Catégories:“岩波少年文庫”

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ウラル地方の民話をバジョーフがまとめたもの。表題作「石の花」はプロコフィエフの作曲でバレエにもなっていて有名ですね。私が知ったのも、バレエの方が先でした。でもバレエでは、「山の女王の愛を拒んだため石像に変えられた細工師ダニーロが、許婚カテリーナの深い愛情によって救い出される」という話で、山の女王が悪者になってたと思うんですが、元の話はちょっと違います。石の細工に取り付かれてたダニーロが、山の女王に諭されても聞く耳を持たず、頼み込んで石の花を見せてもらうんですもん。見たら許婚の元に帰れなくなるって知ってたのに。

全部で8編入ってて、どれもおじいさんが昔話を語るという形式。基本的にロシアの銅山での労働者たちの話です。銅や石を掘ったり、石に細工をしたり。彼らの生活はとても苦しいのだけど、山の情景がとても幻想的で素敵だし、作っている細工物は本当に見てみたくなってしまいます。ここで登場する「石」とは、基本的に孔雀石(マラカイト)。不透明の緑色で、縞模様が孔雀の羽を思わせることから、日本では孔雀石と呼ばれる石。古くから岩絵の具や化粧品の原料に使われてきていて、クレオパトラもこのアイシャドーを使ってたという話もあったりします。私自身は、孔雀石ってあまり好きじゃないんですけどね... でも、そのあまり好きじゃないはずの孔雀石が、この作品ではもう本当に素敵なんです。逆に、この本で孔雀石に興味を持った人が、実物を見て「イメージと違ーう!」と思うケースは多いかも...(^^;。

8編中最初の5編には一貫して山の女王が登場するし、人間側も徐々に世代交代して連作短編集みたい。後の3編は少し雰囲気が違うこともあって、私は最初の5編が好きです。山の女王がまたいい人なんですよ。「石の花」のダニーロに対しても、許婚がいるのに石の花なんて見たがってはダメだと言い聞かせてるし、気に入った人間にはその子・孫の代まで色々と世話をやいてあげてますしね。(悪戯好きな部分はなきにしもあらずですが...) ただ、山の女王の世界を人間が一度垣間見てしまうと、人間の世界には存在し得ない美しさにみんな取り付かれてしまうんですね。(岩波少年文庫)

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「金の鍵」(岩波少年文庫) ... 「魔法の酒」「妖精の国」「金の鍵」の3編収録
「黄金の鍵」(ちくま文庫) ... 「巨人の心臓」「かるい姫」「黄金の鍵」「招幸酒」の4編収録
ジョージ・マクドナルドの作品は、様々な邦題で訳されているので分かりにくいのですが、「金の鍵」と「黄金の鍵」、「魔法の酒」と「招幸酒」はそれぞれ同じ物語です。

ジョージ・マクドナルドはルイス・キャロルと同時代に活躍し、トールキンやルイスに大きな影響を与えたという作家。スコットランド色の濃い「魔法の酒」(「招幸酒」)もとても面白くて好みなんですが、やっぱりこの中で一番素敵なのは、表題作の「金の鍵」(「黄金の鍵」)でした。
これは、虹のたもとで金の鍵を見つけた少年と、2人の召使にいじめられていた少女が、「おばあさま」の家で出会い、金の鍵の合う鍵穴を探しに行く旅に出る物語です。マクドナルドらしく、とても美しくて幻想的。そしてとても象徴的なのです。「おばあさま」や魚には、どのような意味が隠されているのか、2人が旅の途中で出会う、「海の老人」「大地の老人」「火の老人」とは。「老人」と言いつつ、その見かけは老人ではなかったりするし、特に「火の老人」の1人遊びが気になります。そして2人が最終的にたどり着く、「影たちがやってくる源の国」とは。どれもはっきりとは書かれていなくて、読者が想像するしかないのですが...。井辻朱美さんの「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」の下巻の情景は、もしかしたらこの旅の情景に影響を受けているのかも。なんて思ったりしました。そしてここに登場する「おばあさま」は、「お姫さまとゴブリンの物語」や「お姫さまとカーディの物語」(感想)に登場する「おばあさま」と同じ人物なのかしら? マクドナルドの作品全体を通して、「おばあさま」がとても重要な役割を担っているようです。(岩波少年文庫・ちくま文庫)


+既読のジョージ・マクドナルド作品の感想+
「お姫さまとゴブリンの物語」「カーディとお姫さまの物語」マクドナルド
「北風のうしろの国」ジョージ・マクドナルド
「かるいお姫さま」マクドナルド
「ファンタステス」ジョージ・マクドナルド
「金の鍵」「黄金の鍵」ジョージ・マクドナルド
「きえてしまった王女」「かげの国」ジョージ・マクドナルド

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ある朝、ビルボ・バギンズが朝食を終えて、自分の素敵な穴のドアの前でゆっくり一服楽しんでいた時、そこに現れたのは魔法使いのガンダルフ。ガンダルフはビルボを冒険に連れ出そうと思ってやって来たのです。しかしビルボは冒険なんぞ真っ平。翌日のお茶に招待すると言って、体よくガンダルフ追い払います。ところが翌日のお茶の時間に玄関の呼び鈴が鳴った時、ドアの前に立っていたのは1人のドワーフでした。次にまた1人。今度は2人。ひっきりなしにドワーフたちが現れ、結局ドワーフが13人とガンダルフが、ビルボを囲んでお茶をすることになり、ビルボはなぜか、昔ドワーフたちが竜のスマウグに奪われた宝を取り戻す旅に同行することに。

「指輪物語」を再読したいと思ってたら、ついついこちらから読み始めてしまいました。大人向けの「指輪物語」とは対照的に、こちらは子供向けの作品なので、読むのはそれほど大変じゃないんですけどね。いや、相変わらず楽しいなあ。でも、「指輪物語」もそうなんですが、最初はやけにのんびりした空気が流れているのに、だんだんシリアスな雰囲気になるんですよね。最後は「五軍の戦い」なんてものもあって、冒頭のいかにも「ホビットの冒険」という雰囲気からは離れてしまうのが、ちょっぴり残念。...と言いつつ、やっぱり面白かったんですけどね。「指輪物語」に登場するエルフのレゴラスの父、闇の森の王スランドゥイルや、ドワーフのギムリの父・グローインが登場するのも嬉しいところ。さ、これで「指輪物語」再読への準備は万全です。(岩波少年文庫)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

+既読の指輪物語関連作品の感想+
「トールキン神話の世界」赤井敏夫
「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」W.G.ハモンド/C.スカル
「トールキン指輪物語事典」デヴィッド・デイ
「図説 トールキンの指輪物語世界 神話からファンタジーへ」デイヴィッド・デイ

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チポリーノは貧しいタマネギの少年。ある時、国の総督であるレモン大公がチポリーノたちの住む木造バラックの辺りを通ることになり、沿道に出ていたチポリーノの父・チポローネは、後ろの群集たちに押されてレモン大公の足をひどく踏みつけてしまいます。チポローネは即刻ちびレモン兵たちに逮捕され、終身刑を言い渡されることに。父親に面会に行ったチポリーノは、世間に出て勉強しろという父親の言葉に、チポッラおじさんに母と弟たちのことを頼むと、1人旅に出ることに。

チポリーノはたまねぎですし、ブドウ親方、レモン大公、トマト騎士、エンドウ豆弁護士、イチ子やサクラン坊やなど、野菜や果物が中心となった物語。児童書ですが、実は政治色が強いんですよね。「冒険」という名目で、レモン大公の独裁政治に革命を起こし、共和制の世の中に変わる様子を描いてるんですから。でも、子供の頃もそういうことは薄々感じていましたが、楽しく読んでましたし、大人になった今読み返しても、やっぱり楽しかったです。ロシア語の訳書からとったというB・スチェエーヴァの挿絵も、相変わらず可愛い~。
それにしても、ロシアでチポリーノの歌が作られたというのは覚えていましたが、それを作ったのが「森は生きている」のマルシャークだったとは...! びっくり。そうだったのか。いや、色々ありそうですね。(岩波少年文庫)


+既読のジャンニ・ロダーリ作品の感想+
「猫とともに去りぬ」ロダーリ
「チポリーノの冒険」ジャンニ・ロダーリ
「うそつき国のジェルソミーノ」ジャンニ・ロダーリ
「パパの電話を待ちながら」ジャンニ・ロダーリ

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エリザベスが初めてジェニファに会ったのは、ハロウィーンの校内行列のために家に帰って仮装して、学校に戻る途中でのこと。エリザベスは引っ越してきたばかりなので、まだ友達もいなくて1人ぼっち。でも木の上に腰掛けていたジェニファのぶかぶかの靴をはかせてやったのがきっかけで、2人は話すようになります。そして自分は魔女だと言うジェニファについて、エリザベスは魔女の修行をすることに。

子供の頃から大好きな「クローディアの秘密」(感想)のE.L.カニグズバーグのデビュー作。この「魔女ジェニファとわたし」と「クローディアの秘密」が立て続けに発表されて、この2冊がその年のアメリカの児童文学賞ニューベリー賞を争ったんだそうです。(受賞は「クローディアの秘密」)
転校したばかりで、なかなか友達ができないままのエリザベスと、自分のことを魔女だと言ってしまう、ちょっと不思議な女の子ジェニファの物語。エリザベスが主人公だし、一見、「内気なエリザベスに友達ができて良かった良かった」的な話に思えてしまうんですけど、それだけじゃないんですよね。頭が良すぎて、周囲の子たちが子供っぽく見えてしまうジェニファにとっての、友達ができた話でもあります。図書館ですごい勢いで本を読み、小学生ながらもマクベスをかなり読み込んでいるらしいジェニファ。1人でも自信満々に振舞っているジェニファだけど、時には友達が欲しくなったりもして、そんな時にするりと入り込んできたのがエリザベスだったのかも...。自分のことが魔女だと言っていたのは、一種の虚勢だったんだろうなあ、なんて思ったり。
エリザベスに友達がいないことを心配して、「社会性」がないのではないかと考えるお母さんに対して、お父さんが、普通の体温は36.5度だけれど、36度で健康な人もいるのだから、「だから、なにがふつうだなんて、だれにもいえるもんか」という言葉が良かったです。
ただ、「Trick or Treat!」が「ハロウィーンのおねだり」と訳されていたり、ハロウィーンの「おふせまいり」という言葉にちょっと時代を感じてしまいました...。この辺りだけでも訳文を変えて欲しいところなんですけど、そうもいかないのかしら。(岩波少年文庫)


*既刊のE.L.カニグズバーグ作品の感想*
「クローディアの秘密」「エリコの丘から」E.L.カニグズバーグ
「魔女ジェニファとわたし」E.L.カニグズバーグ
「ティーパーティーの謎」「800番への旅」「ベーグル・チームの作戦」カニグズバーグ

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題名の「ムルガー」とはサルのことで、要するにサルが主人公のファンタジーです。本国イギリスでは、トールキンの「ホビットの冒険」が出るまでは、並ぶ作品がないと言われるほど評価されてたそうなんですけど... うーん、読みにくかったです。沢山いるサルの種類にも、食べ物や樹木の名前にもムルガー語の名前がついてて、それを追うのが大変なんですよね。巻末に「ムルガー語小辞典」がついてるんですけど、そんなのをいちいち調べてたら、話の流れになんて、とてもじゃないけど乗れませんー。脇役として登場する人間や水の精が印象的だったし、厳しい冬の情景がとても綺麗だっただけに残念。この厄介なムルガー語さえなければ、もっと楽しめたでしょうに。

この作品はハヤカワ文庫FTと岩波少年文庫から出てますが、どちらも絶版状態。読んだのはハヤカワ文庫なんですが、岩波少年文庫の画像があったので、そちらを載せておきますね。訳者さんは同じなのでどちらを選んでも一緒だろうと思ったんですが、岩波少年文庫の方が新しくて、色々と手を加えてあるようです。岩波少年文庫版を選んだら、もっと読みやすくて良かったのかも... 図書館にあったのに、惜しいことしちゃいました。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のウォルター・デ・ラ・メア作品の感想+
「妖精詩集」W.デ・ラ・メア
「ムルガーのはるかな旅」ウォルター・デ・ラ・メア
「昨日のように遠い日 少女少年小説選」

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子供の頃大好きだった「クローディアの秘密」と、今回初読の「エリコの丘」。
「エリコの丘」は河合隼雄さんの「ファンタジーを読む」に紹介されていた作品。それで興味を持ったんですけど、以前一度読もうとした時は、どうも文章そのものが受け付けなくて挫折。でもその後調べてみると、どうやら小島希里さんの訳は相当評判が悪かったらしいですね。読者だけでなくカニグズバーグ本人からも色々と指摘が来て、岩波は小島希里訳作品の全面改訂に踏み切ったのだそう。ということで、今回読んだのは、以前の訳に金原瑞人さんが手を入れたという新訳です。やっぱり全然違う! あのまま我慢して読み続けなくて本当に良かった。

でも読みやすくなって、「エリコの丘」も素敵な話だったんですけど、やっぱり「クローディアの秘密」の方が上だったかな。
これは小学校6年生のクローディアと3年生のジェイミーという姉弟がある日家出をするという話。でも家出とは言ってもそんじょそこらの無計画な家出じゃなくて、クローディアが綿密な計画を立てた家出。宿泊予定は、ニューヨークのメトロポリタン美術館だし!...同じような趣向の作品はいくつか読んだことがありますが、多分この作品が一番最初。本国では1967年に発表された作品なので、もう40年近く経ってることになるんですけど、全然話が古くないどころか、今読んでもワクワクしちゃう。そして肝心のクローディアの「秘密」については、大人になった今読んだ方が理解できたかも。その辺りもじっくりと楽しめました。
「エリコの丘」は、女優志願のジーンマリーと科学者志望のマルコムが、ひょんなことから、もう亡くなってる女優のタルーラに出会って、彼女に頼まれた仕事をするという話。このタルーラが素敵なんです。成熟した大人の女性で、美人というより個性的なのに、その個性で自分を美しく見せちゃうような人。ジーンマリーとマルコムは不思議な機械を通って、誰からも見えない姿になって活躍するんですけど、この「見えない」ということから、色んなことを学ぶんですよね。考えてみれば、どちらの作品も目に見えない部分をとても大切にしている作品でした。

「エリコの丘」をこれから読まれる方は、2004年11月に改訂された新訳を選んで下さいね。「金原瑞人・小島希里訳」って感じになってますので。以前の版は絶版になったそうなんですが、図書館だと旧訳を置いてるところの方が多そうですし。
カニグズバーグの作品は、岩波少年文庫から何冊か出ていて、すごく読みたいんですけど、「ティーパーティーの謎」と「800番への旅」は小島希里訳なので、ちょっと読む気になれない... 早く新訳が出ればいいのですが。あ、「魔女ジェニファとわたし」は、「クローディアの秘密」と同じ松永ふみ子さんの訳ですね。こちらを先に読んでみようっ。(岩波少年文庫)


*既刊のE.L.カニグズバーグ作品の感想*
「クローディアの秘密」「エリコの丘から」E.L.カニグズバーグ
「魔女ジェニファとわたし」E.L.カニグズバーグ
「ティーパーティーの謎」「800番への旅」「ベーグル・チームの作戦」カニグズバーグ

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