Catégories:“岩波少年文庫”

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砂漠を横切って進んでいた大きな隊商(キャラバン)のの先頭に突然現れたのは、トラの皮をかけた美しくアラビア馬に乗り、見事ないでたちをした堂々とした風采の男。男の名前はゼリム・バルフ。メッカへの旅の途中で泥棒の一団に掴まっていたのを、3日前にこっそり逃げ出してきたので、隊商の一行に加えて欲しいのだと語ります。隊商の5人の商人たちは快く彼を迎え入れることに。そして食後の退屈しのぎに1人ずつ何かの物語をすることになります。

隊商の商人たちの語る6つの物語。子供の頃の私の本棚に分厚い「ハウフ童話集」が入っていたので、部分的には既読です。でも千一夜物語は大好きだったし、こういう雰囲気は本来大好物なはずなのに、なぜかこの「ハウフ童話集」だけはどうしても通読できなかったんですよねえ。その後も何度かこの本を図書館から借りてきたことがあるんですが(だってこっちの方が薄いんだもの)、その時もどうも読めず... なぜなんでしょう。
ということで、このたびようやく通読できました。(ぱちぱち) そのハウフの本で読んでたお話もあれば、先日も「べにいろの童話集」で登場したお話もあり(この話は有名なので、色んな童話本に入ってます)、あまり新鮮味はなかったんですが、これはあくまでも枠物語なので、全体を通して読むことに意義があるという感じですね。いやあ、ようやく全部通して読めて良かったです。部分的に知ってるということで、実は最後のとこまで知ってたんですけどね。あー、良かった良かった、ほっとしました。またいずれ、大元のハウフ童話集に挑戦したいと思います。(岩波少年文庫)

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とある山村に住んでいたおばあさん。3人の子供たちは既に独立しており、おばあさんはばあやと2人で小さな家に何不自由なく暮らしていました。おばあさんにとって村人たちはみな兄弟姉妹であり、村人たちにとっておばあさんは、お母さんであり相談相手。全然寂しくなどなかったのです。ところがそんなある日、ウィーンにいる娘から手紙が舞い込みます。それは、娘の夫が仕える公爵夫人の領地に一家で移ることになったので、ぜひ一緒に住んでくれないかというもの。おばあさんは迷った挙句、結局そこに移ることを決意します。

amazonのリンク先は岩波文庫ですが、私が読んだのは岩波少年文庫版。岩波少年文庫版、amazonにはないんですー。1956年出版という本だから無理もないですが。岩波文庫版も1971年なので、いずれにせよ古いですね。岩波文庫では作者名がニェムツォヴァー。同じ方が訳してらっしゃるので、きっと中身は同じだと思いますが。

あとがきによると、ニェムツォヴァーはチェコの近代小説の基礎を作ったと言われる作家。この「おばあさん」はチェコでは最も愛読されている作品で、チェコ人でこの本を知らない人はいないとまで言われるほどの作品なんだそうです。という私がこの本を知ったのは、45回目のたら本「ご老体本。」のkyokyomさんの記事から。カフカやカレル・チャペックにも影響を与えたらしい、なんて聞いたら読まずにはいられませんとも! でも実際に読んだ感触としては、むしろ思い出したのはシュティフター。この淡々とした語り口、淡々と流れていく日常。調べてみると同時代の人だし! しかもシュティフターはオーストリアの作家だと思ってたんですけど、どうやら生まれはチェコみたい。そうなんだ!(その頃のチェコはオーストリアの属国だったんですね)

そしてこの作品は、ニェムツォヴァーが本当に自分のおばあさんのことを書いた作品なんだそうです。細かい部分は色々と変えられてるし、おばあさん像も実際よりもさらに理想化されているようですが♪
嫁いだ娘の家に住むようになり、忙しい娘に代わって家の中をやりくりするようになるおばあさん。孫たちには自分の若い頃の話や沢山の物語を語って聞かせ、孫たちはその物語の中から自然と人間として生きていく上で大切なことを学んでいくんですね。特別なことが書かれているのではなくて、ごく平凡な日々の描写の方が断然多いです。チェコの農村風景がまた良くて~。でも一番印象に残ったのは、戦争中におばあさんが夫を失った後の話。プロシア王に留まることを勧められ、子供たちに立派な教育を約束されながらも、おばあさんは故郷に帰ることを選ぶんです。そして本当に苦労して故郷に帰るんですけど、それは子供たちがチェコ語を失わないようにするため。...たとえばアゴタ・クリストフの作品を読んでいても、母国語というのはとてもポイントとなる部分ですよね。一度ヨーロッパが戦乱の渦に巻き込まれたら、いつ国も言葉も失ってしまうか分からないんですものね...。そして先日読んだ「カモ少年の謎のペンフレンド」のお母さんのように、10ヶ国語を操るようになったりするわけで。この辺りは、いくら日本人の私が分かったつもりになってても、本当に実感として感じるのは難しい部分なんでしょうけれど。

あー、なんだか無性にシュティフターが読みたくなってきた! シュティフターは3冊か4冊読んだんだけど、あと何冊あるんだろう? 全部読みたい! シュティフターの作品はそれこそ普通の人々の普通の日々の話ばかりなので、その時代にはつまらないと評判悪かったそうですが~。自然描写が本当に美しくて、大好きなんです。(岩波少年文庫)

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都会の暮らしにはあまり都合の良くない目をしたマルコヴァルドさん。人々の目を引くために工夫された看板や信号機、ネオンサインや広告のチラシは目に入らず、逆に枝に1枚残った黄色い葉や屋根瓦にひっかかっている鳥の羽のような光景は決して逃さないのです。そんなある朝、仕事に行くために電車を待っているマルコヴァルドさんが見つけたのは、通りの並木の周りのわずかな土から顔を出そうとしていたきのこの頭でした。

ズバーブ商会の人夫をしているマルコヴァルドさんは奥さんと子供4人の、全部で6人家族。お給料は少ないのに養う口は多く、家賃を支払うのも滞りがち... というマルコヴァルドさんを巡る四季の物語です。春夏秋冬が5回繰り返されるので、5年間の物語ということになりますね。
んんー、これはとっても微妙...。最初はごく普通の街角の情景を切り取ったような感じで始まるんですけど、じきに現実味が少しずつ薄れていくんですよね。そういう現実と非現実の境目が曖昧な話というのは好きなんだけど、そこまで突き抜けた話というわけでもなくて、どちらかといえばホラ話のレベル? でもそれ以前にどう反応したらいいのか困ってしまう話も多かった...。家に帰るバスに乗ったつもりが、インド行きの飛行機に乗っていた、なーんて展開の場合はニヤニヤできるからいいんですけど、これって笑える話?それとも...?なんて思ってしまったのが結構多いんです。確かにユニークではあるんだけど、シュールというかブラックというか... 最初のきのこの話だって、結局きのこを食べた人みんな病院で再会することになるというオチですしね。最後の「サンタクロースのむすこたち」なんて、一体! お涙頂戴では決してないし、むしろ乾いた感じではあるのだけど、しかもどんな状況になっても生き抜いていく逞しさがあるんだけど、笑う以前にマルコヴァルドさんの貧しさとか悲哀を感じてしまうー。カルヴィーノは笑える話のつもりで書いたのかしら? イタリア人なら読めば笑える? 大人になってしまった私は笑えなかったけど、子供の頃に読んでいればまた違った印象になってたのかな?(岩波少年文庫)


+既読のイタロ・カルヴィーノ作品の感想+
「宿命の交わる城」イタロ・カルヴィーノ
「不在の騎士」イタロ・カルヴィーノ
「レ・コスミコミケ」イタロ・カルヴィーノ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」イタロ・カルヴィーノ
「イタリア民話集」上下 カルヴィーノ
「魔法の庭」イタロ・カルヴィーノ
「見えない都市」イタロ・カルヴィーノ
「マルコヴァルドさんの四季」カルヴィーノ
「冬の夜ひとりの旅人が」イタロ・カルヴィーノ
「柔かい月」イタロ・カルヴィーノ
「カルヴィーノの文学講義」イタロ・カルヴィーノ
「パロマー」カルヴィーノ
「くもの巣の小道」イタロ・カルヴィーノ
「むずかしい愛」カルヴィーノ

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久々に読む「せむしの小馬」。先日祖母の家に行ったので、その時にこの本を持って帰ってきました。これはエルショーフが19歳の時に書いた作品で、色々なロシアの民話を元にロシア語で書かれたという詩。プーシキンや他の詩人たちがこの作品に感心して夢中になったのだそうです。
改めて読んでみると、先日読んだ「ロシア民話集」(感想)にも出てくる物語がいくつも組み合わさっているのがよく分かります。夜のうちに小麦畑をめちゃくちゃにしてしまう馬も、火の鳥も、鯨が飲み込んだ船のことも...。そういった1つ1つの物語よりもこちらの方が断然面白いから、「ロシア民話集」を読んでいてもどこか物足りなさが残ってしまったのだけど。そして私にとって「ばかのイワン」は、これが基本なのかもしれません。トルストイの「イワンのばか」も、子供の頃から好きだったんですけどね。
私の持っているのは岩波少年文庫版ですが、これは絶版。でもお話そのものは、今でもちゃんと読めるようです。ただ訳者さんが違うので、どんな感じなのかは分かりませんが...。岩波文庫版は詩の形で訳してあるんですけど、右の画像の論創社版はきっと散文訳なんでしょうしね。挿絵からして、低学年の子供向けって感じ?
今回読んでいたら「はくらいのぶどう酒」なんて言葉があって、「ああ、舶来という言葉を覚えたのは、この本だったなー」なんて懐かしかったです。そして岩波文庫版の挿絵にはV.プレスニャコフというロシアの画家の版画風の絵葉書が使われていて、そういうのもこの本が好きなところなんですよね。(岩波少年文庫)

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ロシアの詩人・プーシキンが、子供の頃に聞いたロシアの昔話を元に詩として書き上げた作品。ここに収められているのは「サルタン王のものがたり」「漁師と魚」「死んだ王女と七人の勇士」「勇士ルスランとリュドミーラ姫」の4編で、それぞれ散文の形に訳されています。
昨日の「ハンガリー民話集」を読んでいたら、無性に読みたくなっちゃいました。子供の頃、気がついたら本棚に入ってた本です。昭和33年発行の本なので、きっと父の本だったんでしょうね。古すぎて、アマゾンには本のデータもありませんでしたよー。すっかり古びてページの色も茶色味を帯びてるんですけど、ずっと大好きで大切にしてる本です。

「サルタン王のものがたり」は、2人の姉の悪だくみのために、樽に入れられて海に流されたお妃さまと王子の話。2人は何もない島に流れ着くんですけど、トビと争っていた白鳥を助けたことから、王子は白鳥に助けられてその島の領主・グビドン公となります。で、時々こっそりお父さんの顔を見に行くんです。このグビドン公が聞いてきた不思議な話を白鳥が実現してくれるところが好き。
「漁師と魚」は、願い事を叶えてくれる金の魚の話。でも昔話にありがちな「3回」ではないのが特徴ですね。
「死んだ王女と七人の勇士」は、ロシア版白雪姫。本家の白雪姫と違うのは、姫が入り込んだ家に住んでいたのは7人の小人ではなく勇士ということ、そして姫を助けるのが許婚の王子さまだということ。
「勇士ルスランとリュドミーラ姫」は、結婚式の夜に攫われてしまったリュドミーラ姫を、ルスランと他の3人の騎士たちが探しに行く物語。とても好きなのは、「フィンのおきな」が死んだ勇士ルスランに死の水と命の水をそそぐ場面。「死の水をふりかけると、みるみる傷はかがやきはじめ、しかばねはうつくしいふしぎな色につつまれました。」というところ。いきなり命の水をかけるのではなくて、まず死の水をかけるというのが、子供心にすごく印象的だったんですよね。そして「サルタン王のものがたり」にも出てきた魔法使いの「チェルノモールじいさん」が、あちらと同一人物のはずなのに全然雰囲気が違うのが面白いです。きっとこっちの方が本来の姿なんだろうな。

他の地方の童話に似ていても、4つの物語はそれぞれにロシアらしさを持っていて、それが他の地方の民話には全然見ない部分で、そういうところがとても好き。「勇士ルスランとリュドミーラ姫」はオペラにもなってるんですけど、元々はプーシキンの叙事詩なんですよね。子供用の本ではなくてきちんとした叙事詩の形に訳されたものがあればぜひ読みたいところなんですが... やっぱりないのかなあ。時々思い出しては探してみてるんですけどね。(岩波少年文庫)


+既読のプーシキン作品の感想+
「勇士ルスランとリュドミーラ姫」プーシキン
「プーシキン全集1 抒情詩・物語詩」プーシキン

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子供の頃に買ってもらってから、今まで何度読んだか分からないほど読んでいるナルニア国シリーズ。今公開中の映画「カスピアン王子の角笛」は、「ライオンと魔女」の時もとーっても微妙だったので(笑)DVDになってから気が向いたら、程度に考えてたんですけど、カスピアン王子の意外なほどのハンサムぶりに惹かれて...! ついつい映画館にまで観に行ってしまいました。
でも... やっぱり微妙。(笑)
いや、もう微妙どころではないかな。突っ込みどころ満載でしたね。カスピアン王子も確かにハンサムだったんだけど、期待したほどではなかったし... んんー、なんでこうなっちゃうんだろう。

と思っていたらふと本が目について、読み始めてしまいました。一旦読み始めると、もう止まりません。いやーん、やっぱり面白い! 怒涛の勢いで再読してしまいましたよ。映画を観る時はちょっと記憶をボカし気味にしておいた方がいいかなと思って事前に再読しなかったんですが、正解でした。記憶鮮明な状態で観に行ってたら、正視できなかったかも。やっぱり本の方がずーっとずーーっと面白いです!

たとえば映画では妙に戦争の場面が強調されてて、しかもそれが「ロード・オブ・ザ・リング」に酷似してるのが興醒めだったんですけど、本当はもっと楽しい部分もいっぱいある話なんですよね。もっとバランスの良い話だったはずなのに、なぜ? 妙に考えすぎてるのでは? もっと素直に映画化すればいいのに、なんであんな演出をしちゃうのかしら。そもそも4人がナルニアに行く場面からして、原作の方がずっと好き。映画では人物像を掘り下げようとしたのか妙な小細工をしてて、それもとっても疑問でした。(たとえば、映画のピーターよりも本のピーターの方がずっと好きだし) この「カスピアン王子のつのぶえ」は、次の「朝びらき丸東の海へ」と外伝っぽい「馬と少年」と並んで特に好きな話なのに、なんだか違う雰囲気にされてしまっていてガッカリ。
今回の映画では、個人的にはエドマンドが良かったです。特別活躍してるというわけではなかったんですけどね。なんか気に入っちゃった。そしてそれが今回一番の収穫だったかも。(岩波少年文庫)

     


+既読のC.S.ルイス作品の感想+
「マラカンドラ」「ペレランドラ」C.S.ルイス
「サルカンドラ」C.S.ルイス
「顔を持つまで 王女プシケーと姉オリュアルの愛の神話」C.S.ルイス
「悪魔の手紙」C.S.ルイス
「喜びのおとずれ C.S.ルイス自叙伝」C.S.ルイス
「カスピアン王子のつのぶえ」他 C.S.ルイス

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「太陽の東 月の西」というのは、ノルウェーの民話集。P.C.アスビョルンセンとヨルゲン・モオという2人の民話研究家が採取したもので、本になったのはグリムよりも早かったのだそうです。私も子供の頃に岩波少年文庫から出ている版はよく読んでたんですけど(右)、今回読んだのは、カイ・ニールセンの挿絵入りのもの。肝心の表紙が出てこないのが悲しいんですが、これがものすごく美しいんです~。やっぱりニールセンの絵は素敵。妖しい表情に、ぐぐっときちゃいます。

北欧、特にノルウェーの民話といえばトロルが出てくるのが特徴というのは知ってたんですけど、今回の本のまえがきに「動物が主人公を救うという形式」が指摘されていたのには、ちょっとびっくり。いや、確かに動物が助けてくれる話は多いし、ここに収められた7編は全部そういう形ですが... でもね、民話にはそういう話って結構あるじゃないですか。私としては、むしろロシアのせむしの小馬とか火の鳥の方が印象強いし、咄嗟にはあんまり思い浮かばないんですけど、ペロー童話の「長靴をはいた猫」なんかもそうですよね。これがどの程度ノルウェーの民話の特徴と言えるのか、逆に疑問がむくむくと。岩波少年文庫版には18編入ってるので、思わずこちらも読んでしまいましたが、ニールセン版にも入ってる7編ぐらいしか主人公が動物に救われる物語はなかったです。うーん??(新書館・岩波少年文庫)

そしてカイ・ニールセンといえば、先日こんな本を買ってしまいました。「Nielsen's Fairy Tale Illustrations in Full Color」。(左下)エドマンド・デュラック、アーサー・ラッカムのも一緒に。どれも50~60ページという薄い本なんですけど、題名通りフルカラーの絵が50枚ほど収められていて、とても素敵なんです。これはお値打ちでした! ...と思ったら睡記の睡さんも買ってらしたようで~。(記事
という私も、カイ・ニールセンが一番ツボでした~。
  

そして今、気になってるのは下左側の2冊。ヴィクトリア朝時代のイギリスを代表する挿画家、ウォルター・クレインです。早くからラファエル前派の影響を受けていて、ウィリアム・モリスらとともにアーツ・アンド・クラフト運動を進めたという人物。「絵本の父」とも呼ばれているとか。一番右のド・モーガンの「フィオリモンド姫の首かざり」を読んだ時から、素敵な絵だなあと思ってたんですよね。特に見たいのは、左の「The Faerie Queen」。思いっきり好みのツボのような予感です~。
  

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