Catégories:“幻想文学1500”

Catégories: / / / / /

[amazon]
ウラル地方の民話をバジョーフがまとめたもの。表題作「石の花」はプロコフィエフの作曲でバレエにもなっていて有名ですね。私が知ったのも、バレエの方が先でした。でもバレエでは、「山の女王の愛を拒んだため石像に変えられた細工師ダニーロが、許婚カテリーナの深い愛情によって救い出される」という話で、山の女王が悪者になってたと思うんですが、元の話はちょっと違います。石の細工に取り付かれてたダニーロが、山の女王に諭されても聞く耳を持たず、頼み込んで石の花を見せてもらうんですもん。見たら許婚の元に帰れなくなるって知ってたのに。

全部で8編入ってて、どれもおじいさんが昔話を語るという形式。基本的にロシアの銅山での労働者たちの話です。銅や石を掘ったり、石に細工をしたり。彼らの生活はとても苦しいのだけど、山の情景がとても幻想的で素敵だし、作っている細工物は本当に見てみたくなってしまいます。ここで登場する「石」とは、基本的に孔雀石(マラカイト)。不透明の緑色で、縞模様が孔雀の羽を思わせることから、日本では孔雀石と呼ばれる石。古くから岩絵の具や化粧品の原料に使われてきていて、クレオパトラもこのアイシャドーを使ってたという話もあったりします。私自身は、孔雀石ってあまり好きじゃないんですけどね... でも、そのあまり好きじゃないはずの孔雀石が、この作品ではもう本当に素敵なんです。逆に、この本で孔雀石に興味を持った人が、実物を見て「イメージと違ーう!」と思うケースは多いかも...(^^;。

8編中最初の5編には一貫して山の女王が登場するし、人間側も徐々に世代交代して連作短編集みたい。後の3編は少し雰囲気が違うこともあって、私は最初の5編が好きです。山の女王がまたいい人なんですよ。「石の花」のダニーロに対しても、許婚がいるのに石の花なんて見たがってはダメだと言い聞かせてるし、気に入った人間にはその子・孫の代まで色々と世話をやいてあげてますしね。(悪戯好きな部分はなきにしもあらずですが...) ただ、山の女王の世界を人間が一度垣間見てしまうと、人間の世界には存在し得ない美しさにみんな取り付かれてしまうんですね。(岩波少年文庫)

| | commentaire(4) | trackback(1)
Catégories: / / / /

[amazon]
生まれた時から声が大きかったジェルソミーノは、産声は工場のサイレンと間違えられ、小学校に行くようになってからも、教室で答える声で黒板や窓ガラスを壊してしまう始末。そして、声で梨の木から実を落として村中が大騒動になってしまった時、ジェルソミーノは村を出ることを決意します。ジェルソミーノが国境を越えてやって来たのは、パン屋のことを「文房具屋」、文房具屋のことを「パン屋」と呼び、猫はわんわんと吠え、犬はにゃおんと鳴く「うそつき国」でした。

書かれた年代としては、「チポリーノの冒険」(感想)より後の作品なのだそうで、こちらには政治色はそれほど感じられないですね。もちろん風刺はたっぷりあるんですけど、まるで楽しいほら話みたい。というか、まるでケストナーの作品を読んでいるような感じ。
物を壊してしまうほどの声というのは、それほど目新しく感じないのですが、ジェルソミーノが「うそつき国」で猫のゾッピーノや画家のバナニートと仲良くなって繰り広げる冒険は、文句なしに楽しい♪ 悪役・ジャコモーネの末路もなかなか良かったです。
でもワクワクするよう展開の中で、立ちんぼベンベヌートのエピソードだけは切ないんですよね...。イタリア語で「ベンベヌート」といえば、英語の「Welcome」と同じ意味じゃありませんでしたっけ? 人の命を延ばすごとに自分の命を失ってしまう彼に、この名前を持ってきてる意味を考えてしまいます。もしかしたら、綴りが全然違うかもしれないのですが...。(筑摩書房)


+既読のジャンニ・ロダーリ作品の感想+
「猫とともに去りぬ」ロダーリ
「チポリーノの冒険」ジャンニ・ロダーリ
「うそつき国のジェルソミーノ」ジャンニ・ロダーリ
「パパの電話を待ちながら」ジャンニ・ロダーリ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / /

  [amazon] [amazon]
えへへー、指輪物語を再読してしまいました。
先日「ホビットの冒険」を読んだ後、他の本読みつつ、ちまちまと読み進めてたんです。ええと、前回読んだのが2002年なので、4年ぶりということになりますね。(サイトに記録があると、こういう時にほんと便利) 小学生の時に初めて読んで以来、これで何度目の再読になるのかは分からないぐらい読んでるんですが、この本は何度読んでも、いつも幸せな気分になります。もうほんと大好き。好きすぎて、感想を書きたくないぐらい。とは言っても、結局普通に読むだけで、マニアにはなれないんですが。(笑)
あ、箱のセットは「全9巻」になってますけど、10冊目の追補編も必読です。ここまで読んで「指輪物語」は完結。てか、私が最初に買った旧版の文庫は全6冊で、追補編まで全部入ってたので、どうしても抜かしたくないんですよね。...新版は全10冊、旧版は全6冊。差がありすぎるようにも思えますが、訳がどうこういう以前に、字の大きさや紙の厚みが全然違うので。それはもう笑ってしまうほど。
近いうちに、ロード・オブ・ザ・リングのDVDをまた見ようっと。そして「終わらざりし物語」を読もうっと。でも「終わらざりし物語」はハードカバーだから、持ち歩きできないのがツラいなあ。(評論社)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

+既読の指輪物語関連作品の感想+
「トールキン神話の世界」赤井敏夫
「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」W.G.ハモンド/C.スカル
「トールキン指輪物語事典」デヴィッド・デイ
「図説 トールキンの指輪物語世界 神話からファンタジーへ」デイヴィッド・デイ

| | commentaire(6) | trackback(1)
Catégories: / /

 [amazon]
美しい湖水と深い森に囲まれた場所に住む、年を取った人の好い漁師夫婦の家を1人の若い騎士・フントブラントが訪れます。彼は森の向こうの天領の町から、1人で不思議な生物や妖怪が現れると噂の森の様子を探りに来たのです。フントブラントは漁師夫婦の養女・ウンディーネと恋に落ち結婚。しかしウンディーネは魂を持たない水妖でした。フントブラントを愛し愛されることによって魂を得たウンディーネは、フントブラントに自分が水妖であることを打ち明けます。

フーケーは18世紀から19世紀にかけてのドイツのロマン主義作家。この作品は、ドイツではゲーテの「若きウェルテルの悩み」と共に愛読されているという作品なのだそうです。民間伝承に題材をとったという、美しく幻想的で、そしてとても悲しい物語。
読んでいて一番目を引いたのは、魂を持っていなかったウンディーネの、魂を得てからの変わりよう。まるで別人。魂がない頃のウンディーネって、楽しいことにしか興味を持たない、軽くて気まぐれでとてもお行儀の悪い子だったんですよね。でも、魂が近づいてくるにつれて「居ても立ってもいられないような心配や悲しみが影のように覆いかぶさって来る」と感じ、「魂」を得た後はすっかりお淑やかな娘になってしまいます。もしフントブラントに一生みじめな思いをさせられたとしても、魂を得させてもらえたことを有難く思うだろうと言っているほど。ここに登場する「魂」って、日本人にとっての「魂」とはまた別物のような気がして、ちょっと違和感があるのだけど...。「魂」というより、むしろ「愛」ではないのかなあ。(キリスト教だから、「信仰」もかも) そういえばロード・ダンセイニの「妖精族のむすめ」も、魂を得て人間になる妖精の話なんですが、何かを欲しいと願うこと自体、何かを感じること自体、魂を持ってるからこその心の動きのような気がするんですよねえ... うーん、魂って何なんだろう? 
ウンディーネの叔父の水の精・キューレボルンは魂を持っていないので、愛の幸せのために涙を流すウンディーネを理解することができないし、ウンディーネの言う「愛の喜びと愛の悲しみは、たがいによく似た優しい姿の、親しい姉妹の仲であって...」という言葉は理解の外。

この作品は、その後フランスの作家・ジャン・ジロドゥーによって「オンディーヌ」という三幕の戯曲にもなってます。どうやら、そちらの方が過程に説得力がありそうなので、そちらも読んでみたいです。でもこの「水妖記」も、確かに解説にもある通り、もっと切ない物語にすることもできたんでしょうけど、これはこれで完成されていると思いますね。あと、アーサー・ラッカムが挿絵を描いた単行本もあるみたいなので、見てみたいなあ。現在品切れのようですが、コチラ。(岩波文庫)


+関連作品の感想+
「水妖記(ウンディーネ)」フーケー
「シンデレラ」「不思議の国のアリス」「ウンディーネ」「リップ・ヴァン・ウィンクル」「ピーター・パン」アーサー・ラッカム
「オンディーヌ」ジロドゥ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / /

[amazon]
善政ではあっても新しい変化のない世の中に倦んだアールの郷の人々は、国主に「魔を行う国主さまに治めていただきたい」と申し出ます。国主は了承。早速長男・アルヴェリックを呼び、エルフランドに行くことを命じます。魔の家系の王女、エルフランドの王の娘と結婚しろというのです。

ほお~~っ、美しいです。重厚な美しさを描き出すダンセイニの作品の中でも、特に美しい作品ですね。幽玄な美しさというか何というか、もううっとりしてしまうー。特に印象に残ったのは、魔女が落雷を掘り出して剣を作る場面、アルヴェリックが黄昏の国境いからエルフランドへと踏み出す場面、そして何といっても、「時」がなく永遠の静謐の中にまどろんでいるエルフランドの描写。このエルフランドの描写がすごいんです。今まで色々な「妖精の国」の物語を読んできましたけど、これほどまでに静かな存在感がある場所は、初めてだったかも。エルフランドの場面、エルフランドの王女が登場する場面は特に、読んでいる間中ずっと歌が聞こえてくるような気がしていました。それだけに、エルフランド王の怒り、その静かな恐ろしさが際立つような気がします。終盤はとても物悲しいんですけどね。読んでるうちに、なんだかエルフランドにのみこまれてしまったみたいです。 圧倒的な作品でした。(沖積舎)


+既読のロード・ダンセイニ作品の感想+
「ぺガーナの神々」ロード・ダンセイニ
「魔法使いの弟子」ロード・ダンセイニ
「魔法の国の旅人」ロード・ダンセイニ
「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」ロード・ダンセイニ
「妖精族のむすめ」ロード・ダンセイニ
「エルフランドの王女」ロード・ダンセイニ
「影の谷物語」ロード・ダンセイニ
「時と神々の物語」「最後の夢の物語」ロード・ダンセイニ
「ダンセイニ戯曲集」ロード・ダンセイニ
「牧神の祝福」ロード・ダンセイニ

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: / / / / /

[amazon] [amazon]
「金の鍵」(岩波少年文庫) ... 「魔法の酒」「妖精の国」「金の鍵」の3編収録
「黄金の鍵」(ちくま文庫) ... 「巨人の心臓」「かるい姫」「黄金の鍵」「招幸酒」の4編収録
ジョージ・マクドナルドの作品は、様々な邦題で訳されているので分かりにくいのですが、「金の鍵」と「黄金の鍵」、「魔法の酒」と「招幸酒」はそれぞれ同じ物語です。

ジョージ・マクドナルドはルイス・キャロルと同時代に活躍し、トールキンやルイスに大きな影響を与えたという作家。スコットランド色の濃い「魔法の酒」(「招幸酒」)もとても面白くて好みなんですが、やっぱりこの中で一番素敵なのは、表題作の「金の鍵」(「黄金の鍵」)でした。
これは、虹のたもとで金の鍵を見つけた少年と、2人の召使にいじめられていた少女が、「おばあさま」の家で出会い、金の鍵の合う鍵穴を探しに行く旅に出る物語です。マクドナルドらしく、とても美しくて幻想的。そしてとても象徴的なのです。「おばあさま」や魚には、どのような意味が隠されているのか、2人が旅の途中で出会う、「海の老人」「大地の老人」「火の老人」とは。「老人」と言いつつ、その見かけは老人ではなかったりするし、特に「火の老人」の1人遊びが気になります。そして2人が最終的にたどり着く、「影たちがやってくる源の国」とは。どれもはっきりとは書かれていなくて、読者が想像するしかないのですが...。井辻朱美さんの「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」の下巻の情景は、もしかしたらこの旅の情景に影響を受けているのかも。なんて思ったりしました。そしてここに登場する「おばあさま」は、「お姫さまとゴブリンの物語」や「お姫さまとカーディの物語」(感想)に登場する「おばあさま」と同じ人物なのかしら? マクドナルドの作品全体を通して、「おばあさま」がとても重要な役割を担っているようです。(岩波少年文庫・ちくま文庫)


+既読のジョージ・マクドナルド作品の感想+
「お姫さまとゴブリンの物語」「カーディとお姫さまの物語」マクドナルド
「北風のうしろの国」ジョージ・マクドナルド
「かるいお姫さま」マクドナルド
「ファンタステス」ジョージ・マクドナルド
「金の鍵」「黄金の鍵」ジョージ・マクドナルド
「きえてしまった王女」「かげの国」ジョージ・マクドナルド

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: / / / /

[amazon]
チポリーノは貧しいタマネギの少年。ある時、国の総督であるレモン大公がチポリーノたちの住む木造バラックの辺りを通ることになり、沿道に出ていたチポリーノの父・チポローネは、後ろの群集たちに押されてレモン大公の足をひどく踏みつけてしまいます。チポローネは即刻ちびレモン兵たちに逮捕され、終身刑を言い渡されることに。父親に面会に行ったチポリーノは、世間に出て勉強しろという父親の言葉に、チポッラおじさんに母と弟たちのことを頼むと、1人旅に出ることに。

チポリーノはたまねぎですし、ブドウ親方、レモン大公、トマト騎士、エンドウ豆弁護士、イチ子やサクラン坊やなど、野菜や果物が中心となった物語。児童書ですが、実は政治色が強いんですよね。「冒険」という名目で、レモン大公の独裁政治に革命を起こし、共和制の世の中に変わる様子を描いてるんですから。でも、子供の頃もそういうことは薄々感じていましたが、楽しく読んでましたし、大人になった今読み返しても、やっぱり楽しかったです。ロシア語の訳書からとったというB・スチェエーヴァの挿絵も、相変わらず可愛い~。
それにしても、ロシアでチポリーノの歌が作られたというのは覚えていましたが、それを作ったのが「森は生きている」のマルシャークだったとは...! びっくり。そうだったのか。いや、色々ありそうですね。(岩波少年文庫)


+既読のジャンニ・ロダーリ作品の感想+
「猫とともに去りぬ」ロダーリ
「チポリーノの冒険」ジャンニ・ロダーリ
「うそつき国のジェルソミーノ」ジャンニ・ロダーリ
「パパの電話を待ちながら」ジャンニ・ロダーリ

| | commentaire(0) | trackback(0)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.