Catégories:“紀行”

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アーサー・ランサムの「ツバメ号とアマゾン号」シリーズゆかりのウィンダミア湖やコニストン湖、ピーターラビットのニア・ソーリー村、ワーズワースのグラスミア。あるいはコッツウォルズの村々やノーフォークの川、ダービー観戦、ウィズリー・ガーデン、そして再び湖水地方。そこで出会った人々や美しい景色、訪れた街や入ったお店、食べたもののことなどを綴った旅行記です。

大人になってからランサムを読み、「どんなものでも欲しい」というほどランサムに夢中になったという高柳佐知子さん。ホテルの朝食のポリッジを食べながら、嵐の翌日にディクソンおばさんが持ってきてくれた熱々のおかゆを思い出したり、ティールームにあった"Stieky Ginger-bread"を食べて、ナンシーとペギーの家のコックのお得意の「とびきり黒くて汁気たっぷりのねばつくフルーツケーキ」はこういうものだったのかと納得したり、他にも登場していた食べ物を見つけては食べてみたり買ってみたり。アーサー・ランサムの遺品を集めた博物館に行ったものの、向かいの別の博物館にあるアーサー・ランサムの部屋を見るまでは気もそぞろだったり。そのわくわくぶりが読んでいて微笑ましいところです。私も大学の時にイギリス北部にしばらく滞在していたので... とは言ってももっぱらヨークシャー地方だったので、位置的に少しズレてはいるんですが、羊もいっぱいいたし、ピーターラビットそっくりのウサギも可愛かったし、ワーズワースの家や湖水地方に足を伸ばしたりと、高柳さんと結構同じところを見てるので、読んでてほんと懐かしくなっちゃいました。イラストを見ながら、ああ、ほんとこんな風景だったなあって。高柳さんほどのランサムフリークではないんですが、ツバメ号とアマゾン号のシリーズは小学校の頃から愛読してましたしね。

ランサムやピーターラビット以外にも、電車に乗ってきた老婦人を見てフィリップ・ターナーの「ハイフォースの地主屋敷」に出てくるミス・キャンドル=トイッテンを思い出したり、本屋にミス・リードの「村の学校」「村の日記」「村のあらし」といったシリーズが並んでいるのを見つけて喜んでいたりと、さすが本好きさんといった感じなんですが、この作品はどちらも未読... 読んでみなくっちゃ。そして高柳さんが泊まられたホテルの部屋に置いてあったという、ウェインライトの湖水地方のガイドブックというのが見てみたい! イラストはもちろん文字も全部手書きの全7巻。初めて出版されたのが1950年代という古い本なのに、高柳さんが行かれた1990年前後でも、どこの本屋さんでも一番目立つところに置いてあったというのが、またいいんですよねえ。

「イギリス湖水地方を訪ねて」の表紙が出ませんが、どちらも高柳佐知子さんのイラストの表紙に、題字も同じレイアウト。双子のような本です。そして「イギリス湖水地方を訪ねて」は文字通り湖水地方ばかりの旅の話、「風のまにまにイギリスの村へ」では他のイギリスの田舎町へも足を伸ばしつつ、なんと3回目の湖水地方の旅にもなっています。3度目の正直なのか(笑)、ハリ・ハウに泊まったり「カンチェンジュンガ」に登ったり! いやあ、いいですねえ。私もまた行きたいなあ。(河出書房新社)


+既読の高柳佐知子作品+
「エルフさんの店」高柳佐知子
「ティスの魔女読本」高柳佐知子
「イギリス湖水地方を訪ねて」「風のまにまにイギリスの村へ」高柳佐知子
「ハイウィロウ村スケッチブック」高柳佐知子
「ケルトの国に妖精を探しに」高柳佐知子
「アリゼの村の贈り物」高柳佐知子
「ナチュラル暮らしの手作り工房へ、ようこそ」高柳佐知子
「庭が仕事場」高柳佐知子
「不思議の村のハロウィーン」高柳佐知子

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画家・大竹伸朗さんが見たモロッコという国を文章、写真、そして絵で表現した本。

風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた本です。画家というフィルターを通して見たモロッコを、感性のままに表現してる作品だと聞いていたんですが、まさにその通りの本でした! 一方、大竹伸朗さんというフィルターが強すぎて素のモロッコが見えてこないとも聞いてたんですが、それもその通りで...(笑)
飛行機でマラガに降り立ってから、タンジールやフェズを訪れ、マラケシュから再び飛び立つまでの11日間のことが日を追って書かれてるんですが、これが普通の紀行文とは全然違うんですね。解説の角田光代さんが書かれてるように、これは「異国の夢日記」なのかもしれません。この本を読んでモロッコに行ったとしても、こんな風景は全然見えて来ないんでしょう。(笑)

マラケシュを訪れたところで、こんな文章がありました。

ストロボをたいて撮影すると、一瞬の強烈な光とともに対象となる像が網膜に焼きつく。光をいっさい遮断した部屋の中で像が焼きついた何秒間かは、目を開けてても綴じていても関係のない状態におちいる。
目を閉じながら見る風景は実に不思議だ。「見る」ことの不思議さと頼りなさを、いっしょに感じることになる。

まさにそんな風にして書かれたんでしょうね。モロッコという国のエッセンスは強烈に伝わってくるんですけど、それはあくまでも大竹伸朗さんの感じたモロッコ。カメラのシャッターを押した時みたいに、まさにその瞬間を切り取ってるわけじゃなくて、頭の中に残像として残ってる「いま」を紙の上に表現しているような感じ。それはギタリストが「こんな感じ」と曲を弾いた時みたいに、元の曲と実際に照らし合わせてみるとかなり違っているのに、原曲よりもその「感じ」が的確に表現されているのと似ているのかも。(これは本文中に出てくる話)

最初はなんだか読みにくい文章だなあと思ったんですが、それが逆に大竹伸朗さんという方の個性を端的に表しているみたい。文章としては変なのに、すごく伝わってくるんですよ。途中からは、もうこの文章しかあり得ないという気がしてきたほどでした。大竹伸朗さんの感じたモロッコ、面白かったです。(集英社文庫)

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古代ギリシアの歴史家・ヘロドトスによる、ギリシア諸都市とペルシア帝国の争いの歴史。前5世紀、ついにペルシア帝国が大軍を擁してギリシアに攻め入ったペルシア戦争、そして当時存在した様々な国々の紹介。ヘロドトス自身が各地を歩き回って聞き集めた説話や風土習俗を元に書き上げたものであり、ヨーロッパにおける最も古い歴史書とも言われている作品。元々は全9巻として書かれており、それがこの文庫1冊に3巻ずつ収められています。

基本的には、ペルシア戦争と呼ばれるアケメネス朝ペルシア帝国のギリシア遠征の原因から結果までが描かれているし、ペルシア戦争に関する貴重な資料でもあるそうなんですが... 実際、サラミスの海戦のことなんかもすごく面白いんですが、それ以外のことも色々書かれてるんですよね。そちらの方が私にとっては楽しかったかも。たとえばアルゴー船の遠征でのイアソンと王女メディアのこととか、ペルセウスとアンドロメダのこと、トロイアのパリスがヘレネを奪って始まったトロイア戦争のことなどが、神話ではなく、歴史的な出来事として書かれているのが面白かったし~。ギリシアやペルシア周辺諸国のことが色々と詳しく説明されているんですが、その中でも特に2巻で触れられているエジプトの風物や宗教、その地理的な話もすごく面白かったです。ミイラの作り方とか、そのミイラの松竹梅的な値段による違いとか。(笑)
ヘロドトスが自分が聞いた話を紹介するというスタンスで、自分はこう考える、自分はこの意見を信じるけれど、読者がどの意見に納得するかは読者次第、というのも良かったです。ただ、ギリシアとペルシアはもちろんのこと、アフリカからインドまでものすごく沢山の国が登場するし、それに伴って人名もものすごく沢山! 到底覚え切れなくて、それだけは大変でした。(岩波文庫)

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先日再読したばかりの高橋由佳利さんによるトルコ・コミックエッセイ「トルコで私も考えた」。最新刊が出たので早速~。

今回一番びっくりしたのは、高橋さんのご主人が実は1巻の時から登場していたということ! 思わず1巻をめくって探してしまいましたよー。探してみたら、いましたいました。この頃の絵にはまだ髪の毛があったので、全然気がつかなかった。そうか、2巻を読んだ時には唐突に感じられた国際結婚にも、実は伏線があったのですねー。(違います) 今回初公開の家族写真にはご主人も写っていて、なかなかの男前ぶりを見せてくれます。そしてちょっと悲しかったのが、いつの間にか義理のお父さんが亡くなられていたこと。実はお気に入りの人物だったんだけどなあ。
事前に今回はトルコの楽器を習う話が良かったと聞いていた通り、その辺りもすごく面白かったし... 西洋音楽とはまるで違うらしいトルコ音楽、一度聞いてみたーい。7拍子だの9拍子だのをトルコの太鼓ダルブカで難なく刻んでしまうケナンくん、やめてしまうなんてもったいなーい。(子供の学習能力の高さというよりも、やっぱりトルコ人としてのDNAなのでは?) 最近はどんどん物価も高くなってトルコが変わりつつあるというのも、読んでるだけの身ながらも寂しい話ですね。そして何が一番寂しいって、「トル考」がこの21世紀編で一旦終わりだということ。えーっ、そうだったんですか。逆に引き際が鮮やかということでいいのかもしれないけど、楽しかったのになあ。
高橋さんの絵はこういったギャグ路線のものしか見てないんですが、たまに登場する真面目な絵はとっても綺麗。見てると佐々木倫子さんの絵を思い出すんですけど、本当に似てるのかな~? 真面目なストーリー漫画も一度見てみたくなっちゃいます。(集英社)


+シリーズ既刊の感想+
「トルコで私も考えた」1~4 高橋由佳利
「トルコで私も考えた 21世紀編」高橋由佳利

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高橋由佳利さんによるトルコ・コミックエッセイ。以前お友達から借りて1~3巻を読んだことがあるんですけど、その時はまだそれほどトルコにハマってなかった時期。今回4巻を読むに当たって、せっかくなので1~3巻も再読してみました。
いやあ、やっぱり面白い! 1巻の時は一介の旅行者だった高橋さんなんですが、2巻で気づいてみればトルコ人の男性と結婚していて、それからはトルコに住む人間としての視点に移り変わり、ダンナさまの家族とのエピソードもたっぷり。じきにトルコでの子育ての話も加わります。日本と似ているところも全然違うところもユーモアたっぷりに紹介されていて、それがとっても楽しいんです。似顔絵もそっくりだし♪

今回一番印象に残ったのは、トルコでの子供の扱いの話かな。トルコ人は子供が大好き。ベタベタに甘くって、すぐメロメロになっちゃって、いつでも「可愛い~~~♪」状態。悪いことをしても、「まだ子供だよ」「可哀相だよー」って全然叱れないんですね。子供ができる前の高橋さんにとって、それはとても腹立たしいことだったんです。顔に唾を吐いた子供ですら、怒られないままなんですもん。でもそんな風にされて育って、とんでもなく甘やかされてしまうかといえば、決してそうではなく。きちんと挨拶もできるし、ちょっとしたことで知らない人を助けたり、とっても礼儀正しくて社会性もある... そしてその「子供を叱らない」は、日本人である高橋さん自身にもそうだった、と高橋さんはある日ふと気づくわけです。本当は嫁として色々できなくちゃいけないところなのに、「日本人でトルコのことをまだよく知らないんだし」「親きょうだいも近くにいなくて可哀相なんだから」って大切にされて、それがとても暖かくて居心地が良かったんだなあ、と身にしみるんですね。

トルコ料理の作り方もいっぱい載ってて、実際に作ってみたくなるし、その他の情報もぎっしり。しかも楽しくて、とってもお値打ち。2巻と3巻は既に品切れ重版未定状態みたいなんですが、なんでこんな面白い本を品切れ状態にしちゃうんだろう?ってほんと思っちゃう。(私はギリギリのところで入手しました) 新藤悦子さんのトルコエッセイも面白くて大好きだけど、私にはやっぱりこの「トル考」が原点です♪(集英社)


+シリーズ既刊の感想+
「トルコで私も考えた」1~4 高橋由佳利
「トルコで私も考えた 21世紀編」高橋由佳利

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ギリシャ編とトルコ編に分かれている旅行記。ギリシャで訪れているのは、女人禁制のギリシャ正教の聖なる地・アトス。かつては異教徒に支配されていたというアトスですが、聖母マリアが海岸に足を下ろした瞬間に全ての偶像は砕け散り、それ以来聖母マリアはこの地を聖なる庭と定め、女性の立ち入りを永遠に禁じたのだそうです。最盛期には40の修道院に約2万人の修道僧たちがいたそうですが、今も20の修道院で約2千人の僧たちが質素な自給自足生活を送りながら厳しい修行を積んでいるのだそう。そしてトルコ編は、最初は普通にイスタンブールに始まるんですが、もっぱら三菱パジェロに乗って、トルコの国境付近を時計回りに一周したという旅行記。どちらの旅行も、同行者はカメラマンの松村映三さん。(文庫にはほとんど写真は載ってないのだけど)

旅行記もいくつか読みましたけど、これほど体感温度の低い旅行記って初めてかも... 温度も低ければ内容も薄いように思えちゃうんですけど、どうなんでしょう。特にトルコでの旅行に関しては、村上春樹さんは終始疲れているようで愚痴だらけ。不愉快になったというエピソードばかり。トルコ料理も全然合わなかったようだし、そもそも一体なんでトルコに、それも辺境地帯になんて行こうと思ったの?と不思議になってしまうほどでした。態度の悪い従業員のいたホテルの名前を全部出しているところなんかも、もし名前を出しておかなかったらきっと後で何度も聞かれることになって鬱陶しいんでしょうけど、情報を正しく伝えるというよりも、まるで仕返しをしているように感じられてしまうー。観光客があまり訪れない「辺境」に敢えて「行った」という行動自体に、満足して終わっているように思えます。意地悪な見方をすれば、単なる辺境コレクターみたい。
ギリシャのアトスに関しても、それぞれの修道院でもらったパンが美味しかったとか不味かったとか、そんなのばかり。そもそも宗教的な知識も関心もないんだったら、なんでアトスに行きたかったんでしょう? 一応説明らしき文章はあったんだけど、もっと納得させて欲しかったし、そうでなければ単なる覗き見趣味みたいに感じられちゃう。それに特別に許可を取ってそういう場所を訪れるからには、事前にもう少し勉強してから臨むのが礼儀なのではないかと...。まあ、こちらの方は私自身まるで知らない場所だったこともあって、まだ興味深く読めたんですけどね。(新潮文庫)


+既読の村上春樹作品の感想+
「海辺のカフカ」上下 村上春樹
「雨天炎天」村上春樹
Livreに「村上ラヂオ」の感想があります)

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330年に遷都されてビザンティン帝国の首都となった時からはコンスタンティノープルとして、その後オスマントルコのメフメット二世が陥落させてからはイスタンブールとして、そしてケマル・アタチュルクが共和制トルコを打ち立ててからも、相変わらず首都として栄えているイスタンブール。1600年もの間、首都として、そして東西の文化の融合地点として栄えてきたイスタンブールという街を、その歴史的・文化的な観点から解説していく本です。

ここに書かれているのは、ビザンティン帝国の「コンスタンティノープル」というより、題名通りの「イスタンブール」ですね。主にオスマン・トルコのメフメット2世が陥落させて以降のイスタンブールのことが解説されていて、1つの都市を通して見たオスマントルコと共和制トルコの歴史とも言えそう。時系列的に出来事を追っていくだけではなくて、時には現在のトルコから遡っていくし、陳氏自身の紀行文的な部分もあったりして、それだけにまとまりがないように感じられる部分も無きにしも非ずって感じだったんですが、全体的には分かりやすく概観してる本かと... というか、私の興味がメフメット2世やスレイマン大帝、そして聖ソフィアをはじめとするキリスト教の教会やトプカプ宮殿、ミマル・シナンの建てた数々のモスクなど建築物に集中してしまったせいで、ちょっとムラのある読み方になっちゃったかもしれないんですけど... その辺りはすごく面白かったです。紹介されるエピソードも豊富だし。
ただ残念だったのは、文庫のせいか、収められている写真が全て白黒だったことですね。トルコの写真集を横に置いて読みたくなっちゃいました。(文春文庫)


+既読の陳舜臣作品の感想+
「イスタンブール」陳舜臣
Livreに「阿片戦争」「風よ雲よ」「旋風に告げよ」「小説十八史略」「太平天国」「中国五千年」の感想があります)

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