Catégories:“ゲルマン・北欧”

Catégories: /

  [amazon] [amazon]
先日「アイスランドサガ」に入っている「ヴォルスンガサガ」を読んだところなので、この2冊が目についたのは、私の中ではとってもタイムリー。ジークフリート伝説に関しては「エッダ」(感想)「ヴォルスンガサガ」(感想)「ニーベルンゲンの歌」(感想)「ニーベルングの指環」(感想)と読んできたわけなんですが、その4つの作品、大きな流れは同じでも、細かい部分ではかなりの相違点があるんです。ジークフリートの設定からして、孤児だったり王子だったりと様々。この4作の中ではワーグナーの「ニーベルングの指環」だけ成立年代がかなり離れているし、これに関してはワーグナーの創作ということで構わないんですが... 他のものに関しては、どれが原型がどんな風に変化していったのかとか全然知らなかったんですよね。でもこの2冊を読んですごーくよく分かりましたよ。「ニーベルングの歌」の前半と後半ではクリエムヒルトとハゲネの造形があまりに違うのも以前から気になってたんですが、そのわけも分かりました。そもそも「ブリュンヒルト伝説」と「ブルグンド伝説」という2つの伝説があって、それが合わさって前編と後編となってたんですね。2つの違う伝説が合体させられてしまったのなら、雰囲気が変わってしまったわけもよく分かります。しかも「ティードレクス・サガ」だなんて、まだ私が読んでないシグルズ伝説のサガがあったようで!
この本を読むと、元となったジークフリート絡みの伝説やその内容、その伝説が広がって変化していき、「ニーベルンゲンの歌」ができ、他の作品ができていく様子がよく分かります。そしてそれらを土台にして書かれることになった沢山の戯曲のことも。
2冊続けて読んでしまって、しかもすぐに感想を書かなかったので、どちらがどうだったか分からなくなってしまったんですけど... 重複してる箇所も結構ありますしね。でも全体的には「『ニーベルンゲンの歌』を読む」の方が良かったかな。「ジークフリート伝説」には北欧のエッダやサガが取り上げられているところが、私にとってはポイントが高かったんですが、「『ニーベルンゲンの歌』を読む」の方が、「ニーベルンゲンの歌」や「ニーベルングの指環」について詳細なんです。作品の構造や解釈について色々と新しい発見があったし、より理解が深まったような気がします。(講談社学術文庫)


旧ブログのゲルマン・北欧神話関連作品の感想はコチラ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

[amazon]
アイスランドの人々の歴史な出来事や英雄を伝える散文物語・サガ。数あるサガの中から「エギルのサガ」「グレティルのサガ」「ラックサー谷の人びとのサガ」「エイルの人びとのサガ」「ヴォルスンガサガ」「ニャールのサガ」という、五大サガ+1(ヴォルスンガサガ)を完訳したもの。

ああー、長かった。じゃなくて(笑)、読み応えのある本でした。なんせ862ページ2段組み! 市外の図書館から取り寄せてもらったんですけど、こんなに分厚い本とは知らなかったので、届いた時ちょっと引きましたよ。京極本レベルですね。しかも現代作家さんの、導入部から徐々に盛り上がってクライマックスへ、そして終幕、といったよく整理された話じゃないし、人名がものすごく沢山出てくるので覚えられなくて大変... こういうのを読んでると、今どきの小説、特にジェットコースター的なものが恋しくなります。(笑)

この5つのサガの中で1つだけ異色なのは、やはり「ヴォルスンガサガ」。これは1260年頃の作品だそうで。「エッダ」(感想)に収められているシグルズ伝説と基本的に同じもの。要するに「ニーベルンゲンの歌」(感想)とも同じ。そしてワーグナーの「ニーベルングの指環」(感想)とも。というか、ワーグナーはこちらの作品を元にしてあのオペラを作り上げたらしいです。現存する「エッダ」には欠落している部分があるんですが、それが失われる前のエッダから作り上げられているので、逆にエッダの欠落を埋めてくれるという貴重な作品でもあるのだとか。
そしてあとの5つのサガはハロルド美髪王がノルウェーを統一しつつある頃から、その子や孫が王となる時代の話。こちらはアイスランドに植民した人々の話なので、「ヴォルスンガサガ」に比べるともっと現実感のある作品です。「グレティルのサガ」はちょっと違うんですけど、他の4つは登場人物も起きる出来事も共通してたりするので、全部読むと特定の出来事の裏事情が分かるような場面もあります。でもね、とにかく登場人物が多いし、今どきの小説みたいに整理されてるわけじゃないので、読むのがほんと大変で... 主人公の一生を描くにしても、その誕生から死までではなくて、その祖父母の時代辺りから話が始まるんですもん。面白いのは確かなんですけどね。特に「ラックサー谷の人びとのサガ」で結果的に4人の夫を持つことになったグズルーンの話なんて面白かったなあ。
でもやっぱり好みからいえば、「ヴォルスンガサガ」が一番かな。普通のアイスランドサガは、私の好みからすると現実味がありすぎて... もうちょっと神話の世界に近い方が好きなのです。(新潮社)


旧ブログのゲルマン・北欧神話関連作品の感想はコチラ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

[amazon]
題名の通り、「エッダ」と「サガ」の2章に分かれています。「エッダ」の章で取り上げられているのは、神話と、「鍛冶屋ヴォルンド」「フンディング殺しのヘルギ」「シグルス」というエッダに収められている3編の英雄伝説。「サガ」の方には、「宗教的学問的サガ」「王のサガ」「アイスランド人のサガ」「伝説的サガ」の4つの分類で、文学的な価値の高い20数編のサガが紹介されています。

エッダは北ゲルマン人の間に伝えられた韻文の歌謡形式による神話と英雄伝説。とても分かりやすくまとめられてるんですけど、エッダに関しては、同じく谷口幸男氏による「エッダ 北欧歌謡集」という完訳本を持ってるので、あんまり意味がなかったかも... というより、本当はこっちを先に読んでおくべきだったのかな。まあエッダは好きなので、何度読んでもいいんですが♪ 
一方サガは、アイスランド人の12~13世紀頃からの歴史的な出来事を描いた散文物語。英雄伝説はもちろん、ノルウェーからアイスランドへの植民のこと、アイスランド定住後の生活ぶり、ヴァイキングとしての略奪行為、首長たちの争い、アイスランドにどんな風にキリスト教が伝わり広がっていったかなどが書かれていて、歴史的な資料ともなるものなんです。もちろんサガに書かれていることは脚色もされてるし、事実そのままというわけではないんですけどね。サガに関しては、色々読んでみたいと思いつつ「アイスランド・サガ スールの子ギースリの物語」(感想)、「エッダ・グレティルのサガ」(感想)ぐらいしか読めてないので、知らないのがいっぱい。本の数自体元々少ないし、しかも絶版になってるのも多いし... それがここで20編以上紹介されてるだなんて、それだけでもこの本を読んだ甲斐があったというものです。
この本に載ってるエッダもサガも、本文そのものの訳ではなくて谷口氏がまとめた梗概だけ。でも逆に基本的なことがとても分かりやすくまとまっているので、北欧神話に初めて触れようとする人にはすごくいいかもしれません~。(新潮選書)


旧ブログのゲルマン・北欧神話関連作品の感想はコチラ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / /

  [amazon] [amazon]
ラング世界童話集が復刊になって喜んだのもつかの間、東京創元社から刊行された本は新訳になっていてがっかりしたという方も多いはず。私も昔の川端康成訳はすごく好きだったので、新訳になってしまったことを残念に思った1人です。とはいえ、子供の頃に愛読していた偕成社文庫版をそれほど鮮明に覚えているわけでもなく... だから東京創元社版を読んでも「ここが違う!」とは言えない状態。全12巻のうち半分ぐらいは今でも持ってるんですけど、手元には置いてないので、おいそれと比べてみるわけにもいかなくて。
読み比べてみたいなあと思いつつもそのままになってたんですが、ふと気がついたら、偕成社からも改訂版が出てるじゃないですか! 「みどりいろ」と「ばらいろ」が今年の6月に刊行されてました。しかも巻末には他の10冊のリストも載っていたので、これから順次刊行されることになるんでしょう。なんとなんとびっくりです。

実際に読んでみて分かったのは、現在新たに東京創元社から刊行中の本の方が原書に近いということ。
原書ではBlue、Red、Green、Yellow、Pink、Grey、Crimson、Brown、Orange、Olive、Lilacの順に刊行されていて、その最初の「The Blue Fairy Book」にはラングが子供たちにぜひ読んで欲しいと思った主要な物語が、2冊目の「Red」には「それほど有名ではないけれどよいお話」が収められてるんです。そして巻が進むにつれて、徐々に物語の採取範囲が広がっていきます。それにつれて巻ごとの趣きも少しずつ変化したりして。
それに対して、日本で最初に刊行されたのは今と同じく東京創元社からで1958~59年のこと。(ややこしいので当時の版を旧版、今刊行中の版を新版と書きますね)「みどりいろ」「ばらいろ」「そらいろ」「きいろ」「くさいろ」「ちゃいろ」「ねずみいろ」「あかいろ」「みずいろ」「むらさきいろ」「さくらいろ」「くじゃくいろ」の12色で、色の名前も微妙に対応してないんですけど(笑)、収録されてるお話も実は全然対応してません。原書の全438編の中から、日本にまだそれほど知られていないものを中心に165編の物語が選ばれて、12冊に満遍なく振り分けられたのだそう。
だけど東京創元社新版は、色の名前も作品もちゃんと対応しているんです。訳出されている物語は、増えてるとはいえ原書の半分ほどしかないんですが。(それでも十分分厚い本なんだけど)
そうか、だから巻ごとの雰囲気が違うのか... 単純に「みどりいろ」同士を読み比べるなんてことはできないんですね。

ちなみに東京創元社旧版の次はポプラ社から刊行されて、「ちゃいろ」「みずいろ」「むらさきいろ」「さくらいろ」「くじゃくいろ」の代わりに「きんいろ」「ぎんいろ」「あかねいろ」「こはくいろ」「みかんいろ」「すみれいろ」「ふじいろ」「とびいろ」が加わった全15色で刊行。その後偕成社文庫旧版(私が読んでいたのはコレ)が出るようになった時は、東京創元社旧版と同じ12色で刊行されてます。(訳は全て同じはず)

今刊行されている2つの版を比べると、東京創元社新版の方が表紙や挿絵は断然好き。原書にも使われていたというラファエル前派的な挿絵が素敵ですしね。偕成社文庫版のはいかにも児童書っぽいんです。まあ本が立派な分、東京創元社新版は値段が高いんですが... 偕成社文庫版840円に比べて、東京創元社新版は1995円。文章を比べると、偕成社文庫は字が大きくて平仮名が多いのに比べて、東京創元新社は硬くて大人向きという感じ。でもこの辺りのことは、もう少し読み進めてから。同じ話を読み比べてみたいんですけど、今はまだないみたいですしね。(あるのかもしれないんですが、よく分からなかったので)(偕成社文庫)


+シリーズ既刊の感想+(偕成社文庫版)
「みどりいろの童話集」「ばらいろの童話集」アンドルー・ラング

+シリーズ既刊の感想+(東京創元社版)
「あおいろの童話集」「あかいろの童話集」アンドルー・ラング編
「みどりいろの童話集」アンドルー・ラング編
「きいろの童話集」アンドルー・ラング編

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / / /

 [amazon]
「あおいろの童話集」「あおいろの童話集」「みどりいろの童話集」に続く第4巻。
北欧系の話の多かった「あおいろ」「あかいろ」に比べて、フランス系の話が多かった「みどりいろ」はなぜかあまり楽しめなかったんですが、今回の「きいろ」は東欧やロシアの話が結構入っていて、また十分楽しめました。
東欧の童話というのはあまり知らないんですけど、ロシアと合わせてスラブ系ということになるのでしょうか。ロシアの民話は、子供の頃から大好きなんですよね。「イワンのばか」とか「せむしの小馬」とか「火の鳥」とか。あ、でも以前スーザン・プライスの「ゴースト・ドラム」を読んだ時に、ババ・ヤガーというスラブ民話の魔女が出てきたんですけど、この作品を読むまで全然知らなかったんですよね。まだまだ知らない話がいっぱいありそうだし、東欧の話も併せてもっと色々読みたいなあ。あとスラブ系の神話もほとんど知らない... これもぜひとも読んでみたいな。(東京創元社)


+シリーズ既刊の感想+(東京創元社版)
「あおいろの童話集」「あかいろの童話集」アンドルー・ラング編
「みどりいろの童話集」アンドルー・ラング編
「きいろの童話集」アンドルー・ラング編

+シリーズ既刊の感想+(偕成社文庫版)
「みどりいろの童話集」「ばらいろの童話集」アンドルー・ラング

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
久々の北欧物です。アイスランド・サガ。
アイスランド・サガとは、アイスランドに広く語り継がれてきた散文の物語のこと。「サガ」とはまさに、「語られたもの」を意味する言葉なのだそうです。キリスト教が広まった12~13世紀頃に同時に文字で書くということも伝わって、それまで口伝で語り継がれてきた物語が古北欧語で書き残されるようになり、そのうちでもある程度の長さをもつ文学作品が「サガ」と呼ばれるようになったのだそう。同じくこの地方の「エッダ」が神話や英雄伝説を集めているのとは対照的に、サガではどうやら基本的に全くの架空の出来事が扱われることはなかったようですね。、歴史的・社会的な出来事を脚色するというケースがほとんどだったみたいです。
そしてこの「スールの子ギースリの物語」のギースリも、10世紀に実在した人物。ノルウェーで騒ぎを起こしてアイスランドに植民し、964年に再び殺人のかどで追放刑に。その後10年以上生き延びて、最後に殺されるまでの物語となっています。...なんて書くと、まるで極悪非道な犯人の逃亡録みたいなんですけど(笑)、全然そんなことありません。そもそも追放刑にされちゃう原因となった殺人は、義兄弟の敵討ちなんですから! 私がこれを読んでいて思い出したのは、「判官贔屓」という言葉でした。ギースリって、なんだかまるで源義経みたいですよぅ。1人の英雄が、なす術もなく運命に弄ばれ滅びていく... そしてその「滅び」に美学があるといった感じ。ヴァイキングといえば血生臭いイメージがあるし、実際この作品の中でも血生臭い争いの場面が多いんですけど、思いがけないほど強い哀切感が漂っているのにはびっくり。
サガも色々読んでみたいのだけど、なかなか本がないんですよね。とにかく絶版が多くて。その中でも特に読みたいのは、谷口幸男さんの「アイスランドサガ」なんですけど、これも絶版だし、市内の図書館にはないし、アマゾンの中古もすごい値段がついているのでなかなか... あ、今「アイスランドサガ 中篇集」なんて本を見つけたんだけど、これはどうなのかな? でもこれも図書館にはないのよねえ...。(三省堂)


旧ブログのゲルマン・北欧神話関連作品の感想はコチラ

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / / /

  [amazon] [amazon]
ラング世界童話集が復刊し始めました!
これはヴィクトリア女王時代に、アンドルー・ラングが世界各地の伝承文学からよりすぐりの作品を子供たちに提供しようと編纂した古典童話集。子供の頃に好きだったんです~。最初に日本語訳を出したのは東京創元社で、これがなんと1958年のこと。その後いくつかの出版社から出されたようで、私が持ってるのは偕成社版。全12巻のうち6~7冊持ってて、未だに祖母の家に置いてるんですが、大人になってから「川端康成訳」に気づいてびっくりだったし、そもそもこういう童話集は大好きなのに、なんで子供の頃に全部買ってもらっておかなかったんだろう!と、後から随分後悔したものです。今からでも欲しいな、なんて思ったりもしたんですけど、気がついたらアマゾンの中古で1冊1万円以上の高値がついてたりして、すっかり諦めてたんですよね。そしたら今年東京創元社から復刊されることになって! これから隔月1巻ずつ刊行されるんですって。嬉しい~。
私が持ってるのはソフトカバーで、しかもその上にぺらっとしたカバーも何もない簡易バージョンで、値段も相当安かったみたいなんですけど(笑)、今回復刊された本を見てびっくり。全然違ーう。表紙の色はタイトルに合わせてあるし、本国のオリジナル版についていたというヘンリー・J・フォードによる絵が使われていて、とても素敵です。

そして久々に読んでみて。いやあ、懐かしい。北欧の伝承童話集「太陽の東 月の西」でお馴染みの話が予想以上にいっぱい入っていてびっくりです。あと多かったのは、オーノワ夫人。このオーノワ夫人についてはあまりよく知らないんですけど、17世紀末のフランスの女流作家。オリジナルの童話を創作していたのか、それとも採取していたのかは不明ですが... どちらかといえば、オリジナルっぽい雰囲気かな。
子供の頃は原典なんて気にせず読んでたし、既に知ってる話も当然のように普通に読んでたんですけど、今改めてそういうのを意識しながら読み返してみると、面白いものですね。この童話集の最初の日本版が刊行された時、日本で手にしやすい作品や日本の昔話を除外して、改めて12冊に編み直されたのだそう。この2冊の巻末を見てみるとグリム童話が全部省かれてて、それもまた私には良かったのかも。いや、グリムもいいんですけどね。でもグリムよりも北欧系の方が好きだったし。
隔月1巻ずつの復刊で、来月には「みどりいろ」が刊行されます。楽しみ~。これを機会に全部読もうっと♪(東京創元社)


+シリーズ既刊の感想+(東京創元社版)
「あおいろの童話集」「あかいろの童話集」アンドルー・ラング編
「みどりいろの童話集」アンドルー・ラング編
「きいろの童話集」アンドルー・ラング編

+シリーズ既刊の感想+(偕成社文庫版)
「みどりいろの童話集」「ばらいろの童話集」アンドルー・ラング

| | commentaire(8) | trackback(0)

Note

Copyright 2008 四季
All rights reserved


購読する ATOM


Powerd by MovableType4.1