Catégories:“ハヤカワepi文庫”

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「悪童日記」(感想)に始まる3部作の、2作目と3作目。早速買ってきて読んだんですが... いやあ、もうびっくり。もうすっかり振り回されてしまいました。でも、色々書きたいことはあるんですけど、下手なことを書いたらネタバレになりかねないので、ここにはあまり書けそうにないです... それでも今度の2冊は「悪童日記」とは、また雰囲気がまるで違っていて驚かされたし、途中何度「これまで読んできたものは一体...?!」となったことか。全部読み終えてみると、「悪童日記」の「ぼくら」が痛々しすぎる...。好き嫌い度で言えば「悪童日記」がダントツで好きなんですが、この2作も面白かったです。
「悪童日記」は独立して読める作品だし、これ1冊だけで満足するというのもアリだと思うんですが、「二人の証拠」を読む時は、続けて「第三の嘘」が読めるように手元に用意しておくことをオススメします。「悪童日記」1冊だけ読んで終わりにするか、もしくは3冊全部読むかどちらかしかないですよ、これは。「二人の証拠」を読んで「第三の証拠」を読まないというのはありえないー!(ハヤカワepi文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「悪童日記」アゴタ・クリストフ
「ふたりの証拠」「第三の証拠」アゴタ・クリストフ

+既読のアゴタ・クリストフ作品の感想+
「昨日」アゴタ・クリストフ
「文盲 アゴタ・クリストフ自伝」アゴタ・クリストフ
「どちらでもいい」アゴタ・クリストフ

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崖に沿った小道を歩いていた精神科医・ジャックモールは、白い家から叫び声がするのを聞き、急いでその家の中へ。そこには出産を間近に控えたクレマンチーヌが、陣痛に苦しんでいました。出産の手助けをするジャックモール。出産は無事済んで、3人の男の子が生まれます。そしてジャックモールはそのままその家に留まることに。

ジャックモールは生まれた時から成人であり、精神分析医。生まれたのはこの前年で、身分証明書には、名前の横に《精神科医。空(から)。満たすべし》と印刷されています。思い出も過去も持たない空っぽの彼が、人々の願望や欲望で自分を満たそうとするんですが...
この村自体は、とても変わった場所なんですよね。老人市では老人たちが競に掛けられているし、家具屋では小僧を虐待。死んだ小僧はあっさりと川に流されてます。そしてそういった行動をする村人たちの「恥」は、赤い水が流れる小川で「ラ・グロイール」と呼ばれる男が全て拾い上げています。恥を知る心配はいらない村人たちにとって、教会は魂の安らぎを得る場所ではなく、物質的な恵みを求める場所。
ジャックモールがここに来てから、カレンダーも狂ってしまったようですし、何かが微妙にずれ続けていきます。それが、出産した時は息子たちを厄介なものとしか思っていなかったクレマンチーヌの、息子が何か危険な目な遭うんじゃないかという強迫観念を募らせていくのと重なって、もうどんどん捩れていっちゃう。そして読んでるうちにその捩れにすっかり巻き込まれてしまうんだけど、こういうのって理屈抜きに物凄く好きです。先日読んだ「日々の泡」(感想)以上に妙な話だし、こうやって書いてても状況説明をしてるだけで終わっちゃってるんですけど、ものすごく吸引力があって一旦読み始めたら止まりませんでした。
本国では1953年に発表された作品。50年前に書かれたとは思えないほど、現代的、今日的な作品です。ボリス・ヴィアンってつくづく凄い人だったんだなあ。この人の作品と出会えて良かった! またそのうち他の作品を読んでみようと思います。(ハヤカワepi文庫)


+既読のボリス・ヴィアン作品の感想+
「日々の泡」ボリス・ヴィアン
「心臓抜き」ボリス・ヴィアン
「アンダンの騒乱」「ヴェルコカンとプランクトン」ボリス・ヴィアン

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第二次世界大戦末期。「大きな町」からおかあさんに連れられて「小さな町」にやって来た双子の「ぼくら」は、おばあちゃんに預けられることに。「大きな町」は昼も夜も襲撃を受けて、もう食糧も手に入らないのです。近隣の人々に「魔女」と呼ばれるおばあちゃんは粗野で吝嗇。働かなければ食べ物はもらえません。はじめはおばあちゃんに従うことを拒否する「ぼくら」ですが、1人で黙々と働くおばあちゃんを見るうちに、働くことを決意します。

立て続けにファンタジーを読んでいたので、今度は全然違う作品を。とは言ってもまだまだ翻訳物が続きます。これは随分前にもろりんさんにオススメされていた作品。字が大きすぎてツライ~と敬遠していたハヤカワepi文庫なんですが、気がついたらすっかりのめりこんでしまいました。解説によると、「大きな町」とはおそらくハンガリーのブタペストであり、「小さな町」は、ハンガリーのオーストリア国境近くに存在する小さな町。双子の少年の日々が、日記風に綴られていく作品です。

まず、少年たちの冷静なまなざしと淡々とした語り口がとても印象に残る作品。と思ったら、これは彼らの作文の練習によるものだったんですね。生き抜くために、「練習」と称して自分たち自身を鍛え上げようとする少年たち。祖母や他の人々から受ける暴力や罵詈雑言に耐えるためには、「体を鍛える練習」と「精神を鍛える練習」。お互いに殴り合いをしたり罵詈雑言を浴びせて、痛みを感じなくなることを覚えます。様々な状態を知るためには、「乞食の練習」と「盲と聾の練習」。時には断食をしてみることも。そして普通の勉強もします。正書法、作文、読本、暗算、算数、記憶の学習には、父親の辞書と祖母の聖書を利用。しかしそれらは全て彼らにとっては生きていくための方策を学ぶ手段。彼らは自分たちの哲学に従って行動しているだけで、たとえ聖書を暗記するほど読んではいても、信じているわけではありませんし、お祈りもしません。
2人の作文のただ1つのルールは、「真実でなければならない」。極力感情を排除して、客観的に冷静に事実のみを書いていくんですが、この作品はそんな2人の作文そのままの作品。でも感情を排除することによって、逆に静かで圧倒的な迫力が出るんですね。強制収容やナチスドイツによるユダヤ人虐殺などの事実が、まるで浮かび上がってくるようです。ごくごく簡潔な文章なのに、雄弁な文章よりも余程ずっしりと響いてきます。戦争を扱った作品は多いですが、こういう作品は初めて。もうびっくり。私は基本的に戦争物は苦手なんですが、これは本当に良かったです! こんな凄い作品だったとは、もっと早く読めば良かったわー。読み終わった途端、また最初から読み返してしまいました。続編だという「ふたりの証拠」「第三の嘘」も、早く買ってこなくては!

それにしても、ハヤカワepi文庫のラインナップいいですねえ。今手元にあるのは、ボリス・ヴィアンの「心臓抜き」だけなんですが、他の作品も俄然読みたくなってきました。大人買いしてしまいそう。(笑) (ハヤカワepi文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「悪童日記」アゴタ・クリストフ
「ふたりの証拠」「第三の証拠」アゴタ・クリストフ

+既読のアゴタ・クリストフ作品の感想+
「昨日」アゴタ・クリストフ
「文盲 アゴタ・クリストフ自伝」アゴタ・クリストフ
「どちらでもいい」アゴタ・クリストフ

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