Catégories:“岩波少年文庫”

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ショパンの恋人だったことでも有名な男装の麗人・ジョルジュサンドの作品。フランス文学が気になってることもあって、ちょっと読み返したくなりました。今回読んだ「愛の妖精」は新しい本なんですけど(篠沢教授訳ですって!)、「ばらいろの雲」はとっくに絶版になってる本。子供の頃から持ってる岩波少年文庫です。古すぎてamazonにもデータがないよーと思ったら、BK1にはありました。コチラ

「愛の妖精」は、一卵性双子の兄弟シルヴィネとランドリ、そして「こおろぎ」と呼ばれる不器量な野生児・ファデットの3人の物語。双子、それも一卵性双子って、これまでほとんど身近にいなかったせいもあって、惹かれるんですよねえ。片方が怪我をすると、もう片方も痛みを感じるとか色々言いますよね。自分ともう1人って、どんな感じがするんでしょう。
産婆のサジェットばあさんは、お互いに相手が分かるようになったらすぐに引き離し気味に育てるようにと忠告するんですが、なかなかそういうわけにもいかず、結局いつも2人だけでべったり一緒にいることになっちゃうんですよね。でも2人が大きくなると、家の都合で1人が奉公に出されることになって... 奉公に出ることになったランドリは仕事が忙しいこともあって、だんだん兄弟の関係から自立していくんですが、家に残されたシルヴィネが悲惨。暇だから色々と考えちゃう。そしてそこに登場するのが、ファデットという少女。...とは言ってもシルヴィネがファデットに恋してランドリを忘れるとかそういう話じゃなくて、彼女のせいで事態がややこしくなるんですが。
フランスの農村地帯が舞台のせいか、美しい自然と素朴な人々に囲まれて、とても柔らかく、それでいて地に足が着いた力強さもありました。ランドリやシルヴィネ、そしてファデットがその中で色んな経験をしながら成長していく様子が、濃やかに描かれていて美しいです~。良いことばかりが起きるわけじゃないのに、なんだかずっと柔らかい日差しに包み込まれているような印象。とっても分かりやすい展開だし、違和感を感じる部分もあるのですが(特に財産の件!)、すごく暖かな読後感。

そして「ばらいろの雲」には、「ものをいうカシの木」「ばらいろの雲」「ピクトルデュの館」の3編が収められています。こちらも美しい田園地帯を舞台にした作品。晩年のサンドが孫のために作った童話なのだそうですが、今読み返してみると、あまり子供っぽくなかったです。3編の中で一番好きだったのは、子供の頃と変わらず「ピクトルデュの館」。誰も見たことはないけれど、ヴェールをかぶった女性が招いた人間だけが入れるという荒れ果てた館、主人公のディアーヌが体験する、立像や絵画から抜け出した神々や水の精たちが舞い踊る幻想的な情景... そして話が幻想的なだけじゃなくて、現実的な部分とも綺麗に絡み合っているのがまたいいんですよね。(中公文庫・岩波少年文庫)


+既読のジョルジュ・サンド作品の感想+
「愛の妖精」「ばらいろの雲」ジョルジュ・サンド
「フランス田園伝説集」ジョルジュ・サンド

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またしても久々になってしまった岩波少年文庫シリーズ。昨日に引き続きのジョージ・マクドナルドです。ここに収められているのは「かるいお姫さま」と「昼の少年、夜の少女」の2編。
「かるいお姫さま」は、招待されなかったことを怨んだ意地悪な魔女が王女に呪いをかけるという、昔話の王道の物語。でも呪いはこっそりとかけられるので、最初は誰の仕業とは分からないし、良い妖精がその呪いを打ち消すような祝福を与えることもできないんですよね。呪いを解く方法も分からないし。そして、ここでかけられる「重さをなくしてしまう」という呪いが面白いんです。ちょっと手を離すと、王女はふわふわとその辺りを漂っちゃう。マクドナルドの時代には宇宙飛行士なんていなかったはずなのに、まるで無重力空間みたい~。魔女には重力の操り方が分ってたんですって。しかも重さをなくしてしまうのは身体だけじゃなくて、頭の中身もなんですよ! これが可笑しいんですよねえ。で、普段は笑い転げてばかりいて、全然真面目になれないお姫さまなんですが、水の中にいる時だけは普段よりも落ち着いてお姫さまらしくなるというのが、なんか好きです。
そして「昼の少年と夜の少女」は、魔女によって、昼しか知らずに育てられた少年と、夜しか知らずに育てられた少女の物語。どうやら宮廷の貴婦人に信用されてたらしい魔女の存在も謎だし、昼だけ、夜だけ、と手がこんだことをする割に、その目的が謎なんですよねえ。でも、16年間ランプが1つしかない部屋に閉じ込められていた少女が、初めて見た外の世界に感動する描写がとても良かったです。大きな藍色の空に浮かぶ月の輝き、夏の夜風、漂う花々の香り、足に優しいしっとりと濡れた草むら。美しいです~。(岩波少年文庫)


+既読のジョージ・マクドナルド作品の感想+
「お姫さまとゴブリンの物語」「カーディとお姫さまの物語」マクドナルド
「北風のうしろの国」ジョージ・マクドナルド
「かるいお姫さま」マクドナルド
「ファンタステス」ジョージ・マクドナルド
「金の鍵」「黄金の鍵」ジョージ・マクドナルド
「きえてしまった王女」「かげの国」ジョージ・マクドナルド

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インドで生まれ育ったメアリは、いつも不機嫌そうな表情をした可愛くない少女。両親にまるで構ってもらえず、インド人の乳母に任されっ放しとなった結果、すっかり我儘娘に育っていました。しかし突然のコレラの流行によって両親は亡くなり、メアリはイギリスのヨークシャーに住む叔父に引き取られることに。叔父は最愛の妻を失って以来、何事にも無関心。広大な屋敷の部屋も、ほとんどが閉め切られ、かつて叔父の妻が丹精していた美しい庭も、10年間締め切られたままだったのです。

岩波少年文庫再読計画第12弾は、以前から再読したいなあと思っていた「秘密の花園」。この作品を書いたバーネット夫人は「小公子」「小公女」の方が有名で、「秘密の花園」は読んでないという方も多いようなんですが、でもこれもすっごくいい作品。この3作の中では、私はこの「秘密の花園」が一番好きかも。「小公子」も捨てがたいんだけど...(「小公女」だけは、私の中で少し落ちます(^^;)

主人公のメアリは、「小公子」のセドリックや「小公女」のセーラと違って、ものすごーくイヤな子。人に奉仕してもらうのが当然だと思い込んでるし、気に入らないことがあったらすぐ癇癪を起こすし... でもそれって、彼女の両親がまるで彼女に構ってあげなかったからなんですよね。父親は仕事が忙しく病気がちで、母親はパーティにしか興味がない人間。そんな人たちが子供なんて作るなッ...!と言いたくなっちゃいます。(大人になった今だからこその感想かしら) でもそんなメアリでも、ヨークシャーに来てからだんだんと変わり始めて、その成長物語が本当に清々しいんです。それにメアリが変わるにつれて、その影響が周囲にも出て、最終的には大人や屋敷全体も変えちゃう。実はとても大きな「生きる力」を描いた物語だったんですね。
子供の頃読んだ時は、広い屋敷の探検に憧れたし、ムーアや秘密の花園の情景にドキドキしたんですが、今回はむしろ人間の方に目がいきました。特に印象的だったのがディコン。ディコンのお姉さんでメイドのマーサの率直さも気持ちがいいし、マーサやディコンのお母さんの包み込むような愛情の暖かいこと... それほど出番は多くないのに、すっかり場を攫ってくれました。そして子供の頃に読んだ時ほどメアリが嫌な子に感じられなかったです。彼女なりにすごく必死なのが伝わってきて、読んでいて応援したくなっちゃいました。(岩波少年文庫)

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バレエで有名な「くるみ割り人形」の原作。子供の頃にも読んだことがあるはずなんですが、改めて読んでみるとバレエとはかなり雰囲気が違っていてびっくり。バレエでは、クリスマスプレゼントに貰ったくるみ割り人形がネズミを戦っているのを見たクララが、思わず加勢に入ってくるみ割り人形側が大勝利。人形の国に連れて行ってもらえる... というストーリーですよね。で、全てが終わってみると、クリスマスの夢だった... って感じだったかと。
原作も確かに大筋ではそうなんですが... でも終始「夢の世界~」なバレエとは違って、もっと生々しく現実が迫ってくる感じなんです。最初にネズミとくるみ割り人形が戦う場面なんて、マリー(原作ではクララじゃなくてマリー。クララはマリーの持ってる人形の名前)も実際に怪我をして血を流して倒れてたりするし、親はマリーの再三の話を聞いて、そのたびに「夢をみたのね」と言うんだけど、実は夢オチではなく... なんだか思ってた以上に不気味な話でした。えっ、こんな終わりでいいの?! 状態。
あ、でも人形の国の描写はとっても素敵です。氷砂糖の牧場、アーモンド・干しぶどうの門、麦芽糖の回廊、大理石のように見えるクッキーの敷き詰められた道、オレンジ川にレモネード川、ハチミツクッキーの村、キャンデーの町、コンポートの里、お菓子の都... もう読んでいるだけでも、いい香りが漂ってきそう。美味しそうです~。(岩波少年文庫)


+既読のホフマン作品の感想+
「クルミわりとネズミの王さま」ホフマン
「悪魔の霊酒」上下 ホフマン
「黄金の壷」「スキュデリー嬢」 ホフマン
「ホフマン短篇集」ホフマン
「黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン

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去年の復活祭の日、ホーゲルマン家に突然現れたのは、50cmぐらいの、きゅうりのようなかぼちゃのようなものに顔や手足がついて、金の冠をかぶっている王さま、トレッペリーデ2世。これまでずっと家の地下室に住んでいたのですが、反乱がおきて家来たちに見捨てられたため、台所に避難してきたというのです...

岩波少年文庫再読計画第10弾。現代ドイツのファンタジーです。
ドイツ児童文学賞を受賞したという作品なんですけど、肝心のきゅうりの王さまがあまりに可愛げがなくてどうにも...(^^;。
でもきゅうりの王さまなんて奇妙奇天烈な存在が登場するんで、一見ファンタジーっぽいんですけど、これはものすごーくリアリティのある話でした。いかにも家長っぽく、家族のことは全て仕切りたがる父親だけが、きゅうりの王さまの世話を甲斐甲斐しく焼くんですけど、他の面々はそういう父親をすごく冷めた目で見てて、むしろ追い出そうと頑張ってるんですよね。きゅうりの王さまというのが、父権を象徴しているんでしょう。なんだか、お父さんの姿が哀れでもあり可笑しくもあり... でした。
こういう作品は子供の頃に読んだ方がいいんだろうな。(岩波少年文庫)

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幼い頃に母を亡くし、11歳で父も亡くしたポリアンナは、それまで全然付き合いのなかったポリーおばさんの家に引き取られることに。でもポリーおばさんがポリアンナを引き取ったのは、可愛い姪だからではなく、「義務をわきまえた人間でありたい」から。本当は今の静かで穏やかな生活を子供に壊されたくないのです。しかしポリアンナは、そんなポリーおばさんの頑なな心を徐々に溶かしていくことに。

先日のたらいまわし企画・第17回「子どもと本」で、くるくる日記のkyokyomさんが挙げてらした本。(その時の記事はコチラ) 以前は「少女パレアナ」という題名で出ていた作品です。(追記: 角川文庫では今でも「少女パレアナ」というタイトルで出ているとのこと)
読み始めてまず思ったのは、「赤毛のアン」みたい!ということ。ポリアンナもおしゃべりなんですよね。放っておくと、1人でずーっとしゃべり続けちゃう。空想という点ではアンの方が上かもしれないんですが、でもポリアンナも相当のもの。しかもポリアンナの「何でも嬉しがる」ゲームというのは、いかにもアンが好きそうだし。...このゲームは、どんなに嫌なことにも、その楽しい面を見つけて嬉しがるというゲーム。例えばポリーおばさんがポリアンナにと用意したのは、普通の綺麗な部屋ではなくて屋根裏部屋。他にも沢山部屋が余っているはずなのに、わざわざみすぼらしい部屋を与えられちゃうんです。でもポリアンナは、殺風景な屋根裏部屋を悲しむのではなく、鏡がないからそばかすを気にしなくてもいいと言い、窓から見える綺麗な景色を絵のようだと喜ぶんです。
でも、やっぱりポリアンナはアンとは違うんですよね。読むにつれて、そういう部分がどんどん見えてきました。何でも嬉しがるゲームも、アンがしたらわざとらしくなったんじゃないかと思うんですけど(アンも大好きですが!)、ポリアンナがするとすごく自然。というかポリアンナっていう女の子がどこまでも天然なんですよね。ポリアンナがあまりに純粋なので、周囲の人々も巻き込まれずにはいられないし... 一歩間違えると、逆に心を閉ざされてしまいそうだし、下手すると読者にも作為を感じさせてしまいそうなところなんですが、それが全然。その辺りがほんと絶妙です。それがポリアンナのいい所であり、この作品の命なんでしょうね。素直に「良かったな~」と思える作品でした。

途中で止まっていた岩波少年文庫再読計画ですが、これでようやく再開です。...とは言っても、この本は2冊とも初読ですが! やっぱり岩波少年文庫は素敵です♪ (岩波少年文庫)

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ケストナーは子供の頃から大好き。中でも一番好きなのは「飛ぶ教室」なのですが、この「点子ちゃんとアントン」も大好き。あと「五月三十五日」みたいな作品も大好き。とにかくハズレがない作家さんですね。この作品は、元気でやんちゃなお金持ちの少女・点子と、性格が良くて勇気のある貧乏な少年・アントンの物語。ケストナーの作品の登場人物って、かなり類型的ではあるんですけど、でもやっぱりいいんですよね。人間として大切にしなくちゃいけないことがいっぱい詰まっていて。
実は、森谷明子さんの「れんげ野原のまんなかで」(感想)に登場する能勢夫人の言ってる本はこれかも、と思って読んでみたんです。でもやっぱり違ったみたい。ケストナーが書きそうな文章だなあって思ったんですけどねえ。能勢夫人は「富豪」「女性」と言ってたし、「富豪」というのも「女性」というのも、点子とはまたちょっと違うんだけど...(富豪なのかもしれないけど、まだまだ女の子だし) 他の作品にも富豪の女性なんて出てこなかったと思うし、やっぱりケストナーではないのかしら。(あと富豪といって思い出すのは、「小公女」ぐらい... 「あしながおじさん」のジュディの友達・ジューリアも富豪のはずだけど、彼女はそういうタイプじゃないしねえ)

これは一応岩波少年文庫再読計画の第8弾のつもりだったのですが、実は私が読んだのは岩波少年文庫版じゃなくて、ケストナー少年文学全集の方。同じ岩波書店だからきっと同じだと思っていたのに、なんと訳者が違ってました! 私が読んだのは高橋健二さん訳で、岩波少年文庫の方は池田香代子さん訳。うわー、迂闊。どんな風に違うんだろう。子供の頃から全集の方を何度も読み返してるし、高橋健二さんの訳にすっかり馴染んでるから、今更他の人の訳に馴染めるとは思えないんだけど、でもやっぱり気になります。まさかそのせいで能勢夫人の覚えているようなクダリがなくなってるわけではないでしょうけれど...。(岩波書店)


+既読のエーリヒ・ケストナー作品の感想+
「点子ちゃんとアントン」エーリヒ・ケストナー
「ケストナーの『ほらふき男爵』」E・ケストナー
Livreに「雪の中の三人男・ガス屋クニッテル」「消え失せた密画」「一杯の珈琲から」の感想があります)

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