Catégories:“幻想文学1500”

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スターリング城にやって来たのは、追放された魔術師のホリス・キュー。前王の時にベンの元いた世界に追放されたホリスは、そこで宗教団体を作って荒稼ぎをしていたのですが、イカサマが信者にバレて、ランドオーヴァーに逃げ込んできたのです。しかも唐草箱の中に封じ込められていた強大な魔物のゴースも解放してしまっており... という「大魔王の逆襲」。スターリングシルバー城にやってきたのはリダル王と名乗る人物。妖精の霧を超えてランドオーヴァーを征服しにやって来たというリダルに、ベンとウィロウはミスターヤを河の長のところへ避難させようと考えるのですが、その途中で魔女のナイトシェイドに襲われ、ミスターヤは攫われてしまい... という「見習い魔女にご用心」の2冊。

先日3冊読んだので、忘れないうちに続きの2冊を... ということで、やり手の弁護士が百貨店の通販カタログで魔法の国を買って、そこの王様になってしまったランドオーヴァーのシリーズ。シリーズ物で1巻が一番面白いというのはよくあることだし、実際このシリーズもそうなんですけど(笑)、でも今回読んだ4巻5巻も悪くなかったです。1冊ずつとったら、まあ普通なんですが(失礼)、4巻5巻通して読むと魔女のナイトシェイドが大きな読みどころになっていて、それが展開そのものよりも面白かったんですよね。
この2冊、どちらも3つの視点から描かれていて、そのうちの1つがナイトシェイド絡み。4巻では、ベンとナイトシェイドとドラゴンのストラボが唐草箱の中に閉じ込められるんですが、3人(?)とも記憶を失って、「騎士」「貴婦人」「ガーゴイル」として放浪することになります。この時にベンとナイトシェイドの関係が大きく変化するんです。これにはびっくり。そして記憶を取り戻した時にナイトシェイドが受けた衝撃といったら! 5巻でもその衝撃が尾を引いています。これまで以上にベンを憎むようになったナイトシェイドはベンを抹殺するために色々画策するんですが、その行動が愛情の裏返しというか、前巻で心ならずも親しくしてしまった自分への歯がゆさに見えるんです。自分の感情の揺れに動揺してしまって、その動揺を違う感情にすり替えて自分を誤魔化してるというか。目的はベンを殺すことだけなのに、その割に「見習い魔女」にきちんと魔法を教え込んでるところも、なんか意味深な気が~。これまでは、「面白いアイディアがいくつかあったので、適当に放り込んで作ってみました」的なところがあって、あと一歩何かが足りなかったんですが、5巻にしてようやく深みが出てきたような気がします。
でもこのシリーズは、とりあえずこれでオシマイ。まだまだいくらでも続きそうだし、実際決着が付いてない部分もあるんですが、本国でもどうやら今のところ5冊しか出てないようです。(ハヤカワ文庫FT)


+シリーズ既刊の感想+
「魔法の王国売ります!」テリー・ブルックス
「魔法の王国売ります!」「黒いユニコーン」「魔術師の大失敗」テリー・ブルックス
「大魔王の逆襲」「見習い魔女にご用心」テリー・ブルックス

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「太陽の東 月の西」というのは、ノルウェーの民話集。P.C.アスビョルンセンとヨルゲン・モオという2人の民話研究家が採取したもので、本になったのはグリムよりも早かったのだそうです。私も子供の頃に岩波少年文庫から出ている版はよく読んでたんですけど(右)、今回読んだのは、カイ・ニールセンの挿絵入りのもの。肝心の表紙が出てこないのが悲しいんですが、これがものすごく美しいんです~。やっぱりニールセンの絵は素敵。妖しい表情に、ぐぐっときちゃいます。

北欧、特にノルウェーの民話といえばトロルが出てくるのが特徴というのは知ってたんですけど、今回の本のまえがきに「動物が主人公を救うという形式」が指摘されていたのには、ちょっとびっくり。いや、確かに動物が助けてくれる話は多いし、ここに収められた7編は全部そういう形ですが... でもね、民話にはそういう話って結構あるじゃないですか。私としては、むしろロシアのせむしの小馬とか火の鳥の方が印象強いし、咄嗟にはあんまり思い浮かばないんですけど、ペロー童話の「長靴をはいた猫」なんかもそうですよね。これがどの程度ノルウェーの民話の特徴と言えるのか、逆に疑問がむくむくと。岩波少年文庫版には18編入ってるので、思わずこちらも読んでしまいましたが、ニールセン版にも入ってる7編ぐらいしか主人公が動物に救われる物語はなかったです。うーん??(新書館・岩波少年文庫)

そしてカイ・ニールセンといえば、先日こんな本を買ってしまいました。「Nielsen's Fairy Tale Illustrations in Full Color」。(左下)エドマンド・デュラック、アーサー・ラッカムのも一緒に。どれも50~60ページという薄い本なんですけど、題名通りフルカラーの絵が50枚ほど収められていて、とても素敵なんです。これはお値打ちでした! ...と思ったら睡記の睡さんも買ってらしたようで~。(記事
という私も、カイ・ニールセンが一番ツボでした~。
  

そして今、気になってるのは下左側の2冊。ヴィクトリア朝時代のイギリスを代表する挿画家、ウォルター・クレインです。早くからラファエル前派の影響を受けていて、ウィリアム・モリスらとともにアーツ・アンド・クラフト運動を進めたという人物。「絵本の父」とも呼ばれているとか。一番右のド・モーガンの「フィオリモンド姫の首かざり」を読んだ時から、素敵な絵だなあと思ってたんですよね。特に見たいのは、左の「The Faerie Queen」。思いっきり好みのツボのような予感です~。
  

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カナダからアイルランドに住むいとこのフィンダファーに会いに来て、一緒にアイルランド旅行に出るグウェン。しかし人質の墳墓で野営した夜、フィンダファーが妖精王に花嫁として連れ去られてしまい... という「妖精王の月」、アメリカに住む孤児のケイが、誕生日に何者からか送られてきた18冊の古い本をきっかけに、アイルランドに自分探しの旅に出る「歌う石」、カナダから親戚の農場にやって来たローズマリーとジミーは、住み込みで働いている男の行動に興味をひかれて、夜中にその男をつけるのですが... という「ドルイドの歌」の3冊。

O.R.メリングのケルトファンタジーシリーズ。O.R.メリングは5歳の時にカナダに移住したものの、アイルランド生まれで、今またアイルランドに住んでケルト色の濃い物語を書いているという作家さん。ずっと読んでみたいなと思ってたんですが、ようやく読めました!
「妖精王の月」だけ現代のアイルランドが舞台なんですが、登場する妖精の造形がとてもアイルランドらしいし、「歌う石」はトゥアハ・デ・ダナーン一族の支配するイニスフェイルの島が舞台でエリウが登場、「ドルイドの歌」はアルスター神話の時代が舞台で、クーフーリンやコノハトの女王・メーヴが登場します。噂にたがわず、どれもケルト色の濃い作品で、すごく楽しかった。主人公の女の子が素敵な男の子に出会うと必ず恋愛になってしまうのはご愛嬌なんですが(私はミディールが断然好きだ!笑)、ケルト神話をまた読み返したくなってしまうなあ。今のところ5冊出ているようだったので、とりあえず3冊借りてきたんですけど、話としては1冊ずつ独立してるんですね。でもちょこちょこと繋がりもあるので、これは最後には大きな物語となりそうな予感。残りの2冊も早速借りてくるつもり。

ところで、「妖精王の月」の2人の女の子の名前は、フィンダファーとグウェニヴァーなんですけど、フィンダファーはアイルランド系、グウェニヴァーはウェールズ系で、元は同じ名前なんだそうです。アーサー王妃のグウィネヴィアも、やっぱり元は同じ名前なのでしょうかー。「グウェニヴァー」と「グウィネヴィア」そっくりですよね。これで全然違ってたりなんかしたら、サギだわー。(講談社)
5/19追記 名前のことはその後マオさんに教えて頂きました。ありがとうございます♪


+シリーズ既刊の感想+
「妖精王の月」「歌う石」「ドルイドの歌」O.R.メリング
「夏の王」「光をはこぶ娘」O.R.メリング
「夢の書」上下 O.R.メリング

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18世紀のフランスにいた天才肌のおぞましい男、それはジャン=バティスト・グルヌイユ。当時のパリは現代では想像のつかないほどの不潔さで、強烈な悪臭に満ちており、人間も家も街も全てに悪臭が漂っていました。そんなパリでも並外れて濃厚な悪臭の立ち込める一画に生まれたグルヌイユは、生まれて間もなく孤児となり、施設で育てられた後、10歳の時に皮なめし職人の所に弟子入り。そして数年後、香水調合師のジュゼッペ・バルディーニに弟子入りを志願します。グルヌイユは、ただ1人体臭がなく、しかも恐ろしいほどの鋭い嗅覚を持つ男だったのです。

たらいまわし企画第24回「五感で感じる文学」の時に、うるしのうつわ うたかたの日々の泡のkotaさんが「五感と聞くと、パトリック・ジュースキント『香水』を真っ先に思い浮かべます。」と書かれていて(記事)、しかも「ものすごくおすすめ」と言って頂いて、それ以来読もうと思っていた作品。なのに映画公開ということで色々なところで取り上げられて、読む気が削がれたまま1年経ってしまいました。気がついたら文庫版が入手できない状態になりつつあって、慌てて買いにいきましたよ! 今はamazonでは買えるのに、BK1では買えない状態になってますね。文庫本の画像がなくて、amazonの単行本から引っ張ってきてるんですが、BK1では単行本の画像がNo Imageになってるのに、文庫にこの画像がついてます。あらあら。

ジャン=バティスト・グルヌイユは、言葉よりも先に匂いを覚え、6歳の時には嗅覚を通して周囲の世界を完全に了解していたという少年。自分が嗅いだ匂いで物を覚え、区別し、何十万もの匂いを記憶の中に収めているんです。逆に匂いと関係のない、抽象的な概念を表すような言葉は苦手。そんなグルヌイユが主人公なので、物語の中にはありとあらゆる匂いが登場します。花や香料といった良い香りもあるんですけど、むしろおぞましい臭いの方が多いでしょうね。想像力のある読者ほど、これは読むのがツラいかも。でもね、ものすごくシュールでグロテスクなんですけど、作品そのものからは芳香が立ち上ってくるように感じられるのが不思議なんです。
皆が心惹かれる美女の美しさの素は、その魅惑的な香り。グルヌイユの存在感のなさは、その無臭のせい。それに気づいたグルヌイユは匂いによって人々を支配しようとします。こういうのって面白いですね。良くも悪くも匂いの薄い日本では、あまり存在しない概念かも。でも香りって、ものすごく密接に記憶に結びついていたりしますよね。ふと流れていた香りで、一瞬にして過去の一場面を思い出すこともあるし... しかも忘れていた想いも一緒に。五感のうちでも嗅覚って否応なく入り込んでくるものだし、分かるような気がします。(文春文庫)

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高校の英語教師をしているトーマス・アヴィの夢は、作家マーシャル・フランスの伝記を書くこと。9歳の誕生日に父親に「笑の郷」を贈られて以来、手に入る限りの本を集め、フランスについての細かいことを色々と調べているのです。ある日の午後、稀覯本を扱う書店に立ち寄ったトーマスは、何年も絶版になっていた「桃の実色の影」の初版が置かれているのを見つけます。しかしその本は既に買い手が決まっていました。買い手のサクソニー・ガードナーに、100ドルで譲って欲しいと持ちかけるトーマス。2人はやがて一緒に組んでフランスの伝記を書くことになり、フランスが亡くなるまで住んでいたミズーリ州ゲレインへと向かうことになるのですが...。

ジョナサン・キャロルの作品は初めて。実はこの本、ずーーーっと積んでたんですよね。いつから積んでるのか不明。サイトを始めた2000年頃からなのか、それとももっと前からなのか... 誰かにオススメしてもらったか、何かで紹介を見たのか、それすら覚えてないほど。(笠井潔さんが創元推理文庫の企画でベスト5に挙げてたから買ったと思い込んでたんだけど、それはコリン・ウィルソンの「賢者の石」だったらしい...) でも先日翻訳家の浅羽莢子さんが亡くなって、この本も読まなくちゃなあと思っていたところに(浅羽さんは、ジョナサン・キャロルの作品を沢山訳してらっしゃるのです)、先日、檀さんがたらいまわし企画第30回「フシギとあやし」で挙げてらしたんですよね。(記事) 既に十分過ぎるほど熟成済。ようやく手に取ってみました。

最初のうちは緩やかな展開なんですが、トーマスとサクソニーがゲレインに着いた頃からは、どことなく不安感が付きまとい始めることに。これまで伝記を書こうとしていた人々にはけんもほろろだったはずのアンナが親切なのはなぜ? ゲレインの人々と会った時にサクソニーが感じていたのは何? 町の人々が常に全てを知っているのはなぜ? 残念ながら夢中になるところまではいかなかったんだけど、面白かったです。この最後の一文がスゴイ。
それにしても、マーシャル・フランスが実在の作家さんではないのが、ものすごく残念。「笑いの郷」「緑の犬の嘆き」「桃の実色の影」... どれも読んでみたくなっちゃうんですもん。一番読みたくなってしまったのは「笑の郷」ですね。いっそのこと、ジョナサン・キャロル自身に書いてもらいたいほど!(創元推理文庫)

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シカゴの辣腕弁護士ベン・ホリデイは、2年前に妻とそのおなかの中にいた子供を亡くして以来、自分の殻に閉じこもりがち。弁護士会を何度もすっぽかし、最後に残った友達は同僚のマイルズ・ベネットただ1人。そんなある日、亡き妻宛てに有名デパートのクリスマスカタログが届きます。何とはなしに見ていたベンの目に飛びこんできたのは、「魔法の王国売ります」の文字。値段は100万ドル。一流デパートが出す広告とも思えないまま、ベンはその魔法の王国が気になって仕方なくなるのですが...。

ランドオーヴァーシリーズ3冊です。最初の1冊は以前にも読んだんですけど、細かい部分を忘れているので再読。(感想
いやー、やっぱり設定が面白いです。主人公が弁護士というのがいいんですよねえ。弁護士だから頭もいいし、文字通り弁も立つわけで。しかも趣味はボクシング。ちょっとは戦えるわけです。(笑)
ランドオーヴァーには魔女もいればドラゴンもいて、ノームやコボルト、シルフ、妖魔なんかもいて、思いっきりファンタジーの世界。でも主人公が大人でしかも弁護士というだけあって、物事の進め方がかなり現実的。この点、子供が主人公のファンタジーとは一味違います。そして1巻で完全にランドオーヴァーに引っ越してしまったかと思いきや、2巻3巻でもまだアメリカの場面が結構登場してました。そういうのがウリの1つなんでしょう。私としては、アメリカの場面が入るのもいいけど、基本はランドオーヴァーでお願いしますって感じなんですが。
このシリーズ、今のところ5冊出てます。5冊で完結してるのかしら? やっぱり1冊目が一番面白かったな、なんてことにもなりそうなんですけど、近いうちに読んでみようと思います。(ハヤカワ文庫FT)


+シリーズ既刊の感想+
「魔法の王国売ります!」テリー・ブルックス
「魔法の王国売ります!」「黒いユニコーン」「魔術師の大失敗」テリー・ブルックス
「大魔王の逆襲」「見習い魔女にご用心」テリー・ブルックス

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いつの間にか悪夢をもたらす才能を失ってしまった夢馬のインブリは、闇の馬将軍によって、夜の悪夢の運び手から白昼夢を運ぶ任務に変えられてしまうことに。インブリは、闇の馬将軍がトレント王に宛てた「馬の乗り手(ホースマン)にご注意あれ」というメッセージを持って、生まれて初めて昼のザンスに行くのですが... という「夢馬の使命」。
トレント王が王座を退き、ドオアがザンスの王位について5年。秘密の会議をするためにゾンビーの頭の城を訪れるドオアとイレーヌ、そして3歳の娘のアイビィなのですが、城に近づいた時、イレーヌは夢馬のインブリとドラゴンとアイビィの恐ろしい幻影を見ることに... という「王女とドラゴン」。

魔法の国ザンスシリーズの6巻と7巻です。ここまでくると、もうすっかり初期のザンスシリーズからは変わってしまってますねー。登場人物たちも、すっかり世代交代の時期に来てるようです。やっぱり最初の3冊の頃の雰囲気が良かったなあ、と思ってしまいます。それでも「夢馬の使命」の方は面白かったんですけど、「王女とドラゴン」の方は... そろそろ続きを読むのがしんどくなってきました。
この「夢馬の使命」、原題が「Night Mare」なんです。そのまんま訳せば、「夜の雌馬」という意味。明らかに「Nightmare(悪夢)」とかけてるんですよね。ザンスらしいだじゃれ。で、この言葉の「Night Mare」の日本語訳が「夢馬」。そうなると「夢魔」にも通じるわけです。いつものことながら、山田順子さんの翻訳センスは見事だなあ、と本題とは関係ないところで感心してみたり。(ハヤカワ文庫FT)


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「カメレオンの呪文 魔法の国ザンス1」ピアズ・アンソニイ
「カメレオンの呪文」「魔王の聖域」「ルーグナ城の秘密」ピアズ・アンソニイ
「魔法の通廊」「人喰い鬼の探索」ピアズ・アンソニイ
「夢馬の使命」「王女とドラゴン」ピアズ・アンソニイ

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