何度もの旅の話を1冊にまとめたようで、ちょっとあっさりしすぎてる気もしたんですけど... 最初のアイルランドの章があんまりあっけなく終わってしまったのでびっくりしたんですけど、再びアイルランドが登場して一安心。アランセーターで有名なアラン島もいいですが、私としてはケルトの遺跡やタラの丘、「ケルズの書」の方がずっと気になりますしね。
2度目のアイルランド旅行の章ではO.R.メリングの「妖精王の月」とバーバラ・レオニ・ピカードの「剣と絵筆」が引き合いに出されていました。「妖精王の月」は私もとても好きな作品。アイルランドのケルトの雰囲気がたっぷりで素敵なんです。でも「剣と絵筆」の方は初耳。修道僧が福音書を描いている場面が出てきて、羽根ペンの切り方や絵の具の作り方、羊皮紙の磨き方などが詳しく出てるというので、早速図書館に予約を入れてしまいました。修道士カドフェルの本にもそういう場面があったんですけど、それほど詳しくはなかったんですよね。どんなお話なんだか楽しみ楽しみ。(河出書房新社)


+既読の高柳佐知子作品+
「エルフさんの店」高柳佐知子
「ティスの魔女読本」高柳佐知子
「イギリス湖水地方を訪ねて」「風のまにまにイギリスの村へ」高柳佐知子
「ハイウィロウ村スケッチブック」高柳佐知子
「ケルトの国に妖精を探しに」高柳佐知子
「アリゼの村の贈り物」高柳佐知子
「ナチュラル暮らしの手作り工房へ、ようこそ」高柳佐知子
「庭が仕事場」高柳佐知子
「不思議の村のハロウィーン」高柳佐知子

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「まのとのま」って最初聞いた時、一体どういう名前なんだー?と思ったんですが、これは真野さんと乃間さんだから。「真野と乃間」なんですね。真野匡さんと乃間修さんという2人で、名前だけ見ると男性かと思ってしまいそうなところですが、どちらも女性。お2人ともフリーのイラストレーターだそうで、1冊の本の中にイラストがどっさりです。コミック本かと思うぐらいどっさり。でも字もぎっしり。川原泉さんの作品よりもぎっしり。(笑)
「食」「探」「楽」「美」「カッパドキア」「アンタルヤ」という6章に分かれて、この1冊に色んな情報がたっぷり入ってました。ちなみに「探」はイスタンブールの見所で、「楽」は娯楽とかホテルの情報とか。そんな風に分かれてるので、もうちょっと旅行記的な流れでも読んでみたかったなとか、「食」の最初に登場したゴージャスな「トゥーラ」でのエピソードがもっと読みたーい!なんて思ったりもしたんですけど(お店一軒につき紹介は見開き2ページずつなので)、他のページは十分満足。隅々まで読むのは結構大変ですが(笑)、これだけの情報があれば、結構ディープな旅行もできそう。美味しそうだし楽しそうだし、うわーん、自分の目で見てみたい! しかも猫天国なんだそうです、トルコって。観光客はビニールの靴カバーをつけさせられてるというのに、高級絨毯の上でゴロゴロする猫、かわいーい♪
 
無敵シリーズっていっぱいあるんですねえ。北京、上海、香港、バリ、マレーシア、バンコク、沖縄、ハワイ、ベトナム、ソウル、台湾。どこか遊びに行く時はこういう本をガイドブック代わりにするのもいいかもですね。(アスペクト)

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